JP3914781B2 - 着色顔料マスターバッチ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木目模様等の着色模様を持つ着色顔料マスターバッチにおいて、着色ロスが少なく、着色性を阻害するフィラーを含む成形材料に対しても、少量添加で良好な模様発現性を出す着色顔料マスターバッチ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木目模様の模様外観を有する成形品の製造方法は、模様用の着色顔料マスターバッチと、模様の下地用の着色顔料マスターバッチをドライブレンドして、射出、押出、ブロー等の成形を行う原着成形が行われるようになってきた。しかし、原着成形では良好な木目模様が発現し難く、部分着色による模様着色部と成形体との界面強度の低下で成形体の強度が低下する等の問題があり、実用上満足できるレベルの着色模様成形品が得られ難くいことから、適用用途も制限されるものであった。
一方、木目模様や大理石模様を印刷したフィルムを成形品に貼り付けたり、そのようなフィルムを金型内に取り付けた後、基材樹脂を射出する一体成形品も出回っている。これらの方法は、木目模様が自由に選択出来ることから、高品質の外観成形品を作るには適しているが、印刷フィルムを別工程で接着する手間が必要になったり、基材樹脂を射出充填する時に、印刷フィルムが破損、溶融することも多いため、歩留まりが悪かったりで、コスト高になる。
本発明者らは、前述のような問題を解決するために、原着による木目模様着色成形体の外観向上を図るべく検討を重ねた結果、着色顔料マスターバッチをドライブレンドした成形材料を押出した時の木目模様の着色原理に着目、ドライブレンドでも良好な木目模様を着色する着色顔料マスターバッチ、特にブロー成形適性の高い着色顔料マスターバッチを発明し、特開2001-294671として出願済みである。これに示される着色顔料マスターバッチを用いることで、従来の着色顔料マスターバッチを使った木目模様の成形体に比べて、少量の添加でも木目感が高く、強度低下も抑えた成形体が得られるようになった。
しかし、発明の着色顔料マスターバッチを使用した場合、着色性が良好である反面、マスターバッチのペレットサイズが成形材料ペレットと同等程度のサイズであるために、木目筋が太すぎたり、着色模様が込み入り過ぎたりする傾向にあった。これを抑えるため添加量を減らすと、成形品毎で木目着色度が変化する押出し斑が起き易くなる。このように、発明の着色顔料マスターバッチでも、着色度の調整が難しく、特に柾目筋の少ない穏やかな木目模様等には不適当なことが多かった。
一方、前記したように着色性が良好な発明の着色顔料マスターバッチを使用した場合でも、木粉や無機フィラーを多く含有する成形材料を成形すると、木粉や無機フィラーが障害となって、成形押出し中のマスターバッチが表面に出難くなって、表面着色性を低下させてしまう。これを改善するには、着色顔料マスターバッチの添加量を多くする必要があり、着色コストが高くなる上、着色模様の木目感も低いものしか得られなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、木目模様等の着色模様を持つ着色顔料マスターバッチにおいて、従来以上に着色ロスが少なく、木目模様の密度や着色度も調整し易く、着色性を阻害するフィラーを含む成形材料に対しても、少量添加で、明瞭で模様ムラの少ない成形品を得ることができる着色顔料マスターバッチ及びその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記したような課題を解消し、幅広い用途に対応出来る木目模様の着色顔料マスターバッチにすべく鋭意検討した結果、前記課題が、木目模様を着色する顔料マスターバッチ自体が大き過ぎることに起因することを発見、本発明を行うに至った。以下その解決手段を説明する。
特開2001-294671で示される発明の木目模様を着色する顔料マスターバッチは、0.1〜5.0%添加されることが示されているが、着色性能が高いことから0.3%以下の添加でも充分な木目模様の着色が行える。しかし、0.3%以下の様に添加量が少なすぎると、着色顔料マスターバッチの押出しにバラツキが出てしまい、木目が認識されないような着色不足な成形品が出てしまう。これを防止するには、着色不足が発生しない程度に着色マスターバッチを添加しなければならないが、逆に着色過多の製品が出て、成形品全体を平均して見ても、木目に相応しい柾目の模様に比べて、模様が込み入り過ぎる傾向になってしまう。
