JP2006313890A - 窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マグネシウムの活性化率が改善された窒化ガリウム系半導体素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】MOCVDにより窒素よも水素が多いキャリアガス雰囲気でマグネシウムがドープされた第一窒化ガリウム系半導体膜を成長し、その後3族原料ガスの供給を一旦停止し、水素よりも窒素が多いキャリアガス雰囲気でマグネシウムがドープされた第二窒化ガリウム系半導体を成長することにより、前記第一窒化ガリウム系半導体膜においては、マグネシウム濃度分布及び水素原子濃度分布は実質的に平坦であり、かつマグネシウム濃度が水素原子濃度より高く、前記第二窒化ガリウム系半導体膜においては、表面に向かってマグネシウム濃度及び水素原子濃度が増大する第1の領域が設けられ、前記第1の領域におけるマグネシウム濃度は水素原子濃度より高いと共に、前記第一窒化ガリウム系半導体膜におけるマグネシウム濃度よりも高い構造とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法に関し、特に、p型不純物の活性化率が改善された窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法に関する。
窒化ガリウム系材料は、広いバンドギャップと、高い飽和電子速度とを有している。このため、青色発光デバイスのみならず、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)やヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor:HBT)のような高速電子デバイスとしても有望な材料である。
発光デバイスや電子デバイスを実現するには、p型及びn型導電層を制御性良く形成することが重要である。窒化ガリウム系半導体材料においては、シリコン(Si)をn型不純物とすることにより、n型導電層の形成が可能である。一方、p型不純物としてマグネシウム(Mg)や亜鉛(Zn)が選ばれるが、これらは不純物準位が深いために、活性化率が低い。加えて、窒化ガリウム系の結晶成長に用いられる有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法による結晶成長においては、キャリアガスに用いる水素などが分解して生じる水素原子が、マグネシウムと結合したMg−Hを形成し、マグネシウムを不活性化する。
マグネシウムの活性化率を高める方法として、電子線照射(非特許文献1)や熱処理(非特許文献2)などを用いた後処理を行う技術が開示されている。このような結晶成長後に後処理を行う方法は、高価な製造装置を必要とすることや、工程数が増えることによる生産性の低下を招くという欠点がある。
また、マグネシウムの活性化率を高める他の方法として、成長中のキャリアガスとして不活性ガスを用いる方法が開示されている(特許文献1)。しかし、キャリアガスとして不活性ガスを用いた上記方法においては、素子特性や信頼性が不十分であった。
H.Amano, et al.Jpn.J.Phys.28(1989)L2112 S.Nakamura, et al.Jpn.J.Appl.Phys.31(1992)1258 特開平8−325094号公報
本発明は、p型不純物の活性化率が改善された窒化ガリウム系半導体素子およびその製造方法を提供するものである。
本発明の一態様によれば、マグネシウムがドープされた第一窒化ガリウム系半導体膜と、前記第一窒化ガリウム系半導体膜の上に設けられ、マグネシウムがドープされた第二窒化ガリウム系半導体と、を備え、前記第一窒化ガリウム系半導体膜においては、マグネシウム濃度分布及び水素原子濃度分布は実質的に平坦であり、かつマグネシウム濃度が水素原子濃度より高く、前記第二窒化ガリウム系半導体膜においては、表面に向かってマグネシウム濃度及び水素原子濃度が増大する第1の領域が設けられ、前記第1の領域におけるマグネシウム濃度は水素原子濃度より高いと共に、前記第一窒化ガリウム系半導体膜におけるマグネシウム濃度よりも高いことを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、マグネシウムがドープされた第一窒化ガリウム系半導体膜と、前記第一窒化ガリウム系半導体膜の上に設けられ、マグネシウムがドープされた第二窒化ガリウム系半導体膜と、を備え、前記第一窒化ガリウム系半導体膜においては、マグネシウム濃度分布及び水素原子濃度分布は実質的に平坦であり、かつマグネシウム濃度が水素原子濃度より高く、前記第二窒化ガリウム系半導体膜においては、表面に向かってマグネシウム濃度が減少し水素原子濃度が増大する領域が設けられ、前記領域におけるマグネシウム濃度は水素原子濃度より高いと共に、前記第一窒化ガリウム系半導体膜におけるマグネシウム濃度よりも高いことを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、有機金属気相成長法を用い、窒素よりも水素が多いキャリアガス雰囲気において、マグネシウムをドーピングした第一窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程と、前記第一窒化ガリウム系半導体膜の成長後に、III族原料ガスの供給を一旦中断する工程と、有機金属気相成長法を用いて、水素よりも窒素が多いキャリアガス雰囲気において、マグネシウムをドーピングした第二窒化ガリウム系半導体膜を前記第一窒化ガリウム系半導体膜の上に成長する工程と、を備えたことを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子の製造方法が提供される。
