JP3910698B2 - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン電着塗料組成物に関し、詳しくは鉛化合物を含まなくても防食性、仕上り性等に優れた電着塗膜を形成できる鉛フリ−のカチオン電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
電着塗料は、つきまわり性に優れ、また耐久性や防食性などの性能に優れた塗膜を形成することができるため、従来より、それらの性能が要求される用途分野、例えば自動車車体の塗装、電気器具の塗装等に広く採用されている。
【0003】
該電着塗料には、その防食性をさらに向上させるために、鉛化合物やクロム化合物などの防錆剤が配合されてきたが、これらは非常に有害であり、公害対策上その使用には問題があった。そのため、これら鉛化合物やクロム化合物に代わる無毒性ないし低毒性の防錆剤について種々検討が行われており、防錆能を発揮する金属種としてビスマス、亜鉛などが知られている。
【0004】
そこで本出願人は、ビスマス化合物を含めたカチオン電着塗料について提案した(例えば特開平5−65439号など)。該電着塗料によれば防食性及び低温硬化性に優れた塗膜が形成可能であるが、ビスマス化合物が水不溶性のため十分均一に分散されないため塗料中に沈降物が生じやすいという問題があった。
【0005】
他方、ビスマスを用いる手法として、特表平7−506870号、特表平9−505837号、特表平9−502225号、特開平8−60046号公報には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のビスマス塩を含む電着塗料が開示されている。これらの手法では、電着塗料の中和剤として乳酸のような脂肪族ヒドロキシカルボン酸を用いないと塗液の安定性が悪く沈降物を生じてしまう。また該乳酸を多量に使用すると、電着塗装時にその強い酸性度のために電着塗膜の硬化性が低下し、また塗膜の防食性にも悪影響を及ぼすという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、電着塗料に特定の有機酸ビスマス塩の水溶液を添加することにより、電着浴中に均一に分散可能で、且つ鉛化合物等を用いなくとも仕上り性、防食性に優れた電着塗膜が得られることを見出し本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明は、2種以上の有機酸によるビスマス塩の水溶液であって、該有機酸の少なくとも1種が脂肪族アルコキシカルボン酸である有機酸ビスマス塩水溶液を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において有機酸ビスマス塩水溶液は、水の存在下で、2種以上の有機酸とビスマス化合物を反応させることによって製造され、該有機酸の少なくとも1種は脂肪族アルコキシカルボン酸を用いてなる。
【0009】
該有機酸ビスマス塩水溶液の製造に用いられる脂肪族アルコキシカルボン酸は、例えば全炭素数が16以下、好ましくは8以下のものが適当であり、特に脂肪族炭化水素基(2価)の炭素数が6以下で、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基を有するものが好適であり、具体例としては、例えばメトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−メトキシプロピオン酸などが挙げられる。これらのうち、特にメトキシ酢酸が好適である。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
上記脂肪族アルコキシカルボン酸の有機酸成分における使用割合は、酸全体100モル%のうち、50〜99モル%、好ましくは66〜98モル%、さらに好ましくは70〜97モル%の範囲内であることが好ましい。該使用割合が50モル%未満では、水溶性のビスマス塩の合成が困難となるので望ましくない。
【0010】
上記脂肪族アルコキシカルボン酸以外の有機酸としては、ビスマス塩の水溶化を妨げないものであれば特に制限なく使用でき、炭素数6以下、好ましくは5以下の脂肪族カルボン酸が好適に使用できる。該脂肪族カルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸などが挙げられ、特にギ酸、酢酸、プロピオン酸が好適である。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
【0011】
