JP3914168B2 - 撮像システム、画像処理プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー映像信号の色信号処理に係り、特に輝度信号の階調変換に対応して彩度信号を補正することにより高品位な映像信号を得る撮像システム、画像処理プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在のデジタルスチルカメラやビデオカメラなどの撮像系は、補色系のカラーフィルタまたは原色系のカラーフィルタを前面に配置した単板CCDを用いたものが主流となっている。
【0003】
このような撮像系においては、CCDからの色信号に、WB(ホワイトバランス)処理や補間処理がなされ、その後にエッジ強調処理,彩度強調処理,階調補正処理などの絵作り処理がなされて出力される。
【0004】
また、上記補間処理においてエッジ部に発生し得る偽色を低減するためのクロマサプレス処理や、CCDの分光感度特性の差異により高輝度部に発生し得る偽色を低減するためのハイライトシアン処理なども併せて行われる。
【0005】
上述したような絵作り処理は、CCDからの色信号に対して直接行われる場合もあるが、通常は別の色空間に変換して輝度信号と色信号とを分離してから処理することが多い。この場合には、彩度強調処理などにより色信号が色再現域を逸脱する可能性があったり、輝度信号のみを階調変換したときに色信号が不自然になる可能性があったりするために、これらへの対応が課題となる。
【0006】
色再現域を逸脱する課題に対しては、例えば特許公報第2567214号に、各色相毎に彩度のヒストグラムを求めて、このヒストグラムが色再現域に収まるようにヒストグラムの全体形状を圧縮する処理が記載されている。
【0007】
また、特許公報第3190050号には、色再現域に収まるように、各色相毎に彩度を原点方向へ圧縮する処理が記載されている。
【0008】
一方、色信号が不自然になる課題に対しては、例えば特開2001−238129号公報に、輝度信号を変化させたときに色再現域の理論特性値に対する比率が一定となるように色信号を補正する技術が記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特許公報第2567214号
【0010】
【特許文献2】
特許公報第3190050号
【0011】
【特許文献3】
特開2001−238129号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許公報第2567214号に記載されたようなヒストグラムの全体形状を圧縮する技術や、上記特許公報第3190050号に記載されたような彩度を原点方向へ圧縮する技術を用いると、画像全体として色再現域を逸脱することはなくなるが、処理後の色再現性に関しては処理対象の画像に依存することになってしまう。このために、彩度強調などの意図した絵作り処理が反映されなくなり、色再現性の制御が困難になるという課題がある。
【0013】
また、上記特開2001−238129号公報に記載されたような色再現域の理論特性値に対する比率を一定とする技術を用いれば、自然な色再現が得られるが、計算量が多く、処理時間が長くなってしまうとともに、装置全体のコストが高くなるという課題がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、不自然でない色再現を行い得るとともに色再現性を容易に制御し得る撮像システム、画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【0015】
さらに本発明は、計算量が少なく高速な処理を低コストに行い得る撮像システム、画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明による撮像システムは、撮像系からの原色系の色信号または補色系の色信号を階調変換して出力する撮像システムであって、上記色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段と、上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段と、上記彩度信号に対して補正を行うための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段と、上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色空間変換手段からの色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値とを算出する最大彩度算出手段と、上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値と上記彩度補正係数とに基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段と、を具備したものである。
【0017】
また、第2の発明による撮像システムは、撮像系からの原色系の色信号または補色系の色信号を階調変換して出力する撮像システムであって、上記色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段と、上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段と、所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段と、上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値とを算出する最大彩度算出手段と、上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値と上記彩度補正係数とに基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段と、を具備したものである。
【0018】
さらに、第3の発明による撮像システムは、撮像系からの原色系の色信号または補色系の色信号を階調変換して出力する撮像システムであって、上記色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段と、上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段と、上記彩度信号に対して補正を行うための第1の彩度補正係数を算出する第1の補正係数算出手段と、所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための第2の彩度補正係数を算出する第2の補正係数算出手段と、輝度信号および色相信号が与えられたときに上記色空間における最大彩度値を算出する最大彩度算出手段と、上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する第1の最大彩度値と上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する第2の最大彩度値と上記第1の彩度補正係数と上記第2の彩度補正係数とに基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段と、を具備したものである。
【0019】
第4の発明による撮像システムは、上記第1から第3の発明による撮像システムにおいて、上記色空間変換手段が、色空間として、YCbCr色空間またはCIE Lab色空間を用いるものである。
【0020】
第5の発明による撮像システムは、上記第1の発明による撮像システムにおいて、上記補正係数算出手段が、上記輝度信号から算出されたエッジ強度値に基づき彩度補正係数を求めるクロマサプレス手段と、上記輝度信号に基づき彩度補正係数を求めるハイライトシアン手段と、上記色相信号に基づき彩度補正係数を求める彩度強調手段と、の内の少なくとも1つを有して構成されたものである。
【0021】
第6の発明による撮像システムは、上記第3の発明による撮像システムにおいて、上記第1の補正係数算出手段が、上記輝度信号から算出されたエッジ強度値に基づき第1の彩度補正係数を求めるクロマサプレス手段と、上記輝度信号に基づき第1の彩度補正係数を求めるハイライトシアン手段と、上記色相信号に基づき第1の彩度補正係数を求める彩度強調手段と、の内の少なくとも1つを有して構成されたものである。
【0022】
第7の発明による撮像システムは、上記第1から第3の発明による撮像システムにおいて、上記最大彩度算出手段が、複数の所定の色相面に関して輝度信号と最大彩度値とを関係付ける関数を記録している記録手段と、上記記録手段に記録されている複数の色相面の中から上記色相信号に隣接する最近傍の2組の色相面を探索する探索手段と、上記探索手段により探索された2組の色相面に関する関数を上記記録手段から抽出する抽出手段と、上記抽出手段により抽出された2組の関数と上記輝度信号とに基づいて2組の最大彩度値を算出する算出手段と、上記2組の最大彩度値から上記色相信号に関する最大彩度値を補間して求める補間手段と、を有して構成されたものである。
【0023】
