JP3914091B2 - 光ピックアップ用レンズアクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置等に適用される光ピックアップ用レンズアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の光ディスク装置の光ピックアップは、小型化を実現するため、レーザダイオード、レーザビームの反射及び透過を行うビームスプリッタ、光ディスクからの反射光を受光する光検出器等を含んだ固定光学アセンブリと、キャリッジ及びキャリッジに取り付けられた対物レンズ、その支持部材及びフォーカシングコイルを有するフォーカシング機構を含んだ移動光学アセンブリとから構成される。
【0003】
対物レンズはレンズホルダにより支持されており、このレンズホルダは金属製の2枚の平行板バネによりキャリッジに片持ち支持されている。レンズホルダに一対のフォーカシングコイルが固定されている。
【0004】
キャリッジにはレンズホルダに固定されたフォーカシングコイルに対向して一対のフォーカシング磁気回路が搭載されており、このフォーカシング磁気回路がレンズホルダに固定されたフォーカシングコイルに磁束を供給して、電磁相互作用により対物レンズの光軸方向に力を発生させ、対物レンズを駆動する。
【0005】
キャリッジは一対のガイドレールに案内されて光ディスクの半径方向に移動可能である。キャリッジの両側面には一対のキャリッジ駆動コイルが固着されている。
【0006】
キャリッジ駆動コイルはその一部が、キャリッジの両側面のベース上に配置されたキャリッジ駆動磁気回路のギャップ中に挿入され、キャリッジ駆動コイルに通電すると電磁相互作用によりキャリッジを光ディスクの半径方向に駆動する力を発生する。
【0007】
このような構成により、フォーカシング機構は、変動する光ディスク記録面に対して常に対物レンズ焦点が記録面と一致するように、対物レンズの焦点位置をフォーカシング制御する。
【0008】
また、キャリッジを駆動することにより光ディスク上の任意のトラック上に対物レンズを位置決めし(シーク制御)、更にスピンドルモータの振動や光ディスクチャッキング時の偏心等により光ディスク半径方向にその位置が変動するトラックに対して、常に対物レンズ焦点が追従するようなトラッキング制御を行う。
【0009】
固定光学アセンブリのレーザダイオードから出射されたライトパワーのレーザビームはコリメータレンズによりコリメートされた後、ビームスプリッタを透過し、ビーム立ち上げミラーにより反射されて対物レンズにより光ディスク上にフォーカスされ、光ディスクにデータが書きこまれる。
【0010】
一方、データの読み出しは、光ディスクにリードパワーのレーザビームを照射することにより行われる。光ディスクからの反射光は対物レンズによりコリメートビームに戻された後、固定光学アセンブリのビームスプリッタにより反射され、この反射光が光検出器で検出されて電気信号に変換される。
【0011】
光ディスク装置の一種である光磁気ディスク装置では、従来は一般的にレーザビームをデータで変調する光変調方式が採用されていたが、最近では記録容量を向上するために、記録磁界をデータで変調する磁界変調方式の採用が検討されている。
【0012】
磁界変調方式の光磁気ディスク装置では、光変調方式に比較して漏洩磁場の影響が大きく、漏洩磁場を極力少なくすることが必要である。漏洩磁場を少なくする方法として一般的に採用されるのは、磁界同士が打ち消し合うような磁気回路構成を用いることである。
【0013】
従来は、光磁気ディスク媒体に垂直方向の漏れ磁場を打ち消すように、対物レンズに対して左右の磁気回路の極性(位相)を逆にするような磁気回路構成を採用していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
媒体の記録密度が高まるにつれ、媒体垂直方向の漏れ磁場だけでなく水平方向の漏れ磁場もある程度抑制する必要が生じてくる。しかし、従来の左右の磁気回路の位相を逆にする方法では、媒体垂直方向の漏れ磁場はほとんど無くなるが、水平方向漏れ磁場は、通常の左右同相の磁気回路に比較しても大きくなってしまう。
