JP3920544B2 - 高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法 - Google Patents

高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化塩素を充填する高圧ガス容器から金属酸化物を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセス等で使用される無水液化塩化水素は高圧ガス容器に充填されて顧客まで運搬されるが、この高圧ガス容器としては、新品の容器もあれば、顧客から返還されたいわゆる戻り容器もある。
【0003】
ここで高圧ガス容器は、購入時や、容器弁不良時、耐圧検査時等に開放整備を行わなければならないが、この開放整備とは容器弁をガス容器本体から取り外して所定の整備を行うことである。具体的には、先ず残ガスを排気してから、容器弁を外して容器内部を例えば水等で洗浄し、次いで容器内部を乾燥させてから容器弁を取り付けて、容器内を真空引きした後、ここに新たに無水液化塩化水素を充填している。しかしながらこれらの操作を行うと、容器内の水洗又は乾燥時に、容器材料に含まれる鉄が大気により酸化され、酸化第一鉄(FeO)をはじめとする鉄酸化物被膜が容器内表面に生成してしまう。
【0004】
ところでこれら鉄酸化物が存在する容器に水分濃度が例えば0.5w/wppm程度の高純度の無水液化塩化水素を充填すると、鉄酸化物は塩化水素と反応して水を生成するという性質を有しているので、この水が不純物となる。
【0005】
容器内の鉄酸化物被膜の発生を抑える手段の一つとしては例えば電解研磨容器を用いればよいと言われているが、この方法は、容器内表面を平滑にすることにより、酸化速度を小さく抑えたものである。また別の手法として例えば塩酸等の酸で容器内を洗浄した後、ショットブラスト研磨等の公知の研磨法により容器の内面を研磨し、次いでイソプロピルアルコール等を容器内面に吹き付けることにより当該容器内面を脱水し、最後に窒素等の不活性ガス等の水分濃度の低いガスを容器内に封入して、容器内壁の酸化を防ぐことも行なわれている。さらにこの他、液化塩化水素によって容器内面の共洗いしたり、容器内面を真空乾燥したりして、容器内面の水分汚染源となる鉄酸化物の除去を行なう手法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら電解研磨容器は高価であり、容器を研磨する手法は、作業工程が多いので、コストが高くなるという問題や、十分に水分汚染源となる容器内壁の酸化を防止できないという問題があり、容器の共洗いや真空乾燥といった手法においても、やはり鉄酸化物等の発生は抑えられない。
【0007】
例えば鉄酸化物が残っている500kg高圧ガス容器に、水分濃度が0.5w/wppm以下の無水液化塩化水素を充填した場合、上述の鉄酸化物と塩化水素との反応により水が発生して、この水分の大部分は液化塩化水素中に溶解する。そして液化塩化水素ガスを使用していくと、水分の大部分は容器中の塩化水素の液相に残留しやすいので、徐々に容器内の塩化水素の液相中の水分濃度が高まり、場合によっては水分濃度が10.0w/wppm以上になることもある。
【0008】
ところで無水液化塩化水素の使用者側では、水分濃度が所定値以上になると、液化塩化水素は使用できない場合もある。一方最近の産業の高度化やコスト削減運動の展開により、容器内のガス使用効率を向上させることが要求されており、高圧ガス容器内の水分汚染源を極力排除することが望まれている。
【0009】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、液化塩素を充填する高圧ガス容器から金属酸化物を除去する技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、充填されている液化塩化水素を使い終えた後、大気に開放された高圧ガス容器、または新品の高圧ガス容器に液化塩化水素を充填する方法において、
高圧ガス容器に液化塩化水素を充填する充填工程と、
続いて前記高圧ガス容器内部の金属酸化物と前記液化塩化水素とを反応させて水を生成させる反応工程と、