これを解消するには、押出し斑による着色のバラツキが起きない添加量でも着色過多が起きないように、着色顔料マスターバッチの1ペレット当りの着色度を調整する必要がある。しかし、着色顔料マスターバッチに含まれる顔料成分を減らしても、模様の色の濃さは下げられても、模様の疎密を下げることは出来ず、これを達成するには、着色顔料マスターバッチ1ペレット当りの着色する筋数や太さを変えないと模様具合は調整出来ないことになる。
この1ペレット当りの筋数や太さを変える方法として、マスターバッチのサイズを変えてやることが有効であることが判った。即ち、押出し斑が起きないような着色顔料マスターバッチの添加個数は、ペレットサイズに関係なく同等であると考えて良いことから、ペレットサイズの小さい着色顔料マスターバッチを作り、これを従来型のマスターバッチの添加重量に合わせるのではなく、押出し斑が起きない従来型のマスターバッチの添加個数と同等数量を添加すれば、押出し斑も起きず、バラツキのない適性な模様密度を持った外観成形品が得られることになる。
又、着色顔料マスターバッチを小さくすると、従来型の着色顔料マスターバッチでは模様着色し難かったフィラーを含む材料では、成形中の溶融材料内にあるマスターバッチが、溶融材料内のフィラー間を通過し易くなり、マスターバッチが押出し材の表面に出易くなって、逆に表面着色し易くなる。
このように、着色顔料マスターバッチのペレットを小さくしていくことで、着色模様具合の調整が出来、着色効率も高くなってはくるが、連続生産を行うと、出来た成形品の木目模様に偏りが出たり、外観具合が製品間で異なったものになったりしてくることも判った。このような着色状況になるのは、着色顔料マスターバッチのペレットサイズが、成形材料ペレットの径に比べて1/2以下のサイズに下げた頃からで、大きさが小さくなればなるほど激しくなった。ブロー成形でリターン材を含む様な成形材料では特に顕著となった。
この原因を追求した結果、着色顔料マスターバッチのペレットが小さくなり過ぎて、成形材料ペレットとの重量差が大きくなる上に、ペレット間の摩擦具合が変化して、ドライブレンド材料を輸送したり、ホッパー内で落下している最中に、着色顔料マスターバッチのペレットと成形材料ペレットが分級してしまうのが原因と判った。この分級が起き易いペレットを使って、長時間連続成形すると、最終的には押出しムラとなったり、偏った着色になったりする。このような問題を解消すべく更に鋭意検討した結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記の発明[1]〜[9]である。
[1] 結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとの共重合体又は結晶性ポリエステルと非晶性ポリエーテルとの共重合体であって、ビカット軟化点が140℃以上、かつ融点が160℃以上であるポリエステルエラストマーを、30%〜70%含有し、かつ着色顔料を含む樹脂組成物(A)を種材とし、種材よりも低い温度で溶融し流動する樹脂(B)を鞘材として、鞘材中に種材が包み込まれてなる着色顔料マスターバッチ。
[2] [1]に記載の着色顔料マスターバッチであって、成形ベース樹脂と混合して用いられるものであり、かつ樹脂組成物(A)中のポリエステルエラストマーが、下記特性(a)を有する着色顔料マスターバッチ。
(a)成形ベース樹脂が結晶性樹脂である場合は、その融解温度を基準とし、成形ベース樹脂が非晶性樹脂である場合は流動開始温度を基準として、この基準よりも高いビカット軟化点と、この基準よりも20℃以上高い融点を有する結晶性のポリエステルエラストマーであって、成形ベース樹脂と同条件で測定した時のMFR(メルトフローレート)が、成形ベース樹脂より高い。
[3] [1]に記載の着色顔料マスターバッチであって、成形ベース樹脂と混合して用いられるものであり、かつ樹脂組成物(A)中のポリエステルエラストマーが、下記特性(b)を有する着色顔料マスターバッチ。
(b)成形ベース樹脂が結晶性樹脂である場合は、その融解温度を基準として、成形ベース樹脂が非晶性樹脂である場合は流動開始を基準として、この基準よりも高いビカット軟化点と、この基準よりも20℃以上高い流動開始温度を有する非晶性のポリエステルエラストマーであって、成形ベース樹脂と同条件で測定した時のMFR(メルトフローレート)が、成形ベース樹脂より高い。
[4] 鞘材を成す樹脂(B)の樹脂成分が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、スチレン−エチレン−αオレフィン共重合体の何れかである[1]〜[3]のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチ。
