JP3909057B2 - 耐候性鋼の腐食量予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、必要に応じて、さび安定化処理、塗装又はめっき等の表面処理や、点検、補修又は洗浄等の維持管理が施される耐候性鋼の腐食量予測方法及びそれを応用した鋼種の選定方法等に関する。
耐候性鋼は、さびでさびを制するというユニークな特性ゆえに橋梁をはじめとする多くの実構造物に適用されてきた。その機能を生かしてこの鋼材を適用し、維持管理コスト低減に成功している事例は多い。しかし、一方で飛来塩分の多い海浜地域等に不用意に適用した場合問題を生じることもあった。近年では内陸地域でも融雪塩散布の影響を受け、局部的な異常さび形成が認められることもある。
今後橋梁をはじめとした構造物においては、国土交通省より提唱されたミニマムメンテナンス橋構想に代表されるように、更なる維持・管理コストの削減をしつつも超長期にわたり安心して実使用が可能となる耐候性鋼材、表面処理技術、構造設計法等が求められている。このため、わが国全体としてアジア諸国等とのコスト競争力を維持発展させる21世紀型インフラストラクチャーの一形態として、LCCミニマムを実現しうるさびサイエンス研究と耐候性鋼に関連する利用技術開発に大きな期待が寄せられている。
このような背景の中、1997年から4年間にわたり、腐食防食協会において21世紀のインフラストラクチャーを支えるさびサイエンス研究会が結成された。そして、耐候性鋼をより安心かつ安全に使いこなしていくための基本認識として、これまで混乱の多かった「安定さび」とはいかなる概念のものかについて多くの専門家により熱心な検討が行われた。
その結果、平成13年6月25日に開催された腐食防食協会主催の第132回腐食防食シンポジウムにて以下の提言が学会見解として発信された(腐食防食協会・さびサイエンス研究会:第132回腐食防食シンポジウム資料−ミニマムメンテナンス橋構想実現へのさびサイエンス新展開−、p3、平成13年6月25日)。
耐候性鋼の「さび安定化」とは、構造物耐荷重性能の経年劣化が工学的に問題とならない程度に腐食速度が低減した状態(目安として0.0lmm/年以下)になることである。
安定さびとは、暫定的解釈として:耐候性鋼が「さび安定化」したときに形成しているさびである。ただし、「さび安定化」は上述のように状態を定義したものであるのに対し、安定さびという言葉が物質的イメージの強い用語であるため、学術的な使用を控えるのが望ましい。代替物質呼称には、保護機能の高いさびについて保護性さびという用語を用いる。
「さび安定化」した時のさびの特徴は、十分な期間(5年以上)が経過しているにも関わらず、厚く成長していないことである(ただし、剥離さびの痕跡がある場合を除く)。
この提言の中で最も本質的なメッセージは耐候性鋼の「さび安定化」の定義であることはいうまでもない。つまり、耐候性鋼という工業材料を構造物に用いた場合、安定さびという物質がいかなるものかという多様な議論よりも、この材料を用いた構造物の耐荷重性能が長期に安定して存在しうる「さび安定化状態」を実現することが上位目標概念にあると再認識された。また、材料選定、構造設計、維持・管理をしていく上で耐候性鋼の長期にわたる累積腐食量予測技術の開発が最重要項目の一つと示唆された。
従来、一般に行われている耐候性鋼の長期にわたる累積腐食量の予測方法には、建設地又はそれに類似した大気環境条件で10年程度の曝露試験を行い、その時得られた腐食減肉量の経時変化を(腐食量)=A×(曝露期間)Bなる関係式でフィッティングしてA値及びB値を求め、その値を用いて任意の長期間におよぶ腐食減量を計算するという手法がある(例えば、建設省土木研究所、(社)鋼材倶楽部、(社)日本橋梁建設協会:耐候性鋼材の橋梁への適用に関する共同研究報告書(XII)、p20、平成4年3月)。
しかし、この予測方法では、定数項A値及びB値を求めるためには10年程度の実大気環境における曝露試験が必須で、判断まで資金、労力及び時間がかかる。このため、耐候性鋼と競合関係にあるコンクリート構造物等に比べて市場競争力の弱い技術営業方法をとらざるを得ないという問題点が指摘されていた。