本発明によれば、後処理工程を行うことなく、p型不純物であるマグネシウムの活性化率が改善された窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法が提供される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態にかかる窒化ガリウム系半導体素子におけるマグネシウム濃度分布及び水素原子濃度分布を模式的に表すグラフ図である。
また、図2は、第一の実施の形態にかかる窒化ガリウム系半導体素子の要部を表す模式断面図である。
なお、本願明細書において、「窒化ガリウム系半導体」とは、InGaAl1−x−yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させたすべての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むものや、導電型などを制御するために添加される各種のドーパントのいずれかをさらに含むものも、「窒化ガリウム系半導体」に含まれるものとする。
図2に表したように、本実施形態の窒化ガリウム系半導体素子は、GaN基板10上に、p型不純物であるマグネシウムがドープされた第一窒化ガリウム系半導体膜12、同じくp型不純物であるマグネシウムがドープされた第二窒化ガリウム系半導体膜14が、この順序に積層された構造を有する。さらに、p側電極16が、第二窒化ガリウム系半導体膜14の上に設けられている。第二窒化ガリウム系半導体膜14の表面を原点として、表面からの距離が座標xで表わされる。すなわち、表面であるx=0からx=T1までが第二窒化ガリウム系半導体膜14である。また、x=T1からx=T2までが第一窒化ガリウム系半導体膜12である。
図1において、横軸は座標xに対応する。また、縦軸は、p型不純物であるマグネシウム濃度(/cm)及び水素原子濃度(/cm)を表わす。マグネシウム濃度(Mg)は実線で、水素原子(H)濃度は一点鎖線で表わされている。0≦x≦T1の領域は第二窒化ガリウム系半導体膜14で構成され、T1≦x≦T2の領域は第一窒化ガリウム系半導体膜12で構成される。マグネシウム濃度及び水素原子濃度設計値については、後述する。
ここで、この積層体の成長方法を具体的に説明する。この積層体は、例えば、MOCVD法を用いた結晶成長プロセスにより形成される。このMOCVD法においては、III族原料としてTMG(トリメチルガリウム)、V族原料としてアンモニア、マグネシウムをドーピングするための不純物原料としてCpMg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)、が用いられる。また、これら原料を基板に導入するためのキャリアガスとして、水素及び窒素が用いられる。
図3は、本実施形態の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法の要部を表すフローチャートである。
まず、GaN基板10の表面を有機溶剤などによりクリーニングした後、MOCVD装置の反応室に、ロードロック機構を介して導入する。そして、このGaN基板10を、キャリアガス及びアンモニアを供給した雰囲気中で、例えば、1100℃に加熱する。基板温度が1100℃に到達した後、成長原料であるTMG及び不純物原料であるCpMgを供給して、成長を開始する(ステップS102)。本実施の形態においては、第一窒化ガリウム系半導体膜12を厚みT2まで成長させた後、III族原料であるTMGの供給を一旦停止する(ステップS104)。
このあと、例えば、30秒間でキャリアガスを「水素リッチ」から「窒素リッチ」へ徐々に変更し(ステップS106)、この状態を10秒間保持することにより安定化を図る。さらに、III族原料であるTMG及びCpMgの供給を再開する(ステップS110)。その後、第二窒化ガリウム系半導体膜14を厚みT1まで成長させる(ステップS112)。第二窒化ガリウム系半導体膜14を成長後、原料ガスであるTMGとCpMgの供給を停止し、窒素及びアンモニア雰囲気下で降温を行う。基板温度が350℃になったら、さらにアンモニアの供給を停止する。
次に、第一窒化ガリウム系半導体膜12の成長におけるガス流量条件の一例を示す。全流量は30slmとし、このうちにアンモニア9.5slmと、キャリアガスとして水素15.5slm/窒素5.0slmとすることができる。このキャリアガスは、水素流量が窒素流量より多いので「水素リッチガス」と称する。ここで、「slm」はガス流量の単位であり、0℃、101,325パスカル(P)における流量を litter/minで表わすものである。
また、第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長におけるガス流量条件の一例を示す。全流量45slmのうちに、アンモニア4slm、キャリアガスとして、水素0.3slm/窒素40.7slmとすることができる。このキャリアガスは、窒素流量が水素流量より多いので、「窒素リッチガス」と称する。
なお、いずれの場合においても、III族原料であるTMG及び不純物原料であるCpMgを供給するキャリアガスには、水素が用いられる。これは、水素中においては、これら原料の分解や結晶中への取り込みが促進されるが、窒素中においては、これら原料の分解が進まずまたキャリアガス中への拡散が進まず、表面モホロジに「荒れ」を生じるという実験結果にもとづいている。III族原料、V族原料及び不純物原料のキャリアガスとして用いる水素の範囲は、全流量の0.5〜20%が望ましく、窒素リッチ条件をも考慮すると、0.5〜0.8%とすることが特に望ましい。