[5] 鞘材を成す樹脂(B)が、フィラーを含有する、請求項[1]〜[4]のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチ。
[6] 種材を成す着色顔料を含む樹脂組成物(A)とそれよりも低い温度で溶融し流動する樹脂(B)を、樹脂(B)が鞘材になるように、共押出ししてペレット化する、[1]〜[5]のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
[7] 種材となる着色顔料を含む樹脂組成物(A)を、目的とする着色顔料マスターバッチペレットの長径の1/2以下の長径を有する様にペレット化し、鞘材となる樹脂(B)100重量部に対し1〜50重量部ブレンドした後、樹脂組成物(A)のペレットが溶融しない温度で押出して鞘材中に種材が包み込まれたペレットとする、[1]〜[5]のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
[8] 種材となる着色顔料を含む樹脂組成物(A)をペレット化した後、粉砕して目的とする着色顔料マスターバッチペレットの長径の1/2以下の平均粒径にした粉砕材を、鞘材となる樹脂(B)100重量部に対し1〜50重量部ブレンドした後、樹脂組成物(A)の粉砕材が溶融しない温度で押出して鞘材中に種材が包み込まれたペレットとする、[1]〜[5]のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
[9] 目的とする着色顔料マスターバッチの1/2以下の粒径になるように、ペレット化又は粉砕した種材となる着色顔料を含む樹脂組成物(A)を、樹脂組成物(A)が溶融しない温度で鞘材となる樹脂(B)を押出している押出し機の途中より、樹脂(B)の押出量100重量部に対し1〜50重量部の押出量になる様に加えて更に押出して、鞘材中に種材が包み込まれたペレットとする、[1]〜[5]のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の着色顔料マスターバッチは、着色顔料を含む樹脂組成物(A)を種材に、それよりも低い温度で溶融し流動する樹脂(B)を鞘材に持つことが必須である。種材の形状は、鞘材に被覆されておれば特に制限はなく、鞘材の中に、2個以上の種材がある場合も含まれる。着色顔料マスターバッチとして仕上がった大きさは、成形材料と同等程度以上の大きさのペレットサイズで、種材は、着色顔料マスターバッチとして仕上がったペレットサイズの1/2以下の径である。種材がこれよりも大きいと、着色度が従来のマスターバッチと余り変わらなくなってしまう。成形材料に、下地色の着色顔料マスターバッチに、発明の着色顔料マスターバッチをドライブレンドして成形されることは従来の成形法と変わりがなく、着色は種材を形成する樹脂組成物(A)によって行われる。即ち、鞘材は、成形過程で、種材が溶融する以前に溶融して、成形材料内に溶解してしまって種材から離れてしまうように組み合わせられている。このため、鞘材は、成形材料の溶融温度程度では溶融する材料が択ばれている。
【0006】
着色は、着色顔料を含む種材が溶融を始めることで行われ、その溶融開始ポイントは、可塑押出し機を出た以降である。この種材を形成する樹脂組成物(A)には着色顔料を含む他に、鞘材である樹脂(B)が溶融する温度よりも高い温度で溶融し流動する樹脂組成物であれば良いが、好ましくは、下記に示す熱可塑性エラストマーを、30%〜70%含んでいることが好ましい。
(a)成形ベース樹脂が結晶性樹脂である場合は、その融解温度を基準として、成形材料が非晶性樹脂である場合は流動開始温度を基準として、これよりも高いビカット軟化点と、20℃以上高い融点を有する結晶性の熱可塑性エラストマーであって、成形ベース樹脂と同条件で測定した時のMFR(メルトフローレート)が、成形ベース樹脂より高い、又は、
(b)成形ベース樹脂が結晶性樹脂である場合は、その融解温度を基準として、成形材料が非晶性樹脂である場合は流動開始を基準として、これよりも高いビカット軟化点と、20℃以上高い流動開始温度を有する非晶性の熱可塑性エラストマーであって、成形ベース樹脂と同条件で測定した時のMFR(メルトフローレート)が、成形ベース樹脂より高い。
更に具体的に種材を形成する樹脂組成物(A)を示すと、その成分に、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステル又はポリエーテルとの共重合体であって、そのビカット軟化点が140℃以上、かつその融点が160℃以上であるポリエステルエラストマーを、30%〜70%含有するものが好ましい。
