JP3910381B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真方式による画像形成装置に関し、形成する画像の画質を維持するために画像形成条件の調整を行う画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置は静電気力を利用して画像形成を行うため、各プロセス部の使用状況や周囲の環境状況により画像形成のための諸特性が変化しやすく、形成される画像濃度が変動しやすい。このような画像濃度の変動は、画質の低下を招来することになる。そのため、従来、画像形成部の各部の画像形成条件(帯電出力、露光量、現像バイアス、転写バイアス等)を調整する調整工程を設け、所定の条件にしたがって調整工程を実行することで良好な画質が得られるように画像形成条件の調整(画質調整)を行なっている。
【0003】
この画像形成条件の調整では、所定のタイミングでテスト用の濃度パッチを形成し、そのテスト用の濃度パッチを濃度センサにて測定した値に基づいて、上記の制御条件が調整される。このテスト用の濃度パッチの測定タイミングは、濃度パッチが感光体ドラム等の像担持体上に形成された後、あるいは転写搬送ベルトや中間転写ベルト等の転写担持体に形成された後に行なう2つの方式が一般的である。この2つの方式のうち、後者である転写担持体上のテスト用濃度パッチを測定する方式では、像担持体に濃度パッチを形成しさらに転写担持体に転写した後に濃度パッチの濃度を測定するので、転写条件をも反映した正確な測定を行なうことができるが、転写担持体の表面状態により濃度パッチの濃度測定に支障を来たすという問題がある。
【0004】
このような問題に対処する技術は、例えば特開平7−306553号公報や特開平11−202569号公報に開示されている。このうち、特開平7−306553号公報に開示されている技術では、湿度および転写担持体(無端状担持体)の劣化状態が所定値以上の場合には濃度パッチ(基準トナー像)に基づく画像形成条件の調整(トナーの供給量制御)を行わないようにしている。これは、高湿度環境下で劣化した転写担持体上の濃度パッチを測定することにより、適正な測定結果が得られず、不適切な画像形成条件の調整を行ってしまうことを回避するためである。
【0005】
また、特開平11−202569号公報に開示されている技術では、転写担持体(中間転写ベルト)に潤滑剤を塗布するようにしている。この技術では、転写担持体の表面に赤外光を当てることによって拡散反射光を生じさせ、その拡散反射光の光量を検出してトナーの付着量を検出しており、転写担持体に潤滑剤を塗布することで転写担持体表面の微小な凹凸を減少させることで正確なトナー量を検出できるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平7−306553号公報に開示されている技術では、高湿度環境下で劣化した転写担持体を用いて画像形成を行う場合、濃度パッチを用いた画像調整が行われないため、画質調整された画像を得ることができなくなる。また、高湿度環境下でも画質調整された画像を得るためには、転写担持体を交換する必要があり、装置のメンテナンスコストの増大を招来することになる。
【0007】
また、上記特開平11−202569号公報に開示されている技術では、潤滑剤塗布装置が必要になり、画像形成装置の大型化やコストアップを招来することになる。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化やコストアップを抑えつつ、転写担持体等が多少劣化しても適正な画像形成条件の調整を行うことができる画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る画像形成装置は、表面に画像形成条件調整用の基準トナー像が形成される基準トナー像担持体と、基準トナー像担持体に形成された基準トナー像の濃度を検出する濃度検出部であり、検出結果が基準トナー像担持体の状態から影響を受ける濃度検出部とを備え、濃度検出部による基準トナー像の濃度の検出結果に基づいて画像形成条件を調整する画像形成装置であって、上記の課題を解決するために、基準トナー像担持体にトナー像が形成されていない状態において濃度検出部が基準トナー像担持体に対して濃度検出を行い、検出結果が予め定められた基準値となるように濃度検出部のゲインを調整するゲイン調整処理と、ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置に限らない位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出する第1の検出処理と、ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出する第2の検出処理とを実行可能であり、基準トナー像担持体の状態に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行することを特徴としている。
【0010】
上記の構成では、濃度検出部による検出結果に影響を及ぼす基準トナー像担持体の状態に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行する。ここで、基準トナー像担持体の状態がよく、その位置に応じた濃度検出結果への影響の変化が小さい場合には、第1の検出処理を選択することで、ゲイン調整処理を行った位置に限らない位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出し、画像形成条件の調整に用いればよい。これにより、基準トナー像を形成する位置の自由度が増し、処理時間の短縮を図ることができる。一方、基準トナー像担持体の状態が悪く、その位置に応じた濃度検出結果への影響の変化が大きい場合には、第2の検出処理を選択することで、ゲイン調整処理を行った位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出し、画像形成条件の調整に用いればよい。これにより、適切にゲイン調整された状態で正確な濃度検出が可能になる。
【0011】
このように、基準トナー像担持体の状態に応じて検出処理を選択することにより、処理時間や検出結果を考慮した処理の最適化を図ることができるとともに、基準トナー像担持体の状態が多少悪化しても使用できるため、基準トナー像担持体の寿命を延ばすことができる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、上記画像形成装置において、さらに、ゲイン調整処理後、基準トナー像担持体にトナー像が形成されていない状態において、ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置とは異なる位置に対して濃度検出部が濃度検出を行い、検出結果が基準値に対して予め定められた許容範囲に入っているか否かを調べる判定処理を少なくとも1回実行し、判定処理の結果に基づいて基準トナー像担持体の状態を判断し、その判断に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行することが好ましい。
