JP3917014B2 - 電池パックの充電装置および電池パックの接続検出方法 - Google Patents

電池パックの充電装置および電池パックの接続検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2次電池を含む電池パックを装着し、電池パック内の2次電池の充電を行う充電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池を収納する電池パックを充電する充電装置は、電池温度を検出しながら充電を行なう。この温度検出には、電池パックに内に温度検出のために内蔵されたサーミスタや電池装着検出用に内蔵される抵抗が利用される。具体的には、温度検出は、サーミスタや抵抗に電流を流し、それらの素子の両端に発生する電圧を測定することで行っている。
【0003】
ここで、電池パックの充電装置への装着時において、電池パックと充電装置との接続が確実になされるという保証はなく、接続が不完全な場合は下記の問題がある。
【0004】
すなわち、充電を行っても電池パックの端子が充電装置の端子との接触が完全でないないため、充電装置は充電動作を行なっているにもかかわらず、実際には充電が行われないという問題や、また、電池パックの電源用端子と、充電装置側のそれに接続する端子とは接続されているが、電池のサーミスタ(あるいは抵抗)と充電装置側のそれに接続する端子との間の接触が不良であるため、充電中の温度管理が適切に行われないなどの問題がある。
【0005】
図5に、特開平9−50827号公報に開示された従来の充電装置の構成例を示す。以下に、その動作を簡単に説明する。
【0006】
充電器101はDC−DCコンバータ121、基準電源123、マイコン125を備える。電池パック102は電池103とサーミスタ105を含む。充電器101の出力端子181〜183は電池パック102の端子191〜193にそれぞれ接続される。
【0007】
基準電源123から抵抗110を介してサーミスタ105に電流が供給され、サーミスタ105の電圧をマイコン125で検出している。
【0008】
定電圧ダイオード115のツェナー電圧Vzは、入力電圧Vinより低く、DC−DCコンバータ121の定電圧制御開始電圧より高い電圧に設定されている。
【0009】
電池パック102が充電器101に接続されていない場合は、端子181に入力電圧Vinが生じて、定電圧ダイオード115は導通し、トランジスタQ1をオンにし、マイコン125の端子Aを“L”レベルにして電池が接続されていないことを知らせる。
【0010】
また、電池パック102が接続されている場合は、端子181の電圧はDC−DCコンバータ121の定電圧制御開始電圧になるため、定電圧ダイオード115は非導通となり、トランジスタQ1がオフになり、マイコン125の端子Aを“H”レベルにして電池パック102が接続されたことを知らせる。
【0011】
つまり、図5に示す例では、充電器101の端子181と、電池パック102の正極側の端子191との間の接続の検知を行ない、これら端子間の接続がなされていれば、マイコン125が電池103の充電動作を行なうようになっている。
【0012】
しかし、充電器101の端子182、183と、電池パック102のサーミスタ105間の接続端子192、193との間の接続を確認して充電動作を開始しているわけではないので、充電器101と電池パック102のサーミスタ105との間の接続がなされていなくても、充電器101と電池103自体と間の接続がなされていれば、充電動作が開始されることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このため、上記の構成では、サーミスタ105を使って充電中の温度を検出しながら充電制御を行う場合、充電器101と電池103とは接続されているが、充電器101とサーミスタ105とは接続されていないときに、充電は開始されるものの、充電中の温度情報がマイコンなどを使用した制御回路に入力されないため、適切な充電制御が行えないという問題が発生する。
【0014】
本発明の目的は上記課題を解決すべくなされたものであり、充電装置と電池パック間の接続不良に基く充電の不良を防止し良好な充電を可能とする充電装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために為されたものである。本発明に係る請求項1に記載の充電装置は、
充電可能な電池と、該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子とを内蔵した電池パックを充電する充電装置である。そのような充電装置において、