続いて前記反応工程にて生成した水を含む液化塩化水素を当該高圧ガス容器から排出して廃棄する排出工程と、
その後、前記高圧ガス容器を大気に開放せずに、当該高圧ガス容器に液化塩化水素を充填する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
ここで前記反応工程は、前記液化塩化水素が充填された高圧ガス容器を所定温度例えば高圧ガス容器の内部温度を30℃以上50℃以下に調整しながら行うことが望ましく、この場合例えば前記液化塩化水素が充填された高圧ガス容器の外表面を加熱手段で被覆することにより、前記高圧ガス容器の内部温度が前記所定温度に調整される。また前記排出工程は、前記高圧ガス容器のガス流路に排気手段を接続して、前記ガス流路を減圧しながら、前記反応工程にて生成した水を含む液化塩化水素を吸引排気することが望ましい。
【0012】
このような方法では、反応工程にて高圧ガス容器内部の金属酸化物例えば鉄酸化物と塩化水素とを反応させて水を生成させ、次いでこの水を排出工程にて塩化水素と共に高圧ガス容器から排出して高圧ガス容器のガス流路を閉じているので、高圧ガス容器の内部の金属酸化物が塩化水素との反応に使い尽くされ、これにより当該金属酸化物を十分に除去することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明方法が実施される装置の一実施の形態を示す構成図である。図中Gは本発明方法が適用される高圧ガス容器であり、この高圧ガス容器Gは例えば材料として鉄が用いられるガス容器本体2の開口部にパックタイプなどと呼ばれる容器弁1を備えている。前記容器弁1は内部に図中点線で示すL字型のガス流路10を備えており、このガス流路10はハンドル21により開閉されるようになっている。
【0014】
図中3(3A,3B)はガス容器本体2の外周囲に巻回される加熱手段をなす加温ベルトである。この加温ベルトは、例えばゴム材等の弾性体の中に例えば抵抗発熱体等の加熱源を埋設して構成されており、前記加熱源への電力供給量を調整することにより、ガス容器本体2の内部が所定の温度に加熱されるようになっている。この例では、例えば内径が約800mm程度,長さが約1900mm程度の大きさの500kg容器に対して処理を行う場合、幅が約400mm、厚みが約3mm程度の大きさの加温ベルトにより、容器Gの長さ方向の2カ所の位置が巻回されている。
【0015】
このように加温ベルト3で巻回された容器の外周囲には、さらにアスベストよりなり、厚さが約50mm程度の断熱シート4が、例えば容器Gの長さ方向の大部分を覆うように設けられている。
【0016】
またガス容器本体2の加温ベルト3で覆われていない部位には、例えば熱電対よりなる温度検出手段をなす温度センサ41が取り付けられている。図中42は加温ベルト3の電源部、43は温度調整部であり、例えば前記温度検出手段41からの検出値に基づいて温度調整部42にて加温ベルト3への電力供給量を調整し、これにより加温ベルト3の温度調整が行われ、容器Gの内部温度が所定温度例えば30℃〜50℃の温度になるように制御されている。
【0017】
このような高圧ガス容器Gでは、ガス流路10のガス容器本体2との接続端の他端側に設けられているアウトレットキャップ(図示せず)を外し、この他端側開口と配管とを連通させてガス容器本体2からの液化塩化水素及び塩化水素の排出及び高圧ガス容器Gへの液化塩化水素の充填を行うが、図2中5は塩化水素の供給及び排出を行うための配管であり、この一端側の開口部は前記容器弁1の他端側開口に接続されている。51は接続部である。また前記配管5の他端側はバルブV1を介して塩化水素供給源52に接続されており、配管5の途中にはバルブV2を介して例えばエジェクタよりなる排気手段53が接続されている。
【0018】
続いて上述の装置にて実施される本発明方法について説明する。先ず不純物である金属酸化物例えば鉄酸化物を除去しようとする高圧ガス容器Gに対し、充填対象となる液化塩化水素例えば例えば水分濃度が0.5w/wppm以下の無水液化塩化水素を充填する。つまり容器弁1のアウトレットキャップを外し、他端側開口を液化塩化水素供給源又は液化塩化水素供給用配管に接続して、ガス流路10を開き(容器弁1を開き)、当該ガス流路10を介して容器G内に液化塩化水素を充填する。容器G内に液化塩化水素を充填した後は、例えばガス流路10を閉じ(容器弁1を閉じ)、高圧ガス容器Gを液化塩化水素供給源又は液化塩化水素用配管から取り外して、アウトレットキャップを取り付ける。