【0013】
上記の構成では、基準トナー像担持体の状態を簡易な方法により判定することができる。また、第1の検出処理が選択された場合、判定処理にて検出した検出結果を第1の検出処理にて利用することができ、処理時間の短縮を図ることができる。なお、上記判定処理を実行する画像形成装置では、判定処理を予め定められた回数実行するまでに、判定処理での検出結果が許容範囲に入った場合、その判定処理を行った基準トナー像担持体の位置において第1の検出処理を実行すればよい。また、判定処理を予め定められた回数実行しても、何れの判定処理でも検出結果が許容範囲に入らない場合、第2の検出処理を実行すればよい。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、上記画像形成装置において、基準トナー像担持体が、記録シートを吸着し、トナー像を作像するトナー像作像部にて作像されたトナー像を吸着した記録シートに転写させるための記録シート担持体であってもよく、また、トナー像を作像するトナー像作像部にて作像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像をさらに記録シートに転写するための中間転写体であってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1から図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0016】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置としてのデジタルカラー複写機1の構成を示す内部構成図である。複写機本体の上面には、原稿台111および操作パネルが設けられ、複写機本体の内部に画像読み取り部110および画像形成部210が設けられている。
【0017】
原稿台111の上には、この原稿台111に対して開閉可能な状態で、原稿台111の面に対して所定の位置関係をもって両面自動原稿送り装置(RADF:Recircu1ating Automatic Document Feeder)112が装着されている。両面自動原稿送り装置112は、まず、原稿の一方の面が原稿台111の所定位置において画像読み取り部110に対向するように原稿を搬送し、この一方の面についての画像読み取りが終了した後に、他方の面が原稿台111の所定位置において画像読み取り部110に対向するように原稿を反転して原稿台111に向かって搬送するようになっている。そして、両面自動原稿送り装置112は、1枚の原稿について両面の画像読み取りが終了した後にこの原稿を排出し、次の原稿についての両面搬送動作を実行する。このような原稿の搬送および表裏反転の動作は、複写機全体の動作に関連して制御されるものである。
【0018】
画像読み取り部110は、両面自動原稿送り装置112により原稿台111上に搬送されてきた原稿の画像を読み取るために、原稿台111の下方に配置されている。画像読み取り部110は原稿台111の下面に沿って平行に往復移動する原稿走査体113・114、光学レンズ115、および光電変換素子であるCCDラインセンサ116を有している。この原稿走査体113・114は、第1の走査ユニット113および第2の走査ユニット114から構成されている。第1の走査ユニット113は原稿画像表面を露光する露光ランプと、原稿からの反射光像を所定の方向に向かって偏向する第1ミラーとを有し、原稿台111の下面に対して一定の距離を保ちながら所定の走査速度で平行に往復移動するものである。第2の走査ユニット114は、第1の走査ユニット113の第1ミラーにより偏向された原稿からの反射光像をさらに所定の方向に向かって偏向する第2および第3ミラーとを有し、第1の走査ユニット113と一定の速度関係を保って平行に往復移動するものである。光学レンズ115は、第2の走査ユニット114の第3ミラーにより偏向された原稿からの反射光像を縮小し、縮小された光像をCCDラインセンサ116上の所定位置に結像させるものである。CCDラインセンサ116は、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力するものである。CCDラインセンサ116は、白黒画像あるいはカラー画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのカラーCCDである。このCCDラインセンサ116により電気信号に変換された原稿画像情報は、さらに、図示しない画像処理部に転送されて所定の画像データ処理が施される。
【0019】
次に、画像形成部210の構成、および画像形成部210に関連する各部の構成について説明する。画像形成部210の下方には、用紙トレイ内に積載収容されている用紙(記録媒体、記録シート)Pを1枚ずつ分離して画像形成部210に向かって供給する給紙機構211が設けられている。そして1枚ずつ分離供給された用紙Pは、画像形成部210の手前に配置された一対のレジストローラ212によりタイミングが制御されて画像形成部210に搬送される。さらに、片面に画像が形成された用紙Pは、画像形成部210の画像形成にタイミングを合わせて画像形成部210に再供給搬送される。
【0020】
画像形成部210の下部には、転写搬送ベルト機構213が配置されている。転写搬送ベルト機構213は、駆動ローラ214と従動ローラ215との間に略平行に伸びるように張架された転写搬送ベルト216に用紙Pを静電吸着させて搬送する構成となっている。そして、転写搬送ベルト216の下側に近接して、濃度センサ(パターン画像検出センサ)232が設けられている。
【0021】
用紙搬送路における転写搬送ベルト機構213の下流側には、用紙P上に転写形成されたトナー像を用紙P上に定着させるための定着装置217が配置されている。この定着装置217の一対の定着ローラ間におけるニップ部を通過した用紙Pは、搬送方向切り換えゲート218を経て、排出ローラ219により複写機本体1の外壁に取り付けられている排紙トレイ220上に排出される。
【0022】
切り換えゲート218は、定着後の用紙Pの搬送経路を、複写機本体外へ用紙Pを排出する経路と、画像形成部210に向かって用紙Pを再供給する経路との間で選択的に切り換えるものである。切り換えゲート218により再び画像形成部210に向かって搬送方向が切り換えられた用紙Pは、スイッチバック搬送経路221を介して表裏反転された後、画像形成部210へと再度供給される。
【0023】
また、画像形成部210における転写搬送ベルト216の上方には、転写搬送ベルト216に近接して、第1の画像形成ステーションPa、第2の画像形成ステーションPb、第3の画像形成ステーションPc、および第4の画像形成ステーションPdが、用紙搬送経路の上流側から順に並設されている。
【0024】