さらに、第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長時のガス流量条件において、アンモニア流量を4slmとしている。アンモニアの流量が小さいほうが、アンモニアの分解により生成される水素の影響を少なくできる。しかし、アンモニア流量が少なすぎると、結晶成長に悪影響を与えるために、アンモニア流量は、全流量の5〜10%が好ましい。
アンモニアが全流量の5〜10%であることを考慮すると、第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長時における窒素ガスの全流量に占める割合は、70〜94.5%であることが好ましく、水素ガスの全流量に占める割合は、上に述べたように、0.5〜20%であるあることが好ましい。
次に、図1に表したマグネシウム濃度および水素原子濃度分布グラフ図について、より詳細に説明する。本実施形態において、例えば、第一窒化ガリウム系半導体膜12のマグネシウム濃度は、3×1019cm−3に設定され(領域A)、第二窒化ガリウム系半導体膜14のマグネシウム濃度は、これより高く、定常領域(領域C)において1×1020cm−3に設定される。領域Aにおけるマグネシウム濃度分布は、実質的に平坦である。実質的に平坦な濃度分布は、結晶成長に起因するプラスマイナス10%以内の変動を含むものとする。
本具体例における特徴は、第二窒化ガリウム系半導体膜14において、第一窒化ガリウム系半導体膜12(領域A)に接する領域Bのマグネシウム濃度を、定常領域における設定値よりも高くできることである。すなわち、第一窒化ガリウム系半導体膜12の形成のあと、図3に例示したように、キャリアガス切り替え(S106)およびガス安定化(S108)を行う。このあと、III族原料およびCpMgの供給を再開(S110)する。このようにすると、マグネシウム濃度が急激に増加するR≦x≦T1なる領域を生じる。x=Rにおいて、マグネシウム濃度は2×1020cm−3の最大値にまで高くなり、その後表面に向かうに従って減少し、0≦x≦Qなる定常領域Cにおいて平衡状態となり設計値1×1020cm−3とされる。R≦x≦T1なる領域は、第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長中にマグネシウムの拡散により形成されることも考えられる。また、成長中断中に成長フロントに堆積したマグネシウムが、次の第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長の開始とともに結晶内部に取り込まれることも考えられる。
一方、水素原子濃度は、Q≦x≦T1なる領域Bにおいて、表面に向かって増大する。但し、マグネシウム濃度変化に伴う水素原子の取り込まれ量変化のために、Q≦x≦RとR≦x≦T1では、濃度傾きは異なる。さらに、窒素リッチである成長領域B及びCにおいて、水素原子濃度をマグネシウム濃度より低減できるのみならず、水素リッチで形成した成長領域Aにおいても、水素原子濃度をマグネシウム濃度よりも低減できている。水素原子濃度分布は、領域Aにおいて実質的に平坦である。実質的に平坦な濃度分布は、結晶成長の制御性に起因するプラスマイナス10%以内の変動を含むものとする。このような窒化ガリウム系積層体は、光デバイスや電子デバイスの構造上、極めて有効である。すなわち、第二窒化ガリウム系半導体膜14の上には、p側電極16が形成されるので、実効アクセプタ濃度(つまり、ホール濃度)は高いほうが望ましい。マグネシウム濃度をより高く、かつ活性化率を下げる水素原子濃度をより低減できる本構造においては、より高い実効アクセプタ濃度が可能となる。
図4は、二次イオン質量分析器(SIMS)によるマグネシウム(Mg)及び水素原子(H)濃度のx(nm)分布実測値である。なお、この例では、T1=100nm、T2=2.1μmとした。マグネシウム濃度は、x≦50において、ほぼ1×1020cm−3、50≦x≦T1内において、ほぼ2×1020cm−3のピーク値まで上昇し、100≦xにおいて、ほぼ3×1019cm−3であり、図1に表した分布とよく一致している。同様に、水素原子濃度も、x≦50において、ほぼ5×1019cm−3、100≦xにおいて、2×1019cm−3であり、図1に関して前述した分布とよく一致している。
SIMSによる測定においては、測定サンプルの表面付近で吸着の影響があり、測定に誤差を生じることが多いので、図4においては、表面付近のデータを省略した。また、図4に表したデータの場合、SIMSによる測定に際して、高濃度側(すなわち、表面側)からの分析したために、サンプルに含有されるマグネシウム(Mg)や水素(H)が1次イオンビームによってサンプル中に埋め込まれる「ノックオン効果」が生じたことが考えられる。このために、水素リッチキャリア成長による領域Aから、窒素リッチキャリア成長による領域Bに亘る界面において、マグネシウム(Mg)及び水素原子(H)濃度は実際の分布よりもなだらかに変化しているように見える。つまり、マグネシウム(Mg)や水素原子(H)の濃度は、図4に表した測定結果よりも急峻に変化していると考えられる。
次に、本具体例と、本発明者が検討した比較例との差異を説明する。
比較例においては、第一窒化ガリウム系半導体膜12を本具体例と同一の水素リッチ成長条件により2.0マイクロメータの厚みだけ形成した。この場合、本具体例と同様に、III族原料の供給を一旦停止する成長中断を行い、同一条件で比較できるようにした。このあと、再び水素リッチ成長条件により100ナノメータの厚みの第二窒化ガリウム系半導体膜14を形成した。
