JP3915713B2 - 野菜収穫機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、根菜等の野菜を圃場から引き上げて収穫する野菜収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下記特許文献1に記載されるように、圃場に植生する野菜の茎葉部を挟持し野菜本体部を吊下げた状態で後側上方に搬送して圃場から引き上げる左右一対の引上げ搬送ベルトと、該引上げ搬送ベルトの挟持個所より下側の茎葉部を導入して野菜本体部の上昇を規制しながら後方に案内する位置揃えベルトと、該位置揃えベルトに導入された個所より上側の茎葉部を挟持して後方に搬送する左右一対の茎葉搬送ベルトと、茎葉搬送ベルトで搬送される途中で茎葉部を切断する茎葉切断手段と、前記茎葉搬送ベルトと前記茎葉切断手段とを駆動する動力の伝動部を内装した伝動ケースとを設けた野菜収穫機がある。このように構成した野菜収穫機は、引上げ搬送ベルトと位置揃えベルトと茎葉搬送ベルトと茎葉切断手段とによって、圃場に植生する野菜をその茎葉部を挟持して引上げ、そして、搬送中に茎葉部の切断個所が揃うように位置揃えして茎葉部を切断して野菜を収穫する。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−17132号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成とした根菜収穫機では、伝動ケースは、茎葉搬送ベルトと茎葉切断手段とを駆動する動力の伝動部を内装するため、これらのベルトに沿うように前後に長く設けられるものとなる。しかし、特許文献1記載のものでは、茎葉搬送ベルトが伝動ケースに対して上下にずれた位置で回動するように設けているので、茎葉搬送ベルトにより搬送される茎葉部の側方に伝動ケースが位置することになり、茎葉部が搬送中に伝動ケースに引っ掛かって茎葉部のスムーズな搬送が妨げられる場合があり、これにより、茎葉搬送ベルトにより搬送される茎葉部の通路内に茎葉部が詰まったり、茎葉搬送ベルトの茎葉部挟持姿勢が乱れて茎葉切断手段による茎葉部の切断が適正に行われなかったりすることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、引上げ搬送ベルトと位置揃えベルトと茎葉搬送ベルトと茎葉切断手段とによって、圃場に植生する野菜をその茎葉部を挟持して引上げ、そして、搬送中に茎葉部の切断個所が揃うように位置揃えして茎葉部を切断して野菜を収穫する野菜収穫機において、茎葉搬送ベルトによる茎葉部の搬送がスムーズに行われるようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を講じたものである。
請求項1に係る発明は、圃場に植生する野菜の茎葉部を挟持し野菜本体部を吊下げた状態で後側上方に搬送して圃場から引き上げる左右一対の引上げ搬送ベルトと、該引上げ搬送ベルトの挟持個所より下側の茎葉部を導入して野菜本体部の上昇を規制しながら後方に案内移送する左右一対の位置揃えベルトと、該位置揃えベルトに導入された個所より上側の茎葉部を挟持して後方に搬送する左右一対の茎葉搬送ベルトと、茎葉搬送ベルトで搬送される途中で茎葉部を切断する左右一対の茎葉切断手段と、入力軸からの動力を茎葉切断手段の駆動軸及び位置揃えベルトの駆動軸に伝動する伝動手段を内装した左右一対の上伝動ケースと、上伝動ケースの下側に位置し、入力軸からの動力を茎葉搬送ベルトの駆動軸に伝動する伝動手段を内装した左右一対の下伝動ケースと、を備え、
前記左右一対の茎葉搬送ベルトは前記左右一対の上伝動ケースの周りをそれぞれ回動するように設けたことを特徴とする野菜収穫機とした。
