JP3912832B2 - ベルトイン・シートバックのフレーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型・軽量で、かつコスト安に製造できることを可能としたベルトイン・シートバックのフレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、自動車には、図5(A)に示すように、フロントシート1とリヤシート2とが配置されて、特にリヤシート2は、車室内からトランクルーム内の荷物を出し入れしたり、シートバック2Aの背面を水平なテーブルとして利用するために、シートクッション2Bを前方に起立させた後に、シートバック2Aを前倒させるようにしたものがある(特開平7−257256号参照)。
【0003】
また、図5(B)に示すように、シートバック2Aを、例えば、6対4に分割して、分割比率6のシートバック2A−1または分割比率4のシートバック2A−2を前倒させることにより、車室内の荷物スペースを拡大させるようにしたものもある。
【0004】
さらに、上記リヤシート2が3人掛けである場合、両側の着座者のショルダーベルト用リトラクターは車体のリヤピラー等に取り付けることができるが、図5(B)に示したように、中央の着座者のショルダーベルト3用のリトラクター4は、シートバック2A(上記分割シートでは分割比率6のシートバック2A−1)内に取り付ける必要がある(ベルトイン・シートバック)。なお、5は、シートバック2A−1に格納された前倒式のアームレストである。
【0005】
ところで、図4に示すように、上記のようなベルトイン・シートバック2A−1のフレーム6は、車幅方向に所定の間隔で縦向きに配置された複数本の縦フレーム7,…,7と、この各縦フレーム7の上部と下部に横向きでそれぞれ溶接固定された上部フレーム8と下部フレーム9とで横長四角枠状に構成されている。
【0006】
そして、上記フレーム6は、左端(図4では右端、以下同じ。)の縦フレーム7の下部のヒンジピン10aを車体の軸受け溝部11で支持すると共に、右端の縦フレーム7の下部のヒンジピン10bをシートバック2A−2の縦フレーム7′の軸受け孔部7aで支持することにより、シートバック2A−1を前倒できるようにしている。
【0007】
また、上記フレーム6は、中央の着座者のショルダーベルト用リトラクター4を取り付けるブラケット12を、中央の縦フレーム7と上部フレーム8とのコーナー部分に溶接固定して、このブラケット12に取り付けたリトラクター4のショルダーベルト3を、上部フレーム8にあけたスリット穴8aを通してシートバック2A−1の上部から前方へ引き出すようにしている。
【0008】
なお、上記フレーム6は、左側の着座者のショルダーベルト用リトラクターを取り付けるブラケット12′を、左側の縦フレーム7と上部フレーム8とのコーナー部分に溶接固定して、このブラケット12′に取り付けたリトラクター4のショルダーベルト3を、上部フレーム8にあけたスリット穴8a′を通してシートバック2A−1の上部から前方へ引き出すようになっている。また、このブラケット12′の外側面には、起立位置のシートバック2A−1を車体のストライカにロックするためのキャッチ機構13が取り付けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記フレーム6では、ショルダーベルト3から作用する前方向きの大荷重Pを上部フレーム8で直接受ける構造であるために、上部フレーム8に各縦フレーム7の上端を突き当てて全周溶接aをして溶接強度を高めているから、製造コストが高くなる。
【0010】
また、リトラクター4のショルダーベルト3は、上部フレーム8にあけたスリット穴8aを通して外部へ引き出すようにしているために、強度上から上部フレーム8が太くなり、フレーム6全体が大型化して重量が増加すると共に、材料コスト等が高くなる。さらに、ショルダーベルト3の先端を上部フレーム8のスリット穴8aを通す必要があるから、組み付け作業性も悪い。
【0011】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、小型・軽量で、かつコスト安に製造できることを可能としたベルトイン・シートバックのフレーム構造を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、シートバック内のフレームにショルダーベルト用リトラクターが取り付けられて、このリトラクターのショルダーベルトを、シートバックの上部から前方へ引き出すようにしたベルトイン・シートバックにおいて、上記フレームは、車幅方向に所定の間隔で縦向きに配置された複数本の縦フレームと、この各縦フレームの上部と下部に横向きでそれぞれ固定された上部フレームと下部フレームとで四角枠状に構成されていて、上記各縦フレームは四角パイプであり、上部フレームは丸パイプであり、上記各縦フレームの上後部には、上部フレームの外周の略1/4を隙間なく当てがえる四半円形状の切欠きが形成され、この切欠きに上部フレームを当てがい、切欠きに沿って上部フレームの外周を溶接固定していることを特徴とするベルトイン・シートバックのフレーム構造を提供するものである。
