JP3909230B2 - 座標入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標入力装置に関するものであり、特に、ドラック操作やカーソルの移動操作を容易に行うことが可能な座標入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンピュータに接続されるポインティングデバイスとしてマウスやトラックボール等が一般に用いられている。最近では、タッチパッドまたはトラックパッド等の名称で呼ばれるポインティングデバイスも用いられている。
タッチパッド等は、携帯型パーソナルコンピュータに埋め込まれるか、若しくはデスクトップ型パーソナルコンピュータに外付けされた形態で使用され、マウスのように機器自体を移動させる必要がないことから、卓上等の限られたスペースであっても支障なく操作できるという特徴を有している。
【0003】
マウス等で画面上のカーソルのドラッグ動作を行う場合には、通常、マウスを操作して画面上のカーソルを目的のアイコン等に合わせ、次にマウスに備えられた釦を押し、次に釦を押した状態でマウスを操作してアイコン等を所定の位置に移動させることにより行われる。
上記のドラッグ動作を従来のタッチパッドで行う場合は、タッチパッドに設けられた数センチ角の平板な座標入力面上で指を滑らせる動作(スライド動作)を行って画面上のカーソルを目的のアイコン等に合わせ、次に指で座標入力面を叩く動作(以後、タッピングと称する)を行ってタッチパッドをドラックモードとし、次に指を座標入力面上でスライド動作させて目的のアイコン等を所望の位置に移動させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のタッチパッドでは、座標入力面の面積が限定されていることから、例えば目的のアイコン等を画面の端から端まで大きく移動させる場合には、指を座標入力面の端までスライド移動させた後に、座標入力面から指を一旦離し、離した指を短時間の間に座標入力面の例えば中央部分に再び接触させてスライド移動させることによりドラッグ動作を継続できる設定になっている。
この様な設定では、指を離してから再度指を接触させるまでの時間に個人差があることから、ドラッグモードが解除されてしまう場合があり、誤動作が多発するおそれがあった。
【0005】
また、カーソルの移動操作を行う場合も上記と同様に、指を座標入力面の端まで移動させた後に、座標入力面から指を一旦離した後に座標入力面の中央部分に再び接触させ、再び指を座標入力面の端まで移動させる動作を繰り返す必要があり、操作が煩雑であた。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、操作性に優れた座標入力装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の座標入力装置は、座標指示体により操作される座標入力面を備え、画面上の指示マークの移動を前記座標入力面上における前記座標指示体の動作に対応させて行う座標入力装置であり、前記座標入力面は境界線を介して少なくとも9以上の分割領域に分割されるとともに、前記分割領域は、前記座標入力面の周縁に接する複数の周縁領域と、前記周縁領域に囲まれた1または2以上の中央領域とからなり、各分割領域のそれぞれに機能スイッチが割り当てられ、前記機能スイッチには、前記指示マークを特定方向に移動させる機能が関連付けられており、前記座標指示体が前記周縁領域または前記中央領域から隣接する他の前記周縁領域に向けて前記境界を越え、前記座標指示体が前記周縁領域内で静止している場合は、前記指示マークを特定方向に移動させる機能を動作させ、前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した場合は、前記特定方向と前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した方向との合成方向に前記指示マークを移動させることを特徴とする。
【0008】
係る座標入力装置によれば、座標指示体が、周縁領域または中央領域から隣接する他の周縁領域に向けて境界を越え、座標指示体が周縁領域内で静止している場合は、指示マークを特定方向に移動させる機能を動作させるので、周縁領域に座標指示体が接触し続ける限り、当該分割領域に関連する機能が動作するため、従来のタッチパッドのように指を離して再度接触させる動作が不要になり、座標入力装置の操作性を向上させることが可能になる。