請求項2に係る発明は、前記伝動ケースの後部下側に軸芯が上下方向の入力軸を設け、前記伝動ケースの後部上側に前記茎葉搬送ベルトを駆動する軸芯が上下方向の駆動軸を設け、前記伝動ケースの前側に回転刃で構成した前記茎葉切断手段を駆動する軸芯が上下方向の駆動軸を設け、該茎葉切断手段の駆動軸の前側で前記伝動ケースの前端部付近に、左右一対の位置揃えベルトを駆動する軸芯が上下方向の駆動軸を設け、前記入力軸から前記茎葉搬送ベルトの駆動軸への伝動手段と、前記入力軸から前記茎葉切断手段の駆動軸と前記位置揃えベルトの駆動軸への伝動手段を、それぞれ複数の歯車が一列に噛合う歯車列で構成したことを特徴とする請求項1記載の野菜収穫機とした。
【0007】
この野菜収穫機は、左右一対の引上げ搬送ベルトが、圃場に植生する野菜の茎葉部を挟持し野菜本体部を吊下げた状態で後側上方に搬送して圃場から引き上げる。そして、この引上げ搬送ベルトの野菜搬送中に、位置揃えベルトが引上げ搬送ベルトの挟持個所より下側の茎葉部を導入して、野菜本体部の上昇を規制しながら後方に案内する。次に、左右一対の茎葉搬送ベルトが、位置揃えベルトに導入された個所より上側の茎葉部を挟持して後方に搬送する。この茎葉搬送ベルトで搬送される途中で茎葉切断手段が茎葉部を切断する。
茎葉搬送ベルトと茎葉切断手段は、伝動ケース内の伝動手段を介して駆動される。茎葉搬送ベルトはこの伝動ケースの周りを回動する。また、伝動ケースには、その後部下側に設けた軸芯が上下方向の入力軸を介して動力が入力され、この入力軸から伝動ケースの後部上側の茎葉搬送ベルトの駆動軸に複数の歯車が一列に噛合う歯車列を介して伝動し、また、伝動ケースの前側の回転刃で構成した茎葉切断手段の駆動軸と、茎葉切断手段の駆動軸の前側で伝動ケースの前端部付近の左右一対の位置揃えベルトの駆動軸に複数の歯車が一列に噛合う歯車列を介して伝動する。
【0008】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、茎葉搬送ベルトが伝動ケースの周りを回動するように設けた構成なので、伝動ケースは茎葉搬送ベルトの裏側に隠れるように位置するものとなり、よって、茎葉搬送ベルトによって茎葉部が搬送される途中で、茎葉が伝動ケースに引っ掛かって茎葉部のスムーズな搬送が妨げられることが生じにくくなる。従って、茎葉搬送ベルトにより搬送される茎葉部の通路内に茎葉部が詰まりにくくなり、また、茎葉搬送ベルトの茎葉部挟持姿勢が乱れにくくなって、茎葉搬送ベルトによる茎葉部の搬送がスムーズに行われ、茎葉切断手段による茎葉部の切断が良好となる。
請求項2記載の発明は、更に、入力軸から茎葉搬送ベルトの駆動軸への伝動と、入力軸から茎葉切断手段の駆動軸と位置揃えベルトの駆動軸への伝動を、それぞれ複数の歯車が一列に噛合う歯車列で構成した伝動手段で伝動する構成としたので、上下の伝動ケースが上下に薄く構成でき、茎葉搬送ベルトの内側から上下の伝動ケースが上下に突出する部分を少なくできて、上記効果が一層顕著なものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記技術思想に基づき具体的に構成された実施の一形態として根菜を収穫する根菜収穫機について、以下に図面を参照しつつ説明する。
【0010】
本発明の構成例に係る根菜収穫機の左側面図を図1に、同根菜収穫機の平面図を図2に示す。図1および図2において、根菜収穫機1は、左右の駆動回転するクローラ3,3等からなる走行装置によって支持される機体に、走行および機器操作のための操縦部4、圃場から根菜を取り込む収穫部5、取り込んだ根菜の選別作業するための選別部6、選別後の根菜を収容したコンテナを整列載置する収容済みコンテナ載置部7等を備えて構成される。収穫部5には、圃場に植生する根菜の茎葉部を挟持し根菜本体部を吊下げた状態で後側上方に搬送して圃場から引き上げる左右一対の引上げ搬送ベルト12を設け、該引上げ搬送ベルト12の前側に根菜の葉部を引起しする引起装置11を配置し、引上げ搬送ベルト12の後部側下方に引上げ搬送ベルト12から根菜を受けて茎葉部を切断する茎葉処理装置13を設ける。また、切断されて茎葉部から分離して落下する根菜本体部を受けて根菜本体部側に残る茎葉を取り除く残葉処理装置14等を備える。
