JP3914671B2 - ウエハ支持部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等のウエハを保持するのに用いるウエハ支持部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置の製造工程において、半導体ウエハ(以下、単にウエハという)に薄膜を形成するPVD、CVD等の成膜装置や、ウエハに微細加工を施すドライエッチング装置では、ウエハを高精度に保持するために静電チャックやサセプタの如きウエハ支持部材が用いられている。
【0003】
図5は従来のウエハ支持部材を真空処理室内に設置した状態の概略を示す断面図で、このウエハ支持部材21は、円盤状をした板状セラミック体22から成り、板状セラミック体22の上面をウエハの設置面25とするとともに、その内部に、設置面25側から順に、静電吸着用としての一対の内部電極23、及び加熱用としての内部電極24をそれぞれ埋設したもので、板状セラミック体22の下面には、各内部電極23,24と電気的に接続された給電端子26,27が、銀を含むロウ材層28,29を介して接合されている。
【0004】
また、設置面25の中央には板状セラミック体22を貫通するガス導入孔30を有するとともに、前記ガス導入孔30と連通する溝31を有し、ガス導入孔30の入り口側には、金属製のパイプ32が銀を含むロウ材層33を介して接合されている。
【0005】
さらに、このウエハ支持部材21は、金属製のリング体34を介して真空処理室39内に気密に設置されており、前記ウエハ支持部材21とリング体34とは、銀を含むロウ材層35を介して接合されている。なお、36はウエハ支持部材21の上方に設置されたプラズマ発生用電極であり、ウエハ支持部材21に備える静電吸着用の内部電極23を他方のプラズマ発生用の電極として共用するようになっている。
【0006】
そして、このウエハ支持部材21にてウエハWに各種処理を施すには、設置面25にウエハWを載せるとともに、一対の内部電極23間に直流電圧を印加することにより、ウエハWと内部電極23との間に誘電分極によるクーロン力や微少な漏れ電流によるジョンソン・ラーベック力等の静電吸着力を発現させ、設置面25上のウエハWを強制的に吸着して固定するとともに、内部電極24に通電することにより、設置面25に固定したウエハWを加熱し、パイプ32を介してガス導入孔30よりウエハWと設置面25との間の溝31にHeガスを供給することで、ウエハWの均熱化を図り、さらに一対の内部電極23とプラズマ発生用電極36との間に高周波電力を印加することによりプラズマを発生させるようになっており、この状態で真空処理室39内に成膜用ガスを供給すれば、ウエハW上に薄膜を形成することができ、また真空処理室39内にエッチング用ガスを供給すれば、ウエハW上に微細な回路パターンを形成することができ、さらに真空処理室39内にクリーニング用ガスを供給すれば、ウエハ支持部材21や真空処理室39の表面に付着する成分を除去することができるようになっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成膜、エッチング、クリーニング等の各種処理を施すにあたり、ウエハ支持部材21は、加熱用の内部電極24によって300℃以上に加熱されることがあり、このような高温に加熱された状態で静電吸着力やプラズマを発生させるため、一対の内部電極23と電気的に接続されている給電端子26間に通電すると、各給電端子26,27やパイプ32あるいはリング体34を接合するロウ材層28,29,33,35中の銀イオンが板状セラミック体22の表面を移動するイオンマイグレーションが発生し、一対の内部電極23の給電端子26間、内部電極23の給電端子26と内部電極24の給電端子27間、各給電端子26とパイプ32間、あるいは各給電端子26とリング体34間が連通すると、静電吸着力やプラズマを発生させることができなくなったり、ウエハ支持部材21を発熱させることができなくなるといった課題があった。
【0008】
即ち、銀がイオンマイグレーションを起こすメカニズムとしては、300℃以上の高温になると銀が大気中の酸素と反応してAg2Oを生成するのであるが、ただちに解離してAg+となる。そして、Ag+ができた時に電位勾配があると、電位の低い方へ移動していくことにより発生すると言われている。
【0009】
