JP3916611B2 - 鉄道車両の駆動機構 - Google Patents
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Description
通常、鉄道車両の床下には、主電動機等の大型の機器類が配置され、これらが車両の床面を低くする際の障害となっている。そこで、台車の外側の両側に回転軸が車両進行方向に向くように配置された電動機を設け、該電動機軸と、車軸が車両進行方向に直交するように配置された車軸とを歯車装置を介して連結した低床式鉄道車両が提案されている(特許文献1、特許文献2等参照)。
上記構造とすれば、車両の床下には、電動機等の大型の機器類が配置されず、床面を低くすることができる。
同図において、電動機1の回転軸は車両進行方向と平行となるように配置され、該電動機1の回転軸は、カップリング装置3を介して車両進行方向の前後に設けられた2つの歯車装置2に連結される。
歯車装置2には、車輪4が固定された車軸5が連結され、歯車装置2は電動機の回転軸の軸方向を90度方向変換し、歯車装置2に対して車両中心側に設けられた車軸5に電動機1の回転を伝達する。
上記車軸5は、軸受装置6を介して台車枠7に取り付けられ、上記電動機1、歯車装置2、カップリング装置3、車輪4、車軸5からなるユニットは、台車枠7の両側に設けられ、電動機1により車両進行方向の前後の車輪がそれぞれ駆動される。
図5(b)に示すように、台車枠7が緩衝装置9を介して車体8の下部に取りつけられている。台車枠7の外側に車輪4と歯車装置2が配置され、該歯車装置2に図1に示すように、電動機1の回転軸が連結されている。
図4、図5に示すように、車輪4、歯車装置2、電動機1等が台車枠7の両側に配置されているので、車体8の床面Aを車軸5の高さとほぼ等しくすることができ、低床式車両を実現することができる。なお、上記電動機1、歯車装置2、車輪3等が設けられた部分は、図5(b)に示すように段差部Bができるが、この部分は座席等として利用することができる。
このため、左右輪を同一の電動機で駆動する従来型の鉄道車両と比べると、タイヤ交換の頻度を多くする必要がある。
しかし、上記構造の車両は、車輪4の外側に電動機1に連結された歯車装置2が取り付けられ、また、車輪4のすぐ内側には台車枠7があり、上記歯車装置2が邪魔になって、このままでは車輪4のタイヤを交換することはできない。
しかし、上記車輪4と歯車装置2と電動機1等から構成されるユニットは大型で重量があり、また、車軸4の軸受装置6は台車枠7に取り付けられ、台車枠7から軸受装置6を取り外さねば上記ユニットを取り外すことはできず、さらに、電動機1も台車枠7に固定されているため、上記ユニットを簡単に取り外すことはできない。
なお、車軸5と車輪4は、通常、嵌めあいにより強固に固定されており、車輪4だけを車軸5から容易に取り外すことはできない。なお、上記車輪4と車軸5が一体となったものを輪軸という。
このため、従来においては、車輪のタイヤ交換作業には多くの労力を要していた。また、歯車装置の軸受けなどを点検する際も、歯車装置を単独で取り外すことはできないので、上記のようにユニット毎等に取り外す必要があり、同様に多くの労力を要していた。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、輪軸から歯車装置を容易に取り外せるようにすることにより、上記輪軸を台車から取り外すことなく、車輪のタイヤ交換作業、歯車装置の点検を容易に行うことができるようにした鉄道車両の駆動機構に関するものである。