前記電池パック内の電池を定電流、定電圧で充電する充電回路と、
前記電池パック内の電池の端子と、前記充電装置との間の接続の有無を検出する電池端子接続検出回路と、
前記電池パック内の検出用素子と、前記充電装置との間の接続の有無を検出する検出端子接続検出回路と、
前記充電回路を制御する制御回路と、
前記電池端子接続検出回路の出力信号と、前記検出端子接続検出回路の出力信号とを入力し、それらの信号に基いて充電装置と電池パックの接続状態を判定する電池接続判定回路と、
前記電池パックの電池に予備充電を行うための電流を供給する予備充電定電流回路と
を備え、
前記制御回路は、電池接続判定回路の判定結果に基いて、充電装置と電池パックの接続が正常になされているときに充電回路を作動させるよう制御する回路であり、
更に、
前記検出端子接続検出回路が、前記検出用素子と前記充電装置との間の接続の存在を検出した場合、
前記制御回路は、前記予備充電定電流回路を作動させ一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る請求項2に記載の充電装置は、
前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の充電装置である。
【0017】
本発明に係る請求項3に記載の充電装置は、
充電可能な電池と、該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子とを内蔵した電池パックを充電する充電装置である。そのような充電装置において、
前記電池パック内の電池を定電流、定電圧で充電する充電回路と、
前記電池パック内の電池の電圧値を測定する電池パック電圧測定回路と、
前記検出用素子に電流を供給する手段と、
前記供給された電流によって前記検出用素子に発生した電圧を検出し、充電装置と電池パック間の接続の有無を検出する電池接続検出回路と、
前記電池パックの電池に予備充電を行うための電流を供給する予備充電定電流回路と、
前記充電回路を制御する制御回路と、
前記電池パック電圧測定回路による電池パックの電池の電圧測定値と、前記電池接続検出回路の出力信号とを入力し、それらの信号に基いて、充電装置と電池パックの接続状態と、電池の放電状態とを判定する電池接続判定手段とを備え、
前記制御回路は、該電池接続判定手段の判定結果にしたがい前記充電回路を作動させる回路であり、
更に、
前記電池接続検出回路が、前記検出用素子と前記充電装置との間の接続の存在を検出した場合、
前記制御回路は、前記予備充電定電流回路を作動させ一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
ことを特徴とする
【0018】
本発明に係る請求項4に記載の充電装置は、
前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電圧を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項3に記載の充電装置である。
【0019】
本発明に係る請求項5に記載の検出方法は、
充電可能な電池、及び該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子を内蔵した電池パックと、その電池パックを充電する充電装置との接続を検出する方法である。そのような方法において、
前記電池パック内の電池の端子と前記充電装置との間の接続の有無を検出し、
前記電池パック内の検出用素子と前記充電装置との間の接続の有無を検出し、
電池パック内の電池の端子と充電装置との接続がなされており、且つ、電池パック内の検出用素子と充電装置との接続がなされている場合に、電池パックが充電装置に正常に接続されていると判定する検出方法であって、
前記検出用素子と前記充電装置との間の接続の存在が検出された場合、一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
ことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る請求項6に記載の検出方法は、
前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電圧を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項5に記載の検出方法である。
【0021】
本発明に係る請求項7に記載の検出方法は、
充電可能な電池、及び該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子を内蔵した電池パックと、その電池パックを充電する充電装置との接続を検出する方法である。そのような方法において、