ここで、融点はDSC(JIS K 7121)で測定した値である。流動開始温度とは、高化式フローテスターで測定した温度である。ビカット軟化点は、ASTM D 1525に準拠して測定された値である。MFRはAST D 1238に準拠して測定した値である。
【0007】
成形ベース樹脂としては、特に限定されるものではない。例えばポリオレフィン,ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル,ポリアミド等が挙げられる。成形材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等では、鞘材を成す樹脂(B)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、スチレン−エチレン−αオレフィン共重合体等が好ましい。ナイロンやポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等でもこの様な鞘材で構わないが、成形材料に溶け込みする様に調整した材料を鞘材に用いる。
前記した特性の着色顔料を含む樹脂組成物(A)に含まれる熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーのビカット軟化点が、成形ベース樹脂の融点又は流動開始温度(2つ合せて基準温度と呼ぶ場合もある)より低い場合は、明瞭な木目模様や縞模様が得られ難い着色顔料となる。又、基準温度より20℃以上高くない場合も、同様に明瞭な木目模様や縞模様が得られ難い着色顔料となる。
樹脂組成物(A)に含まれる熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーのMFRが、成形ベース樹脂のMFRより小さい場合は(測定条件は成形ベース樹脂と同じ)、木目模様等の着色模様が発現し難くなる。
好ましくは、樹脂組成物(A)に含まれる熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーのビカット軟化点は、基準温度より20℃以上高く、融点は、基準温度より30℃以上高い温度である。MFRについては、(熱可塑性エラストマーのMFR/成形ベース樹脂のMFR)が5以上であることが好ましく、より好ましくは10以上、特に好ましくは20以上である。このMFR比が5未満であると、顔料が表に出難かったり、伸び難くなることで、木目模様が発現し難くなる恐れがある。
【0008】
前記した熱可塑性エラストマーの例としては、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等から選択されるが、特にポリエステル系エラストマーが好ましい。ポリエステル系エラストマーとして具体的には、ペルプレンP(東洋紡績社製,脂肪族ポリエーテルを使用したポリエステル・ポリエーテルタイプ)、ペルプレンS(東洋紡績社製,脂肪族ポリエステルを使用したポリエステル・ポリエステルタイプ)、ハイトレル(デュポン社製,芳香族ポリエステル(PBT主体)をハードセグメント、脂肪族ポリエーテル(PTMG又はPPG)をソフトセグメントとするポリエーテルエステル系のマルチブロックコポリマー)、ローモッド(GE社製,ハードセグメントに高融点の結晶性ポリエステルを使用し、ソフトセグメントに変性ポリエーテルを使用したもの)などが挙げられる。
本発明の着色顔料含有樹脂組成物(A)の構成は、上記特性を有する熱可塑性エラストマーを30〜70重量%、オレフィン系樹脂及び/又は他の熱可塑性エラストマー0〜70重量%、顔料1〜70重量%、その他の添加剤0〜20重量%とすることが好ましい。その他の添加剤としては、滑剤,変性された熱可塑性樹脂等が挙げられる。該樹脂組成物(A)中における、上記気特性を持つ熱可塑性エラストマーの含有量は40〜60重量%が特に好ましい。顔料成分は、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。オレフィン系樹脂及び/又は他の熱可塑性エラストマーは、必須となるものではないが、成形材料との界面親和性を向上させるのに寄与する。樹脂組成物(A)を混練するに際しては、酸、ヒドロキシ基、オキシド基、マレイン酸、カルボン酸、メタクリル酸、アクリル酸、ヒドロキシ基、オキシド基、無水マレイン酸、エポキシ基等の官能基を付与した変性樹脂を加えることで混練性が向上する。
【0009】
木粉等のフィラーを含有する材料で、木目も模様を持つような成形体を作るのに本発明の着色顔料マスターバッチを用いる場合は、フィードゾーンなど成形材料が溶融する以前に、マスターバッチが成形材料の剛性に負けて砕けて分散したりしないように、前記樹脂(B)にフィラーを含ませて保護することが好ましい。
