JP3916566B2 - 案内トラフ - Google Patents

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Description

本発明はエネルギー案内チェーン用の案内トラフに関し、特にトラフの長手方向に対する幅方向の左右両側で互いに平行に対面する一対の側部案内要素及びこれら側部案内要素の対面間隙内の底部案内要素からなる複数の案内要素を備え、これら側部案内要素の間又は底部案内要素上でエネルギー案内チェーンをトラフ内に収容配置可能な案内トラフに関するものである。
この種の一般的な案内トラフは、壁や梁等の実質的に垂直な縦面に案内トラフを取り付ける必要のある特定分野の用途に供される。このような取付条件は、必ずしも限定されるものではないが例えばクレーン設備でエネルギー案内チェーンを用いる場合に該当し、その場合、エネルギー案内チェーンは上側部分、下側部分及び転回部分を形成して上位区間及び下位区間を含むループ状の経路に沿って配置されることになる。
従来、案内トラフは縦面に取り付けられていたが、この場合、先ず最初に少なくとも案内トラフと同幅で壁又は梁から側方外部へ突出した支持構体を縦面に取り付け、次いで案内トラフの底部を支持構体にネジ止めして縦面に対する間接的な案内トラフの固定を果たしていた。このような案内トラフの取り付けは、縦面への支持構体の取付及び支持構体に対する案内トラフの固定のいずれも手間のかかるネジの締め込みが必須であるので、極めて多くの時間と作業量を必要とするものであった。その上、支持構体も案内トラフもエネルギー案内チェーンの予定移動経路に整列させなければならなかったのである。
そこで、本発明の課題は、構成が単純で、しかも低い組立コストで縦面に取り付けることのできる案内トラフを提供することである。
本発明は、冒頭に述べた形式の案内トラフにおいて、案内要素を梁や壁などの実質的な縦面に支持するための支持構造としてトラフ長手方向に間隔をあけて配置された複数の支持要素を設け、これら支持要素に各案内要素を着脱可能に取り付け、更にこれら支持要素を実質的な縦面に取り付けるための取付手段を設け、前記支持要素のそれぞれと前記案内要素のそれぞれとに、互いに対応する雄雌嵌合結合構造の着脱可能な相互結合手段を一体成形することにより上述の課題を解決したものである。これらの相互結合手段は、案内トラフを構成する一つ以上の支持要素と案内要素、但し好ましくは全ての支持要素と案内要素に一体成形される。支持要素と案内要素に相互結合手段を一体成形することにより、案内トラフの組み立てを極めて簡略化することができる。この場合、相互結合手段は、各支持要素の組立により各案内要素のための取付領域が既に一列に揃い、それにより縦面に対する位置決めも決定されるように構成しておくことが好ましい。
各支持要素は、少なくとも対の一方の側部案内要素を実質的な縦面で支持する支持基部を少なくとも一つ備えていることが有利であり、これにより案内トラフの片側における側部案内要素に対する取付部が既に用意されることになり、同時に各案内要素の取付及び整列が更に簡素化されることになる。
案内トラフの長手方向における各支持要素の長さは、各案内要素の長さよりも短くし、特に案内トラフの幅寸法よりも短くすることが好ましい。但し、この支持要素の長さは、案内要素の長さ以下又は以上とすることも可能である。各案内要素の長さは、案内トラフの幅寸法の倍数とすることが好ましい。各支持要素の幅寸法は案内トラフの幅寸法と同等以上とし、それによって支持要素がその全幅で案内要素を支持できるようにすることが好ましい。但し、各支持要素の幅寸法はもっと短くすることも可能である。
これらの支持要素は、縦面に対して間接的或いは直接的に取付可能である。
案内要素を梁や壁などの実質的な縦面に支持するための支持構造は好ましくは3〜5又はそれ以上の多連配置の支持要素を有し、これら支持要素は互いに対面配置されて案内トラフの長手方向で互いに離間されていると共に、各支持要素は各一つの案内要素毎に設けられている。各支持要素の幅寸法は、縦面に設けられた取付領域の幅とほぼ同等又はそれより僅かに小さくすることができる。特に、支持要素は長尺型材を短尺に切断することによって製作することができ、この場合は、縦面に設ける取付領域には例えば貫通孔又は有底盲孔を設けておくだけでよい。
