JP3919251B2 - ジシアノピラジン誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光学記録材料、光電変換材料等として有用なテトラピラジノポルフィラジン類の合成原料、蛍光色素あるいは農医薬又はその中間体等として有用なジシアノピラジン誘導体およびその製造方法である。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は農医薬あるいはその中間体、光学記録材料や光電変換材料等の合成原料あるいは蛍光色素等として有用な新規なジシアノピラジン誘導体を提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は一般式[I]
【0004】
【化8】
【0005】
[式中、Y、Zは同一又は相異なって、CH2 X(Xはハロゲン原子を示す。)、CH2 P(R1)3・X(R1 は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を示す。)、CH=P(R1)3(R1 は前記と同じ意味を示す。)、またはCH=CR2 R3 (R2 、R3 は同一又は相異なって、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基を示す。)を示す。]で表される化合物及びその製造方法である。
本発明の化合物は、1,4−ジハロゲノ−2,3−ブタンジオンと2,3−ジアミノマレオニトリル(以下DAMNと略記する。)を反応させて得られる5,6−ビス(ハロゲノメチル)−2,3−ピラジンジカルボニトリル誘導体を用いて、ウィッティッヒ反応(Wittig反応)を行うことにより容易に製造することができる。
【0006】
【従来の技術】
2,3−ジアミノピラジン誘導体はこれまで数多くの化合物が合成されている。例えば、5位がアルキルアミノ基あるいはフェニルチオ基で置換された化合物は殺菌活性が見出されており、ビニルピラジン誘導体には結核菌に対し活性を有するものがあることが知られている(例えば2−[2−[5−ニトロ−2−フリル) ビニル]キノキサリン誘導体、特公昭43−4356、特公昭44−4785)。
【0007】
【化9】
【0008】
一方、5、6位がアルキル基、アリール基で置換された化合物は光学記録材料、光電変換材料として有用なテトラピラジノポルフィラジンの合成原料として利用されている(US 4,054,655、US 805,150、日本化学会誌 1990 (No. 2) 219〜224 、特開昭 64-34791 等)。
【0009】
【化10】
【0010】
また、最近では5,6−ジクロロ−2,3−ピラジンジカルボニトリルとエナミンあるいは3級アミンからβ−アミノビニル基を有するジシアノピラジン誘導体の製造法が報告されている(特開平6-65213 、J. Heterocycl. Chem., (1993), 30(6), 1571-5 )。
【0011】
【化11】
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明化合物のうち、一般式[Ia]
【0013】
【化12】
【0014】
[式中、Xは前記と同じ意味を示す。]で表される化合物は、式: XCH2 COCOCH2 X(Xは前記と同じ意味を示す。)で表されるジケトン類とDAMNを、適当な溶媒中、0℃から溶媒の沸点の温度で反応させることにより製造する。用いられる溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール類、アセトニトリル、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド(DMAC)やN−メチルピロリジノン(NMP)等のアミド系の溶媒等が使用でき、又これらは混合して用いてもよい。
【0015】
一般式[Ib]
【0016】
【化13】
【0017】
[式中、R1 とXは前記と同じ意味を示す。]で表されるホスホニウム塩は、前記の如くして得られた一般式[Ia]で表されるジシアノピラジン誘導体と式:P(R1)3 (R1 は前記と同じ意味を示す。)で表されるホスフィン化合物とを、適当な溶媒中、0℃から溶媒の沸点の温度で反応させることにより製造する。溶媒としてはベンゼンやトルエンやキシレン等の炭化水素類、ニトロメタン、ギ酸や酢酸等のカルボン酸、酢酸エチル等のエステル類、メタノールやエタノール等のアルコール類、アセトンや2−ブタノン(MEK)やシクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)等が使用でき、これらは混合して用いてもよい。