フィラーは、有機フィラー、無機フィラーの何れでも良く、目的に応じ適用できるが、成形体重量を100重量%として、フィラー含量が10%以上、好ましくは20%以上ある場合が、本発明の着色顔料マスターバッチと従来のマスターバッチとの性能差が顕著になる。
なお、木目模様を持つ成形体に入れるフィラーは、該成形体の触感、木目に対し感じる人の感覚等を考慮すると、木粉、竹粉、シルク等の有機フィラーが、触感等の点から好ましい。
【0010】
本発明の着色顔料マスターバッチを製造する方法は特に制限はないが、例えば下記方法が挙げられる。
▲1▼着色顔料を含む樹脂組成物(A)を種材に、それよりも低い温度で溶融し流動する樹脂(B)を鞘材に成る様に共押出する着色顔料マスターバッチの製造方法。より具体的には、種材の樹脂組成物(A)用の混練押出機と、鞘材の樹脂(B)用の押出機を別々に設け、それぞれの押出機出口を、ストランドダイ(公知の芯鞘型ダイ等)で繋ぎ、樹脂組成物(A)を樹脂(B)で被覆しながら、ストランドを押出しする共押出する方法である。この方法は、均一(金太郎飴の様な)な芯鞘構造を持つ着色顔料マスターバッチが得られるメリットがある。
【0011】
▲2▼着色顔料を含む樹脂組成物(A)を、目標とする着色顔料マスターバッチの1/2以下の径になる様にペレット化し、そのペレットを、樹脂(B)100重量部に対し1〜50重量部ドライブレンドした後、樹脂組成物(A)が溶融しない温度条件で押出して製造する着色顔料マスターバッチの製造方法。
樹脂組成物(A)をペレット化する際に、目標とする着色顔料マスターバッチの1/2以上の径でペレット化すると、樹脂(B)といっしょに押出ししても、樹脂(B)で被覆出来ない上に、ストランドを引くことも難しくなる。ペレット径が小さい分には、複数の種材を含む着色顔料マスターバッチになるだけで特に問題はないが、小さ過ぎると筋が極端に細く、短い着色しか出来ないマスターバッチになる。樹脂組成物(A)ペレットの配合量が1重量部未満の場合は、樹脂組成物(A)ペレットが大きいとマスターバッチに種材が含まれないマスターバッチが多くなり、50重量部以上では、種材が多すぎて、ストランドが引けなくなり、マスターバッチ化したペレットが崩壊し易くなる。
溶融していない樹脂組成物(A)の小ペレットと、溶融状態の樹脂(B)を同時に押出してストランドを引くような製造法では、ストランドがネッキングして上手く引けないことが多い。そのような場合は、ストランドダイの出口にホットカット機を付けると、ストランドを引くこと無くペレット化出来る。
【0012】
▲3▼着色顔料を含む樹脂組成物(A)を混練してペレット化した後、粉砕して目標とする着色顔料マスターバッチの1/2以下の粒径した物を、樹脂(B)100重量部に対し1〜50重量部ドライブレンドした後、樹脂組成物(A)が溶融しない温度条件で押出して製造する着色顔料マスターバッチの製造方法。
前記▲2▼の方法と基本的には変わらないが、樹脂組成物(A)を混練して小さいペレット径と長さにカッティングし難い場合には有効である。
【0013】
▲4▼目標とする着色顔料マスターバッチの1/2以下の粒径又は径を持つ着色顔料を含む樹脂組成物(A)を、前記樹脂組成物(A)が溶融しない温度で樹脂(B)を押出している途中より、樹脂(B)の押出量100重量部に対し、1〜50重量部の押出量になる様に加えて更に押出する着色顔料マスターバッチの製造方法。
前記▲2▼▲3▼の方法と基本的には変わらないが、樹脂(B)が充分に可塑化された段階で、樹脂組成物(A)を押出機にかけることで、確実に樹脂(B)を樹脂組成物(A)に被覆させることができる。
【0014】
木粉等のフィラーを含む、木目調等の着色模様付き成形体の成形に用いる着色顔料マスターバッチを製造する場合は、前記▲1▼〜▲4▼の製造方法における樹脂(B)に、予めフィラーを任意の量含ませておけば良い。
【0015】
この様に製造された着色顔料マスターバッチは、従来の原着で行われる成形方法と同様に成形される。即ち、成形材料に、成形体全体を均一に着色する下地色の着色顔料マスターバッチを、1〜10%、好ましくは2〜4%、発明の着色顔料マスターバッチを、0.1〜5%、好ましくは、0.3%〜1%を加えてドライブレンドした成形材料を用いて、射出、押出し、ブロー成形などを行う。着色される外観模様は、発明の着色顔料マスターバッチ内に含まれる着色顔料を含む樹脂組成物(A)からなる種材の大きさと数、及び添加量で変化する。着色筋を太くするには種材が大きいものを、着色筋を細くしたい場合は種材が小さいものを選択して添加する。押出し斑が起きない量以上に添加さえすれば、着色度の少ない外観から徐々に強い状態まで、好みに合わせて調整可能となる。
【0016】