各支持要素はそれぞれ一部品で構成することが好ましいが、場合によっては複数部品の組み合わせとし、例えば個々に縦向きの面で支持する支持基部を有するものとしてもよい。その場合、個々の支持要素の構成部品には部品相互の結合手段を一体成形しておくことが好ましい。これらの支持要素をエネルギー案内チェーンの様々な寸法(例えば幅及び/又は高さ)及び/又は取付対象縦面の様々な傾きに適合させるために、各支持要素には、その寸法及び/又は幾何学形状を変更するための調整手段又は適切なアダプタやスペーサなどを付加してもよい。
ここで、支持要素と案内要素との結合手段及び/又は支持要素構成部品相互の結合手段は、これら要素又は部品に一体成形されたものだけで構成するのが有利である。
案内要素のために各支持要素に設けられる少なくとも一つの縦向き支持基部は、各支持要素における縦面側、或いはその反対側に設けられる。好ましくは、縦面に近い方の案内要素と縦面から遠い方の案内要素のための両方の縦向き支持基部が支持要素に一体成形されるが、勿論、本発明はこれに限定されるものではない。
各支持要素は、縦面への取付部分から或る角度で案内要素の下部に位置する支持部分を有することが好ましく、この支持部分は有利には案内要素の方向に延在し、対応する少なくとも一つの案内要素のための側方支持基部を形成している。従って、支持要素は好ましくはほぼL字形、Z字形又はU字形の外形を有し、その端側の脚部の一つで縦面に取り付けられる。
特にU字形の外形を有する支持要素の場合、両側の脚部は高さが異なっていてもよい。この場合、長い方の脚部に支持要素を縦面に取り付けるための取付手段を設けることが好ましい。このような取付手段としては、例えばネジ等の別の取付手段を受け入れる貫通孔又は有底盲孔を設けておくことができ、勿論、その他の適切な取付手段を設けてもよい。
支持要素の外形とは無関係に、その案内要素用の一方又は両方の側方支持基部は案内トラフよりも低い高さ寸法のものとしてもよい。これにより、案内トラフの各側部案内要素は各支持要素の側部の脚部よりも高くなる。縦向き支持基部は、好ましくは各案内要素の高さの半分以上、例えば2/3以上に亘って延在する。
各支持要素と各案内要素との相互結合手段は、互いに対応する凸部と凹部の形態で構成することが好ましい。相互結合手段は、雄雌嵌合結合、特にスナップ嵌合結合構造で構成でき、この場合、案内要素を支持要素に押し込むことで結合を達成可能とすることもできる。この結合のために両要素を動かすべき方向は、案内トラフの長手方向、或いはこれと直交する一方向に定めることができるが、勿論、これに限定されるものではない。場合によっては、各案内要素を例えば横方向への枢動運動で支持要素に取り付けるようにしてもよく、この場合、この枢動運動によって凸部が対応する凹部に挿入され、着脱可能に支持要素に取り付けられるようにすればよい。相互結合手段は、必要に応じて上記以外の別の適切な形態で構成してもよい。支持要素と案内要素との相互結合手段によって同時に支持要素に対する案内要素の変異防止位置決め手段を構成してもよく、或いは必要に応じて別体の変異防止要素を付設してもよい。
各案内要素は、側面及び/又は底面から外向きに突出して支持要素の対応する凹部に係合する複数の凸部を備えていることが好ましい。これらの凸部は案内要素の全長又はその一部に亘って延在する突出長とすることができ、また厚さと幅も補強リブを兼ねる程度のものとすることができる。この場合、凸部の厚さと幅は案内要素の壁厚の半分から全厚までの範囲内、或いはそれ以上とすることができるが、これに限定されるものではない。また、これらの凸部は矩形断面形状に限らず、ほぼ円形、楕円形又は長円形或いはその他の非円形断面形状のものとすることができる。場合によっては、案内要素の長手方向に連続する複数の相互結合用凸部を各案内要素に一体成形しておいてもよい。また、案内中のエネルギー案内チェーンを支持する少なくとも一つの凸部を底部案内要素に設けたり、案内中のエネルギー案内チェーンを側方から案内する少なくとも一つの別の凸部を側部案内要素に設けておいてもよい。
各案内要素は、その高さ及び/又は幅方向に関してエネルギー案内チェーンを収容する案内トラフの領域全体に亘って一部品として延在することが好ましく、それにより、案内トラフがエネルギー案内チェーンの下方もしくは上方に位置した際にエネルギー案内チェーンの両側面と下面もしくは頂面とが部分的に又は完全に各案内要素によって保護及び案内されることになる。この場合、エネルギー案内チェーンは下側のチェーン部分が下位区間にあり、その上に上側のチェーン部分の一部が載っている状態であり、上位区間にはエネルギー案内チェーンの転回部分の最高位から自己支持状態の部分にある上側のチェーン部分が存在している。各案内要素、即ち、多連に配置されてスペーサで離間されているか又は対面状に当接されている複数の案内要素は、好ましくは案内トラフの全長に亘って連続する閉鎖状の側壁及び/又は底壁もしくは頂壁を形成することができる。従って、各案内要素の高さ寸法は、下位区間において上側チェーン部分と下側チェーン部分の重なりの全高を超える寸法とすることが好ましい。