図5は、比較例におけるマグネシウム濃度分布(実線で示す)及び水素原子(H)濃度分布(一点鎖線で示す)を表わすグラフ図である。ここで、T1=100nm、T2=2.1μmである。
第一窒化ガリウム系半導体膜12(領域A)の水素原子(H)濃度は、比較例において4×1019cm−3であった(SIMSによる実測値)のに対して、第一実施形態においては、2×1019cm−3と半減できている。これは、本具体例の場合、成長直後は4×1019cm−3であった水素原子濃度が、第二窒化ガリウム系半導体膜14を成長する際に雰囲気ガスが窒素リッチに切り替わったために、膜14内で平衡状態にあった水素原子が結晶外部に排出されて2×1019cm−3まで減少したと説明できる。
また、第二窒化ガリウム系半導体膜14(領域D)の水素原子(H)濃度は、比較例において、100ナノメータの深さまで、1×1020cm−3であった(SIMSによる実測値)。一方、本実施の形態においては、第二窒化ガリウム系半導体膜14中の水素原子濃度は、領域Aに接するQ≦x≦T1なる領域B内において、2×1019cm−3から5×1019cm−3まで、表面に向かって増加しており、0≦x≦Qなる領域Cにおいては、ほぼ5×1019cm−3なる一定値となっており、いずれも比較例よりも低くできている。
このように、比較例においては、第一窒化ガリウム系半導体膜12(領域A)において、水素原子濃度がマグネシウム濃度より高く、第二窒化ガリウム系半導体膜14において、マグネシウム濃度と水素原子濃度がほぼ同一である。この結果、水素原子と結合するマグネシウムが増加するので、不活性化率が高くなる。電気的特性評価を行ったところ、比較例の膜は高抵抗であり、熱処理なしではデバイス動作は困難であった。
次に、本実施の形態における領域B内のマグネシウム及び水素原子濃度分布の変化の原因について、より詳細に説明する。本具体例の窒化ガリウム系半導体膜の成長には、MOCVD装置が用いられる。
図6〜図8は、MOCVD装置内反応室の反応炉壁におけるCpMg及びその分解生成物の吸着、脱離を表す模式図である。図6における石英管20の左側から、キャリアガス、III族原料ガス、不純物原料ガスが導入される。GaN基板10は、加熱されたサセプタ26上に配置されている。
窒化ガリウム系材料においては、p型不純物であるマグネシウムの活性化率は一般に低い。したがって、所定の実効アクセプタ濃度(すなわちホール濃度)を得るためには、多量のマグネシウムを供給する必要がある。この場合、水素リッチなキャリアガス雰囲気で成長すると、MOCVD装置の反応炉壁22などには、ガス供給の停止後にも多量のCpMgやその分解生成物が吸着された状態で残留している。これら残留物が、次の結晶成長工程において、成長膜に入り込む。この現象は、窒化ガリウム系半導体成長に用いられるMOCVD装置には共通であって、「マグネシウムメモリー効果」などと呼ばれる(J. Crystal Growth, Vol. 93 (1988) p624)。
本実施形態においても、水素リッチなキャリアガス雰囲気での第一窒化ガリウム系半導体膜12の成長中にはこの現象が生じており、図6に表したように、p型の窒化ガリウム系半導体を成長させる際には、CpMgおよびその分解生成物28が、反応炉壁22に吸着している。これに対して、本発明者の検討結果によれば、窒素リッチなキャリアガス雰囲気での第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長においては、図8に表したように、反応炉壁22に吸着されるCpMg及びその分解生成物28の量は減少することが分かった。
つまり、水素リッチなキャリアガス雰囲気から窒素リッチなキャリアガス雰囲気に切り替えると、反応炉壁22への吸着量より脱離量のほうが多くなり、結晶中に取り込まれるマグネシウム量が増加する過渡期が生ずる(図7)。反応炉壁22からの脱離量が多いと、それだけ多量にマグネシウムをドープできる。しかもこの時、マグネシウムのキャリアガスとしての水素量を増加させる必要はない。従って、ドープされたマグネシウムの活性化率を上げることができる。また、このように反応炉壁22から脱離した多量のマグネシウムを結晶中に取り込む際に、水素の取り込みが低下するものと推測される。
このようにして、図1に表した領域B(Q≦x≦T1)におけるマグネシウム濃度と水素原子濃度の過渡的な変化が生ずると考えられる。
なお、領域Bにおけるマグネシウムおよび水素原子濃度は、CpMg供給量、キャリアガスの種類、反応炉壁22の材質や構造などによって制御できる。本発明者の検討によれば、CpMgの吸着効果はステンレス(SUS)よりも石英において顕著である。従って、MOCVDの反応室を石英と他材料とを組み合わせて形成する場合には、石英部品の形状及び面積などを適宜調整することにより、吸着量を制御できる。
なお、キャリアガスの切り替えに伴う成長中断を行わないと、急峻な界面が得られない。一方、成長中断が長すぎると、反応炉壁から脱離したマグネシウムの殆どが反応炉外に排出されてしまうために、結晶中に取り込まれてマグネシウムがより高濃度となる領域が得られにくい。
本発明者の実験によれば、本具体例においては、電子線照射や熱処理などの後処理を行うことなく、第二窒化ガリウム系半導体膜14の抵抗率を約2Ω・cmとできた。これは、素子を構成するためのp型導電型としての要求を満たしている。
また、C−V法による実効アクセプタ濃度の測定を行ったところ、領域Cにおいて、3×1018cm−3、領域Aとの界面に近い領域Bにおいて、1×1019cm−3であった。これら抵抗率および実効アクセプタ濃度の測定値は、水素(H)の取り込まれる量を制御し、マグネシウムの活性化率を改善できていることを実証している。