前記電池パック内の電池の電圧値を測定し、
前記充電装置と前記電池パックとの間の接続の有無を検出し、
前記電池パック内の電池の電圧測定値と、充電装置と前記電池パックとの間の接続の検出結果に基いて、充電装置と電池パックの接続状態と、電池の放電状態とを判定する検出方法であって、
前記充電装置と前記電池パック内の検出用素子との間の接続の存在が検出された場合、一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
ことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る請求項8に記載の検出方法は、
前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電圧を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項7に記載の検出方法である。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る電池パックの充電装置を詳細に説明する。
【0031】
<実施の形態1>
図1に本発明に係る電池パックの充電装置の構成を示す。
充電装置1は、充電制御回路11、充電回路31、及びダイオードD1を含む。電池パック5は電池51と接続検出用に設けられた抵抗R2を含む。抵抗R2は温度検出用のサーミスタであってもよい。電池パック5の正極側の端子5a、負極側の端子5b、及び抵抗R2に接続する端子5cは、充電装置1の各々対応する端子1a、1b、1cと接続する。
【0032】
充電制御回路11は電池パック電圧検出回路13、予備充電定電流回路15、電池接続検出回路17、電池接続判定回路19、及び制御回路21を含む。
【0033】
予備充電定電流回路15は電池51に対して予備充電のための一定電流を流す回路である。過放電電池に対して充電を行なう際には、一般に、通常の充電を行なう前に、電池の電圧を所定電圧まで上昇させるために通常の充電時よりも小さい電流で予備的な充電(予備充電)を行なう必要がある。予備充電定電流回路15はこのような予備充電を行なうための回路である。
【0034】
充電回路31は、電流検出回路33、充電FET制御回路35、抵抗R1、及びMOS型FET(M1)を含む。電流検出回路33は抵抗R1を介して電池51への充電電流を検出する。充電FET制御回路35はMOS型FET(M1)をオンオフさせることにより充電動作の作動/停止を制御する。充電回路31は制御回路21aからの指示にしたがい定電流−定電圧充電を行う。
【0035】
充電装置1は電源電圧を入力するための電源端子INとグランド端子GNDを有する。電源端子INを介してACアダプタから充電装置1に電源電圧(Vdd)が供給される。電源電圧(Vdd)は抵抗R3を介して電池パック5に供給され、それによって電池パック5内の抵抗R2に電流が流れる。
【0036】
このとき、電池接続検出回路17は、抵抗R2の電圧(端子1cの電圧)を所定電圧V1と比較し、端子1cの電圧が所定電圧V1より低ければその出力信号を“L”レベルにし、端子1cの電圧が所定電圧V1より高ければその出力信号を“H”レベルにする。なお、所定電圧V1は、電源電圧(Vdd)を抵抗R2と抵抗R3で分圧した電圧より高めに設定してある。このように電池接続検出回路17は、電池パック5内の抵抗R2と充電装置1との間の接続の有無(または良/不良)を検出する。
【0037】
予備充電定電流回路15は制御回路21から出力される定電流制御信号に基き動作する。すなわち、予備充電定電流回路15は、定電流制御信号が“H”レベルになると作動し、ダイオードD1を介して電池51に定電流を供給し、定電流制御信号が“L”レベルになると動作を停止し、電池51への電流を停止する。
【0038】
電池パック電圧検出回路13は電池51の電圧が所定電圧以上であるか否かを検出する。具体的には、電池パック電圧検出回路13は電池51の電圧を第2の所定電圧V2と比較し、電池51の電圧が所定電圧V2より低ければ出力信号を“L”レベルに、高ければ“H”レベルにする。なお、第2の所定電圧V2は、フル充電された場合の電池51の電圧より高く、且つ電源電圧(Vdd)より低い電圧値に設定する。電池パック電圧検出回路13の出力により、電池51の端子5aと充電装置の端子1a間の接続の有無を確認できる。
【0039】
