JP4387536B2 - 蒸気加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱交換器内の被加熱物を蒸気で加熱するものに関し、特にその加熱温度が100度C程度の比較的低温の場合に適した蒸気加熱装置に関する。具体的には重合反応等に用いられる各種反応釜や食品の蒸溜装置、濃縮装置、あるいは殺菌装置等の蒸気加熱に用いるものである。これらの場合の被加熱物は、少しの温度変化によって熱損傷や熱劣化を生じてしまう場合が多く、加熱温度を精度良く維持する必要がある。
【0002】
【従来の技術】
従来の蒸気加熱装置としては、例えば特開平7−328423号公報に示すようなものが用いられていた。これは、蒸気供給管17をノズル18と接続し、ノズル18の外周に形成した吸引室44に2つの通路45,46を設けて、一方の通路45をジャケット部16と接続すると共に、他方の通路46に弁手段47を接続したものである。
【0003】
弁手段47を開弁することにより、ジャケット部16内の残留空気を吸引室44に吸引して、ジャケット部16内を減圧状態とした後、弁手段47を閉弁してジャケット部16内に低圧蒸気を供給して100度C以下の低温蒸気で被加熱物を加熱することができるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の蒸気加熱装置では、加熱初期の段階で残留している空気を吸引排除して蒸気加熱を行なうことができるが、加熱操作中に徐々に溜まる空気を排除することができずに、加熱温度を精度良く維持することができない問題があった。加熱装置を減圧状態とすることにより、装置の各接続部から大気を吸引してしまい、加熱部内部に空気が溜まると共に、供給される加熱用の蒸気に空気が混入している場合もあり、加熱初期のみならず、加熱操作中でも加熱部に空気が溜まってしまうのである。
【0005】
従って本発明の課題は、加熱初期のみならず、加熱操作中においても溜まった空気を排除することにより、精度良く加熱温度を調節することのできる蒸気加熱装置を得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた本発明の手段は、熱交換器に加熱部を形成して加熱用の蒸気供給管を接続すると共に、加熱により生じた復水を排出する復水回収装置を接続したものにおいて、蒸気供給管と連通したスチームエゼクタを配置して、当該スチームエゼクタの吸引室と加熱部を温度応動弁を介して接続し、当該温度応動弁は加熱部の温度が所定値低下すると開弁して加熱部とスチームエゼクタの吸引室を連通するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
加熱部の温度が所定値低下すると開弁して加熱部とスチームエゼクタの吸引室を連通する温度応動弁を取り付けたことにより、加熱部に空気が溜まってその温度が所定値だけ低下すると、温度応動弁が開弁して加熱部とスチームエゼクタの吸引室が連通されて、溜まった空気は吸引室の吸引力によって吸引され外部に排除される。
【0008】
加熱初期でもまた加熱操作中でも、空気が存在して加熱部の温度が低下すると温度応動弁が開弁して空気を吸引排除することができる。
【0009】
【実施例】
本実施例においては熱交換器として反応釜1を用いた例を説明する。
反応釜1の外周に加熱部としてのジャケット部2を形成して蒸気供給管3と接続し、分岐した蒸気供給管4に接続したスチームエゼクタ5と、スチームエゼクタ5の吸引室13とジャケット部2を温度応動弁12を介して接続すると共に、ジャケット部2の下部に配置した復水回収装置6とで蒸気加熱装置を構成する。
【0010】
蒸気供給管3には圧力調節弁7と開閉弁8を取り付けてジャケット部2と接続する。圧力調節弁7はジャケット部2へ供給する蒸気圧力即ち温度が所定値となるように設定する。また、蒸気供給管3は管路9を介して復水回収装置6の高圧操作流体の導入口10と接続する。
【0011】
分岐した蒸気供給管4に、開閉弁11を介してスチームエゼクタ5を接続する。スチームエゼクタ5の吸引室13とジャケット部2を、開閉弁14と温度応動弁12を介した管路15により連通する。スチームエゼクタ5の出口側には管路16を接続して、図示しない別途の蒸気使用箇所と連通する。
【0012】
温度応動弁12は、本実施例においては自力式の温度調整弁を用いた例を示し、ジャケット部2の上方の空気が溜まり易い箇所に取り付けた感温筒17を、温度応動弁12のアクチュエータ部18と、フレキシブルチューブ19を介して接続したものである。感温筒17によりジャケット部2内部の温度低下が検知され、その温度低下が内部の感温流体の容積減少となりフレキシブルチューブ19内を伝達してアクチュエータ部18に伝わり、温度応動弁12を開弁する。反対にジャケット部2内の温度が上昇すると、感温筒17で検知して温度応動弁12を閉弁する。
【0013】