各案内要素は、特にほぼL字形の断面形状とすることが好ましく、この場合、案内トラフの横断面は二つの互いに接した或いは側方に離間した案内要素によって形成することができ、離間した案内要素の場合は下位区間におけるそれぞれの底部の脚部を互いに向い合う方向に曲げておくことができる。各案内要素はほぼU字形の断面形状に構成することもでき、この場合はエネルギー案内チェーンを両側だけでなく底部でも案内することができる。勿論、これ以外にも、必要に応じて縦方向及び/又は横方向で互いに離間した複数の側部案内要素を設けてもよい。
案内要素を支持要素に結合するための凸部は、対の一方の各側部案内要素、好ましくはその上半分部分内に、そして底部案内要素ではそれぞれ側部案内要素に隣接した位置に設けておくことが望ましい。これにより、L字形及びU字形のいずれの断面形状の案内要素でも支持要素に確実に結合することが可能となる。
支持要素に対する案内要素又はカバー要素の結合手段は、支持要素を縦面又は取付型材に取り付ける取付手段もしくはその位置に対して高さをずらして配置しておくことが好ましい。
支持要素及び/又は案内要素の相互結合手段は互いに向かって突出していることが好ましく、それにより、案内要素の外面を支持要素の取付手段から離間させた状態で支持要素に結合可能となる。この結果、案内要素と支持要素との間には両者間の結合部分に至るまでのスロットもしくはスリット状の空間が形成され、これにより各部の製造公差を吸収できると共にエネルギー案内チェーンの走行運動時に生じる騒音の減衰も達成可能である。
各案内要素の底部に配置される相互結合手段は、好ましくは案内トラフの長手方向に延在する帯状の形態の凸部を含んでおり、これらの帯状凸部は移動するエネルギー案内チェーンの側部の幅高さの範囲内に配置されている。この場合、帯状凸部の横断長は好ましくはエネルギー案内チェーンの側部の幅高さ又はその案内要素上における接触面の幅高さにほぼ等しくするが、勿論これに限定されるものではない。
案内トラフの長手方向における長さ寸法の異なる複数の案内要素を設けることも有利であり、これらは互いに任意に入れ替えて同じ支持要素に結合可能とするとよい。同様に、これら異なる案内要素の相互結合手段も、例えば案内トラフの或る基準点に関して同じ縦方向高さ及び/又は同じ幅位置にそれぞれ配置しておくことができる。場合によっては、支持要素及び/又は案内要素に複数の縦方向及び/又は横方向に離間した相互結合手段を設けておき、長さ寸法の異なる案内要素を一種類の同じ支持構体に結合できるようにしてもよい。
各案内要素は、いずれにしても弾性変形可能な材料、即ち案内トラフの荷重を受けても実質的に剛性な材料、特にプラスチック材料で製作することが可能である。また各支持要素は、実質的に剛性の材料、例えばプラスチック材料又は軽金属で製作されるが、勿論、これに限定されるものではない。
本発明の好適な一実施形態によれば、案内トラフは支持要素とこれに付属する側方及び/又は上方カバー要素とを含み、これらのカバー要素は、好ましくは支持要素及び案内要素に一体成形された対応する結合手段を有している。カバー要素は、上位区間のエネルギー案内チェーン、即ち転回部分の最高位から自己支持状態の部分にある上側のチェーン部分を側方及び/又は上方から部分的に、好ましくは完全にカバーし、それによりエネルギー案内チェーンを外部からの作用から保護する。このカバーは、好ましくはエネルギー案内チェーンのストランド全高及び/又は全幅に亘るものであり、また案内トラフの全長に亘るものである。カバー要素は、単に副次的な案内機能を持つだけのものであり、或いは何らの案内機能も持たないものであってもよい。これらの支持要素及び/又はカバー要素は、エネルギー案内チェーンの下側チェーン部分に属する支持要素及び案内要素と同じ構造とすることもでき、これから判るように、以上の説明の全ては上側チェーン部分に属する支持要素及びカバー要素、特にその各結合手段の構成に当てはまることである。
