JP3918577B2 - 気圧式倍力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の液圧ブレーキ装置や液圧クラッチ装置の操作部に設置して操作力を増幅するのに用いる気圧式倍力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
気圧式倍力装置としてはバキュームブースタと俗称される真空式の倍力装置が一般的であり、この種の倍力装置は通常、操作力の入力時におけるオペレーティングロッドの往動ストロークに応動して変圧室を大気圧室に連通させるよう開く常閉の大気弁と、操作力の解除時におけるオペレーティングロッドの復動ストロークに応動して変圧室を負圧室に連通させるよう開く真空弁とを具え、変圧室の内圧と負圧室の内圧との差圧により上記の操作力を倍力してプッシュロッドより出力するよう構成するのが常套である。
【0003】
より詳しくは、大気弁および真空弁の弁体を共通な一体物とし、オペレーティングロッドと共に往復動する内周弁座およびこれに弾接された上記の共通弁体により常閉の大気弁を構成し、プッシュロッドと共にストロークする外周弁座および上記の共通弁体により真空弁を構成する。
そして、操作力の入力でオペレーティングロッドが往動されると、当初これと共に変位する内周弁座および共通弁体のうち後者の共通弁体が外周弁座に着座して真空弁を閉じ、その後に内周弁座が共通弁体から離れて大気弁を開く。
かかる真空弁の閉弁および大気弁の開弁は、変圧室の内圧をして大気圧方向に上昇させ、変圧室と向かい合わせの負圧室と変圧室との間における差圧により操作力を倍力してプッシュロッドから出力させることができる。
【0004】
操作力の解除でオペレーティングロッドが逆に復動ストロークを行う時は、これと共に変位する内周弁座が共通弁体に着座して大気弁を閉じ、その後に内周弁座が共通弁体を同方向へ連れ動かすことで共通弁体が外周弁座から離れて真空弁を開く。
かかる大気弁の閉弁および真空弁の開弁は、変圧室の内圧をして負圧方向に低下させ、ついには変圧室の内圧をこれと向かい合わせの負圧室と同じ圧力にして倍力作用を終了することができる。
【0005】
ところで上記倍力装置にあっては、操作力の解除でオペレーティングロッドが復動ストロークを行う時に大気弁が閉じて真空弁が開くまでの間における時間遅れに起因し、操作力に対する出力荷重の関係を表した倍力特性にヒステリシスを発生させる。
このヒステリシスは、車両の液圧ブレーキ装置に倍力装置を用いた場合について説明すると、運転者がブレーキペダルを戻すに際しブレーキペダルの踏力を弱めた時、制動力の低下を遅らせることを意味し、ブレーキフィーリングを向上させるのに大いに寄与することが知られている。
このため、より良好なブレーキフィーリングを得るためには、操作力解除時における大気弁の閉弁から真空弁の開弁までの時間遅れが大きくなるように工夫して倍力特性のヒステリシスを大きくすることが重要である。
【0006】
そこで従来、例えば特開平5-58270号公報または実開平6-33769号公報に記載されているように、大気弁の閉弁時における弁体の弾性変形量が大きくなるようにして上記のヒステリシスの増大を図る提案がなされていた。
この場合、操作力入力時における倍力特性が図8に破線αで示すごときものであるのに対し、操作力解除時における倍力特性が同図に破線βで示すごときものとなり、両者間におけるヒステリシスを大きくすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の対策をした従来の倍力装置にあっては、操作力入力時における大気弁の開弁が、弁体の上記弾性変形量の増大分だけ遅れることとなり、図8に示すように今までの操作力F1よりも大きな操作力F2にならないと倍力作用が開始されず、倍力作用が開始されるまでのストロークが増大してロスストロークが増えるという問題があった。
換言すれば、ヒステリシス以外の倍力特性を犠牲にしてヒステリシスを大きくする対策であった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑み、倍力作用が開始するまでのロスストロークを含めてヒステリシス以外の性能を何ら変更することなくこれを維持したままヒステリシスの増大を実現し、これにより、液圧ブレーキ装置に用いた場合に一層良好なブレーキフィーリングが得られるようにした気圧式倍力装置を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明は、請求項1に記載のごとく、