第8の発明による撮像システムは、上記第7の発明による撮像システムにおいて、上記記録手段が、上記複数の所定の色相面の各々に関して、所定の輝度値以上の輝度信号と最大彩度値とを関係付ける高輝度用関数と、所定の輝度値以下の輝度信号と最大彩度値とを関係付ける低輝度用関数と、上記所定の輝度値と、を記録しているものである。
【0024】
第9の発明による撮像システムは、上記第7の発明による撮像システムにおいて、上記記録手段が、上記関数として、1次式関数と、多項式関数と、べき乗関数と、スプライン関数と、の内の少なくとも1つを記録しているものである。
【0025】
第10の発明による撮像システムは、上記第7の発明による撮像システムにおいて、上記記録手段が、上記複数の所定の色相面として、赤,緑,青,シアン,マゼンタ,黄の各色相面を含むものである。
【0026】
第11の発明による撮像システムは、上記第1から第3の発明による撮像システムにおいて、上記最大彩度算出手段が、輝度信号および色相信号に対する上記色空間における最大彩度値を記録したテーブル手段を有して構成されたものである。
【0027】
第12の発明による撮像システムは、上記第1または第2の発明による撮像システムにおいて、上記彩度補正手段が、上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値との比率を算出する比率算出手段と、上記彩度信号に上記比率および上記彩度補正係数を乗算する乗算手段と、上記乗算手段により比率および彩度補正係数を乗算された上記彩度信号が上記第2の最大彩度値を逸脱しないように制限を課す制限手段と、を有して構成されたものである。
【0028】
第13の発明による撮像システムは、上記第3の発明による撮像システムにおいて、上記彩度補正手段が、上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値との比率を算出する比率算出手段と、上記彩度信号に上記比率と上記第1の彩度補正係数と上記第2の彩度補正係数とを乗算する乗算手段と、上記乗算手段により比率と第1の彩度補正係数と第2の彩度補正係数とを乗算された上記彩度信号が上記第2の最大彩度値を逸脱しないように制限を課す制限手段と、を有して構成されたものである。
【0029】
第14の発明による撮像システムは、上記第12または第13の発明による撮像システムにおいて、上記制限手段が、上記乗算手段からの上記彩度信号が上記第2の最大彩度値を逸脱した場合に、該彩度信号を上記第2の最大彩度値に置き換える置換手段を有して構成されたものである。
【0030】
第15の発明による撮像システムは、上記第12または第13の発明による撮像システムにおいて、上記制限手段が、上記乗算手段からの上記彩度信号が上記第2の最大彩度値未満の所定の閾値を超えた場合に、該彩度信号を上記第2の最大彩度値と上記閾値との間の値に変換する非線形圧縮手段を有して構成されたものである。
【0031】
第16の発明による画像処理プログラムは、コンピュータを、原色系の色信号または補色系の色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段、上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段、上記彩度信号に対して補正を行うための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段、上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色空間変換手段からの色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値とを算出する最大彩度算出手段、上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値と上記彩度補正係数とに基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段、として機能させる画像処理プログラムである。
【0032】
第17の発明による画像処理プログラムは、コンピュータを、原色系の色信号または補色系の色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段、上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段、所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段、上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値とを算出する最大彩度算出手段、上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値と上記彩度補正係数とに基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段、として機能させる画像処理プログラムである。
【0033】
第18の発明による画像処理プログラムは、コンピュータを、原色系の色信号または補色系の色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段、上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段、上記彩度信号に対して補正を行うための第1の彩度補正係数を算出する第1の補正係数算出手段、所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための第2の彩度補正係数を算出する第2の補正係数算出手段、上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値とを算出する最大彩度算出手段、上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値と上記第1の彩度補正係数と上記第2の彩度補正係数とに基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段、として機能させる画像処理プログラムである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1から図7は本発明の第1の実施形態を示したものであり、図1は撮像システムの構成を示すブロック図、図2はYCbCr色空間における彩度信号の補正を説明するための図、図3は最大彩度算出部の構成を示すブロック図、図4はYCbCr空間の最大彩度値のモデル化を説明するための線図、図5は補正係数算出部における各種の係数を示す線図、図6は彩度補正部の構成を示すブロック図、図7は画像処理プログラムによる彩度信号の補正処理を示すフローチャートである。
【0035】
この撮像システムは、図1に示すように、被写体像を結像するためのレンズ系1と、このレンズ系1により結像される光学的な被写体像を光電変換して電気的な画像信号を出力する単板式のカラー撮像素子であるCCD2と、このCCD2から出力されるアナログの画像信号をデジタル信号へ変換するA/D変換器3と、このA/D変換器3から出力されたデジタルの画像データを一時的に記憶する画像用バッファ4と、この画像用バッファ4に記憶された単板の画像データを公知の補間方法で補間することにより三板の画像データに変換する補間部5と、この補間部5により補間された三板の画像データを一時的に記憶する作業用バッファ6と、この作業用バッファ6に記憶された三板の画像データを所定の色空間の信号へ変換するとともに輝度,色相,彩度を算出する色空間変換手段たる色変換部7と、この色変換部7により変換された色空間の信号の内の輝度信号を所定の階調変換特性に基づいて補正する階調変換手段たる階調補正部8と、上記色変換部7からの入力時の輝度信号および色相信号に対する第1の最大彩度値と上記階調補正部8により階調補正された輝度信号および入力時の色相信号に対する第2の最大彩度値とを算出する最大彩度算出手段たる最大彩度算出部9と、上記色変換部7から入力時の輝度信号を受けてエッジ成分を抽出するエッジ算出部10と、色相に応じた彩度の補正係数である彩度強調係数(図5(C)参照)を記憶する彩度強調用ROM12と、エッジ強度に応じた彩度の補正係数であるクロマサプレス係数(図5(A)参照)を記憶するクロマサプレス用ROM13と、輝度値に応じた彩度の補正係数であるハイライトシアン係数(図5(B)参照)を記憶するハイライトシアン用ROM14と、これら彩度強調用ROM12,クロマサプレス用ROM13,ハイライトシアン用ROM14を参照して上記エッジ算出部10により算出されたエッジ強度と上記色変換部7からの輝度および色相とに基づき彩度信号を補正するための補正係数を算出する補正係数算出部11と、上記最大彩度算出部9からの第1の最大彩度値および第2の最大彩度値を用いて彩度信号を補正するための補正係数を算出しこの補正係数と上記補正係数算出部11により算出された補正係数とを上記色変換部7からの彩度信号に乗算して補正を行う彩度補正手段たる彩度補正部15と、上記階調補正部8からの輝度信号および色相信号と上記彩度補正部15からの彩度信号とに基づいてYCbCr信号への変換を行いさらにはRGB信号への変換を行う色逆変換部16と、この色逆変換部16により変換されたRGBの画像データを例えばメモリカード等に記録し保存するために出力する出力部17と、上記補間部5,色変換部7,階調補正部8,最大彩度算出部9,エッジ算出部10,補正係数算出部11,彩度補正部15,色逆変換部16,出力部17に双方向に接続されていてこれらを含むこの撮像システムを統合的に制御するマイクロコンピュータ等でなる制御手段たる制御部18と、を有して構成されている。
