JP3911924B2 - 管球 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石英ガラス製外囲容器端部に導入導体の封止部材としてモリブデン箔を気密封止した電球や高圧放電ランプ等の管球に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン電球や管形赤外線電球等の電球あるいは高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の高圧放電ランプは、耐熱性、耐圧性や耐蝕性を考慮して外囲容器に石英ガラスが用いられている。そして、これら管球のマウント構体は石英ガラス製外囲容器との気密性を保持するため封止部に位置する導入導体として、モリブデンMo箔等からなる金属箔が用いられている。
【0003】
通常このモリブデンMo箔の肉厚は20〜30μmで、これ以上に厚いと熱膨張率の関係から石英ガラス製外囲容器の封止部にクラックを生じたり気密性が保持できなくなったりし、また、逆に薄いと気密性はよくなるが強度的に弱く折れ曲がって位置ずれを起こしたり封止作業中や点灯中等に箔切れを発生することがある。
【0004】
そして、上記マウント構体は、例えばリボン状のモリブデンMo箔の一端部にモリブデンMoやタングステンW製の内部導線を、また、他端部にモリブデンMo製の外部導線を溶接やかしめ等の手段で接続してあり、内部導線の先端部にはコイル状フィラメントや放電電極が設けられ、また、外部導線は外囲容器内の排気終了後に口金や端子ピンあるいは給電線と接続される。
【0005】
たとえばハロゲン電球は、所定のハロゲンサイクルを生起させるため、点灯時外囲容器が250℃以上の温度となるよう設計されていて、コイル状フィラメントに接続している内部導線やモリブデン箔および外部導線等のマウント構体は350〜400℃程度の温度となる。
【0006】
そして、ハロゲン電球の点灯時には、外囲容器端部の封止部から導出している外部導線は、口金や端子ピン内において外気に晒されている高温雰囲気の状態にある。このため、モリブデン製とはいえ徐々に酸化し、この酸化が封止部内に埋設されている部分にまで進行して、ついには外部導線が接続しているモリブデン箔部にまで及ぶ。この外部導線とモリブデン箔との接続部は酸化を防止するため点灯時350℃以下に保つ必要がある。なお、外部導線は、たとえばモリブデン製とはいえ封止部内に埋設されている部分は箔に比べて厚肉であるので、石英ガラスとは厳密には密着していない。
【0007】
そして、電球はこの気密封止用の導入導体であるモリブデン箔が酸化すると、抵抗値が増えさらにこの部分が温度上昇を来したり応力が加わったりして、ついには箔切れを起こし通電できなくなったり封止部を破壊して容器の気密が保てなくなり、所定の寿命に至らない短寿命となることがあった。
【0008】
そこで、封止部内における外部導線の酸化を防止するため、種々の手段が試みられ、また、実施されてきている。たとえば封止部端面の外部導線が導出される部分をフリットガラスで覆うことが知られている。しかし、この手段はフリットガラスの被覆に手間を要するばかりか、低融点ガラスの場合にはソケット内に溶融したガラスが流れ込み導通不良を起こす等のことがあった。
【0009】
また、その他の手段として、たとえば特公平2−267850号公報に記載されているようにモリブデン箔自体に酸化防止用の処理を行うことが開示されている。すなわち、モリブデン箔自体や外部導線自体にイオン注入によってクロム、アルミニウム、シリコン、チタン、タンタルやパラジウム等からなる物質を埋め込むことによってなされている。そして、この場合、酸化は箔表面の溶解を防止することによってなされるものであるが、酸化防止層をPECVD法等の手間を要する方法により形成するものである。また、上記公報中には、モリブデン箔に薄膜をコーティングすることが示されているが、コーティング材やその膜厚等の具体的な記載はない。
【0010】
また、本発明者は先にこの金属箔の表面に酸化防止用として酸化ケイ素からなる被膜を形成することを出願した。
【0011】
この酸化ケイ素からなる被膜を形成した場合は、金属箔の酸化防止がはかれ金属箔に起因する封止部のリークやクラックを防ぐことができるが、近時、さらにの管球の小形・高効率化がすすめられるに伴いさらに高温化する封止部における金属箔の酸化防止が強く要望されている。
