JP3912845B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオード及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、青色領域から紫外光領域で発光可能な窒化ガリウム系化合物半導体発光素子(発光ダイオード、レーザにも関連)及びその製造方法に係わり、特に電流阻止型窒化ガリウム系化合物半導体発光素子に関し、リッジ導波路型窒化ガリウム系化合物半導体レーザにも関連する。
【0002】
【従来の技術】
図10において、本発明に関連する先行技術によるGaN系リッジ構造型半導体レーザの断面模式図を示す。
【0003】
その素子構造として、サファイヤ基板1上にGaNバッファ層2,n型GaN層3,n型In0.05Ga0.95N層300,n型Al0.05Ga0.95Nクラッド層4,n型GaN層400,InGaNMQW活性層500,p型Al0.2Ga0.8N層600,p型GaN層700,p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層6,p型GaNコンタクト層7が順次積層され、次にp型Al0.05Ga0.95Nクラッド層6とp型GaNコンタクト層7をリッジ状にエッチングし、SiO2の絶縁体膜800を形成し、次に、p型電極8,n型電極9を形成している構造がA.P.L.69.10.1996.P1477に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来例のリッジ構造窒化ガリウム系化合物半導体発光素子においては、絶縁体膜800を形成しなければならず、製造工程が複雑になる。
【0005】
本発明においては、電極金属が形成される窒化ガリウム系化合物半導体層表面に電流注入領域と非電流注入領域を簡便な方法にて形成することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者の検討の結果、p型窒化ガリウム系化合物半導体層をドライエッチングした際、エッチングマスクにて覆われている部分はp型電極に対してオーミック性を示すが、エッチングにさらされた部分はp型電極に対して非オーミック性または高抵抗化を示すことがわかった。
【0007】
この特性を図9に示している。この図9に記載されているように、グラフの横軸は電圧を表し、縦軸は電流を表している。そして、グラフ中でほぼ45度に傾斜した直線はオーミック特性を表し、横軸近傍の曲線は非オーミック特性を表している。
【0008】
この特性を利用し、ドライエッチング法を用いてリッジ導波路を形成すれば、エッチングマスクにて覆われている部分はp型電極に対してオーミック性を示すが、エッチングにさらされた部分はp型電極に対して非オーミック性または高抵抗を示すため、リッジ導波路表面に電流阻止領域を形成することが可能となる。
【0009】
この電流阻止領域が電流狭窄層として機能するため、素子のしきい値電流の低減、発光パターンの制御や発光効率の向上が可能となり、電流阻止型金属閉じ込めリッジ導波路窒化ガリウム系化合物半導体レーザを提供することができる。
【0010】
また、本発明によれば酸化膜の形成及び再成長技術を必要とせずしきい値電流が小さく、発光パターンの制御された半導体レーザ及び外部発光効率の優れた半導体発光素子が容易に作製可能となる。
【0011】
ここで、ドライエッチング法として、例えばRIE:反応性イオンエッチング、ECR−RIBE:電子サイクロトロン共鳴を利用した反応性イオンビームエッチング法を用い、ガス種として例えばCl2,SiCl4,BCl3等又はこれらにAr,H2等を添加したガスを用いる。
【0012】
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオードでは、基板上に、少なくともn型窒化ガリウム系化合物半導体層とp型窒化ガリウム系化合物半導体層とが順次積層されており、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面の一部領域において表面層が高抵抗化された凹部が形成されており、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面の実質的に全領域を覆って電極膜が形成されており、電極膜とp型窒化ガリウム系化合物半導体層との接合において凹部内領域ではその凹部がドライエッチングで形成されたことに起因して他の領域に比べて接触抵抗が高められており、凹部内において電極膜上にボンディング電極が形成されていることを特徴としている。
【0013】
なお、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の凹部領域内において、その表面層のp型不純物濃度を他の領域に比べて低くすることによって、電極膜とp型窒化ガリウム系化合物半導体層との接触抵抗が高くなり得る。
【0014】
また、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の凹部領域内において、その表面層に塩素を 含めることによっても、電極膜とp型窒化ガリウム系化合物半導体層との接触抵抗が高くなり得る。
【0015】
以上のような窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオードの本発明による製造方法では、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面にドライエッチングによって凹部を形成し、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面の実質的に全領域を覆うように電極膜を形成し、凹部の領域内において電極膜上にボンディング電極を形成する工程を含むことを特徴としている。
【0016】