操作力を入力されて往動し、操作力の解除により複動するオペレーティングロッドと、
このオペレーティングロッドと共に往復動するプランジャと、
このプランジャを経て前記オペレーティングロッドからの操作力を機械的に伝達されて出力するプッシュロッドと、
このプッシュロッドと共にストロークするバルブボディーと、
前記オペレーティングロッドの往動ストロークに応動して変圧室を高圧室に連通させるよう開く往動弁と、
記オペレーティングロッドの復動ストロークに応動して前記変圧室を低圧室に連通させるよう開く復動弁とを具え、
前記変圧室の内圧と前記低圧室の内圧との差圧により前記操作力を倍力してプッシュロッドから出力するようにした気圧式倍力装置において、
前記往動弁および復動弁の弁体を弾性体で共通な一体物として構成し、
この共通な弁体と、該弁体が弾接するよう前記プランジャに設定した内周弁座とにより、常閉の前記往動弁を構成し、
前記内周弁座を包囲するよう前記バルブボディーに設定した外周弁座、および、この外周弁座を包囲するよう前記バルブボディーに設定した最外周弁座と、前記共通な弁体とにより、前記複動弁を構成し、
前記共通な弁体が前記外周弁座および最外周弁座に着座した前記複動弁の閉弁時に、前記低圧室とは反対の前記共通な弁体の側に背圧室が画成されるよう構成し、
この背圧室に前記変圧室の圧力を導く連通孔を前記共通な弁体に形成し、
前記復動弁の閉弁状態で前記共通な弁体が、前記外周弁座および最外周弁座間において、前記低圧室の内圧と、前記背圧室に導かれる前記変圧室の内圧との差圧により弾性変形されるよう構成したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の効果】
かかる構成になる本発明の気圧式倍力装置によれば、復動弁の閉弁状態でその弁体が、バルブボディーに設定した外周弁座および最外周弁座間において、低圧室の内圧と、背圧室に導かれる変圧室の内圧との差圧により弾性変形されるよう構成したから、以下の作用効果を奏することができる。
【0011】
つまり、操作力の解除時に往動弁が閉じ、その後復動弁が開くことになるが、復動弁の開弁は上記弁体の弾性変形により遅延されることから、その分、操作力の解除時における往動弁の閉弁から復動弁の開弁までの時間遅れが大きくなり、倍力特性のヒステリシスを大きくし得て、液圧ブレーキ装置への適用時におけるブレーキフィーリングを要求通りに向上させることができる。
【0012】
しかも上記の対策は、操作力解除時の復動弁の開弁タイミングを遅らせるだけで、操作力の入力時における復動弁の閉弁タイミングおよび往動弁の開弁タイミングに何ら影響するものでないことから、倍力作用が開始するまでのロスストロークを含めてヒステリシス以外の性能を何ら変更することなくこれを維持したまま、液圧ブレーキ装置に用いた場合における良好なブレーキフィーリングを実現することができる。
また同様の理由から、ロスストロークとヒステリシスとの間におけるトレードオフの関係を一切考慮することなく上記の作用効果が得られるため、ヒステリシスの設定に関する自由度を高めることができる。
【0013】
また本発明においては、前記往動弁および復動弁の弁体を弾性体で共通な一体物として構成し、
この共通な弁体と、該弁体が弾接するようプランジャに設定した内周弁座とにより、常閉の前記往動弁を構成し、
前記内周弁座を包囲するよう前記バルブボディーに設定した外周弁座、および、この外周弁座を包囲するよう前記バルブボディーに設定した最外周弁座と、前記共通な弁体とにより、前記複動弁を構成し、
前記共通な弁体が前記外周弁座および最外周弁座に着座した前記複動弁の閉弁時に、前記低圧室とは反対の前記共通な弁体の側に背圧室が画成されるよう構成し、
この背圧室に前記変圧室の圧力を導く連通孔を前記共通な弁体に形成して、上記の作用効果を達成するための複動弁の閉弁時における弁体の前記弾性変形を生起させるようにする
【0014】
この場合、上記のような往動弁、複動弁を有した気圧式倍力装置に上記の背圧室および連通孔を設けるだけで前記の作用効果を達成することができると共に、背圧室に変圧室の圧力を短い連通孔により効率良く導いて弁体の弾性変形を効果的に行い得ることから、前記の作用効果を一層顕著なものにすることができる。
【0015】