【0012】
さらに、導入体の酸化防止手段として電気伝導体と電気絶縁体とからなる傾斜機能材料が特開平11−86794号に示されている。この公報に開示されたものは製造が難しく、封止を従来と同じ条件で行うと箔切れが生じ易い等の不具合がある。また、棒状の傾斜機能材料を使用する場合は、特殊な封止工程が必要となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記モリブデン箔自体の表面に酸化防止の処理を行うことが作業性や歩留り等の経済性もよいことから、これに着目して種々検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明はモリブデン箔の表面に傾斜機能を有する材料で酸化防止用の被膜を形成することにより、導入導体として用いたモリブデン箔の酸化防止がはかれることを見出したもので、モリブデン箔に起因する石英ガラス製外囲容器の封止部のクラックやリークを防ぐことのできる管球を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の管球は、石英ガラス製の外囲容器と、この外囲容器の端部に気密封止されたモリブデン箔と、このモリブデン箔の表面に、内面側がモリブデン量の含有割合が高く、外面側が酸化ケイ素量の含有割合が高くなるよう形成されたモリブデンと酸化ケイ素とからなる耐酸化性被膜と、上記モリブデン箔の一端部に接続して外囲容器内に延出され内部導線と、この内部導線に接続されたフィラメントまたは放電電極からなる発光構体と、上記モリブデン箔の他端部に接続して外囲容器外に導出された外部導線とを具備していることを特徴ととする。
【0016】
モリブデン箔は表面にモリブデンからなる電気伝導体と酸化ケイ素からなる電気絶縁体との傾斜機能材料からなる耐酸化性被膜が被覆してある。この被膜の最外面側は外囲容器と同質の100%ないしは100%に近い割合の酸化ケイ素からなり、また、被膜はモリブデン箔に近ずくにしたがい連続的や段階的に徐々に酸化ケイ素の含有割合(量)が低下してその分モリブデンの含有割合(量)が徐々に増え、モリブデン箔の表面すなわち被膜の内面側ではこの箔と同質の100%ないしは100%に近い割合のモリブデンからなる傾斜機能を有する材料で覆っている。
【0017】
そして、石英ガラス製の外囲容器の端部にモリブデン箔を封止する作業の際、モリブデン箔の表面ではモリブデン割合(量)がリッチな部分が対応し、石英ガラスの内面では酸化ケイ素割合(量)がリッチな部分が対応するので、それぞれの両者間は同質であり融合性がよくなじみ易く気密性が高くなるとともに、耐酸化性被膜の中間部における組成が徐々に変わっていくので応力の発生も抑制できる。そして、例えば外部導線を通じ侵入してきた酸素は、モリブデン箔の表面に形成した酸化ケイ素を多く含有している部分で阻止され、内部の金属部分であるモリブデン箔部分に直接に酸素が触れることがなく、モリブデン箔部分の酸化発生を抑制し、酸化が発生した場合でもその進行を遅延できる。
【0018】
なお、本発明でいう傾斜機能材料は、電気伝導体としてモリブデン、電気絶縁体として酸化ケイ素を用いるが、このモリブデンおよび酸化ケイ素を主成分として、その作用を阻害しない程度であれば他の物質が少々混在しても差支えない。
【0019】
本発明が適用される管球は、外囲容器の一端部に封止部を形成したものに限らず、外囲容器の両端に封止部が設けられているものであってもよく、外囲容器は二重管等の多重管であってもよい。さらに、封止部は圧潰封止部に限らず、外囲容器を構成するガラスを収縮して形成した封止部であってもよい。
また、管球の発光構体とは、ハロゲン電球や管形赤外線電球等の電球の場合は発光や発熱するフィラメントを、また、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の場合は放電電極を指す。また、反射鏡が一体的または別体として設けられた反射形の管球にも適用できる。
本発明の請求項2に記載の管球は、上記耐酸化性被膜が、モリブデン箔に内部導線および外部導線を接続した後にモリブデン箔、内部導線および外部導線のそれぞれの表面に形成されたものであることを特徴とする。
【0020】
モリブデン箔の一端部に発光構体を有する内部導線および他端部に外部導線を接続した後に、これら部材の表面に上記請求項1に記載したと同様に耐酸化性被膜を形成することにより、上記請求項1に記載したと同様の作用を奏する。