上記有機酸ビスマス塩水溶液の製造に用いられるビスマス化合物としては、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマスなどが挙げられ、特に酸化ビスマスが好適である。該有機酸ビスマス塩水溶液は、例えば、水の存在下で、酸化ビスマス1モルに有機酸3〜8モル、好ましくは3.4〜7モルを反応させて得られる。該有機酸が3モル未満ではビスマス塩の水溶化が困難であり、8モルを越えると過剰の酸が電着浴に入ることになり電着塗装性が低下するので望ましくない。また水酸化ビスマスを用いた場合にも同様に、これ1モルに有機酸1.5〜4モル、好ましくは1.7〜3.5モルを反応させて得ることができる。
上記有機酸ビスマス塩水溶液は、電着塗料組成物に添加する際に、電着塗料組成物の水分散前に添加してもよいし、電着塗料組成物の水分散後に添加してもよい。電着塗料組成物の水分散前に添加する場合には有機酸ビスマス塩水溶液の固形分濃度に特に制限はないが、電着塗料組成物の水分散後に添加する場合には有機酸ビスマス塩水溶液の固形分濃度を60重量%以下にすることが望ましい。かかる操作は電着塗料組成物中に有機酸ビスマス塩水溶液が均一に分散されるために必要である。尚、塗料配合の容易さ、貯蔵安定性からは、電着塗料組成物の水分散後に有機酸ビスマス塩水溶液を添加することが好ましい。
【0012】
また上記有機酸ビスマス塩水溶液の添加量は、厳密に規定されるものではなく、電着塗料に要求される性能に応じて広範囲にわたって変えることができるが、通常、電着塗料中の樹脂固形分100重量部に対するビスマス含有量が0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部となるようにするのが好適である。該ビスマス含有量が0.01重量部未満では、形成される塗膜の防錆性が十分でなく、10重量部を越えると、電着塗料の安定性が低下する傾向がみられる。
上記有機酸ビスマス塩水溶液が添加される電着塗料組成物は、カチオン型であり、基体樹脂としては、エポキシ系、アクリル系、ポリブタジエン系、アルキド系、ポリエステル系などのいずれの樹脂でも使用することができるが、なかでも例えばアミン付加エポキシ樹脂に代表されるポリアミン樹脂が好ましい。
【0013】
上記アミン付加エポキシ樹脂としては、例えば、(i)ポリエポキシ化合物と1級モノ−及びポリアミン、2級モノ−及びポリアミン又は1、2級混合ポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第3,984,299号明細書参照);(ii)ポリエポキシド化合物とケチミン化された1級アミノ基を有する2級モノ−及びポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第4,017,438号明細書参照);(iii)ポリエポキシド化合物とケチミン化された1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエ−テル化により得られる反応物(例えば、特開昭59−43013号公報参照)等を挙げることができる。
【0014】
上記アミン付加エポキシ樹脂の製造に使用されるポリエポキシド化合物は、エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物であり、一般に少なくとも200、好ましくは400〜4000、更に好ましくは800〜2000の範囲内の数平均分子量を有するものが適しており、特にポリフェノ−ル化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。該ポリエポキシド化合物の形成のために用い得るポリフェノ−ル化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノ−ルノボラック、クレゾ−ルノボラック等を挙げることができる。
【0015】
該ポリエポキシド化合物は、ポリオ−ル、ポリエ−テルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネ−ト化合物などと一部反応させたものであってもよく、更にまた、ε−カプロラクトン、アクリルモノマ−などをグラフト重合させたものであってもよい。
【0016】
上記基体樹脂は、外部架橋型及び内部(又は自己)架橋型のいずれのタイプのものであってもよく、外部架橋型の樹脂の場合に併用される硬化剤としては、例えば(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物やアミノ樹脂等の従来から既知の架橋剤であることができ、特にブロックポリイソシアネ−ト化合物が好ましい。また、内部架橋型の樹脂としてはブロックポリイソシアネ−ト型を導入したものが好適である。