耐候性鋼の適用可否の判断に関するフローに関しては、例えば、図1乃至図4に示すようなものが、特開2000−1816号公報等に開示されている。しかし、それぞれのフローでは、実質的には使用環境において腐食量に寄与する因子が整理されているに過ぎず、適応環境の予測腐食量に基づいた適用鋼種の定量的な使用可否判定基準を提案もしくは開示するものではない。つまり、これらは、より定量的な予測腐食量に基づく判定方法が望まれることに対する有効な解決手段にはなっていない。また、これらのフローにおいて、腐食量予測に重要なパラメータである硫黄酸化物量や年間ぬれ時間が全く考慮されていないという問題点もある。
従来の耐候性鋼の長期腐食減耗予測法には、建設地における曝露試験データ又はそれに類似した大気環境における曝露試験データが必須であり、それを得るために高額な試験・分析費用の出費が余儀なくされていた。また、我が国の道路橋に耐候性鋼を無塗装で使用できる地区は、飛来塩分量が0.05mdd(mddとはmg/dm2/dayの略号である)以下の地区と限定されてきたが、それ以上の飛来塩分量の環境条件でも耐候性鋼で異常発生が生じない場合もある。このため、単一指標のみで一律的な適用可否判断をしてきたことにより、メンテナンスコストの削減機会を失っていた事例もある。さらには、十分な腐食減耗挙動の予測をしないまま、適用限界を超えて耐候性鋼を使用した場合には、一部異常腐食が発生し、思わぬ補修費用の出費を余儀なくされることもあった。
このように、環境条件の腐食性と耐候性鋼のさび安定化パーフォーマンスを関連づける理論が皆無であったことから、耐候性鋼の適用はハイリスク、且つハイリターンであるともいわれてきた。
本願発明者らは、これらの実情に鑑み、低コスト、且つ迅速に、しかも高精度で耐候性鋼適用可否判断を行う技術開発が必須と認識し、建設地近隣の気象データと飛来塩分量データ及び硫黄酸化物量データをもとにした耐候性鋼の長期腐食減肉量を計算により予測する手法の開発に取り組んできた。
本発明の目的は、前述のような従来技術の問題点を解決し、低コストかつスピーディーに、しかも高精度で耐候性鋼適用可否判断を行うことができる耐候性鋼の腐食量予測方法等を提供することにある。
本願発明者らが、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、耐候性鋼のさび安定化という自然現象を整理し、長期の腐食減耗量を予測する計算技術思想を構築し、以下の諸態様に想到した。このような計算技術思想は、ソフトウェア化することも可能である。
本発明に係る耐候性鋼の腐食量予測方法は、電子計算機を用いて、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程を有する耐候性鋼の腐食予測方法であって、前記予測腐食量を計算する工程は、下記数1aを用いて腐食性指標Zを計算する工程を有することを特徴とする耐候性鋼の腐食量予測方法。
Figure 0003909057
(但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
本発明に係る腐食量予測システムは、情報の入力手段と、前記入力手段から入力された、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記耐候性鋼の予測腐食量を計算する演算手段と、前記演算手段による計算結果を出力する出力手段と、を有し、前記演算手段は、前記予測腐食量を計算する際に、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする。
ここに、本発明が対象とする耐候性鋼には、JIS G 3114に規定される溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(記号:SMA)、及びJIS G 3125に規定される高耐候性圧延鋼材(記号:SPA−H、SPA−C)が含まれる。また、例えば、特開平5−51668号公報、特開平7−207340号公報、特開平7−242993号公報、特開平8−134587号公報、特開平11−71632号公報、特開平11−172370号等に記載のNiを1〜3質量%程度含有する耐候性鋼も本発明が対象とする耐候性鋼に含まれる。更に、最近開発され、Mo、Cu、Ti、Cr等を含有する海浜・海岸耐候性鋼も本発明が対象とする耐候性鋼に含まれる。
気象観測データとは、耐候性候が曝露される気象条件を観測したデータをいう。例えば、年間ぬれ時間TOW(h)、年平均気温T(℃)、年平均風速W(m/sec.)等のデータが気象観測データに含まれる。