転写搬送ベルト216は駆動ローラ214によって、図2において矢印Zで示す方向に摩擦駆動され、上述したように給紙機構211を通じて給送される用紙Pを把持し、用紙Pを画像形成ステーションPa〜Pdへと順次搬送する。
【0025】
各画像形成ステーションPa〜Pdは、実質的に同一の構成を有している。各画像形成ステーションPa〜Pdは、図2に示す矢印F方向に回転駆動される感光体ドラム222a・222b・222c・222dをそれぞれ含んでいる。各感光体ドラム222a〜222dの周辺には、感光体ドラム222a〜222dをそれぞれ一様に帯電する帯電器223a・223b・223c・223dと、感光体ドラム222a〜222d上に形成された静電潜像をそれぞれ現像する現像装置224a・224b・224c・224dと、現像された感光体ドラム222a〜222d上のトナー像を用紙Pへ転写する転写用放電器225a・225b・225c・225dと、感光体ドラム222a〜222d上に残留するトナーを除去するクリーニング装置226a・226b・226c・226dとが、感光体ドラム222a〜222dの回転方向(矢印F方向)に沿って順次配置されている。
【0026】
また、各感光体ドラム222a〜222dの上方には、レーザビームスキヤナユニット227a・227b・227c・227dがそれぞれ設けられている。レーザビームスキャナユニット227a〜227dは、画像データに応じて変調されたドット光を発する半導体レーザ素子(図示ぜず)、半導体レーザ素子からのレーザビームを主走査方向に偏向させるためのポリゴンミラー(偏向装置)240a・240b・240c・240d、ポリゴンミラー240a〜240dにより偏向されたレーザビームを感光体ドラム222a〜222d表面に結像させるためのfθレンズ241a・241b・241c・241d、ミラー242a・242b・242c・242d等から構成されている。レーザビームスキャナユニット227a〜227dには、カラー原稿画像における黒色成分像、シアン色成分像、マゼンタ色成分像、イエロー色成分像に対応する画素信号がそれぞれ入力される。
【0027】
これにより色変換された原稿画像情報に対応する静電潜像が各感光体ドラム222a〜222d上に形成される。そして、現像装置224aには黒色のトナーが、現像装置224bにはシアン色のトナーが、現像装置224cにはマゼンタ色のトナーが、現像装置224dにはイエロー色のトナーがそれぞれ収容されており、各感光体ドラム222a〜222d上の静電潜像は、これら各色のトナーにより現像される。これにより、画像形成部210にて色変換された原稿画像情報が各色のトナー像として再現される。
【0028】
第1の画像形成ステーションPaと給紙機構211との間には、用紙吸着用(ブラシ)帯電器228が設けられている。この用紙吸着用帯電器228は転写搬送ベルト216の表面を帯電させる。これにより、給紙機構211から供給された用紙Pは、転写搬送ベルト216上に確実に吸着させた状態で第1の画像形成ステーションPaから第4の画像形成ステーションPdの間をずれることなく搬送される。
【0029】
一方、第4の画像形成ステーションPdと定着装置217との間であり、駆動ローラ214のほぼ真上部分には除電器229が設けられている。この除電器には転写搬送ベルト216に静電吸着されている用紙Pを転写搬送ベルト216から分離するための交流電流が印加されている。
【0030】
上記構成のデジタルカラー複写機1においては、用紙Pとしてカットシート状の紙が使用される。この用紙Pは、給紙カセットから送り出されて給紙機構211の給紙搬送経路のガイド内に供給されると、その用紙Pの先端部分がセンサ(図示せず)にて検知され、このセンサから出力される検知信号に基づいて一対のレジストローラ212により一旦停止される。そして、用紙Pは各画像形成ステーションPa〜Pdの動作とタイミングをとって図2の矢印Z方向に回転している転写搬送ベルト216上に送られる。このとき転写搬送ベルト216には、上述したように用紙吸着用帯電器228により所定の帯電が施されているので、用紙Pは、各画像形成ステーションPa〜Pdを通過する間、安定して搬送供給される。
【0031】
各画像形成ステーションPa〜Pdにおいては、各色のトナー像が、それぞれ形成され、転写搬送ベルト216により静電吸着されて搬送される用紙Pの支持面上で重ね合わされる。第4の画像形成ステーションPdによる画像の転写が完了すると、用紙Pは、その先端部分から順次、除電用放電器により転写搬送ベルト216上から剥離され、定着装置217へと導かれる。そして、トナー像が定着された用紙Pは、用紙排出口(図示せず)から排紙トレイ220上へと排出される。
【0032】
なお、上述の説明ではレーザビームスキャナユニット227a〜227dによって、レーザビームを走査して露光することにより、感光体ドラム222a〜222dへの光書き込みを行なう。しかし、レーザビームスキャナユニット227a〜227dの代わりに、発光ダイオードアレイと結像レンズアレイからなる書き込み光学系(LEDヘッド)を用いてもよい。LEDヘッドはレーザビームスキャナユニットに比べ、サイズも小さく、また可動部分がなく無音である。よって、複数個の光書き込みユニットを必要とするタンデム方式のデジタルカラー複写機などの画像形成装置では、好適に用いることができる。
【0033】
転写搬送ベルト216の外側下方、つまり転写搬送ベルト216に対してレーザビームスキャナユニット227a〜227dが配置されている側とは反対側には、転写搬送ベルト216に転写形成された制御条件(画像形成条件)調整用の濃度パッチ(後述)の濃度を検出する濃度センサ232が設けられている。この濃度センサ232による濃度パッチの濃度検出結果により、画像形成部210の各部の制御条件を調整している。制御条件には、例えば帯電器223a〜223dによる感光体ドラム222a〜222dの表面電位、現像装置224a〜224dにおける現像バイアス電圧、転写用放電器225a〜225dによる転写バイアス電圧、レーザビームスキャナユニット227a〜227dにおける半導体レーザ素子のパワー、画像処理部における画像データの処理方法等が含まれる。転写搬送ベルト216に濃度センサ232が対向している部分の内側の部分付近には、転写搬送ベルト216に接触し外側に転写搬送ベルト216を押出すように2本のローラ231が設けられている。このローラ231により、濃度センサ232と転写搬送ベルト216との距離が常に安定に保たれるようになっている。また、画像形成部210には、環境センサ233が設置されており、複写機本体内部の温度や湿度を検出できるようになっている。環境センサ233は、複写機本体内部において、急激な温度変化や湿度変化がないプロセス部の近傍に設置されている。この環境センサ233の検出結果により、上記制御条件が補正されるようになっている。その他、画像形成枚数や交換可能な消耗品の使用時間等によっても上記制御条件が補正されるようになっている。
【0034】