【0011】
根菜収穫機の収穫部5は、根菜収穫機は、圃場に植生する根菜の茎葉部を挟持し根菜本体部を吊下げた状態で後側上方に搬送して圃場から引き上げる左右一対の引上げ搬送ベルト12と、該引上げ搬送ベルト12の挟持個所より下側の茎葉部を導入して根菜本体部の上昇を規制しながら後方に案内移送する左右一対の位置揃えベルト25,25と、該位置揃えベルト25,25に導入された個所より上側の茎葉部を挟持して後方に搬送する左右一対の茎葉搬送ベルト23,23と、茎葉搬送ベルト23,23で搬送される途中で茎葉部を切断する茎葉切断手段27a,27bとを設ける。また、前記位置揃えベルト25,25と前記茎葉切断手段27a,27bとを駆動する動力の伝動手段を内装した伝動ケース21,21と、この上伝動ケースの下に、前記茎葉搬送ベルト23,23を駆動する動力の伝動手段を内装した下伝動ケース38,38を設ける。
前記茎葉搬送ベルト23,23は前記伝動ケース21,21の周りを回動するように設けている。よって、伝動ケース21,21は茎葉搬送ベルト23,23の裏側に隠れるように位置するものとなり、茎葉搬送ベルトによって茎葉部が搬送される途中で、茎葉が伝動ケース21,21に引っ掛かって茎葉部のスムーズな搬送が妨げられることが生じにくくなる。従って、茎葉搬送ベルトにより搬送される茎葉部の通路内に茎葉部が詰まりにくくなり、また、茎葉搬送ベルトの茎葉部挟持姿勢が乱れにくくなって、茎葉搬送ベルトによる茎葉部の搬送がスムーズに行われ、茎葉切断手段による茎葉部の切断が良好となる。
【0012】
また、前記伝動ケース21,21の後部下側に、軸芯が上下方向の入力軸31,31を設け、前記伝動ケース21,21の後部上側に前記茎葉搬送ベルト23,23を駆動する軸芯が上下方向の駆動軸33,33を設け、前記伝動ケース21,21の前側に回転刃で構成した前記茎葉切断手段27a,27bを駆動する軸芯が上下方向の駆動軸35,35を設け、該茎葉切断手段27a,27bの駆動軸35の前側で前記伝動ケース21,21の前端部付近に、左右一対の位置揃えベルト25,25を駆動する軸芯が上下方向の駆動軸36を設け、前記入力軸31,31から前記茎葉搬送ベルト23,23の駆動軸33,33への伝動手段と、前記入力軸31,31から前記茎葉切断手段27a,27bの駆動軸35,35と前記位置揃えベルト25,25の駆動軸36,36への伝動手段を、それぞれ複数の歯車が一列に噛合う歯車列32,34で構成している。よって、上下の伝動ケース21,38が上下に薄く構成できる。よって、茎葉搬送ベルト23,23の内側から伝動ケース21,21が上下に突出する部分を少なくできて、上記効果が一層顕著なものとなる。
なお、例えば、入力軸から茎葉切断手段の駆動軸と位置揃えベルトの駆動軸への伝動をチェン伝動機構により構成すると、チェン伝動部を上下二列に設けることになって伝動ケースが上下に厚く構成されてしまうものとなる。
【0013】
茎葉処理装置13は、図3、図4に示すように、左右一対に設けた伝動ケース21,21、左右の茎葉搬送ベルト23,23と、左右一対の回転ベルトで構成した位置揃えベルト25,25と、回転刃で構成した前記茎葉切断手段27a
,27bと、左右の上部茎葉搬送ベルト29,29を設ける。