【0018】
一般式[Ic]、[Id]及び[Ie]
【0019】
【化14】
【0020】
[式中、R1 、R2 、R3 は前記と同じ意味を示す。]で表される化合物の製造にあたっては、前記の如くして得られたホスホニウム塩[Ib]に塩基を作用させてホスホラン化合物[Ic]とし、次いで式:R2 COR3 (R2 、R3 は前記と同じ意味を示す。)で表されるカルボニル化合物を反応させる。反応は、適当な溶媒中、塩基存在下に−78℃から溶媒の沸点の温度で、必要によっては窒素ガスあるいはアルゴンガス雰囲気下で行われる。用いられる溶媒としては水、メタノールやエタノール等のアルコール類、エチルエーテルや1,2−ジメトキシエタン(DME)やTHF等のエーテル類、ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ニトロメタン、ベンゼンやトルエンやキシレン等の炭化水素類、DMF、DMAC、NMP等のアミド系の溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が使用でき、これらは混合して用いてもよい。塩基としては炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシドやカリウムtert- ブトキシド等のアルコキシド類、n-ブチルリチウムやtert- ブチルリチウムやリチウムジイソプロピルアミド等のリチウム塩、トリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン等のアミン類あるいはピリジン等が使用できる。
【0021】
尚、ホスホニウム塩からオレフィンを製造する反応は、ホスホニウム塩に塩基を作用させホスホランを製造する工程と、次にホスホランにカルボニル化合物を作用させオレフィンを製造する工程の2工程からなるが、これらの工程は前記のように1段階にまとめて行うことができる。
反応終了後は通常の処理を行うことにより目的物を得ることができる。
【0022】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を説明する。
化合物の構造は、IR、NMR、Mass及び元素分析により同定した。
実施例1(化合物番号1)
【0023】
【化15】
【0024】
1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオン6.11g(25mmol)と2,3−ジアミノマレオニトリル(DAMN)2.7g(25mmol)のメタノール20ml溶液を調製し、1.5時間加熱還流した。溶媒を減圧下留去し、残さに水を加えクロロホルムで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、得られた結晶をベンゼンで再結晶した。減圧乾燥後、目的物4.38g(14mmol)を得た。収率56%。 示差走査熱量測定(以下、DSCと略す)をしたところ107℃(吸熱ピーク)であった。
【0025】
実施例2(化合物番号2)
【0026】
【化16】
【0027】
5,6−ビス(ブロモメチル)−2,3−ピラジンジカルボニトリル 1.26g(4.0mmol)とトリフェニルホスフィン 2.04g(7.8mmol)のDMF10ml溶液を調製し、3時間加熱還流した。ある程度放冷した後ベンゼン10mlを加え、室温まで冷却した。析出した結晶をろ別し、ベンゼンで洗浄した。減圧乾燥後、目的物0.72g(0.9mmol)を得た。収率23%。 DSCを測定したところ285℃(発熱ピーク)であった。
【0028】
実施例3(化合物番号2)
【0029】
【化17】
【0030】
5,6−ビス(ブロモメチル)−2,3−ピラジンジカルボニトリル 6.3g(20mmol)とトリフェニルホスフィン 10.2g(39mmol)のトルエン100ml溶液を調製し、10時間加熱還流した。室温に放冷した後、析出した結晶をろ別し、トルエンで洗浄した。更に沸騰したベンゼン−アセトニトリル(10:1)混合溶媒で洗浄した。減圧乾燥後、目的物7.1g(8mmol)を得た。収率40%。
【0031】
実施例4(化合物番号3)
【0032】
【化18】
【0033】