【0036】
次に、図1に示したような撮像システムにおける信号の流れについて説明する。
【0037】
上記レンズ系1を介してCCD2により撮影された映像信号は、A/D変換器3によってデジタル信号へ変換されて画像用バッファ4へ転送される。
【0038】
なお、本実施形態においては、撮像系におけるCCDとして、NTSCカラーテレビジョン方式に準拠した単板原色CCDを想定している。
【0039】
上記画像用バッファ4内の映像信号は、制御部18の制御に基づき補間部5へ転送され、公知の補間処理がなされてRGBの三板信号として作業用バッファ6へ転送される。
【0040】
この作業用バッファ6内の映像信号は、制御部18の制御に基づき色変換部7へ転送され、所定の色空間の信号へ変換される。本実施形態においては、色空間としてYCbCr色空間を想定しており、RGB信号からYCbCr色空間への変換は、次の数式1に基づいて行われる。
【数1】
Y = 0.29900R+0.58700G+0.11400B
Cb=−0.16874R−0.33126G+0.50000B
Cr= 0.50000R−0.41869G−0.08131B
【0041】
さらに、色変換部7は、YCbCr色空間における輝度信号V,色相信号H,彩度信号Cを、次の数式2に基づいてそれぞれ算出する。
【数2】
V=Y
H=tan^(-1)(Cb/Cr)
C=(Cb^2+Cr^2)^(1/2)
ここに、記号「^」はべき乗を示し、tan^(-1)はtanの逆関数を示している。
【0042】
この数式2に示すように、輝度信号VはYCbCr色空間のYと等価であるために、以下では輝度信号をYにより示すことにする。また、入力時(つまり色変換部7から出力される時点)の輝度信号,色相信号,彩度信号を、それぞれYorg ,Horg ,Corg として示す。
【0043】
上記色変換部7からの輝度信号Yorg と色相信号Horg とは、階調補正部8へ転送される。
【0044】
階調補正部8は、所定の階調変換特性に基づき輝度信号Yorg を変換して輝度信号Ytra を求め、最大彩度算出部9と色逆変換部16とへそれぞれ転送する。階調補正部8は、該色逆変換部16に対しては、さらに色相信号Horg も転送する。
【0045】
最大彩度算出部9は、さらに、上記色変換部7から、入力時の輝度信号Yorg と、入力時の色相信号Horg と、の転送を受ける。
【0046】
最大彩度算出部9は、入力時の輝度信号Yorg および色相信号Horg に対する彩度信号の第1の最大彩度値maxCorg と、階調変換された輝度信号Ytra および入力時の色相信号Horg に対する彩度信号の第2の最大彩度値maxCtra と、を算出する。
【0047】
こうして最大彩度算出部9により算出された第1の最大彩度値maxCorg および第2の最大彩度値maxCtra は、彩度補正部15へ転送される。
【0048】
エッジ算出部10は、色変換部7から入力時の輝度信号Yorg の転送を受けて、公知のラプラシアンなどを用いたエッジ抽出処理を行い、エッジ強度値を補正係数算出部11へ転送する。
【0049】
補正係数算出部11は、補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、第2の補正係数算出手段、クロマサプレス手段、ハイライトシアン手段、彩度強調手段を兼ねたものであり、制御部18の制御に基づき、上記エッジ算出部10から転送されたエッジ強度値を用いて、クロマサプレス用ROM13を参照し、クロマサプレス処理のための補正係数k1 を算出する。このクロマサプレス処理は、エッジ部に生じる偽色を低減するために、エッジ強度に応じて0〜1までの補正係数を彩度信号に乗算する処理である。
【0050】
図5(A)は、補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、クロマサプレス手段を兼ねた上記クロマサプレス用ROM13に予め記憶されているエッジ強度に応じた彩度の補正係数(クロマサプレス係数)k1 を示す線図である。
【0051】
このクロマサプレス係数k1 は、図示のように、エッジ強度が一定値以下ではk1 =1となり彩度信号を変化させないが、エッジ強度が一定値以上になると最初は緩やかに減少し、その後はほぼエッジ強度に比例して0へ向けて減少する係数となっている。このようなクロマサプレス係数k1 によって、彩度信号は、エッジ強度に応じて値が減少される。
【0052】
また、補正係数算出部11は、制御部18の制御に基づき、上記色変換部7から転送された輝度信号Yorg を用いて、ハイライトシアン用ROM14を参照し、ハイライトシアン処理のための補正係数k2 を算出する。このハイライトシアン処理は、高輝度部に発生する偽色を低減するために、輝度値に応じて0〜1までの補正係数を彩度信号に乗算する処理である。
【0053】
図5(B)は、補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、ハイライトシアン手段を兼ねたハイライトシアン用ROM14に予め記憶されている輝度値に応じた彩度の補正係数(ハイライトシアン係数)k2 を示す線図である。
【0054】
このハイライトシアン係数k2 は、輝度値が一定値以下ではk2 =1となり彩度信号を変化させないが、輝度値が一定値以上になると比較的急激に0へと減少する係数となっている。このようなハイライトシアン係数k2 によって、彩度信号は、輝度値に応じて値が減少される。
【0055】
さらに、補正係数算出部11は、制御部18の制御に基づき、彩度強調処理に用いる補正係数k3 を算出する。この彩度強調処理に用いる補正係数k3 は、多様な手段により算出することが可能であるが、本実施形態においては、色相毎に異なる強調を行う手段を用いることにする。これに応じて、該補正係数算出部11は、上記色変換部7から転送された色相信号Horg を用いて、彩度強調用ROM12を参照し、補正係数k3 を算出する。
【0056】
図5(C)は、補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、彩度強調手段を兼ねた彩度強調用ROM12に予め記憶されている色相に応じた彩度の補正係数(彩度強調係数)k3 を示す線図である。
【0057】
この彩度強調係数k3 は、色相に応じて適宜の値を変動する係数となっており、図示の例では、1〜2の間を変動しているが、これに限るものではない。
【0058】
図5(A)〜図5(C)に示したような各特性は、上述したように、クロマサプレス用ROM13,ハイライトシアン用ROM14,彩度強調用ROM12に予めそれぞれ記憶されており、補正係数算出部11により必要に応じて読み出されるようになっている。
【0059】
彩度補正部15は、最大彩度算出部9から第1の最大彩度値maxCorg および第2の最大彩度値maxCtra を、補正係数算出部11からクロマサプレス係数k1 、ハイライトシアン係数k2 、および彩度強調係数k3 を、色変換部7から彩度信号Corg を、それぞれ受け取る。
【0060】
そして彩度補正部15は、制御部18の制御に基づき、第1の最大彩度値maxCorg と第2の最大彩度値maxCtra とを用いて、階調変換された輝度信号Ytra に対する彩度信号への補正係数kC を、次の数式3に示すように算出する。
【数3】
kC =maxCtra /maxCorg
【0061】
彩度補正部15は、このように算出した補正係数kC と、上記補正係数算出部11から転送された各補正係数k1 ,k2 ,k3 と、を上記色変換部7からの彩度信号Corg に乗算することにより、補正された彩度信号Ctra を算出する。
【0062】
この補正された彩度信号Ctra は、該彩度補正部15において、さらに、上記第2の最大彩度値maxCtra を逸脱しないように上限が課せられた後に、色逆変換部16へ転送される。
【0063】
色逆変換部16は、上記階調補正部8から転送される輝度信号Ytra および色相信号Horg と、上記彩度補正部15から転送される彩度信号Ctra と、に基づいて、YCbCr信号を次の数式4に示すように算出する。
【数4】
Y =Ytra
Cb=Ctra ・sin(Horg )
Cr=Ctra ・cos(Horg )
【0064】
色逆変換部16は、さらに、次の数式5を用いて、YCbCr信号をRGB信号に変換し、出力部17へ転送する。
【数5】
R=Y +1.40200Cr
G=Y−0.34414Cb−0.71414Cr
B=Y+1.77200Cb
【0065】
出力部17は、上記色逆変換部16から出力されるRGB信号を、メモリカード等へ記録し保存するために出力する。
【0066】
次に、図2を参照して、YCbCr色空間の外観形状と、上記数式3に示した補正係数kC と、について説明する。
【0067】