なお、感光体ドラム222a〜222d、転写搬送ベルト216等を駆動するモータとしては、ステッピングモータを用いるのが好ましい。これにより、速度制御および位置制御をオープンループで高精度に行うことができ、各画像形成プロセスのタイミングについて容易に同期をとることができるようになる。
【0035】
上述した構成は、転写搬送ベルト216に吸着させた用紙Pに対して各色のトナー像を重ね合わせて転写させるものであったが、本実施形態に係る画像形成装置としてのデジタルカラー複写機は、図3に示すように中間転写ベルト216aに対して各色のトナー像を重ね合わせて転写させるものであってもよい。図3は、本実施形態に係る画像形成装置としての別のデジタルカラー複写機2の構成を示す内部構成図である。なお、図3に示したデジタルカラー複写機2の構成要素であって、図2に示したデジタルカラー複写機1の構成要素と同等の機能を有するものには、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0036】
デジタルカラー複写機2には、転写搬送ベルト216を有する転写搬送ベルト機構213の代わりに、中間転写ベルト216aを有する中間転写ベルト機構213aが設けられている。中間転写ベルト216aは、用紙Pを吸着するものではなく、中間転写ベルト216aの表面に対して直接各色のトナー像を重ね合わせて転写させるものである。中間転写ベルト216aに重ね合わされたトナー像は、用紙搬送ベルトユニット234にて搬送される用紙Pに対して、2次転写ローラ235の作用により転写される。用紙Pへの転写後に中間転写ベルト216aに残留するトナーは、クリーニング部材236aを有するクリーニングユニット236により除去される。このデジタルカラー複写機2では、濃度センサ232は中間転写ベルト216aの表面に形成された濃度パッチの濃度を検出するように、中間転写ベルト216aに対向して設けられている。
【0037】
なお、以下の説明は、主に図2に示したデジタルカラー複写機1を前提とするが、これらの説明は図3に示したデジタルカラー複写機2についても同様に成り立つ。デジタルカラー複写機2については、以下の説明における転写搬送ベルト216を中間転写ベルト216aに読み替えて解釈すればよい。
【0038】
なお、転写搬送ベルト(記録シート担持体)216は、用紙を吸着し、トナー像を作像する画像形成ステーションPa〜Pd(トナー像作像部)にて作像されたトナー像を、吸着した用紙に転写させるためのものである。また、中間転写ベルト(中間転写体)216aは、トナー像を作像する画像形成ステーションPa〜Pdにて作像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写するためのものである。転写搬送ベルト216および中間転写ベルト216aは、「転写担持体」ともいう。
【0039】
図4は、デジタルカラー複写機1における制御条件を調整するための構成を示すブロック図である。デジタルカラー複写機1は、制御部10を有している。制御部10には、トナー濃度検出部12、帯電部14、現像部16、転写部18、書込部20、環境検出部22、画像処理部24、およびメモリ26が接続されており、制御部10はこれらを制御するようになっている。トナー濃度検出部12、帯電部14、現像部16、転写部18、書込部20、および環境検出部22には、それぞれ濃度センサ232、帯電器223a〜223d、現像装置224a〜224d、転写用放電器225a〜225d、レーザビームスキャナユニット227a〜227d、および環境センサ233と、それらの周辺機器とが含まれる。
【0040】
トナー濃度検出部12は、転写搬送ベルト216上に形成された濃度パッチの濃度を濃度センサ232により検出する。環境検出部22は、環境センサ233によって複写機本体内部の温度や湿度を検出する。
【0041】
制御部10は、帯電部14に対して、帯電器223a〜223dとしての帯電チャージャのグリッドバイアス電圧を制御することで、感光体ドラム222a〜222dの表面電位を制御する。また、帯電器223a〜223dが接触型の帯電ローラ等の場合は、帯電器223a〜223dに印加する電圧を制御して感光体ドラム222a〜222dの表面電位を制御する。制御部10は、現像部16に対して、現像装置224a〜224dにおける現像ローラのバイアス電圧を制御して適正な現像が行われるようにする。制御部10は、転写部18に対して、図示しない転写用の高圧電源からの転写用放電器225a〜225dへの印加電圧の制御を行う。制御部10は、書込部20に対して、レーザビームスキャナユニット227a〜227dにおける半導体レーザ素子の光ビームパワーの制御を行う。制御部10は、画像処理部24に対して、中間調を有する画像を形成する場合に用いる中間階調テーブルを変更することで形成する画像のγカーブを制御し、良好な中間調画像の再現を維持させる。
【0042】
制御部10による上記の制御は、感光体ドラム222a〜222dに濃度パッチを形成したあと、その濃度パッチを転写搬送ベルト216に転写させ、トナー濃度検出部12によるその濃度パッチの濃度の検出結果に基づいて行われる。さらに、環境検出部22によるその時点での複写機本体内部の環境条件(温度や湿度)にも基づいて上記制御を行うことが好ましい。なお、制御条件の調整は上記のものに限られず、上記制御のうちの一部であってもよく、他の制御をさらに加えてもよい。
【0043】
以上のように、デジタルカラー複写機1は、表面に制御条件調整用の濃度パッチ(基準トナー像)が形成される転写搬送ベルト(基準トナー像担持体)216と、転写搬送ベルト216に形成された濃度パッチの濃度を検出するトナー濃度検出部(濃度検出部)12と、制御部10とを備えている。そして、デジタルカラー複写機1は、トナー濃度検出部12による濃度パッチの濃度の検出結果に基づいて制御部10により制御条件を調整するようになっている。
【0044】
なお、濃度パッチ(「パッチ画像」、「濃度パッチ画像」、「基準パッチ画像」ともいう。)とは、予め定められた画像データに基づいて各色ごとに形成されるトナー像であり、その画像データに応じた面積および一様な濃度を有するものである。この濃度パッチは、画像データに基づいて各感光体ドラム222a〜222dに形成され、転写搬送ベルト216にそれぞれ別々に転写される。
【0045】
ここで、トナー濃度検出部12の濃度センサ232は、発光素子および受光素子を有し、発光素子からの光を転写搬送ベルト216に対して照射し、その拡散反射光を受光素子によって受光し、その光量を測定するようになっている。そして、発光素子からの光が照射される転写搬送ベルト216上に濃度パッチが存在する場合、その濃度パッチの濃度に応じて受光素子にて受光される拡散反射光の光量が変化することを利用して、転写搬送ベルト216上の濃度パッチの濃度を検出するようになっている。このような濃度センサ232を用いた濃度検出では、検出結果が転写搬送ベルト216の状態によって影響を受け得る。これは、受光素子にて受光される拡散反射光には、転写搬送ベルト216の表面にて拡散反射されたものも含まれており、転写搬送ベルト216の表面における拡散反射は転写搬送ベルト216の状態、特に表面状態により変化するからである。
