JP3909565B2 - 液晶装置及び電子機器と液晶装置の製造方法 - Google Patents

液晶装置及び電子機器と液晶装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置と電子機器に係り、特に凹凸部を有する反射面を備えた反射型あるいは半透過反射型の液晶装置及びそれを備えた電子機器と液晶装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の液晶表示装置において、液晶パネルの裏面側に配置された光源から発せられた光が液晶パネルを通過し観察者側に放出されるタイプの透過型液晶表示装置と、観察者側から太陽光や照明光などの外光が液晶パネル内に入射され、液晶パネル内において反射され、観察者側に放出されるタイプの反射型液晶表示装置が知られている。また、明所では外光を利用する反射型で表示を行い、暗所では内蔵された光源を利用する透過型で表示を行う半透過反射型液晶表示装置も知られている。
【0003】
反射型液晶表示装置は消費電力の大きい光源がなくても表示が可能であり、低消費電力であること、光源を内蔵しないため軽量化が可能であること、太陽光の存在する屋外でも視認性が高いことなどの利点を有し、携帯型電子機器などを中心に広く普及している。
この種の反射型液晶表示装置は、観察者側から見て液晶層の下側に反射層を備え、外側から入射された外光が液晶層を通過した後に反射層で反射され、再度液晶層を通過した後に液晶パネルの外部に放出され、観察者の目に到る。
このとき、液晶表示装置に対し、外光の入射方向から特定の正反射方向には光の反射率が高まるが、反射層が鏡面であることに起因し、正反射方向を外れた方向では表示の明るさが低下し、良好に観察され難いという問題点があった。
そこで、この問題を解決するために、反射層に多数の微細な凹凸を形成することにより、反射層表面で光を反射し散乱させる構成の内面散乱方式の反射型液晶表示装置が開発されている。
【0004】
この種の内面散乱方式の液晶表示装置においては、観察者側から入射した外光は反射層で反射された後に観察者の目に到るが、反射層表面には凹凸が形成されているため、反射層表面で反射される際に光は散乱される。従って、液晶表示装置において、正反射方向の光の他に他の方向の散乱光も利用できるため、正反射方向以外の方向で観察者に視認される光強度は増大し、明るい表示となる。
【0005】
この種の液晶表示装置用の凹凸部を有する反射層の製造方法の一例が特開平4−243226号公報に開示されている。この特許公報に開示された技術によれば、まず、基板上に光感光性のレジスト層を塗布し、フォトマスクを用いてレジスト層を露光した後、現像することによりレジスト材料からなる多数の微細な凸部を形成する。次に全体を120〜250℃に加熱することにより各凸部の上部を丸め、その後に角が丸められた凸部上に反射膜を形成することで反射板を得ている。そして、この反射板を液晶パネルの一方の基板に組み込むことで反射型の液晶パネルを構成することができ、この構成の反射板を備えた液晶パネルにあっては、反射光の角度依存性が少ない液晶表示装置が得られると記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この種の凹凸部を反射層に備えた反射型の液晶表示装置にあっては、反射層の凹凸部を液晶パネル基板の全面に形成するわけではなく、液晶パネルの表示領域にのみ形成していた。これは、液晶表示装置が一対の基板間に液晶層を挟持した状態でシール材により貼り合わされる構成とされ、一対の基板間の間隔、いわゆるセルギャップを厳格に規定する必要があることから、基板周縁部に配置されたシール材の部分にまで凹凸部が形成されていると、凹凸部に影響されてセルギャップを一定にできないためである。
ところが、液晶パネルの表示領域に凹凸部を多数有し、液晶パネル周縁部のシール材による貼り合わせ部分に凹凸部が形成されていない構造、例えば特開平4−243226号公報に開示されてに構造おいては、シール材による貼り合わせ部分を平坦面とはしているが、凹凸部のほぼ底の部分に平坦部を位置させた構造とし、この平坦部と凹凸部の凸部上側部分とでは、セルギャップが大幅に異なる構造になっているので、液晶表示に悪影響を与えるおそれがあった。
【0007】
ここで、液晶層の液晶は液晶パネルの表示領域に配置された電極により駆動されるので、電極の配置されていない非表示領域、例えば、表示領域の外側の例えばシール材の近傍領域においてはセルギャップが多少ずれていたとしても表示に悪影響はないように思われる。ところが、液晶パネルの基板間の表示領域の外側の、例えばシール材近傍にも液晶は存在しているので、この領域に存在している液晶が、電極により駆動される表示領域における液晶と異なる配向状態であると、表示領域の外側の例えばシール材近傍の配向状態の悪い液晶に影響されて表示領域の液晶の配向状態にも悪影響を及ぼすおそれがある。
例えば、液晶は電極が発生させた電界による駆動力によって配向制御された状態と、電界が印加されていない状態での基板側の配向膜からの配向制御力による状態との切り替えにより表示、非表示が切り替えられるが、特に配向膜の配向制御力により白表示がなされるノーマリーホワイト表示の場合に、シール材近傍の配向状態の悪い液晶に影響されて表示領域の液晶の配向状態が微妙に影響を受けると、白表示状態において完全な白色ではなく、例えば多少色が付いた白色表示となってしまい、表示品質が劣化するおそれがある。
そしてこの問題は、携帯電話等の液晶表示装置に多様されているパッシブマトリクス型のようなセルギャップの大小に表示の影響を受け易い液晶表示装置においては特に影響を受け易いものと思われる。
【0008】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、セルギャップの制御が容易になり、安定した表示品質の高い液晶装置の提供を目的とする。
本発明は、凹凸部のない平坦部を表示領域の外側の基板周縁部側に配置でき、引き廻し配線に断線を生じ難い、また、シール材の接合強度の高い液晶装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の液晶装置は、シール材を介して互いに貼り合わされ、液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶装置であって、前記一対の基板の液晶層側に液晶を駆動する電極層が形成されるとともに、前記シール材に囲まれた領域内であって前記電極層の形成領域に対応して表示領域が構成され、前記一方の基板と液晶層との間に下地層が配置されてなり、前記表示領域において、前記下地層は前記液晶層に向けた凹凸部を有し、前記凹凸部の上に反射層が配置されてなり、前記表示領域の外側に位置する部分において前記下地層は前記凹凸部を有さない平坦部を有し、前記平坦部には前記電極層に接続された引き回し配線と前記シール材が配置されてなり、前記凹凸部の最大高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置に前記平坦部が位置されてなることを特徴とする。
【0010】
光反射層の下の凹凸部の最大高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置に平坦部が位置されているので、凹凸部と平坦部の高さとの間に高低差、段差が少ない。これにより、一対のパネルをシール材を介して貼り合わせる場合にシール材の位置する部分を平坦部にできるので、シール材の部分にまで凹凸部を形成していた構造に比較すると、シール材近傍を含めた平坦部側での液晶層の厚さと、凹凸部を有する表示領域での液晶層の厚さとの差異を少なくできる結果、セルギャップを均一化でき、凹凸部上に反射層を有する液晶表示装置においても液晶の表示状態に悪影響を生じない信頼性の高い液晶装置を提供できる。
また、シール材の内側の平坦部においては引き廻し配線用の配線領域とすることができ、この配線部分においても凹凸部と大きな高低差、段差を生じないので、引き廻し配線部分におけるセルギャップの均一化を図ることができ、引き廻し配線自体に断線を生じ難くできる。
【0011】
本発明は、前記一方の基板の液晶層側に下地層が形成され、前記下地層の液晶層側の面の表示領域に対応する部分に前記凹凸部が形成されるとともに、少なくとも前記表示領域の外側に位置する下地層の前記液晶層側の面に前記平坦部が形成され、前記表示領域に相当する部分の下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成されてなることを特徴とする。
