JP3917408B2 - 蒸気減温装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、飽和温度以上のいわゆる過熱温度蒸気を、所定の温度例えば飽和温度まで減温することのできる蒸気減温装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の蒸気減温装置としては例えば特開昭62−141407号公報に示されているものが用いられていた。これは、過熱蒸気配管に圧力調節弁と圧力検出器と蒸気流量検出器と温度検出器、及び、過熱蒸気中へ供給する水流量検出器をそれぞれ取り付けて、過熱蒸気の圧力を検出して圧力調節弁を調節すると共に、過熱蒸気の流量と温度を検出して水流量検出器から所定量の水を過熱蒸気中へ供給することによって、過熱蒸気を飽和温度の蒸気へ減温することができるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の蒸気減温装置では、圧力調節弁と、圧力や流量や温度等の各種検出器及び検出器に対応した調節器が必要となり、減温装置が高価で複雑な物となってしまう問題があった。
【0004】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、各種の検出器や調節弁を用いることなく、過熱温度蒸気を所定温度の蒸気へ減温することのできる安価でシンプルな蒸気減温装置を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた本発明の手段は、過熱蒸気に冷却流体を供給して、当該過熱蒸気を所定温度状態の蒸気へ減温するものにおいて、蒸気使用装置で発生した復水を所定箇所へ圧送する複数の復水圧送容器を配置して、当該複数の復水圧送容器の復水入口を蒸気使用装置と連通路で連通し、当該通路に逆止弁を取り付けて、複数の復水圧送容器の復水出口に接続通路を介して過熱蒸気の流下する蒸気通路と接続し、当該接続通路に逆止弁を取り付けて、接続通路の蒸気通路内端部に復水を噴射するノズルを取り付け、複数の復水圧送容器に高圧流体源と連通する高圧流体連通路を連通して、複数の復水圧送容器と高圧流体連通路の間に、複数の復水圧送容器内への高圧流体の流入と遮断を切り換える切換弁を取り付けて、当該切換弁及び逆止弁によって第1の復水圧送容器が接続通路から復水を蒸気通路へ供給している間は、流下してくる復水が第2の復水圧送容器へ流入することにより、それぞれの復水圧送容器から交互に復水を供給すると共に、複数の復水圧送容器に液位の上下に応じて上下動するフロートを配置して、当該フロートが所定位置に達するとスナップ移動して上記切換弁を切り換えるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
切換弁によって復水圧送容器内への高圧流体が遮断されている時に、蒸気使用装置で発生した復水が連通路と復水入口とを介して復水圧送容器内へ流入する。復水圧送容器内へ流入して溜まった復水は、切換弁の切り換えによって高圧流体が復水圧送容器へ流入されると、高圧流体の流体圧力によって、復水出口と接続通路とを介して蒸気通路へ供給されて過熱蒸気を減温する。
【0007】
このように復水圧送容器から高圧の流体圧力によって復水を蒸気通路へ供給して過熱蒸気を減温するのであるが、複数の復水圧送容器から順次に復水を圧送することによって、蒸気通路中の過熱蒸気を均一に減温することができる。
【0008】
【実施例】
本実施例においては、複数の復水圧送容器として第1と第2の2台の復水圧送容器を用いた例を示す。図1において、過熱蒸気の流下する蒸気通路としての蒸気管1と、この蒸気管1と連通した蒸気使用装置8と、蒸気使用装置8の下部に配置した第1の復水圧送容器2と第2の復水圧送容器3、及び、それぞれの復水圧送容器2,3から蒸気管1中に冷却液体としての復水を供給する接続通路4とで蒸気減温装置を構成する。
【0009】
蒸気管1にバルブ5と自動調節弁6と気液の混合分離器7を順次取り付けて、所定温度に減温された蒸気を蒸気使用装置8へ供給する。自動調節弁6は蒸気使用装置8へ供給する蒸気の量又は圧力又は温度を調節するものであり、気液の混合分離器7は、蒸気管1中の過熱蒸気と接続通路4から供給される冷却液体としての復水を混合して更に分離し、蒸気使用装置8へ液体が分離され所定温度まで減温された蒸気だけを供給する。