ところで、一般に電池パック5内には電池が過放電状態になったときに電池51と端子5aとの接続を遮断するスイッチ(例えばトランジスタで構成される)が内蔵されている。電池が過放電状態まで使用されるとこの内蔵スイッチがオフするため、この状態で電池パックが充電装置に接続されても、端子1aが解放されたのと同様の状態となり、充電装置側から見ると、電池51が接続されていないように見える。
【0040】
そこで、本実施形態では、電池接続検出回路17により電池パック5の抵抗R2の接続が確認されると、制御回路21は、予備充電定電流回路15を作動させ一定電流を電池パック5に供給する(以下この動作を「初期充電」という。)。これにより、端子1aには少なくとも上記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧Vf分だけの電圧が生じ、この電圧を検出することによって電池が過放電状態にあって内蔵スイッチがオフしている場合でも、電池51の接続を確認することができる。
【0041】
以上のように、予備充電定電流回路15は、過放電電池に対する一般的な予備充電のほか、過放電電池が接続された場合の初期充電を行なう。さらに、予備充電定電流回路15は、充電装置1に電池パック5が装着された場合の充電装置1の端子1a、1cと、電池パック側の端子5a、5cとの接続を確認するために利用される。
【0042】
予備充電定電流回路15が作動中(定電流制御信号が”H”レベル)は、電池51が充電装置1に接続されていれば、端子1aの電圧は充電中の電池51の電圧と等しくなるため、上記の所定電圧V2より低くなる。よって、電池パック電圧検出回路13の出力信号は“L”レベルになる。
【0043】
また、電池パック5が充電装置1に装着されていないか、または、電池側の端子5a、5cと、充電装置1側の端子1a、1cとの間の接続が不良の場合は、接続端子5a、1aの電圧は、予備充電定電流回路15の電源電圧(Vdd)近くまで上昇する。このため、端子5a、1aの電圧は所定電圧V2より高くなり、電池パック電圧検出回路13は“H”レベルの出力信号を出力する。
【0044】
電池接続判定回路19は、電池パック電圧検出回路13の出力信号A、電池接続検出回路17の出力信号B、及び制御回路21からの定電流制御信号Cを入力し、それらの信号に基いて電池51の充電装置1に対する接続状態を判定する。つまり、電池接続判定回路19は制御回路21からの定電流制御信号Cがアクティブ(”H”レベル)のときに、出力信号A、Bに基いて接続確認動作を行なう。なお、制御回路21は接続確認動作のために所定のタイミング毎に定電流制御信号Cをアクティブに制御する。
【0045】
図2に電池接続判定回路19の回路例を示す。電池接続判定回路19はAND回路19a、19b、OR回路19c、及びRSフリップフロップ19dからなる。また、以下にこの電池接続判定回路19の真理値表を示す。
【表1】
Figure 0003917014
【0046】
真理値表において、No.1から4までは、予備充電定電流回路15が停止している(定電流制御信号が“L”レベル)場合の信号の組み合わせを示している。No.5から8までは、予備充電定電流回路15が作動している(定電流制御信号が“H”レベル)場合の信号の組み合わせを示している。
【0047】
真理値表のNo.5の場合(A=“L”、B=“L”、C=“H”)、電池パック電圧検出回路13の出力信号Aに基いて電池端子5a、1aの接続が正常と判定され、また、電池接続検出回路17の出力信号Bに基いて電池パック5の抵抗R2が接続されていると判定される。この場合、電池接続判定回路19において、AND回路19bから“H”が出力され、RSフリップフロップ19dがリセットされ、RSフリップフロップ19dの出力Qが“L”レベルにされ、制御回路21に「電池が正常に装着されている」ことが通知される。
【0048】
真理値表のNo.3、6、7、8の場合、すなわち、電池接続検出回路17の出力信号Bに基いて電池パックの抵抗R2が接続されていないと判定される場合、または、電池パック電圧検出回路13の出力信号Aに基いて電池端子5aの接続が異常である判定される場合、電池接続判定回路19において、OR回路19cから“H”が出力され、RSフリップフロップ19dがセットされ、その出力Qが“H”レベルにされて、制御回路21に「電池が正常に装着されていない」ことが通知される。
【0049】
制御回路21は電池接続判定回路19からの信号を受けて、電池端子5a及び抵抗R2の接続が正常に行なわれている場合は、充電動作を行ない、それらの接続が正常に行なわれていない場合は、充電動作を停止または行なわないように充電回路31を制御する。
【0050】