なお、ドライエッチングは、好ましくは塩素を含むガスを利用して行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明による実施例が、本発明に密接に関連する参考例とともに詳細に説明される。なお、本願明細書において、窒化ガリウム系化合物半導体とは、例えば、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y,x+y≦1)も含むものとする。ここで、半導体発光素子とは発光ダイオードを含むのみならずレーザにも関連している。
【0018】
(参考例1)
図1は、本発明に密接に関連する参考例1によって作製された金属閉じ込めリッジ導波路型窒化ガリウム系化合物半導体レーザの断面模式図を示す。
【0019】
窒化ガリウム系化合物半導体レーザの作製には有機金属化合物気相成長法(以下MOCVD法)を用い、基板としてSapphire基板、V族原料としてアンモニアNH3、III族原料としてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMIn)、p型不純物としてビスシクロペンタデイエニルマグネシウム(Cp2Mg)、n型不純物としてモノシラン(SiH4)を用い、キャリヤガスとしてH2またはN2を用いる。
【0020】
図5の(1)から(5)に作製工程模式図を示す。1回目の結晶成長を行うため、Sapphire基板1をMOCVD装置のサセプタ上に導入し、基板温度1200℃程度まで昇温し、窒素又は水素雰囲気にさらす。次に、Sapphire基板1の基板温度を400〜650℃程度まで降温し、Sapphire基板1にAl0.05Ga0.95Nバッファ層2を200〜1000Å成長する。次に、基板温度1050℃程度まで昇温しn型GaN層3を0.5〜4μm程度成長し、次に、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層4を0.1〜0.3μm程度成長する。基板温度を800〜850℃程度に降温しノンドープIn0.15Ga0.85N活性層5を30〜800Å成長する。次に、基板温度を1050℃程度まで昇温MgドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層6を0.1〜0.3μm程度成長し、MgドープGaNコンタクト層7を0.5〜1μm程度成長する(図5−(1))。
【0021】
一旦、ウェハを成長室から取り出し、N2雰囲気、800℃にて熱処理を行いMgドープ層をp型層に変化させる。
【0022】
次に、p+型GaNコンタクト層7の上にレジストマスク100を形成し、通常のフォトリソグラフィを用いてp+型GaNコンタクト層7上のレジストマスク100を例えばストライプ状に加工する(図5−(2))。
【0023】
ここで、レジストマスク100の形状はストライプ状に限定することはない。
このウェハをドライエッチング法によりp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層6の所望の位置までエッチングし(12)、このエッチングによりp+型GaNコンタクト層7とp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層6をリッジ導波路状に形成する。p型層のエッチングにさらされた部分が高抵抗層となり、高抵抗層が形成される(図5−(3))。
【0024】
ここで、ドライエッチング後のp型層表面はCl,O混入やMg不純物の抜け等が発生しp型層表面の厚さ200〜300Åが高抵抗層になる。
【0025】
ここで、ドライエッチング法として、例えばRIE:反応性イオンエッチング、ECR−RIBE:電子サイクロトロン共鳴を利用した反応性イオンビームエッチング法を用いる。ガス種として例えばCl2,SiCl4,BCl3等又はこれらにAr,H2等を添加したガスを用いる。
【0026】
次に、このウェハをドライエッチングによりn型GaN層3表面が露出するまでエッチングし(13)、有機溶剤にてマスク100を除去する(図5−(4))。
【0027】
次に、p+型GaNコンタクト層7表面全面及びp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層6に直接p型用電極8例えばNi及びAuを形成、n型GaN層3にn型用電極9Ti及びAlを形成する。(図5−(5))。
【0028】
ここで、図1及び図5中の表面領域10と11について説明する。p型層6及び7において、ガス種例えばCl2にさらされている部分の表面10は高抵抗層(抵抗率が約108Ωcm)となり、ガスにさらされていないマスク部分の表面11は本来のp+型GaNコンタクト層7の性質を有し低抵抗(抵抗率が約1〜2Ωcm)のままである。p型用電極8と表面10は非オーミック性を示し、表面11ではオーミック性をしめすことを図9に示している。
【0029】
このことより従来のように絶縁体膜の形成や再成長技術を用いることなく電流阻止構造が容易に作製できる。
【0030】
この結果、しきい値電流の低減や発光パターンの制御が可能で、作製が容易な金属閉じ込めリッジ導波路型窒化ガリウム系化合物半導体レーザ及びその製法を提供することができる。
【0031】
(参考例2)
図2は、本発明に密接に関連する参考例2によって作製された金属閉じ込めリッジ導波路型窒化ガリウム系化合物半導体レーザの断面模式図を示す。
【0032】
窒化ガリウム系化合物半導体レーザの作製には有機金属化合物気相成長法(以下MOCVD法)を用い、基板として導電性基板、V族原料としてアンモニアNH3、III族原料としてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMIn)、p型不純物としてビスシクロペンタデイエニルマグネシウム(Cp2Mg)、n型不純物としてモノシラン(SiH4)を用い、キャリヤガスとしてH2またはN2を用いる。
【0033】
