JP3917466B2 - 内視鏡用クリップ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに通して使用されて、体内の止血、結紮或いはマーキング等を行うために用いられる内視鏡用クリップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の一般的な内視鏡用クリップ装置の一例を示しており、基端部で互いに連結された複数の腕部2aが開閉自在に設けられたクリップ2の後側に隣接して、クリップ2の後半部分に係合することによりクリップ2を開閉したあと閉じた状態に保持するクリップ閉じリング6が配置されている。
【0003】
クリップ閉じリング6は、軸線方向に進退自在な外套管10内に挿通配置されたシース1の先端部分に前方から係脱自在に配置されており、クリップ2の後端から後方に延出するクリップ連結ワイヤ5が、操作ワイヤ3の先端に取り付けられたクリップ連結フック4に係脱自在に係合している。
【0004】
そのような構成によって、シース1内に通された操作ワイヤ3を基端側から牽引することにより、クリップ1の後半部分がクリップ閉じリング6内に引き込まれてクリップ2が開閉する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そのような内視鏡用クリップ装置は、内視鏡の処置具挿通チャンネルへの挿入操作の最中などに、うっかり操作ワイヤ3のテンションを緩めるような操作をすると、図11に示されるように、クリップ閉じリング6がシース1の先端部分から遊離してクリップ2が離脱してしまう恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、術者の不注意等によってクリップがシースから離脱する恐れのない使い易い内視鏡用クリップ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用クリップ装置は、基端部で互いに連結された複数の腕部が開閉自在に設けられたクリップの後側に隣接して、クリップの後半部分に係合することによりクリップを開閉したあと閉じた状態に保持するクリップ閉じリングが配置されて、クリップ閉じリングは、軸線方向に進退自在な外套管内に挿通配置されたシースの先端部分に前方から係脱自在に配置され、シース内に通された操作ワイヤを基端側から牽引することにより、クリップの後半部分がクリップ閉じリング内に引き込まれてクリップが開閉するように構成された内視鏡用クリップ装置において、外套管の内壁面に対して摩擦係合する摩擦係合部をクリップ又はクリップ閉じリングに設けたものである。
【0008】
なお、摩擦係合部が、外套管の内周面に圧接されるようにクリップの腕部又はクリップ閉じリングの外面部分に形成された圧接部であってもよく、或いは、摩擦係合部が、クリップの腕部に複数連続的に又は単独に形成された先の尖った突起、又はクリップの腕部に外方に膨らんで突出形成されたバネ性突起部であってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は内視鏡用クリップ装置の全体構成を示しており、クリップ2は、例えばステンレス鋼線を一定の径で密着巻きしたコイルパイプ状の可撓性シース1の先端に取り付けられている。
【0010】
可撓性シース1内には、クリップ2に先端が連結された操作ワイヤ3が軸線方向に進退自在に挿通配置され、可撓性シース1の外面には、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ又は超弾性合金管等からなる可撓性の外套管10が、軸線方向に単独で進退自在に緩く被嵌されている。
【0011】
図2においては、クリップ2は基端寄りの部分が外套管10の先端内に収容されていて、前方に向かってある程度開いた状態の一対の腕部2aとその各先端に内方に向かって突出形成された先端爪状部2bとが見えている。
【0012】
可撓性シース1の基端に連結された操作部20には、可撓性シース1の基端が連結された操作部本体23の他端側に指掛け23aが取り付けられると共に、操作ワイヤ3の基端が連結されたスライダー22が操作部本体23に対して軸線方向にスライド自在に取り付けられていて、操作ワイヤ3を軸線方向に牽引操作することができる。
【0013】
図3は、内視鏡用クリップ装置の先端部分を拡大して示している。
クリップ2は、例えばバネ用ステンレス鋼板材等の板状部材により形成されていて、外套管10内においてほぼ平行になる一対の腕部2aの基端側が、ほぼ360°の環状に形成された基端連結部2cにより連結され、各腕部2aの先端部分から、先端爪状部2bが内方に折れ曲がって突出形成されている。
【0014】
このようなクリップ2は、一枚の板状部材を曲げて形成されており、基端連結部2cと一対の腕部2aとの境界部2tは、板状部材が両外側から各々内向きに突出した括れた形状に曲げられて、その突出部分の頂部どうしが当接している。
【0015】
そして、一対の腕部2aは、外力が全く加わらない自然状態においては外套管10にちょうど内接する状態よりある程度外方に広がった形状に形成されていて、平行に窄められて外套管10内に配置されたときは、I−I断面を図示する図1に示されるように、各腕部2aの外縁稜線部(摩擦係合部A)が外套管10の内壁面に弾力的に押し付けられて、外套管10の内周面に摩擦係合している。
【0016】
可撓性シース1の軸線位置に進退自在に配置された操作ワイヤ3の先端には、クリップ2から後方に延出するクリップ連結ワイヤ5に対して係脱させることができるクリップ連結フック4が取り付けられている。
【0017】
クリップ連結フック4は、後側半部に操作ワイヤ3が半田付け等によって連結固着され、先側半部の側面部分に凹んで形成された凹部4aに環状のクリップ連結ワイヤ5を係脱させることができるようになっている。クリップ連結ワイヤ5は、一本のワイヤの両端部分を結び合わせて環状に形成されている。
【0018】