また、前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した場合は、前記特定方向と前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した方向との合成方向に前記指示マークを移動させるので、指示マークの移動方向を微調整することができ、座標入力装置の操作性を向上させることができる。
更に、座標指示体を複数の周縁領域のいずれかに移動させるだけで、当該周縁領域に割り当てた特定方向に指示マークを移動させることができる。従って、複数の周縁領域のそれぞれに、指示マークを異なった特定方向に移動させる機能を割り当てておけば、座標指示体を座標入力面から離すことなく指示マークを継続して移動させることが可能になる。
尚、中央領域には、周辺領域に割り当てた機能スイッチの機能の動作を解除するスイッチを割り当てても良い。
【0009】
また、本発明の座標入力装置は、先に記載の座標入力装置であり、前記他の周縁領域から前記座標指示体が離れたときに、前記指示マークを特定方向に移動させる機能が停止するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
係る座標入力装置によれば、他の分割領域から座標指示体が離れただけで前記指示マークを特定方向に移動させる機能が停止するように構成されているので、座標入力装置の操作を簡素化することができる。
【0015】
また、本発明の座標入力装置は、先に記載の座標入力装置であり、前記周縁領域内において、前記座標指示体が前記特定方向の別方向に移動した際に、前記指示マークの移動方向が、前記特定方向と前記別方向の合成方向とになるように構成されたことを特徴とする。
【0016】
係る座標入力装置によれば、指示マークの移動方向を、特定方向と別方向との合成方向とするので、指示マークの移動方向を微調整することができ、座標入力装置の操作性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本実施形態の座標入力装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、この座標入力装置1は、大きく分けて座標検出機器PDと座標出力機器PCの2つの機器から構成される。座標検出機器PDは例えば上述したタッチパッドであり、座標出力機器PCは例えばタッチパッドが接続されたパーソナルコンピュータである。
【0018】
まず、座標検出機器PDの各構成要素を説明するが、その前に座標検出機器PDの機械的構成を簡単に説明しておく。図2は座標検出機器PDの外観を示す平面図であって、左ボタンLB及び右ボタンRBはそれぞれマウスの左ボタン及び右ボタンに対応しており、その機能もマウスの各ボタンと同じである。また、符号2で示される矩形の面は、座標指示体(図2では図示を省略)により操作される座標入力面を表わしている。尚、ここで言う座標指示体は例えばユーザの手の指であって、以下の説明において座標指示体が指であるとして説明している。
【0019】
図1に示すセンサ基板21は、複数の横配線走査線(図2のX軸方向)と縦配線走査線(図2のY軸方向)がマトリクス状に形成されており、センサ基板21の上面である座標入力面2に指が接触することで各走査線を流れる電流値が変化するように構成される。さらに詳しく言えば、本実施形態による座標検出機器PDは、静電容量式を採用しており、静電フィルムの表面と裏面にそれぞれマトリックス状の電極が設けられ、静電フィルムの一端からパルスを与えて電界を形成させてある。こうすると、指が座標入力面2を介して静電フィルムに触れることで接触部分の静電容量が減るので、この静電容量の変化を電流値の変化に変換して指の接触部分の位置が検知される。すなわち、接触部分の座標位置が横方向走査線と縦方向走査線との交点により指定されることになる。そして、接触部分の位置の変化を算出することで、指を座標入力面上で滑らせる操作も検出することができる。
なお、タッチパッドは静電容量式に限らず、感圧式などの方式を採用したものであっても良い。
【0020】
次に、横方向走査部22は、センサ基板21の横方向の走査を行う回路であって、多数の信号出力がセンサ基板21の横方向走査線に接続される。