光反射層を兼ねる金属製の電極が形成されていることで、反射型の液晶表示が可能となる。金属製の電極であるならば、下地層の凹凸部上に薄い膜厚で形成可能であるので、下地層の凹凸部に合わせた形状の反射面が得られる。従って反射表示の際に反射光を散乱光とすることができ、反射表示状態において正反射方向のみならず、正反射方向とは若干異なる方向、例えば正反射方向を含めた幅をもった広い範囲においてより明るい表示形態が得られる。
また、金属製の電極であるならば、下地層の凹凸部上に薄い膜厚で形成可能であること、下地層に形成された平坦部上にシール材を位置させることでシール材近傍を含めた平坦部側での液晶層の厚さと、凹凸部を有する表示領域での液晶層の厚さとの差異を少なくできることが相俟って、セルギャップをより均一化することができ、凹凸部上に反射層を兼ねる電極を有する液晶表示装置においても液晶の表示状態に悪影響を生じない信頼性の高い液晶装置を提供できる。
【0012】
本発明は、前記他方の基板あるいは前記一方の基板の液晶層側の面にカラーフィルタが積層されてなることを特徴とする。
カラーフィルタを備えたカラー表示タイプの液晶装置ではセルギャップに不均一性を有すると、カラー表示に対する影響が大きく、観察者が色ずれや色にじみなどとして容易に知覚するので、セルギャップを均一化することによる表示品質の向上効果が明瞭に発揮される。
また、ノーマリーホワイト表示状態のように、配向膜の配向規制力によって液晶が配向されている場合、表示領域外に存在する液晶の配向乱れが表示領域における液晶の配向に悪影響を及ぼすことも考えられるが、凹凸部を有する表示領域と平坦部を有する表示領域以外の部分において、凹凸部の最大高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置に平坦部を設けて高低差、段差をできる限り少なくしてセルギャップを均一化しているので、表示領域外での液晶の配向に特に影響を受け易いノーマリーホワイト表示形態でカラー表示する場合などにおいもセルギャップを均一化することにより表示品質の高い表示が容易に得られる。
【0013】
本発明は、一方の基板側の電極層と他方の基板側の電極層とが平面視直交状態に複数配置され、基板間にスーパーツイステッド型のネマチック液晶が挟持されてなることを特徴とする。
一方の基板側の電極層と他方の基板側の電極層とが平面視直交状態に複数配置され、基板間にスーパーツイステッド型のネマチック液晶が挟持されてなる構造の液晶装置では特にセルギャップの不均一性による表示への影響が大きいので、本発明構造が有利となり、セルギャップの均一化に伴って表示品質の高い液晶装置が得られる。
【0014】
本発明は、前記一方の基板と他方の基板の液晶層側に各々配向膜が形成されるとともに、前記一方の基板の配向膜と前記他方の基板の配向膜との間にスペーサーが介在されて両基板間のセルギャップが規定されてなることを特徴とする。
基板間にスペーサーが介在されて基板間のセルギャップが厳格に規定される液晶装置の構造の場合においても、凹凸部を有する表示領域とその外側の平坦部を有する領域での段差が少なく、セルギャップの均一化が図れる結果、スペーサーによるギャップむらの是正が確実になされ、表示品質の高い液晶装置が提供される。
【0015】
本発明は、前記一方の基板の液晶層側に下地層が形成され、前記下地層の液晶層側の面の前記表示領域に対応する部分に前記凹凸部が形成されるとともに、前記表示領域の外側に位置する下地層の前記液晶層側の面に前記平坦部が形成され、少なくとも前記表示領域に相当する部分の下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成され、前記下地層の平坦部上に直接シール材が配置され、前記基板間にスーパーツイステッド型のネマチック液晶が挟持され、前記凸部が断面積非対称、かつ、面積の広い緩斜面と面積の小さな急斜面からなる平面楕円形状とされ、前記凸部が高さ1.5μm以下、楕円の長軸方向の径が10μm以内、短軸方向の径が1μm以上とされ、垂線に対する一方向側から25度の入射角度で光を入射した際の正反射方向での光の反射率を100%とした場合に、正反射方向での反射率に対して±10度の範囲内で明るさが30%を示すことを特徴とする。
一対の基板を接合一体化するためのシール材の部分に平坦部を位置させてその上に直接シール材を配置することで、シール材部分に凹凸が存在する構造よりもシール材の接合部分を平坦にすることができ、シール材と基板側との密着性を良好にできる。また、シール材の接合部分に凹凸部が存在すると液晶装置の組み立て時にシール材と基板との間に気泡がまき込まれ易くなり、シール材接合部分の信頼性低下につながりかねないが、シール材の下が平坦部であるとこのような問題も生じない。従ってシール材を介して一対の基板が対向状態で接合されてなる液晶装置の信頼性が向上する。
前記基板の平坦部に設けられた引き廻し配線がシール材の外側に引き出されて前記基板の平坦部に沿って配線され、前記基板の一側端部の平坦部上に設けられた液晶駆動用の半導体素子に接続され、前記下地層上に平坦化膜としての配向膜が形成されてなることを特徴とする。
【0016】
本発明は、前記下地層の平坦部上に前記電極用の引き廻し配線が形成されてなることを特徴とする。
電極用の引き廻し配線が平坦部上に配線されることで、凹凸部上に配線する構造よりも引き廻し配線形成が容易となる。また、凹凸部上に引き廻し配線が形成されていると、凹凸部の起伏に起因して引き廻し配線の膜厚にムラが生じやすく、成膜時の断線等のおそれも高くなるが、平坦部上に引き廻し配線が形成されているとこのような問題も生じない。
【0017】
本発明は、前記凹凸部の表面が曲面状に加工されるとともに、前記凹凸部が感光性樹脂を階調露光して現像することにより得られた段部を加熱して得られた曲面からなることを特徴とする。
凹凸部の表面が曲面状に加工されていることで、光反射性の電極にも曲面状の凹凸が形成され、これらの曲面により広い範囲に光が散乱され、光散乱効果が向上する。即ち、反射表示している場合に散乱光を有効に利用できるので、正反射方向のみならず、より広い領域において明るい表示形態が得られ易い。
【0018】
本発明は、前記各凹凸部に傾斜面が形成され、前記各凹凸部の傾斜面が特定の方向に揃えられてなる。
凹凸部の傾斜面を特定の方向に向けることで、特定の方向に光を集めることができ、光を集めた方向により明るい表示形態の液晶装置を得ることができる。従って反射表示を行う場合に正反射方向のみならず、正反射方向とは異なる特定の方向においてもより明るい表示形態を得ることができる。
【0019】
本発明は、前記下地層の凹凸部が樹脂の型押しにより形成されてなることを特徴とする。
樹脂の型押しにより形成された凹凸部であるならば、特定の型を製造して型押しにより簡単に樹脂層に凹凸部を形成できる。従って、フォトリソグラフィ法による凹凸部の形成よりも型押しにより簡便かつ大量に凹凸部を形成できる。よって凹凸部を有する反射型の液晶装置の製造工程を簡略化することができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0020】
本発明は、前記光反射性の電極層が半透過反射膜とされてなることを特徴とする。
電極層が半透過反射膜からなる構成の半透過反射型の液晶表示装置に本発明を適用することができ、これにより、セルギャップを均一化した表示品質の高い半透過反射型の液晶表示装置が得られる。また、先のいずれかの構造を採用してなる半透過反射型の液晶表示装置であるならば、先に記載した種々の作用を奏する半透過反射型の液晶表示装置が提供される。
【0021】
本発明の電子機器は、先に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする。
この電子機器によれば、先の種々の特徴を備えた液晶装置を備え、セルギャップの均一化に伴う表示品質の高い表示が得られる電子機器を提供できる。
本発明の液晶装置の製造方法は、シール材を介して互いに貼り合わされ、液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶装置であって、前記一対の基板の液晶層側に液晶を駆動する電極層が形成されるとともに、前記シール材に囲まれた領域内であって前記電極層の形成領域に対応して表示領域が構成され、前記一方の基板と液晶層との間に下地層が配置されてなり、前記表示領域において、前記下地層は前記液晶層に向けた凹凸部を有し、前記凹凸部の上に反射層が配置されてなり、前記表示領域の外側に位置する部分において前記下地層は前記凹凸部を有さない平坦部を有し、前記平坦部には前記電極層に接続された引き回し配線と前記シール材が配置されてなり、前記凹凸部の最大高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置に前記平坦部が位置されてなり、少なくとも前記表示領域に相当する部分の下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成されてなる液晶装置を製造するに際し、