ジャケット部2の下部と復水回収装置6の復水流入口20とを管路21によりバルブ22と逆止弁23を介して接続する。逆止弁23はジャケット部2から復水回収装置6方向のみの流体の通過を許容するもので、逆方向の流体の通過は許容しないものである。復水回収装置6の復水還元口24にも逆止弁25を介して復水圧送管路26を取り付ける。この逆止弁25は復水回収装置6から復水圧送管路26側の外部方向へのみ流体を通過させるものである。
【0014】
復水回収装置6上部の高圧操作流体の導入口10の側方には、高圧操作流体の排出循環口27を設けて、管路28と接続する。管路28は、ジャケット部2と同圧状態の図示しないヘッダーや、あるいは、別途のジャケット部2よりも低圧状態箇所と接続する。
【0015】
復水回収装置6は、内部に配置した図示しないフロートが下方部に位置する場合に、高圧操作流体の導入口10が閉口され、一方、排出循環口27が開口されて、管路21と逆止弁23と復水流入口20を通ってジャケット部2内の復水が復水回収装置6内に流下し、復水回収装置6内に復水が溜まってフロートが上方部に位置すると、排出循環口27が閉口され、反対に高圧操作流体の導入口10が開口されて、高圧操作流体として蒸気供給管3からの高圧蒸気が復水回収装置6内に流入して、内部の復水を還元口24と逆止弁25と管路26を経て復水回収先へ圧送し回収するものである。
【0016】
復水が回収されて復水回収装置6内の水位が低下すると、再度、高圧操作流体の導入口10が閉口され、排出循環口27が開口されることにより、復水流入口20から復水が回収装置6内へ流下してくる。このような作動サイクルを繰り返すことにより、復水回収装置6は、ジャケット部2で発生した復水を回収するものである。
【0017】
図1において反応釜1内の被加熱物を加熱する場合、まず圧力調節弁7から蒸気をジャケット部2へ供給する。ジャケット部2内には初期の残留空気が残存しており温度が低下しているために、温度応動弁12が開弁して、スチームエゼクタ5の吸引室13でその残留空気を吸引して外部に排出する。ジャケット部2内部が所定温度になると、温度応動弁12は閉弁して吸引を停止する。
【0018】
反応釜1を加熱した蒸気は凝縮して復水となり、管路21を経て復水回収装置6内へ流下する。空気の排除されたジャケット部2内へ所定圧力即ち温度の加熱蒸気を供給することにより、反応釜1は所定温度の蒸気でもって加熱される。例えば圧力調節弁7から大気圧以下の60度Cの蒸気を供給すると反応釜1は60度Cで加熱される。
【0019】
ジャケット部2内を大気圧以下の圧力状態とした場合に、ジャケット部2の各接続部から大気圧が加わり、一部の空気がジャケット部2内に混入したり、あるいは、供給される蒸気に混入している空気により、ジャケット部2内に空気が溜まると、その温度は放熱により低下することによって、感温筒17で検知されて温度応動弁12を開弁して吸引室13に吸引され排出される。このように本実施例においては、蒸気加熱装置の初期のみならず、加熱操作中に溜まった空気をもスチームエゼクタ5で吸引し外部に排出することができる。
【0020】
反応釜1を加熱した蒸気は凝縮して復水となることにより、ジャケット部2内は初期の圧力状態に維持される。一方、凝縮した復水は復水回収装置6内へ流下して、上記した作動の繰り返しにより復水回収先へ圧送される。
【0021】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、加熱部の温度が所定値低下すると開弁して加熱部とスチームエゼクタの吸引室を連通する温度応動弁を取り付けたことにより、加熱部に空気が溜まってその温度が所定値だけ低下すると、温度応動弁が開弁して溜まった空気はスチームエゼクタの吸引室の吸引力によって吸引され外部に排除されることによって、空気による悪影響がなく温度精度良く被加熱物を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気加熱装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
1 反応釜
2 ジャケット部
3 蒸気供給管
5 スチームエゼクタ
6 復水回収装置
10 高圧操作流体導入口
12 温度応動弁
13 吸引室
17 感温筒
20 復水流入口
24 復水還元口
27 排出循環口
Claims (1)
- 熱交換器に加熱部を形成して加熱用の蒸気供給管を接続すると共に、加熱により生じた復水を排出する復水回収装置を接続したものにおいて、蒸気供給管と連通したスチームエゼクタを配置して、当該スチームエゼクタの吸引室と加熱部を温度応動弁を介して接続し、当該温度応動弁は加熱部の温度が所定値低下すると開弁して加熱部とスチームエゼクタの吸引室を連通することを特徴とする蒸気加熱装置。
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