本発明の別の好適な一実施形態によれば、案内対象のエネルギー案内チェーンの下方及び上方に位置する支持要素は、場合によっては別々のスペーサによって互いに結合され、更に好ましくは一体品として構成されている。このような支持要素は、特に一体の長尺型材として、例えば押出型材又は連続鋳造型材として構成することができる。
互いの側方支持基部を向かい合わせにして上下に配置される支持要素同士の間隔は、案内対象のエネルギー案内チェーンの転回部分の高さよりも僅かに大きくなるようにすることが好ましい。この場合、エネルギー案内チェーンの上側チェーン部分と下側チェーン部分の双方に属する各支持要素部分には、案内トラフを縦面に固定するための取付手段を設けておくことができる。
本発明の別の好適な一実施形態によれば、案内対象のエネルギー案内チェーンの長手方向に延在する長尺取付型材が設けられており、この取付型材は、案内トラフ、即ちエネルギー案内チェーンの長手方向に沿って多連配置された複数の支持要素を保持するように構成されている。この取付型材には、自身を縦面に固定するための例えば結合要素又はスナップ要素を受け入れる貫通孔などの結合手段が一体成形されているが、これに限定されるものではない。取付型材は支持要素の一部として一体構造とすることもでき、或いは支持要素に着脱可能に結合する構造としてもよい。取付型材は、案内対象のエネルギー案内チェーンの下側及び/又は上側チェーン部分に属する各支持要素を取り付けるように構成することもでき、それにより、例えば実質的に側部案内要素の高さに亘って、或いはエネルギー案内チェーンの実質的な全高、即ち転回チェーン部分や自己支持状態の上側チェーン部分を含む全高範囲に亘って延在させることができる。取付型材は縦面に対して僅かな数の固定点で結合できるので、多くの支持要素を特に簡単に取り付けることができ、それらの縦向きの結合面を橋絡することができる。
長尺取付型材は好ましくは案内トラフの経路に沿って配置され、直線状、或いは必要に応じて湾曲状に構成することが可能である。
取付型材は、ほぼ矩形状の断面形状を有する中空型材、即ち案内トラフの長手方向に延在する全周の閉じた一つ以上の中空室を有する型材で構成してもよい。この中空室は、必要に応じて例えば案内トラフ長手方向に延在する側面に沿って部分的に開口していてもよい。また、中空室は端面部で開口していてもよい。特に、取付型材には、一対の上下の中空型材の間に配置されたネジ又は別の取付要素を受け入れるための貫通孔など、別の取付手段を設けてもよい。勿論、取付型材はこれ以外の適切な構成とすることもできる。
各支持要素は、取付型材上における予め定められた複数の個所又は少なくとも幾つかの区間で取付型材の長手方向に変位可能であり、また自由に選択された位置、或いは例えばグリッド状に位置する予め定められた多数の位置で固定可能である。
特に、取付型材は、案内対象のエネルギー案内チェーンの上側チェーン部分と下側チェーン部分のための各支持要素を固定するための一対の取付領域を有していてもよく、この場合の取付型材は、各案内要素の全長及び/又は全高或いは案内トラフ全体又はその一部区間に亘って延在させることができる。場合によっては、それぞれ互いに整列させる手段を有する複数の取付型材を相互に離間させて設けておくこともできる。
案内トラフの各支持要素及び/又は各案内要素及び/又は個々の取付型材は、それぞれ必要な長さに切断可能な型材で構成することができる。特にこれらの部材を相互に結合又は縦面に対して固定する結合手段又は取付手段は、型材の所要長さへの切断時や、長さ部分の一部を案内トラフの幅寸法又はその数倍に短尺化する際に、それらが各要素間の相互結合又は縦面への固定を規定どおり果たすように予め構成しておくことが可能である。この目的のため、結合手段や取付手段は例えば長尺材又は点状配列の形態で成形しておくことができ、点状配列の場合の相互の間隔はほぼ案内トラフの幅寸法又は比較的小さなその倍数、例えばトラフ幅の2倍〜3倍にしておくとよい。例えば、縦面に設けられる取付型材のための取付手段は案内トラフ長手方向で互いに離間した支持要素同士の間隔の中央位置に配置しておくことができ、この場合、トラフ長手方向における支持要素間の間隔はトラフ幅の1倍〜2倍又は3倍とするが、勿論、それに限定されるものではない。
