JP3919490B2 - 真空排気システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空排気システム、特に半導体製造装置等の真空チャンバを真空に排気するために用いる真空排気システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の真空排気システムを示すもので、例えば、エッチング装置や化学気相成長装置(CVD)等の半導体製造工程に用いる真空チャンバ210を排気するために使用される。図6に示すように、この真空チャンバ210は、配管212を通じて真空ポンプ220に接続されている。真空ポンプ220は、真空チャンバ210からのプロセスの排ガスを大気圧まで昇圧するためのもので、以前は油回転式ポンプが、現在はドライポンプが主に使用されている。
【0003】
真空チャンバ210が必要とする真空度が真空ポンプ220の到達真空度よりも高い場合には、真空ポンプ220の上流側に更にターボ分子ポンプ等の超高真空ポンプが配置されることがあり、また、プロセスの排ガスの種類により、そのまま大気に放出できない場合には、排気配管230に排ガス処理装置が配備される。
【0004】
ポンプの始動時や大気導入時に大量のガスが流れた場合には、真空ポンプ220の背圧が上昇し、その結果、過負荷となって運転不能に陥ってしまうおそれがある。これを防止するため、従来から、真空ポンプ220の下流側の排気配管230に圧力センサ250を設置して真空ポンプ220の圧力を監視することがなされている。
【0005】
ところで、このような真空排気システムにおいては、反応副生成物の中に昇華温度の高い物質がある場合、その反応副生成物を含んだガスをドライ真空ポンプが排気するので、昇圧途中でガスが固形化しドライ真空ポンプ中に析出して、ドライ真空ポンプの故障の原因になる欠点がある。
【0006】
例えば、アルミニウムのエッチングを行うために、代表的なプロセスガスであるBCl3,Cl2を使用すると、プロセスチャンバからは、BCl3,Cl2のプロセスガスの残ガスとAlCl3の反応副生成物がドライ真空ポンプにより排気される。このうち、AlCl3は、ドライ真空ポンプの吸気側では分圧が低いので析出しないが、加圧排気する途中で分圧が上昇し、ドライ真空ポンプ内で析出してポンプ内壁に付着し、ドライ真空ポンプの故障の原因となる。これは、SiNの成膜を行うCVD装置から生じる(NH4)2SiF6やNH4Cl等の反応副生成物の場合も同様である。
【0007】
この問題に対して、ドライ真空ポンプ全体を加熱してドライ真空ポンプ内部で固形化物質が析出しないようにし、ガスの状態でドライ真空ポンプを通過させる等の対策がなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、ドライ真空ポンプ全体を加熱してドライ真空ポンプ220の内部で固形化物質が析出しないようにしても、その結果として、ドライ真空ポンプ220の下流側の排気配管230で固形化物質が析出するという問題がある。
【0009】
上述した圧力センサ250は、排気配管230に直接取付けられているため、反応副生成物が圧力センサ250のダイアフラム面に固着する場合がある。このように圧力センサ250のダイアフラム面に反応副生成物が固着すると、圧力センサ250が誤作動して圧力上昇を検知することが考えられる。このような場合には、半導体製造装置などのシステム全体を停止する必要が生じ、これにより歩留まりが低下し、システムの稼働率が下がってしまう。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、圧力センサの誤動作によるシステムの停止を防止し、歩留まりを向上して稼働率を上げることができる真空排気システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような従来技術における問題点を解決するために、本発明の一態様は、真空チャンバに接続された真空ポンプと、ガス供給源からのパージガスを上記真空ポンプの排気配管に導入するパージガス導入配管と、上記パージガス導入配管に設置された圧力センサとを備えたことを特徴とする真空排気システムである。この場合において、上記パージガス導入配管を介して導入されるパージガスの流量を上記排気配管を介して上記真空ポンプにより排気されるガスの流量よりも多くする。あるいは、上記パージガス導入配管を介して導入されるパージガスの圧力を上記排気配管を介して上記真空ポンプにより排気されるガスの圧力よりも高くする。
【0012】
このような構成により、真空ポンプからの排気ガスがパージガス導入配管に流れ込むことがなくなるので、反応副生成物が圧力センサのダイアフラム面に固着することがなくなる。従って、圧力センサの誤動作によるシステムの停止を防止することができるので、歩留まりを向上し、システムの稼働率を上げることが可能となる。
【0013】
好ましくは、上記圧力センサと上記パージガス導入配管との間にバルブを設ける。上記圧力センサを交換する必要が生じた場合には、このバルブを閉じることによって、システム全体を停止することなく、システムのメンテナンスを行うことができる。このようにシステム全体を停止することなく、システムのメンテナンスを行うことができるので、歩留まりを向上し、稼働率を上げることが可能となる。
【0014】
また、上記圧力センサを上記パージガス導入配管の中心よりも上方の位置に設置するのが好ましい。圧力センサをパージガス導入配管の中心よりも上方の位置に配置すれば、たとえ真空ポンプからの排気ガスがパージガス導入配管に流れ込んで固着したとしても、固着した反応副生成物は自身の重力により落下するので、圧力センサに反応副生成物が固着しにくい構造とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る真空排気システムの一実施形態について図1を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態における真空排気システムを示す概略図である。
【0016】
真空チャンバ10は、例えばエッチング装置や化学気相成長装置(CVD)等の半導体製造工程に用いるプロセスチャンバである。この真空チャンバ10は、配管12を通じてドライ真空ポンプ20に接続されている。ドライ真空ポンプ20は、真空チャンバ10からのプロセスの排ガスを大気圧に昇圧するためのものである。なお、真空チャンバ10が必要とする真空度がドライ真空ポンプ20の到達真空度よりも高い場合には、ドライ真空ポンプ20の上流側に更にターボ分子ポンプなどの超高真空ポンプが配置される。
【0017】