樹脂組成物(A)に含まれる着色顔料の種類を変えたものを複数用意し、前記製造法の何れかを用いれば、種材を複数持つような着色顔料マスターバッチの製造も可能となる。このような着色顔料マスターバッチは、1ペレットで複数色の着色が行え、従来の着色法で得られる着色外観とは全く異なった着色も可能となる。
【0017】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
1.種材となる樹脂組成物(A)ペレットの製造方法
(1)下記▲1▼〜▲5▼成分をドライブレンドして、二軸混練機(東芝機械(株)社製TEM35B)にかけて、1.5mm径のストランドダイを通して押出しし、ストランドに出来る限りテンションを掛けるように水冷しながらストランドを引いて高速でカッティングして、ペレット径が0.5〜0.7mm、長さが1〜1.5mmの小型の着色顔料含有樹脂組成物(A)ペレットを得た。(以下、ペレットAと略する)
▲1▼ペルプレンP150B 45重量%(東洋紡績社製,ポリエステル系熱可塑性エラストマー,融点212℃,ビカット軟化点190℃,MFR 20g/10分)
▲2▼タフテックH1062 10重量%(旭化成工業(株)製SEBS)
▲3▼エンゲージ8100 15重量%(デュポン・ダウ製エチレン−オクテン共重合 体)
▲4▼タフテックM1911 5重量%(旭化成工業(株)製無水マレイン酸変性SEBS)
▲5▼種顔料 25重量%(色剤を60%含むベージュ系顔料)
【0018】
2.種材となる樹脂組成物(A')ペレットの製造方法
(1)樹脂組成物(A)の▲1▼成分を、下記成分に置き換えた以外は同じ樹脂組成物を、ペレットAと同じ条件でペレット化した小型の着色顔料含有樹脂組成物(A')ペレットを得た。(以下、ペレットBと略する)
・ペルプレンP90B(東洋紡績社製,ポリエステル系熱可塑性エラストマー,融点203℃,ビカット軟化点180℃,MFR 20g/10分)
【0019】
3.実施例1の着色顔料マスターバッチ(MB1)の製造方法
(1)190℃−2.16kg荷重でのMIが0.5g/10分の低密度ポリエチレン(三菱樹脂(株)製,FZ038)100重量部と、ペレットA 15重量部をドライブレンドした材料を、下記条件で単軸押出ししてストランドを引いて、ペレット直径が3mm、長さ4mmのペレットを製造した。得られた着色顔料マスターバッチ(以下、MB1と略する)を見ると、ペレットAが1〜2個入った、低密度ポリエチレンで被覆された芯鞘構造であった。
(2)押出条件
▲1▼押出機:田辺プラスチック(株)社製VS40−28
▲2▼スクリュー回転数 35rpm
▲3▼押出温度 C1,C2=140℃,C3=145℃,C4=150℃,ダイス150℃
C1→C4になるにつれ、ダイスに近くなる。C1はホッパー下
【0020】
4.実施例2の着色顔料マスターバッチ(MB2)の製造方法
(1)190℃−2.16kg荷重でのMIが0.34g/10分の高密度ポリエチレン(出光石油化学(株)製,548B)を溶融混練している押出機の3/4位置に設けられたベント口から、ペレットAを前記の高密度ポリエチレンの吐出量100重量部に対し15重量部になるように滴下フィードして更に押出し、ストランドを引いて、ペレット直径が3mm、長さ4mmのペレットを製造した(以下、MB2と略する)。得られたペレットを見ると、ペレットAが1〜2個入った、高密度ポリエチレンで被覆された芯鞘構造であった。
(2)押出条件
▲1▼押出機:田辺プラスチック(株)社製VS40−28
▲2▼スクリュー回転数 100rpm スクリューは、ベント口位置で中絞りがある一条溝スクリュー
▲3▼押出温度 C1〜ダイス=170℃
【0021】
5.実施例3の着色顔料マスターバッチ(MB3)の製造方法
(1)木粉53重量%入りPP(カルプ工業(株)製 E6561)50重量部と230℃−2.16kg荷重でのMIが3.5g/10分のPP(出光石油化学(株)製,J452HP)50重量部をドライブレンドして、ホットカット装置を設けた単軸押出機にかけて溶融混練し、該押出機の3/4位置に設けられたベント口から、ペレットBを前記2種のPPの吐出量100重量部に対し15重量部になるように滴下フィードして押出し、ダイスから出たストランドを、ダイス出口でホットカットしながら、ペレット直径が3mm、長さ4mmのペレットを製造した(以下、MB3と略する)。得られたペレットを見ると、ペレットAが1〜2個入った、木粉入りポリプロピレンで被覆された芯鞘構造であった。
(2)押出条件
▲1▼押出機:中谷機械(株)社製50mm単軸押出機
▲2▼スクリュー回転数 50rpm スクリューは、ベント口位置で中絞りがある一条溝スクリュー