6は、クリップ2の基端連結部2cを変形させて腕部2aを開いたあと閉じてその状態を保持するためのクリップ閉じリングであり、可撓性シース1の先端に固着された筒状のリング受け部材8の先端寄りの部分に、前方から係脱自在に嵌め込まれている。
【0019】
このように構成された内視鏡用クリップ装置は、図3に示される状態で、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入されるが、その際に、うっかり操作ワイヤ3のテンションを緩めるような操作が行われる場合がある。
【0020】
しかし、クリップ2の一対の腕部2aが、各々外面側の外縁稜線部(摩擦係合部A)で外套管10の内壁面と摩擦係合しているので、クリップ閉じリング6がリング受け部材8から遊離してクリップ2がシース1から離脱してしまう状態にはならない。
【0021】
そして、操作ワイヤ3を操作部20側から牽引操作することにより、図4に示されるように、クリップ2の基端連結部2cがクリップ閉じリング6内に引き込まれて円形から楕円形状に変形し、一対の腕部2aが可撓性シース1の前方に向かって開いた状態に変化する。
【0022】
その状態で、一対の腕部2aの間にクリッピングの対象である体内組織を位置させて、操作ワイヤ3を操作部20側にさらに牽引すると、図5に示されるように、クリップ閉じリング6が先端部分でクリップ2の一対の腕部2aを背側から押し、それによって一対の腕部2aが平行に閉じた状態になり、可撓性シース1の前方の体内組織をクリッピングすることができる。
【0023】
そこで、操作ワイヤ3を先側に少し押し出しながら可撓性シース1を手元側に引き戻すことにより、クリップ連結ワイヤ5とクリップ連結フック4との係合が緩むので、可撓性シース1の先端部分を左右に適当に動かせば、クリップ連結ワイヤ5がクリップ連結フック4から外れてクリップ2を体内に留置することができる。
【0024】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば図6及び図7に示されるように、クリップ2の腕部2aの外縁稜線部に先の尖った突起を複数連続的に又は単独に形成してその部分を摩擦係合部Aにすれば、外套管10との係合力がさらに強くなる。
【0025】
また、図8に示されるように、クリップ2の腕部2aの外面から外方に例えば円弧状に膨出したバネ性突起を形成して、その部分を外套管10の内壁面に圧接させて摩擦係合部Aにしてもよい。
【0026】
また、図9に示されるように、クリップ閉じリング6の一部分(周方向においても一部分)の外径を大きく形成して外套管10の内壁面に圧接させて、その部分を外套管10の内壁面と摩擦係合する摩擦係合部Aにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、外套管の内壁面に対して摩擦係合する摩擦係合部をクリップ又はクリップ閉じリングに設けたことにより、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入する際にうっかり操作ワイヤのテンションを緩めるような操作をしても、クリップ又はクリップ閉じリングが外套管の内壁面と摩擦係合しているので、クリップ閉じリングがシースの先端部分から遊離せず、クリップがシースから離脱してしまうような状態にならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の内視鏡用クリップ装置の図3におけるI−I断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の内視鏡用クリップ装置の全体構成を示す外観図である。
【図3】本発明の第1の実施例の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例の内視鏡用クリップ装置のクリップの開閉動作における開状態を示す側面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の内視鏡用クリップ装置のクリップの閉状態を示す側面断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例の内視鏡用クリップ装置の先端部分の一部を断面で示す側面図である。
【図7】本発明の第3の実施例の内視鏡用クリップ装置の先端部分の一部を断面で示す側面図である。
【図8】本発明の第4の実施例の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図である。
【図10】従来の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図である。
【図11】従来の内視鏡用クリップ装置の先端部分の操作ワイヤが緩められた状態の側面断面図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
2 クリップ
2a 腕部
3 操作ワイヤ
4 クリップ連結フック
5 クリップ連結ワイヤ
6 クリップ閉じリング
8 リング受け部材
A 摩擦係合部
Claims (1)
- 基端部で互いに連結された複数の腕部が開閉自在に設けられたクリップの後側に隣接して、上記クリップの後半部分に係合することにより上記クリップを開閉したあと閉じた状態に保持するクリップ閉じリングが配置されて、上記クリップ閉じリングは、軸線方向に進退自在な外套管内に挿通配置されたシースの先端部分に前方から係脱自在に配置され、上記シース内に通された操作ワイヤを基端側から牽引することにより、上記クリップの後半部分が上記クリップ閉じリング内に引き込まれて上記クリップが開閉するように構成された内視鏡用クリップ装置において、
上記腕部の両側縁部に外方に向けて先の尖った突起を複数連続的に並んだ状態に形成して、その複数の突起部分を上記外套管の内壁面に対し弾力的に押し付けて摩擦係合させたことを特徴とする内視鏡用クリップ装置。
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