【0010】
蒸気使用装置8の外周にジャケット部35を設けて、このジャケット部35へ蒸気管1から蒸気を供給することによって、蒸気使用装置8内の図示しない被加熱物を間接加熱するものである。加熱により凝縮した蒸気は復水となって後述する第1の復水圧送容器2へ流下する。
【0011】
蒸気管1を分岐して高圧流体連通路9を連通する。高圧流体連通路9にバルブ10を介して第1の復水圧送容器2の高圧流体入口11と接続すると共に、バルブ12を介して第2の復水圧送容器3の高圧流体入口40と接続する。
【0012】
第1の復水圧送容器2の復水入口13を、逆止弁14と復水通路15を介して、蒸気使用装置8のジャケット部35の下端部と接続する。第2の復水圧送容器3の復水入口41にも逆止弁42を介して、復水通路15の延長通路43を接続する。復水通路15には蒸気トラップ16を取り付けると共に、この蒸気トラップ16と並列にバルブ17を取り付ける。蒸気トラップ16は、ジャケット部35で発生した蒸気の凝縮水としての復水だけを出口側へ流下させ、蒸気は流下させることがない自動弁の一種である。また、逆止弁14,42は、蒸気トラップ16から復水入口13,41側への流体の通過を許容し、反対側への流体の通過は許容しないものである。
【0013】
第1の復水圧送容器2の上部の高圧流体入口11の側方に、高圧流体出口18を設けて大気連通管19を接続する。第2の復水圧送容器3の上部の高圧流体入口40の側方にも、高圧流体出口44を設けて大気連通管45を接続する。
【0014】
第1の復水圧送容器2の復水入口13の下方には復水出口20を設け、逆止弁22を介して接続通路4と連通する。逆止弁22は、復水出口20から接続通路4側への流体の通過を許容し、反対側への通過は許容しないものである。
【0015】
第2の復水圧送容器3の復水入口41の下方にも復水出口46を設け、逆止弁47を介して接続通路4と連通する。逆止弁47も上記逆止弁22と同じ作動を行うものである。
【0016】
複数の復水圧送容器2,3は従来公知なものであり、例えば、特開平10−61885号公報に記載されている。具体的に第1の復水圧送容器2の作動を説明すると、復水圧送容器2は、復水入口13から流入してきた復水が内部に溜まってその液位が上昇すると内部の図示しないフロートを上昇させ、所定位置に達するとスナップ移動して、高圧流体入口11に取り付けた圧送弁を開弁すると共に、高圧流体出口18に取り付けた排気弁を閉弁して、高圧流体連通路9から高圧の蒸気を復水圧送容器2内部に供給し、溜まっていた復水を復水出口20から逆止弁22と接続通路4を介して蒸気管1中に供給する。
【0017】
第1の復水圧送容器2が高圧蒸気の圧力によって接続通路4から復水を蒸気管1中へ供給している間は、容器2の復水入口13の逆止弁14は高圧蒸気圧力によって閉弁しているために、復水通路15を流下する全ての復水は第2の復水圧送容器3へ流入する。
【0018】
第1の復水圧送容器2内の復水が蒸気管1内へ流下するに連れて、内部の図示しないフロートが降下して、所定の液位まで低下するとスナップ移動して、高圧流体入口11の圧送弁を閉弁すると共に、高圧流体出口18の排気弁が開弁して、復水圧送容器2内の高圧蒸気が大気連通管19から外部に排出され、再度、復水通路15から復水が復水圧送容器2内へ流入してくるものである。
【0019】
第2の復水圧送容器3も第1の復水圧送容器2と同様の作動を行うものであり、それぞれの復水圧送容器2,3から交互に蒸気管1内へ冷却液体としての復水を供給することにより、蒸気管1内の過熱蒸気を減温するものである。復水圧送容器は2台に限られるものではなく、蒸気使用装置8で発生する復水量、あるいは、復水圧送容器2,3各1台毎の圧送容量等に応じて適宜選定することができるものである。
【0020】
本実施例においては、高圧流体入口11,40に取り付けた圧送弁と高圧流体出口18,44に取り付けた排気弁とで、復水圧送容器2,3内への高圧流体の流入と遮断を切り換える切換弁を構成する。
【0021】