基板上に感光性レジストを塗布し、該感光性レジストに個々に階調毎に異なるパターン形状のハーフトーンマスクを用いて複数回露光し、現像することにより、複数段の段差を有する感光性レジストからなり、断面形状が非対称で面積の広い緩斜面と面積の狭い急斜面を有する指向性を有する光反射性の凸部を複数形成し、その後に本焼成して感光性レジストを硬化させて複数の凸部を形成した後、光反射率の高い金属膜を形成して光反射性の電極層とするとともに、
この後に配向膜を形成し、他方の基板との張り合わせて液晶注入を行うことを特徴とする。
本発明の液晶装置の製造方法において、前記複数段の段差を有する感光性レジストからなり、断面形状が非対称で面積の広い緩斜面と面積の狭い急斜面を有する指向性を有する光反射性の凸部を複数形成した後、熱処理することにより感光性レジストの一部をリフローさせ、前記凸部の段差をなだらかな曲面とした凸部とした後に本焼成することを特徴とする方法でも良い。
本発明の液晶装置の製造方法において、先に記載の液晶装置として、前記一方の基板の液晶層側に下地層が形成され、前記下地層の液晶層側の面の前記表示領域に対応する部分に前記凹凸部が形成されるとともに、前記表示領域の外側に位置する下地層の前記液晶層側の面に前記平坦部が形成され、少なくとも前記表示領域に相当する部分の下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成され、前記下地層の平坦部上に直接シール材が配置され、前記基板間にスーパーツイステッド型のネマチック液晶が挟持され、前記凸部が断面積非対称、かつ、面積の広い緩斜面と面積の小さな急斜面からなる平面楕円形状とされ、前記凸部が高さ1.5μm以下、楕円の長軸方向の径が10μm以内、短軸方向の径が1μm以上とされ、垂線に対する一方向側から25度の入射角度で光を入射した際の正反射方向での光の反射率を100%とした場合に、正反射方向での反射率に対して±10度の範囲内で明るさが30%を示す液晶装置を適用することを特徴とする製造方法でも良い。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係る実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明するが、本発明が以下の実施の形態に限定されるものではないのは勿論である。また、以下に説明する各実施の形態においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材の膜厚や寸法の比率は実際のものとは異なるように表している。
【0023】
「第1の実施の形態」
図1〜図3は本発明に係る第1の実施の形態の液晶表示装置(液晶装置)を示すもので、図1は液晶表示装置の全体構成を示す平面図、図2は図1のB−B’線に沿う断面図、図3は図1のC−C’線に沿う断面図である。
この形態の液晶表示装置Aは、パッシブマトリクスタイプの反射型の液晶表示装置に本発明を適用した一例であり、上下一対のほぼ平行に対向配置された平面視ほぼ矩形状の基板1、2と、これらの基板1、2の周縁部に設けられて両基板1、2を接合一体化するためのシール材3と、先の基板1、2とシール材3とに囲まれた空間に封入されて基板1、2によって挟持された液晶層4とを主体として構成されている。
前記シール材3にあっては基板1、2の周縁部の一部(図1において上部側中央)において液晶注入口5が形成され、この液晶注入口5が封止材6により封止されている。この形態の構造では、下側の基板1の方が外形寸法が大きくされ、下側の基板1と上側の基板2の1辺(図1において上側の辺、液晶注入口5が形成された側の辺)では縁が揃えられているが、下側の基板1の残りの3辺側においては、上側の基板2の3辺がいずれも下側の基板1の対応する3辺よりも内側に配置されている。そして、図1の下側の基板1の下部側の中央に液晶駆動用の半導体素子7が実装されている。
【0024】
本実施の形態の場合、図1に示すように、下側の基板1に、図中横方向に延在する複数のセグメント電極10が平面視ストライプ状に所定の間隔で形成されるとともに、上側の基板2に、先のセグメント電極10と直交するように図中縦方向に延在する複数のコモン電極11が平面視ストライプ状に所定の間隔で形成されていて、基板1、2のセグメント電極10…とコモン電極11…が平面視直交状態に配置されている領域が表示領域Rとされている。なお、この実施の形態においては図面を簡略化する目的で10本のセグメント電極10と8本のコモン電極11を設けた構成を図示したが、これら電極の本数は必要な画素の解像度と大きさに応じて適宜変更して良いのは勿論である。
【0025】
前記基板2は観察者側に(図2では上側に)設けられる側の基板であり、この基板2の液晶層4側には、図2の断面構造に示すようにブラックマトリクスとしての遮光層13が基板周縁部のシール材3近くの部分まで設けられ、前記遮光層13に複数形成された孔部13A…には色素層16R、16G、16Bが設けられ、これらの遮光層13と色素層16R、16G、16Bとを覆って電気絶縁性の平坦化層18が設けられ、平坦化層18の液晶層4側に先に説明の複数のコモン電極11とこれらのコモン電極11を覆って配向膜19が設けられている。
前記遮光層13は、Crなどの遮光性の金属薄膜により形成されたもので、遮光層13には液晶表示装置としての画素領域に対応するように複数の孔部13A…がマトリクス状に、換言すると、先のセグメント電極10…とコモン電極11…との交差部分に対応するように整列形成され、遮光層13と前述の色素層16…とによってカラーフィルタ17が構成されている。
なお、図2においては色素層16を色別に明確に区別できるようにするため、赤色の色素層を16Rと標記し、緑色の色素層を16Gと標記し、青色の色素層を16Bと標記した。
また、先のコモン電極11はインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)などからなる透明電極層からなり、図2の紙面に垂直な方向にストライプ状に所定の間隔で形成されている。
【0026】
次に、カラーフィルター17のR、G、Bの各色素層16は各コモン電極11の方向に対応して配置(縦ストライプ/RGBのそれぞれがストライプ状に縦に同色で形成配置)されており、図1の横方向に並んだR、G、Bの3個の画素で画面上の1個のドットが構成されている。なお、本実施の形態における「画素」とは、セグメント電極10とコモン電極11とが平面的に見て重なり合った各領域のことであり、先の色素層16・・・の形成位置に各画素が対応されている。
【0027】
図1に示すように、複数のセグメント電極10のうち、図1の上側半分のセグメント電極10・・・については、引き回し配線14Aが各セグメント電極10の右端からシール材3に向けて引き廻し配線14Aにより引き出され、図1の下側半分のセグメント電極10・・・については、それらの左端からシール材3に向けて引き回し配線14Bにより引き出され、それらがそのまま延長されて駆動用半導体素子7の出力端子に接続されている。一方、先の複数のコモン電極11については、引き回し配線15Aが各コモン電極11の下端側からシール材3に向けて引き出され、シール材3中に混入させた異方性導電粒子等の上下導通材を介して上側の基板2から下側の基板1上に電気的な接続がなされ、下側の基板1上の周縁部において引き廻し配線15Bにより引き回されて駆動用半導体素子7の出力端子に接続されている。また、駆動用半導体素子7に各種信号を供給するための入力用配線20が下側の基板1の下端部側中央部から駆動用半導体素子7の入力端子に向けて設けられている。
【0028】
なお、この実施の形態では、基板1側に横列側のセグメント電極10・・・を設け、基板2側に縦列側のコモン電極11・・・を設けたので先に説明した引き廻し配線構造を採用したが、基板1側に縦列側のコモン電極11を基板2側に横列側のセグメント電極10を設けても良いのは勿論である。その場合、異方性導電粒子を用いた上下導通構造を基板2側に設けた横列側のセグメント電極10に適用し、基板1側に設けた縦列側のコモン電極11は基板1上に設けた引き廻し配線でそのまま半導体素子7に接続すれば良い。
【0029】