本発明においては更に、前記外周弁座を包囲するよう上記バルブボディーに形成して復動弁用の最外周弁座を付加して設け、これら外周弁座および最外周弁座間において弁体の前記弾性変形を生起させるよう構成する。
この場合、弁体の弾性変形を安定に保つことができて前記の作用効果を一層確実なものにし得ると共に、弁体の取り付けに関する変更なしに最外周弁座の付加のみで上記の作用効果が奏し得られることから、倍力装置の組み立て時における弁体の組み付け性を犠牲にすることなく上記の作用効果を達成することができる。
【0017】
なお請求項 2 に記載のごとく、前記共通な弁体に設ける連通孔は複数個とし、これら連通孔を円周方向等間隔に配置するのが良い。
この場合、変圧室の圧力を効率よく前記背圧室に供給することができると共に、背圧室の圧力が弁体に均等に作用することから弁体の前記弾性変形が円周方向において均等なものとなり、前記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態になる気圧式倍力装置10の全体を示し、図2は、図1の円で囲んだ部分を拡大して示すもので、本実施の形態においては気圧式倍力装置10を以下に詳述するよう液圧ブレーキ装置用のバキュームブースタとして構成する。
【0019】
図1に示すように、気圧式倍力装置10はブースタシェル11を具え、このブースタシェル11内をダイアフラム12により2個の室13,14に区画する。
一方の室13はコネクタパイプ15を経て図示せざるエンジン吸気マニホールドまたは真空ポンプに接続することで、本発明における低圧室を構成する負圧室となし、他方の室14は後述する弁構造により内圧を制御される変圧室となす。
【0020】
ダイアフラム12にはパワーピストン16を取着し、これらダイアフラム12およびパワーピストン16の中心部にバルブボディー17を貫通して設置する。負圧室13内に露出するバルブボディー17の後端部に同軸にプッシュロッド18を突設し、このプッシュロッド18を負圧室13に貫通させてブースタシェル11より気密封止下に摺動自在に突出させる。
負圧室13内に露出するバルブボディー17の端部には更に、リターンスプリング19を作用させ、これによりバルブボディー17を図1の右方向に付勢して図示の限界位置に弾支する。
【0021】
バルブボディー17の反対側の前端部は変圧室14を貫通してブースタシェル11より気密封止下に摺動自在に突出させ、このバルブボディー前端部内にオペレーティングロッド20を挿置する。
オペレーティングロッド20の挿入端にプランジャ21を結合し、このプランジャ21を前記のプッシュロッド18に同軸に突き合わせると共に、両者間に反力発生機能を果たすリアクションスプリング22およびリアクションプレート23を介在させる。
【0022】
オペレーティングロッド20はリターンスプリング24により図1の右方向に付勢されて常態で図示の限界位置に弾支されているが、図示せざるブレーキペダルの踏み込み時に操作力Finを入力されるとき図の左方へ押し込まれるもので、操作力Finはオペレーティングロッド20からプランジャ21、リアクションスプリング22およびリアクションプレート23を順次経てプッシュロッド18に伝わり、これから出力荷重Foutを取り出して図示せざる液圧ブレーキ装置のマスターシリンダを作動させることができる。
このとき出力荷重Foutを倍力するための弁構造を、以下により図2を合わせ参照しつつ詳述する。
【0023】
オペレーティングロッド20が貫通するバルブボディー17の前端部内にポペット弁体25を配置し、このポペット弁体25を弁体支持筒26と共にゴムなどの弾性体で一体的に成形して造る。
ポペット弁体25から遠い弁体支持筒26の端部をバルブボディー17の前端部内に固着して、弁体支持筒26の内側に高圧室としての大気室27を画成し、弁体支持筒26の外側に背圧室28を画成する。
なお大気室27は、バルブボディー17の前端開口に設置したエアフィルタ29を経て大気解放とする。
【0024】
ポペット弁体25は、これとオペレーティングロッド20との間に縮設したスプリング30により図1および図2の左方に付勢して、プランジャ21に設定した環状の内周弁座31に着座させ、これらポペット弁体25および内周弁座31により往動弁としての大気弁32を構成する。