【0013】
本発明によれば、各縦フレームの上後部に形成した切欠きに上部フレームを当てがって溶接等で固定することにより、ショルダーベルトから作用する前方向きの大荷重は、上部フレームを介して各縦フレームの切欠きで分散して受けることができるので、この切欠きに沿って上部フレームを脱落しない程度に溶接等で固定するだけの強度で良くなる。
【0014】
また、リトラクターのショルダーベルトは、上部フレームの後面から上面を迂回させて外部へ引き出せるために、スリット穴が不要となって上部フレームを太くしなくても良くなる。さらに、ショルダーベルトの先端をスリット穴に通す必要もない。
【0015】
さらに、四角パイプの縦フレームの上後部を四半円形状に切欠けば良いのでカット加工が容易であり、丸パイプである上部フレームの外周は四半円形状の切欠きに隙間なく当てがえると共に、この切欠きに沿って上部フレームの外周を四半円形状の範囲で溶接固定すれば良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、図4以下の従来技術と同一構成・作用の箇所は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0017】
図1及び図2に示すように、自動車のリヤシート2のシートバック2A(2A−1)内のフレーム16は、車幅方向に所定の間隔で縦向きに配置された複数本の四角パイプの縦フレーム17,…,17と、この各縦フレーム17の上部と下部に横向きでそれぞれ溶接固定された丸パイプの上部フレーム18と下部フレーム19とで横長四角枠状に構成している。
【0018】
上記各縦フレーム17の下部の前後方向の中央には円弧形状の切欠き17aを形成し、この各切欠き17aに下部フレーム19の外周の一部を下方から当てがい、この切欠き17aに沿って下部フレーム19の外周を溶接固定する。なお、両側の縦フレーム17,17の下部と下部フレーム19との溶接固定部分は強度が高いから、この部分にシートバック2Aの前倒用ヒンジブラケット20,20をそれぞれ溶接固定するのが好ましい。
【0019】
上記各縦フレーム17の上後部には、図3(A)(B)に詳細に示すように、四半円形状のカット状切欠き17bを形成し、この各切欠き17bに上部フレーム18の外周の略1/4を後上方から隙間なく当てがい、この切欠き17bに沿って上部フレーム18の外周を溶接bで固定する。つまり、上部フレーム18の外周の略1/4を溶接bで固定することになる。
【0020】
図1及び図2に戻って、上記各縦フレーム17及び上部フレーム18と下部フレーム19の後面には、横長広幅のバックパネル21を当てがって溶接固定する。
【0021】
上記フレーム16には、中央の着座者のショルダーベルト用リトラクター4を取り付けるブラケット22を、中央の縦フレーム17と上部フレーム18とのコーナー部分に溶接固定して、このブラケット22に取り付けたリトラクター4のショルダーベルト3を、上部フレーム18の後面から上面を迂回させて外部へ引き出すようにしている。
【0022】
この上部フレーム18の上部には、引き出されたショルダーベルト3を緩やかな曲率で前方へガイドするガイドブラケット23を取り付けている。また、左端の縦フレーム17に溶接固定したシャフト部材24,24には、起立位置のシートバック2Aを車体のストライカにロックするためのキャッチ機構13を取り付けている。
【0023】
上記のようにベルトイン・シートバック2A(2A−1)のフレーム16を構成すれば、各縦フレーム17の上後部に形成したカット状の切欠き17bに上部フレーム18を当てがって溶接bで固定することにより、図3(B)に示したように、ショルダーベルト3から作用する前方向きの大荷重Pは、上部フレーム18を介して各縦フレーム17の切欠き17bで分散して受けることができるので、この切欠き17bに沿って上部フレーム18を脱落しない程度に溶接bで固定するだけの強度で良くなるから、溶接bよる固定範囲が狭くなって製造コストが安くなる。
【0024】
因みに、図3(C)のような固定構造であれば、縦フレーム17の切欠き17b´での上部フレーム18の位置決め性が悪く、図3(D)のような固定構造であれば、縦フレーム17の切欠き17b´´の加工性が悪い。
【0025】