YCbCr色空間における輝度および色相が定まる(図示の例では、入力信号の輝度信号Yorg および色相信号Horg として与えられ、このときの該入力信号の彩度信号はCorg となっている。)と、該輝度信号Yorg および色相信号Horg の範囲内で取り得る最大彩度値maxCorg が定まる。
【0068】
この最大彩度値maxCorg は、(Y,H,C)=(Yorg ,0,0)の第1の点と、(Y,H,C)=(Yorg ,Horg ,Corg )の第2の点とを結んで得られる線分を、該第2の点の方向へ延長して得られる半直線と、YCbCr色空間の輪郭外形と、が交わる点のCの値となる。
【0069】
色相が一定(つまり、色変換部7から出力される色相信号Horg が、色逆変換部16に入力される時点で実質的に変化していない)で輝度信号のみがYorg からYtra へ変換された場合の彩度信号Ctra は、最大彩度値に対する比率が一定となるように補正されると、自然な色再現が得られる。
【0070】
すなわち、輝度信号Ytra 、色相信号Horg が与えられると、上述したように、このときの最大彩度値maxCtra が定まる。従って、自然な色再現を得るための彩度信号Ctra は、次の関係を満たすようにすると良い。
Corg :maxCorg =Ctra :maxCtra
すなわち、
【0071】
こうして、上記数式3に示した補正係数kC を彩度信号Corg へ乗算することにより、輝度信号の変更に伴う補正を行うことができる。
【0072】
続いて、図3を参照して、上記最大彩度算出部9のより詳細な構成の一例について説明する。
【0073】
この最大彩度算出部9は、上記色変換部7からの色相信号Horg に隣接する2組の色相を後述する関数記録用ROM23から探索する探索手段たる隣接色相面探索部21と、この隣接色相面探索部21からの2組の色相に対応する関数のパラメータ等を後述する関数記録用ROM23から読み出す抽出手段たる関数抽出部22と、YCbCr空間内における複数の色相面の最大彩度値をモデル化する関数のパラメータが予め記憶されている記録手段たる上記関数記録用ROM23と、上記色変換部7からの輝度信号Yorg または上記階調補正部8からの輝度信号Ytra と上記関数抽出部22からのパラメータとに基づいて上記2組の色相に関する最大彩度値を算出する算出手段たる彩度算出部24と、上記彩度算出部24により算出された2組の色相に関する最大彩度値を用いて上記色変換部7からの色相信号Horg に対する最大彩度値を補間して求め上記彩度補正部15へ転送する補間手段たる彩度補間部25と、を有して構成されている。
【0074】
また、上記制御部18は、上記隣接色相面探索部21、彩度算出部24、彩度補間部25に対して双方向に接続されており、これらを制御するようになっている。
【0075】
ここで、図4を参照して、上記関数記録用ROM23に記録されているYCbCr色空間の最大彩度値maxCに関する関数情報について説明する。
【0076】
図4(A)から図4(F)は、YCbCr色空間における赤(R),マゼンタ(Ma),青(B),シアン(Cy),緑(G),黄(Ye)の各色相面における彩度信号Cと輝度信号Yの断面をそれぞれ示す図、図4(G)はCbCr平面上における各色相面の配置を示す図、図4(H)は補間による最大彩度値maxCの算出を説明するための図である。
【0077】
各色相面における最大の彩度値に対応する輝度Ti (i=R,Ma,B,Cy,G,Ye)(図中の添え字部分等において、MaをM、CyをC、YeをYなどと適宜省略している。)を閾値として、最大彩度値maxCi を、輝度Yが輝度Ti 以上となる部分について高輝度用関数でモデル化するとともに、輝度Yが輝度Ti 以下となる部分について低輝度用関数でモデル化する。なお、高輝度用関数と低輝度用関数とは、輝度Ti において同一の最大彩度値maxCi を取るようになっている。このとき、該最大彩度値maxCに対する関数として、YCbCr色空間では次の数式6に示すような1次関数を用いる。
【数6】
maxCi=αhiY+βhi (Y≧Ti )
maxCi=αliY+βli (Y≦Ti )
【0078】
上記関数記録用ROM23には、色相Hi と、閾値である輝度Ti と、高輝度用関数のパラメータαhi,βhiと、低輝度用関数のパラメータαli,βliと、がそれぞれ予め記憶されている。
【0079】
次に、上記図3に示したような最大彩度算出部9の作用について説明する。
【0080】
上記隣接色相面探索部21は、制御部18の制御に基づき、上記関数記録用ROM23に記録されている色相信号Hi を読み出して、読み出した色相信号Hi を上記色変換部7からの色相信号Horg と比較する。
【0081】
そして、該隣接色相面探索部21は、図4(H)に示すように、該色相信号Horg を挟み込むように隣接する最近傍の2組の色相信号Hj ,Hk (j,k=R,Ma,B,Cy,G,Ye,j≠k)を探索して、これら2組の色相を関数抽出部22へ転送する。
【0082】
関数抽出部22は、関数記録用ROM23から上記2組の色相に対応する輝度Tj ,Tk と、高輝度用関数のパラメータαhj,βhj,αhk,βhkと、低輝度用関数のパラメータαlj,βlj,αlk,βlkと、を抽出して、上記彩度算出部24へ転送する。
【0083】
彩度算出部24は、関数抽出部22からの上記パラメータ等と、上記色変換部7からの輝度信号Yorg または上記階調補正部8からの輝度信号Ytra と、に基づいて、2組の色相信号Hj ,Hk に関する最大彩度値maxCorg_j ,maxCorg_k 、またはmaxCtra_j ,maxCtra_k を算出する。
【0084】
以降の処理は、色変換部7からの輝度信号Yorg と、階調補正部8からの輝度信号Ytra と、の何れに対しても共通であるために、2組の最大彩度値をmaxCj ,maxCk として示すこととする。この彩度算出部24により算出された最大彩度値maxCj ,maxCk は、彩度補間部25へ転送される。
【0085】
彩度補間部25は、制御部18の制御に基づき、上記最大彩度値maxCj ,maxCk を用いて、上記色変換部7からの色相信号Horg に対する最大彩度値maxCを、次の数式7に従って、図4(H)に示すように、補間により算出する。
【数7】
なお、色相は、Hj >Horg >Hk の関係にあるものとする。
【0086】
上記数式7による最大彩度値の算出は、上記色変換部7からの輝度信号Yorg に対して行われるとともに、上記階調補正部8からの輝度信号Ytra に対して行われるために、合計2回行われることになり、これによって第1の最大彩度値maxCorg と第2の最大彩度値maxCtra とが算出される。
【0087】
こうして算出された第1の最大彩度値maxCorg と第2の最大彩度値maxCtra とは、該彩度補間部25から上記彩度補正部15へ転送される。
【0088】
次に、図6を参照して、上記彩度補正部15のより詳細な構成の一例について説明する。
【0089】
上記彩度補正部15は、上記最大彩度算出部9の彩度補間部25から転送された第1の最大彩度値maxCorg と第2の最大彩度値maxCtra とに基づき上記数式3に示したように補正係数kC を算出する比率算出手段たる比率算出部31と、この比率算出部31により算出された補正係数kC と上記補正係数算出部11からの補正係数k1 ,k2 ,k3 とを上記色変換部7からの彩度信号Corg に乗算することにより補正された彩度信号Ctra を算出する乗算手段たる乗算部32と、この乗算部32により算出された彩度信号Ctra が上記最大彩度算出部9により算出された第2の最大彩度値maxCtra を越えることのないように制限してこの制限された彩度信号Ctra を上記色逆変換部16へ転送する制限手段、置換手段、非線形圧縮手段を兼ねた制限部33と、を有して構成されている。
【0090】
ここに、上記制限部33は、上記乗算部32により各種の係数を乗算された彩度信号Ctra が上記第2の最大彩度値maxCtra を逸脱した場合に、該彩度信号Ctra を上記第2の最大彩度値maxCtra に置き換える置換手段を有して構成されている。
【0091】
なお、後述する第2の実施形態において図12を参照して説明するように、上記制限部33は、上記乗算部32により各種の係数を乗算された上記彩度信号Ctra が上記第2の最大彩度値maxCtra 未満の所定の閾値を超えた場合に、該彩度信号Ctra を上記第2の最大彩度値maxCtra と上記閾値との間の値に変換する非線形圧縮手段を有して構成されていても良い。
【0092】
また、上記制御部18は、上記比率算出部31、乗算部32、制限部33に対して双方向に接続されており、これらを制御するようになっている。
【0093】
なお、上述ではハードウェアにより処理を行うことを前提としていたが、これに限らず、ソフトウェアによって処理することも可能である。
【0094】
例えば、CCD2から出力される映像信号を未処理のままのRawデータとしておき、このRawデータに、フィルタ情報や画像サイズ情報などをヘッダ情報として付加する。このヘッダ情報が付加されたRawデータをコンピュータ等の処理装置に出力して、該処理装置において、別途のソフトウェアにより処理するようにしても良い。