図6の(1)から(5)の作製工程模式図を用いて説明する。1回目の結晶成長を行うため、SiC基板1をMOCVD装置のサセプタ上に導入し、基板温度1200℃程度まで昇温し、窒素又は水素雰囲気にさらす。次に、SiC基板1の基板温度を1050℃程度まで昇温しn型GaN層3を0.5〜4μm程度成長し、次に、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層4を0.1〜0.3μm程度成長する。基板温度を800〜850℃程度に降温しノンドープIn0.15Ga0.85N活性層5を30〜800Å成長する。次に、基板温度を1050℃程度まで昇温MgドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層6を0.1〜0.3μm程度成長し、MgドープGaNコンタクト層7を0.5〜1μm程度成長する(図6−(1))。
【0034】
一旦、ウェハを成長室から取り出し、N2雰囲気、800℃にて熱処理を行いMgドープ層をp型層に変化させる。
【0035】
次に、p+型GaNコンタクト層7の上にレジストマスク100を形成し、通常のフォトリソグラフィを用いてp+型GaNコンタクト層7上のレジストマスク100を例えばストライプ状に加工する(図6−(2))。
【0036】
レジストマスク100を例えばストライプ状に限定することはない。
このウェハをドライエッチング法によりp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層6の所望の位置までエッチングし(12)、このエッチングによりp+型GaNコンタクト層7とp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層6をリッジ導波路状に形成する。p型層のエッチングにさらされた部分が高抵抗層となり、高抵抗層が形成される(図6−(3))。
【0037】
ここで、ドライエッチング後のp型層表面はCl,O混入やMg不純物の抜け等が発生しp型層表面の厚さ200〜300Åが高抵抗層になる。
【0038】
ここで、ドライエッチング法として、例えばRIE:反応性イオンエッチング、ECR−RIBE:電子サイクロトロン共鳴を利用した反応性イオンビームエッチング法を用いる。ガス種として例えばCl2,SiCl4,BCl3等又はこれらにAr,H2等を添加したガスを用いる。
【0039】
次に、p+型GaNコンタクト層7上のマスク100を有機溶剤にて除去する(図6−(4))。
【0040】
次に、p+型GaNコンタクト層7表面全面及びp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層6に直接p型用電極8例えばNi及びAuを形成、SiC基板1にn型用電極9を形成する。(図6−(5))。
【0041】
ここで、図2及び図6中の表面領域10と11について説明する。p型層6及び7において、ガス種例えばCl2にさらされている部分の表面10は高抵抗層(抵抗率が約108Ωcm)となり、ガスにさらされていないマスク部分下の表面11は本来のp+型GaNコンタクト層7の性質を有し低抵抗(抵抗率が約1〜2Ωcm)のままである。このため、p型用電極8と表面10は非オーミック性を示し、表面11とはオーミック性をしめすことを図9に示している。
【0042】
このことより従来のように絶縁体膜の形成や再成長技術を用いることなく電流阻止構造が容易に作製できる。
【0043】
この結果、しきい値電流の低減や発光パターンの制御が可能で、作製が容易な金属閉じ込めリッジ導波路型窒化ガリウム系化合物半導体レーザを提供することができる。
【0044】
ここで、参考例1及び2においてp+型GaNコンタクト層7及びp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層6はストライプ状に加工したが、例えば、素子端面近傍のみを広く加工してもよくまたは幅が部分的に異なるストライプ状に加工してもよい。
【0045】
(実施例1)
図3は、本発明の実施例1によって作製された電流阻止型窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面模式図を示す。
【0046】
窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の作製には有機金属化合物気相成長法(以下MOCVD法)を用い、基板としてSapphire基板、V族原料としてアンモニアNH3、III族原料としてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMIn)、p型不純物としてビスシクロペンタデイエニルマグネシウム(Cp2Mg)、n型不純物としてモノシラン(SiH4)を用い、キャリヤガスとしてH2またはN2を用いる。
【0047】
図7の(1)から(5)に作製工程模式図を示す。1回目の結晶成長を行うため、Sapphire基板1をMOCVD装置のサセプタ上に導入し、基板温度1200℃程度まで昇温し、窒素又は水素雰囲気にさらす。次に、Sapphire基板1の基板温度を400〜650℃程度まで降温し、Sapphire基板1にAl0.05Ga0.95Nバッファ層2を200〜1000Å成長する。次に、基板温度1050℃程度まで昇温しn型GaN層3を0.5〜4μm程度成長し、次に、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層4を0.1〜0.3μm程度成長する。基板温度を800〜850℃程度に降温しノンドープIn0.15Ga0.85N活性層5を30〜800Å成長する。次に、基板温度を1050℃程度まで昇温MgドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層6を0.1〜0.3μm程度成長し、MgドープGaNコンタクト層7を0.5〜1μm程度成長する(図7−(1))。
【0048】
一旦、ウェハを成長室から取り出し、N2雰囲気、800℃にて熱処理を行いMgドープ層をp型層に変化させる。
【0049】