そして、図5に示すウエハ支持部材21の各給電端子26,27やパイプ32あるいはリング体34は、放電防止や構造上の問題で大気に曝されており、ウエハ支持部材21を高温に加熱した状態でプラズマや静電吸着力を発生させると、板状セラミック体22中には内部電極23,24によって表面に様々な電界が発生しており、各給電端子26,27の接合部周辺、パイプ32の接合部周辺、リング体34の接合部周辺における板状セラミック体22の表面に、内部電極23,24の電位が現れ、この現象により板状セラミック体22の下面における一対の内部電極23の給電端子26間、内部電極23の給電端子26と内部電極24の給電端子27間、各給電端子26とパイプ32間、各給電端子26とリング体34間にそれぞれ電位差が生じ、これらの電位勾配によってロウ材層28,29,33,35中の銀がイオンマイグレーションを起こしていた。
【0010】
しかも、ウエハWの離脱性を良くするため、離脱時に吸着のためにかけていた電圧と異なる極性の電圧をかけたり、あるいはウエハW毎に通電する極性を変えるようにすることが行われているが、この場合、銀イオンのマイグレーションが加速されるといった課題があった。
【0011】
これに対し、イオンマイグレーションを起こし難いロウ材として、金を含むロウ材が知られているが、金を含むロウ材は一般的に硬度が大きいため、ロウ付け時や加熱時に接合界面に加わる応力が大きく、板状セラミック体22の接合部近傍にクラックが発生し易く、耐久性に問題があった。
【0012】
なお、図5ではウエハ支持部材21として、静電吸着用の内部電極23と加熱用の内部電極24をそれぞれ埋設した例を示したが、このような課題は、静電吸着用の内部電極23、加熱用の内部電極24、プラズマ発生用の内部電極のいずれか一つの内部電極を埋設したウエハ支持部材21でも発生していた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、板状セラミック体の上面をウエハの設置面とし、その内部に少なくとも一つの内部電極を備えるとともに、前記設置面以外の板状セラミック体表面に、前記内部電極と電気的に接続される給電端子や、パイプ、リング体等の他の金属部材を、銀を含むロウ材層を介して各々接合して成るウエハ支持部材において、前記設置面以外の板状セラミック体の表面における給電端子との接合部及び他の金属部材との接合部の上方で、かつ前記内部電極の下方にあるセラミック層中に、各接合部におけるロウ材層の外周より大きい外周を有する導体層をそれぞれ埋設するとともに、上記給電端子とその上方の導体層及び上記他の金属部材とその上方の各導体層とをそれぞれ電気的に接続して同電位としたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、板状セラミック体の上面をウエハの設置面とし、その内部に少なくとも一つの内部電極を備えるとともに、前記設置面以外の板状セラミック体表面に、前記内部電極と電気的に接続される給電端子や、パイプ、リング体等の他の金属部材を、銀を含むロウ材層を介して各々接合して成るウエハ支持部材において、前記設置面以外の板状セラミック体の表面における給電端子との接合部及び他の金属部材との接合部の上方で、かつ前記内部電極の下方にあるセラミック層中に、各前記接合部周辺を覆う導体層を埋設してあり、前記設置面以外の板状セラミック体表面に、前記給電端子と異なる前記導体層と電気的に接続される給電端子を備えたことを特徴とする。
【0015】
なお、前記内部電極とは、プラズマ発生用、静電吸着用、加熱用として用いるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るウエハ支持部材を真空処理室内に設置した状態の概略を示す断面図であり、図2は、図1におけるウエハ支持部材のX−X線断面図である。
【0018】
このウエハ支持部材1は、円盤状をした板状セラミック体2からなり、板状セラミック体2の上面をウエハWの設置面5とするとともに、その内部に、設置面5側から順に、静電吸着用としての一対の内部電極3及び加熱用として内部電極4をそれぞれ埋設して成り、板状セラミック体2の下面には各内部電極3,4を貫通する孔2a,2bを穿設してあり、これらの孔2a,2bに給電端子6,7を挿入し、銀を含むロウ材層8,9を介して接合することにより,各内部電極3,4と給電端子6,7を電気的に接続してある。
【0019】
また、設置面5の中央には板状セラミック体2を貫通するガス導入孔10を有するとともに、前記ガス導入孔10と連通する溝11を備え、ガス導入孔10の入り口側には、金属製のパイプ12が銀を含むロウ材層13を介して接合してあり、さらに板状セラミック体2の下面には、各給電端子6,7やパイプ12を取り囲むように金属製のリング体14が、銀を含むロウ材層15を介して接合してある。
【0020】