また、リトラクター4のショルダーベルト3を、上部フレーム18の後面から上面を迂回させて外部へ引き出せるために、従来のようなスリット穴が不要となって上部フレーム18を太くしなくても良いので、フレーム16全体を小型化できて軽量になると共に、材料コスト等も安くなる。さらに、ショルダーベルト3の先端をスリット穴に通す必要もなくなるので組み付け作業性が良好になる。
【0026】
さらにまた、四角パイプの縦フレーム17の上後部を四半円形状に切欠けば良いので、切欠き17bのカット加工が容易であり、丸パイプである上部フレーム18の外周は四半円形状の切欠き17bに隙間なく当てがえると共に、この切欠き17bに沿って上部フレーム18の外周を四半円形状の範囲で溶接bで固定すれば良いので、溶接作業性も良好である。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明のベルトイン・シートバックのフレーム構造は、縦フレームの上後部の切欠きに上部フレームを当てがって溶接等で固定するようにしたから、ショルダーベルトから作用する前方向きの大荷重は、上部フレームを介して各縦フレームの切欠きで分散して受けることができるので、この切欠きに沿って上部フレームを脱落しない程度に溶接等で固定するだけの強度で良くなり、溶接等による固定範囲が狭くなって製造コストが安くなる。
【0028】
また、リトラクターのショルダーベルトは、上部フレームの後面から上面を迂回させて外部へ引き出せるために、スリット穴が不要となって上部フレームを太くしなくても良いので、フレーム全体を小型化できて軽量になると共に、材料コスト等も安くなると共に、ショルダーベルトの先端をスリット穴に通す必要もないので、組み付け作業性が良好になる。
【0029】
さらに、縦フレームが四角パイプであるから、その上後部を四半円形状に切欠けば良いのでカット加工が容易であり、また、上部フレームが丸パイプであるから、上部フレームの外周を四半円形状の切欠きに隙間なく当てがえると共に、この切欠きに沿って上部フレームの外周を四半円形状の範囲で溶接固定すれば良いので、溶接作業性も良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のベルトイン・シートバックのフレームの斜視図である。
【図2】 (A)はフレームの正面図、(B)は側面断面図である。
【図3】 (A)は、縦フレームと上部フレームの溶接固定部分の分解斜視図、(B)は、縦フレームと上部フレームの溶接固定部分の側面図、(C)及び(D)は、それぞれ縦フレームと上部フレームの溶接固定部分の比較側面図である。
【図4】 従来のベルトイン・シートバックのフレームの斜視図である。
【図5】 (A)は自動車用シートの側面図、(B)は6対4分割式のリヤシートの斜視図である。
【符号の説明】
2 リヤシート
2A シートバック
3 ショルダーベルト
4 リトラクター
16 フレーム
17 縦フレーム
17b 切欠き
18 上部フレーム
19 下部フレーム
b 溶接
Claims (1)
- シートバック内のフレームにショルダーベルト用リトラクターが取り付けられて、このリトラクターのショルダーベルトを、シートバックの上部から前方へ引き出すようにしたベルトイン・シートバックにおいて、
上記フレームは、車幅方向に所定の間隔で縦向きに配置された複数本の縦フレームと、この各縦フレームの上部と下部に横向きでそれぞれ固定された上部フレームと下部フレームとで四角枠状に構成されていて、上記各縦フレームは四角パイプであり、上部フレームは丸パイプであり、上記各縦フレームの上後部には、上部フレームの外周の略1/4を隙間なく当てがえる四半円形状の切欠きが形成され、この切欠きに上部フレームを当てがい、切欠きに沿って上部フレームの外周を溶接固定していることを特徴とするベルトイン・シートバックのフレーム構造。
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JP3943297A JP3912832B2 (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | ベルトイン・シートバックのフレーム構造 |
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JP3943297A Expired - Fee Related JP3912832B2 (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | ベルトイン・シートバックのフレーム構造 |
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