JPH11339294A - 対物レンズ駆動装置の調整方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種光ディスク記録再生装置に使用される対
物レンズ駆動装置において、簡単な構成で対物レンズの
チルトを抑制することを目的とする。 【解決手段】 磁石の位置を移動可能とし、対物レンズ
のチルトがほぼ零となるように磁石の位置調整をおこな
うことにより、対物レンズのチルトを抑制した小型の対
物レンズ駆動装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は半導体レーザなどの
光源から出射される光を、光ディスクなどの情報媒体の
情報記録面に収束して情報を記録再生する情報記録再生
装置に用いられる対物レンズ駆動装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般にＣＤプレーヤなどの光ディスク装
置において、対物レンズの光軸が半導体レーザからの出
射光に対して傾いていると、光学的な収差が生じ、信号
レベルの低下やフォーカスサーボおよびトラッキングサ
ーボにオフセットやクロストークなどを発生するという
問題が生じる。情報を高密度に記録したＤＶＤプレーヤ
などは対物レンズの光軸の傾きをさらに厳しく抑制する
必要がある。

【０００３】図２に従来の対物レンズ駆動装置の構造を
示す。ホルダ４は対物レンズ１、フォーカスコイル２、
トラッキングコイル３を具備し、４本の弾性支持手段５
によって固定部６に懸架されている。固定部６はダンパ
ー剤７を備え、可動部の共振に対して減衰効果が得られ
ている。磁石８とヨーク９とで磁気回路が構成され、固
定部６およびヨーク９はベース１０に固定されている。
図中のｘはトラッキング方向、ｙはタンジェンシャル方
向、ｚはフォーカス方向を示し、フォーカスコイル２お
よびトラッキングコイル３に電流を流すことにより電磁
力が働き、対物レンズ１がフォーカス方向およびトラッ
キング方向に駆動される。

【０００４】光源からの出射光に対する対物レンズの光
軸の傾きをチルトと呼び、ｙ軸周りの傾きをラジアルチ
ルト、ｘ軸周りの傾きをタンジェンシャルチルトと呼ん
でいる。

【０００５】図３は対物レンズ駆動装置をタンジェンシ
ャル方向から見た側面図である。フォーカスコイル２に
電流を流すとフォーカス方向に電磁力１３が働く。この
とき、電磁力１３が弾性支持手段５の支持中心Ｏを通る
ｚ軸に平行な直線上に働けば対物レンズ１はチルトを発
生しないが、フォーカスコイル２、弾性支持手段５、磁
石８およびヨーク９の取付誤差のために、図３に示すよ
うに電磁力１３は支持中心Ｏからトラッキング方向にず
れた位置に働く。その結果、支持中心Ｏまわりのモーメ
ントが発生し、点線で示すようにラジアルチルトが発生
する。

【０００６】また、弾性支持手段５Ｌと５Ｒとの有効長
や外径が違うなどの理由で、弾性支持手段５Ｌと５Ｒと
のばね定数が違うと、電磁力１３が支持中心Ｏを通るｚ
軸に平行な直線上に働いたとしてもラジアルチルトは発
生する。ダンパー剤７Ｌと７Ｒとの量が違っていたり、
磁石８の磁場が一様でない場合も同様に、ラジアルチル
トが発生する。タンジェンシャルチルトも同様な発生原
理であり、支持中心Ｏからタンジェンシャル方向にずれ
た位置に電磁力が働くことによって、タンジェンシャル
チルトが発生する。

【０００７】従来の技術では、フォーカスコイル２、ト
ラッキングコイル３、磁石８、ヨーク９および弾性支持
手段５の寸法、組立誤差を数１０μｍ以内にし、４本の
弾性支持手段５の有効長の差を５０μｍ以内とし、磁石
８の着磁は単品ずつおこなって、支持中心と電磁力との
作用点のずれをなくすことにより、チルトの抑制をおこ
なっていた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】世の流れとして高密度
記録再生装置も薄型化が要望されている。図４（ａ）は
大型の対物レンズ駆動装置、図４（ｂ）は小型の対物レ
ンズ駆動装置を示す。

【０００９】図４（ａ）において、ホルダ４ａにラジア
ルチルトが発生したとすると、弾性支持手段５ａの一端
であるホルダ４ａの支持位置はチルト発生前に比べてδ
ａだけ変位する。図４（ｂ）において、図４（ａ）と同
じ大きさのラジアルチルトが発生したとすると、弾性支
持手段５ｂのホルダ４ｂ支持位置はδｂだけ変位する。

【００１０】このときδａとδｂの関係はδａ＞δｂで
あり、同じチルト量を発生させようとすれば、小型の対
物レンズ駆動装置の方は小さなモーメントですむ。つま
り、対物レンズ駆動装置が小型になれば系のｙ軸周りの
回転ばね定数が小さくなりラジアルチルトが発生しやす
くなる。