本発明によれば、特に予め組み立てられた状態の複数の支持要素と案内要素を備えた型材、或いは複数の支持要素と案内要素と取付型材とを備えた型材を所要長さに切断可能な形態で提供することができ、それにより案内トラフの組立を極めて容易にする。所要長さに切断可能な型材の全長は1〜数メートル、例えば6メートルまでの範囲内とすることができる。本発明によれば、特に案内要素の型材と複数の支持要素とからなるプレハブ形式のセットを提供することができ、このセットには、予め組み立てられたエネルギー案内チェーンだけでなく、エネルギー案内チェーンを装着するための接続部品や、エネルギー案内チェーンと共にガイドされるホースやケーブル等を接続するための接続部品も予め組み立てられた部品として同梱可能である。勿論、このようなプレハブ形セットには取付型材を含ませることも可能である。
本発明の実施形態を図面と共に説明すれば以下の通りである。
図1は本発明に係る案内トラフ1を示す断面図であり、この案内トラフは壁2の縦面3に取り付けられてエネルギー案内チェーン4を案内するようになっている。本実施例におけるエネルギー案内チェーンでは、転回部分に続いて上側部分5が続き、これが下側部分6の上に載置された状態となっており、この場合、チェーンの転回部分における最高位置にあるエネルギー案内チェーンリンクが符号7で示されている。
この案内トラフ1は多数のブラケット形の支持要素8からなる支持構造を有しており、これらの支持要素は案内トラフの長手方向へ一列に配置されている。本実施形態では、これら支持要素は縦壁2に直接的に取り付けられており、案内トラフの長手方向に沿って多連配置される複数の案内要素9を適正位置に保持している。各支持要素8は、縦面3に対して実質的に直交するように立設されたほぼ水平な支持基部10と、縦面3に対面する縦向きの支持基部11とを有し、縦面に当接する縦向き支持基部11は、ネジ等を受け入れるための貫通孔の形態の取付手段を備えている。支持基部11は、本実施形態によれば案内要素9へ向かって突き出しており、壁2に対する側部案内要素9の取付具と側方支持基部との両方の機能を果たしている。更に、縦面3から遠い方の側において支持要素8には別の側方支持基部12が設けられており、この支持基部12は、水平支持基部10に対して縦向きに角度をなして設けられ、それによりエネルギー案内チェーンを案内する案内要素9が支持要素8によって左右両側から適正位置に保持され、同時に下方からも支持されるようになっている。
案内トラフを支持するようにほぼ水平に延在する支持基部10は、壁2側に向かって高さ寸法が徐々に増加する甲高部13を有している。
各支持要素8は、例えばアルミニウム型材又はプラスチック型材等の実質的に硬質で剛性の材料からなるものである。本実施形態によれば、案内要素9は或る程度の弾性を示す材質構造であり、この弾性がエネルギー案内チェーンに対する充分に安定なガイドと支持を果たし、同時に案内トラフ内におけるエネルギー案内チェーンの移動を低騒音で可能とするための弾性減衰特性を与えることになる。
支持要素8は本実施形態では一部品であるが、その各部を成す支持基部10、11、12の一端部又は両端部にはL字形の案内要素9を取り付けるための凹部が設けられており、これらの凹部は案内要素9に一体成形された対応する凸部と係合し、それによって案内要素9を雄雌嵌合形式で固定するようになっている。凸部15は、案内要素の長手方向全体に亘って延在する帯状部として構成されており、上下にアンダーカット状の括れを有する断面形状となっている。本実施形態によれば、この上下アンダーカット状の括れは案内要素9の壁部の平らな主面への遷移部に形成されており、支持要素8の凹部14の上下開口縁部がこれら上下の括れに係合することになる。
各支持要素の凹部14は、案内トラフ内部へ向かってそれぞれ突出する凸部16に配置されており、それにより各案内要素の側部及び底部の外壁面17がそれぞれ支持基部10、11及び12の内縁18から縦方向又は側方に離されている。
各案内要素9は型材を必要な長さに切断したものであり、このような切断可能な型材は、例えば押出成形や連続鋳造等の連続成形法によって製造可能である。各案内要素9は、一部品に結合された側部案内要素20及び底部案内要素21からなる。この場合、支持要素との相互結合用の凸部15は側部及び底部案内要素20、21の端部領域に一体成形されており、これらの凸部が同時に同一高さ位置におけるエネルギー案内チェーンの側板22のための補強リブ又は支持部として機能するようにしてある。各案内要素の両側の開放端部23はそれぞれ外方に折り曲げられている。
壁2に対面する支持基部11は反対側の支持基部12よりも高さ寸法が大きく、ほぼ案内要素9の上端部と同等又はその若干下方位置に達している。支持基部11上の相互結合手段は、案内要素側に凸部15として構成されている相互結合手段の上下縁部にそれぞれ対応して配置されている。