【0095】
図7を参照して、コンピュータにおいて画像処理プログラムにより彩度信号を補正する処理の例について説明する。
【0096】
処理を開始すると、まず、Rawデータでなる映像信号と、フィルタ情報や画像サイズ情報などの情報を含むヘッダ情報と、を読み込む(ステップS1)。
【0097】
次に、Rawデータとして読み込んだ単板の色信号を補間処理して、三板の色信号を生成する(ステップS2)。
【0098】
そして、上記数式1と数式2とに示したように、三板の色信号を、輝度信号,色相信号,彩度信号へ変換する(ステップS3)。
【0099】
さらに、所定の階調変換特性に基づいて輝度信号を変換し、変換後の輝度信号を後述するステップS5へ転送するとともに、変換後の輝度信号および入力時の色相信号を後述するステップS9へ転送する(ステップS4)。
【0100】
続いて、入力時の輝度信号および色相信号に関する2組の最大彩度値と、階調変換された輝度信号および入力時の色相信号に関する2組の最大彩度値と、を上記数式7に示すように算出して、後述するステップS7へ転送する(ステップS5)。
【0101】
また、入力時の輝度信号からエッジ強度を抽出して、次のステップS7へ転送する(ステップS6)。
【0102】
上記ステップS5からの2組の最大彩度値に基づいて上記数式3に示した補正係数kC を算出するとともに、上記ステップS6からのエッジ強度に基づき図5(A)に示したような関数によりクロマサプレス係数k1 を、上記ステップS3からの輝度信号に基づき図5(B)に示したような関数によりハイライトシアン係数k2 を、上記ステップS3からの色相信号に基づき図5(C)に示したような関数により彩度強調係数k3 を、それぞれ算出して、次のステップS8へ転送する(ステップS7)。
【0103】
このステップS7により算出された各種の補正係数を上記ステップS3からの彩度信号に乗算して、さらに、補正後の彩度信号が上記第2の最大彩度値maxCtra を逸脱しないように上限を課してから、次のステップS9へ転送する(ステップS8)。
【0104】
そして、上記ステップS4からの変換後の輝度信号および入力時の色相信号と、上記ステップS8からの補正後の彩度信号と、を用いて上記数式4,数式5に示したように演算を行い、本来の色信号へ戻す処理を行う(ステップS9)。
【0105】
その後、処理後の信号を出力して(ステップS10)、この一連の処理を終了する。
【0106】
なお、上述では原色系の単板CCDを前提としていたが、これに限定されるものではなく、二板CCDまたは三板CCDを用いた撮像系に適用することも可能であるし、原色系に限らず補色系であっても構わない。
【0107】
また、上記関数記録用ROM23に記録される最大彩度値の関数として1次関数を用いたが、これに限定されるものではなく、必要となる精度に応じて、多項式関数,べき乗関数,スプライン関数などの任意の関数を使用することも可能である。
【0108】
このとき、関数化する色相面として、赤(R),マゼンタ(Ma),青(B),シアン(Cy),緑(G),黄(Ye)の6つの色相面を使用したが、これに限るものでないのは勿論である。例えば、低コスト化を優先するために、赤(R),青(B),緑(G)の3つの色相面を使用することも可能であるし、あるいは高精度化を優先させるために、上記6つ色相面の中間の色相面を加えた12の色相面を使用することも可能であるし、用途や目的などに応じて任意の構成をとることができる。
【0109】
このような第1の実施形態によれば、色空間内で輝度信号のみを彩度信号などとは独立して操作しても、色信号に不自然さを生じさせないように絵作り処理や補正処理を行うことができ、絵作りに関する自由度が高まって、希望する画像を得ることが可能となる。
【0110】
また、彩度信号の補正処理と強調処理などとを一体化して処理するようにしたために、低コスト化を図りながら、高速処理を行うことが可能となる。
【0111】
さらに、階調補正によって輝度信号が変化したときに、再現域の理論特性値に対する比率が一定となるように彩度信号を補正しているために、自然な色再現を得ることができる。
【0112】
そして、変換および逆変換が容易なYCbCr色空間を使用しているために、高速かつ低コストな撮像システムを構築することができる。
【0113】
加えて、最大彩度値を関数の形態で保存しているために、記録用ROMの容量を低減することができ、低コスト化を図ることが可能となる。
【0114】
また、最大彩度値の変化量が大きい赤,緑,青,シアン,マゼンタ,黄の各色相面に関して1次関数を使用して該最大彩度値を関数化し、その際に形状の変化に基づいて関数を高輝度用と低輝度用とに分離したために、比較的少ないパラメータで彩度信号を高精度に補正することが可能となる。
【0115】
さらに、彩度信号が第2の最大彩度値を逸脱しないように制限を課しているために、各種補正後の彩度信号が色再現域を逸脱することはなく、破綻のない画像を得ることができる。このときに、第2の最大彩度値を越える彩度信号を該第2の最大彩度値で置換処理するようにしているために、処理が単純となり、低コスト化を図りながら、高速な処理を行うことができる。
【0116】
そして、彩度信号に関する補正係数を一括的に算出しているために、低コスト化を図りながら高速な処理を行うことが可能となる。
【0117】
図8から図12は本発明の第2の実施形態を示したものであり、図8は撮像システムの構成を示すブロック図、図9は特定色の調整を説明するための線図、図10は最大彩度算出部の構成を示すブロック図、図11はLab空間の最大彩度値のモデル化を説明するための線図、図12は彩度補正部の制限部で用いる重み関数を示す線図である。
【0118】
この第2の実施形態において、上述の第1の実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0119】
この第2の実施形態の撮像システムは、図8に示すように、上述した第1の実施形態の構成において、色変換部7が色空間変換手段たる色変換LUT41に、彩度補正部15が彩度補正手段たる色相彩度補正部43に、色逆変換部16が色逆変換LUT44に、それぞれ置換され、さらに補正係数算出手段であり第2の補正係数算出手段たる特定色調整用ROM42が追加されたものとなっている。その他の基本的な構成は、上述した第1の実施形態の撮像システムと同様である。
【0120】
上記色変換LUT41は、作業用バッファ6から転送される映像信号を受けて、RGB信号からCIE Lab色空間への変換を行うとともに、該CIE Lab色空間における輝度信号V,色相信号H,彩度信号Cを算出するものであり、算出結果を上記階調補正部8,最大彩度算出部9,エッジ算出部10,補正係数算出部11,色相彩度補正部43へそれぞれ転送するようになっている。
【0121】
上記特定色調整用ROM42は、特定色に関する色相補正係数が予め記憶されているものであり、該色相補正係数を上記最大彩度算出部9,補正係数算出部11,色相彩度補正部43へそれぞれ転送するようになっている。
【0122】
なお、上記補正係数算出部11は、上記各補正係数k1 ,k2 ,k3 を算出するとともに、さらに、上記特定色調整用ROM42に基づき特定色の彩度補正を行うための補正係数ks も算出するようになっている。
【0123】
上記色相彩度補正部43は、最大彩度算出部9から転送される第1の最大彩度値maxCorg および第2の最大彩度値maxCtra に基づき補正係数kC を算出して、上記補正係数算出部11からの補正係数k1 ,k2 ,k3 ,ks も用いて、各補正係数を上記色変換LUT41からの彩度信号Corg に乗算することにより補正および上限が課せられた彩度信号Ctra を算出するとともに、上記特定色調整用ROM42に基づいて上記色変換LUT41からの色相信号Horg を特定色に関して補正した色相信号Htra も算出するものであり、これらの算出結果は、上記色逆変換LUT44へ転送されるようになっている。
【0124】
上記色逆変換LUT44は、上記階調補正部8からの輝度信号Ytra と、上記色相彩度補正部43からの彩度信号Ctra および色相信号Htra と、に基づいて、RGB信号を求め、その結果を上記出力部17へ転送するものである。
【0125】
また、上記制御部18は、上記色変換LUT41、色相彩度補正部43、色逆変換LUT44に対しても双方向に接続されており、これらを制御するようになっている。
【0126】
次に、図8に示したような撮像システムにおける信号の流れについて説明する。この撮像システムにおける信号の流れは、基本的に上述した第1の実施形態と同様であるので、異なる部分についてのみ説明する。
【0127】
作業用バッファ6内に記憶されている映像信号は、制御部18の制御に基づいて、色変換LUT41へ順次転送される。
【0128】
色変換LUT41は、公知のCMS(Color Management System)技術に基づいて作成されたルックアップテーブルであり、RGB信号からCIE Lab色空間への変換を行う前段の処理と、さらに該Lab色空間における輝度信号V,色相信号H,彩度信号Cを次の数式8に基づいて各算出する後段の処理と、を一括的に行うものである。
【数8】
V=L
H=tan^(-1)(b/a)