更に、前記下側の基板1においては、図2に示す如く、ガラス、プラスチック等の透明基板、もしくは不透明基板からなる下側の基板1上に、感光性レジスト(感光性樹脂)からなる下地層24が形成され、表示領域Rに相当する下地層24の上面(液晶層側の面)に多数の凸部25が形成されて凹凸部25Aが形成されており、これら凹凸部25Aの表面を覆うようにアルミニウム、銀等の光反射率の高い金属膜が形成され、この金属膜が光反射層として機能すると同時にセグメント電極10を兼ねている。
この光反射性のセグメント電極10はその反射光の指向性を有するものである一方、先の凸部25の断面形状が非対称となっており、各凸部25が面積の広い緩斜面25aと面積の狭い急斜面25bを有し、更に凸部25の平面形状が楕円形状とされている関係から、セグメント電極10の表面側にも先の凹凸部25Aと同じ形状の凹凸部10Aが形成され、セグメント電極10上に形成された凹凸部10Aにおいても面積の広い緩斜面10aと面積の狭い急斜面10bを有し、更に凹凸部10Aの内の突部の平面形状が楕円形状とされている。
【0030】
前記下地層24の凸部25の寸法の一例としては、高さを1.5μm以内、楕円の長軸方向の径を10μm以内、短軸方向の径を1μm以上とすることが望ましい。高さが1.5μmを超えると、液晶装置としてのセルギャップが不均一になり易くなり、パッシブマトリクス型の液晶の表示に悪影響が出るおそれを有する点で好ましくない。また、1.5μmの高さで反射面が好ましい傾斜角を持つためには長軸方向の径を10μm以内とするのが良い。また、偏光解消を防止するために短軸方向の径を1μm以上とするのがよい。
このような高さの凸部25に対し、金属膜からなるセグメント電極10の凹凸部10Aは電極自体が1000Å〜2000Å程度の薄膜状に形成されるので、凸部25による凹凸部は電極10の凹凸部10Aにおいてもほぼそのままの状態で維持されている。
また、先の下地層24上の凸部25は、下側の基板1の表示領域Rに相当する領域に形成されている。即ち、先に説明したシール材3の内側の領域であって、シール材3の内側に電極用の引き廻し配線が形成される領域よりも更に内側の領域に凸部25が形成されており、凸部25が形成された領域の外側の領域、即ち、引き廻し配線が形成される領域とシール材3が設けられる領域とその外側の領域においては、凸部25が形成されておらず、下地層24の上面には平坦部26が形成されている。
【0031】
この実施の形態において、下地層24の平坦部26の高さ位置は、先の下地層上の凸部25の最大高さ位置(凸部25の上端位置)と最低高さ位置(凸部25の周囲の最も低い位置)の高低差を基準として、その1/4〜3/4の範囲の高さ位置に設定されている。即ち、最低高さ位置を基準位置に、そこから最大高さ位置までの高さ、換言すると凸部25の最大高さの1/4〜3/4の範囲の位置に平坦部26が形成されている。
【0032】
セグメント電極10上には例えば液晶側の面にラビング処理が施されたポリイミド等からなる平坦化層を兼ねる配向膜21が形成され、凸部25・・・による凹凸が平坦化されている。
また、図2に示すように、上側の基板2の配向膜19と下側の基板1の配向膜21との間には液晶セルのセル厚(=液晶層4の厚さ)を均一にするための二酸化ケイ素、ポリスチレンなどから形成される球状のスペーサ23が配置されている。なお、通常の液晶装置において、基板1、2の外側には位相差板、偏光板などが設置されているが、図面では省略している。
本実施の形態において、基板1の液晶側に形成される凸部25・・・は図2と図3で示したような形状に限るものではなく、基板1上に形成される光反射性のセグメント電極10が光を散乱させるに十分、平滑さを喪失して凹凸とされているものであればいかなる形状のものであってもよい。
【0033】
図1〜図3に示す第1の実施の形態の液晶装置Aによれば、下側の基板1側の平坦部26の高さ位置が、基板1の上側の凸部25の最大高さ位置(凸部25の上端位置)と最低高さ位置(凸部25の周囲の最も低い位置)を基準として、1/4〜3/4の範囲の高さ位置に設定されているので、その上に引き廻し配線が形成されていても、引き廻し配線をITOなどの透明電極でμmオーダーで形成する場合は勿論、引き廻し配線をそれよりも薄い金属薄膜で形成する場合であっても、引き廻し配線領域のセルギャップを表示領域Rでのセルギャップと同等レベルにすることができる。
従って本実施の形態の液晶装置においては、表示領域Rでのセルギャップとその周囲の引き廻し配線領域でのセルギャップを可能な限り揃えることができる結果、引き廻し配線領域での液晶の配向状態と表示領域Rでの液晶の配向状態とをほぼ同じ状態にすることができ、表示領域Rの外側での液晶の状態が表示領域Rでの液晶の配向状態に悪影響を及ぼすおそれが少ない構造とすることができる。また、引き廻し配線領域の外側のシール材3の近傍領域においても同等の理由からセルギャップの均一化を図ることができる。
【0034】
以下、本実施の形態の液晶表示装置の製造方法、特に本発明の特徴点である凸部25を備えた光反射性のセグメント電極10の形成方法を図4を用いて説明する。
なお、下側の基板1上にはセグメント電極10の下方に多数の凸部25が形成されるが、説明の簡略化のために図4では一つの凸部25のみを図示して一例として説明する。
まず、下側の基板1となるガラス基板等を用意し、例えばスピンコーターを用いてポジ型の感光性レジストOFPR−800(商品名、東京応化製)を下側の基板1上に塗布する。塗布膜厚は2〜5μm程度、例えば3μmとする。塗布後、90℃の温度で10分間程度仮焼成を行うことが好ましい。
【0035】
次に、図4(a)に示すように、ハーフトーンマスク35を用いて1回目の露光を行う。ここで用いるハーフトーンマスク35とは、石英基板36上に光透過率が40%程度のタンタル(Ta)膜からなるパターン37と、Ta膜パターン37とは異なる形状の光透過率がほぼ0%のクロム(Cr)膜からなるパターン38が積層されたものであり、全体として光透過率がほぼ0%の領域(以下、透過領域という)、40%の領域(以下、ハーフトーン領域という)、100%の領域(以下、遮光領域という)の3階調を有するものである。
上記構成において、Taに代わる材料としては、TaOx、TaNx、TaOxNy、TaOxNyCz、Cr、CrOx、CrNx、CrOxNy、CrOxNyCzなどが挙げられる。1回目の露光を経ることにより、光透過率が100%の領域、40%の領域、0%の領域の順で感光性レジスト39が多い割合で感光する。図4(a)では感光の度合を模式的に表すために、感光性レジスト39のうち、白抜きの部分を感光済みの部分、ハッチングを施した部分を未感光の部分として示す。
【0036】
次に、図4(b)に示すように、1回目の露光で用いたものとは異なるハーフトーンマスク40を用いて2回目の露光を行う。ここで用いるハーフトーンマスク40は、積層構造は1回目の露光で用いたものと同様であるが、各階調のパターン形状が1回目の露光で用いたものと異なっている。したがって、2回目の露光を経ることにより、領域によって例えば5段階の感光状態の異なる部分が生じる。即ち、1回目、2回目ともに透過領域の部分、1回目がハーフトーン領域で2回目が透過領域の部分、1回目、2回目ともにハーフトーン領域の部分、1回目がハーフトーン領域で2回目が遮光領域の部分、1回目、2回目ともに遮光領域の部分の順で感光性レジスト39が多い割合で感光する。
【0037】
次に、現像液NMD−W(商品名、東京応化製)を用いて5段階の感光状態の異なる部分を有する感光性レジスト39を現像する。これにより感光したレジストの部分が除去され、図4(c)に示すように、下側の基板1上に4段の段差を有する感光性レジスト39からなる凸部41が形成される。なお、ここでは2回の露光を行った後、現像を行う例を示したが、1回の露光毎に現像を行っても、3回以上の露光後に現像を行ってもかまわない。
次に、図4(d)に示すように、140℃の温度で30分の熱処理を行うことにより感光性レジスト39を一部リフローさせ、凸部41の段差をだれさせて表面がなだらかな曲面となった凸部25とする。その後、250℃の温度で本焼成を行うことにより、感光性レジストを完全に硬化させる。
【0038】
次に、図4(e)に示すように、なだらかになった凸部25の表面上にアルミニウム、銀等の光反射率の高い金属膜を形成して光反射性の電極層とすることにより、断面形状が非対称、すなわち面積の広い緩斜面26aと面積の狭い急斜面26bを持ち、指向性を有する光反射性の凸部26が形成される。
その後の工程は従来の製造工程と同様である。すなわち、下側の基板1上にポリイミド膜等をスピンコート法などにより成膜し、ラビング処理を施すことで配向膜21を形成する。
【0039】