さらに、板状セラミック体2の下面における各給電端子6,7、パイプ12、リング体14との接合部の上方で、かつ最下層に埋設された内部電極4より下方にあるセラミック層中には、導体層17をそれぞれ埋設してあり、導体層17aは孔2aまで延長することにより、導体層17aと給電端子6とが同電位となり、導電層17bは孔2bまで延長することにより、導体層17bと給電端子7とが同電位となり、導体層17cは、ガス導入孔10に形成したメタライズ層18cを介してパイプ12の接合部におけるロウ材層13と接続することにより、導体層17cとパイプ12とが同電位となり、導体層17dはスルーホール導体18dを介してリング体14との接合部におけるロウ材層15と接続することにより、導体層17dとリング体14とが同電位となるようにしてある。
【0021】
そして、このウエハ支持部材1は、リング体14を介して真空処理室19内に気密に設置してある。なお、16はウエハ支持部材1の上方に設置されたプラズマ発生用電極であり、ウエハ支持部材1に備える静電吸着用の内部電極3を他方のプラズマ発生用の電極として共用するようにしてある。
【0022】
そして、このウエハ支持部材1にてウエハWに各種処理を施すには、設置面5にウエハWを載せるとともに、静電吸着用としての一対の内部電極3間に直流電圧を印加することにより、ウエハWと一対の内部電極3との間に誘電分極によるクーロン力や微少な漏れ電流によるジョンソン・ラーベック力等の静電吸着力を発現させ、設置面5上のウエハWを強制的に吸着して固定するとともに、加熱用としての内部電極4に通電することにより、設置面5に固定したウエハWを加熱し、ガス導入孔10よりウエハWと設置面5との間の溝11にHeガスを供給することで、ウエハWの均熱化を図り、さらに一対の内部電極3とプラズマ発生用電極16との間に高周波電力を印加することで、プラズマを発生させるようになっており、この状態で真空処理室19内に成膜用ガスを供給すれば、ウエハW上に薄膜を形成することができ、また真空処理室19内にエッチング用ガスを供給すれば、ウエハW上に微細な回路パターンを形成することができ、さらに真空処理室19内にクリーニング用ガスを供給すれば、ウエハ支持部材1や真空処理室19の表面に付着する成分を除去することができるようになっている。
【0023】
そして、本発明によれば、各給電端子6,7、パイプ12、リング体14の接合部上方のセラミック層中には、それぞれ導体層17a〜17dを埋設し、給電端子6とその接合部上方に埋設した各導体層17a、給電端子7とその接合部上方に埋設した各導体層17b、パイプ12とその接合部上方に埋設した導体層17c、リング体14とその接合部上方に埋設した導体層17dとをそれぞれ電気的に接続して同電位としたことから、プラズマや静電吸着力を発生させたり、ウエハ支持部材1を加熱するために、内部電極3,4にそれぞれ通電しても、各内部電極3,4による電界を各導体層17a〜17dによりシールドし、各給電端子6,7、パイプ12、リング体14の接合部周辺における板状セラミック体2の表面に、内部電極3,4の電位が現れることを防ぐことができるため、各ロウ材層8,9,13,15における銀のイオンマイグレーションを抑えることができ、その結果、板状セラミック体2の下面における一対の内部電極3の給電端子6間、内部電極3の給電端子6と内部電極4の給電端子7との間、各給電端子6とパイプ12間、各給電端子6とリング体14間がイオンマイグレーションにより導通することを防止することができる。
【0024】
即ち、導体層17a〜17dがない場合、内部電極3の電位が給電端子6,7、パイプ12、リング体14の各接合部周辺に現れ、その電位が各接合部の電位より低いと、その接合部おけるロウ材層中の銀がイオンマイグレーションを起こすのであるが、本発明によれば、内部電極3,4の電位を導体層17a〜17dでシールドし、給電端子6,7、パイプ12、リング体14の各接合部周辺には、各導体層17a〜17dの電位が現れるようにするとともに、その電位は各導体層17a〜17dの電位と同電位としてあることから、各接合部におけるロウ材層8,9,13,15中の銀がイオンマイグレーションを起こすことを防ぐことができる。
【0025】
その為、長期間にわたってウエハ支持部1を加熱し、かつ安定した静電吸着力やプラズマを発生させることができる。
【0026】
その結果、本発明のウエハ支持部材1を用いて成膜処理やエッチング処理を施せば、精度の高い成膜やエッチングを長期間にわたって施すことができ、また、クリーニング処理を施せば、ウエハ支持部材1や真空処理室19内に付着する成分を繰り返し除去することができる。
【0027】
ところで、このような効果を奏するためには、前述したように、各導体層17a〜17dの外周が、各々電気的に接続された各給電端子6,7、パイプ12、リング体14の板状セラミック体2の下面における接合部をなすロウ材層8,9,13,15の外周より大きくすることが重要である。
【0028】