縦方向走査部23は、センサ基板21の縦方向の走査を行う回路であって、多数の信号入力がセンサ基板21の縦方向走査線に接続され、指の走査状態を表わすシリアル検出信号を発生させる。このシリアル検出信号は、指をセンサ基板21の座標入力面2にタッピングさせた際に生じるタップ成分と、座標入力面2上で指を滑らせた際に生じるスライド成分を含む。ここで、タップ成分には座標入力面2に指が接触している位置を示すアドレス成分が含まれており、スライド成分には座標入力面2上を、指がどの位置からどの位置まで滑ったのかを表わすアドレス成分が含まれている。
【0021】
制御駆動部24は、走査駆動信号を横方向走査部22及び縦方向走査部23にそれぞれ供給することで、これら横方向走査部22及び縦方向走査部23を駆動する。
A/D(アナログ/デジタル)変換部25は、縦方向走査部23が生成したシリアル検出信号をデジタル信号に変換する。
タップ/スライド成分抽出部26は、デジタル信号に変換されたシリアル検出信号の中から、上述したタップ成分及びスライド成分を抽出したのち、これらを分離して3次元の座標値へ変換し、これをタップ成分及びスライド成分と一緒に出力する。
【0022】
データ処理部27は、タップ/スライド成分抽出部26から送られる3次元の座標値に基づいて、タッピングが実行されたか否かを判断するとともに、スライド成分からノイズを除去し、X軸/Y軸から構成される座標入力面2の2次元座標における指の位置の変化を、滑らかな直線或いは曲線に補正する。
インターフェイス部28は、座標出力機器PCとの間の間でデータの授受を行うための回路であり、データ処理部27から送られた情報に基づいて、補正された座標入力面2の2次元座標上の絶対座標(X,Y)毎に、タップオン/オフの情報,左ボタンLB及び右ボタンRBに関するそれぞれのオン/オフ情報を付加して、タップ成分及びスライド成分と一緒に出力ポート29へ送出する。
【0023】
次に、座標出力機器PCの各構成要素を説明する。
まず、インターフェイス部30は座標検出機器PDとの間でデータの授受を行うための回路であって、入力ポート31を介して上述したそれぞれの情報を受け取る。なお、座標出力機器PCがパーソナルコンピュータであれば、インターフェイス部30は周知のシリアルポート又はマウスポートに相当する。
データ解析部32は、座標検出機器PD側から送られる情報をインターフェイス部30から取り込んで解析を行い、タッピングが実行されたか否かを判断するとともに、座標入力面2上の特定領域の範囲内で指を滑らせているかなどの判別処理を行い、この判別結果をデータ変換部33へ報告する。
【0024】
データ変換部33は、データ解析部32で解析されたタッピングの有無の情報や特定領域内での指のスライド操作の判別結果などから、予め決められた特定の機能を実行すべきかどうかを判定する。これら特定の機能としては、後述するカーソルの連続移動の機能があるが、この機能の詳細は後述する。
【0025】
モード変換部34は、座標入力装置1に対する各種の設定値が格納されており、データ変換部33は、モード変換部34から送られるこれら設定値に基づいて、機能の内容を変更するように構成される。後述するように、これら設定値は、カーソルの連続移動等の各種機能を実現する際に、座標入力面2上における分割領域の範囲や、分割領域ごとに割り当てられた機能スイッチに関連付けられた機能の内容の設定などがある。なお、これらの設定値は、例えば、ユーザがコンピュータの画面に表示されるメニューを操作する周知の処理によって、モード変換部34に設定することもできる。
制御部35は、インターフェイス部30を除いた座標出力機器PCの各部を統括する回路である。
【0026】
表示部36は、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイ装置であって、制御部35の指示に従って、その画面36’上にウィンドウやカーソル(指示マーク)など各種の画像表示を行う。
ROM(リードオンリーメモリ)37には制御部35の動作プログラム,上述した絶対座標(X,Y)のフォーマットで規定された座標入力面2自体の大きさなどが格納されている。
RAM(ランダムアクセスメモリ)38は、制御部35が様々な処理を行う際に、データを一時的に蓄えるための記憶回路である。
【0027】
次に、本実施形態の座標入力装置1の動作を説明するにあたり、その理解を容易にするために、この装置が有する機能を事前に説明しておく。本実施形態による座標入力装置1では、座標入力面2上を複数の分割領域に分割し、各分割領域にそれぞれ機能スイッチを割り当て、指が1の分割領域から他の分割領域に移動して各分割領域間の境界線上を通過した場合に、他の分割領域に割り当てた機能スイッチに関連する機能が動作するように構成されている。