一方、ガラス、プラスチック等の透明基板からなる上側の基板2上には、カラーフィルター17を形成した後、アクリル、ポリイミド等の樹脂膜、もしくはシリコン酸化膜等の無機膜からなる平坦化膜18を形成し、ITO膜からなるコモン電極11を形成した後、ラビング処理が施されたポリイミド等からなる配向膜19を形成し、ラビング処理を施す。そして、上側の基板2と下側の基板1とをシール材3を介して貼り合わせた後、これら基板1,2間に液晶4を注入し、液晶注入口を封止する。以上の工程により、本実施の形態の液晶表示装置Aが完成する。
【0040】
本実施の形態によれば、各階調毎にパターン形状が異なる3階調のパターンを備えたハーフトーンマスク35,40を用いて感光性レジスト39の露光を2回行う方法を採用したことにより、2回の露光を行っただけで4段の段差を有する階段状の凸部41を形成することができる。その後、感光性レジスト39のリフローにより凸部41の形状をなだらかに変形させて凸部25を形成後、光反射型の金属膜を形成し、パターニングすることによって、指向性を有する光反射性のセグメント電極10を形成することができる。
このように、本実施の形態の液晶表示装置Aの製造方法では、特に光反射性の電極の形成プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程の負担を大きくすることなく、所望の指向性を有する光反射性の電極層を形成することができ、反射モードにおいて明るい表示を実現することができる。
【0041】
さらに本実施の形態では、2回の露光時に用いるハーフトーンマスク35,40の各階調毎のパターン形状やフォトリソグラフィーの諸条件を最適化することにより、凸部41の各段差の幅や高さを適宜変えることができ、最終的に得られる凸部25の形状を任意に設定できるので、光反射性のセグメント電極10の凸部26の反射光の指向性を制御することが可能となる。
【0042】
また、図1〜図3に示す構造においては、下地層24の内、表示領域に凹凸部25を形成し、その他の部分に平坦部26を形成するので、表示領域の外側の部分においては、平坦部26を形成するための樹脂の部分を少し残しておくことができるように露光と現像を行うものとするが、図4では表示領域Rの外側の露光状態と現像状態を省略している。
従って表示領域の外側において平坦部26を形成するには、先のハーフトーンマスクの透過率を調整して、露光時に光が下地層24の底部まで到達しないようにして感光性レジスト39の厚さ方向の一部を残すように現像することが好ましい。
【0043】
なお、上記実施の形態では、4段の段差を有する凸部41を形成した後、感光性レジスト39のリフローによって段差をなだらかにする方法を採用したが、この方法に代えて、例えば図5に示すように、凸部41の表面を他の樹脂膜45等で覆うことによってなだらかな表面を持つ凸部を形成する方法を採っても良い。この場合、後から表面を覆う樹脂膜45は、全体として平坦化されない程度の適度な粘度を持っていることが望ましく、例えば同一種の感光性レジストを用いてもよいし、他の樹脂材料を用いてもよい。
【0044】
また、光を反射させるための非対称な反射を得るために先の凸部25を形成する例を示したが、凸部25に代えて以下の如く凹部を形成してもよい。
図6は凹部を形成する場合の手順を示す工程断面図である。図6の製造プロセスもポジ型の感光性レジストを用いた例であって、感光しない部分が多いほど最終的に残存するレジスト膜厚が厚くなる点は同じである。したがって、図4の凸部25の場合とパターン形状が反転するだけで処理自体は凸部25の形成の場合と全く同一である。例えば凸部25を利用し、光反射性の緩斜面26aと急斜面26bを形成する点においては変わりがない。
よって、図6において図4と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0045】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、先の実施の形態においては、本発明をパッシブマトリクスタイプの反射型液晶表示装置に適用した例について説明したが、本発明においては、平坦部26の高さ位置を、先の凸部25の最大高さ位置(凸部25の上端位置)と最低高さ位置(凸部25の周囲の最も低い位置)を基準として、1/4〜3/4の範囲の高さ位置に設定することが要点であるので、本発明をパッシブマトリクスタイプの半透過反射型液晶表示装置、あるいはTFT(薄膜トランジスタ)型の液晶表示装置、更には、TFD(薄膜ダイオード)型の液晶表示装置に適用できるのは勿論である。
先の半透過反射型液晶装置に本発明を適用する場合、光反射性のセグメント電極10を半透過反射型として、下側の基板1の外側にバックライトを設けることで適用することができる。光反射性のセグメント電極10を半透過反射型にするためには、セグメント電極10の各画素部分に部分的に透孔を設けたり、セグメント電極10を光が一部透過するように薄く形成して半透過性とすれば良い。
【0046】
更に、先の製造方法の説明においては、階調マスクを用いてフォトリソグラフィ工程により凸部25を形成する場合について説明したが、先の凸部25を後述する転写技術(型押し法)により形成しても良い。
【0047】
「第2の実施の形態」
以下、本発明の第2の実施の形態を図7〜図9を参照して以下に説明する。
図7は本実施の形態の液晶表示装置の等価回路図、図8は同液晶表示装置の画像表示領域の部分断面図、図9は凹凸部の製造方法の一部工程説明図である。本実施の形態は、スイッチング素子にTFT(薄膜トランジスタ)を用いたアクティブマトリクス方式の反射型液晶表示装置の例である。
【0048】
本実施の形態の液晶表示装置においては、図7に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極51と当該画素電極51を制御するためのスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)52がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線53が当該TFT52のソースに電気的に接続されている。
前記データ線53に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、例えばこの順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線53同士に対してグループ毎に供給される。また、走査線54がTFT52のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線54に対して例えば走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。画素電極51はTFT52のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT52を一定期間だけオンすることにより、データ線53から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0049】
画素電極51を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。この実施の形態の液晶表示装置では、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極51と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量55が付加されている。
【0050】
この形態の液晶表示装置の表示領域の一部を断面構造で見ると、図8に示すように、ガラス基板、シリコン基板等からなる素子基板57(下側の基板)上にTFT52が形成され、TFT52の上方に位置するように感光性レジスト(感光性樹脂)からなる凸部58が形成され、凸部58上にTFT52のドレイン領域52dと電気的に接続され、反射層としても機能する画素電極51が形成されている。画素電極51上には素子基板57の全面にわたって配向膜59が形成されている。なお、画像表示領域(画素電極51が形成されている領域)の配向膜59にはラビング処理等により配向処理が施されている。
【0051】
より具体的には、素子基板57上の各画素に相当する部分の一部に多結晶シリコン等からなる半導体層60が形成され、半導体層60の両端にn型不純物が導入されたソース領域52sとドレイン領域52dとが形成され、ソース領域52sとドレイン領域52dとの間がチャネル領域52cとされている。半導体層60はゲート絶縁膜61で覆われており、半導体層60の上方にソース領域52sと電気的に接続されたデータ線53、ドレイン領域52dと電気的に接続されたドレイン電極62が設けられ、ゲート絶縁膜61を介して走査線54が設けられている。
【0052】