図9は、本実施形態の変型例にかかる窒化ガリウム系半導体素子における濃度分布を例示するグラフ図である。
また、図10は、本変型例の窒化ガリウム系半導体素子の要部断面を表す模式図である。
すなわち、本変型例においては、図1及び図2に関して前述した第二窒化ガリウム系半導体膜14において、領域Cが除去され領域Bが上層に配置された構造を有する。
これは例えば、図1乃至図8に関して前述した方法により窒化ガリウム系半導体素子を形成した後に、第二窒化ガリウム系半導体膜14をエッチングして、領域Cを取り除くことにより形成できる。このようにして、アクセプタ濃度が高い領域Bの上にp側電極16を形成すると、接触抵抗を確実に下げることができる。また、本変型例において、領域Bの一部をさらにエッチングし、マグネシウム濃度がさらに高い領域を表面に露出させてもよい。このようにすれば、p側電極16との接触抵抗をさらに効果的に下げることができる。
次に、本発明の第二の実施の形態にかかる半導体発光素子につき説明する。
図11は、本発明の第二の実施の形態にかかる窒化ガリウム系半導体発光素子の模式断面図である。
n−GaN基板10の上に、n−GaN下地層32(膜厚約2マイクロメータ)、InGaN系MQW(Multiple Quantum Well)活性層30(膜厚約0.045マイクロメータ)、p−AlGaNクラッド層となる第一窒化ガリウム系半導体膜12(膜厚0.5マイクロメータ)、p−GaNコンタクト層となる第二窒化ガリウム系半導体膜14(膜厚0.03マイクロメータ)が、この順序に積層されている。p側電極16は、活性層30からの光が透過可能な薄膜金属(導電性光透過金属)であることが好ましい。n側電極34は、n−GaN基板10の裏面に形成されている。活性層としては、InGaN井戸層(3nm)の5層と、InGaN障壁層(5nm)の6層と、を交互に積層したMQW構造とすることができる。InGaN系MQW活性層30に注入された電流により、破線で示される発光領域33において、発光波長380〜540nmの放射光が得られる(放射光V)。
成長原料として、アンモニア、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルインジウム)、p型不純物原料としてCpMg、n型不純物原料としてSiH、キャリアガスとして、水素及び窒素を適宜用いたMOCVD法により、結晶成長が行われる。本第2具体例において、p−AlGaNクラッド層となる第一窒化ガリウム系半導体膜12が、水素リッチキャリアガス雰囲気において成長が行われ、その後窒素リッチキャリアガス雰囲気に切り替えて、p−GaNコンタクト層となる第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長が行われることである。すなわち、図11において、T1=0.03μm、T2=0.53μmとされる。
このような積層体においては、コンタクト層となる第二窒化ガリウム系半導体膜14を窒素リッチキャリアガス雰囲気で成長する工程中において、クラッド層となる第一窒化ガリウム系半導体膜12中の水素原子が外部に排出されるので、クラッド層中のマグネシウムを後処理なしで活性化できる。また、コンタクト層となる第二窒化ガリウム系半導体膜14は、窒素リッチキャリアガス雰囲気で成長が行われるために、水素原子の取り込みが抑制されてマグネシウムの活性化率が高まり、後処理なしで低抵抗のp型が得られる。
また、マグネシウムのメモリー効果により、水素リッチキャリアガス雰囲気で反応炉壁に吸着していたCpMg及びその分解生成物が、窒素リッチキャリアガス雰囲気で脱離する。この脱離により、第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長初期のマグネシウム濃度は、平衡状態より高められる。脱離マグネシウムがドープされる時、水素の取り込み量は少ないので、図1に例示したように、水素原子濃度は平衡状態より減少する。
このように、マグネシウムがより高い濃度でドープされ、しかも水素はより低い濃度となる結果、実効アクセプタ濃度を上げることが可能となる。p側電極16をこの領域(すなわち、図1におけるB領域)内に形成すれば、コンタクト抵抗を大幅に減少することが可能となる。実効アクセプタ濃度の高いB領域をp側電極と接触させるには、実質的にB領域が表面となるように、第二窒化ガリウム系半導体膜14を薄く成長するか、図9及び図10に関して前述したように、成長後にエッチングして領域Cを除去するかのいずれかの方法を採ればよい。発明者の試作結果によれば、半導体発光素子の駆動電流が20mAのとき、動作電圧を約0.2V改善できた。
次に、本発明の第三の実施の形態にかかる半導体レーザ素子につき説明する。
図12は、本発明の第三の実施の形態にかかる窒化ガリウム系半導体レーザ素子の模式断面図である。
n−GaN基板10の上に、n−GaN下地層50(膜厚2.0マイクロメータ)、n−AlGaNクラッド層49(膜厚0.5マイクロメータ)、GaNガイド層48(膜厚0.1マイクロメータ)、InGaN系MQW活性層46(膜厚0.049マイクロメータ)、GaNガイド層44(膜厚0.1マイクロメータ)、p−AlGaNオーバーフロー防止層42(膜厚0.01マイクロメータ)、p−GaN/AlGaN超格子クラッド層となる第一窒化ガリウム系半導体膜12(膜厚0.5マイクロメータ)、p−GaNコンタクト層となる第二室化ガリウム系半導体膜14(膜厚0.03マイクロメータ)が、この順序で積層されている。p側電極16は、p−GaNコンタクト層と接続されており、n側電極34はn−GaN基板10の裏面と接続されている。活性層46は、InGaN井戸層(3nm)の3層と、InGaN障壁層(10nm)の4層と、を交互に積層したMQW構造により構成される。