次に、p+型GaNコンタクト層7の上にレジストマスク100を形成し、通常のフォトリソグラフィを用いてp+型GaNコンタクト層7の上のレジストマスク100に例えば円形状の溝を開ける(図7−(2))。
【0050】
ここで、レジストマスク100の形状は特に円形状の溝に限定する必要はない。
【0051】
このウェハをドライエッチング法によりp+型GaNコンタクト層7の所望の位置までエッチングし(12)、このエッチングによりp+型GaNコンタクト層7の所望の表面を高抵抗領域層10を形成することができる(図7−(3))。
【0052】
ここで、ドライエッチング後のp型層表面はCl,O混入やMg不純物の抜け等が発生しp型層表面の厚さ200〜300Åが高抵抗層になる。
【0053】
ここで、ドライエッチング法として、例えばRIE:反応性イオンエッチング、ECR−RIBE:電子サイクロトロン共鳴を利用した反応性イオンビームエッチング法を用いる。ガス種として例えばCl2,SiCl4,BCl3等又はこれらにAr,H2等を添加したガスを用いる。
【0054】
次に、このウェハにレジストマスクを形成し、ドライエッチングによりn型GaN層3表面が露出するまでエッチングし(13)、有機溶剤にてマスク100を除去する(図7−(4))。
【0055】
次に、p+型GaNコンタクト層7表面全面に直接p型用電極8Ni及びAu、ボンディング電極14例えばAuを形成、n型GaN層3にn型用電極9Ti及びAlを形成する(図7−(5))。
【0056】
ここで、図3及び図7中の表面領域10と11について説明する。p型層6及び7において、ガス種例えばCl2にさらされている部分の表面10は高抵抗層となり、ガスにさらされていないマスク部分の表面11は本来のp+型GaNコンタクト層7の性質を有し低抵抗のままである。p型用電極8と表面10は非オーミック性を示し、表面11とはオーミック性をしめすことが図9に示している。
【0057】
このことより従来のように絶縁体膜を用いることなく電流阻止構造を持つ半導体発光素子が容易に作製できる。
【0058】
この結果、ボンディング電極14部分からの電流注入が阻止でき、外部発光効率に優れ、作製が容易な電流阻止型窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を提供することができる。
【0059】
(実施例2)
図4は、本発明の実施例2によって作製された電流阻止型窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面模式図を示す。
【0060】
窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の作製には有機金属化合物気相成長法(以下MOCVD法)を用い、基板として導電性基板、V族原料としてアンモニアNH3、III族原料としてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMIn)、p型不純物としてビスシクロペンタデイエニルマグネシウム(Cp2Mg)、n型不純物としてモノシラン(SiH4)を用い、キャリヤガスとしてH2またはN2を用いる。
【0061】
図8の(1)から(4)に作製工程模式図を示す。1回目の結晶成長を行うため、SiC基板1をMOCVD装置のサセプタ上に導入し、基板温度1200℃程度まで昇温し、窒素又は水素雰囲気にさらす。次に、SiC基板1の基板温度を1050℃程度まで昇温しn型GaN層3を0.5〜4μm程度成長し、次に、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層4を0.1〜0.3μm程度成長する。基板温度を800〜850℃程度に降温しノンドープIn0.15Ga0.85N活性層5を30〜800Å成長する。次に、基板温度を1050℃程度まで昇温MgドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層6を0.1〜0.3μm程度成長し、MgドープGaNコンタクト層7を0.5〜1μm程度成長する(図8−(1))。
【0062】
一旦、ウェハを成長室から取り出し、N2雰囲気、800℃にて熱処理を行いMgドープ層をp型層に変化させる。
【0063】
次に、p+型GaNコンタクト層7の上にレジストマスク100を形成し、通常のフォトリソグラフィを用いてp+型GaNコンタクト層7上のレジストマスク100に例えば円形状の溝を開ける(図8−(2))。
【0064】
ここで、レジストマスク100の形状は特に円形状の溝に限定する必要はない。
【0065】
このウェハをドライエッチング法によりp+型GaNコンタクト層7の所望の位置までエッチングし(12)、このエッチングによりp+型GaNコンタクト層7の所望の表面を高抵抗領域層10を形成することができる(図8−(3))。
【0066】
ここで、ドライエッチング後のp型層表面はCl,O混入やMg不純物の抜け等が発生しp型層表面の厚さ200〜300Åが高抵抗層になる。
【0067】
ここで、ドライエッチング法として、例えばRIE:反応性イオンエッチング、ECR−RIBE:電子サイクロトロン共鳴を利用した反応性イオンビームエッチング法を用いる。ガス種として例えばCl2,SiCl4,BCl3等又はこれらにAr,H2等を添加したガスを用いる。
【0068】
次に、p型コンタクト層7上のマスク100を有機溶剤にて除去する。
次に、p型GaNコンタクト層7表面全面に直接p型用電極8例えばNi及びAu、ボンディング用電極14例えばAuを形成、SiC基板1にn型用電極9を形成する(図8−(4))。
【0069】
ここで、図4及び図8中の表面領域10と11について説明する。p型GaNコンタクト層7において、ガス種例えばCl2にさらされている部分の表面10は高抵抗層となり、ガスにさらされていないマスク部分下の表面11は本来のp+型GaNコンタクト層7の性質を有し低抵抗のままである。このため、p型用電極8と表面10は非オーミック性を示し、表面11とはオーミック性をしめすことを図9に示している。
【0070】