【0028】
上記の機能の一つが「カーソルの連続移動」である。この機能は、指が座標入力面の周縁近傍まで到達して、指を座標入力面2に接触させたまま静止させたときでも、画面36’上のカーソルを所定の方向に連続移動させるものである。
即ち図3に示すように、座標入力面2上を座標指示体である指を右方向または左方向に移動させると、画面36’のカーソル4が指の動きに対応して右方向または左方向に移動する。
このとき例えば、指が座標入力面2の右端近傍に達して指のスライド動作を止めた場合でも、指3が座標入力面2に触れている限り、画面36’のカーソル4(指示マーク)は右方向へ移動し続ける。
【0029】
次に、上記構成による座標入力装置1の各種設定について説明する。
座標出力機器PCに対して以下に述べる設定を行う。まず第1の設定として、例えば図4に示すように、座標入力面2を分割して9つの分割領域5a〜5iを設定する。各分割領域5a〜5iは、均等に分割する必要は必ずしもなく、図4に示すように中央の分割領域5eを大きく、周縁の分割領域5a〜5d、5f〜5iを小さくして良い。
尚、本実施の形態では、座標入力面2のほぼ中央にある分割領域5eを中央領域5eと称し、座標入力面2の周縁2aに接する分割領域5a〜5d及び5f〜5iを周縁領域5a〜5d及び5f〜5iと称する。
【0030】
中央領域5e及び周縁領域5a…は、境界線A〜D(図中1点鎖線)により区画されている。境界線A及びBは相互に平行であって、図示Y方向に沿って延在し、また境界線C及びDは相互に平行であって、図示X方向に沿って延在している。そして、境界線A及びBは、境界線C及びDとそれぞれ交差している。
また、中央領域5e及び周縁領域5a…の範囲は、座標入力面2の左上隅の位置を原点とする絶対座標(X,Y)で規定され、例えば、各領域の左上隅の絶対座標と右下隅の絶対座標とが組にされて格納される。
【0031】
次に、第2の設定として、中央領域5e及び周縁領域5a…に機能スイッチを割り当てる。この機能スイッチには、画面36’上のカーソル4(指示マーク)を特定方向に移動させる機能が関連付けられている。
例えば図5に示すように、周縁領域5fの機能スイッチには、画面36’上のカーソル4を右方向(図示X方向)に移動させる機能が割り当てられている。
同様に、周縁領域5aの機能スイッチにはカーソル4を左斜め上方向に、周縁領域5bの機能スイッチにはカーソル4を上方向(図示Y方向の反対方向)に、周縁領域5cの機能スイッチにはカーソル4を右斜め上方向に、周縁領域5dの機能スイッチにはカーソル4を左方向(図示X方向の反対方向)に、周縁領域5gの機能スイッチにはカーソル4を左斜め下方向に、周縁領域5hの機能スイッチにはカーソル4を下方向(図示Y方向)に、周縁領域5iの機能スイッチにはカーソル4を左右め下方向に移動させる機能がそれぞれ割り当てられている。図5に示す各領域5a〜5i内に、上述したカーソルの移動方向を矢印で示している。
尚、中央領域5eには、周縁領域5a…の機能スイッチに関連する機能を解除するスイッチが割り当てられる。従って周縁領域5a…から中央領域5eに指3がスライド移動するとカーソル4の連続移動が停止する。また、中央領域5e内で指3を動かすと、従来のタッチパッド等と同様に、カーソル4が指3の動きに対応して移動するように構成されている。
【0032】
次に第3の設定として、周縁領域5a…に割り当てられた各機能スイッチをアクティブにする操作を設定する。この操作は、座標指示体である指3が一の分割領域から隣接する他の分割領域に向けていずれかの境界線A〜Dを越えたときに、他の分割領域の機能が動作するというものである。
例えば、周縁領域5fの機能スイッチは、座標指示体である指3が、周縁領域5fを区画する境界線B〜Dを越えた場合にアクティブになる設定とする。
即ち、周縁領域5fは、中央領域5eとの境界線B、周縁領域5cとの境界線C及び周縁領域5iとの境界線Dによって区画され、また周縁領域5fにはカーソル4を右方向に移動させる機能が設定されており、この機能は、座標指示体である指3が、中央領域5eから境界線Bを越えて周縁領域5fに移動した場合、周縁領域5cから境界線Cを越えて周縁領域5fに移動した場合、周縁領域5iから境界線Dを越えて周縁領域5fに移動した場合に、アクティブになる。
尚、指3が、周縁領域5b、5hから境界線B〜Dの交差部分を越えて周縁領域5fに移動した場合も同様である。