(1)車軸が軸受装置を介して台車枠に取り付けられ、台車の側面に、回転軸が車両進行方向に配置された電動機が取り付けられ、該電動機の回転軸に、回転軸の軸方向を90度方向変換する歯車装置が連結され、該歯車装置は、該歯車装置が回転しないように設けられた吊りリンクを介して台車枠に取り付けられ、該歯車装置の車両中心側に車輪が配置され、上記車輪が固定された上記車軸は上記歯車装置を介して上記電動機の回転軸に連結され、歯車装置と電動機の回転軸は、結合を切り離すことが可能なカップリング装置を介して連結された鉄道車両の駆動機構において、上記車軸は、上記歯車装置の回転軸に対して車軸の軸方向にスライド可能とされ、かつ、車軸と歯車装置の回転軸が一体で回転するように回転止め機能を備えた連結機構を介して歯車装置の回転軸に取り付けられる。そして、上記吊りリンクを取り外し、歯車装置と電動機の回転軸の結合をカップリング装置のところで切り離すことで、上記歯車装置が車輪の軸方向に取り外すことができる。
(2)上記車輪と歯車装置の回転軸を連結する連結機構をスプラインもしくはセレーションとする。
なお、上記(1)(2)の構成において、車体の左右に配置された車輪を車軸で連結し、該車軸を一台の電動機で駆動するようにしてもよい。
また、上記歯車装置にスリップリング、速度計発電機の歯車等を取り付けておけば、これらら点検、交換も容易に行うことができる。
図1は、本発明の実施例の駆動機構の詳細構成を示しており、図1は上記歯車装置2と車軸2との連結部分の断面構成を示している。
図1において、電動機1の回転軸1aはカップリング装置3を介して、歯車箱2cに取り付けられた回転軸3aに連結されている。回転軸3aは、軸受2eにより回転可能に支持される。回転軸3aには小歯車2dが設けられ、この小歯車2dは大歯車2aと噛合っている。この大歯車2aは回転部材2bに取り付けられ、この回転部材2bは、歯車箱2cに設けられた軸受2fにより回転可能に支持されている。上記回転部材2bは中空状であり、内側に雌スプライン歯が形成されている。
また車軸5の先端部5aには雄スプライン歯が形成され、このスプライン歯は、前記大歯車2aが取り付けられた回転部材2bに形成されたスプライン歯と係合する。すなわち、車軸5は、上記大歯車2aと一体で回転するが、上記車軸5の先端部5aに対して、大歯車2aが取り付けられた回転部材2bは軸方向に移動可能である。
また、上記車軸5の先端部5aの端部には、例えばスリップリング10が軸端ナット11により取り付けられている。車軸5の先端部5aの端部を軸端ナット11で止めることにより、車軸5の先端部5aに対して回転部材2bが軸方向に移動するのを防ぐことができる。なお、スリップリング10に換え、速度計発電機用歯車等を取り付けてもよい。
前記歯車箱2cは、前記したように上記軸受2f、スプラインを介して車軸5に支持されており、車軸5が回転すると、歯車装置2に軸周りの回転力が加わる。上記のように吊りリンク12を設けることで、上記歯車装置2が回転しないようにすることができ、カップリング装置3などに回転力が加わるのを防止することができる。
また、スリップリング10は、回転部材2bに取り付けられているので、車輪4ともに回転する。スリップリング10は接地装置に接続され、スリップリング10を介して接地装置に電流を流すことができる。
また、上記スリップリングに換えて歯車を取り付ければ、この部分で速度検出を行うことができる。
まず、車両全体をクレーン等で吊り上げ、前記吊りリンク12を取り外し、軸端ナット11を取り外す。また、カップリング装置3のところで、電動機1と歯車装置2の結合を切り離す。
前記したように、車軸5と、歯車装置2の大歯車2aが取り付けられた回転部材2bは、スプライン結合であり、回転部材2bは車軸5に対して軸方向に移動可能に構成されているので、上記のように、吊りリンク12、軸端ナット11を取り外し、電動機1と歯車装置2の結合を切り離すことで、歯車装置2を車軸5から取り外すことができる。
上記のように歯車装置2を取り外せば、車輪4の外側には邪魔なものはなくなるので、この状態で車輪4のタイヤ4aを外してタイヤ交換を行う。また、歯車装置2も車体から取り外すことができるので、歯車装置2の軸受などの点検・交換を行うことができる。