本発明の請求項3に記載の管球は、上記耐酸化性被膜の膜厚が3〜20μmであることを特徴とする。
【0021】
耐酸化性被膜の膜厚を3〜20μmとすることにより上記請求項1および2に記載したと同様な作用があり実用上は差支えなく、膜厚が3μm未満であると被膜が破壊し易く、被膜形成の効果がないばかりか封止部にもクラックを生じる虞があり、また、膜厚が20μmを超えると気密封止が行えない不具合がある。被膜厚さのばらつき等を考慮すると5〜15μm程度が好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の封止用導入導体としてモリブデン箔を用いた管球の実施の形態を図面を参照して説明する。図1(a)は封止用モリブデン箔の平面図、図1(b)は横断面を拡大した説明図、図2はモリブデン箔を使用した管球、例えばハロゲン電球L1の一部断面正面図である。
【0023】
1Aは石英ガラスとの気密封止用の導入導体で、例えば幅が約2.5mm、長さが約7mm、厚さが約25μmの薄板からなるリボン状のモリブデン(Mo)箔1の表面に、モリブデン(Mo)と酸化ケイ素(SiO2 )との混合物からなる膜厚が約5μmの耐酸化性被膜2が形成してある。この耐酸化性被膜2は、モリブデン箔1の表面側すなわち被膜2の内面側がモリブデンMの含有割合が100%ないしは100%に近い割合で、外面側が酸化ケイ素(SiO2 )の含有割合が100%ないしは100%に近い割合となるよう連続的または段階的に変化させて形成した電気伝導体としてのモリブデン(Mo)と電気絶縁体としての酸化ケイ素(SiO2 )とからなる傾斜機能材料の形態をなしている。
【0024】
そして、この封止用導入導体1Aは、ハロゲン電球L1の封止部に封止される。なお、上記モリブデン箔1長手方向の両端側面は、図1(b)に示すように石英ガラスとの気密性を高めるために電解研磨(エッチング)等の手段により薄肉化してある。
【0025】
図2において、3は石英ガラス製の外囲容器(バルブ)、4は外囲容器1の一端部を溶融圧潰して形成した封止部で、この封止部4内には上記封止用のモリブデン箔1,1からなる封止用導入導体1Aが埋め込まれ石英ガラスと気密に封止されている。また、このモリブデン箔1の一端部に溶接されるとともに外囲容器3内に延出して電極構体を構成する内部導線5A,5Aが、また、モリブデン箔1の他端部に溶接されるとともに外囲容器3外に導出して外部導線5B,5Bが設けられている。なお、31は排気管である。
【0026】
また、6Aはタングステン線をコイル状に巻回したフィラメントで、コイル状フィラメント6Aは両端部近傍が内部導線5A,5Aの先端部に溶接やかしめ等の手段で継線されているとともに両方の内部導線5A,5Aを所定間隔を隔てて支持するビード51に植設されたアンカ52で中間部が支持されている。
【0027】
また、外囲容器3内には少量のCH2 Br2 やCH3 Br等のハロゲン化物およびアルゴン(Ar)と窒素(N2 )とを混合したガスが封入してある。また、7は封止部4に耐熱性の接着剤71を介し接合された口金で、この口金7のシェルおよび頂部のアイレット部に、上記外部導線5B,5Bが溶接やろう付け等の手段で電気的に接続してある。
【0028】
また、外囲容器3の外表面の周囲部分には、可視光透過赤外反射膜(以下、赤反膜と称する。)35が形成してある。この赤反膜35は、容器3のガラス面に高屈折率層膜を作る例えば酸化チタン(TiO2 )と低屈折率層膜を作る例えば酸化ケイ素(SiO2 )とを交互に繰り返えし積層した多層光干渉膜からなる。 そして、このハロゲン電球L1は、口金7をソケット(図示しない。)に装着して点灯すると、外囲容器3内に配設したコイル状フィラメント6Aが発熱して可視光とともに大量の赤外線を放射し、フィラメント6Aから放射した光のうち可視光の殆どは外囲容器3および赤反膜35を透過して容器3の外方へと放射される。また、フィラメント6Aから放射した赤外線は、赤反膜35で反射されてフィラメント6Aに戻し、(この赤外線のフィラメント6Aからの放射と赤反膜35での反射は反復行われる。)フィラメント6Aを再加熱して発光をより高くし、この結果フィラメント6Aからの可視光放射が増して、発光効率を向上できる。
【0029】