p−GaN/AlGaN超格子クラッド層となる第一窒化ガリウム系半導体膜12とp−GaNコンタクト層となる第二窒化ガリウム系半導体膜14は、ストライプ状のリッジ型導波路にパターニング加工される。その後、リッジ側面17およびリッジ脇部18にはシリコン酸化膜などからなる絶縁膜40が被着される。InGaN系MQW活性層46に注入された電流により、発光波長380〜450nmのレーザ光が紙面に垂直な方向に放射される。この場合、n−AlGaNクラッド層49及びp−GaN/AlGaN超格子クラッド層により、光がx方向に閉じ込められる。一方、ストライプ方向に沿って、絶縁膜40が被着したリッジ導波路により、光が閉じ込められる。この結果、レーザ光は、破線で示される発光領域47から放射される。
成長原料として、アンモニア、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルインジウム)、p型不純物原料としてCpMg,n型不純物原料としてSiH、キャリアガスとして、水素及び窒素を適宜用いたMOCVD法により、結晶成長が行われる。本第3具体例において、p−GaN/AlGaN超格子クラッド層となる第一窒化ガリウム系半導体膜12は、水素リッチキャリアガス雰囲気において成長が行われ、その後窒素リッチキャリアガス雰囲気に切り替えて、p−GaNコンタクト層となる第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長が行われることである。すなわち、図12において、T1=0.03μm、T2=0.53μmとされる。
このような積層体においては、第二窒化ガリウム系半導体膜14を窒素リッチキャリアガス雰囲気で成長する工程中において、第一窒化ガリウム系半導体膜12中の水素が外部に排出されるので、マグネシウムが後処理なしに活性化される。また、第二窒化ガリウム系半導体膜14は、窒素リッチキャリアガス雰囲気で成長が行われるために、水素原子の取り込みが抑制されて、マグネシウムの活性化率が高まり、後処理なしでp型が形成できる。
さらに、マグネシウムのメモリー効果により、水素リッチキャリアガス雰囲気で、反応炉壁に吸着していたCpMg及びその分解生成物が、窒素リッチキャリアガス雰囲気で脱離する。これら脱離したCpMg及びその分解生成物が結晶中に取り込まれることにより、第二窒化ガリウム系半導体膜14の成長初期のマグネシウム濃度は、平衡状態より高められる。脱離マグネシウムがドープされる時、水素の取り込み量が低下するので、図1に例示したように、水素原子濃度は平衡状態より減少する。このように、マグネシウムのより高い濃度と、水素のより低い濃度とが得られる結果、実効アクセプタ濃度を上げることが可能となる。p側電極16をこの領域(図1におけるB領域)内に形成すれば、コンタクト抵抗を大幅に下げることが可能となる。
本発明者の試作結果によれば、発光波長が410nmで連続発振し、駆動電流100mAにおける動作電圧が5.0Vであり、閾電流密度が3kA/cmとなる良好な特性を有する半導体レーザ素子が得られた。特に、実効アクセプタ濃度を高めたコンタクト層14の形成の結果、動作電圧が約0.5V低減できた。
次に、本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタにつき説明する。
図13〜図17は、このヘテロバイポーラトランジスタの工程断面図である。
まず、図13に例示したように、n−GaN基板10の上に、n−GaNコレクタ層70(ドナー濃度約5×1016cm−3、厚み約0.7マイクロメータ)、p−GaNベース層72(ホール濃度約5×1017cm−3、厚み0.15マイクロメータ)、n−Al0.1Ga0.9Nエミッタ層74(ドナー濃度5×1018cm−3、厚み約0.5マイクロメータ)がこの順序で、例えばMOCVD法により成長される。この場合、キャリアガスは水素リッチとし、ドナーはシリコン、アクセプタはマグネシウムとすることができる。
図14は、パターニングされた絶縁膜76をマスクとして、エミッタ層74が、RIE(Reactive Ion Etching)などによりエッチングされた断面を表す模式図である。エミッタ長Lは20〜50マイクロメータ、エミッタ幅W1は約2マイクロメータとすることができる。エミッタ幅W1を大きくすると、電流は周辺部に集中し、エミッタ中央部に電流が流れにくくなる「電流集中効果」を生じる。この結果、接合容量が増えて、電流利得が低下するので、エミッタ幅W1は1〜3マイクロメータが好ましい。
このあと、エミッタ74上に窒化シリコンのような絶縁膜78を被着し、パターニングを行う。さらに、再度、MOCVD法により、第一の窒化ガリウム系半導体膜12(膜厚0.2マイクロメータ)及び第二の窒化ガリウム系半導体膜14(膜厚0.03マイクロメータ)を、p−GaNベース層72の上に選択的に成長する(図15)。この場合、第一の実施の形態と同様に、第一窒化ガリウム系半導体膜12は、水素リッチなキャリア雰囲気で成長する。このあと、一旦、III族原料ガスおよびCpMgガスの供給を中断し、雰囲気ガスを窒素リッチに切り替えてから、再度、原料ガス及びCpMgガスを供給する。
第二窒化ガリウム系半導体膜14のマグネシウム濃度は、メモリー効果により、第一の実施の形態と同様、定常状態より高くできる(領域B)。また、水素原子濃度は、定常状態より低くできる。この結果、ホール濃度を高くできる。一般に、ベースキャリア濃度は1×1018cm−3以下であるので、ベース電極とオーミック接合を形成するには、より高濃度のコンタクト層が必要である。第二窒化ガリウム系半導体膜14の実効アクセプタ濃度はC−V法測定において、1×1019cm−3が得られているので、領域Bを低抵抗のコンタクト層とすることができる。