【0033】
同様に、周縁領域5aは、周縁領域5bとの境界線A及び周縁領域5dとの境界線Cによって区画されており、指3が、周縁領域5bから境界線Aを越えて周縁領域5aに移動した場合、及び周縁領域5dから境界線Cを越えて周縁領域5aに移動した場合に、周縁領域5aのカーソル4を左斜め上方向に移動させる機能がアクティブになる。
また、指3が、中央領域5eから境界線A及びCの交差部分を越えて周縁領域5aに移動した場合にも周縁領域5aの機能スイッチがアクティブになる。
【0034】
同様に、周縁領域5bは、周縁領域5aとの境界線A、周縁領域5cとの境界線B及び中央領域5eとの境界線Cによって区画されており、指3が、周縁領域5aから境界線Aを越えて周縁領域5bに移動した場合、周縁領域5cから境界線Bを越えて周縁領域5bに移動した場合、中央領域5eから周縁領域5bに向けて境界線Cを越えた場合に、周縁領域5bのカーソル4を上方向に移動させる機能がアクティブになる。
【0035】
その他の周縁領域5c、5d、5g〜5iの場合も上記と同様にして、各周縁領域に割り当てられた機能スイッチがアクティブになる操作が設定される。
尚、中央領域5eは、境界線A〜Dによって区画されており、指3が、いずれかの周縁領域5a…から境界線A〜Dを越えて中央領域5eに達したときには、周縁領域5a…の機能スイッチが解除され、従来のタッチパッド等と同様に、指3の動きに対応してカーソル4が移動することになる。
【0036】
更に第4の設定として、周縁領域5a…から座標指示体である指3が離れたときに、周縁領域5a…の各機能スイッチに関連する機能が停止する設定を行う。
【0037】
更に第5の設定として、周縁領域5a…内において、座標指示体である指3が、図5に示した各周縁領域5a…にそれぞれ割り当てられたカーソル4の移動方向とは別方向に移動した場合に、カーソル4の移動方向を、各周縁領域5a…に割り当てたカーソル4の移動方向と前記の別方向との合成方向になるように設定する。
例えば、図6に示すように、周縁領域5fの場合は、カーソル4を右方向(図中符号m1の矢印)に移動させる機能が関連付けられているが、周縁領域5f内で指3を上方向(図中符号n1の矢印)にスライド移動させた場合には、画面36’のカーソル4を、矢印m1と矢印n1の合成方向である矢印p1方向(右斜め上方向)に移動させるように設定する。
また、図6に示すように、周縁領域5iの場合は、カーソル4を右斜め下方向(図中符号m2の矢印)に移動させる機能が関連付けられているが、周縁領域5i内で指3を下方向(図中符号n2の矢印)にスライド移動させた場合には、画面36’のカーソル4を、矢印m2と矢印n2の合成方向である矢印p2方向(右斜め下方向)に移動させるように設定する。
その他の周縁領域5a〜5d及び5g、5hの場合も上記と同様である。
【0038】
上記の第1〜第5の設定は、例えば、座標出力機器PCのROM37にプログラムとして格納しても良く、デバイスドライバとしてRAM38に記憶させるようにしても良い。
【0039】
次に、上記構成による座標入力装置の動作を説明する。
なお、以下では初期状態として指3が中央領域5eに触れているものとする。まず、図7のステップSa1では、座標検出機器PDから座標出力機器PCへデータの取り込みを行う。そこで以下、この取り込み処理について図1も参照して説明する。座標検出機器PDにおいては、制御駆動部24から出力される駆動信号により、横方向走査部22と縦方向走査部23が走査駆動される。そして、センサ基板21の各走査線に走査信号が供給されているときに、ユーザがセンサ基板21(つまり座標入力面2)上の所望の個所を指3で操作すると、指3の操作状態に対応したシリアル検出信号が縦方向走査部23から出力される。このシリアル検出信号は、A/D変換部25でデジタル信号へ変換され、タップ/スライド成分抽出部26でタップ成分とスライド成分が抽出される。データ処理部27は、タップ成分をそのままインターフェイス部28へ送出するとともに、スライド成分に対してノイズ除去の補正を行ったのちにインターフェイス部28へ送出する。インターフェイス部28は、タップオン/オフの情報とボタンのオン/オフの情報を生成し、これらの情報をデータ処理部27から送られたデータに付加し、出力ポート29に供給して座標出力機器PCへ送出する。
【0040】