以上のように、本実施形態の充電装置においては、電池パック5内の電池51との接続、及び電池パック5内の抵抗R2との双方の接続を検出し、それらの接続がともに正常に行なわれていることを確認できたときに、電池パック5と充電装置とが正常に接続されているとし、充電動作を行なう。これにより、電池パックの接続が不良による不完全な充電動作の実行を防止できる。
【0051】
<実施の形態2>
図3を用いて本発明に係る電池パックの充電装置の別の例を説明する。
本実施形態の充電装置1'と実施の形態1のものとの違いは、電池接続判定回路19の機能を制御回路21内に移行し、その機能をプログラムで実現したこと、及び電池パック電圧検出回路13の判定レベルを2つ設けたことである。また、図3に示す充電装置1'においては、図1の電池パック電圧検出回路13に代わりに、電池パック5の電圧値を測定する電池パック電圧測定回路13aを設け、さらに抵抗R2の接続を確認するための電圧を発生させる基準電圧発生回路16を備える。なお、電池接続判定回路19の機能は制御回路21内において電池接続判定部23で行なう。
【0052】
本実施形態の制御回路21aの電池接続判定部23の動作を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
ACアダプタ(図示せず)が端子IN、GNDを介して充電装置1'に接続されると、制御回路21aは動作を開始する(ステップS1)。電池接続判定部23はまず電池接続検出回路17の出力信号Bを調べ、電池51との接続を検出する(ステップS2)。出力信号Bが“H”レベルの場合、電池パック5の抵抗R2が接続されていない(すなわち電池パック5が接続されていない)と判定し、電池接続異常とし(ステップS13)、充電を停止、または、充電動作を開始しない(ステップS14)。
【0054】
一方、電池接続検出回路17の出力信号Bが“L”レベルの場合(ステップS2)、電池パック5の抵抗R2が接続されていると判定し、次に、電池パック5の電池51の電圧測定値を電圧測定回路13aから入力する(ステップS3)。
【0055】
そして、電池パック5の電池51の測定電圧値と、第1の基準電圧とを比較し(ステップS4)、正常状態にある(過放電状態でない)電池が接続されたか否かを判断する。なお、第1の基準電圧は電池パック5の電池51が過放電された場合の電池51の電圧値に設定され、例えばリチウム電池の場合は2.0V〜2.2Vに設定される。
【0056】
電池パック5の電池51の測定電圧が第1の基準電圧以上であれば、電池側の端子5aが充電装置1'側の端子1aに接続されており、且つ電池51の電圧が正常電圧の範囲内にあるということになる。故に、このとき、正常な電池が接続されている(正常電池接続)と判定し、第1の充電モードで充電を行う(ステップS9、S10)。なお、「第1の充電モード」は、電池51が過放電状態にない場合に行なう通常の充電方式であり、一般的な定電流−定電圧充電を行う。
【0057】
一方、電池パック5の電圧が第1の基準電圧以下の場合は、次の2つの可能性が考えられる。
i)電池パック5の端子5aが充電装置1'の端子1aに接続されていない。
ii)電池パック5の接続端子5aが充電装置1'の端子1aに接続されているが、電池51の電圧が過放電電圧以下になっている。この場合は、電池パック5の内蔵スイッチにより端子5aが解放端になる。
【0058】
電池パック5の電圧が第1の基準電圧以下の場合(ステップS4)、制御回路21は定電流制御信号を出力して予備充電定電流回路15を作動させ電池状態判別のための予備充電を行ない、所定時間経過後に再度電池パック5内の電池51の電圧を調べる(ステップS5〜S7)。なお、電池パック5の内蔵スイッチにより端子5aが解放端になっている場合には、予備充電定電流回路15によって充電装置1の電池端子電圧が上昇し、安定するまでに若干の時間がかかることから、所定時間の経過を待って電池51の電圧を再度調べるようにしている。
【0059】
電池パック5の接続端子5aの電圧を第2の基準電圧と比較し、電池51が接続されているか否かを判定する(ステップS8)。ここで、第2の基準電圧は電池パック5の電圧がフル充電された場合の電圧より高く、且つ予備充電定電流回路15の電源電圧(Vdd)よりやや低い電圧値に設定する。電源電圧(Vdd)を5Vとすると、第2の基準電圧は電源電圧(Vdd)に近い電圧値、例えば4.9Vに設定する。
【0060】
接続端子5aの電圧が第2の基準電圧以上の場合、電池51が接続されていない(すなわち、上記i)の場合に該当する)とし、「電池接続異常」として充電を停止、または、充電動作を開始しない(ステップS13、S14)。
【0061】