【0017】
上記外部架橋型で使用しうるブロックポリイソシアネ−ト化合物は、各々理論量のポリイソシアネ−ト化合物とイソシアネ−トブロック剤との付加反応生成物であることができる。このポリイソシアネ−ト化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、フェニレンジイソシアネ−ト、ビス(イソシアネ−トメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、メチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの芳香族、脂環族又は脂肪族のポリイソシアネ−ト化合物、及びこれらのイソシアネ−ト化合物の過剰量にエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリメチロ−ルプロパン、ヘキサントリオ−ル、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末端イソシアネ−ト含有化合物を挙げることができる。
【0018】
一方、前記イソシアネ−トブロック剤はポリイソシアネ−ト化合物のイソシアネ−ト基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネ−ト化合物は常温において安定で且つ約100〜200℃に加熱した際、ブロック剤を解離して遊離のイソシアネ−ト基を再生しうるものであることが望ましい。このような要件を満たすブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノ−ル、パラ−t−ブチルフェノ−ル、クレゾ−ルなどのフェノ−ル系化合物;n−ブタノ−ル、2−エチルヘキサノ−ルなどの脂肪族アルコ−ル類;フェニルカルビノ−ル、メチルフェニルカルビノ−ルなどの芳香族アルキルアルコ−ル類;エチレングリコ−ルモノブチルエ−テルなどのエ−テルアルコ−ル系化合物等を挙げることができる。これらのうち、オキシム系およびラクタム系のブロック剤は比較的低温で解離するブロック剤であるため、電着塗料組成物の硬化性の点から特に好適である。
【0019】
ブロックイソシアネ−ト基を基体樹脂分子中に有していて自己架橋するタイプにおける基体樹脂中へのブロックイソシアネ−ト基の導入方法は従来既知の方法を用いることができ、例えば部分ブロックしたポリイソシアネ−ト化合物中の遊離のイソシアネ−ト基と基体樹脂中の活性水素含有部とを反応させることによって導入することができる。
【0020】
基体樹脂の中和・水性化は、カチオン系樹脂の場合には通常、該樹脂を脂肪族カルボン酸、特に酢酸及び/又はギ酸などの水溶性有機酸で中和して水溶化・水分散化することによって行なわれる。その際、前記有機酸ビスマス塩水溶液の一部又は全部を中和に用いることができる。中和剤として酢酸及び/又はギ酸を用いると、仕上り性、つきまわり性、低温硬化性などに優れるので好ましい。
【0021】
本発明の電着塗料組成物は、さらに錫化合物を含有することができる。該錫化合物としては、例えば、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドなどの有機錫酸化物;ジブチル錫ジラウレ−ト、ジオクチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫ジアセテ−ト、ジオクチル錫ベンゾエ−トオキシ、ジブチル錫ベンゾエ−トオキシ、ジオクチル錫ジベンゾエ−ト、ジブチル錫ジベンゾエ−トなどのジアルキル錫の脂肪族または芳香族カルボン酸塩等を挙げることができ、このうち低温硬化性の点からジアルキル錫芳香族カルボン酸塩などが好適である。電着塗料組成物中での錫化合物の含有量は、厳密に規定されるものではなく、電着塗料に要求される性能等に応じて広範囲にわたって変えることができるが、通常、電着塗料中の樹脂固形分100重量部あたりの錫含有量が0〜8重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲内となるようにするのが好適である。
【0022】