すると、座標出力機器PCでは、入力ポート31に供給された情報が、インターフェイス部30を介してデータ解析部32に供給される。これをもって、座標出力機器PCにおける座標検出機器PDからのデータ取り込み処理が完了する。ここで、従来であれば、供給されたタップ成分及びスライド成分が制御部35に供給され、制御部35がこれらを画像表示に適したデータに変換して表示部36に供給する処理を行う。これにより、座標入力面2を操作する指3の動きに対応して、例えば、表示部36の画面上をカーソル4が移動する様子が表示されることになる。
【0041】
次に、座標入力面2が指3により操作された場合、図7のステップSa2に進み、データ解析部32は中央領域5eを区画する境界線A〜Dを、指3が越えたかどうかを判別する。すなわち、データ解析部32は、モード変換部34に格納された当該領域の左上隅及び右下隅の絶対座標を取り込む。いま、これらの絶対座標をそれぞれ(Xa,Ya)及び(Xb,Yb)と置く。するとデータ解析部32は、指3の位置の絶対座標(X,Y)が、Xa<X<Xb及びYa<Y<Ybを満たすかどうかで、指3の位置が中央領域5eにあるか否かを判定する。
【0042】
判定の結果、指3の位置が中央領域5e内であれば、ステップSa3に進み、通常モードで動作する。
即ち、座標検出機器PDから供給されたタップ成分及びスライド成分に基づき、制御部35がこれらを画像表示に適したデータに変換して表示部36に供給する処理を行う。これにより、座標入力面2を操作する指3の動きに対応して、表示部36の画面上をカーソル4が移動する様子が表示される。
【0043】
次にステップSa2において、指3が中央領域5eを区画する境界線A〜Dを越えたと判定された場合は、ステップSa4に進む。
ステップSa4では、指3が、中央領域5eを区画する境界線A〜Dを越えた後、周縁領域5a…において指が静止しているか否かを判定する。指3が静止していると判定した場合はステップSa5に進む。
【0044】
ステップSa5では、周縁領域5a…に割り当てた機能スイッチをアクティブにする。
例えば、指3が、中央領域5eから境界線Bを越えて周縁領域5fに移動した場合、周縁領域5fのカーソル4を右方向に移動させる機能スイッチがアクティブになる。これにより、指3が周縁領域5fに触れている限り、表示部36の画面上をカーソルが右方向に移動する様子が表示される。
【0045】
次にステップSa4において、周縁領域5a…において指が静止していないと判定された場合は、ステップSa6に進む。
ステップSa6では、周縁領域5a…内において、指3が、各周縁領域5a…に割り当てられたカーソル4の移動方向に対して別方向に移動した場合に、カーソル4の移動方向を、各周縁領域5a…に割り当てたカーソル4の移動方向と前記の別方向との合成方向とする。
例えば図6に示すように、周縁領域5fにある指3が、この周縁領域5f内で上方向にスライドさせた場合は、画面36’のカーソル4が矢印m1と矢印n1の合成方向である矢印p1方向に移動する機能がアクティブになる。
【0046】
本実施形態の座標入力装置1によれば、指3が、中央領域5eと周縁領域5a…の境界線A〜Dを越えたときに、周縁領域5a…の機能スイッチに関連する機能が動作するように構成されているため、周縁領域5a…に指3が接触し続ける間は当該周縁領域5a…に関連する機能が動作するので、従来のタッチパッドのように指を離して再度接触させる動作が不要になり、座標入力装置1の操作性を向上させることができる。
特に、上記の座標入力装置1では、周縁領域5a…にカーソル4を所定の方向に移動させる機能が関連づけられているので、指3を周縁領域5a…に移動させるだけで、画面上のカーソル4を所定の方向に移動させることができる。
【0047】
また、上記の係る座標入力装置1によれば、周縁領域5a…から指3が離れただけで当該周縁領域5aに関連付けられた機能が停止するように構成されているので、座標入力装置1の操作を簡素化することができる。
【0048】
また、上記の座標入力装置1では、周縁領域5a…において、指3を前記所定の方向の別方向に移動させた場合に、カーソル4の移動方向が、前記所定の方向と前記別の方向との合成方向になるように構成されているので、カーソル4の移動方向を微調整することができ、座標入力装置1の操作性を向上させることができる。
【0049】
尚、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の座標入力装置では、座標入力面2を9分割したが、分割する数は9分割以上であればよく、12分割、16分割、20分割であっても良い。