前記素子基板57上には感光性レジストからなる下地層50が形成され、この下地層50の上部には多数の凸部58からなる凹凸部58Aが形成されており、これら凹凸部58Aの表面を覆うようにアルミニウム、銀等の光反射率の高い金属膜が形成され、この金属膜が反射層を兼ねた光反射性の画素電極51として機能するようにされ、画素電極51にも先の凹凸部58Aに沿った形状の凹凸部が形成されている。この画素電極51(反射部)は反射光の指向性を有するものであって、先の凸部58の断面形状が非対称となっており、各凸部58が面積の広い緩斜面58aと面積の狭い急斜面58bを有していることから、画素電極51にも面積の広い緩斜面51aと面積の狭い急斜面51bが形成されている。また、凸部58の平面形状が楕円形状とされているので、画素電極51の凸部においても平面形状が楕円形状となっている。即ち、これらの画素電極51の凹凸部51Aは先の第1の実施形態の電極10の凹凸部10Aと同等の形状、機能とされている。
そして、下地層50の凹凸部58Aの最も低い部分である底部58cがTFT52のドレイン電極62の形成領域(コンタクト形成領域)と重なるように形成され、先の底部58cに形成されたコンタクトホール58Dの部分に接続電極62Aが形成され、この接続電極62Aにより先の画素電極51とドレイン電極52dとが電気的に接続されている。なお、本実施の形態の凸部58は後述する転写技術(型押し法)により形成されたものである。
【0053】
一方、対向基板(上側基板)63上には、TFT52の形成領域を遮光するための遮光膜64が形成され、全面にわたってITO等の透明導電膜からなる共通電極65、配向膜66が順次形成されている。そして、素子基板57と対向基板63との間にツイステッドネマティック(Twisted Nematic)液晶等の液晶67が挟持されている。
【0054】
先の基板57、63の周縁部分側にはシール材70が介在されてシール材70によって基板57、63が対向状態で接合一体化され、先の液晶67は基板57、63とシール材70とに区画された空間に封入されている。詳細には、基板63の液晶側には共通電極65、配向膜66が形成されているが、これらはシール材70の内側で止められ、シール材70は基本的に基板63に当接されるが、共通電極用の引き廻し配線の一部のみが図示略の部分においてシール材70の外側に引き出されて図示略の液晶駆動用半導体に接続され、共通電極65に通電できるように構成されている。更にまた、基板57上には下地層50と配向膜59とが積層されているが、配向膜59はシール材70の内側で止められ、下地層50が基板57の周端部まで形成されているので、シール材70は基板57上に形成されている下地層50の平坦部50Aの周端部50B上に当接されている。
また、シール材70の内側の領域であって、画素電極51が形成されていない領域にも平坦部50Aが形成されているが、この平坦部50Aの領域には、先に説明したデータ線53…と走査線54…に対応する引き廻し配線の領域とされている。
【0055】
この実施の形態において、前記平坦部50Aとその周端部50Bの高さ位置は、先の凸部58の最大高さ位置(凸部58の上端位置)と最低高さ位置(凹凸部80Aの底部58cの高さ位置)を基準として、1/4〜3/4の範囲の高さ位置に設定されている。即ち、本実施の形態の凹凸部58Aと平坦部50Aの高さ関係においては先の第1の実施の形態の凸部25と平坦部26の場合と同等の関係と同一の関係とされている。
【0056】
ここで先の形状の凸部58を転写法により形成するには、例えば、以下の図9に示す製造工程を適用することができる。
基板57上に通常の成膜プロセスによりTFT52を作成したならば、その基板57上に図9(a)に示すように感光性樹脂レジストを塗布して樹脂層70を形成する。この樹脂層70の構成材料については先の第1の実施の形態において用いた感光性レジスト(感光性樹脂)と同等のものでも良く、その外に紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化樹脂などを用いることもできる。
【0057】
樹脂層70を形成したならば、この樹脂層70に転写ロール、転写型、流延ベルト等の転写装置を用いて型押し、液晶表示装置としての表示領域に相当する領域における樹脂層70の表面部分に、図9(b)にも示す如く複数の凸部58が形成された凹凸部58Aを形成する。ここで形成する凸部58の形状については、型押しにより凸部58が形成されるように転写ロール、転写型、流延ベルト等の表面に必要なネガ型(凹型)が予め形成されたものを用いる。
凸部58を転写する場合、例えばネガ型を有する転写ロールを樹脂層70の表面に押し付けて転写ロールを必要な領域、例えば表示領域に相当する領域で一定の押圧力で回転させながら押し付けることで目的の凸部58…を転写することができる。
凸部58を転写する場合、例えば目的とするネガ型を形成した凹版に紫外線又は電子線硬化樹脂を塗布して樹脂層とした後、その凹版上に基板57を被着した状態で紫外線または電子線を照射し、その樹脂層に紫外線又は電子線を照射して硬化させ、樹脂層の硬化後に凹版から剥離することで凸部58…を転写することができる。
凸部58を転写する場合、例えば目的の形状のネガ型を流延ベルトに形成しておき、キャスティングに目的とする形状を付与する方法にて形成しても良い。
【0058】
以上のいずれかの方法により樹脂層70に凸部58を形成したならば、TFT52のドレイン電極62に到達するように図9(c)に示すコンタクトホール73を形成し、コンタクトホール73の形成後にスパッタ法あるいはメッキ法などの成膜法とフォトリソグラフィ工程により接続電極62Aを形成する。この接続電極62Aはその底部でTFT52のドレイン電極62に接続し、その上部を樹脂層70の上部に若干はみ出すように作成するものとすることが好ましい。
この後、樹脂層70上にAl合金などからなる電極膜を形成し、この電極膜をフォトリソグラフィ工程によりパターニングすることで図8に示す構造の画素電極51を得ることができる。この後、配向膜59を形成し、ラビング処理することで基板57側の積層構造が完成する。
【0059】
先の工程において樹脂層70に感光性樹脂を用いた場合は、樹脂層70上にレジストを塗布し、これをマスクで覆って露光し、現像してレジストをパターニングし、このレジストパターンを元に樹脂層70を部分的にエッチングするか、イオンビームエッチング等の手法によりドレイン電極62の位置を選択的にエッチングする方法などによりコンタクトホール73を形成することができる。
【0060】
以上の如くアクティブマトリクス方式の液晶表示装置の通常の製造プロセスでは、光反射膜が画素電極を兼ねる場合、TFTのドレイン電極と画素電極とを電気的に接続するためにコンタクトホールを形成する必要があり、そのためのフォトリソグラフィ工程が必要となる。
これに対して、本実施の形態の構成によれば、感光性樹脂レジストからなる凹凸部58Aの最も低い部分(底部58c)をTFT52のドレイン電極62と平面視重なるように配置しているので、凸部58の凹凸を形成するための樹脂の型押し工程の後にコンタクトホールを形成すれば良い。しかもその場合に形成する必要のあるコンタクトホールの深さは凸部58の上部側から形成するよりも底部58cから形成すれば良いので、はるかに浅いもので良い。従ってコンタクトホールの形成工程を簡略化できる。
【0061】
以上説明の方法を実施することで図8に示す断面構造の素子基板57側の構成が得られる。
図7と図8に示す実施の形態の液晶装置によれば、下側の基板57側の平坦部50Aの高さ位置が、基板57の上側の凸部58の最大高さ位置(凸部58の上端位置)と最低高さ位置(凹凸部58の底部58cの高さ位置)を基準として、1/4〜3/4の範囲の高さ位置に設定されているので、その上に引き廻し配線が形成されていても、引き廻し配線領域のセルギャップを画素電極51が形成されている表示領域でのセルギャップと同等レベルにすることができる。
従って本実施の形態の液晶装置においては、表示領域でのセルギャップとその周囲の引き廻し配線領域でのセルギャップを可能な限り揃えることができる結果、引き廻し配線領域での液晶の配向状態と表示領域での液晶の配向状態とを同じにすることができ、表示領域の外側での液晶の状態が表示領域での液晶の配向状態に悪影響を及ぼすおそれが少ない構造とすることができる。また、引き廻し配線領域の外側のシール材70の近傍領域においても同様にセルギャップの均一化が図れる。
また、その他の効果について、先の第1の実施の形態の場合と同等の効果が得られる。
【0062】
「電子機器」
先の実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の具体例について以下に説明する。