【0015】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、媒体垂直方向の漏洩磁場だけでなく、水平方向の漏洩磁場も抑制可能な光ピックアップ用レンズアクチュエータを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、光ピックアップ用レンズアクチュエータであって、キャリッジと、対物レンズを保持するレンズホルダと、それぞれの一端が前記キャリッジに固定され他端が前記レンズホルダに固定された、該レンズホルダを前記キャリッジに対して移動可能に支持する支持部材と、前記レンズホルダの両側面に長辺が前記支持部材の伸長方向となるように接着された一対の矩形状フォーカシングコイルと、前記各フォーカシングコイルの長辺に対向し、フォーカシング方向に直交する方向に着磁され、隣り合う磁極が互いに異なるようにフォーカシング方向に積み重ねられた、前記対物レンズの光軸を含む面に対して対称に配置され且つ左右の磁気回路の磁極が逆となるように前記キャリッジに固定された4個のアクチュエータ用磁石と、フォーカシング方向に直交する方向に着磁され、隣り合う磁極が互いに異なるように前記左右のアクチュエータ用磁石の上に搭載された漏洩磁場打ち消し用磁石と、を具備したことを特徴とする光ピックアップ用レンズアクチュエータが提供される。
【0017】
上記構成によると、漏洩磁場打ち消し用磁石が左右のアクチュエータ用磁石の上に搭載されているため、媒体に対して水平方向の漏洩磁場を抑制することができる。
【0018】
漏洩磁場打ち消し用磁石の大きさ又は強さは、アクチュエータ用磁石の大きさ又は強さ、対物レンズの焦点位置によって調節し、焦点位置でほぼ漏洩磁場が無くなるようにする。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、本発明実施形態の光ピックアップ用レンズアクチュエータ(移動光学アセンブリ)2の斜視図が示されている。レンズアクチュエータ2は、光磁気ディスク装置のベースに固定された一対のガイドレール4に案内されて、図示しない光磁気ディスクの半径方向に移動可能なキャリッジ6を含んでいる。
【0020】
一対の磁気回路8がガイドレール4と平行にベースに搭載されている。各磁気回路8はベースに搭載されたヨーク10,12と、ヨーク10に接着等により固定された永久磁石14を含んでいる。
【0021】
図2の縦断面図に示すように、キャリッジ6は例えばモールド樹脂から形成され、光磁気ディスク装置のベース上に搭載されたレーザダイオードから出射されたレーザビームを受け入れるための穴30と、レーザビームを対物レンズ20方向に反射するためのキャリッジ6の斜面32に搭載されたビームス立ち上げミラー28を有している。
【0022】
キャリッジ6には、例えばステンレス鋼から形成された一対の平行板バネ22の一端が接着されている。各板バネ22の他端は対物レンズ20を保持するレンズホルダー18に接着されている。
【0023】
キャリッジ6の両側には一対のキャリッジ駆動コイル16が接着されている。各キャリッジ駆動コイル16は磁気回路8のヨーク12と永久磁石14との間のギャップ中に挿入されている。
【0024】
磁気回路8とコイル16によりボイスコイルモータ(VCM)が形成され、コイル16に通電することによりキャリッジ6がガイドレール4,4に案内されて光磁気ディスクの半径方向に移動する。
【0025】
磁気回路8とコイル16とから構成されるキャリッジ駆動機構により、キャリッジ6を光磁気ディスクの半径方向に移動して、光磁気ディスクの任意のトラック上に対物レンズ20を位置決めする(シーク制御)。
【0026】
更に、このキャリッジ駆動機構により、光磁気ディスクを回転するスピンドルモータの振動や光磁気ディスクチャッキング時の偏心等によって、光磁気ディスクの半径方向にその位置が変動するトラックに対して、常に対物レンズ20の焦点位置が追従するようなトラッキング制御を行う。
【0027】
キャリッジ6には一対のフォーカシング磁気回路26a,26bが搭載されている。一方、レンズホルダ18の側面にはフォーカシング磁気回路26a,26bに対向して一対のフォーカシングコイル24が接着されている。
【0028】
図4に示すように、各フォーカシングコイル24は長辺24aと、短辺24bを有する矩形形状をしている。長辺24aが平行板バネ22の伸長方向と平行となるようにフォーカシングコイル24はレンズホルダ18の側面に接着されている。
図3に示すように、左側のフォーカシング磁気回路26aはキャリッジ6に接着されたヨーク38aと、ヨーク38aに接着された2個の永久磁石40a,42aを含んでいる。
【0029】
磁石40a,42aはコイル24の長辺24aに対向するように配置されている。更に、隣り合う磁極が互いに異なるようにフォーカシング方向に直交する方向(媒体と平行方向)に着磁されている。
【0030】
同様に、右側のフォーカシング磁気回路26bはキャリッジ6に接着されたヨーク38bと、ヨーク38bに接着された2個の永久磁石40b,42bを含んでいる。
【0031】
各磁石40b,42bはコイル24の長辺24aに対向するように配置されており、隣り合う磁極が互いに異なるようにフォーカシング方向に直交する方向に着磁されている。