ポペット弁体25は更に、内周弁座31よりも外周に位置するようバルブボディー17内に設定した環状の外周弁座33および最外周弁座34にも着座可能とし、これらポペット弁体25、外周弁座33および最外周弁座34により復動弁としての真空弁35を構成する。
【0025】
外周弁座33および最外周弁座34間に負圧室13の内圧を導くようバルブボディー17に負圧通路36を形成し、内周弁座31の外周に変圧室14の内圧を導くようバルブボディー17に変圧通路37を形成する。
そして、内周弁座31の外周に導かれた変圧室14の内圧を背圧室28にも供給し得るようポペット弁体25に連通孔38を形成し、該連通孔38を図3に明示するごとく複数個(図示例では6個)1組としてポペット弁体25の円周方向等間隔に配置する。
【0026】
上記の構成になる気圧式倍力装置10は、図1に示すようにブースタシェル11の前面に立設したボルト39により車体ダッシュボードに取り付けて車両に装備し、オペレーティングロッド20をブレーキペダルに連結し、プッシュロッド18をブレーキマスターシリンダのピストンに突き当てて実用する。
【0027】
以下、気圧式倍力装置10の作用を図4〜図7に基づき説明するに、図4はブレーキペダルの踏み込みがない非作動時における前記弁構造の状態、図5はブレーキペダルの踏み込みがなされた倍力開始時における前記弁構造の状態、図6はブレーキペダルの踏力を保持した踏み込み保持時における前記弁構造の状態、図7はブレーキペダルを戻しているペダル戻し時における前記弁構造の状態をそれぞれ示す。
【0028】
ブレーキペダルの踏み込みがない非作動時は、図1および図2に示すようにリターンスプリング19によりバルブボディー17は図示の限界位置にあり、オペレーティングロッド20と共に変位するプランジャ21も図1および図2に示すようにリターンスプリング24により図示の限界位置にされる。
【0029】
この時バルブボディー17およびプランジャ21は図4に示すような相対位置にあって、プランジャ21が内周弁座31を介して弁体25を外周弁座33および最外周弁座34から離反させる。
よって、内周弁座31と弁体25との当接により大気弁32が閉じられ、弁体25と外周弁座33および最外周弁座34との離反により真空弁35が開かれる。
これにより、変圧室14が背圧室28と共に大気室27から遮断され、負圧室13に連通されており、変圧室14および背圧室28の内圧が負圧室13の内圧と同じ圧力に低下されている。
従って、図1におけるダイアフラム12の右側に位置する変圧室14の内圧が左側における負圧室13の内圧と同じにされ、ダイアフラム12はバルブボディー17およびプッシュロッド18と共にリターンスプリング19により図示の限界位置に保持され得る。
【0030】
ブレーキペダルの踏み込みで図1のオペレーティングロッド20に操作力Finが入力されると、オペレーティングロッド20は同方向への往動ストロークにより押し込まれ、プランジャ21、リアクションスプリング22およびリアクションプレート23を順次経てプッシュロッド18を押動し、プッシュロッド18からの出力荷重Foutにより図示せざる液圧ブレーキ装置のマスターシリンダを作動させることができる。
このとき出力荷重Foutは、以下の作用により操作力Finを増幅した値となり、ブレーキ操作力を軽減したり、大きなブレーキ力を発生させることができる。
【0031】
この倍力作用を以下に説明するに、オペレーティングロッド20に結合されたプランジャ21は上記の往動により図4の位置から左行し、ポペット弁体25が当初はこれに追従変位して大気弁32の閉状態を保つ。
而してポペット弁体25は、図5に示すように外周弁座33および最外周弁座34に接して真空弁35を閉状態にした後はポペット弁体25の左行に追従変位し得ず、この位置に止まる。
【0032】
ところでポペット弁体21が図5に示すごとく引き続き左行することから、真空弁35が上記のごとく閉じた後に内周弁座31がポペット弁体25から離反し、これら内周弁座31およびポペット弁体25により構成される大気弁32を開く。
従って、図1におけるダイアフラム12の右側に位置する変圧室14の内圧が負圧状態から大気室27内の大気圧により希釈され、左側における負圧室13の内圧との間に差圧を持つようになり、ダイアフラム12はバルブボディー17およびプッシュロッド18と共にリターンスプリング19に抗して図1の左方へパワーアシストされ、プッシュロッド18からの出力荷重Foutを倍力することができる。
【0033】