図8には、20分割した場合の座標入力面12を示す。
この座標入力面12では、境界線E〜Kによって区画された20個の分割領域15a〜15tが設定されている。各分割領域15a〜15tは、図8に示すように均等分割してもよく、例えば中央にある分割領域15g〜15i及び15l〜15nを大きく、その他の分割領域を小さくして良い。
尚、本実施の形態では、中央にある分割領域15g〜15i及び15l〜15nを中央領域と称し、それ以外の座標入力面12の周縁部にある分割領域を周縁領域と称する。
中央領域5e及び周縁領域5a…は、境界線A〜K(図中1点鎖線)により区画されている。境界線A〜Hは相互に平行であって、図示Y方向に沿って延在し、また境界線I〜Kは相互に平行であって、図示X方向に沿って延在している。そして、境界線A〜Hは、境界線I〜Kとそれぞれ交差している。
【0050】
また、中央領域及び周縁領域15a〜15tには、機能スイッチがそれぞれ割り当てられている。
即ち図9に示すように、周縁領域15a〜15eには、例えばメディアプレーヤー等のボリューム調整スイッチが割り当てられている。詳細に述べると、周縁領域15aには、ボリュームを最大にするスイッチが割り当てられ、周縁領域15eには消音スイッチが割り当てられている。また、周縁領域15b〜15dにはそれぞれ、音量大、音量中、音量小のスイッチが割り当てられている。
一方、これ以外の中央領域及び周縁領域15f〜15tには、画面36’上のカーソル4を制御する機能スイッチが割り当てられている。
カーソル4の移動方向別に各領域の機能スイッチの内容を説明すると、周縁領域15fには左斜め上方向、中央領域15g〜15iには上方向、周縁領域15jには右斜め上方向、周縁領域15kには左方向、周縁領域15oには右方向、周縁領域15pには左斜め下方向、周縁領域15q〜15sには下方向、及び周縁領域15tには右斜め下方向いカーソル4をそれぞれ移動させる機能スイッチが割り当てられている。図9に示す各領域には、上述したカーソルの移動方向を矢印で示している。
尚、中央領域15l〜15nには、それ以外の領域15a…の機能スイッチに関連する機能を解除するスイッチが割り当てられている。従って領域15a…から中央領域15l〜15nに指3が進むと、カーソル4の連続移動が停止し、更に中央領域15l〜15n内で指3を動かすと、従来のタッチパッド等と同様に、カーソル4は指3の動きに対応して移動することになる。
【0051】
尚、中央領域及び周縁領域15a〜15tに割り当てた機能スイッチをアクティブにする操作の設定、中央領域及び周縁領域15a〜15tから指3が離れたときに各機能スイッチに関連する機能が停止する設定は、上記の座標入力面2の場合と同様である。
例えば、周縁領域15aに指3がスライド移動した場合には、メディアプレーヤー等のボリュームが最大となり、 また周縁領域15gに指がスライド移動しだ場合には、画面上のカーソル4が下方向に連続移動することになる。
【0052】
更に、中央領域15g〜15i及び周縁領域15k、15o、15p〜15t内において、指3が、図9に示した各領域15g〜15i及び15k、15o、15p〜15tにそれぞれ割り当てられたカーソル4の移動方向に対して、別方向に移動した場合に、カーソル4の移動方向を、上記の各領域5g…に割り当てたカーソル4の移動方向と前記の別方向との合成方向とする設定も、上記の座標入力面2の場合と同様である。
【0053】
上記の座標入力面12の設定は、座標出力機器PCのROM37にプログラムとして格納しても良く、またRAM38にデバイスドライバとして記憶させるようにしても良い。
【0054】
上記の座標入力面12の設定によれば、先に説明した座標入力面2の場合と同様に、各領域15g…にカーソル4を所定の方向に移動させる機能が関連づけられているので、これらの領域15…に指3を移動させるだけで、画面上のカーソル4を所定の方向に移動させることができる。
【0055】
更に上記の座標入力面12の設定によれば、周縁領域15a〜15eに、ボリューム調整スイッチが割り当てられているので、指3による座標入力面12の操作だけでボリューム調整を行うことができる。
【0056】
尚、周縁領域15a〜15eに割り付けるスイッチは、ボリューム調整に限られず、メディアプレーヤーの再生、停止等のスイッチを割り当てても良く、その他のスイッチを割り当てても良い。
また、このようなスイッチを割り当てる領域は周縁領域15a〜15eに限らず、他の領域であっても良い。