C=(a・a+b・b)^(1/2)
ここに、記号「^」がべき乗を示し、tan^(-1)がtanの逆関数を示しているのは、上述と同様である。
【0129】
この数式8に示すように、輝度信号VはLab色空間のLと等価であるために、以下では輝度信号をLにより示すことにする。また、入力時の輝度信号,色相信号,彩度信号を、それぞれLorg ,Horg ,Corg として示す。
【0130】
上記色変換LUT41からの輝度信号Lorg は、階調補正部8へ転送される。
【0131】
階調補正部8は、所定の階調変換特性に基づき輝度信号Lorg を変換して輝度信号Ltra を求め、最大彩度算出部9と色逆変換LUT44とへそれぞれ転送する。
【0132】
最大彩度算出部9は、さらに、上記色変換LUT41から、入力時の輝度信号Lorg と、入力時の色相信号Horg との転送を受けるとともに、上記特定色調整用ROM42から特定色に関する色相補正係数の転送を受ける。
【0133】
図9(A)は、特定色調整用ROM42に記録されている特定色の色相を補正するための特性の一例を示す線図である。
【0134】
図示のように、特定色(具体的な例としては、肌色や空色など)の色相に対する領域のみが調整されて、該特定色以外の色相領域は影響を受けることのない特性となっている。
【0135】
最大彩度算出部9は、特定色調整用ROM42に格納されているこの図9(A)に示すような特性を用いて、色相信号Horg から補正された色相信号Htra を算出する。
【0136】
そして、最大彩度算出部9は、入力時の輝度信号Lorg および色相信号Horg に対する第1の最大彩度値maxCorg と、階調変換された輝度信号Ltra および特定色に関する補正がなされた色相信号Htra に対する第2の最大彩度値maxCtra と、を算出する。
【0137】
この最大彩度算出部9により算出された第1の最大彩度値maxCorg および第2の最大彩度値maxCtra は、色相彩度補正部43へ転送される。
【0138】
補正係数算出部11は、上述した第1の実施形態と同様に、エッジ算出部10から転送されたエッジ強度値およびクロマサプレス用ROM13に基づいてクロマサプレス処理のための補正係数k1 を、輝度信号Yorg およびハイライトシアン用ROM14に基づいてハイライトシアン処理のための補正係数k2 を、色相信号Horg および彩度強調用ROM12に基づいて彩度強調処理に用いる補正係数k3 を、それぞれ算出する。
【0139】
さらに補正係数算出部11は、輝度信号Yorg 、色相信号Horg 、および特定色調整用ROM42に記憶されている図9(B)に示すような特性に基づいて、特定色の彩度補正を行うための補正係数ks を算出する。
【0140】
図9(B)は、特定色調整用ROM42に記録されている特定色の彩度信号を補正するための特性の一例を示す線図である。
【0141】
この図9(B)に示す例では、彩度信号に対する補正係数ks の値が、特定色の色相領域についてのみ1よりも大きくなっており、該特定色以外の色相領域は補正係数ks が1となって影響を受けることのないようになっている。このような特性を示す曲線は、輝度値に応じて複数用意されており、輝度レベル毎に異なる補正係数が使用される。このとき、特性曲線が予め用意されている輝度レベルの中間の輝度レベルについては、隣接する輝度レベルの特性曲線から補間された補正係数を使用しても良いのは勿論である。
【0142】
なお、上述した特定色の彩度信号に対する補正係数ks は、彩度強調処理に用いる補正係数k3 を考慮して作成するようにしても良いし、あるいは、特定色の色相のみ、彩度強調処理に用いる補正係数k3 を1とするようにしても構わない。
【0143】
このようにして補正係数算出部11により算出された補正係数k1 ,k2 ,k3 ,ks は、色相彩度補正部43へ転送される。
【0144】
色相彩度補正部43は、最大彩度算出部9から転送された第1の最大彩度値maxCorg および第2の最大彩度値maxCtra に基づいて、階調変換された輝度信号Ltra に対する彩度信号への補正係数kC を算出し、算出したkC と上記補正係数k1 ,k2 ,k3 ,ks とを彩度信号Corg に乗算することにより、補正された彩度信号Ctra を取得する。
【0145】
この色相彩度補正部43により補正された彩度信号Ctra は、第2の最大彩度値maxCtra を逸脱することのないよう上記第1の実施形態と同様に上限が課せられた後に、上記色逆変換LUT44へ転送される。
【0146】
また、上記色相彩度補正部43は、上記特定色調整用ROM42に基づいて特定色に関する色相信号を補正した色相信号Htra も算出して、算出した色相信号Htra を上記色逆変換LUT44へ転送する。
【0147】
色逆変換LUT44は、輝度信号,色相信号,彩度信号からRGB信号を求めるルックアップテーブルであり、階調補正部8からの輝度信号Ytra と、色相彩度補正部43からの彩度信号Ctra および色相信号Htra と、に基づいてRGB信号を求めて、求めたRGB信号を出力部17へ転送する。
【0148】
出力部17は、上記色逆変換LUT44から出力されるRGB信号を、メモリカード等へ記録し保存するために出力する。
【0149】
次に、図10を参照して、上記最大彩度算出部9の構成の一例について説明する。
【0150】
最大彩度算出部9は、Lab色空間の最大彩度値maxCに関する情報が記憶されているテーブル手段たる最大彩度LUT52と、上記色変換LUT41からの輝度信号Lorg および色相信号Horg に対応する第1の最大彩度値maxCorg をこの最大彩度LUT52から読み出すとともに、上記特定色調整用ROM42を参照して該色相信号Horg を補正することにより得られる色相信号Htra および上記階調補正部8からの輝度信号Ltra に対応する第2の最大彩度値maxCtra をこの最大彩度LUT52から読み出し、上記色相彩度補正部43へ転送する彩度読出部51と、を有して構成されている。
【0151】
また、上記制御部18は、上記彩度読出部51に対して双方向に接続されて制御を行うようになっている。
【0152】
続いて、図11は、最大彩度LUT52に記録されているLab色空間の最大彩度値maxCに関する情報を示す線図である。
【0153】
図11(A)から図11(F)は、Lab色空間における赤(R),マゼンタ(Ma),青(B),シアン(Cy),緑(G),黄(Ye)の各色相面における彩度信号Cと輝度信号Lの断面をそれぞれ示す図、図11(G)は各色相面の配置を示す図である。
【0154】
各色相面における最大の彩度値に対応する輝度Ti (i=R,Ma,B,Cy,G,Ye)(図中の添え字部分等において、MaをM、CyをC、YeをYなどと適宜省略している。)を閾値として、最大彩度値maxCiを、輝度Lが輝度Ti 以上となる部分について高輝度用関数でモデル化するとともに、輝度Lが輝度Ti 以下となる部分について低輝度用関数でモデル化する。なお、高輝度用関数と低輝度用関数とは、輝度Ti において同一の最大彩度値maxCi を取るようになっている。このとき、該最大彩度値maxCに対する関数として、Lab色空間では次の数式9に示すような3次関数を用いる。
【数9】
maxCi=αhiL^3+βhiL^2+γhiL+δhi (Y≧Ti )
maxCi=αliL^3+βliL^2+γliL+δli (Y≦Ti )
ここに、記号「^」がべき乗を示しているのは上述と同様である。
【0155】
上記最大彩度LUT52には、各色相および輝度に対する最大彩度値が、この数式9の関数に基づいて上述した第1の実施形態と同様の補間演算により予め算出された後に、記録されている。
【0156】
上記彩度読出部51は、制御部18の制御に基づいて、色変換LUT41および階調補正部8からの上述した色相信号および輝度信号に対応する最大彩度値maxCiをこの最大彩度LUT52を参照して読み出し、読み出した最大彩度値maxCiを上記色相彩度補正部43へ転送する。
【0157】
なお、上述では、補正された彩度信号Ctra が第2の最大彩度値maxCtra を逸脱することのないように、上述した第1の実施形態と同様に、第2の最大彩度値maxCtra に置換する処理を行っているが、該第1の実施形態においても言及したように、これに限定されるものでない。
【0158】
例えば、図12に示すような関数f(C)を用いて、非線形に圧縮するようにしても良い。この関数f(C)は、彩度信号が0〜C1の範囲までは入力と同じ彩度信号が出力されるが、彩度信号が該C1を越えてC1〜C2の範囲になると、C1〜maxCtra の出力範囲に非線形に圧縮される特性をもつものとなっている。ここに、C1,C2は所定の定数として与えられる閾値であり、C1<maxCtra <C2の関係となっている。
【0159】
このような特性の関数f(C)を用いることにより、第2の最大彩度値maxCtra を越えた彩度信号がすべて一律に第2の最大彩度値maxCtra に置換されることがなくなるために、高彩度のグラデーションの再現性を向上することが可能となる。
【0160】
また、この第2の実施形態においてもハードウェアにより処理を行うことを前提としていたが、これに限らず、ソフトウェアによって処理することも可能であるのは、上述した第1の実施形態と同様である。