即ち、各導体層17a〜17dの外周が、板状セラミック体2の下面における各給電端子6,7、パイプ12、リング体14との接合部をなすロウ材層8,9,13,15の外周と同等又は小さいと、各接合部周辺には内部電極3,4の電位が現れ、導体層17a〜17dを設けたことによる効果がなく、繰り返し使用するうちに、板状セラミック体2の下面における一対の内部電極3の給電端子6間、内部電極3の給電端子6と内部電極4の給電端子7との間、各給電端子6とパイプ12間、各給電端子6とリング体14間がイオンマイグレーションにより導通するからである。
【0029】
なお、各導体層17a〜17dの外周が、各々電気的に接続された各給電端子6,7、パイプ12、リング体14の板状セラミック体2の下面における接合部をなすロウ材層8,9,13,15の外周より大きいとは、各導体層17a〜17dの外周と、導体層17a〜17dと接続された各接合部のロウ材層8,9,13,15における外周との最短距離で、各導体層17a〜17dの外周の方が0.5mm以上大きいことことを言う。
【0030】
ただし、導体層17a〜17dの内周が、導体層17a〜17dと接続された各接合部のロウ材層8,9,13,15における外周より大きくなると、各接合部の周辺に内部電極3,4の電位が現れるためにシールド効果が得られない。その為、導体層17a〜17dの内周は、導体層17a〜17dと接続された各接合部のロウ材層8,9,13,15における外周より小さいことが必要である。
【0031】
また、これらの導体層17a〜17dは、板状セラミック体2中に埋設されている最下層の内部電極4より下方のセラミック板2中に埋設することが必要であり、内部電極4の上方に埋設した場合、各接合部周辺に内部電極3の電位が現れることを防ぐことができたとしても、内部電極4の電位が現れることを防ぐことができないため、各ロウ材層8,9,13,15中における銀のイオンマイグレーションを完全に防止することができないからである。
【0032】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0033】
図3は、本発明に係る他のウエハ支持部材を真空処理室内に設置した状態の概略を示す断面図であり、図4は、そのY−Y線断面図である。
【0034】
このウエハ支持部材1は、板状セラミック体2の下面における各給電端子6,7、パイプ12、リング体14との接合部上方で、かつ最下層に埋設された内部電極4より下方にあるセラミック層中に、図4に示すような板状セラミック板2の下面における各給電端子6,7、パイプ12、リング体14との接合部周辺を覆う1枚の導体層17を埋設する以外は、図1及び図2に示したウエハ支持部材1と同様の構造をしたもので、前記導体層17は、板状セラミック体2の下面に穿孔した導体層17を貫通する孔2cに銀を含むロウ材層を介して接合した給電端子20と電気的に接合してある。
【0035】
そして、このウエハ支持部材1を用いる場合、給電端子20に、静電吸着用としての一対の内部電極3及び加熱用としての内部電極4にそれぞれ通電する電圧値の中で最も高い電圧値と同等又はそれ以上の高い電圧値を印加することにより、プラズマや静電吸着力を発生させるために、内部電極3に直流電圧や高周波電力を印加するとともに、ウエハ支持部材1を加熱するために、内部電極4に通電しても、各内部電極3,4による電位は導体層17で遮断し、板状セラミック体2の下面における各給電端子6,7,20、パイプ12、リング体14との接合部周辺には導体層17の電位が現れ、この電位は各接合部における最も高い電位と同じか又は高いため、各ロウ材層8,9,13,15中の銀がイオンマイグレーションを起こすことを防止することができる。
【0036】
なお、導体層17に通電する電圧は、各給電端子6,7に通電する最も高い電圧と併用しても構わない。
【0037】
ところで、図1,2に示すウエハ支持部材1や図3,4に示すウエハ支持部材において、板状セラミック体2を形成する材質としては、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム等を主成分とするセラミック焼結体を用いることができ、この中でもウエハWの均熱化を図るためには高熱伝導率を有する窒化アルミニウムを主成分とするセラミック焼結体が良く、さらにエッチング用ガスやクリーニング用ガスとして用いられるハロゲン系ガスに曝される場合には、耐食性や耐プラズマ性に優れたAlN純度が99.8%以上である窒化アルミニウム質のセラミック焼結体を用いることが望ましい。
【0038】
また、板状セラミック体2中に埋設する静電吸着用の内部電極3や加熱用の内部電極4あるいは導体層17a〜17d,17の材質としては、板状セラミック体2との熱膨張が小さく、かつ融点の高いタングステンやモリブデン等の金属や炭化タングステン等を用いることが好ましい。