真空ポンプ20は駆動用のモータ22を有しており、このモータ22としては、例えばインバータ(周波数変換回路)などの回転数制御部24を有する直流モータが使用され、好ましくはブラシレス直流モータが使用される。
【0018】
ドライ真空ポンプ20の下流側には排気配管30が接続されている。この排気配管30の途中には、ガス供給源40からのパージガス導入配管42が合流している。これによって、ガス供給源40からパージガス導入配管42を通って排気配管30にN2などの不活性ガスや空気が導入される。
【0019】
パージガス導入配管42には、パージガス導入配管42の内部の圧力、即ち真空ポンプ20の背圧を常時検知する圧力センサ50が取付けられている。圧力センサ50からの出力信号はモータ22の回転数制御部24に入力され、検知された真空ポンプ20の圧力に応じて真空ポンプ20の回転数が制御される。
【0020】
ここで、パージガス導入配管42を流れるパージガスの流量vpは、真空ポンプ20によって排気されるガスの流量vdよりも大きくなっている。このようにvp>vdとすることで、真空ポンプ20からの排気ガスがパージガス導入配管42に流れ込むことがなくなるので、上述した反応副生成物が圧力センサ50のダイアフラム面に固着することもなくなる。従って、圧力センサ50の誤動作によるシステムの停止を防止することができるので、歩留まりを向上し、システムの稼働率を上げることが可能となる。
【0021】
上述したように、本実施形態では、パージガス導入配管42を流れるパージガスの流量を真空ポンプ20によって排気されるガスの流量よりも多くしているが、圧力の観点からも同様に考えることができる。即ち、パージガス導入配管42を流れるパージガスの圧力を真空ポンプ20によって排気されるガスの圧力よりも高くすれば、真空ポンプ20からの排気ガスがパージガス導入配管42に流れ込むことがなくなり、反応副生成物が圧力センサ50のダイアフラム面に固着することを防止することができる。
【0022】
また、圧力センサ50とパージガス導入配管42との間にはバルブ52が設けられている。圧力センサ50を交換する必要が生じた場合には、このバルブ52を閉じることによって、システム全体を停止することなく、システムのメンテナンスを行うことができる。従って、歩留まりを向上し、稼働率を上げることが可能となる。
【0023】
図1に示す例では、圧力センサ50がパージガス導入配管42の下側(配管中心よりも下方の位置)に配置されているが、圧力センサ50をパージガス導入配管42の上側(配管中心よりも上方の位置)に配置できることは言うまでもない。図2に示すように、圧力センサ50をパージガス導入配管42の配管中心よりも上方の位置に配置すれば、たとえ真空ポンプ20からの排気ガスがパージガス導入配管42に流れ込んで固着したとしても、固着した反応副生成物は自身の重力により落下するので、圧力センサに反応副生成物が固着しにくい構造とすることができる。即ち、図3に示すように、パージガス導入配管42の中心Oを通る水平線Hよりも上側の配管面に圧力センサ50を取付ければ、固着した反応副生成物は自身の重力により落下するので、圧力センサに反応副生成物が固着しにくい構造とすることができる。例えば、圧力センサ50を図3のA,B,Cのいずれの位置に取付けてもよく、好ましくは圧力センサ50のダイアフラム面が下方を向いているのがよい。
【0024】
また、図4に示すように、反応副生成物がある程度の粒径を持っている場合には、排気配管130に直接圧力センサ150を取付け、この排気配管130の取付部分にフィルタ54を設置してもよい。このフィルタ54により反応副生成物が圧力センサ50のダイアフラム面に固着することが防止される。なお、この場合においても、図5に示すように、圧力センサ150のダイアフラム面を下方に向けるのが好ましい。
【0025】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、真空ポンプからの排気ガスがパージガス導入配管に流れ込むことがなくなるので、反応副生成物が圧力センサのダイアフラム面に固着することがなくなる。従って、圧力センサの誤動作によるシステムの停止を防止することができるので、歩留まりを向上し、システムの稼働率を上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における真空排気システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態における真空排気システムの全体構成を示す図である。
【図3】本発明に係る真空排気システムにおける圧力センサの取付位置を説明する図である。
【図4】 真空排気システムの参考例を示す図である。
【図5】 真空排気システムの参考例を示す図である。
【図6】従来の真空排気システムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
10 真空チャンバ
12 配管
20 ドライ真空ポンプ
22 モータ
24 回転数制御部
30、130 排気配管
40 ガス供給源
42 パージガス導入配管
50、150 圧力センサ
52 バルブ
54 フィルタ
Claims (6)
- 真空チャンバに接続された真空ポンプと、
ガス供給源からのパージガスを前記真空ポンプの排気配管に導入するパージガス導入配管と、
前記パージガス導入配管に設置された圧力センサとを備えたことを特徴とする真空排気システム。 - 前記パージガス導入配管を介して導入されるパージガスの流量が前記排気配管を介して前記真空ポンプにより排気されるガスの流量よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の真空排気システム。
- 前記パージガス導入配管を介して導入されるパージガスの圧力が前記排気配管を介して前記真空ポンプにより排気されるガスの圧力よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の真空排気システム。
- 前記圧力センサと前記パージガス導入配管との間にバルブを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の真空排気システム。
- 前記圧力センサを前記パージガス導入配管の中心よりも上方の位置に配置したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の真空排気システム。
- 前記圧力センサのダイアフラム面を下方に向けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の真空排気システム。
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