JP3912462B2 - ドアパネル構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のサイドドアにおけるドアパネル構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に示すように、自動車のサイドドア(ここでは右フロントドアを示す)は、ドアパネル1の側面を、アッパーヒンジ2及びロアヒンジ3を介してネジ4にてボディの所定位置に固定することにより、ボディに対してヒンジ3を中心として回動する。通常ドアパネル1には、サイドドアを閉めた際に、ボディとドアパネル1の隙間をシールすることによって、外部からの水、埃、音等を遮断するために、図7に示すオープニングウエザストリップ5が、ドアパネル1の側面全周にわたって固定されている。オープニングウエザストリップ5は、一般的に弾性ゴムやスポンジゴム製であり、断面からみると大小2個の孔がある。ここで、ドアパネル1に固定されているオープニングウエザストリップ5の一面を固定面aとし、大きい方の孔を取り囲む部分を大円筒部bとする。
【0003】
図8は、運転席からの前斜方向の視界を示す。サイドドアを閉めた状態では、ボディの表面とドアパネル1の表面とが同一平面になるので、オープニングウエザストリップ5は露出することはない。ここで、6はボディのフロントピラー、7はフロントガラス、8はサイドドアのサッシュ、9は窓ガラス、そして10はサイドミラーである。
【0004】
図9は、図8におけるA−A断面図である。図示するように、オープニングウエザストリップ5の大円筒部bが、フロントピラー6のドアパネル対向面11に当接しており、大円筒部bは多少押し潰された状態で、ボディとドアパネル1の隙間をシールしている。
このとき、ボディのドアパネル対向面11とドアパネル1との隙間は、全周においてほぼ一定とすることが一般的であり、オープニングウエザストリップ5の断面形状も全周において同一になるように形成されている。
【0005】
さらに図10に示すように、2つのオープニングウエザストリップ5をドアパネル1のボディ対向面に固定することによって、シール効果をより向上させるようにしたものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示したように、2つのオープニングウエザストリップ5をドアパネル1に固定する場合には、1つのオープニングウエザストリップ5を設けたものと比較して、組付効率及び経済性の面での低下を招くことになる。
また、乗客の環境面において、視認性を良好にするために視野は広いほど良く、したがって図8におけるフロントピラー6及びサッシュ8の幅Wは小さいほど望ましい。
【0007】
したがって本発明は、組付効率及び経済性の面での低下を招くことなくオープニングウエザストリップ5のシール効果を向上するとともに、視認性を向上したドアパネル構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明のドアパネル構造は、オープニングウエザストリップが側面全周にわたって固定されているドアパネルとボディのピラーのドアパネル対向面との隙間を、アッパーヒンジ取付部の上方からサッシュの湾曲点付近までの範囲で、前記ドアパネルを前記ボディ側に突出させて形成することにより、前記範囲以外の隙間よりも狭くすることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明では、前記ドアパネルと前記ボディとの隙間を狭くした箇所の前記ドアパネルの内部に補強材を固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明は、ピラーのドアパネル対向面に対向する部分の、ボディおよびドアパネルの隙間を狭くすることにより、ドアパネル側面の全周にわたって固定されているオープニングウエザストリップは、隙間を狭くした部分が、他の部分よりも、より押し潰されて撓むので、ドアパネル対向面に接触するオープニングウエザストリップの面積が大きくなるとともに、ボディおよびドアパネルの隙間におけるオープニングウエザストリップの占有率を高くする。さらに、ピラーとドアパネルの隙間を狭くすることにより、ドアパネルのサッシュは、ドアパネル対向面に近づく方向(ボディ側)に入り込むので幅を小さくできる。
また、アッパーヒンジ取付部の上方からサッシュの湾曲点付近までのボディおよびドアパネルの隙間を狭くすることにより、乗客の視野に合った高さ位置のサッシュがドアパネル対向面に近づく方向に入り込んで視認性を向上させる。
さらに、対応する位置のドアパネルをボディ側に突出させることにより、ボディとドアパネルとの隙間を狭くするので、ドアパネルの形状を所望に設定するだけで良く、他の作業工程は何ら変化しない。
【0011】
次に請求項2記載の発明は、車両が前面から衝突した場合、ドアパネルとボディとの隙間を狭くした箇所が、他の部分よりも先にボディがドアパネルに衝突するようになるが、ドアパネルとボディとの隙間を狭くした箇所のドアパネルの内部に補強材を固定してあるので、ボディからの衝撃を効率よく受けて、衝撃を緩和することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
従来技術の欄で説明した図9に対応する本発明のドアパネル構造を、図1に示す。フロントピラー6のドアパネル対向面11に対向する部分の、ボディおよびドアパネル1(サッシュ8)の隙間は、図2に示すように、従来と比較して幅D分だけ狭くなるように設定されている。図2において、本発明のドアパネル1の位置を実線で示し、これに重ねて従来のドアパネル1の位置を点線で示している。
【0013】
ボディとドアパネル1との隙間を幅D分だけ狭くしたことによって、図1に示すように、オープニングウエザストリップ5の大円筒部bは、ドアパネル対向面11によって、従来よりも大きく押し潰されることによって、ドアパネル対向面11に当接している面積が大きくなる。さらに、このオープニングウエザストリップ5の撓みによって、ボディおよびドアパネル1の隙間における占有率が高くなる。このような理由で遮断性が向上するため、オープニングウエザストリップ5のシール効果は向上する。
なお、上述のようにオープニングウエザストリップ5は、従来と比較して大きく撓ませむことになるが、ドアヒンジ2,3の回転軸に近接しているので、ドア開閉時の荷重への影響は小さい。