【0057】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の座標入力装置によれば、座標指示体が、周縁領域または中央領域から隣接する他の周縁領域に向けて境界を越え、座標指示体が周縁領域内で静止している場合は、指示マークを特定方向に移動させる機能を動作させるので、周縁領域に座標指示体が接触し続ける限り、当該分割領域に関連する機能が動作するため、従来のタッチパッドのように指を離して再度接触させる動作が不要になり、座標入力装置の操作性を向上させることが可能になる。また、前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した場合は、前記特定方向と前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した方向との合成方向に前記指示マークを移動させるので、指示マークの移動方向を微調整することができ、座標入力装置の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の座標入力装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 座標検出機器PDの外観を示す平面図である。
【図3】 本発明の実施形態の座標入力装置によるカーソル操作を説明する図である。
【図4】 座標入力面に設定された分割領域の一例を示す平面図である。
【図5】 座標入力面に設定された分割領域の一例を示す平面図であって、周縁領域に割り付けられた機能スイッチによるカーソルの移動方向を説明する平面図である。
【図6】 座標入力面に設定された分割領域の一例を示す平面図であって、カーソルの移動方向を説明する平面図である。
【図7】 本発明の実施形態の座標入力装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】 座標入力面に設定された分割領域の別の例を示す平面図である。
【図9】 座標入力面に設定された分割領域の別の例を示す平面図であって、分割領域に割り付けられた機能スイッチによるカーソルの移動方向を説明する平面図である。
【符号の説明】
1…座標入力装置、2、12…座標入力面、2a…周縁、3…指(座標支指示体)、4…カーソル(指示マーク)、5a〜5i、15a〜15t…分割領域、5e、15g〜15i、15l〜15n…中央領域、5a〜5d、5f〜5i、15a〜15f、15g、15k、15o〜15t…周縁領域、36’…画面、A〜D、E〜K…境界線、PC…座標出力機器、PD…座標検出機器、m1、m2…特定方向、n1、n2…別方向、p1、p2…合成方向

Claims (3)

  1. 座標指示体により操作される座標入力面を備え、画面上の指示マークの移動を前記座標入力面上における前記座標指示体の動作に対応させて行う座標入力装置であり、
    前記座標入力面は境界線を介して少なくとも9以上の分割領域に分割されるとともに、前記分割領域は、前記座標入力面の周縁に接する複数の周縁領域と、前記周縁領域に囲まれた1または2以上の中央領域とからなり、各分割領域のそれぞれに機能スイッチが割り当てられ、
    前記機能スイッチには、前記指示マークを特定方向に移動させる機能が関連付けられており、前記座標指示体が前記周縁領域または前記中央領域から隣接する他の前記周縁領域に向けて前記境界を越え、前記座標指示体が前記周縁領域内で静止している場合は、前記指示マークを特定方向に移動させる機能を動作させ、前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した場合は、前記特定方向と前記座標指示体が前記周縁領域内で移動した方向との合成方向に前記指示マークを移動させることを特徴とする座標入力装置。
  2. 前記他の周縁領域から前記座標指示体が離れたときに、前記指示マークを特定方向に移動させる機能が停止するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  3. 前記周縁領域内において、前記座標指示体が前記特定方向の別方向に移動した際に、前記指示マークの移動方向が、前記特定方向と前記別方向との合成方向になるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
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