また、左右の下伝動ケース38,38には、収穫部5を機体に対して横軸回りに前部を上下回動可能に取り付けている回動軸芯に配置した伝動軸からベベルギヤを介して動力を入力する入力軸31,31と、入力軸31,31から該駆動軸33,33への伝動手段であり複数の歯車が一列に噛合う歯車列32,32を内装する。上伝動ケース21,21には、入力軸から駆動軸35,35及び駆動軸36,36への伝動手段である複数の歯車が一列に噛合う歯車列34,34を内装する。
その歯車列34,34と前記の歯車列32,32とは、図例では、入力軸に対して上下2段に配置しているが、両歯車列を上下1段で横一列に噛合う状態に設けることも可能である。図例の伝動ケース21,21は、平板状のベースプレート37,37と上部ケース39,39とで構成している。
【0014】
左右の茎葉搬送ベルト23,23は、その駆動軸33,33の基部側の駆動プーリ41,41と、上部ケース39,39の前端部から前方に延びるベースプレート37,37の前部に設けた回転自在のテンショナ付き従動プーリ42,42とを設け、それらの間に複数のガイドローラ43…,43…を配置して上部ケース39,39を囲むように張設し、後側の駆動プーリ41、41の駆動回転によって茎葉搬送ベルト23,23が駆動回転して、根菜の茎葉部を左右の茎葉搬送ベルト23,23の近接部の間に挟持して後方に移送する。
【0015】
左右の位置揃えベルト25,25は、その駆動軸36,36に取付けた駆動プーリ51,51と、ベースプレート37,37の先端に設けたテンショナ付き従動プーリ52,52とを設け、それらの間にガイドローラ53,53を配置し、ベースプレート37の下面に近接して張設される。根菜が引上げ搬送ベルト12によって斜め後方に上昇搬送されていくと、根菜の茎葉部が左右の位置揃えベルト25,25の間に導入される。そして、根菜本体部の上端部が位置揃えベルト25,25の下端面に接当すると、引上げ搬送ベルト12による上昇搬送を規制し、また、駆動プーリ51,51の駆動回転によって左右の位置揃えベルト25,25はその間に導入された根菜の茎葉部を後方に移送する。駆動プーリ51,51は、左右の茎葉切断手段27a,27bに対し前後に近接配置され、且つ、左右の位置揃えベルト25,25の後部は、左右に開いた開放部を形成する。
【0016】
左右の茎葉搬送ベルト23,23の上方に設けた左右の上部茎葉搬送ベルト29,29は、駆動軸33,33の上端部に取付けたプーリ61,61と上部ケース39,39の前部上側に設けたテンショナ付き従動プーリ62,62と、それらの間に配置したガイドローラ63,63との回りに掛け回して設けている。左右の茎葉搬送ベルト23,23が挟持して後方に搬送する根菜の茎葉部の上部側を挟持して後方に移送する。
【0017】
茎葉切断手段27a、27bは、茎葉搬送ベルト23,23によって挟持搬送される茎葉部の茎葉搬送ベルト23,23による挟持個所より下方で根菜本体部上端より上方個所に切断作用するように配置されている。また、図例では、左右の茎葉切断手段27a、27bは、外周側に刃を形成した円盤状の回転刃で構成し、その外周側部分の一部を重ねて配置した構成で、上側の回転刃27aは、その外周に切り込みを形成し又は鋸歯状に形成し、下側の回転刃27bは、その外周に切り込み等がなく円弧状に形成する。
【0018】
上記のように構成された茎葉処理装置13は、引上げ搬送ベルト12に近接して配置することにより、根菜引抜き装置12が根菜の茎葉部を挟持して斜め後上方に搬送すると、根菜本体部の上端部が左右の位置揃えベルト25,25の下面に接当して根菜本体部の上昇移動が規制されるとともに、茎葉搬送ベルト23,23によって茎葉部を挟持されて後方に移送される。
【0019】