【0046】
この影響を抑えるためには、濃度パッチを形成する前に、その濃度パッチを形成すべき転写搬送ベルト216の部分に対して濃度検出を行い、その濃度検出結果(以下「素地データ」という。)を、濃度パッチに対して行った濃度検出の検出結果(以下「パッチデータ」という。)に反映させた上で、制御条件の調整に用いるようにすればよい。例えば、パッチデータと素地データとの比である(パッチデータ)/(素地データ)を用いればよい。以下では、この比を「相対データ」という。
【0047】
一方、上記のような濃度センサ232を有するトナー濃度検出部12は、そのゲインが適切に調整された状態で測定を行わないと、測定値におけるSN比が低下して適切な測定が行われないことがある。この問題を回避するためには、初期状態の測定である素地データの測定を行ってゲインを適切に調整する必要がある。転写搬送ベルト216が比較的新しく、劣化の程度が小さい場合には、転写搬送ベルト216の各部の状態が均一に近いため、ゲイン調整を行うための素地データを検出した部分とパッチデータを検出した部分とが異なっていてもほぼ適切な検出が可能となる。しかし、転写搬送ベルト216が長期間使用され、劣化の程度が大きくなった場合には、転写搬送ベルト216の各部の状態が不均一になるため、ゲイン調整を行うための素地データを検出した部分とパッチデータを検出した部分とが異なっていると適切な相対データが得られなくなるという問題が生じる。
【0048】
そこで、デジタルカラー複写機1では、転写搬送ベルト216にトナー像(濃度パッチを含む)が形成されていない状態において、トナー濃度検出部12が転写搬送ベルト216に対して濃度検出を行い、検出結果が予め定めた基準値となるようにトナー濃度検出部12のゲインを調整するゲイン調整処理と、ゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置に限らない位置に濃度パッチを形成してその濃度を検出する第1の検出処理と、ゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置に濃度パッチを形成してその濃度を検出する第2の検出処理と、を実行可能としており、転写搬送ベルト216の状態に応じて、第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行するようになっている。なお、上記のように、第1の検出処理ではゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置に限らない位置に濃度パッチを形成するが、これは、第1の検出処理ではゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置に濃度パッチを形成してもよく、ゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置とは異なる位置に濃度パッチを形成してもよいことを意味する。
【0049】
この構成では、トナー濃度検出部12による検出結果に影響を及ぼす転写搬送ベルト216の状態に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行する。ここで、転写搬送ベルト216の状態がよく、その位置に応じた濃度検出結果への影響の変化が小さい場合には、第1の検出処理を選択することで、ゲイン調整処理を行った位置に限らない位置に濃度パッチを形成してその濃度を検出し、制御条件の調整に用いればよい。これにより、濃度パッチを形成する位置の自由度が増し、例えば複数の濃度パッチを形成する場合等において処理時間の短縮を図ることができる。一方、転写搬送ベルト216の状態が悪く、その位置に応じた濃度検出結果への影響の変化が大きい場合には、第2の検出処理を選択することで、ゲイン調整処理を行った位置に濃度パッチを形成してその濃度を検出し、制御条件の調整に用いればよい。これにより、適切にゲイン調整された状態で正確な濃度検出が可能になる。
【0050】
このように、転写搬送ベルト216の状態に応じて検出処理を選択することにより、処理時間や検出結果を考慮した処理の最適化を図ることができるとともに、転写搬送ベルト216の状態が多少悪化しても使用できるため、転写搬送ベルト216の寿命を延ばすことができる。
【0051】
図1に基づいて具体的な処理の流れを説明する。図1は、デジタルカラー複写機1における制御条件調整処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
制御条件調整処理を開始すると、まず転写搬送ベルト216の回転を開始して転写搬送ベルト216を動作させる(ステップS1)。また、変数Nを1に設定する(ステップS2)。そして、転写搬送ベルト216の1周目のN番目(ここでは1番目)の位置に対してトナー濃度検出部12により素地データの濃度検出を行い、その検出結果に基づいてトナー濃度検出部12のゲイン調整を行う(ステップS3)。この処理が上記ゲイン調整処理に相当する。なお、「N番目の位置(L番目の位置)」とは、転写搬送ベルト216のある位置を1番目の位置とし、N(L)=2,3,…の順で所定間隔へだてて転写搬送ベルト216の回転方向に沿って定められた位置である。1番目の位置は転写搬送ベルト216上で常に定められた位置であってもよく、ステップS3の開始のタイミングに応じて変化する位置であってもよい。
【0053】
ここで、ゲイン調整の一例について説明する。トナー濃度検出部12は、例えば、素地データの測定において、濃度センサ232における受光素子にて拡散反射光が受光され、電気信号に変換されたときの電圧が、基準値D0である5Vとなるようにゲイン調整されるべきものである。この基準値D0は、トナー濃度検出部12の特性に基づいて予め定められるものであり、その後のパッチデータの測定においてSN比が適切な状態となるように定められる。なお、パッチデータの測定では、対象となる濃度パッチの濃度が大きくなるにつれて受光素子からの電気信号の電圧は低下する。ゲイン調整は、濃度センサ232の発光素子への供給電力を調整して発光素子での発光量を調整することにより行われる。
【0054】
ステップS3に続いて、変数Nが1だけインクリメントされ(ステップS4)、第1周目の第N番目(ここでは第2番目)の位置に対してトナー濃度検出部12により素地データの濃度検出を行い、その検出結果を素地データDとして記憶する(ステップS5)。そして、素地データDが予め定めた許容最大値Dmax未満であるか否か、素地データDが予め定めた許容最小値Dminを越えているか否かを判断する(それぞれステップS6,S7)。ここで、許容最大値Dmaxおよび許容最小値Dminは、基準値D0に対して予め定められている。つまり、ステップS6,S7では、素地データDが基準値D0に対して予め定められた許容範囲に入っているか否かが判断される。基準値D0が上記のように5Vである場合、例えば許容最大値Dmaxおよび許容最小値Dminはそれぞれ5.5Vおよび4.5Vである。