図2は本発明の別の実施形態による案内トラフを示しており、この案内トラフは、エネルギー案内チェーンの下部及び上部にそれぞれ位置するトラフ区間30、31を含んでいる。下部トラフ区間30はエネルギー案内チェーン4の支承と側方ガイドを果たし、上側トラフ区間31はエネルギー案内チェーンの転回部分において上側チェーン部分を両側方から囲んでいると共に上方からも一定の縦方向間隔32を介して囲んでいる。これにより転回部分における上側チェーン部分の側方ガイドが確実となり、また自己支持状態の上側チェーン部分に対してもその長さの全体又は一部に亘って上側チェーン部分の側方ガイドが確実に果たされるようになっている。この場合、両方のトラフ区間30、31は同一構成のものでよい。
図2に示した各案内トラフ区間30、31は、それぞれ長さが同一で案内トラフの長手方向に整列されているが、これらトラフ区間は高さ方向に関しては所望の相互間隔で縦面に取り付けることができ、従って種々の半径の転回部分に適合可能である。
図1の実施形態と比べて図2における案内要素9は端部33が延長されており、従って高さ寸法も相対的に大きくなっている。図1の案内要素と図2の案内要素は、支持要素との相互結合用の凸部15と34の配置位置及び構成を一致させて互換性を持たせてあるので、これら案内要素を任意に入れ替えて同一支持要素8に結合することが可能である。
図3は、図2と同様の案内トラフを示しているが、この実施形態では下部側のトラフ区間30の案内要素9がU字形の断面形状を備えている。その他の点に関しては、特に支持要素8の構成及び案内要素と支持要素との相互結合手段の構成に関しては、図3の案内トラフは図1又は図2の実施形態と実質的に同様である。各案内要素9は、その長さ方向に亘って一定の横断面形状を有している。
このような案内要素9によって、両側の壁部の全高及び/又は底部の壁部の全幅で連続し且つトラフ全長に亘って連続した壁を有する案内トラフを構成することができる。従って、エネルギー案内チェーンの下部と上部に配置したトラフ区間30、31により、エネルギー案内チェーンを外的影響又は異物から遮蔽することができる。上部のトラフ区間31に設けられているカバー要素36は下部側の案内要素9と同一構造である。図3の実施形態におけるエネルギー案内チェーンを完全に遮蔽すべく、必要に応じて上下のトラフ区間30、31の案内要素9とカバー要素36との縦方向間隔を橋絡する付加的なカバー型材を付設しても良く、このカバー型材は上記案内要素とカバー要素、或いはこれらと支持要素とのいずれか一方又は双方に取付可能とすればよい。
図4は、図1又は図2の実施形態による案内トラフの変形実施形態を示しており、それらとの相違点(案内トラフのその他の構成は同じである)は、上下のトラフ区間30、31における支持要素8a、8bが基部中間部分35で相互に一体に結合されている点である。この基部中間部分35は、必要に応じて上下別体の支持要素8に着脱可能に結合される結合アダプタで代替えすることも可能である。勿論、ここでも案内要素及びカバー要素はU字形又はその他の別形状のものとして構成可能であることは述べるまでもない。
図5及び図6に示す本発明の更に別の実施形態による案内トラフでは、支持要素8を縦面3に取り付けるために取付型材40、41が設けられており、その他の点では図1〜図4の場合にほぼ対応している。図5に示す実施形態によれば、上下のトラフ区間30、31にそれぞれ個別の取付型材40が付設されており、トラフ長手方向で相互に離間した多数の支持要素8がこれら取付型材に着脱可能又は取外不能に取り付けられ、或いは一体成形されている。取付型材40、41は中空型材からなり、それぞれトラフ長手方向に延在して全周で閉じた複数列の中空室42を備え、各列の中空室は両端面で開口している。中空室の列間には取付型材を貫く幾つかの貫通孔43が設けられており、これらの貫通孔は縦面3に対して垂直に配向され、同様に型材からなる支持要素8を壁2に固定できるようにネジ等の結合金具を通す役目を果たすものである。必要に応じて支持要素8側にも貫通孔44を取付型材の貫通孔43と一列に揃うように予め設けておいてもよく、それにより予め用意された適合する結合金具を支持要素と取付型材の縦面への固定に用いるようにしてもよい。勿論、これ以外の別の好適な結合具を利用することも可能であり、例えば支持要素と取付型材は互いに対応して相互に係合し合うようにこれらに一体成形された凸部と凹部で結合してもよい。更に、支持要素を取付型材に取り付けるための手段は、支持要素が或る区間長範囲若しくは取付型材の全長に亘って長手方向に変位できるように構成することも可能である。この場合、支持要素は予め定められた位置或いは所望に選択された位置にて取付型材に固定可能となる。