飛来塩分量とは、JlS Z 2381(屋外曝露試験方法通則)の参考3に規定する海塩粒子量測定方法に準拠した方法により得られた値である。つまり、先ず、純水でよく塩分を浸出させた後によく乾燥させたガーゼを二つ折りして、内寸が100mm×100mmの木枠にはめ込む。次いで、直接雨が当たらない通風の良いところに1ヶ月垂直にガーゼを曝露し、曝露後取り外して分析し、NaCl量を求める。そして、このNaCl量をNaCl・mg/dm2/day(略号mdd)の単位で表した値が飛来塩分量である。このとき、片面の付着量に換算されるようにする注意が必要である。このデータは建設地等の大気環境においてどの程度塩分が含まれ、それがどのくらいの速度で構造物等に付着しているかを表す指標として広く用いられている。
硫黄酸化物量とは、JlS Z 2381(屋外曝露試験方法通則)の参考2に規定する硫黄酸化物量の測定方法に準拠して方法により得られた値である。つまり、先ず、二酸化鉛ペーストを塗布したガーゼを貼り付けたプラスチック製等の円筒を専用のシェルター内に1ヶ月垂直に曝露する。曝露後、取り外し分析する。そして、SO2量をSO2・mg/dm2/day(略号mdd)の単位で表した値が硫黄酸化物量である。このデータは建設地等の大気環境においてどの程度亜硫酸ガス等の硫黄酸化物が含まれ、それがどのくらいの速度で構造物等に付着しているかを表す指標として広く用いられている。
なお、ISO方式や付着塩分の直接計測方式等、JlS Z 2381以外の方法でこれらの値に相関する計測値を求めることもできる。計測法が異なると捕捉率の違いにより値も異なってしまうが、上述のJIS法に基づく飛来塩分量や硫黄酸化物量に換算すれば本発明の耐候性鋼の腐食量予測方法に適用できることはいうまでもない。
上述の本発明に係る耐候性鋼の腐食量予測方法は、後述の実施形態にて示すようにコンピュータで計算することにより極めて効果的に実施できる。このため、その頒布等においては、インターネット等の電気通信回線経由で媒体からダウンロードする場合も含めて、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態をとるのが適当である。
本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて予測腐食量を計算する手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記予測腐食量を計算する手順は、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算する手順を含むプログラムを記録したことを特徴とする。
また、後述の実施形態のようにコンピュータによって、本発明の方法が簡便に利用可能となれば、以下のような業務形態が可能となる。
本発明に係る鋼種の選定方法は、電子計算機を用いて、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びにその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、電子計算機を用いて、前記予測腐食量と設計耐用期間における設計上の許容腐食量とを比較する工程と、を有し、前記予測腐食量を計算する工程は、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算する工程を有することを特徴とする。
本発明に係る鋼種の選定システムは、電子計算機を用いて、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びにその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、電子計算機を用いて、前記予測腐食量と設計耐用期間における設計上の許容腐食量とを比較する工程と、を有し、前記予測腐食量を計算する工程は、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算する工程を有することを特徴とする。