【0039】
さらに、給電端子6,7,20やパイプ12あるいはリング体14を形成する材質もまた板状セラミック体2との熱膨張が小さいものが良く、モリブデン、タングステン等の金属や、Fe−Ni−Co合金やNi−Co合金等を用いることが好ましい。
【0040】
なお、本実施形態では、ウエハ支持部材1として、静電吸着用としての内部電極3、加熱用としての内部電極4をそれぞれ埋設した例を示したが、プラズマ発生用としての内部電極、静電吸着用としての内部電極3、加熱用としての内部電極4のいずれか一つの内部電極を埋設したウエハ支持部材1でも本発明における導体層17a〜17d,17を内蔵することで同様の効果を奏することができることは言うまでもない。
【0041】
【実施例】
ここで、図1に示す本発明のウエハ支持部材1と、図5に示す従来のウエハ支持部材21とを製作し、静電吸着用としての内部電極3,23の給電端子6,26や加熱用としての内部電極4,24の給電端子7,27を接合する銀を含むロウ材層8,9,28,29中における銀のイオンマイグレーションの有無について調べる実験を行った。
【0042】
本実験では、ウエハ支持部材1,21を形成する板状セラミック体2,22を、AlN純度が99.8%である窒化アルミニウム質のセラミック焼結体により形成し、その形状を外径200mm、板厚10mmの円板状体とした。そして、板状セミック体2,22の上面をウエハの設置面5,25とするとともに、設置面5,25から0.5mmの深さに静電吸着用としての一対のWCからなる内部電極3,23を、設置面5,25から8mmの深さに加熱用としてのWCからなる内部電極4,24をそれぞれ埋設した。
【0043】
また、各板状セラミック体2,22の下面には、一対の内部電極3,23及び内部電極4,24とそれぞれ連通する孔を形成し、各孔にFe−Co−Ni合金からなる給電端子6,7,26,27を、Ag−Cuからなるロウ材層8,9,28,29を介して接合し、各内部電極3,4,23,24と給電端子6,7,26,27とをそれぞれ電気的に接続した。
【0044】
なお、静電吸着用の内部電極3,23における給電端子6,26間の距離は70mm、加熱用の内部電極4,24における給電端子7,27間の距離は70mm、静電吸着用の内部電極3,23における給電端子6,26と加熱用の内部電極4,24における給電端子7,27との距離はそれぞれ70mmとした。
【0045】
さらに、図1に示すウエハ支持部材1には、加熱用の内部電極4と板状セラミック体2の下面との間で、各給電端子6,7の上方に導体層17a,17bをそれぞれ埋設し、導体層17a,17bの大きさを異ならせたものを用意した。
【0046】
そして、これらのウエハ支持部材1,21を真空処理室内に設置したあと、設置面5,25にウエハWを載せた状態で、内部電極4,24に通電して600℃に加熱するとともに、一対の給電端子6間に+250Vと−250Vの電圧を印加し、1分毎にこの極性を反転させる動作を行い、ロウ材層8,9中における銀がイオンマイグレーションを起こすまでの時間をそれぞれ比較した。
【0047】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0048】
【表1】
【0049】
この結果、表1から判るように、試料No.1の導体層を持たない図5に示すウエハ支持部材21、及び試料No.2,3に示す、導体層17a,17bの外周が、板状セラミック板2の下面におけるロウ材層8,9の外周と同等又は小さい図1のウエハ支持部材1では、350時間以内で銀のイオンマイグレーションが発生した。
【0050】
また、試料No.7のように、導体層17a,17bが静電吸着用の内部電極3と加熱用の内部電極4との間にあると、導体層17a,27bを設けたことによる効果がなく、250時間で銀のイオンマイグレーションが発生した。
【0051】
これに対し、試料No.4〜6に示すものは、導体層17a,17bの外周が、板状セラミック板2の下面におけるロウ材層8,9の外周より大きく、0.5mm以上の大きさを有することから、いずれも800時間後においてもロウ材層8,9中における銀がイオンマイグレーションすることがなく、長期間にわたって安定した静電吸着力を実現することができた。
【0052】
このことから、図1に示すウエハ支持部材において、各導体層17a,17bの外周を、板状セラミック体2の下面におけるロウ材層8,9の外周より大きくすれば、ロウ材層8,9中の銀のイオンマイグレーションを効果的に防止できることが判る。
【0053】