或いはまた、取付型材を縦面に固定するための取付手段も、予め定められた位置又は或る区間長範囲内若しくは取付型材の全長に亘って所望に選択された位置で固定できるように構成してもよい。
図6に示す実施形態における取付型材は、図5の場合とは異なって案内トラフの全高に亘って延在し、上下のトラフ区間30、31の支持要素を相互に一体に結合している。縦面への固定のために、この取付型材の基部中間部分には、取付型材の長手方向で離間した多数の貫通孔45からなる取付手段が設けられており、ネジ等の結合金具を通すようになっている。勿論、これ以外の別の好適な取付手段を設けもよいことは述べるまでもない。
取付型材と案内要素及び支持要素はいずれも型材として製作可能であり、それらの機能に応じて所望の長さに切断して用いればよい。特に、案内要素とこれに取り付けた状態の支持要素を型材の組とし、或いは取付型材とこれに取り付けた状態の支持要素型材とからなる組や取付型材とこれに取り付けた状態の支持要素型材及び案内要素型材とからなる組を用意し、これをそれらの機能に応じて必要な長さに切断して用いることも可能である。
本発明の一実施形態に係る案内トラフの断面図である。 同じく図1a中の一部の詳細図である。 案内対象のエネルギー案内チェーンの上部と下部に配置されたトラフ区間を有する本発明の別の実施形態に係る案内トラフの断面図である。 U字形断面形状の案内要素を有する本発明の別の実施形態に係る案内トラフの断面図である。 別の構成の支持要素を有する本発明の別の実施形態に係る案内トラフの断面図である。 取付型材を有する本発明の別の実施形態に係る案内トラフの断面図である。 図5aの案内トラフの部分的な側面図である。 取付型材を有する本発明の更に別の実施形態に係る案内トラフの断面図である。 図6aの案内トラフの部分的な側面図である。
符号の説明
1:案内トラフ
2:壁
3:縦面
4:エネルギー案内チェーン
5:上部チェーン部分
6:下部チェーン部分
7:チェーンリンク
8、8a、8b:支持要素
9、9a、9b:案内要素
10、11、12:支持基部
13:幅広部
14:凹部
15:凸部
16:凸部
17:外壁面
18:支持基部内縁
20、21:案内要素
22:側板
23:開放端部
30、31:トラフ区間
32:縦方向間隔
33:端部
34:凸部
35:中間部分
36:カバー要素
40、41:取付型材
42:中空室
43、44、45:貫通孔

Claims (20)

  1. エネルギー案内チェーン用の案内トラフであって、該トラフの長手方向に対する幅方向の左右両側で互いに平行に対面する一対の側部案内要素及びこれら側部案内要素の対面間隙内の底部案内要素からなる複数の案内要素を備え、これら側部案内要素の間又は底部案内要素上でエネルギー案内チェーンをトラフ内に収容配置可能な案内トラフにおいて、前記案内要素を梁や壁などの実質的な縦面に支持するための支持構造としてトラフ長手方向に間隔をあけて配置された複数の支持要素が設けられ、これら支持要素に各案内要素が着脱可能に取り付けられ、更にこれら支持要素を実質的な縦面(3)に取り付けるための取付手段が設けられており、前記支持要素(8)のそれぞれと前記案内要素(9)のそれぞれとに、互いに対応する雄雌嵌合結合構造の着脱可能な相互結合手段(14,15)が一体成形されていることを特徴とする案内トラフ。
  2. 支持要素(8)が少なくとも対の一方の側部案内要素(9)を実質的な縦面(3)に支持する少なくとも一つの支持基部(11、13)を有することを特徴とする請求項1に記載の案内トラフ。
  3. 前記支持構造として多連配置の複数の支持要素(8)を含み、これら支持要素が案内トラフ(1)の長手方向で互いに離間されていると共に、これら支持要素の各々が各案内要素(9)に一つずつ設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の案内トラフ。