本発明に係る第1の鋼構造物の維持管理方法は、耐候性鋼から作製された実構造物の任意の期間における腐食減量又は耐候性鋼から作製され実構造物に取り付けられた垂直曝露材若しくは水平曝露材の任意の期間における腐食減量の実測結果から実測初年腐食量を求める工程と、電子計算機を用いて、前記実測初年腐食量をAV又はAHとして、上記数1aを用いた所定の方法により前記耐候性鋼の腐食量を予測する工程と、前記予測された耐候性鋼の腐食量に基づいて、維持管理方針を決定する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る第2の鋼構造物の維持管理方法は、耐候性鋼から作製された実構造物の任意の期間における腐食減量又は耐候性鋼から作製され実構造物に取り付けられた垂直曝露材若しくは水平曝露材の任意の期間における腐食減量の実測結果から実測初年腐食量を求める工程と、電子計算機を用いて、前記実構造物が設けられた位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報から、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算する工程と、電子計算機を用いて、前記腐食性指標Zから前記耐候性鋼の初年腐食量を推定する工程と、電子計算機を用いて、前記実測初年腐食量と前記推定された初年腐食量との比較を行う工程と、電子計算機を用いて、前記比較の結果に基づいて前記腐食性指標Zを補正する工程と、電子計算機を用いて、補正後の前記腐食性指標Zに基づいて、前記耐候性鋼の腐食量を予測する工程と、前記予測された腐食量に基づいて、維持管理方針を決定する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る鋼構造物の維持管理システムは、情報の入力手段と、前記入力手段から入力された、耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の任意の期間における腐食減量の実測結果に基づいて、前記耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の実測初年腐食量を夫々算出し、前記入力手段から入力された、前記耐候性鋼が使用される予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の情報、前記入力手段を介して認識させられた、前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報、並びに前記各実測初年腐食量を用いて前記耐候性鋼の予測腐食量を計算し、前記予測腐食量に基づいて、維持管理方針を決定する演算手段と、を有し、前記演算手段は、前記予測腐食量を計算する際に、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする。
本発明に係る耐候性鋼に関する情報の提供方法は、年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算するサーバーに、ユーザーが、端末機器から電気通信回線を介してアクセスする工程と、前記ユーザーが、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データを前記端末機器から前記サーバーに入力する工程と、前記ユーザーが、その使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記端末機器から前記サーバーに認識させる工程と、前記サーバーが、前記環境データ及び前記内因性の腐食情報に基づいて、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、前記サーバーが、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記端末機器に伝送する工程と、前記端末機器が前記予測腐食量を出力する工程と、を有し、前記サーバーは、前記予測腐食量を計算する際に、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする。
本発明に係る耐候性鋼に関する情報の提供システムは、ユーザーが端末機器から電気通信回線を介してアクセスすることが可能であり、年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算し、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記端末機器に伝送するサーバーを有し、前記サーバーは、前記予測腐食量を計算する際に、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする。