ブレーキペダルの踏み込み操作力Finを保持すると、オペレーティングロッド20に結合されたプランジャ21がその時の位置、例えば図5に対応した図6の位置に止まる。
ところで、操作力Finを保持した当初はバルブボディー17が未だ図5に示す位置であって上記の倍力作用が継続中であるため、この倍力作用によりバルブボディー17はポペット弁体25を伴って図5の位置から図6の位置に進行する。
バルブボディー17およびポペット弁体25の上記進行によりポペット弁体25は、プランジャ21の内周弁座31に着座して大気弁32を閉じ、真空弁35の閉弁保持と相まって変圧室14の内圧をそれ以上は大気室27内の大気圧により希釈しなくなる。
その結果、変圧室14の内圧をこの時の圧力に保って倍力状態を保持することによりプッシュロッド18からの出力荷重Foutをこの時の値に維持することができる。
【0034】
なお、この時は真空弁35が閉じているため背圧室28の内圧が連通孔38を経て変圧室14の内圧と同じ圧力にされ、この圧力が、連通路36に至っている負圧室13の圧力よりも高いため、ポペット弁体25は外周弁体3および最外周弁体34間における環状域において、背圧室28の内圧と負圧室13の内圧との差圧により図6に示すごとく弾性変形される。
【0035】
ブレーキペダルの踏み込み操作力Finを解除するペダル戻し時は、オペレーティングロッド20に結合されたプランジャ21が図7の矢印方向に戻される復動ストロークを行う。
かかるプランジャ21の戻しは、内周弁座31およびポペット弁体25で構成される大気弁32の閉状態を保ってポペット弁体25を同方向へ連れ戻し、外周弁座33および最外周弁座34から離反させて真空弁35を開こうとする。
しかし、ポペット弁体25がこれら弁座33,34間の環状域において上記のように変形されているため、ポペット弁体25が外周弁座33から離れてこれとの間に隙間dを発生させても未だ外周弁座33の外周縁部33aに接し続けることから真空弁35の開弁を遅延させることができる。
なお外周弁座33の外周縁部33aは、弾性体で造ったポペット弁体25の傷つき防止や耐久性を考えると、図示のごとくに面取りしたり、Rを付けるなどの対策を行うのが良いことは言うまでもない。
【0036】
而してプランジャ21の更なる戻しが進行すると、プランジャ21はポペット弁体25をついには外周弁座33から、そして最外周弁座34から離反させることになり、ポペット弁体25、外周弁座33および最外周弁座34からなる真空弁35を最終的には図4に示すように開いて、倍力装置を非作動状態にすることができる。
【0037】
ところで本実施の形態になる気圧式倍力装置においては、大気弁32および真空弁35の弁体25を、ゴムなどの弾性体で造った共通なポペット弁体25で構成し、
このポペット弁体25が外周弁座33および最外周弁座34に着座した真空弁35の閉弁時に、負圧室13とは反対におけるポペット弁体25の側に背圧室28が画成されるようにし、また、
この背圧室28にポペット弁体25の連通孔38を経て変圧室14の内圧を導くことで、真空弁35の閉弁時にポペット弁体25が図6のごとく外周弁座33および最外周弁座34間の環状域において変圧室14の内圧と負圧室13の内圧との差圧により弾性変形されるよう構成したから、以下の作用効果を奏することができる。
【0038】
つまり図7につき前述したごとく、操作力Finの解除で真空弁35を開くに際して当該真空弁35の開弁をポペット弁体25の上記の弾性変形により遅延さることができ、その分、操作力Finの解除時における大気弁32の閉弁から真空弁35の開弁までの時間遅れが大きくなる。
このため、操作力(Fin)入力時における倍力特性が図8に実線γで示すごときものであるのに対し、操作力(Fin)解除時における倍力特性が同図に実線δで示すごときものとなり、両者間におけるヒステリシスを大きくし得て、液圧ブレーキ装置のブレーキフィーリングを要求通りに向上させることができる。
【0039】
しかも上記した実施の形態は、操作力(Fin)解除時の真空弁35の開弁タイミングを遅らせるだけで、操作力Finの入力時における真空弁35の閉弁タイミングおよび大気弁32の開弁タイミングに何ら影響するものでないことから、
図8に実線γ,δで示す特性から明らかなように、倍力作用開始時の操作力と倍力作用終了時の操作力を共にF1のままに保つことができ、