  4. 支持要素(8)が少なくとも一つの側方支持基部(11)を有し、該側方支持基部は案内トラフ(1)の長手方向に対して直交し且つ前記縦面(3)と平行に延在すると共に、支持要素を縦面(3)に対して間接的又は直接的に取り付けるための取付手段(44)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  5. 支持要素(8)と各案内要素(9)の相互結合手段が互いに対応する凸部(15)と凹部(14)のスナップ嵌合結合構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  6. 凸部(15)が案内要素(9)の長手方向に延在する帯状の形態を有することを特徴とする請求項5に記載の案内トラフ。
  7. 側部及び/又は底部案内要素(9)が案内トラフ(1)の全長で連続した側壁及び/又は底壁を形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  8. 支持要素(8)及び/又は案内要素(9)の相互結合手段(14、15)が相互に向かい合う方向に突出しており、前記取付手段に隣接する案内要素(9)の外面取付手段から離間させた状態で案内要素(9)が支持要素(8)に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  9. 案内要素(9)がエネルギー案内チェーン(4)を案内するための側部と底部の両方の案内部分を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  10. 案内トラフの長手方向における長さ寸法の異なる複数の案内要素(9)を備え、これら案内要素が互いに入れ替え可能に支持要素(8、40、41)に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  11. 前記縦面上に取付可能な支持要素(8)が案内経路の上位区間(7)におけるエネルギー案内チェーン(4)の上方及び/又は側方に配置されていると共に、これら支持要素には着脱可能なカバー要素(36)が設けられ、これらカバー要素が上位区間(7)におけるエネルギー案内チェーンを側方及び/又は上方から少なくとも部分的に取り囲んでいることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  12. 案内対象のエネルギー案内チェーンの上方及び下方に位置する支持要素(8、8a)同士が一体品として結合されていることを特徴とする請求項11に記載の案内トラフ。
  13. 案内トラフの長手方向に延在する長尺取付型材(40、41)を備え、この取付型材が案内トラフ(1)の長手方向に沿って多連配置された複数の支持要素(8)を保持していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  14. 前記取付型材が前記縦面に対する固定用の結合手段(45)を有することを特徴とする請求項13に記載の案内トラフ。
  15. 支持要素(8)が前記取付型材(40、41)上で少なくとも部分的な区間長に亘り該取付型材の長手方向に変位可能であり、しかも予め定められた位置或いは選択された位置にて該取付型材(40、41)に固定可能であることを特徴とする請求項13又は14に記載の案内トラフ。
  16. 前記取付型材(41)が案内対象のエネルギー案内チェーンの上方と下方に位置する両方の支持要素(8、8a)に対する取付部を有することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  17. 前記取付型材(41)が中空型材の形態を有することを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  18. 支持要素(8)及び/又は案内要素(9)及び/又は取付型材(40、41)が必要な長さに切断可能な型材からなることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  19. 案内トラフ(1)を構成する少なくとも支持要素(8)と案内要素(9)、更には取付型材(40、41)が予め組立てられていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の案内トラフ。
  20. 予め組立てられた案内トラフ(1)が予め組立てられたエネルギー案内チェーン(4)を含んでいることを特徴とする請求項19に記載の案内トラフ。
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