接続端子5aの電圧が第2の基準電圧より下の場合、過放電状態にある電池51が接続されている(すなわち、上記ii)の場合に該当する)とし、「過放電電池接続」と判定して、第2の充電モードで充電を開始する(ステップS11、S12)。ここで、「第2の充電モード」は、過放電電池に対する充電方法で、所定の電圧まで予備充電を行った後、一般的な定電流−定電圧充電を行う充電方式である。
【0062】
以上のように本実施形態の充電装置によれば、複数の基準電圧を設けることにより、電池の接続の検出に加えて、電池の放電状態をも検出するため、電池の放電状態に応じたより適切な充電制御が可能になる。
【0063】
本発明によれば、従来の回路とほぼ同様の回路構成で、電池パックに内蔵された抵抗又はサーミスタの接続を調べることに加えて、電池端子の接続の有無、更に電池電圧までも調べる。これによって、充電装置と電池パックの装着状態が詳しく解かるようになり、接続状態および電池の電圧状態の応じて充電の開始、および停止、更に充電モードまで細かく設定できるようになる。なお、上記接続状態および充電状態を使用者に音声や表示により報知するための手段を設けてもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、従来とほとんど同じ回路構成で、充電装置と、電池パックに内蔵されたサーミスタもしくは抵抗の接続を調べることに加えて、電池端子の接続の有無を検出し、充電装置と電池パックの接続状態が詳しく解かるようになったため、接続状態に応じて充電の開始、および停止の設定できるようになり、電池端子が接続されていないのに充電を行ったり、サーミスタの接続不良に気付かず、温度制御ができないまま充電を行ったりしまうというミスを防ぐことができるようになった。
【0065】
さらに、電池パックの電圧を2段階で判定することによって、電池接続状態の他に、電池の放電状態を知ることができ、制御回路のプログラムと組み合わされ、きめ細かな制御による充電が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施の形態1の充電装置の構成を示した図
【図2】 電池接続判定回路の具体的構成を示した図
【図3】 本発明に係る実施の形態2の充電装置の構成を示した図
【図4】 電池接続判定部の動作を示すフローチャート
【図5】 従来の電池パックの充電装置の構成を示した図
【符号の説明】
1、1' 充電装置
1a〜1c 充電装置側の接続端子
5 電池パック
5a〜5c 電池パック側の接続端子
11 充電制御回路
13 電池パック電圧検出回路
13a 電池パック電圧測定回路
15 予備充電定電流回路
17 電池接続検出回路
19 電池接続判定回路
21、21a 制御回路
23 電池接続判定部
31 充電回路
51 電池
D1 ダイオード
M1 MOSトランジスタ
R1、R3 抵抗
R2 抵抗(又はサーミスタ)

Claims (8)

  1. 充電可能な電池と、該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子とを内蔵した電池パックを充電する充電装置において、
    前記電池パック内の電池を定電流、定電圧で充電する充電回路と、
    前記電池パック内の電池の端子と、前記充電装置との間の接続の有無を検出する電池端子接続検出回路と、
    前記電池パック内の検出用素子と、前記充電装置との間の接続の有無を検出する検出端子接続検出回路と、
    前記充電回路を制御する制御回路と、
    前記電池端子接続検出回路の出力信号と、前記検出端子接続検出回路の出力信号とを入力し、それらの信号に基いて充電装置と電池パックの接続状態を判定する電池接続判定回路と
    前記電池パックの電池に予備充電を行うための電流を供給する予備充電定電流回路と
    を備え、
    前記制御回路は、電池接続判定回路の判定結果に基いて、充電装置と電池パックの接続が正常になされているときに充電回路を作動させるよう制御する回路であり、
    更に、
    前記検出端子接続検出回路が、前記検出用素子と前記充電装置との間の接続の存在を検出した場合、
    前記制御回路は、前記予備充電定電流回路を作動させ一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
    このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
    ことを特徴とする充電装置。
  2. 前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