ところで、茎葉搬送ベルト23,23の前端部のプーリ42,42と、位置揃えベルト25,25の前端部のプーリ52,52を平板(ベースプレート37,37の先端部)の上側平面部と下側平面部とに夫々回転自在に取付けた構成なので、茎葉搬送ベルト23,23の前端部と位置揃えベルト25,25の前端部を引上げ搬送ベルト12に対して従来よりも接近させて配置できている。
【0020】
上記のように、位置揃えベルト25,25の前端部が引上げ搬送ベルト12に接近して配置されているので、引上げ搬送ベルト12から左右の位置揃えベルト25,25の間に茎葉部がスムーズに導入されるようになり、また、位置揃えベルト25,25では、位置揃えベルト25,25の下端面に根菜の本体部の上端部が当るまでここに導入された茎葉部が引上げ搬送ベルト12によってずり上がっていくのを許容するので茎葉部の挟持力は比較的強くはない。しかし、位置揃えベルト25,25よりは比較的に強い挟持力に設定される茎葉搬送ベルト23,23の前端部も引上げ搬送ベルト12に接近して配置されているので、左右の位置揃えベルト25,25の間に導入された茎葉部が直ぐに茎葉搬送ベルト23,23で挟持されるようになって、根菜の茎葉部が短い場合や茎葉部がちぎれ易い場合でも、この茎葉処理装置13に根菜が引継がれるときに、茎葉搬送ベルトに挟持される前に茎葉部が引上げ搬送ベルトから抜けたり或はちぎれたりして落下するということが生じにくくなっている。
【0021】
茎葉搬送ベルト23,23に引き継がれて後方に移送される根菜は、位置揃えベルト25,25の後端部に近接配置される茎葉切断手段27a、27bの切断作用部を通過することによって切断される。このとき、茎葉部の下葉が折れ曲がっていても、茎葉切断手段27a、27bの直前に前記のように開放部が形成されているので、この開放部を通過する間に下葉が元の位置に戻ることができて適確な切断処理が可能となる。また、一方の回転刃27aの外周部に設けた切り込みにより噛み込みが良くなるので、茎葉部の切断性が確保されて滞留を防止することができる。切り込みが上側の回転刃27aの場合は、従来同様の良好な切断面を確保できる。
【0022】
そのほか、ガイドローラ43…や従動プーリ42のテンショナは、ベースプレート37の上に、または、上部ケース39の外周に配置することにより、泥抜きが良くなる。また、両従動プーリ42、42の間隔を可変に構成し、茎葉搬送ベルト23,23の先端を前方に伸ばすとしごき長さが減って間を開くことができる。冬季は先端部を閉じることにより、落下ニンジンを減らすことができる。タッピング部の駆動側のプーリ41や従動プーリ42は、ボス部上面を平坦に形成することにより、泥や石等の異物の堆積が防止されるので、従来のようなボス部の凹凸に堆積した異物によってプーリ溝が詰まることによるスリップや外れ等のトラブルを回避することができる。
【0023】
茎葉搬送ベルト23,23と上部茎葉搬送ベルト29,29のプーリには、ベルトの脱落を防止するために設けたベルト内側の突条部が入り込む溝が形成され、プーリのその溝の入り込んでプーリに付着する茎葉や泥土等を除去するスクレーパ71a,71b,71cを取り付けている。茎葉搬送ベルト23,23の後側の駆動プーリ41に対してスクレーパ71aを伝動ケース21,21に取り付け、前側の従動プーリ42には、そのテンショナのプーリとの間で両プーリに作用するスクレーパ71bをテンショナの支持アームに設け、上部茎葉搬送ベルト29,29の前側の従動プーリ62,62とそのテンショナのプーリとの間で両プーリに作用するスクレーパ71cをテンショナの支持アームに取付ける。このようにテンショナ付きプーリに対しては、プーリとそのテンショナのプーリとの間で両プーリに作用するスクレーパをテンショナの支持アームに取付ける構成としたので、部品点数が低減してコストを低減でき、組み立ても容易となる。