【0055】
ステップS6,S7において、素地データDが基準値D0に対して予め定められた許容範囲に入っていないと判断された場合、変数Nが1だけインクリメントされ、つまり、転写搬送ベルト216上の位置を下流側に隣接する位置に移して(ステップS8)、変数Nが予め定めた最大値Nmaxを越えたか否か、つまり、転写搬送ベルト216上の位置が所定の範囲内か否かが判断される(ステップS9)。なお、最大値Nmaxは、転写搬送ベルト216の1周を越えてN番目の位置が設定されないように予め定められている。また、最大値Nmaxは、第2の検出処理へ移行するタイミングを設定するパラメータとなるため、全体の処理時間を考慮して最大値Nmaxの値を設定することが好ましい。ステップS9において、変数Nが予め定めた最大値Nmaxを越えていないと判断されると、ステップS5に戻って以降のステップを繰り返す。
【0056】
ステップS6,S7において、素地データDが基準値D0に対して予め定められた許容範囲に入っていると判断された場合、N番目の位置へ濃度パッチを形成する(ステップS10)。そして、転写搬送ベルト216の2周目において、濃度パッチが形成されているN番目の位置に対してトナー濃度検出部12によりパッチデータの濃度検出を行い、その検出結果をパッチデータEとして記憶する(ステップS11)。このように、ステップS10,S11では、ゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置に限らない位置(ここではゲイン調整処理を行った位置とは異なる位置)に濃度パッチを形成してその濃度を検出する。つまり、このステップS10,S11は上記第1の検出処理に相当する。
【0057】
一方、ステップS9において、変数Nが予め定めた最大値Nmaxを越えていると判断されると、変数Lを2に設定する(ステップS12)。そして、転写搬送ベルト216の2周目のL番目(ここでは2番目)の位置に対してトナー濃度検出部12により素地データの濃度検出を行い、その検出結果に基づいてトナー濃度検出部12のゲイン調整を行う(ステップS13)。この処理も上記ゲイン調整処理に相当する。そして、ステップS13の検出結果にゲイン調整を施したものを素地データDとして記憶する(ステップS14)。この場合、素地データDは、基本的には基準値D0に対して予め定められた許容範囲に入っているはずであるが、ゲイン調整が適切に行われなかったときは許容範囲外となる。ゲイン調整が適切に行われたか否かがステップS6,S7と同様のステップS15,S16により判断され、許容範囲外である場合には、ステップS8と同様のステップS17により変数Lが1だけインクリメントされてステップS13に戻って以降のステップを繰り返す。
【0058】
ゲイン調整が適切に行われたことが確認されると、L番目位置へ濃度パッチを形成する(ステップS18)。そして、転写搬送ベルト216の3周目において、濃度パッチが形成されているL番目の位置に対してトナー濃度検出部12によりパッチデータの濃度検出を行い、その検出結果をパッチデータEとして記憶する(ステップS19)。このように、ステップS18,S19では、ゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置に濃度パッチを形成してその濃度を検出する。つまり、このステップS18,S19が上記第2の検出処理に相当する。
【0059】
このようにして得られた素地データDおよびパッチデータEに基づいて相対データE/Dを算出し、相対データE/Dに基づいて制御条件を調整する(ステップS20)。その後、転写搬送ベルト216の動作を停止して(ステップS21)、制御条件調整処理を終了する。
【0060】
なお、ステップS6,7やステップS15,S16における許容範囲を充分小さくしておくことにより、ステップS20において、相対データE/DによらずパッチデータEのみに基づいて制御条件を調整することもできる。
【0061】
以上の処理を模式的に示すと図5(a)〜図5(c)のようになる。図5(a)〜図5(c)は、デジタルカラー複写機1における制御条件調整のための濃度検出の流れを模式的に示した模式図であり、図5(a)は図1のステップS8を経由しない処理に対応し、図5(b)は図1のステップS8を経由するがステップS12を経由しない処理に対応し、図5(c)は図1のステップS12を経由する処理に対応している。なお、図5(a)〜図5(c)における矢印Zは、転写搬送ベルト216の回転方向を示している。また、図5(a)〜図5(c)では、転写搬送ベルト216と濃度センサ232との位置関係を明確にするために濃度センサ232を複数表している。図5(a)〜図5(c)では、太線のハッチングを付した部分が濃度パッチである。
【0062】
転写搬送ベルト216の劣化の程度が小さい場合には、ゲイン調整を行った1番目の位置と、2番目の位置との間で転写搬送ベルト216の状態がほぼ等しいため、2番目の位置での素地データDが許容範囲に入る。したがって、その2番目の位置に濃度パッチを形成してパッチデータEを測定することで、適切なSN比を有する信号を検出して適切な検出結果を得ることができる(図5(a))。転写搬送ベルト216の劣化の程度がやや大きい場合には、1番目の位置と2番目の位置との間で転写搬送ベルト216の状態が異なっていることがあり、2番目の位置での素地データDが許容範囲に入らずエラーとなる場合がある。この場合でも、他の位置、例えば3番目の位置での素地データDは許容範囲に入ることがある。このような場合には、その3番目の位置に濃度パッチを形成してパッチデータEを測定することで、適切なSN比を有する信号を検出して適切な検出結果を得ることができる(図5(b))。転写搬送ベルト216の劣化の程度が大きい場合には、1番目の位置と他の任意の位置との間で転写搬送ベルト216の状態が異なっていることがあり、他のすべての位置での素地データDが許容範囲に入らずエラーとなる場合がある。この場合、2番目の位置で再度ゲイン調整を行い、ゲイン調整を行った2番目の位置に濃度パッチを形成してパッチデータEを測定することで、適切なSN比を有する信号を検出して適切な検出結果を得ることができる(図5(c))。
【0063】
なお、ここでは1つの濃度パッチに対して濃度検出を行い、その検出結果に基づいて制御条件を調整する場合について説明したが、実際にはトナーの色ごとに濃度パッチを形成して、各色の濃度パッチに対して濃度検出を行い、各検出結果に基づいて制御条件を調整することが多い。このような場合には、ステップS5以降を適宜繰り返し、例えば2番目の位置で黒色のトナーのパッチデータEbを、3番目の位置でシアン色のトナーのパッチデータEcを、4番目の位置でマゼンタ色のトナーのパッチデータEmを、5番目の位置でイエロー色のトナーのパッチデータEyを、それぞれ検出するようにすればよい。上記の処理では、転写搬送ベルト216の劣化の程度が小さい場合には、ゲイン調整を各色ごとに行わず、例えば1回のゲイン調整で各色のパッチデータEを検出することができ、処理時間の短縮を図ることができる。各位置で素地データがDが許容範囲に入らない場合は、その位置をとばして各色のパッチデータEを検出する位置を順次ずらしていけばよい。