続いて、図16に表したように、絶縁膜(図示せず)またはレジスト(図示せず)をマスクに第二窒化ガリウム系半導体膜14、第一窒化ガリウム系半導体膜12、及びp型ベース層12をパターニングし、全体を絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)80で覆う。
その後、エミッタ電極84及びベース電極82を形成するため、絶縁膜80は、ベース層12の上部において、エッチング除去される。
図17は、エミッタ電極84、ベース電極82、コレクタ電極(下面)86を形成後の断面を表す模式図である。
これら電極は、リフトオフ工程などにより形成することができる。この場合、第二窒化ガリウム系半導体膜14を薄く形成するか、図9及び図10に関して前述したように膜成長後表面を少しエッチングすることにより、高濃度の領域Bとベース電極82とを接触させて抵抗を低減することが好ましい。
図18は、エミッタ及びベース電極の配置を例示する模式平面図である。
エミッタ電極84は、長さLのエミッタを覆うフィンガー部92とボンディングパッド部90とで構成される。ボンディングパッド部90の直下には、絶縁膜80が設けられている。また、ベース電極82は、フィンガー部94とボンディングパッド部96とで構成される。この場合も、ボンディングパッド部96の直下には絶縁膜80が設けられている。なお、フィンガー部とボンディングパッド部が「段切れ」を起こさないように、絶縁膜80の厚さ及び電極厚みを適正に選ぶことが可能である。エミッタ電極84及びコレクタ電極86としては、例えば、Ti/Al/Pt/Aiを用いることができる。また、ベース電極82としては、例えばNi/Auを用いることができる。
図19は、このヘテロバイポーラトランジスタの静特性を例示するグラフ図である。
電流増幅率(β=I/I)は、コレクタ−エミッタ間電圧VCEが15Vのとき、約4.8であった。バイポーラトランジスタのコモンエミッタ電力利得Gは、G=f/(8πf)である。ただし、fはトランジション周波数、fは動作周波数、rはベース抵抗、Cはコレクタ容量である。ベース抵抗rが小さいほど利得Gは高くできる。従って、ベースコンタクト抵抗は可能な限り低減することが好ましい。従来は、マグネシウム濃度及び活性化率が低く、ベース抵抗rの低減には限界があった。本具体例においては、窒素リッチキャリア雰囲気において、第二窒化ガリウム系半導体膜14の結晶成長を行うことにより、ベースコンタクト抵抗の低減を可能とする実効アクセプタ濃度が得られた。
なお、上記具体例においては、GaN基板上に結晶成長する構造に関して説明した。しかし、これに限定されることはなく、例えば、サファイア、アルミナ(Al)、SiC、Si、GaAsなど、GaN系結晶成長が可能な基板であればよい。また、マグネシウムの濃度についても、上記具体例に限定されることはなく、個々の素子における適正値を選択できる。さらに、反応炉の部品材質においても、石英以外のSUS、カーボン、及びこれら表面にコーティングを施したものであっても良い。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態を説明した。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、半導体発光素子、半導体レーザ素子、ヘテロバイポーラトランジスタなど窒化ガリウム系半導体素子を構成する各要素の、サイズ、材質、配置関係などに関して、また、その製造方法に関して、当業者が各種の設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
本発明の第一の実施の形態にかかる窒化ガリウム系半導体素子のマグネシウム及び水素原子濃度分布設計値を表わすグラフ図である。 本発明の第一の実施の形態にかかる窒化ガリウム系半導体素子の要部を表す模式断面図である。 本実施形態の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法の要部を表すフローチャートである。 本発明の第一の実施の形態にかかる窒化ガリウム系半導体素子におけるマグネシウム及び水素原子濃度分布のSIMSによる実測値を表わすグラフ図である。 比較例にかかる窒化ガリウム系半導体素子のマグネシウム及び水素原子の濃度分布を説明するグラフ図である。 反応炉壁にCpMg及びその分解生成物が吸着されることを表す模式図である。 反応炉壁からCpMg及びその分解生成物が脱離することを表す模式図である。 反応炉壁において吸着と脱離が平衡となった状態を表す模式図である。 本発明の実施形態の変型例にかかる窒化ガリウム系半導体素子における濃度分布を例示するグラフ図である。 本変型例の窒化ガリウム系半導体素子の要部断面を表す模式図である。 本発明の第二の実施の形態にかかる半導体発光素子である窒化ガリウム系半導体素子の模式断面図である。 本発明の第三の実施の形態にかかる半導体レーザ素子である窒化ガリウム系半導体素子の模式断面図である。 本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタである窒化ガリウム系半導体素子の工程断面図である。 本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタである窒化ガリウム系半導体素子の工程断面図である。 本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタである窒化ガリウム系半導体素子の工程断面図である。 本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタである窒化ガリウム系半導体素子の工程断面図である。 本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタである窒化ガリウム系半導体素子の工程断面図である。 本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタである窒化ガリウム系半導体素子の電極配置を表わす模式平面図である。 本発明の第四の実施の形態にかかるヘテロバイポーラトランジスタの静特性を表わすグラフ図である。