【００１１】装置の小型化、薄型化が進む中で、高密度
光ディスクを記録再生するにはさらに組立精度を高め
て、チルトを抑制する必要がある。しかし、現在の機械
精度の組立でチルト精度を上げることは非常に難しくな
ってきている。また、薄型化を図るためヨークは光学基
台に直接固定せざるを得なくなっており、このような場
合、対物レンズのあおり調整でコイルと磁石の相対位置
関係が大きくずれてしまうという問題もある。

【００１２】このように、高密度光ディスクを記録再生
する対物レンズ駆動装置においては、対物レンズのチル
トを抑制しなければならず、装置が小型になればチルト
が発生しやすいという課題がある。

【００１３】本発明は、以上の課題を解決し、対物レン
ズのチルトを抑制することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の対物レンズ駆動装置は、対物レンズのチルト
がほぼ零となるように磁石の位置調整をおこなうもので
ある。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図１を用いて説明する。

【００１６】図１において、図２に示した従来例と同一
部品には同一の符号を付している。従来例との差異は、
図１（ｂ）に示すようにベース１０にスライド機構１１
を設け、ヨーク９の位置をトラッキング方向に調整可能
とした点である。磁石８をトラッキング方向に移動する
と、電磁力１３の作用点もトラッキング方向に移動し
（図３参照）、対物レンズ１のラジアルチルト量も変化
することになる。つまり、ラジアルチルトがほぼ零とな
る位置でヨーク９を接着固定すればよい。

【００１７】調整方法は例えば、フォーカスコイル２に
一定の直流電流を流してホルダ４をフォーカス方向可動
範囲最大に移動させ、次にオートコリメータ１２を用い
て対物レンズ１のチルトを検出し、ラジアルチルトがほ
ぼ零となるようにヨーク９のトラッキング方向の位置を
調整したあと、ヨークを接着固定する。

【００１８】このようにすれば、ホルダ４をフォーカス
方向のどの位置に移動しても、ラジアルチルトはほぼ零
となる。特筆すべきことは、この調整をおこなえば、各
部品の寸法、取付精度を上げずに、特性ばらつきも含め
た上でチルトを抑制できることである。

【００１９】トラッキングコイル３がｙ軸方向に巻線軸
をもつ場合、対物レンズ１をトラッキング方向に移動し
たとき、トラッキングコイル３を流れる電流のｘ方向成
分と磁石８の磁場とによりｚ方向の電磁力が働くが、こ
の電磁力がつり合わないとモーメントが加わり、ラジア
ルチルトが発生する。このような場合は、ヨーク９をフ
ォーカス方向に移動可能な構成にして、トラッキングコ
イル３に一定の直流電流を流して対物レンズ１をトラッ
キング方向に移動させ、次にオートコリメータ１２を用
いてラジアルチルトがほぼ零となるようにヨーク９のフ
ォーカス方向の位置を調整すれば良い。

【００２０】同様に、対物レンズ１をフォーカス方向に
移動させ、オートコリメータ１２を用いてタンジェンシ
ャルチルトがほぼ零となるようにヨーク９のタンジェン
シャル方向の位置を調整すれば、タンジェンシャルチル
トを抑制した対物レンズ駆動装置が得られる。

【００２１】なお、以上の説明では、磁石が固定された
ヨークを位置調整した例で説明したが、ヨークをベース
に固定して磁石のみを位置調整しても同じ効果が得られ
る。また、磁石が一つの場合の構成で説明したが、二つ
の磁石を異極対向させた磁気回路、二つの磁石を同極対
向させてフォーカスコイルの２辺で駆動力を発生する磁
気回路、コイルがベースに固定されて磁石がホルダに具
備されているムービングマグネット型の磁気回路につい
ても同様に実施可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、各部品の
寸法、取付精度を上げることなくチルトの発生を抑制す
るという有利な効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本発明の対物レンズ駆動装置の調整方法
を説明する斜視図 （ｂ）本発明の一実施の形態の構成図

【図２】従来の対物レンズ駆動装置の一例を示す斜視図

【図３】ラジアルチルトの発生機構を説明する側面図

【図４】（ａ）大型の対物レンズ駆動装置の側面図 （ｂ）小型の対物レンズ駆動装置の側面図

【符号の説明】

１ 対物レンズ ２ フォーカスコイル ３ トラッキングコイル ４ ホルダ ５ 弾性支持手段 ６ 固定部 ７ ダンパー剤 ８ 磁石 ９ ヨーク １０ ベース １１ スライド機構 １２ オートコリメータ １３ 電磁力

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧 直史 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光源から放射された光を集光する対物レ
   ンズと、前記対物レンズを保持するホルダと、前記ホル
   ダをフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動する
   駆動系を備えた対物レンズ駆動装置において、前記ホル
   ダを移動させたときに、前記対物レンズの光軸の傾きが
   前記光源からの出射光に対してほぼ零となるように前記
   駆動系を構成する磁石またはヨークの少なくとも一方の
   位置を調整する調整方法。