図10は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
図11は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
図12は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図12において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0063】
図10〜図12に示す電子機器は、上記実施の形態の液晶表示装置を用いた液晶表示部を備えているので、反射モードでの明るさを備えた表示部を有する電子機器を実現することができる。
【0064】
【実施例】
図1〜図3に示す構造の液晶表示装置を製造した。
厚さ0.3mmの2枚のガラス基板を対向配置してその周縁部分にシール材を配置し、基板間のセルギャップを5μmとし、基板間にスーパーネマチック液晶を封入した構造を採用した。
すなわち、上側の(観察者側の)基板側には液晶層側にカラーフィルタと平坦化層とITOからなるストライプ状の電極とポリイミドからなる配向膜を備えたものとした。下側の基板には感光性レジストの下地層「ポジ型の感光性レジストOFPR−800(商品名、東京応化製)」からなる厚さ3μmの下地層を有し、下地層の表示領域部分に目標深さ1.45μm(凸部の頂点から底部までの高さ目標を1.45μm)、平面視楕円型であり、長軸方向の径を3μm、短軸方向の径を1μmとした凸部を以下に説明するフォトリソグラフィプロセスにより多数形成した。
【0065】
これには、図4を基に先に説明した如く、石英基板上に光透過率が40%のタンタル(Ta)膜からなるパターンと、Ta膜のパターンとは異なる形状の光透過率がほぼ0%のクロム(Cr)膜からなるパターンが積層されたハーフトーンマスクを用い、全体として光透過率がほぼ0%の領域(透過領域)、40%の領域(ハーフトーン領域)、80%の領域(遮光領域)の3階調を有するものを用いた。次に、1回目の露光で用いたものとは異なる階調領域のハーフトーンマスクを用いて2回目の露光を行い、領域によって5段階の感光状態の異なる部分を生じさせた。なお、先のハーフトーンマスクにおいて、下地層の画素領域の外側に位置する領域については、下地層の平坦部を作成するために、60%の光透過率の均一透過領域としたマスクを用いた。
次に、現像液NMD−W(商品名、東京応化製)を用いて4段階の感光状態の異なる部分を有する感光性レジストを現像した。次に、140℃の温度で30分の熱処理を行うことにより感光性レジストを一部リフローさせ、階段状の凸部の段差をだれさせて表面がなだらかな曲面となった凸部とする。その後、250℃の温度で本焼成を行うことにより、感光性レジストの凸部を完全に硬化させて目標深さ(最大高さ)1.45μmの凸部を形成した。
【0066】
次に、表示領域に形成した凹凸部の上に厚さ1500ÅのAl膜を成膜し、フォトリソグラフィ法によりパターン化して電極を形成し、更にその上にポリイミドからなる配向膜を形成した。ここで先の凸部の緩斜面の角度は30゜となるように先のハーフトーンマスクによる下地層加工の階調数を5階調としている。
【0067】
以上のように得られた液晶表示装置に対し、上側の基板面中央部に対して垂線を立てた場合、この垂線に対して一側(一方向側)から25度の入射角度で光を入射した際の正反射方向(+25度の方向の角度、即ち、他方向側)での光の反射率を100%とした場合に、正反射方向での反射率に対して±10°(即ち、垂線から見ると+15°〜+35°の範囲内方向)の明るさが30%となるような液晶装置となっていた。
このように製造された液晶装置に対し、凸部の分布密度と凸部の深さ測定結果を図13に示す。また、図13には、最大深さに対する1/4の深さ位置の境界線aと最大深さに対する3/4の深さ位置の境界線bを併記した。
図13に示す結果から、最大深さに対する1/4〜3/4の深さ位置に凸部の95%が存在していることが明らかである。従って、この範囲に平坦部を有する構成を採用するならば、凹凸部と平坦部の高低差と段差を確実に少なくすることができ、セルギャップを均一化し易いことがわかる。
【0068】
先の例とほぼ同等の凸部の製造方法により、凸部の深さを1.5μmに設定してハーフトーンマスクにより下地層のフォトリソグラフィ工程を施し、凸部の分布密度と凸部の深さ測定をした結果を図14に示す。また、図14には、最大深さに対する1/4の深さ位置の境界線cと最大深さに対する3/4の深さ位置の境界線dを併記した。
図14に示す結果から、最大深さに対する1/4〜3/4の深さ位置に凸部の87%が存在していることが明らかである。従って、この範囲に平坦部を有する構成を採用するならば、凹凸部と平坦部の高低差と段差を少なくすることができ、セルギャップを均一化し易いことがわかる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、反射型あるいは半透過反射型液晶装置の光反射性の電極層の下地層の凹凸部の最大高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置に下地層の平坦部を位置させたので、下地層の凹凸部と平坦部の高さとの間に段差を少なくすることができる。これにより、表示領域とその他の領域でのセルギャップ差を少なくし、セルギャップを均一化することにより高品位の表示形態を得ることができる。
また、一対のパネルをシール材を介して貼り合わせる場合にシール材の位置する部分を平坦部にできるので、シール材の部分にまで凹凸部を形成していた構造に比較すると、シール材近傍の液晶層の厚さと凹凸部の部分の液晶層の厚さとの差異を少なくできる結果、セルギャップを均一化でき、下地層に凹凸部と平坦部を有する液晶表示装置においても液晶の表示状態に悪影響を生じない信頼性の高い液晶装置を提供できる。シール材と基板との接合部分に凹凸が存在すると液晶装置を組み立てる際に気泡がまき込まれるおそれを有するが、シール材と基板との接合部分を平坦部とするならば、シール材との接合部分に気泡をまき込むおそれもなくなり、シール部分の信頼性が向上する。
また、シール材の内側の平坦部においては引き廻し配線用の配線部とすることができ、この配線部分も凹凸部と大きな段差を生じないようにできるので、配線部分におけるセルギャップの均一化も図ることができる。
次に、本発明の液晶装置の製造方法によれば、個々に階調毎に異なるパターン形状のハーフトーンマスクを用いて複数回露光し、現像することにより、複数段の段差を有する感光性レジストからなり、断面形状が非対称で面積の広い緩斜面と面積の狭い急斜面を有する指向性を有する光反射性の凸部を複数形成することができる。
このように、液晶装置の製造方法では、特に光反射性の電極の形成プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程の負担を大きくすることなく、所望の指向性を有する光反射性の電極層を形成することができ、反射モードにおいて明るい表示を実現することができる。
さらに本発明方法では、ハーフトーンマスクのパターン形状の選択により、凸部の各段差の幅や高さを適宜変えることができ、最終的に得られる凸部の形状を任意に設定できるので、光反射性の電極の凸部の反射光の指向性を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る第1の実施の形態の反射型液晶表示装置を示す概略平面図である。
【図2】 図2は図1に示す反射型液晶表示装置のB−B’線に沿う断面図である。
【図3】 図3は図1に示す反射型液晶表示装置のC−C’線に沿う断面図である。
【図4】 図4は図1に示す液晶表示装置の凸部を製造する方法の一例を説明するための工程毎の断面図であり、図4(a)は1回目の露光を示す断面図、図4(b)は2回目の露光をを示す断面図、図4(c)は露光後のレジストを示す断面図、図4(d)は加熱後のレジストで凸部形成した状態を示す断面図、図4(e)は凸部上に光反射性の電極を形成した状態を示す断面図である。
【図5】 図5は同液晶表示装置の凸部を形成する場合の他の例を示す断面図である。
【図6】 図6は同液晶表示装置の反射部を凹部としたときの工程毎の断面図であり、図6(a)は1回目の露光を示す断面図、図6(b)は2回目の露光を示す断面図、図6(c)は露光後のレジストを示す断面図、図6(d)は加熱後のレジストで凹部形成した状態を示す断面図、図4(e)は凹部上に光反射性の電極を形成した状態を示す断面図である。
【図7】 図7は本発明を薄膜トランジスタ型の液晶表示装置に適用した場合の等価回路図である。
【図8】 図8は図7に示す液晶表示装置の要部断面図である。