復水通路15のバルブ17の入口側に、冷却液体補給管23を接続する。冷却液体補給管23には自動弁24を取り付ける。冷却液体例えば冷却水が不足した場合に、自動弁24から補給することができるものである。また、気液の混合分離器7の下端部は、バルブ36を介して蒸気トラップ16の入口側の復水通路15と接続する。
【0022】
接続通路4の途中には、自動弁26を介した余剰液体排出管27を接続する。また、接続通路4から蒸気管1内へ冷却液体としての復水を供給する場合、図示はしていないが接続通路4の蒸気管1内端部に、復水を噴射するためのノズルを取り付ける。
【0023】
蒸気使用装置8のジャケット部35へ供給された蒸気は、被加熱物に熱を奪われて凝縮して復水となり、蒸気トラップ16と逆止弁42を通って復水圧送容器3内へ流入する。容器3内の液位が所定高さに達すると、高圧流体入口40に取り付けた圧送弁が開弁し、高圧流体出口44に取り付けた排気弁が閉弁することによって、高圧流体連通路9から高圧蒸気が容器3内へ供給され、容器3内の復水は逆止弁47と接続通路4を介して蒸気管1中へ注入される。
【0024】
蒸気管1内へ注入された冷却液体としての復水は、気液の混合分離器7で過熱蒸気と混合して過熱蒸気の温度を低下させる。この場合、低下させる過熱蒸気の温度は、接続通路4から供給する冷却液体の量とか温度を調節することによっても適宜制御することができる。
【0025】
気液の混合分離器7で過熱蒸気と混合した残余の復水は、この混合分離器7で気液分離され、下部の蒸気トラップ16から復水圧送容器2,3内へ流下する。一方、液体が分離され所定温度まで減温された蒸気は、混合分離器7から蒸気使用装置8へと供給される。
【0026】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、複数の復水圧送容器を介して連続的に冷却液体としての復水を蒸気管へ供給することによって、蒸気管内の過熱蒸気を任意の蒸気温度まで減温することができ、圧力や流量等の各種検出器や、調節弁、あるいは、冷却液体を供給するためのポンプ手段等を用いることなく、安価でシンプルな蒸気減温装置とすることができる。
【0027】
また本発明によれば、蒸気使用装置で蒸気の凝縮した復水を、冷却液体として過熱蒸気中へ噴射して減温することによって、過熱蒸気温度をより確実に飽和温度蒸気へと減温することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気減温装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
1 蒸気管
2 第1の復水圧送容器
3 第2の復水圧送容器
4 接続通路
7 気液の混合分離器
8 蒸気使用装置
9 高圧流体連通路
11,40 高圧流体入口
13,41 復水入口
15 復水通路
18,44 高圧流体出口
19,45 大気連通管
20,46 復水出口
23 冷却液体補給管
Claims (1)
- 過熱蒸気に冷却流体を供給して、当該過熱蒸気を所定温度状態の蒸気へ減温するものにおいて、蒸気使用装置で発生した復水を所定箇所へ圧送する複数の復水圧送容器を配置して、当該複数の復水圧送容器の復水入口を蒸気使用装置と連通路で連通し、当該通路に逆止弁を取り付けて、複数の復水圧送容器の復水出口に接続通路を介して過熱蒸気の流下する蒸気通路と接続し、当該接続通路に逆止弁を取り付けて、接続通路の蒸気通路内端部に復水を噴射するノズルを取り付け、複数の復水圧送容器に高圧流体源と連通する高圧流体連通路を連通して、複数の復水圧送容器と高圧流体連通路の間に、複数の復水圧送容器内への高圧流体の流入と遮断を切り換える切換弁を取り付けて、当該切換弁及び逆止弁によって第1の復水圧送容器が接続通路から復水を蒸気通路へ供給している間は、流下してくる復水が第2の復水圧送容器へ流入することにより、それぞれの復水圧送容器から交互に復水を供給すると共に、複数の復水圧送容器に液位の上下に応じて上下動するフロートを配置して、当該フロートが所定位置に達するとスナップ移動して上記切換弁を切り換えることを特徴とする蒸気減温装置。
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