【0024】
上部茎葉搬送ベルト29,29は、茎葉搬送ベルト23,23により移送される根菜の茎葉部の上部を挟持して後方に移送する。この排葉ベルト29,29は、突起付きベルト等で構成することにより搬送能力が生じ、また、このベルトの高さを高く設定する程、搬送中に茎葉部が倒れにくくなる。
【0025】
つぎに、茎葉切断手段27a,27bによる切断高さを調節するための高さ位置調節部について説明する。茎葉切断手段27a,27bの高さ位置調節部は、その第1の構成例を図5に示し、別の構成例を図6に示す。
【0026】
図5に示す例は、茎葉切断手段である回転刃27a(27b)と、回転刃27a(27b)を駆動回転する駆動軸35と、回転刃27a(27b)を取付け固定する取付部材81と、取付部材81の高さ位置を調節する調節ノブ82を設け、該取付部材81は、駆動軸35に対して一体回転且つ軸芯方向スライド自在に取り付け、調節ノブ82は、駆動軸35に対してネジ部82c,35bに介して係合し、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能に取り付けた構成としている。従って、調節ノブ82を回転操作するだけの容易な操作で、取付部材81が上下移動して、回転刃27a(27b)の切断高さが調節可能となる。また、駆動軸35に対する調節ノブ82の回転を規制する回転規制手段82a,82bを設けているので、駆動軸35の駆動回転中に調節ノブ82が駆動軸35に対して回転して回転刃27a(27b)の切断高さが変化するのが防止され、切断処理を適確に行える。なお、上記回転規制手段は、調節ノブ82を駆動軸35に対して回転方向に一体的に固定するよう構成でき、また、調節ノブ82が駆動軸35に対して一定角度以上回転しようとするとその回転に対する抵抗が大きくなるように構成することもできる。図示例は、後者の構成をとることで、回転刃27a(27b)の切断高さを調節するとき、上記回転規制手段の解除操作が必要なく、その回転規制手段による抵抗に抗して調節ノブ82を駆動軸35に対して回転操作するだけで調節が可能となり、調節操作が非常に容易に行える。更に、取付部材81に対する回転刃27a(27b)の固定を解除する(図例ではネジ止めを外す)と、回転刃27a(27b)の回転中心側に形成した孔を調節ノブ82を通過できるように、その孔の大きさと調節ノブ82の大きさを設定している。これにより、調節ノブ82を外すことなく、回転刃27a(27b)を取り外すことができ、回転刃の交換が容易に行える。
【0027】
図5の構成例を更に詳細に説明する。駆動軸35の下部に形成した回り止め用の角柱部35aにその軸線方向のみに移動可能に取付部材81を挿通し、この取付部材81に回転刃27a(27b)を固定するとともに、取付部材81を上下に位置決めする調節ノブ82を駆動軸35の下端のねじ部35bに調節ノブ82の下部に形成したネジ孔82cを螺合させて取付ける。調節ノブ82には、角柱部35aの外周を転動可能なスプリング82aにより弾圧されるボール82bによる回転規制手段を内設する。回転刃27a(27b)を保持する支持部27cと取付部材81との間には係合球体83を介在して支持部27cと取付部材81とが一体的に回転するようにしつつ回転刃27a(27b)側を止め輪83aによって回転軸芯方向への移動を規制し、また、取付部材81の下部側外周に形成した溝と調節ノブ82の上部側の回転方向複数箇所に形成した孔とに係合球体84を介在させ、更に、その係合球体84が飛出さないように止め輪84aを取り付ける。これにより、調節ノブ82は、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能となる。
【0028】