【図9】 図9は図8に示す液晶表示装置の製造工程を示す工程毎の断面図であり、図9(a)はTFT上に樹脂層を形成した状態を示す断面図、図9(b)は樹脂層に型押しで凹凸部を形成した状態を示す断面図、図9(c)は凹凸部を有した樹脂層にコンタクトホールを形成した状態を示す断面図、図9(d)はコンタクトホール部分に接続電極を形成した状態を示す断面図である。
【図10】 図10は本発明に係る液晶装置を備えた電子機器の一例を示す斜視図である。
【図11】 図11は本発明に係る液晶装置を備えた電子機器の他の例を示す斜視図である。
【図12】 図12は本発明に係る液晶装置を備えた電子機器の更に他の例を示す斜視図である。
【図13】 図13は本発明に係る実施例の一例の凹凸部の分布状況を示す線図である。
【図14】 図14は本発明に係る実施例の他の例の凹凸部の分布状況を示す線図である。
【符号の説明】
A、B 液晶表示装置(液晶装置)
1 (下側の)基板
2 (上側の)基板
3 シール材
4 液晶層
10 電極(セグメント電極)
10A 凹凸部
11 電極(コモン電極)
17 カラーフィルタ
19、20 配向膜
21 配向膜(平坦化層)
23 スペーサ
24 下地層
25、58 凸部
25A、58A 凹凸部
26 平坦部
50 下地層
50A 平坦部
51 画素電極
57 基板
63 基板
67 液晶層

Claims (15)

  1. シール材を介して互いに貼り合わされ、液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶装置であって、前記一対の基板の液晶層側に液晶を駆動する電極層が形成されるとともに、前記シール材に囲まれた領域内であって前記電極層の形成領域に対応して表示領域が構成され、前記一方の基板と液晶層との間に下地層が配置されてなり、
    前記表示領域において、前記下地層は前記液晶層に向けた凹凸部を有し、前記凹凸部の上に反射層が配置されてなり、
    前記表示領域の外側に位置する部分において前記下地層は前記凹凸部を有さない平坦部を有し、前記平坦部には前記電極層に接続された引き回し配線と前記シール材が配置されてなり、
    前記凹凸部の最大高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置に前記平坦部が位置されてなることを特徴とする液晶装置。
  2. 少なくとも前記表示領域に相当する部分の前記下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  3. 前記他方の基板あるいは前記一方の基板の液晶層側の面にカラーフィルタが積層されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
  4. 前記一方の基板側の電極層と他方の基板側の電極層とが平面視直交状態に複数配置され、基板間にスーパーツイステッド型のネマチック液晶が挟持されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶装置。
  5. 前記一方の基板と他方の基板の液晶層側に各々配向膜が形成されるとともに、前記一方の基板の配向膜と前記他方の基板の配向膜との間にスペーサが介在されて両基板間のセルギャップが規定されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶装置。
  6. 少なくとも前記表示領域に相当する部分の下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成され、前記基板間にスーパーツイステッド型のネマチック液晶が挟持され、前記凸部が断面積非対称、かつ、面積の広い緩斜面と面積の小さな急斜面からなる平面楕円形状とされ、前記凸部が高さ1.5μm以下、楕円の長軸方向の径が10μm以内、短軸方向の径が1μm以上とされ、垂線に対する一方向側から25度の入射角度で光を入射した際の正反射方向での光の反射率を100%とした場合に、正反射方向での反射率に対して±10度の範囲内で明るさが30%を示すことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  7. 前記平坦部に設けられた引き廻し配線がシール材の外側に引き出されて前記基板の平坦部に沿って配線され、前記基板の一側端部の平坦部上に設けられた液晶駆動用の半導体素子に接続され、前記下地層上に平坦化膜としての配向膜が形成されてなることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
  8. 前記凹凸部の表面が曲面状に加工されるとともに、前記凹凸部が感光性樹脂を階調露光して現像することにより得られた段部を加熱して得られた曲面からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶装置。
  9. 前記各凹凸部に傾斜面が形成され、前記各凹凸部の傾斜面が特定の方向に揃えられてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液晶装置。
  10. 前記凹凸部が樹脂の型押しにより形成されてなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の液晶装置。
  11. 前記光反射性の電極層が半透過反射膜とされてなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の液晶装置。
  12. 請求項1〜請求項11までのいずれか1項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
  13. シール材を介して互いに貼り合わされ、液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶装置であって、前記一対の基板の液晶層側に液晶を駆動する電極層が形成されるとともに、前記シール材に囲まれた領域内であって前記電極層の形成領域に対応して表示領域が構成され、前記一方の基板と液晶層との間に下地層が配置されてなり、前記表示領域において、前記下地層は前記液晶層に向けた凹凸部を有し、前記凹凸部の上に反射層が配置されてなり、前記表示領域の外側に位置する部分において前記下地層は前記凹凸部を有さない平坦部を有し、前記平坦部には前記電極層に接続された引き回し配線と前記シール材が配置されてなり、前記凹凸部の最大高さの1/4〜3/4の範囲の高さ位置に前記平坦部が位置されてなり、少なくとも前記表示領域に相当する部分の下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成されてなる液晶装置を製造するに際し、
    基板上に感光性レジストを塗布し、該感光性レジストに個々に階調毎に異なるパターン形状のハーフトーンマスクを用いて複数回露光し、現像することにより、複数段の段差を有する感光性レジストからなり、断面形状が非対称で面積の広い緩斜面と面積の狭い急斜面を有する指向性を有する光反射性の凸部を複数形成し、その後に本焼成して感光性レジストを硬化させて複数の凸部を形成した後、光反射率の高い金属膜を形成して光反射性の電極層とするとともに、
    この後に配向膜を形成し、他方の基板との張り合わせて液晶注入を行うことを特徴とする液晶装置の製造方法。
  14. 前記複数段の段差を有する感光性レジストからなり、断面形状が非対称で面積の広い緩斜面と面積の狭い急斜面を有する指向性を有する光反射性の凸部を複数形成した後、熱処理することにより感光性レジストの一部をリフローさせ、前記凸部の段差をなだらかな曲面とした凸部とした後に本焼成することを特徴とする請求項13に記載の液晶装置の製造方法。
  15. 請求項13に記載の液晶装置として、前記表示領域の外側に位置する下地層の前記液晶層側の面に前記平坦部が形成され、少なくとも前記表示領域に相当する部分の下地層上に光反射層を兼ねる金属製の電極が形成され、前記基板間にスーパーツイステッド型のネマチック液晶が挟持され、前記凸部が断面積非対称、かつ、面積の広い緩斜面と面積の小さな急斜面からなる平面楕円形状とされ、前記凸部が高さ1.5μm以下、楕円の長軸方向の径が10μm以内、短軸方向の径が1μm以上とされ、垂線に対する一方向側から25度の入射角度で光を入射した際の正反射方向での光の反射率を100%とした場合に、正反射方向での反射率に対して±10度の範囲内で明るさが30%を示す液晶装置を適用することを特徴とする請求項13または14に記載の液晶装置の製造方法。
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