本発明に係る第1の耐候性鋼の営業方法は、年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算するサーバーに、ユーザーが、端末機器から電気通信回線を介してアクセスする工程と、前記ユーザーが、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データを前記端末機器から前記サーバーに入力する工程と、前記ユーザーが、その使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記端末機器から前記サーバーに認識させる工程と、前記サーバーが、前記環境データ及び前記内因性の腐食情報に基づいて、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、前記サーバーが、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記ユーザーの端末機器に伝送する工程と、前記端末機器が前記予測腐食量を出力する工程と、前記サーバーにアクセスした履歴の有無及び前記サーバーにアクセスした頻度からなる群から選択された少なくとも1種の要素に基づいて営業先を決定する工程と、を有し、前記サーバーは、前記予測腐食量を計算する際に、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする。
本発明に係る第2の耐候性鋼の営業方法は、年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算する電子計算機に、営業担当者が、顧客が耐候性鋼の使用を予定している使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報を入力する工程と、前記営業担当者が、前記顧客がその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記電子計算機に認識させる工程と、前記電子計算機が、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、前記営業担当者が、前記電子計算機による計算結果を前記顧客に提示する工程と、を有し、前記電子計算機は、前記予測腐食量を計算する際に、上記数1aを用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする。
本発明の方法によれば、暴露試験等の限られた実測データに基づいても、数十年に及ぶ耐用年数における腐食量を、高い精度で予測できる。また、防食手段や維持管理方法の取り込みも容易である。
本発明により、これまで長期曝露試験に頼っていた耐候性鋼の適用可否判断や材料選定、耐久化設計、表面処理適用判断やその種類選定、維持管理指針作成等の諸作業を高精度化及び高効率化できる。また、本発明により、耐候性鋼の営業活動も低コスト化できる。従って、本発明は、耐候性鋼の競争力の向上に寄与することができる。
従来、飛来塩分量だけで適用可否判断をしていたため、本来、耐侯性鋼で維持管理コスト低減できる地域であるにもかかわらず、適用が控えられて施主の維持管理費用の増大が招かれている。また、その逆に、湿度や温度が高い等の原因で飛来塩分量が低いにもかかわらず、不測にも異常腐食して補修費用が発生している。これに対し、本発明によれば、このような事態を事前に回避することも可能となる。
このような不具合の回避は、環境側の不確定要因の存在によって生じ得る、耐候性鋼を適用する際のトラブルを未然に防ぐことにもなる。従って、本発明は、安心で安全なインフラストラクチャーの整備にも一役をはたすことになる。これらの一連の長期腐食減耗の予測と、得られた計算結果をベースにした各種防食手段の組み合わせにより、100年を超える耐用期間を有する耐候性鋼から製造される構造物の設計が可能となる。この結果、社会資本のミニマムメンテナンス化の実現が促される。
図5は、本発明の実施形態に係る腐食量予測方法及びこれに基づく耐候性鋼の適用可否を判断する方法を示すフローチャートである。また、図29は、図5に示す工程を実施することができる処理システムの例を示すブロック図である。