【0064】
上記の処理では、ゲイン調整処理(ステップS3)後、転写搬送ベルト216にトナー像(濃度パッチを含む)が形成されていない状態において、ゲイン調整処理を行った転写搬送ベルト216の位置とは異なる位置に対してトナー濃度検出部12が濃度検出を行い、検出結果(素地データD)が基準値D0に対して予め定めた許容範囲(許容最小値Dmin〜許容最大値Dmax)に入っているか否かを調べる処理(ステップS5,S6,S7)を行っている。この処理を判定処理という。この判定処理を少なくとも1回、多くともNmax回実行し、判定処理の結果に基づいて転写搬送ベルト216の状態を判断し、その判断に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行している。これによると、転写搬送ベルト216の状態を簡易な方法により判定することができる。また、第1の検出処理が選択された場合、判定処理にて検出した素地データDを第1の検出処理にて利用することができ、処理時間の短縮を図ることができる。
【0065】
具体的には、判定処理を予め定めた回数(Nmax回)実行するまでに判定処理での検出結果が許容範囲に入った場合、その判定処理を行った転写搬送ベルト216の位置において第1の検出処理を実行すればよい。また、判定処理を予め定めた回数(Nmax回)実行しても、何れの判定処理でも検出結果が許容範囲に入らない場合、第2の検出処理を実行すればよい。
【0066】
なお、転写搬送ベルト216の状態の判断は、上記判定処理の結果に基づく方法に限らず、転写搬送ベルト216の使用期間や使用回数等に基づいて行ってもよい。
【0067】
上記制御条件調整処理は、デジタルカラー複写機1の電源が投入された直後に行うようになっている。さらに、電源が投入されてから2時間ごとに制御条件調整処理を行うようにしてもよい。また、用紙のプリント枚数が所定の枚数、例えば200枚に達するごとに制御条件調整処理を行うようにしてもよい。これらの場合、デジタルカラー複写機1は、電源投入からの時間を測定するタイマや、感光体ドラム222a〜222dの回転数または用紙のプリント枚数をカウントするカウンタを必要に応じて備える。
【0068】
なお、本実施形態では転写搬送ベルト216に形成された濃度パッチに対して濃度検出を行う場合について説明したが、転写搬送ベルト216に転写される前の感光体ドラム222a〜222dに形成された濃度パッチに対して濃度検出を行う構成としてもよい。この場合、感光体ドラム222a〜222dが基準トナー像担持体となる。
【0069】
以上のように、デジタルカラー複写機1は、画質調整のための調整工程の動作方法を転写担持体(転写搬送ベルト216、中間転写ベルト216a)の表面状態に応じて異ならせ、良好な画質調整を可能としたものである。デジタルカラー複写機1は、像担持体(感光体ドラム222a〜222d)に形成されたテスト用のパッチ画像(濃度パッチ)を転写担持体に転写しその後、前記転写担持体に転写されたパッチ画像の濃度を検出器(トナー濃度検出部12)で測定することにより画質調整を行うものであって、前記検出器により検出される前記転写担持体の表面状態に応じて、画質調整方法を異ならせている。これによれば、転写担持体の表面状態に応じて画質調整方法を異ならせることにより、転写担持体の表面状態が変化しても良好な画質調整を行うことができる。
【0070】
また、デジタルカラー複写機1は、前記転写担持体の状態の検出を、前記検出器による前記転写担持体の素地レベルを測定し発生する測定エラーの回数に応じて行ってもよい。これによれば、転写担持体の素地レベルを検出し測定エラーの発生回数を検出することで、転写担持体の表面状態を容易に検出することができる。
【0071】
また、デジタルカラー複写機1は、測定エラーの回数が所定回数以下の場合に、転写担持体の素地を基準に設定したゲインにて素地レベルを測定し、測定時に測定エラーの発生しない箇所にパッチ画像を形成し、前記測定された素地レベルを基準に前記パッチ画像の濃度を測定することにより画質調整を行ってもよい。これによれば、測定エラーの発生しない箇所にパッチ画像を形成するため、パッチ画像の濃度測定が良好に行えるとともに画質調整の実施時間を短くできる。
【0072】
また、デジタルカラー複写機1は、測定エラーの回数が所定回数を超える場合に、検出器に対して転写担持体の素地を基準に複数箇所のゲインを設定し、ゲインが設定された前記転写担持体の各々の箇所の素地レベルを測定後、前記各々の箇所にパッチ画像を形成し、前記各々測定された素地レベルを基準に前記各々の箇所のパッチ画像の濃度を検出することにより画質調整を行ってもよい。これによれば、転写担持体の表面状態が多少悪化した状態であっても良好なパッチ画像の濃度測定が行うことが可能となり、転写担持体の使用出来る期間を延長することができ、装置のメンテナンスコストを低減させることができる。
【0073】
また、デジタルカラー複写機1は、前記転写担持体が、表面に記録シートを担持させ像担持体に形成された画像を前記記録シート(用紙P)に転写させることにより画像形成を行う転写搬送担持体(転写搬送ベルト216)であってもよい。これによれば、転写担持体に転写シートを担持させることによりキズがつきやすい転写搬送担持体においても、良好なパッチ画像の測定による画像調整が行え、転写搬送担持体を長期間にわたって使用することができる。
【0074】
また、デジタルカラー複写機1は、前記転写担持体が、表面に像担持体に形成された画像を一時的に転写搬送し、さらに記録シートに転写させることにより画像形成を行う中間転写担持体(中間転写ベルト216a)であってもよい。これによれば、中間転写担持体においても、良好なパッチ画像の測定による画像調整が行え、転写搬送担持体を長期間にわたって使用することができる。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、基準トナー像担持体と、濃度検出部とを備え、濃度検出部による基準トナー像の濃度の検出結果に基づいて画像形成条件を調整する画像形成装置であって、基準トナー像担持体にトナー像が形成されていない状態において濃度検出部が基準トナー像担持体に対して濃度検出を行い、検出結果が予め定められた基準値となるように濃度検出部のゲインを調整するゲイン調整処理と、ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置に限らない位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出する第1の検出処理と、ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出する第2の検出処理とを実行可能であり、基準トナー像担持体の状態に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行する構成である。