そして、上述した封止部4内に埋め込まれた導入導体1Aを構成するモリブデン箔1,1は、石英ガラスと気密に封止され外囲容器3内外の通気を完全に遮断している。このハロゲン電球L1は、ハロゲンサイクルを生起させる点灯、電流通流および外囲容器3に形成した赤反膜35によって各部の温度がより上昇し、これに起因して外部導線5Bの酸化が進み徐々にモリブデン箔1にまで酸化が進んでくる。
【0030】
しかし、モリブデン箔1は表面に耐酸化性被膜2が被覆してあり、しかも被膜2の最外面側は外囲容器3と同質の酸化ケイ素Sからなり、また、被膜2はモリブデン箔1に近ずくにしたがい徐々に酸化ケイ素の含有割合(量)が低下してその分モリブデンの含有割合(量)が徐々に増え、モリブデン箔1の表面すなわち被膜2の内面側ではこの箔1と同質のモリブデンMで覆われている。
【0031】
そして、封止部4の形成作業の際、モリブデン箔1の表面ではモリブデン割合(量)がリッチな部分が対応し、石英ガラスの内面では酸化ケイ素割合(量)がリッチな部分が対応するので、それぞれの両者間は同質であり融合性がよくなじみ易いので気密性が高くなるとともに、耐酸化性被膜2の中間部における組成が徐々に変わっていくので応力の発生も抑制できる。そして、例えば外部導線5Bを通じ侵入してきた酸素は、モリブデン箔1に形成した耐酸化性被膜2の酸化ケイ素を多く含有している表面部分で阻止され、内部の金属部分であるモリブデン箔1部分に直接に酸素が触れることがなく、モリブデン部分の酸化発生を抑制し、酸化が発生した場合でもその進行を遅延できる。
【0032】
したがって、ハロゲン電球L1を構成する外囲容器3の封止部4に、リークやクラック等の発生を低減できる、長寿命の電球L1を提供できる。
【0033】
本発明者の実験によれば、ハロゲン電球L1の点灯時に、封止部4内に埋め込まれたモリブデン箔1の温度が約380℃に達するものにおいて、酸化から箔切れや封止部4のリークに至るまでの時間が従来品(耐酸化性被膜なし。)約2500時間に対して、本発明品は温度が約400℃に達するものにおいて、約10000時間と約4倍の寿命時間を延長させることができた。
【0034】
また、封止部4の耐熱性が向上したことにより、封止部4の条件を同じとすれば、より高出力(高電流)の電球が、例えば12V級の電球において従来の消費電力の上限が75W程度であったのが、150W程度まで可能となった。これは、同定格とすれば電球(外囲容器)の小形高効率化がはかれることである。
【0035】
なお、上記モリブデン箔1部分の酸化は、封止時に表面が溶解することよりも表層部分に生じた微細なクラックを伝わり酸素が金属部分に達するため起ると考えられ、前記公報記載のように酸化防止物質を金属箔1の表面に埋め込むより、モリブデン箔1の表面に酸化防止被膜2を設けた方が好ましい。
【0036】
また、上記モリブデン箔1に形成する耐酸化性被膜2の膜厚は3〜20μm程度がよく、膜厚が3μm未満であると封止作業等で被膜2が破壊し易く、被膜2形成の効果がないばかりか封止部4にもクラックを生じる虞があり、また、膜厚2が20μmを超えると気密封止が行えない不具合がある。被膜2厚さのばらつき等を考慮すると5〜15μm程度が好ましい。
【0037】
また、モリブデン箔1へのモリブデン(Mo)と酸化ケイ素(SiO2 )からなる耐酸化性被膜2の形成は、同一カソード上にモリブデン(Mo)と酸化ケイ素(SiO2 )から構成された複合ターゲットを配置したりあるいはモリブデン(Mo)と酸化ケイ素(SiO2 )から構成された複合ターゲットを複数のカソード上に配置する等のデュアルビーム方式のスパッタリング等により行うことができる。
【0038】
また、上記モリブデン箔1に形成する耐酸化性被膜2の膜厚方向におけるモリブデン(Mo)と酸化ケイ素(SiO2 )との混合割合を図3に示す。この図3のグラフは横軸に膜厚方向を、縦軸に混合割合を対比したその傾向の一例を示すグラフで、直線的に変化する割合より、内表面側Mおよび外表面側Sの近くにおいてそれぞれの物質が多い緩やかなカーブを描き、中間部においては急激に変化する方が基体材料との融合性がよかった。
【0039】
また、図4は本発明封止用導入導体の他の実施の形態を示す斜視図で、図中、図1および図2と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0040】
この図4に示す封止用導入導体1Bは、モリブデン箔1およびこのモリブデン箔1に溶接等の手段で接続した外部導線5Bの表面にも上記と同様に耐酸化性被膜2を形成したものである。なお、この外部導線5Bの表面上への耐酸化性被膜2は、少なくともガラス中に埋設される部分に形成してあればよい。