図4の状態から図5の状態への移行により倍力作用を開始するまでのロスストロークを含めてヒステリシス以外の性能を何ら変更することなく、液圧ブレーキ装置における良好なブレーキフィーリングを実現することができる。
【0040】
更に加えて同様の理由から、ロスストロークとヒステリシスとの間におけるトレードオフの関係を一切考慮することなく上記の作用効果が得られるため、ヒステリシスの設定に関する自由度が高く、
ロスストロークが大きくなるのを避けるためにヒステリシスを図8の破線α,βで示す程度しか設定し得なかった従来装置に対し本実施の形態によれば、ヒステリシスを同図に実線γ,δで示すように更に大きく設定することができる。
【0041】
本実施の形態によれば更に、大気弁32および真空弁35の弁体25を、ゴムなどの弾性体で造った共通なポペット弁体25で構成し、
オペレーティングロッド20と共に往復動して操作力をプッシュロッド18に機械的に伝達するプランジャに設定した内周弁座31およびポペット弁体25により大気弁32を構成し、
プッシュロッド18と共にストロークするバルブボディー17に設定した外周弁座33およびポペット弁体25により真空弁35を構成した一般的なバキュームブースタに対し、
前記の最外周弁座34、背圧室28および連通孔38を設けるだけで上記の作用効果を達成することができると共に、背圧室28に変圧室14の内圧を短い連通孔38により効率良く導いてポペット弁体25の弾性変形を効果的に行い得ることから当該作用効果を一層顕著なものにすることができる。
【0042】
また本実施の形態におけるように、ポペット弁体25の前記した変形を既存の外周弁座33と、これを包囲するようバルブボディー17に付加した最外周弁座34との間における環状域で生起させる構成とする場合、
ポペット弁体25の弾性変形を安定に保つことができて前記の作用効果を一層確実なものにし得ると共に、ポペット弁体25の取り付けに関する変更なしに最外周弁座34の付加のみで上記の作用効果が奏し得られることとなり、倍力装置の組み立て時におけるポペット弁体25の組み付け性を犠牲にすることなく上記の作用効果を達成することができる。
【0043】
更に図3につき前述したごとく、ポペット弁体25に設ける連通孔38を複数個とし、これら連通孔38を円周方向等間隔に配置する場合、変圧室14の内圧を効率よく背圧室28に供給することができると共に、背圧室28の圧力がポペット弁体25に対し円周方向に均等に作用することからポペット弁体25の弾性変形を円周方向において均等なものとなし得て、前記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
【0044】
なお図1〜図7に示す実施の形態においてはポペット弁体25の外周部を最外周弁座34に着座させる構成を採用したが、かように最外周弁座34を新設する代わりに図9の参考例に示すごとく、ポペット弁体25の外周部25aをバルブボディー17の内周条溝17aに封止下に係着して取り付け、これにより真空弁35の外周シール部を構成することも考えられる
この場合、図1〜図7に示す実施の形態において懸念される、最外周弁座34とポペット弁体25との間に異物が進入したり、これら両者間のシール部が劣化してシール不良になる問題を皆無にすることができ、信頼性の向上を図り得る。
【0045】
図10は、ポペット弁体25の外周部をバルブボディー17の内周に封止下に固定する場合における他の構造を示し、ここではポペット弁体25に外周筒部25bを設け、バルブボディー17の内周における段差部17bに係止したリテーナ40によりポペット弁体25に外周筒部25bをバルブボディー17の内周に対し径方向に押圧して封止下に取り付け、これにより真空弁35の外周シール部を構成する。
かかるリテーナ40によるポペット弁体外周筒部25bの取り付け構造によれば、ゴム製ポペット弁体25の締め代でリテーナ40の嵌合を行うため取り付け作業が容易であると共に取り付けに対する信頼性も高くなる。
【0046】
図11は、ポペット弁体25の外周部をバルブボディー17の内周に封止下に固定する場合における更に他の構造を示し、ここではポペット弁体25の外周に径方向フランジ25cを設け、これを、バルブボディー17の内周に嵌着したリテーナ41によりバルブボディー17の内周における段差部17cに対し軸線方向に押圧して封着し、これにより真空弁35の外周シール部を構成する。
かかるリテーナ41によるポペット弁体25の外周部取り付け構造によっても、取り付け作業が容易であると共に取り付けに対する信頼性も高くなる。