本発明の電着塗料組成物は、さらに亜鉛化合物を含有することができる。該亜鉛化合物としては、例えば、リン酸亜鉛、蟻酸亜鉛、酢酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、酸化亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛等を挙げることができる。電着塗料組成物中での亜鉛化合物の含有量は、厳密に規定されるものではなく、電着塗料に要求される性能等に応じて広範囲にわたって変えることができるが、通常、電着塗料中の樹脂固形分100重量部あたりの亜鉛含有量が0〜8重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲内となるようにするのが好適である。
【0023】
本発明の電着塗料組成物には、さらに必要に応じて、着色顔料、体質顔料、有機溶剤、顔料分散剤、塗面調整剤などの塗料添加物を配合することができる。
【0024】
本発明の電着塗料組成物は、電着塗装によって所望の基材表面に塗装することができる。電着塗装は、一般には、固形分濃度が約5〜40重量%となるように脱イオン水などで希釈し、さらにpHを5.0〜9.0の範囲内に調整した本発明の電着塗料組成物からなる電着浴を、通常、浴温15〜35℃に調整し、負荷電圧100〜400Vの条件で行なうことができる。
【0025】
本発明の電着塗料組成物を用いて形成しうる電着塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、硬化塗膜に基づいて10〜40μmの範囲内が好ましい。また、塗膜の焼付け硬化温度は、一般に100〜200℃の範囲内が適している。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0027】
カチオン電着用クリヤ−エマルションの作成
「エポン1004」(注1)1900部をブチルセロソルブ1012部に溶解し、ジエチルアミン124部を80〜100℃で滴下後、120℃で2時間保持してアミン価47をもつエポキシ樹脂−アミン付加物を得た。
【0028】
次に、アミン価100を持つダイマ−酸タイプポリアミド樹脂(商品名「バ−サミド460」、ヘンケル白水(株)製品)1000部をメチルイソブチルケトン429部に溶解し、130〜150℃に加熱還流し、生成水を留去して該アミド樹脂の末端アミノ基をケチミンに変えた。このものを150℃で約3時間保持し、水の留去が停止してから60℃に冷却した。次いで、このものを前記エポキシ樹脂−アミン付加物に加えて100℃に加熱し、1時間保持後室温に冷却して固形分68%及びアミン価65のエポキシ樹脂−アミノ−ポリアミド付加樹脂のワニスを得た。
【0029】
上記で得たワニス103部(樹脂固形分で70部)、トリレンジイソシアネ−トの2−エチルヘキシルアルコ−ルブロック化物30部(固形分で)、10%酢酸15部を配合し、均一に撹拌した後、脱イオン水150部を強く撹拌しながら約15分かけて滴下し、固形分33.6%のカチオン電着用クリヤ−エマルションを得た。
【0030】
(注1)「エポン1004」:油化シェルエポキシ社製、ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂、エポキシ当量約950
有機酸ビスマス塩水溶液の製造
製造例1
フラスコに、メトキシ酢酸180g(メトキシ酢酸として2モル)、酢酸60g(1モル)、及び脱イオン水642gを仕込み、60℃に加熱した。次いでこの中に酸化ビスマス233g(0.5モル)をゆっくり加え、60℃で4時間撹拌し反応させた。反応液に黄色の固形物が無くなり、透明になったことを確認した後、脱イオン水3345gを加え、固形分10%のメトキシ酢酸・酢酸ビスマス塩水溶液▲1▼を得た。
【0031】
製造例2
フラスコに、メトキシ酢酸225g(メトキシ酢酸として2.5モル)、酢酸30g(0.5モル)、及び脱イオン水665gを仕込み、60℃に加熱した。次いでこの中に酸化ビスマス233g(0.5モル)をゆっくり加え、60℃で4時間撹拌し反応させた。反応液に黄色の固形物が無くなり、透明になったことを確認した後、脱イオン水3461gを加え、固形分10%のメトキシ酢酸・酢酸ビスマス塩水溶液▲2▼を得た。
【0032】
製造例3
フラスコに、メトキシ酢酸270g(メトキシ酢酸として3モル)、酢酸60g(1モル)、及び脱イオン水571gを仕込み、60℃に加熱した。次いでこの中に酸化ビスマス233g(0.5モル)をゆっくり加え、60℃で3時間撹拌し反応させた。反応液に黄色の固形物が無くなり、透明になったことを確認した後、脱イオン水3401gを加え、固形分10%のメトキシ酢酸・酢酸ビスマス塩水溶液▲3▼を得た。
【0033】
製造例4