【0041】
この封止用導入導体1Bは、モリブデン箔1に外部導線5Bを接続した後に、上述したと同様にデュアルビーム方式のスパッタリング等により耐酸化性被膜2を形成することができ、コイル状フィラメントを接続して、石英ガラスからなる外囲容器3と封止して電球を完成できる。そして、この場合もリークやクラック等の発生を低減した長寿命の電球を提供できる。
【0042】
また、図5は本発明管球の他の実施の形態を示す正面図で、図中、図1および図2と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0043】
図5はメタルハライドランプ等の高圧放電ランプ(HIDランプ)の内管である発光管L2を示す。管状の外囲容器3は石英ガラス製で、容器3の両端部にはそれぞれ圧潰封止部4,4が形成され内部に例えば上記実施の形態で示すと同様なモリブデン箔1,1を有する導入導体1Aが気密に埋設されている。
【0044】
このモリブデン箔1は、一端部側に外囲容器3の内部側に延出するタングステン製の電極棒をなす内部導線5Aが、また、他端部側に外囲容器3の外部側に導出されたモリブデン製の外部導線5Bがそれぞれ溶接等により接続されている。
【0045】
そして、内部導線5Aの先端側にはタングステン線を巻回した放電電極6Bが設けられている。この発光管L2の外囲容器3内には、ハロゲン化物および水銀が封入されていて、この状態のままあるいは図示しない硬質ガラス等からなる外管内に封装されてランプが完成される。
【0046】
この発光管L2も、導入導体1Aを構成するモリブデン箔1を外囲容器3に封止する際およびランプとなって点灯したときに、放電および通過電流により容器3をはじめ各部の温度が上昇し、これに起因して外部導線5Bの酸化が徐々に進みモリブデン箔1にまで酸化が進んでくる。しかし、モリブデン箔1は表面にモリブデンと酸化ケイ素とからなる傾斜機能を持たせた耐酸化性被膜2が被覆してあるので、内部のモリブデン箔1部分に直接に酸素が触れることは少なく、モリブデン箔1部分の酸化発生およびその進行を遅延できる。
【0047】
したがって、発光管L2を構成する外囲容器3の封止部4に、リークやクラックの発生を低減できる長寿命の高圧放電ランプを提供できる。
【0048】
また、図6は本発明管球の他の実施の形態を示す一部断面正面図で、図中、図1ないし図5と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0049】
図6は反射鏡付きの管球L3であって、図中8は反射鏡で、この反射鏡8の内面にはアルミニウムやクローム等の全光反射膜あるいは多層光干渉膜からなる可視光反射赤外透過膜等の反射膜81が形成されているとともに反射鏡8背面中央の基端部82内にはハロゲン電球L4(図2に示すハロゲン電球L1とは外囲容器の形状が異なる。)や上記発光管L2が耐熱性接着剤83を介し一体に固定されている。なお、図中84,84は外部導線5B,5Bと接続した端子ピンで、この端子ピン84,84に変え基端部82に口金が固定してあってもよい。
【0050】
このような反射鏡付きの管球L3は、封止部4の温度がさらに高温となるが、上述した実施の形態と同様に、電球L4(や発光管L2)の封止部4にモリブデン箔1の酸化に起因するリークやクラックの発生を抑制した長寿命の反射鏡付き電球L3(や放電ランプ)を提供できる。
【0051】
また、図7は照明器具9の実施の形態を示す斜視図である。この図7中、91は天井面等に取着される基台、92は支持ポール、93はポール92の先端に回動自在に取付けられた自在継手、94はこの自在継手が設けられた器具本体、95は器具本体の前方開口部内に設けられた反射体で、この反射体95の部分にはソケット(図示しない。)が配設され、このソケット(図示しない。)に図1に示すハロゲン電球L1の口金7を装着することにより照明器具9が構成されている。
【0052】
この器具9のソケット(図示しない。)への電球L1の取り付けは、口金7のシェル部を捩じ込み型のソケットに捩じ込み取り付けると、アイレット側端子部がく字型板状体やコイル状の弾性を有するソケットの奥の端子と接触して電気的接続および電球L1の支持がなされる。そして、ソケットを介しフィラメント6Aに通電して発光させることにより電球L1は点灯する。