【0019】
この際液化塩化水素の充填は、高圧ガス容器Gを前記配管5に接続して、塩化水素供給源52により行ってもよいし、別の液化塩化水素供給源又は液化塩化水素供給用配管により行ってもよい。また前記高圧ガス容器Gとしては、新規に購入した新品容器や、一旦容器弁を外して解放された容器及び顧客から返還された戻り容器などが対象となる。
【0020】
次いで図に示すように、前記高圧ガス容器Gの外表面に温度センサ41を取り付けると共に、この容器Gの外周囲を加温ベルト3で巻回し、さらにこの加温ベルト3の上を保温シート4で被覆する。そして温度センサ41の検出値に基づいて温度調整部43で加温ベルト3への電力供給量を調整しながら高圧ガス容器Gの内部温度が所定の温度例えば30℃〜50℃になるように加熱する。
【0021】
ここで前記温度範囲は、温度が低過ぎると後述する鉄酸化物と塩化水素との反応の進行が遅く、また温度が高過ぎると許容限界温度が70℃以下の容器弁1に設けられている安全栓が溶解したり、また高圧ガス容器Gの温度が上がると内圧が上昇し、破壊するおそれがあることから、前記鉄酸化物と塩化水素との反応の進行を促進し、かつこ前記安全栓が正常に作動する温度を検討して設定され、種々の実験を行った結果前記温度範囲は高圧ガス容器Gの内部温度が30℃〜50℃であることが好ましいことが認められた。
【0022】
ここで温度センサ41では高圧ガス容器Gの外表面の温度を測定しているが、この例では予め得た容器の外表面と内部の温度との相関データにより、高圧ガス容器Gの内部温度が前記所定温度である30℃〜50℃となるように制御されている。
【0023】
このように高圧ガス容器Gを加熱すると、容器Gの内部では、次式に示すような、容器Gの内壁に不純物として生成する鉄酸化物と塩化水素との反応が促進され、水(H2O)と塩化鉄(FeCl2)とが生成する。この反応により生成した水は、液化塩化水素との相互作用で液化塩化水素中に移行して行き、当該液化塩化水素内に溶解するので、液化塩化水素の水分濃度は高くなり、5.0w/wppm程度となる。一方塩化鉄はそのまま容器内に残査として残る。
FeO + 2HCl → FeCl2 + H2O
こうして高圧ガス容器Gを所定時間例えば3〜4日程度加温して上述の鉄酸化物と塩化水素とを十分に反応させた後、前記水と塩化鉄とを含む塩化水素を高圧ガス容器Gから除去する。つまり当該ガス容器Gを接続部51を介して配管5に接続する。そしてバルブV2を開いて排気手段53により、配管5内が所定圧力例えば大気圧−20cmHgになるように排気した状態で、ガス流路10を開く。これにより高圧ガス容器G内の水と塩化鉄とを含む塩化水素は、排気手段53により吸引され、廃棄される。
【0024】
このようにして水分等の不純物を含む塩化水素を高圧ガス容器Gから完全に吸引除去し、これにより高圧ガス容器G内の鉄酸化物を除去した後、前記ガス流路10を閉じる。そしてバルブV2を閉じてから当該容器Gを配管5から取り外して、当該ガス容器Gにアウトレットキャップを取り付ける。
【0025】
このような高圧ガス容器Gの不純物除去方法では、容器Gを所定温度に調整することにより、当該容器Gの内壁に生成した鉄酸化物を塩化水素と強制的に反応させて水と塩化鉄を生成させ、この際鉄酸化物を塩化水素との反応に使い尽くさせて、前記水等の反応生成物を含んだ塩化水素を除去しているので、後述の実験例より明らかなように、高圧ガス容器Gの内部の鉄酸化物を十分に除去することができる。
【0026】
またこのようにして鉄酸化物が除去された高圧ガス容器Gに液化塩化水素を充填する場合は、次のようにして行われる。つまり既述のように水分等の不純物を含む塩化水素を高圧ガス容器Gから完全に吸引除去した後、バルブV2を閉じ、バルブV1を開いて塩化水素供給源52により、ガス流路10を介してガス容器本体2内に前記液化塩化水素を所定量充填する。そしてガス流路10を閉じ、バルブV1を閉じてから、高圧ガス容器Gを配管5から外し、アウトレットキャップを取り付ける。このようにして上述の例では、高圧ガス容器Gを大気中に開放させずに、当該容器G内に所定の無水液化塩化水素が充填される。