【0014】
さらに、図2に示すように、本発明のドアパネル構造においては、サッシュ8(ドアパネル1)が、幅Dだけフロントピラー6(ドアパネル対向面11)側に移動しているので、フロントピラー6及びサッシュ8の幅W(図8参照)が小さくなる(すなわち、フロントピラー6の幅は変化しないものの、サッシュ8の幅が狭くなる)。したがって、フロントピラー6部分の死角を小さくして視認性を向上することができる。
【0015】
さらに、ドアパネル1とボディとの隙間は、図3に示すように、アッパーヒンジ2の取付部の上方からサッシュ8の湾曲点12付近までとする範囲Pの部分が狭くなるように、この部分のドアパネル1を外方に幅Dだけ突出させる。ここで、湾曲点12とは、フロントピラー6と当接するサッシュ8における曲率の最も大きい点をいう。このように湾曲点12から下方とすると、図8に示すような車内側から観測する場合、フロントピラー6及びサッシュ8の幅Wが、湾曲点12の上下で異なるため比較的外観が良いと共に、乗客の視野に合った高さ位置の視認性を向上することができる。
【0016】
さらに、図3に示すC−C断面図である図4に示すように、ドアパネル1の内部には、ドア補強用のリンフォース13、及び、補強板であるガセット14が固定されている。
車両が前面から衝突した場合、最初にボディが変形し、その変形によりボディの変形部分がドアパネル1に当たることになるが、本発明のドアパネル構造のようにボディ及びドアパネル1の隙間が狭い範囲P(図3参照)を設けることによって、範囲Pでは、他の部分よりも先にボディがドアパネル1に衝突する。このとき、図4に示すように、補強材としてのリンフォース13及びガセット14が、ドアパネル1内に固定されていることから、ボディからの衝撃を効率よく受けて、衝撃を緩和することができる。
【0017】
上述のように、実施の形態においては、フロントドア(右側)の構造について説明してきたが、これに限定されるものではない。したがってリヤドアに本発明を適用する場合には、シール効果を向上するとともに、リヤピラー部の視野を広げることができる。
なお、ドア開閉時の荷重への影響を考慮して、ボディとドアパネル1との隙間を狭くする範囲のみ、図5に示すように、その断面形状における高さH’を、図7のその高さHと比較して小さく形成したオープニングウエザストリップ5’を固定するようにしても同様の効果が得られる。このとき、オープニングウエザストリップ5’は、高さH’が小さく形成されるため、図7に示すオープニングウエザストリップ5と比較して幅W’が大きくなるように形成される。
【0018】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、ピラーのドアパネル対向面に対向する部分において、ボディおよびドアパネルの隙間を狭くする構成としたので、ドアパネル側面の全周にわたって固定されているオープニングウエザストリップは、隙間を狭くした部分が、他の部分と比較してより大きく押し潰されて撓むことになる。このため、ドアパネル対向面に接触するオープニングウエザストリップの面積が大きくなるとともに、ボディおよびドアパネルの隙間におけるオープニングウエザストリップの占有率が高くなるので、遮断性が向上してシール効果を高めることができる。さらに、ピラーとドアパネルの隙間を狭くすることにより、ドアパネルのサッシュは、ドアパネル対向面に近づく方向(ボディ側)に入り込むので、その入り込んだ分だけ、ピラーとサッシュが当接している部分の幅を小さくできる。これにより、窓ガラスを大きく設定することができるので、視野を広げ視認性を向上することができる。
また、アッパーヒンジ取付部の上方からサッシュの湾曲点付近までの範囲において、ボディおよびドアパネルの隙間を狭くすることにより、乗客の視野に合った高さ位置の視野を広げることができるので、より効果的に視認性を向上できる。
さらに、対応する位置のドアパネルをボディ側に突出させることにより、シール効果及び視認性の向上の他に、ボディとドアパネルとの隙間を狭くするので、ドアパネルの形状 を所望に設定するだけで良くオープニングウエザストリップは既存のものを使用でき、他の作業工程は何ら変化しないので製造が容易である。
【0019】
次に請求項2記載の本発明によれば、車両が前面から衝突した場合、ドアパネルとボディとの隙間を狭くした箇所が、他の部分よりも先にボディがドアパネルに衝突するようになるが、ドアパネルとボディとの隙間を狭くした箇所のドアパネルの内部に補強材を固定してあるので、ボディからの衝撃を効率よく受けて、衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のドアパネル構造を示す部分断面図である。
【図2】 本発明と従来とのドアパネル構造の相違を説明するための説明図である。
【図3】 本発明のドアパネル構造の説明をするための概略図である。
【図4】 図3におけるC−C断面図である。
【図5】 本発明の要部であるオープニングウエザストリップの構造を示す斜視図である。
【図6】 ドアの構造を説明するための斜視図である。
【図7】 図5とは異なるオープニングウエザストリップの構造を示す斜視図である。
【図8】 運転席からの前斜方向の視界を示す図である。
【図9】 従来のドアパネル構造を示すための、図8におけるA−A断面図である。
【図10】 図8とは異なる従来のドアパネル構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ドアパネル,2 アッパーヒンジ,5 オープニングウエザストリップ,6 フロントピラー,8 サッシュ,11 ドアパネル対向面,12 湾曲点,

Claims (2)

  1. オープニングウエザストリップが側面全周にわたって固定されているドアパネルとボディのピラーのドアパネル対向面との隙間を、アッパーヒンジ取付部の上方からサッシュの湾曲点付近までの範囲で、前記ドアパネルを前記ボディ側に突出させて形成することにより、前記範囲以外の隙間よりも狭くすることを特徴とするドアパネル構造。
  2. 前記ドアパネルと前記ボディとの隙間を狭くした箇所の前記ドアパネルの内部に補強材を固定したことを特徴とする請求項1記載のドアパネル構造。
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