このことより従来のように絶縁体膜を用いることなく電流阻止構造を持つ半導体発光素子が容易に作製できる。
【0071】
この結果、ボンディング電極14部分からの電流注入が阻止でき、外部発光効率に優れ、作製が容易な電流阻止型窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を提供することができる。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、外部発光効率に優れ、作製が容易な電流阻止型窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を提供することができる。
図の説明
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に密接に関連する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの一例の断面模式図である。
【図2】 本発明に密接に関連する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの他の例の断面模式図である。
【図3】 本発明の実施例1による窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面模式図である。
【図4】 本発明の実施例2による窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面模式図である。
【図5】 図1の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの作製模式図である。
【図6】 図2の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの作製模式図である。
【図7】 実施例1を説明するための窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の作製模式図である。
【図8】 実施例2を説明するための窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の作製模式図である。
【図9】 p型GaNと電極の電流と電圧特性図である。
【図10】 従来のGaN系化合物半導体レーザの断面模式図である。
【符号の説明】
1 Sapphire基板又はSiC基板
2 AlGaNバッファ層
3 n型GaN層
4 n型AlGaNクラッド層
5 ノンドープInGaN活性層
6 p型AlGaNクラッド層
7 p+型GaNコンタクト層
8 p型用電極
9 n型用電極
10 高抵抗領域層(エッチングにさらされている部分)
11 低抵抗領域層(エッチングにさらされていない部分)
12 リッジ加工またはエッチングにより高抵抗領域層形成
13 n型GaN層までエッチングする工程
14 ボンディング電極
100 レジストマスク
300 n型In0.05Ga0.95N層
400 n型GaN層
500 InGaNMQW活性層
600 p型Al0.2Ga0.8N層
700 p型GaN層
800 絶縁体膜
Claims (5)
- 基板上に、少なくともn型窒化ガリウム系化合物半導体層とp型窒化ガリウム系化合物半導体層とが順次積層された窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオードであって、
前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面の一部領域において凹部が形成されており、
前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面の実質的に全領域を覆って電極膜が形成されており、
前記電極膜と前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層との接合において、前記凹部内領域ではその凹部がドライエッチングで形成されたことに起因して他の領域に比べて接触抵抗が高められており、
前記凹部内において前記電極膜上にボンディング電極が形成されていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオード。 - 前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の前記凹部領域内の表面層においては、他の領域に比べてp型不純物濃度が低いことを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオード。
- 前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の前記凹部の表面層は塩素を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオード。
- 請求項1から3のいずれかの発光ダイオードを製造する方法であって、
前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面にドライエッチングによって前記凹部を形成し、
前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上面の実質的に全領域を覆うように前記電極膜を形成し、
前記凹部の領域内において前記電極膜上にボンディング電極を形成する工程を含むことを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオードの製造方法。 - 前記ドライエッチングは塩素を含むガスを利用して行われることを特徴とする請求項4に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光ダイオードの製造方法。
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