【0027】
このように高圧ガス容器Gに無水液化塩化水素を充填すると、高圧ガス容器Gは内部に生成した鉄酸化物が塩化水素との反応により除去されてから大気中に開放されないので、新たに容器G内壁が大気により酸化されることがなく、このため容器Gの内壁に鉄酸化物が新たに生成することがない。これにより鉄酸化物と塩化水素との反応により生成する水の発生が抑えられ、後述の実験例より明らかなように、容器G内の無水液化塩化水素中の水分濃度を極めて低くすることができる。このため高圧ガス容器G内の無水液化塩化水素の水分濃度が高まるおそれがなく、使用者に使い初めから使い終わりまで水分濃度の極めて低い無水液化塩化水素を提供することができ、ガスの使用効率が向上する。
【0028】
また高圧ガス容器Gのガス流路10にガス排気用の配管を接続し、この配管を介して液化塩化水素及び塩化水素の排出を行った後、ガス流路10を閉じ、高圧容器Gを配管から外すようにしてもよい。またガス流路10にガス充填用の配管を接続し、この配管を介して無水液化塩化水素の充填を行った後、ガス流路10を閉じるようにしてもよく、この場合においても高圧ガス容器Gを開放させずに塩化水素を放出し、充填することができる。
【0029】
続いて本発明が適用される高圧ガス容器の他の例について図2に基づいて説明する。この容器は500kg容器であって、図中60は例えば両端が閉じられた略円筒状のガス容器本体である。このガス容器本体60は長さ方向が略水平に配置されており、容器の内部では塩化水素は液相(下方側)と気相(上方側)との2相に分かれて存在するようになっている。このようなガス容器本体60の一端側に第1のガス流路61と第2のガス流路62とが、第1のガス流路61を上側にして設けられると共に、例えば上述の実施の形態と同様に鉛からなる合金等により構成され、70℃程度の温度で溶解する可溶栓63aが設けられている。
【0030】
これらガス流路61,62はガス容器本体60の外側において夫々バルブV3,V4を備えており、これらバルブV3,V4の先の部分を配管とを連通させてガス容器本体60からの液化塩化水素及び塩化水素の排出及び高圧ガス容器Gへの液化塩化水素の充填が行われる。
【0031】
またこれらガス流路61,62はガス容器本体60の内部では夫々サイフォン管61a,62aとして構成されており、第1のサイフォン管61aは、当該サイフォン管61aの先端側(バルブV3と反対側)が容器内の気相に接続されるように容器の内壁に沿って上方側に向かい、第2のサイフォン管62aは、当該サイフォン管62aの先端側(バルブV4と反対側)が容器内の液相に接続されるように容器の内壁に沿って下方側に向かうように夫々延びている。
【0032】
またガス容器本体60の他端側には、例えば鉛からなる合金等により構成され、70℃程度の温度で溶解する可溶栓63bと盲栓64とが設けられている。
【0033】
このような高圧ガス容器では、例えば図3に示すように、液化塩化水素及び塩化水素の排出及び充填を行うための配管7と接続される。つまり配管7の一端側は分岐して夫々第1のガス流路61と第2のガス流路62に接続されている。71a,71bは接続部である。また前記配管7の他端側はバルブV5を介して塩化水素供給源72に接続されており、配管7のバルブV5と第1のガス流路61との接続部71aとの間には、バルブV6を介して例えばエジェクタよりなる排気手段73が接続されている。
【0034】
このような高圧ガス容器では、先ず例えば水分濃度が0.5w/wppm以下の無水液化塩化水素を充填し、上述の実施の形態と同様に、前記高圧ガス容器Gの内部温度が所定の温度例えば30℃〜50℃になるように加熱して、容器の内壁に不純物として生成する鉄酸化物と塩化水素とを反応させた後、生成した水と塩化鉄とを含む塩化水素を高圧ガス容器から除去する。つまり当該容器に配管7を接続して、先ずバルブV3,V6を開いて排気手段73により第1のガス流路61を介して容器内の水と塩化鉄とを含む塩化水素を吸引して除去する。
【0035】