【0032】
左側の磁石40a,42aと右側の磁石40b,42bは対物レンズ20の光軸を含む面に対して対称に且つ磁極が逆(逆位相)と成るように配置されている。
【0033】
更に、磁石42a,42bの上には、それぞれ磁石42a,42bの磁極に対して隣り合う磁極が互いに異なるように、フォーカシング方向に直交する方向に着磁された漏洩磁場打ち消し用磁石44a,44bがそれぞれ搭載されている。
【0034】
磁石44a,44bの大きさ又は強さは、アクチュエータ用磁石40a,42a;40b,42bの大きさ又は強さ、対物レンズ20の焦点位置によって調整し、焦点位置でほぼ漏洩磁場が無くなるように設定する。
【0035】
漏洩磁場打ち消し用磁石44a,44bに対しては背面にヨークはあってもなくてもよい。本実施形態では磁石44a,44bの背面にヨークは設けられていない。
【0036】
本実施形態では、媒体垂直方向の漏洩磁場がほとんど生じないのに加えて、磁石42aから磁石42bに向かう磁束と、磁石44bから磁石44aに向かう磁束が互いに打ち消し合うため、媒体水平方向の漏洩磁場を減少することができる。
【0037】
また、漏洩磁場打ち消し用磁石44a,44bを設けても、フォーカシングコイル24近傍の磁束にはほとんど変化がないため、フォーカシングコイル24の性能にはほとんど変化はない。
【0038】
上述したフォーカシング機構によると、フォーカシング磁気回路26a,26bとフォーカシングコイル24によりボイスコイルモータ(VCM)が形成され、フォーカシングコイル24に通電することにより対物レンズ20をその光軸方向(フォーカシング方向)に移動させることができる。
【0039】
フォーカシング磁気回路26a,26bとフォーカシングコイル24により構成されたフォーカシング機構は、変動する光磁気ディスクの記録面に対して常に対物レンズ20の焦点が記録面に一致するように、対物レンズ20の焦点位置をフォーカシング制御する。
【0040】
【発明の効果】
本発明のレンズアクチュエータは以上詳述したように構成したので、媒体に対して垂直方向の漏洩磁場をキャンセルできるのに加えて、水平方向の漏洩磁場もキャンセル乃至は減少することができる。よって、磁界変調型の光磁気ディスク装置に適用した場合、データで変調された書き込み磁界に悪影響を及ぼすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズアクチュエータ(移動光学アセンブリ)の斜視図である。
【図2】キャリッジの縦断面図である。
【図3】図1の一部省略横断面図である。
【図4】フォーカシングコイルを示す図である。
【符号の説明】
4 ガイドレール
6 キャリッジ
8 磁気回路
10,12 ヨーク
14 磁石
16 キャリッジ駆動コイル
18 レンズホルダー
20 対物レンズ
22 平行板バネ
24 フォーカシングコイル
26a,26b フォーカシング磁気回路
40a,40b,42a,42b アクチュエータ用磁石
44a,44b 漏洩磁場打ち消し用磁石
Claims (3)
- 光ピックアップ用レンズアクチュエータであって、
キャリッジと、
対物レンズを保持するレンズホルダと、
それぞれの一端が前記キャリッジに固定され他端が前記レンズホルダに固定された、該レンズホルダを前記キャリッジに対して移動可能に支持する支持部材と、
前記レンズホルダの両側面に長辺が前記支持部材の伸長方向となるように接着された一対の矩形状フォーカシングコイルと、
前記各フォーカシングコイルの長辺に対向し、フォーカシング方向に直交する方向に着磁され、隣り合う磁極が互いに異なるようにフォーカシング方向に積み重ねられた、前記対物レンズの光軸を含む面に対して対称に配置され且つ左右の磁気回路の磁極が逆となるように前記キャリッジに固定された4個のアクチュエータ用磁石と、
フォーカシング方向に直交する方向に着磁され、隣り合う磁極が互いに異なるように前記左右のアクチュエータ用磁石の上に搭載された漏洩磁場打ち消し用磁石と、
を具備したことを特徴とする光ピックアップ用レンズアクチュエータ。 - 前記キャリッジを駆動するキャリッジ駆動手段を更に具備し、
該キャリッジは光記録媒体の半径方向に移動されることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ用レンズアクチュエータ。 - 前記支持部材は一対の平行板バネから構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の光ピックアップ用レンズアクチュエータ。
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