フラスコに、3−メトキシプロピオン酸312g(3−メトキシプロピオン酸として3モル)、酢酸60g(1モル)、及び脱イオン水608gを仕込み、70℃に加熱した。次いでこの中に酸化ビスマス233g(0.5モル)をゆっくり加え、70℃で4時間撹拌し反応させた。反応液に黄色の固形物が無くなり、透明になったことを確認した後、脱イオン水3638gを加え、固形分10%の3−メトキシプロピオン酸・酢酸ビスマス塩水溶液▲4▼を得た。
【0034】
実施例及び比較例
上記カチオン電着用クリヤ−エマルションに表1に示す配合組成で有機酸ビスマス塩水溶液などを添加し、撹拌して各カチオン電着塗料を得た。
【0035】
(注2)40%LSN105:商品名、三共有機合成(株)製、ジブチル錫ジベンゾエ−トのブチルセロソルブ/メチルイソブチルケトン40%溶液
【0036】
【表1】
【0037】
塗装試験
上記実施例及び比較例で得た各カチオン電着塗料中に、化成処理なしの0.8×150×70mmの冷延ダル鋼板(未処理板)およびパルボンド#3080(日本パ−カライジング社製、リン酸亜鉛処理剤)で化成処理した同サイズの冷延ダル鋼板(化成処理板)を夫々浸漬し、これをカソ−ドとして電着塗装を行なった。電着条件は電圧300Vで、膜厚(乾燥膜厚に基づいて)約20μmの電着塗膜を形成し、水洗後、焼付けを行なった。焼付けは雰囲気温度を2段階とし、焼付け時間を20分間として電気熱風乾燥器を用いて行なった。得られた塗装板の性能試験結果を表2に示す。
【0038】
性能試験は下記の方法に従って実施した。
【0039】
(*1)硬化性:焼付温度150℃で得られた各電着塗板の塗面をメチルイソイブチルケトンをしみこませた4枚重ねのガ−ゼで圧力約4kg/cm2 で約3〜4cmの長さを20往復こすった時の塗面外観を目視で以下の基準で評価した。
○:塗面に傷が認められない
△:塗面に傷が認められるが素地はみえない
×:塗膜が溶解し素地がみえる
(*2)防食性:焼付温度170℃で得られた各電着塗板に、素地に達するように電着塗膜にナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて未処理板使用では480時間、化成処理板使用では840時間耐塩水噴霧試験を行ない、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
【0040】
○:錆、フクレの最大幅がカット部より2mm未満(片側)
△:錆、フクレの最大幅がカット部より2mm以上、3mm未満(片側)でかつ平面部にブリスタ−がかなり目立つ
×:錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以上でかつ塗面全面にブリスタ−の発生がみられる
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、電着塗料組成物中に特定の有機酸ビスマス塩水溶液を含有せしめることにより、公害対策上問題のある鉛化合物などの防錆顔料を使用せずに、これを配合した場合と同等ないしそれ以上の優れた防食性、仕上り性を有する電着塗膜が得られる。
【0042】
【表2】
Claims (9)
- 2種以上の有機酸によるビスマス塩の水溶液であって、該有機酸の少なくとも1種が脂肪族アルコキシカルボン酸である有機酸ビスマス塩水溶液を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物。
- 有機酸成分における脂肪族アルコキシカルボン酸の使用割合が50〜99モル%である請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
- 脂肪族アルコキシカルボン酸が、全炭素数16以下である請求項1又は2記載のカチオン電着塗料組成物。
- 脂肪族アルコキシカルボン酸のアルコキシ基がメトキシ基又はエトキシ基である請求項1ないし3のいずれか1項記載のカチオン電着塗料組成物。
- 脂肪族アルコキシカルボン酸が、メトキシ酢酸である請求項1ないし4のいずれか1項記載のカチオン電着塗料組成物。
- 有機酸成分として、脂肪族アルコキシカルボン酸と炭素数6以下の脂肪族カルボン酸を用いてなる請求項1ないし5のいずれか1項記載のカチオン電着塗料組成物。
- 有機酸ビスマス塩水溶液を、電着塗料中の樹脂固形分100重量部に対するビスマス含有量が0.01〜10重量部となるように配合する請求項1ないし6のいずれか1項記載のカチオン電着塗料組成物。
- カチオン電着塗料中の中和剤として、酢酸及び/又はギ酸を使用する請求項1ないし7のいずれか1項記載のカチオン電着塗料組成物。
- 錫化合物を含有する請求項1ないし8のいずれか1項記載のカチオン電着塗料組成物。
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