【0161】
この場合にも、例えば、CCD2から出力される映像信号を未処理のままのRawデータとしておき、このRawデータに、フィルタ情報や画像サイズ情報などをヘッダ情報として付加して、このヘッダ情報が付加されたRawデータをコンピュータ等の処理装置に出力し、該処理装置において、別途のソフトウェアにより処理するようにすれば良い。
【0162】
さらに、上述では色空間としてCIE Lab色空間を用いたが、これに限定されるものでもない。色変換LUT41は、テーブルを用いるものであるために、上述した第1の実施形態と同様に、YCbCr色空間や、その他の任意の色空間を用いることが可能である。このとき、テーブルを用いる代わりに、上述した第1の実施形態と同様に、上記数式9に示したような関数を用いる構成とすることも可能である。
【0163】
このような第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができ、色空間内で輝度信号のみを彩度信号などとは独立して操作しても、色信号に不自然さを生じさせないように絵作り処理や補正処理を行うことができ、絵作りに関する自由度が高まって、希望する画像を得ることが可能となる。
【0164】
また、彩度信号の補正処理と、肌色,空色などの特定色調整処理と、強調処理と、を一体化して処理するようにしたために、低コスト化を図りながら、高速処理を行うことが可能となる。
【0165】
さらに、輝度信号および色相信号が変化したときに、再現域の理論特性値に対する比率が一定となるように彩度信号を補正しているために、自然な色再現を得ることができる。
【0166】
そして、高精度な輝度信号と色信号とを得ることができるCIE Lab色空間を使用しているために、高品位な画像を得ることが可能となる。
【0167】
加えて、最大彩度値をテーブルの形態で保存するようにしたために、最大彩度値の算出を高速に行うことが可能となる。このとき、最大彩度値の変化量が大きい赤,緑,青,シアン,マゼンタ,黄の各色相面に関して高輝度用と低輝度用とに分離した3次関数を使用して該最大彩度値を算出し、該算出した最大彩度値をテーブルの形態で保存しているために、比較的少ないパラメータで彩度信号をより高精度に補正することが可能となる。
【0168】
また、彩度信号が第2の最大彩度値を逸脱しないように制限を課しているために、各種補正後の彩度信号が色再現域を逸脱することはなく、破綻のない画像を得ることができる。このときに、第2の最大彩度値を越える彩度信号を該第2の最大彩度値で置換処理するようにしているために、処理が単純となり、低コスト化を図りながら、高速な処理を行うことができる。これに対して、第2の最大彩度値未満の所定値を越える彩度信号を、該所定値と該第2の最大彩度値との間に非線形に圧縮する場合には、彩度のつぶれを低減することができ、グラデーションの再現性を向上することが可能となる。
【0169】
そして、彩度信号に関する補正係数を一括的に算出しているために、低コスト化を図りながら高速な処理を行うことが可能となる。
【0170】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0171】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の撮像システム、画像処理プログラムによれば、不自然でない色再現を行い得るとともに、色再現性を容易に制御することができる。さらに、計算量が少なく高速な処理を低コストに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における撮像システムの構成を示すブロック図。
【図2】上記第1の実施形態において、YCbCr色空間における彩度信号の補正を説明するための図。
【図3】上記第1の実施形態における最大彩度算出部の構成を示すブロック図。
【図4】上記第1の実施形態において、YCbCr空間の最大彩度値のモデル化を説明するための線図。
【図5】上記第1の実施形態の補正係数算出部における各種の係数を示す線図。
【図6】上記第1の実施形態における彩度補正部の構成を示すブロック図。
【図7】上記第1の実施形態において、画像処理プログラムによる彩度信号の補正処理を示すフローチャート。
【図8】本発明の第2の実施形態における撮像システムの構成を示すブロック図。
【図9】上記第2の実施形態において、特定色の調整を説明するための線図。
【図10】上記第2の実施形態における最大彩度算出部の構成を示すブロック図。
【図11】上記第2の実施形態において、Lab空間の最大彩度値のモデル化を説明するための線図。
【図12】上記第2の実施形態において、彩度補正部の制限部で用いる重み関数を示す線図。
【符号の説明】
1…レンズ系
2…CCD
7…色変換部(色空間変換手段)
8…階調補正部(階調変換手段)
9…最大彩度算出部(最大彩度算出手段)
10…エッジ算出部
11…補正係数算出部(補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、第2の補正係数算出手段、クロマサプレス手段、ハイライトシアン手段、彩度強調手段)
12…彩度強調用ROM(補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、彩度強調手段)
13…クロマサプレス用ROM(補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、クロマサプレス手段)
14…ハイライトシアン用ROM(補正係数算出手段、第1の補正係数算出手段、ハイライトシアン手段)
15…彩度補正部(彩度補正手段)
16…色逆変換部
18…制御部
21…隣接色相面探索部(探索手段)
22…関数抽出部(抽出手段)
23…関数記録用ROM(記録手段)
24…彩度算出部(算出手段)
25…彩度補間部(補間手段)
31…比率算出部(比率算出手段)
32…乗算部(乗算手段)
33…制限部(制限手段、置換手段、非線形圧縮手段)
41…色変換LUT(色空間変換手段)
42…特定色調整用ROM(補正係数算出手段、第2の補正係数算出手段)
43…色相彩度補正部(彩度補正手段)
44…色逆変換LUT
51…彩度読出部
52…最大彩度LUT(テーブル手段)
Claims (18)
- 撮像系からの原色系の色信号または補色系の色信号を階調変換して出力する撮像システムであって、
上記色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段と、
上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段と、
上記彩度信号に対して補正を行うための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段と、
上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と、上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色空間変換手段からの色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値と、を算出する最大彩度算出手段と、
上記第1の最大彩度値と、上記第2の最大彩度値と、上記彩度補正係数と、に基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段と、
を具備したことを特徴とする撮像システム。 - 撮像系からの原色系の色信号または補色系の色信号を階調変換して出力する撮像システムであって、
上記色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段と、
上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段と、
所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに、所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段と、
上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と、上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値と、を算出する最大彩度算出手段と、
上記第1の最大彩度値と、上記第2の最大彩度値と、上記彩度補正係数と、に基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段と、
を具備したことを特徴とする撮像システム。 - 撮像系からの原色系の色信号または補色系の色信号を階調変換して出力する撮像システムであって、
上記色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段と、
上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段と、
上記彩度信号に対して補正を行うための第1の彩度補正係数を算出する第1の補正係数算出手段と、