  3. 充電可能な電池と、該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子とを内蔵した電池パックを充電する充電装置において、
    前記電池パック内の電池を定電流、定電圧で充電する充電回路と、
    前記電池パック内の電池の電圧値を測定する電池パック電圧測定回路と、
    前記検出用素子に電流を供給する手段と、
    前記供給された電流によって前記検出用素子に発生した電圧を検出し、充電装置と電池パック間の接続の有無を検出する電池接続検出回路と、
    前記電池パックの電池に予備充電を行うための電流を供給する予備充電定電流回路と、
    前記充電回路を制御する制御回路と、
    前記電池パック電圧測定回路による電池パックの電池の電圧測定値と、前記電池接続検出回路の出力信号とを入力し、それらの信号に基いて、充電装置と電池パックの接続状態と、電池の放電状態とを判定する電池接続判定手段とを備え、
    前記制御回路は、該電池接続判定手段の判定結果にしたがい前記充電回路を作動させる回路であり、
    更に、
    前記電池接続検出回路が、前記検出用素子と前記充電装置との間の接続の存在を検出した場合、
    前記制御回路は、前記予備充電定電流回路を作動させ一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
    このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
    ことを特徴とする充電装置。
  4. 前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電圧を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項3に記載の充電装置。
  5. 充電可能な電池、及び該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子を内蔵した電池パックと、その電池パックを充電する充電装置との接続を検出する方法において、
    前記電池パック内の電池の端子と前記充電装置との間の接続の有無を検出し、
    前記電池パック内の検出用素子と前記充電装置との間の接続の有無を検出し、
    電池パック内の電池の端子と充電装置との接続がなされており、且つ、電池パック内の検出用素子と充電装置との接続がなされている場合に、電池パックが充電装置に正常に接続されていると判定する検出方法であって、
    前記検出用素子と前記充電装置との間の接続の存在が検出された場合、一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
    このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
    ことを特徴とする検出方法。
  6. 前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電圧を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
  7. 充電可能な電池、及び該電池の充電中の温度又は該電池の充電装置への装着を検出するための検出用素子を内蔵した電池パックと、その電池パックを充電する充電装置との接続を検出する方法において、
    前記電池パック内の電池の電圧値を測定し、
    前記充電装置と前記電池パックとの間の接続の有無を検出し、
    前記電池パック内の電池の電圧測定値と、充電装置と前記電池パックとの間の接続の検出結果に基いて、充電装置と電池パックの接続状態と、電池の放電状態とを判定する検出方法であって、
    前記充電装置と前記電池パック内の検出用素子との間の接続の存在が検出された場合、一定電流を前記電池パックに供給して初期充電を行い、
    このとき、前記電池パック内の電池が過放電状態であり電池と電池パックの端子との接続を遮断する内蔵スイッチがオフ状態であるならば、前記充電装置の端子に、前記一定電流により前記内蔵スイッチが有する寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電位を生じさせる
    ことを特徴とする検出方法。
  8. 前記充電装置の端子の、前記内蔵スイッチの寄生ダイオードの降伏電圧分だけの電圧を検出することにより、過放電状態にあり内蔵スイッチがオフしている電池を含む電池パックの接続の有無を判断することを特徴とする請求項7に記載の検出方法。
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