なお、実施例では図1に示すウエハ支持部材1についてのみ示したが、図4に示すウエハ支持部材においても同様の傾向が見られた。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、板状セラミック体の上面をウエハの設置面とし、その内部に少なくとも一つの内部電極を備えるとともに、前記設置面以外の板状セラミック体表面に、前記内部電極と電気的に接続される給電端子及び他の金属部材を、銀を含むロウ材層を介して各々接合して成るウエハ支持部材において、前記設置面以外の板状セラミック体の表面における給電端子との接合部及び他の金属部材との接合部の上方で、かつ前記内部電極の下方にあるセラミック層中に、各接合部におけるロウ材層の外周より大きい外周を有する導体層を各々埋設するとともに、上記給電端子とその上方の導体層及び上記他の金属部材とその上方の導体層とをそれぞれ電気的に接続して同電位とするか、あるいは前記設置面以外の板状セラミック体の表面における給電端子との接合部及び他の金属部材との接合部の上方で、かつ前記内部電極の下方にあるセラミック層中に、各前記接合部周辺を覆う導体層を埋設したことによって、内部電極への通電による板状セラミック体の下面における各給電端子や他の金属部材の接合部のロウ材層中の銀がイオンマイグレーションを起こすことを防止することができるため、長期間にわたってウエハ支持部を安定して加熱したり、静電吸着力やプラズマを発生させることができる。
【0055】
その結果、本発明のウエハ支持部材を用いて成膜処理やエッチング処理を施せば、精度の高い成膜やエッチングを長期間にわたって施すことができ、また、クリーニング処理を施せば、ウエハ支持部材1や真空処理室内に付着する成分を繰り返し除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウエハ支持部材を真空処理室内に設置した状態の概略を示す断面図である。
【図2】図1におけるウエハ支持部材のX−X線断面図である。
【図3】本発明に係る他のウエハ支持部材を真空処理室内に設置した状態の概略を示す断面図である。
【図4】図3におけるウエハ支持部材のY―Y断面図である。
【図5】従来のウエハ支持部材を処理室内に設置した状態の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 :ウエハ支持部材
2 :板状セラミック体
2a〜2c :孔
3 :静電吸着用としての内部電極
4 :加熱用としての内部電極
5 :設置面
6 :静電吸着用の給電端子
7 :加熱用の給電端子
8,9,13,15:ロウ材層
12 :パイプ
14 :リング体
10 :ガス導入孔
11 :溝
16 :プラズマ発生電極
17,17a〜17d:導体層
18c :メタライズ層
18d :スルーホール導体
19 :真空処理室
Claims (5)
- 板状セラミック体の上面をウエハの設置面とし、その内部に少なくとも一つの内部電極を備えるとともに、前記設置面以外の板状セラミック体表面に、前記内部電極と電気的に接続される給電端子及び他の金属部材を、銀を含むロウ材層を介して接合して成るウエハ支持部材において、前記設置面以外の板状セラミック体の表面における給電端子との接合部及び他の金属部材との接合部の上方で、かつ前記内部電極の下方にあるセラミック層中に、各接合部におけるロウ材層の外周より大きな外周を有する導体層を各々埋設するとともに、上記給電端子とその上方の導体層及び上記他の金属部材とその上方の導体層とをそれぞれ電気的に接続して同電位としたことを特徴とするウエハ支持部材。
- 板状セラミック体の上面をウエハの設置面とし、その内部に少なくとも一つの内部電極を備えるとともに、前記設置面以外の板状セラミック体表面に、前記内部電極と電気的に接続される給電端子及び他の金属部材を、銀を含むロウ材層を介して接合して成るウエハ支持部材において、前記設置面以外の板状セラミック体の表面における給電端子との接合部及び他の金属部材との接合部の上方で、かつ前記内部電極の下方にあるセラミック層中に、各前記接合部周辺を覆う導体層を埋設してあり、前記設置面以外の板状セラミック体表面に、前記給電端子と異なる前記導体層と電気的に接続される給電端子を備えたことを特徴とするウエハ支持部材。
- 前記内部電極が、静電吸着用であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエハ支持部材。
- 前記内部電極が、加熱用であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエハ支持部材。
- 前記内部電極が、プラズマ発生用であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエハ支持部材。
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