【0047】
なお、上記した各実施の形態においては気圧式倍力装置をバキュームブースタ(負圧式ブースタ)として構成する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく正圧式ブースタとして構成することもでき。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる気圧式倍力装置を示す縦断側面図である。
【図2】 図1の円で囲んだ倍力弁構造を拡大して示す詳細断面図である。
【図3】 ポペット弁体に設ける連通孔の配列状況を示すポペット弁体の正面図である。
【図4】 図1〜図3に示す気圧式倍力装置の、ブレーキ非作動時における動作説明図である。
【図5】 同気圧式倍力装置の、ブレーキを作動させた時における倍力作用開始状態を示す動作説明図である。
【図6】 同気圧式倍力装置の、ブレーキペダル踏力保持時における動作状態を示す動作説明図である。
【図7】 同気圧式倍力装置の、ブレーキペダル戻し時における動作状態を示す動作説明図である。
【図8】 同気圧式倍力装置の、入力荷重に対するストロークおよび出力荷重の変化特性を示す線図である。
【図9】本発明の参考例になる気圧式倍力装置の要部拡大断面図である。
【図10】本発明の他の参考例になる気圧式倍力装置の要部拡大断面図である。
【図11】本発明の更に他の参考例になる気圧式倍力装置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 気圧式倍力装置
11 ブースタシェル
12 ダイアフラム
13 負圧室(低圧室)
14 変圧室
16 パワーピストン
17 バルブボディー
18 プッシュロッド
19 リターンスプリング
20 オペレーティングロッド
21 プランジャ
22 リアクションスプリング
23 リアクションプレート
24 リターンスプリング
25 ポペット弁体(共通な弁体)
26 弁体支持筒
27 大気室(高圧室)
28 背圧室
29 エアフィルタ
30 スプリング
31 内周弁座
32 大気弁(往動弁)
33 外周弁座
34 最外周弁座
35 真空弁(復動弁)
36 負圧通路
37 変圧通路
38 連通孔
40 リテーナ
41 リテーナ

Claims (2)

  1. 操作力を入力されて往動し、操作力の解除により複動するオペレーティングロッドと、
    このオペレーティングロッドと共に往復動するプランジャと、
    このプランジャを経て前記オペレーティングロッドからの操作力を機械的に伝達されて出力するプッシュロッドと、
    このプッシュロッドと共にストロークするバルブボディーと、
    前記オペレーティングロッドの往動ストロークに応動して変圧室を高圧室に連通させるよう開く往動弁と、
    記オペレーティングロッドの復動ストロークに応動して前記変圧室を低圧室に連通させるよう開く復動弁とを具え、
    前記変圧室の内圧と前記低圧室の内圧との差圧により前記操作力を倍力してプッシュロッドから出力するようにした気圧式倍力装置において、
    前記往動弁および復動弁の弁体を弾性体で共通な一体物として構成し、
    この共通な弁体と、該弁体が弾接するよう前記プランジャに設定した内周弁座とにより、常閉の前記往動弁を構成し、
    前記内周弁座を包囲するよう前記バルブボディーに設定した外周弁座、および、この外周弁座を包囲するよう前記バルブボディーに設定した最外周弁座と、前記共通な弁体とにより、前記複動弁を構成し、
    前記共通な弁体が前記外周弁座および最外周弁座に着座した前記複動弁の閉弁時に、前記低圧室とは反対の前記共通な弁体の側に背圧室が画成されるよう構成し、
    この背圧室に前記変圧室の圧力を導く連通孔を前記共通な弁体に形成し、
    前記復動弁の閉弁状態で前記共通な弁体が、前記外周弁座および最外周弁座間において、前記低圧室の内圧と、前記背圧室に導かれる前記変圧室の内圧との差圧により弾性変形されるよう構成したことを特徴とする気圧式倍力装置。
  2. 請求項に記載の気圧式倍力装置において、
    前記共通な弁体に設ける連通孔を複数個とし、これら連通孔を円周方向等間隔に配置したことを特徴とする気圧式倍力装置。
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