図29に示す処理システムでは、情報入力部(入力手段)1を介して、例えば、図5中の飛来塩分量、硫黄酸化物量及び地域の気象データ等の情報が演算部2に入力される。情報入力部1は、パーソナルコンピュータ用のキーボード等であってもよく、また、電気通信回線用のインタフェースボード等であってもよい。演算部(演算手段)2は、例えば、図5中の初年腐食量の計算、さび安定化指数の計算、A値及びB値の補正並びに経年累積腐食量の予測等の演算を行う。表示部(表示装置)3は、例えば、演算部2から出力された情報を表示する。なお、出力手段としては、表示部3だけでなく、例えば印刷装置が設けられていてもよい。また、比較部4は、例えば、図5中の設計耐用期間での腐食量が許容値以下であるかの判断において、腐食量と許容値との比較を行う。
上述のさび安定化定義(案)の背景となる概念を図6に示す。図6に示すように、環境条件が十分マイルドであると腐食自体が進まないので、さびの保護機能の高まりも殆ど起きないが、構造物耐荷性能は長期に安定した状態となる。環境条件が厳しくなると、合金成分の効果により保護性さびが形成され、その腐食抑制効果により構造物耐荷性能は長期に安定した状態となる。この両者のいずれかの状態にあれば、耐荷重性能面から考えて耐候性鋼にとっての「正常状態」にあるといえる。従って、この状態は「さび安定化状態」にあると表現される。一方、環境条件がより厳しくなると、保護性さびが一時的に形成されても、腐食抑制効果に限界が生じ、加速腐食が生ずる等、耐候性鋼にとっての「異常状態」に至ることがある。正常状態が維持できなくなる限界点を、さび安定化限界条件と呼ぶことにする。
耐候性鋼の腐食現象を表す基本的考え方も、大原則は図6に従って考察を進めることができる。まず、耐候性鋼が適度な乾湿の繰り返しを受けるさび安定化限界条件内の環境に曝されると、保護性さびの形成に従って経年的に腐食速度の低減が起こる。この様子をモデル化するために、経過年数をXとすると、X年後の腐食速度vxは、経過年数が1年のときの腐食速度v1及び指数βを用いて、数式(式1b)で表すことができる。この数式(式1b)によると、X=0としたときの腐食速度は無限大になるが、これは鋼が全く裸の状態、つまりショットブラストをかけた直後の瞬間等の不動態皮膜すらない状態を想定した理論上の腐食速度であり、工学的な意味は小さい。
Figure 0003909057
数式(式1b)の両辺をXについて積分すると、X年後の累積腐食量Yが求まり、数式(式2)が得られる。
Figure 0003909057
ここで、初期条件として1年目の腐食量(初年腐食量)をAとすると、このAの値は、数式(式3)で表される。
Figure 0003909057
さらに1−β=Bとおき、Bの値をさび安定化指数と呼べば、数式(式2)に数式(式3)を代入することで、経験的によく知られている耐候性鋼の経年累積腐食量の予測式が得られる。
Figure 0003909057
図7は、数式(式4)の両辺の対数をとり、その関係を示したものである。図7に示すように、logXとlogYとは、直線関係にあり、Yを精度良く予測するためには、初年腐食量A及びさび安定化指数Bを十分な精度で見積もることが不可欠である。特に、耐候性鋼ではその表面に生成するさびの安定化によって、直線の傾きであるさび安定化指数Bがどのような値となるかが長期にわたる使用を考慮した場合、重要な要素となる。
また、数式(式4)を図6との関係で考察すると、次のようになる。すなわち、腐食環境の厳しさが小さい場合、さび安定化指数Bはほぼ1に近い値となり、ほぼ直線則に従い腐食は進行する。但し、初年腐食量Aがきわめて小さいため、腐食速度はきわめて遅く、構造物耐荷重性能の経年劣化は工学的に問題とならないさび安定化状態を実現できる。
腐食環境の厳しさが徐々に大きくなるにつれ、初年腐食量Aは大きくなるが、保護性さびの形成も促されるため、さび安定化指数Bは小さくなる。この結果、腐食速度の経時的低減によるさび安定化状態の実現ができる。さらに腐食環境の厳しさが増すと、さびの保護性が失われ、初年腐食量A及びさび安定化指数Bがともに増大し、さび安定化限界条件を超えた厳しい腐食環境で異常腐食が発生する。
さびの保護性が低い状態での腐食速度は環境条件と鋼材の耐食性によって決定されると考えた場合、初年腐食量Aは近似的に数式(式5)の関数により表現できる。
Figure 0003909057
ここで、Zは環境の腐食性指標、wは鋼材の耐食性指標、F(Z)及びG(w)は初年腐食量Aに腐食性指標Z及び耐食性指標wがどのような寄与をするかを表す関数である。鋼材の成分が決まると、耐食性指標G(w)は一定となるので、腐食性指標Zをどのように求め、初年腐食量Aと関連づけるかが問題となる。