所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに、所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための第2の彩度補正係数を算出する第2の補正係数算出手段と、
上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と、上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値と、を算出する最大彩度算出手段と、
上記第1の最大彩度値と、上記第2の最大彩度値と、上記第1の彩度補正係数と、上記第2の彩度補正係数と、に基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段と、
を具備したことを特徴とする撮像システム。 - 上記色空間変換手段は、色空間として、YCbCr色空間またはCIE Lab色空間を用いるものであることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3に記載の撮像システム。
- 上記補正係数算出手段は、
上記輝度信号から算出されたエッジ強度値に基づき彩度補正係数を求めるクロマサプレス手段と、
上記輝度信号に基づき彩度補正係数を求めるハイライトシアン手段と、
上記色相信号に基づき彩度補正係数を求める彩度強調手段と、
の内の少なくとも1つを有して構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。 - 上記第1の補正係数算出手段は、
上記輝度信号から算出されたエッジ強度値に基づき第1の彩度補正係数を求めるクロマサプレス手段と、
上記輝度信号に基づき第1の彩度補正係数を求めるハイライトシアン手段と、
上記色相信号に基づき第1の彩度補正係数を求める彩度強調手段と、
の内の少なくとも1つを有して構成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の撮像システム。 - 上記最大彩度算出手段は、
複数の所定の色相面に関して輝度信号と最大彩度値とを関係付ける関数を記録している記録手段と、
上記記録手段に記録されている複数の色相面の中から、上記色相信号に隣接する最近傍の2組の色相面を探索する探索手段と、
上記探索手段により探索された2組の色相面に関する関数を上記記録手段から抽出する抽出手段と、
上記抽出手段により抽出された2組の関数と上記輝度信号とに基づいて2組の最大彩度値を算出する算出手段と、
上記2組の最大彩度値から上記色相信号に関する最大彩度値を補間して求める補間手段と、
を有して構成されたものであることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3に記載の撮像システム。 - 上記記録手段は、
上記複数の所定の色相面の各々に関して、所定の輝度値以上の輝度信号と最大彩度値とを関係付ける高輝度用関数と、所定の輝度値以下の輝度信号と最大彩度値とを関係付ける低輝度用関数と、上記所定の輝度値と、を記録しているものであることを特徴とする請求項7に記載の撮像システム。 - 上記記録手段は、
上記関数として、1次式関数と、多項式関数と、べき乗関数と、スプライン関数と、の内の少なくとも1つを記録しているものであることを特徴とする請求項7に記載の撮像システム。 - 上記記録手段は、
上記複数の所定の色相面として、赤,緑,青,シアン,マゼンタ,黄の各色相面を含むものであることを特徴とする請求項7に記載の撮像システム。 - 上記最大彩度算出手段は、
輝度信号および色相信号に対する上記色空間における最大彩度値を記録したテーブル手段を有して構成されたものであることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3に記載の撮像システム。 - 上記彩度補正手段は、
上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値との比率を算出する比率算出手段と、
上記彩度信号に上記比率および上記彩度補正係数を乗算する乗算手段と、
上記乗算手段により比率および彩度補正係数を乗算された上記彩度信号が上記第2の最大彩度値を逸脱しないように制限を課す制限手段と、
を有して構成されたものであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の撮像システム。 - 上記彩度補正手段は、
上記第1の最大彩度値と上記第2の最大彩度値との比率を算出する比率算出手段と、
上記彩度信号に上記比率と上記第1の彩度補正係数と上記第2の彩度補正係数とを乗算する乗算手段と、
上記乗算手段により比率と第1の彩度補正係数と第2の彩度補正係数とを乗算された上記彩度信号が上記第2の最大彩度値を逸脱しないように制限を課す制限手段と、
を有して構成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の撮像システム。 - 上記制限手段は、
上記乗算手段からの上記彩度信号が上記第2の最大彩度値を逸脱した場合に、該彩度信号を上記第2の最大彩度値に置き換える置換手段を有して構成されたものであることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の撮像システム。 - 上記制限手段は、
上記乗算手段からの上記彩度信号が上記第2の最大彩度値未満の所定の閾値を超えた場合に、該彩度信号を上記第2の最大彩度値と上記閾値との間の値に変換する非線形圧縮手段を有して構成されたものであることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の撮像システム。 - コンピュータを、
原色系の色信号または補色系の色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段、
上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段、
上記彩度信号に対して補正を行うための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段、
上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と、上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色空間変換手段からの色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値と、を算出する最大彩度算出手段、
上記第1の最大彩度値と、上記第2の最大彩度値と、上記彩度補正係数と、に基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。 - コンピュータを、
原色系の色信号または補色系の色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段、
上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段、
所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに、所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための彩度補正係数を算出する補正係数算出手段、
上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と、上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値と、を算出する最大彩度算出手段、
上記第1の最大彩度値と、上記第2の最大彩度値と、上記彩度補正係数と、に基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。 - コンピュータを、
原色系の色信号または補色系の色信号を輝度信号,色相信号,彩度信号の三信号から構成される色空間の信号へ変換する色空間変換手段、
上記輝度信号に対して階調変換を行う階調変換手段、
上記彩度信号に対して補正を行うための第1の彩度補正係数を算出する第1の補正係数算出手段、
所定範囲内の上記色相信号に対して該色相信号を補正するための色相補正係数を算出するとともに、所定範囲内の該色相信号に対して上記彩度信号を補正するための第2の彩度補正係数を算出する第2の補正係数算出手段、
上記色空間変換手段からの輝度信号および該色空間変換手段からの色相信号に対する上記色空間における第1の最大彩度値と、上記階調変換手段により変換された輝度信号および上記色相補正係数により補正された色相信号に対する該色空間における第2の最大彩度値と、を算出する最大彩度算出手段、
上記第1の最大彩度値と、上記第2の最大彩度値と、上記第1の彩度補正係数と、上記第2の彩度補正係数と、に基づいて上記彩度信号に関する補正を行う彩度補正手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
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