▲3▼押出温度 C1=160℃、C2=170℃、C3〜ダイス=175℃
【0022】
6.比較例1の着色顔料マスターバッチ(MB4)の製造方法
得られるペレットの直径が3mm、長さ4mmになる様に、ストランドダイを変えた以外は、ペレットAと同様にして製造した(以下、MB4と略する)。
【0023】
7.比較例3の着色顔料マスターバッチ(MB5)の製造方法
得られるペレットの直径が3mm、長さ4mmになる様に、ストランドダイを変えた以外は、ペレットBと同様にして製造した(以下、MB5と略する)。
【0024】
8.実施例1
(1)ブロックポリプロピレン(E-150GK,出光石油化学(株)製,MFR=0.5g/10分)100重量部に対し、LD製下地顔料マスターバッチ2重量部、MB1を0.2重量部配合したもの(以下ナチュラル成形材と呼ぶ)を用意した後、日本製鋼社製のV8型ブロー成形機(アキュムレータ型)を用いて、パリソン押出し温度223℃(ダイス温度215℃設定)で、容量1リットルの偏平の角型ボトル金型を、50個を成形した。ボトル1個分のパリソン重量は220g、ブローアップ比は2〜3倍とした。成形したボトルを粉砕機に掛けて粉砕し、出来た粉砕材にMB1を0.2重量部配合し、更にこれと同等重量のナチュラル成形材をブレンドして新たに成形材を作り、前記成形条件と同じ条件で50個の成形を行った。一連の成形では、押出し機の材料供給ホッパーへの成形材の投入は、バキューム吸引による空送ラインを使って行った。以上から得られた成形品の外観、及びボトル毎に着色模様のバラツキを評価した。
外観(木目感)については、筋状の木目(柾目)が適度に現出しているものを○、木目筋が少なすぎる(模様密度が疎)のものを△、木目筋が多すぎる(模様密度が密)ものを▽で示した。更には、木目と認識出来ないものは×とした。
ボトル毎の着色模様のバラツキは、全て同様な着色模様であった場合を○、一部に着色模様が付いていない部分があるボトルや、柾目筋が濃すぎるものが一個以上ある場合を△とし、全ボトルの1/5程度に前記不良現象が認められる場合を×とした。
(2) (1)のボトル成形が終了した後、前記ブロックポリプロピレンでパージした後、下地用MBを2重量部、MB1を0.4重量部になるよう配合した以外は、(1)と同様に成形、評価した。以下、MB1の配合量を0.6、0.8、1重量部と変える毎に充分にパージして、成形、評価した。
(3)評価結果を第1表に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
9.実施例2
(1) MB1をMB2に変えた以外は、実施例1と同様に成形、評価した。
(2)評価結果を第2表に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
10.実施例3
(1)木粉を53重量%含むポリプロピレン(E-6561,カルプ工業(株)製)100重量部に対し、LD製下地顔料マスターバッチ2重量部、MB3を0.5重量部配合し、50mm押出成形機(コスモテック社製)を用いて樹脂温度215℃(ダイス)で30mm幅×2mm厚みのシートを、1時間連続押出成形した。この成形における材料供給は、ブレンド材を人手でホッパーへの直接投入する方法で行った。得られたシートを50cm長さ毎に切断し、各シートの外観、及びシート毎の着色模様のバラツキを評価した。
外観(木目感)については、筋状の木目(柾目)がシート全体に現出しているものを○、筋感が低かったり明瞭性が低いものを△、木目と認識されなかったり、木目筋が出ていないものを×で示した。
(2)(1)のシート成形が終了した後、通常のポリプロピレンでパージした後、前記木粉含有ポリプロピレン100重量部、下地用MBを2重量部、MB3を1重量部になるよう配合した以外は、(1)と同様に成形、評価した。以下、MB3配合量を2、3、4重量部と振って成形、評価した。
(3)評価結果を第3表に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
11.比較例1
(1)MB1をMB4に代えた以外は、実施例1と同様に成形、評価した。
(2)評価結果を第4表に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
12.比較例2
(1)MB1を、MB1を作る前の小型の着色顔料含有樹脂組成物(A)ペレットAに代えた以外は、実施例1と同様に成形、評価した。
(2)評価結果を第5表に示す。
【0033】
【表5】
【0034】
13.比較例3
(1)MB3をMB5に代えた以外は、実施例3と同様に成形、評価した。
(2)評価結果を第6表に示す。
【0035】
【表6】
【0036】
14.比較例4