図6の構成例について以下に説明する。図6の縦断面図は、断面左半分側が回動調節状態で、断面右半分側が回動固定状態を示している。駆動軸35の下部に回り止めの角柱部35aを介して固定スリーブ85とその下端の大径部86を固定する。固定スリーブ85には、外周面を等分周して軸線方向溝による係止溝85a…を形成し、その下方に形成したねじ部85bに回転刃27a(27b)の支持部27dと連結する筒部87を螺合する。この筒部87には通孔87bを形成し、固定スリーブ85の係止溝85a…との間に介在可能な係合球体87aを通孔87bから進退自在に設けるとともに、筒部87の外周には係合球体87aの進退を制御するスライドスリーブ88を設ける。
【0029】
スライドスリーブ88は、筒部87の外周に形成した軸線方向溝87cに介在する係合球体88aによって軸線方向にスライド動作可能に構成する。このスライドスリーブ88は、筒部87の上端の支持部27dに達する上限位置から大径部86に達する下限位置の範囲をスライドストローク範囲とし、コイルスプリング89を設けて下限位置に付勢する。また、筒部87の係合球体87aの進退を制御するテーパ88bを形成し、このテーパ88bはスライドストロークの下限位置で係合球体87aを内方の係止溝85a…内に拘束して筒部87の回動を規制し、一方、スライドストロークの上限位置で係合球体87aの拘束を解除して支持部27dの回動を許容するように傾斜面を形成する。
【0030】
上記構成の茎葉切断手段の高さ位置調節部は、スライドスリーブ88の上下のスライド動作範囲の下限位置において係合球体87aを拘束する。また、コイルスプリング89の力に抗して手指操作によりスライドスリーブ88を上限位置までスライド操作すれば、係合球体87aがフリーになるので、スライドスリーブ88を回動することにより筒部87がねじ部85bに沿って上下に高さ位置調節される。したがって、茎葉切断手段の高さ位置調節部は、前記同様に、手指操作のみによって簡易に取扱うことができる。
【0031】
茎葉処理装置13の直下には残葉処理装置14が車幅の中央方向に搬送軸線を向けて配置される。この残葉処理装置14は、搬送ベルト14aの搬送方向下手側に残葉処理ローラ14bを搬送方向に対して斜め姿勢で備えて構成される。茎葉処理装置13から残葉処理装置14に落下する根菜の下降通路の左右両側には、ガイドカバーを90を設けている。このガイドカバーを90は、上部が茎葉処理装置13に設けた取付部材に取り付けられ、そこから下部が非支持状態に垂れ下がるように設けている。
【0032】
上記ガイドカバー90により、収穫された根菜の根菜本体部が茎葉処理装置13から落下し、残葉処理装置14の搬送ベルト14aの上で根菜本体部が跳ね返っても外部にこぼすことなく残葉処理ローラ14bに確実に送ることができる。また、残葉処理装置14が排葉部ベルト29,29の下に配置されているので、スクレーパにより除去された排葉部ベルト29,29に付着した排葉や土等は、残葉処理装置14のベルト14a上に落下して確実に機外に排出され、機体内での排葉や土等の堆積が少なくなる。
【0033】
また、ガイドカバー90をビニールシート等の撓み自在なシートで構成することにより、根菜がガイドカバー90に当っても根菜に損傷を与えず、また、下部が非支持状態に垂れ下がっているので根菜が大きく跳ね返ることもなく、残葉処理装置14へ向かってスムーズに根菜を落下させることができる。
【0034】