こうして水分等の不純物を含む塩化水素を高圧ガス容器から完全に吸引除去した後、バルブV6を閉じ、バルブV3,V4,V5を開いて塩化水素供給源72により、第1及び第2のガス流路61,62を介してガス容器本体60内に無水液化塩化水素を所定量充填する。そしてバルブV3,V4,V5を閉じてから、配管7から外す。このようにして上述の例では、高圧ガス容器を大気中に開放させずに、当該容器内に所定の無水液化塩化水素が充填される。
【0036】
このような高圧ガス容器に対しても、容器の内壁に生成した鉄酸化物を塩化水素と強制的に十分に反応させて水と塩化鉄を生成させ、これらを含んだ塩化水素を除去しているので、高圧ガス容器内の鉄酸化物が塩化水素との反応に使い尽くされ、十分に除去することができる。また上述のように鉄酸化物が除去された容器を大気中に開放させずに、新たに無水液化塩化水素を充填するようにすれば、容器内の無水液化塩化水素中の水分濃度を極めて低くすることができる。
【0037】
この例においても、第1のガス流路61のみを配管7に接続して、バルブV3,V6を開いて排気手段73により、水分等の不純物を含む塩化水素を高圧ガス容器から完全に吸引除去した後、バルブV3,V6を閉じて、配管7から外して、高圧ガス容器内の鉄酸化物の除去のみを行うようにしてもよい。
【0038】
またこの例では、第1のガス流路61は塩化水素の放出だけに用い、塩化水素の充填は第2のガス流路62をのみを用いて行うようにしてもよい。また先ず第1のガス流路61にガス排気用の配管を接続し、この配管を介して塩化水素の放出を行った後、当該ガス流路61を閉じ、次いで第1及び/又は第2のガス流路61,62にガス充填用の配管を接続し、この配管を介して塩化水素の充填を行った後、これらガス流路を閉じるようにしてもよく、この場合においても高圧ガス容器を開放させずに塩化水素を放出し、充填することができる。
【0039】
【実施例1】
図2に示す500kg高圧ガス容器に、無水液化塩化水素を充填し、容器内温度を30℃に制御しながら、液化塩化水素中の水分濃度を近赤外分光光度法で分析した結果を図4に示す。容器内温度を50℃に制御した場合において同様の実験を行った結果も図4に合わせて示す。
【0040】
これらの結果より、加温前の塩化水素の水分濃度は0.5w/wppm未満であったのに対し、加温後は前記水分濃度が1週間後には5.0w/wppm(30℃の場合)、4日後には5.0w/wppm(50℃の場合)であったことから、前記高圧ガス容器を加温することにより、容器中の鉄酸化物と塩化水素との反応が促進されて水が生成し、この水が塩化水素中に溶解していることが認められた
【0041】
【実施例2】
実施例1の2日(48時間)経過後の高圧ガス容器内の液化塩化水素を所定量放出し、この塩化水素ガス中の水分を露点測定にて求めたところ、図5に示す結果が得られた。ここで残量400kgとは、容器中の液化塩化水素量が400kgとなるまで塩化水素を放出したことを示している。
【0042】
これらの結果により、容器中の液化塩化水素量が少なくなるにつれて、当該塩化水素の水分濃度が高くなることが認められ、高圧ガス容器から液化塩化水素を放出していくと、容器内に残存する塩化水素に水分が濃縮されることが理解される。
【0043】
【実施例3】
実施例2の高圧ガス容器内の液化塩化水素の残量を全て吸引排気し、ここに容器を開放させずに、無水液化塩化水素を新たに充填し、液化塩化水素中の水分濃度を近赤外分光光度法で分析した結果と、容器を容器内温度を30℃、50℃に夫々制御しながら、液化塩化水素中の水分濃度を近赤外分光光度法で分析した結果を図6に示す。さらにまた2日(48時間)経過後の容器内の液化塩化水素を所定量放出し、この塩化水素ガス中の水分を露点測定にて分析した結果を図7に示す。
【0044】
図6の結果より、塩化水素の水分濃度は高圧ガス容器の加温の前後で変わらないことから、実施例1〜3を行うことにより、前記高圧ガス容器内の、水分発生源となる鉄酸化物が十分除去されて、水分の発生が抑えられていることが認められた。また図7の結果により、残量が200kgまでは容器中の液化塩化水素量が少なくなっても当該塩化水素の水分濃度は変わらないことが認められ、使い初めからほぼ使い終わりまで水分濃度の低い塩化水素ガスを放出できることが理解される。また容器内温度を50℃に制御した場合においても、可溶栓の状態は変化ないことから、この温度範囲では容器弁の安全性を確保できることが確認された。
【0045】