化合物番号2で示されるホスホニウム塩0.70g(0.83mmol)とp−ジメチルアミノベンズアルデヒド0.35g(2.3mmol)のDMF−エタノール(3:7)の混合溶液10mlを調製し、ナトリウムエトキシド0.14g(2.1mmol)を加えた。室温下1時間、次いで加熱還流下6時間反応を行なった。析出した結晶をろ別し、エタノール洗浄後、ベンゼンから再結晶した。減圧乾燥後、化合物番号3で示される赤蛍光を有する目的物0.36g(0.65mmol)を得た。収率78%。
【0034】
実施例5(化合物番号4)
【0035】
【化19】
【0036】
化合物番号2で示されるホスホニウム塩0.70g(0.83mmol)と4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド0.41g(2.1mmol)のDMF−エタノール(3:7)の混合溶液10mlを調製し、ナトリウムエトキシド0.14g(2.1mmol)を加えた。室温下1時間、次いで加熱還流下6時間反応を行なった。析出した結晶をろ別し、エタノール洗浄後、ベンゼン−アセトニトリルから再結晶した。減圧乾燥後、化合物番号4で示される目的物0.35g(0.59mmol)を得た。収率71%。
【0037】
実施例6(化合物番号5)
【0038】
【化20】
【0039】
化合物番号2で示されるホスホニウム塩0.70g(0.83mmol)と反応式に示したアルデヒド0.42g(2.1mmol)のDMF−エタノール(3:7)の混合溶液10mlを調製し、ナトリウムエトキシド0.14g(2.1mmol)を加えた。室温下1時間、次いで加熱環流下6時間反応を行なった。析出した結晶をろ別し、エタノール洗浄後、ベンゼンから再結晶した。減圧乾燥後、化合物番号5で示される目的物0.32g(0.53mmol)を得た。収率64%。
【0040】
実施例7(化合物番号6)
【0041】
【化21】
【0042】
化合物番号2で示されるホスホニウム塩0.70g(0.83mmol)と9−エチル−3−カルバゾールカルボアルデヒド0.47g(2.1mmol)のDMF−エタノール(3:7)の混合溶液10mlを調製し、ナトリウムエトキシド0.14g(2.1mmol)を加えた。室温下1時間、次いで加熱環流下6時間反応を行なった。析出した結晶をろ別し、エタノール洗浄した。減圧乾燥後、化合物番号6で示される赤蛍光を有する目的物0.08g(0.14mmol)を得た。収率17%。
【0043】
実施例8(化合物番号7)
【0044】
【化22】
【0045】
化合物番号2で示されるホスホニウム塩3.50g(4.16mmol)と反応式に示したアルデヒド2.19g(10.4mmol)のDMF−エタノール(3:7)の混合溶液50mlを調製し、水素化ナトリウム0.40g(16.7mmol)を加えた。室温下1時間、次いで加熱環流下6時間反応を行なった。通常の後処理をした後、シリカゲルを用いたカラムクロマトを行ない、化合物番号7で示される黄緑色の蛍光を有する目的物1.39g(2.44mmol)を得た。収率59%。
【0046】
実施例9(化合物番号8)
【0047】
【化23】
【0048】
化合物番号2で示されるホスホニウム塩0.70g(0.83mmol)と4−ブトキシベンズアルデヒド0.41g(2.3mmol)のDMF−エタノール(3:7)の混合溶液10mlを調製し、ナトリウムエトキシド0.14g(2.1mmol)を加えた。室温下1時間、次いで加熱環流下6時間反応を行なった。析出した結晶をろ別し、エタノール洗浄後、エタノール−ベンゼンから再結晶した。減圧乾燥後、化合物番号8で示される目的物0.25g(0.52mmol)を得た。収率63%。
【0049】
実施例10(化合物番号9a 〜9e )
【0050】
【化24】
【0051】
実施例9と同様にして、化合物9a 〜9e を得た。
第一表に、反応時間、収率及び蛍光色素の特性を示す。
【0052】
第一表
【0053】
【発明の効果】
本発明の新規なジシアノピラジン誘導体は、容易に製造でき、光学記録材料や光電変換材料等の合成原料あるいは蛍光色素として、また農医薬あるいはその中間体として有用である。
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- 1996-03-08 JP JP08088096A patent/JP3919251B2/ja not_active Expired - Fee Related
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