茎葉処理装置13の前側は、根菜引抜き装置12によって覆われ、茎葉処理装置13の左右及び後側は、カバー91で覆っている。茎葉処理装置13の後方から排出される排葉はこのカバー91の後側内を下方に落下し、その下方に配置した排葉シュータ部13bによって機体左右方向内方側に向けて斜め下方に落下させる。茎葉処理装置13の周囲が上記のように覆われていることにより、茎葉処理装置13が防風された状態となり、茎葉切断手段で切断される根菜が風で揺れて適確な切断が妨げられるのが防止され、また、排葉が排葉シュータ部13bから外れて機体上に落下していくのが防止される。上記カバー91を透明なシートにより構成すると、更に、茎葉処理装置13の処理状態が確認でき、また、後方視界が拡大されて、後進時や旋回時の操縦が容易となる。
【0035】
茎葉処理装置13において切断された茎葉部は、排葉部ベルト29,29によって後方に搬送されて排出されるが、排葉部ベルト29,29の後側の左右のプーリ41,41の左右内側に設けた左右のガイドプレート92,92の間を通過して後方に排出される。これにより、排出される茎葉部がベルトやプーリに引っ掛かることが生じにくくスムーズに切断された茎葉部を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 野菜収穫機の左側面図
【図2】 野菜収穫機の平面図
【図3】 茎葉処理装置の平面図
【図4】 茎葉処理装置の左側面図
【図5】 茎葉切断手段の高さ位置調節部を示す縦断面図
【図6】 別構成の茎葉切断手段の高さ位置調節部を示す縦断面図で、断面左半分側は回動調節時の状態で、断面右半分側は位置固定時の状態を示す。
【符号の説明】
1 根菜収穫機
5 収穫部
11 引起装置
12 引上げ搬送ベルト
13 茎葉処理装置
14 残葉処理装置
21 伝動ケース
23 茎葉搬送ベルト(タッピング部)
25 位置揃えベルト(肩揃え部)
27a,27b 回転刃(茎葉切断手段)
29 上部茎葉搬送ベルト(排葉部)
31 入力軸
32 歯車列(伝動手段
33 駆動軸
34 歯車列(伝動手段
35 駆動軸
36 駆動軸
37 ベースプレート
39 上部ケース
42、52、62 従動プーリ
82 調節ノブ
82a 回転規制手段
88 スライドスリーブ
88b テーパ

Claims (2)

  1. 圃場に植生する野菜の茎葉部を挟持し野菜本体部を吊下げた状態で後側上方に搬送して圃場から引き上げる左右一対の引上げ搬送ベルトと、
    該引上げ搬送ベルトの挟持個所より下側の茎葉部を導入して野菜本体部の上昇を規制しながら後方に案内移送する左右一対の位置揃えベルトと、
    該位置揃えベルトに導入された個所より上側の茎葉部を挟持して後方に搬送する左右一対の茎葉搬送ベルトと、
    茎葉搬送ベルトで搬送される途中で茎葉部を切断する左右一対の茎葉切断手段と、
    入力軸からの動力を茎葉切断手段の駆動軸及び位置揃えベルトの駆動軸に伝動する伝動手段を内装した左右一対の上伝動ケースと、
    上伝動ケースの下側に位置し、入力軸からの動力を茎葉搬送ベルトの駆動軸に伝動する伝動手段を内装した左右一対の下伝動ケースと、を備え、
    前記左右一対の茎葉搬送ベルトは前記左右一対の上伝動ケースの周りをそれぞれ回動するように設けたことを特徴とする野菜収穫機。
  2. 前記伝動ケースの後部下側に軸芯が上下方向の入力軸を設け、前記伝動ケースの後部上側に前記茎葉搬送ベルトを駆動する軸芯が上下方向の駆動軸を設け、前記伝動ケースの前側に回転刃で構成した前記茎葉切断手段を駆動する軸芯が上下方向の駆動軸を設け、該茎葉切断手段の駆動軸の前側で前記伝動ケースの前端部付近に、左右一対の位置揃えベルトを駆動する軸芯が上下方向の駆動軸を設け、前記入力軸から前記茎葉搬送ベルトの駆動軸への伝動手段と、前記入力軸から前記茎葉切断手段の駆動軸と前記位置揃えベルトの駆動軸への伝動手段を、それぞれ複数の歯車が一列に噛合う歯車列で構成したことを特徴とする請求項1記載の野菜収穫機。
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