(1)MB3を、MB3を作る前の小型の着色顔料含有樹脂組成物(A')ペレットBに代えた以外は、実施例3と同様に成形、評価した。
(2)評価結果を第7表に示す。
【0037】
【表7】
【0038】
【発明の効果】
本発明の着色顔料マスターバッチを用いると、模様着色に偏りがなく、連続生産時の外観バラツキの少ない木目のような模様外観を持った成形品が、ドライブレンドによる原着成形の様な簡便な方法で得ることができる。
Claims (9)
- 結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとの共重合体又は結晶性ポリエステルと非晶性ポリエーテルとの共重合体であって、ビカット軟化点が140℃以上、かつ融点が160℃以上であるポリエステルエラストマーを、30%〜70%含有し、かつ着色顔料を含む樹脂組成物(A)を種材とし、種材よりも低い温度で溶融し流動する樹脂(B)を鞘材として、鞘材中に種材が包み込まれてなる着色顔料マスターバッチ。
- 請求項1に記載の着色顔料マスターバッチであって、成形ベース樹脂と混合して用いられるものであり、かつ樹脂組成物(A)中のポリエステルエラストマーが、下記特性(a)を有する着色顔料マスターバッチ。
(a)成形ベース樹脂が結晶性樹脂である場合は、その融解温度を基準とし、成形ベース樹脂が非晶性樹脂である場合は流動開始温度を基準として、この基準よりも高いビカット軟化点と、この基準よりも20℃以上高い融点を有する結晶性のポリエステルエラストマーであって、成形ベース樹脂と同条件で測定した時のMFR(メルトフローレート)が、成形ベース樹脂より高い。 - 請求項1に記載の着色顔料マスターバッチであって、成形ベース樹脂と混合して用いられるものであり、かつ樹脂組成物(A)中のポリエステルエラストマーが、下記特性(b)を有する着色顔料マスターバッチ。
(b)成形ベース樹脂が結晶性樹脂である場合は、その融解温度を基準として、成形ベース樹脂が非晶性樹脂である場合は流動開始を基準として、この基準よりも高いビカット軟化点と、この基準よりも20℃以上高い流動開始温度を有する非晶性のポリエステルエラストマーであって、成形ベース樹脂と同条件で測定した時のMFR(メルトフローレート)が、成形ベース樹脂より高い。 - 鞘材を成す樹脂(B)の樹脂成分が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、スチレン−エチレン−αオレフィン共重合体の何れかである請求項1〜3のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチ。
- 鞘材を成す樹脂(B)が、フィラーを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチ。
- 種材を成す着色顔料を含む樹脂組成物(A)とそれよりも低い温度で溶融し流動する樹脂(B)を、樹脂(B)が鞘材になるように、共押出ししてペレット化する、請求項1〜5のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
- 種材となる着色顔料を含む樹脂組成物(A)を、目的とする着色顔料マスターバッチペレットの長径の1/2以下の長径を有する様にペレット化し、鞘材となる樹脂(B)100重量部に対し1〜50重量部ブレンドした後、樹脂組成物(A)のペレットが溶融しない温度で押出して鞘材中に種材が包み込まれたペレットとする、請求項1〜5のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
- 種材となる着色顔料を含む樹脂組成物(A)をペレット化した後、粉砕して目的とする着色顔料マスターバッチペレットの長径の1/2以下の平均粒径にした粉砕材を、鞘材となる樹脂(B)100重量部に対し1〜50重量部ブレンドした後、樹脂組成物(A)の粉砕材が溶融しない温度で押出して鞘材中に種材が包み込まれたペレットとする、請求項1〜5のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
- 目的とする着色顔料マスターバッチの1/2以下の粒径になるように、ペレット化又は粉砕した種材となる着色顔料を含む樹脂組成物(A)を、樹脂組成物(A)が溶融しない温度で鞘材となる樹脂(B)を押出している押出し機の途中より、樹脂(B)の押出量100重量部に対し1〜50重量部の押出量になる様に加えて更に押出して、鞘材中に種材が包み込まれたペレットとする、請求項1〜5のいずれかに記載の着色顔料マスターバッチの製造方法。
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