【0053】
上記ハロゲン電球L1は、ハロゲンサイクルを生起させる点灯や電流通流によって温度が相当に昇温するが、モリブデン箔1に酸化を生じないか酸化の進行を遅延できるので、フィラメント6Aの断線に至る電球L1の寿命末期まで電気的接続を損なうことがない。したがって、寿命が長く管球交換等の手間を多く要しない照明器具9を提供することができる。
【0054】
なお、この種照明器具9において、図5に示す放電ランプL2を点灯させる場合には、安定器等の点灯回路装置が必要であることはいうまでもない。また、制光のために器具本体94や図4に示す反射鏡8の前方開口部を覆うようにカバーやレンズ等の制光体を設けることは差支えない。
【0055】
また、本発明は上記実施の形態に限らず、例えば封止用導入導体としてのモリブデン箔の幅、長さおよび厚さは適用する管球の出力等により適宜決めればよい。また、外囲容器の形状も管形に限らず、図6中に示す長円形や楕円形、球形等あるいはこれらの複合形状であってもよい。
【0056】
また、上記実施の形態のハロゲン電球L1は、外囲容器の外表面に可視光透過赤外線反射膜(赤反膜)が形成してあるが、本発明は赤反膜を形成していない電球や放電ランプに適用しても差支えない。
【0057】
【発明の効果】
請求項1ないし3の発明によれば、モリブデン箔からなる封止部材を石英ガラス製の外 囲容器と高い気密性の封止を行なうことができるとともにモリブデン箔の酸化の進行を抑制して封止部に発生するリークやクラック等の低減がはかれ、長寿命の管球を提供することができる。
【0058】
また、気密容器の小形化あるいは高出力化がはかれる管球を提供することができるとともに耐酸化性被膜の形成がスパッタリング等により容易に行え生産性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)図は本発明に係わる封止用モリブデン箔の実施の形態を示す平面図、同(b)図は横断面を拡大して模型的に示す説明図である。
【図2】 本発明に係わる管球(ハロゲン電球)の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図3】 モリブデン箔に形成する耐酸化性被膜の膜厚方向におけるモリブデン(Mo)と酸化ケイ素(SiO2 )との混合割合の一例を示すグラフである。
【図4】 本発明封止用導入導体の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】 本発明に係わる管球(高圧放電ランプ)の他の実施の形態を示す正面図である。
【図6】 本発明に係わる管球(反射鏡付き管球)の他の実施の形態を示す正面図である。
【図7】 照明器具の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1A,1B:導入導体
1:モリブデン箔
2:耐酸化性被膜
3:外囲容器
4:封止部
5A:電極構体(内部導線)
5B:外部導線
6A:コイル状フィラメント
6B:放電電極
8:反射鏡
L1:管球(ハロゲン電球)
L2:管球(高圧放電ランプ)
L3:管球(反射鏡付き管球)

Claims (3)

  1. 石英ガラス製の外囲容器と;
    この外囲容器の端部に気密封止されたモリブデン箔と;
    このモリブデン箔の表面に、内面側がモリブデン量の含有割合が高く、外面側が酸化ケイ素量の含有割合が高くなるよう形成されたモリブデンと酸化ケイ素とからなる耐酸化性被膜と;
    上記モリブデン箔の一端部に接続して外囲容器内に延出され内部導線と;
    この内部導線に接続されたフィラメントまたは放電電極からなる発光構体と;
    上記モリブデン箔の他端部に接続して外囲容器外に導出された外部導線と;
    を具備していることを特徴とする管球
  2. 上記耐酸化性被膜は、モリブデン箔に内部導線および外部導線を接続した後にモリブデン箔、内部導線および外部導線のそれぞれの表面に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の管球
  3. 上記耐酸化性被膜の膜厚が3〜20μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の管球
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