車輪4のタイヤ交換、または歯車装置2の点検が終わったら、上記歯車装置2を取り付け、軸端ナット11、吊りリンク12を取り付け、クレーンで吊り上げていた車体を線路上に降ろす。
なお、上記実施例では、車軸と大歯車の連結機構として、スプラインを設ける場合について説明したが、この連結機構はセレーションであってもよく、要するに、歯車装置の回転軸に対して車軸がその軸方向にスライド可能で、かつ、車軸と歯車装置の回転軸が一体で回転するように回転止め機能を備えた連結機構であれば、その他の機構であってもよい。また、上記では、軸端ナット11により、車軸5の先端部5aの端部を止める様に構成したが、上記軸端ナット11は必ずしも必要ではない。すなわち、歯車装置2は前記したように吊りリンク12で台車枠7に固定されているので、上記軸端ナット11を設けなくても、歯車装置2が車軸に対して移動したり、走行中に抜け落ちることはない。
上記実施例では、前記図4に示したように、1台の電動機で車両前後方向に設けられた2個の車輪を駆動するように構成したが、本実施例では、車両の両側の車輪を車軸で連結し、1台の電動機で、車両の両側に設けられた2個の車輪を駆動するように構成したものである。
図3において、電動機1の回転軸は車両進行方向と平行となるように配置され、該電動機1の回転軸は、カップリング装置3を介して歯車装置2に連結される。
歯車装置2には、車輪4が固定された車軸5が連結され、歯車装置2は電動機の回転軸の軸方向を90度方向変換し、歯車装置2に対して車両中心側に設けられた車軸5に電動機1の回転を伝達する。
上記車軸5は軸受装置を介して台車枠7に取り付けられ、この車軸5により、台車枠7の両側に設けられた車輪4が連結されている。電動機1は台車枠7の両側に設けられ、それぞれ上記車軸5で連結された2個の車輪を駆動する。
歯車装置2の構成は、前記図1に示したものと同様であり、車軸5と前記大歯車2aがスプラインで連結されており、前記したように、歯車装置2を車軸5から取り外すことができる。
また、上記したように歯車装置2を車軸5から取り外すことができるので、車輪4のタイヤ交換や歯車装置の軸受等の点検交換を容易に行うことができる。
1a 回転軸
2 歯車装置
2a 大歯車
2b 回転部材
2c 歯車箱
2d 小歯車
2e 軸受
2f 軸受
3 カップリング装置
3a 回転軸
4 車輪
4a タイヤ
4b 輪芯
5 車軸
6 軸受装置
7 台車枠
8 車体
9 緩衝装置
10 スリップリング
11 軸端ナット
12 吊りリンク
Claims (3)
- 車軸が軸受装置を介して台車枠に取り付けられ、台車の側面に、回転軸が車両進行方向に配置された電動機が取り付けられ、該電動機の回転軸に、回転軸の軸方向を90度方向変換する歯車装置が連結され、該歯車装置は、該歯車装置が回転しないように設けられた吊りリンクを介して台車枠に取り付けられ、
該歯車装置の車両中心側に車輪が配置され、
上記車輪が固定された上記車軸は上記歯車装置を介して上記電動機の回転軸に連結され、
歯車装置と電動機の回転軸は、結合を切り離すことが可能なカップリング装置を介して連結された鉄道車両の駆動機構であって、
上記車軸が、上記歯車装置の回転軸に対して車軸の軸方向にスライド可能であり、かつ、車軸と歯車装置の回転軸が一体で回転するように回転止め機能を備えた連結機構を介して歯車装置の回転軸に取り付けられ、
上記吊りリンクを取り外し、歯車装置と電動機の回転軸の結合をカップリング装置のところで切り離すことで、上記歯車装置が車輪の軸方向に取り外し可能に構成されている
ことを特徴とする鉄道車両の駆動機構。 - 上記車輪と歯車装置の回転軸を連結する連結機構が、スプラインもしくはセレーションである
ことを特徴とする請求項1の鉄道車両の駆動機構。 - 車体の左右に配置された車輪は、車軸で連結され、該車軸は一台の電動機で駆動される
ことを特徴とする請求項1または請求項2の鉄道車両の駆動機構。
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