符号の説明
10 GaN基板、12 第一窒化ガリウム系半導体膜、14 第二窒化ガリウム系半導体膜、16 p側電極、17 リッジ側面、18 リッジ脇部、20 石英管、22 反応炉壁、26 サセプタ、28 CpMgおよびその分解生成物、30 InGaN系MQW活性層、32 n−GaN下地層、33 発光領域、34 n側電極、40 絶縁膜、42 p−AlGaNオーバーフロー防止層、44 GaNガイド層、46 InGaN系MQW活性層、47 発光領域、48 GaNガイド層、49 n−AlGaNクラッド層、50 n−GaN下地層、70 n−GaNコレクタ層、72 p−GaNベース層、74 n−AlGaNエミッタ層、76 絶縁膜、78 絶縁膜、80 絶縁膜、82 ベース電極、84 エミッタ電極、86 コレクタ電極、90 エミッタ電極ボンディングパッド部、92 エミッタ電極フィンガー部、94 ベース電極フィンガー部、96 ベース電極ボンディングパッド部

Claims (6)

  1. マグネシウムがドープされた第一窒化ガリウム系半導体膜と、
    前記第一窒化ガリウム系半導体膜の上に設けられ、マグネシウムがドープされた第二窒化ガリウム系半導体と、
    を備え、
    前記第一窒化ガリウム系半導体膜においては、マグネシウム濃度分布及び水素原子濃度分布は実質的に平坦であり、かつマグネシウム濃度が水素原子濃度より高く、
    前記第二窒化ガリウム系半導体膜においては、表面に向かってマグネシウム濃度及び水素原子濃度が増大する第1の領域が設けられ、前記第1の領域におけるマグネシウム濃度は水素原子濃度より高いと共に、前記第一窒化ガリウム系半導体膜におけるマグネシウム濃度よりも高いことを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子。
  2. 前記第二窒化ガリウム系半導体膜において、表面に向かってマグネシウム濃度が減少し水素原子濃度が増大する第2の領域がさらに設けられ、前記第2の領域におけるマグネシウム濃度は水素原子濃度より高いと共に、前記第一窒化ガリウム系半導体膜におけるマグネシウム濃度よりも高いことを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系半導体素子。
  3. マグネシウムがドープされた第一窒化ガリウム系半導体膜と、
    前記第一窒化ガリウム系半導体膜の上に設けられ、マグネシウムがドープされた第二窒化ガリウム系半導体膜と、
    を備え、
    前記第一窒化ガリウム系半導体膜においては、マグネシウム濃度分布及び水素原子濃度分布は実質的に平坦であり、かつマグネシウム濃度が水素原子濃度より高く、
    前記第二窒化ガリウム系半導体膜においては、表面に向かってマグネシウム濃度が減少し水素原子濃度が増大する領域が設けられ、前記領域におけるマグネシウム濃度は水素原子濃度より高いと共に、前記第一窒化ガリウム系半導体膜におけるマグネシウム濃度よりも高いことを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子。
  4. 前記第一窒化ガリウム系半導体膜の下に設けられた発光層と、
    前記第二窒化ガリウム系半導体膜上に設けられたp側電極と、
    をさらに備え、
    前記p側電極を介して前記発光層に電流を流すことにより発光が生ずることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化ガリウム系半導体素子。
  5. 基板上に設けられたn型の第三窒化ガリウム系半導体膜からなるコレクタ層と、
    前記コレクタ層上の一部であって前記第一窒化ガリウム系半導体膜の下に設けられたp型の第四窒化ガリウム系半導体膜からなるベース層と、
    前記ベース層上の一部に設けられたn型の第五窒化ガリウム系半導体膜からなるエミッタ層と、
    前記第二窒化ガリウム系半導体膜の上に設けられたベース電極と、
    をさらに備え、
    前記コレクタ層、前記ベース層、及び前記エミッタ層は、ヘテロバイポーラトランジスタを構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化ガリウム系半導体素子。
  6. 有機金属気相成長法を用い、窒素よりも水素が多いキャリアガス雰囲気において、マグネシウムをドーピングした第一窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程と、
    前記第一窒化ガリウム系半導体膜の成長後に、III族原料ガスの供給を一旦中断する工程と、
    有機金属気相成長法を用いて、水素よりも窒素が多いキャリアガス雰囲気において、マグネシウムをドーピングした第二窒化ガリウム系半導体膜を前記第一窒化ガリウム系半導体膜の上に成長する工程と、
    を備えたことを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子の製造方法。

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