【0076】
上記の構成では、濃度検出部による検出結果に影響を及ぼす基準トナー像担持体の状態に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行する。ここで、第1の検出処理を選択することで、ゲイン調整処理を行った位置に限らない位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出し、画像形成条件の調整に用いればよい。これにより、基準トナー像を形成する位置の自由度が増し、処理時間の短縮を図ることができる。一方、第2の検出処理を選択することで、ゲイン調整処理を行った位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出し、画像形成条件の調整に用いればよい。これにより、適切にゲイン調整された状態で正確な濃度検出が可能になる。
【0077】
したがって、基準トナー像担持体の状態に応じて検出処理を選択することにより、処理時間や検出結果を考慮した処理の最適化を図ることができるとともに、基準トナー像担持体の状態が多少悪化しても使用できるため、基準トナー像担持体の寿命を延ばすことができる。
【0078】
本発明に係る画像形成装置は、上記画像形成装置において、さらに、ゲイン調整処理後、ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置とは異なる位置に対して濃度検出部が濃度検出を行い、検出結果が基準値に対して予め定められた許容範囲に入っているか否かを調べる判定処理を少なくとも1回実行し、判定処理の結果に基づいて基準トナー像担持体の状態を判断することが好ましい。
【0079】
上記の構成では、第1の検出処理が選択された場合、判定処理にて検出した素地データDを第1の検出処理にて利用することができ、処理時間の短縮を図ることができる。
【0080】
本発明に係る画像形成装置は、上記画像形成装置において、基準トナー像担持体が、記録シート担持体であってもよく、中間転写体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置としてのデジタルカラー複写機における制御条件調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置としてのデジタルカラー複写機の構成を示す内部構成図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置としての別のデジタルカラー複写機の構成を示す内部構成図である。
【図4】図2のデジタルカラー複写機における制御条件を調整するための構成を示すブロック図である。
【図5】図2のデジタルカラー複写機における制御条件調整のための濃度検出の流れを模式的に示した模式図であり、(a)は図1のステップS8を経由しない処理に対応し、(b)は図1のステップS8を経由するがステップS12を経由しない処理に対応し、(c)は図1のステップS12を経由する処理に対応している。
【符号の説明】
1 デジタルカラー複写機
2 デジタルカラー複写機
10 制御部
12 トナー濃度検出部(濃度検出部)
14 帯電部
16 現像部
18 転写部
20 書込部
22 環境検出部
24 画像処理部
26 メモリ
216 転写搬送ベルト(基準トナー像担持体、記録シート担持体)
216a 中間転写ベルト(基準トナー像担持体、中間転写体)
232 濃度センサ
233 環境センサ
P 用紙(記録シート)
Pa〜Pd 画像形成ステーション(トナー像作像部)

Claims (6)

  1. 表面に画像形成条件調整用の基準トナー像が形成される基準トナー像担持体と、基準トナー像担持体に形成された基準トナー像の濃度を検出する濃度検出部であり、検出結果が基準トナー像担持体の状態から影響を受ける濃度検出部とを備え、濃度検出部による基準トナー像の濃度の検出結果に基づいて画像形成条件を調整する画像形成装置であって、
    基準トナー像担持体にトナー像が形成されていない状態において濃度検出部が基準トナー像担持体に対して濃度検出を行い、検出結果が予め定められた基準値となるように濃度検出部のゲインを調整するゲイン調整処理と、
    ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置に限らない位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出する第1の検出処理と、
    ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置に基準トナー像を形成してその濃度を検出する第2の検出処理とを実行可能であり、
    基準トナー像担持体の状態に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    ゲイン調整処理後、基準トナー像担持体にトナー像が形成されていない状態において、ゲイン調整処理を行った基準トナー像担持体の位置とは異なる位置に対して濃度検出部が濃度検出を行い、検出結果が基準値に対して予め定められた許容範囲に入っているか否かを調べる判定処理を少なくとも1回実行し、
    判定処理の結果に基づいて基準トナー像担持体の状態を判断し、その判断に応じて第1の検出処理または第2の検出処理を選択して実行することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2に記載の画像形成装置において、
    判定処理を予め定められた回数実行するまでに、判定処理での検出結果が許容範囲に入った場合、その判定処理を行った基準トナー像担持体の位置において第1の検出処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項2に記載の画像形成装置において、
    判定処理を予め定められた回数実行しても、何れの判定処理でも検出結果が許容範囲に入らない場合、第2の検出処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置において、
    基準トナー像担持体は、記録シートを吸着し、トナー像を作像するトナー像作像部にて作像されたトナー像を吸着した記録シートに転写させるための記録シート担持体であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置において、
    基準トナー像担持体は、トナー像を作像するトナー像作像部にて作像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像をさらに記録シートに転写するための中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
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