以上において本発明は、容器材料に鉄が用いられる高圧ガス容器の他、クロム、モリブデン、マンガン等の酸化物が塩化水素と反応して水を生成するという性質を有する金属を容器材料に用いる高圧ガス容器に対しても適用でき、本発明により高圧ガス容器の酸化により生成するこれらの金属酸化物も十分に除去できる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように高圧ガス容器に付着する鉄酸化物を塩化水素と強制的に反応させて水を生成させ、この生成した水を含む塩化水素を高圧ガス容器から吸引することにより除去しているので、高圧ガス容器内の不純物を十分に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための高圧ガス容器の不純物除去装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明方法が適用される高圧ガス容器の例を示す断面図である。
【図3】本発明方法が適用される高圧ガス容器の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明方法の効果を確認するために行った実験例の結果を示す特性図である。
【図5】本発明方法の効果を確認するために行った実験例の結果を示す特性図である。
【図6】本発明方法の効果を確認するために行った実験例の結果を示す特性図である。
【図7】本発明方法の効果を確認するために行った実験例の結果を示す特性図である。
【符号の説明】
G 高圧ガス容器
1 容器弁
10 ガス流路
2 ガス容器本体
22 ハンドル
3 加温ベルト
4 断熱シート
41 温度センサ
43 温度調整部
5,7 配管
52,72 塩化水素供給源
53,73 排気手段
61 第1のガス流路
62 第2のガス流路

Claims (5)

  1. 充填されている液化塩化水素を使い終えた後、大気に開放された高圧ガス容器、または新品の高圧ガス容器に液化塩化水素を充填する方法において、
    高圧ガス容器に液化塩化水素を充填する充填工程と、
    続いて前記高圧ガス容器内部の金属酸化物と前記液化塩化水素とを反応させて水を生成させる反応工程と、
    続いて前記反応工程にて生成した水を含む液化塩化水素を当該高圧ガス容器から排出して廃棄する排出工程と、
    その後、前記高圧ガス容器を大気に開放せずに、当該高圧ガス容器に液化塩化水素を充填する工程と、を含むことを特徴とする高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法。
  2. 前記反応工程は、前記液化塩化水素が充填された高圧ガス容器の内部温度を30℃以上50℃以下に調整して行うことを特徴とする請求項1記載の高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法。
  3. 前記反応工程は、前記液化塩化水素が充填された高圧ガス容器の外表面を加熱手段で被覆することにより、前記高圧ガス容器の内部温度を30℃以上50℃以下に調整することを特徴とする請求項2記載の高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法。
  4. 排気手段と液化塩化水素供給源とが接続されたガス流路を高圧ガス容器に接続し、このガス流路を介して排気手段により排出工程を行った後、バルブを切り換えて液化塩化水素供給源により液化塩化水素を充填する工程を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法。
  5. 前記金属酸化物は、鉄酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸化物、マンガン酸化物の何れかであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法。
JP2000241375A 2000-08-09 2000-08-09 高圧ガス容器への液化塩化水素の充填方法 Expired - Lifetime JP3920544B2 (ja)

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