環境条件は多数の要因変化を含んだ複雑系といえる。これまで耐候性鋼の適用環境条件は飛来塩分量により第一近似的に整理されてきたが、0.05mddを超える飛来塩分環境下でも耐候性鋼が良好なさび安定化状態にあることもある。このため、単一の指標のみでその適用可能条件を決めてしまうことには異論もあった。一方、各種気象データと腐食速度の相関を統計解析している例もあるが、必ずしも十分な結論は得られていない。この理由の一つに、化学反応速度論的考察がなされていないことが挙げられる。
そこで、上述までの議論を踏まえて大気環境の腐食性をどのように構築するかを考えてみる。以下、今回試行した大気環境の腐食性指標導出への仮説的考え方について整理して説明する。
(i)大気環境の腐食性は、年間ぬれ時間TOW(h)に比例する。
(ii)年平均風速W(m/sec.)が速い地域では、乾燥効果があるので、ぬれ時間TOW(h)が短くなる。
(iii)飛来塩分量C(mdd)が増大すると、大気環境の腐食性も厳しくなる。
(iv)硫黄酸化物量S(mdd)が増大すると、大気の腐食性も厳しくなるが、飛来塩分量に比べるとその影響は小さい。
(v)飛来塩分量C(mdd)の多い地域で硫黄酸化物量S(mdd)が高くなると、後者による腐食抑制効果が起こる。これは、さび中に硫酸イオンが吸着し、負に帯電したさびが形成されるため、塩化物イオンの浸入が抑制されるためと考えられる。
(vi)年平均気温T(K)の影響について、化学反応速度論の基本であるアルレニウスの関係が成立する。
(vii)橋梁内桁(覆い下)に耐候性鋼が曝露されたことを想定し、降雨による付着物の洗浄効果は期待しない。
これらの考え方をもとに、覆い下で曝露された耐候性鋼に対する環境の腐食性指標Zを定式化すると数式(式6)が得られる。
Figure 0003909057
ここで、αは指標Zの値をハンドリングしやすいオーダーの数値領域にするための係数であり、人為的に決定することができる。また、κ、δ、εはそれぞれがかかる各因子の影響度を表す定数である。R(J/(K・mol))は気体定数である。Eaは腐食反応の活性化エネルギーであり、これまでの研究成果を参照すると、例えば代表値として5×103J/molを代入してもよい。
各影響度定数κ、δ及びεの値は、例えば以下のようにして求められる。先ず、建設省土木研究所、社団法人日本橋梁建設協会及び社団法人鋼材倶楽部の三者により行われた耐候性鋼の全国41橋曝露試験結果に開示され、JIS G 3114に規定されたSMA型の耐候性鋼の初年腐食量A、飛来塩分量C及び硫黄酸化物量Sを求めた。また、各地気象官署で測定され、開示された1999年の気象データから曝露試験実施地点近隣の年平均気温T、年平均湿度RH及び年平均風速Wを求めた。更に、Kuceraらの方法(V.Kucera, J.Tidblad, A.A.Mikhailov: ISO/TC156/WG4-N314 Annex A, 1990/3/30)により年平均気温T及び年平均湿度RHから年間濡れ時間TOWを求めた。次に、曝露試験地点毎の自然環境条件を数式(式6)で環境の腐食性指標Zとして計算し、初年腐食量Aとの最良の相関関係が得られるよう、影響度定数κ、δ及びεを次のようにして決定した。即ち、化学反応速度論的に妥当と思われる影響度定数κ、δ及びεの初期値を入力し、これら3定数の値を系統的に変化させながら、初年腐食量Aと環境の腐食性指標Zとの相関における偏差が極小になる影響度定数κ、δ及びεの組み合わせの最適解を数値解析的に求めた。この最適地は、例えばκ=0.1、δ=0.05、ε=60となった。
これまで未解明の自然現象とされていた多種の気象因子の耐候性鋼の初年腐食量への影響度合いを、腐食性指標Zとしてはじめて数式モデル化することができた。
これらのデータを基に、従来から行われてきた方法により得られる飛来塩分量Cと初年腐食量Aとの関係を図8に示す。また、数式(式6)に基づいて計算された腐食性指標Zと初年腐食量Aとの関係を、垂直曝露材と水平曝露材とに区分して図9及び図10にそれぞれ示す。
図8と図9との比較及び図8と図10との比較により、飛来塩分量Cのみで腐食環境の厳しさを表す従来の方法よりも、腐食性指標Zを用いて初年腐食量Aの値を求める本発明の方法の方がはるかに小さな誤差で初年腐食量Aを推定できることがわかる。
水平にある試験片と垂直にある試験片とでは、それだけで腐食性物質が表面に付着する状況が相違するため、必然的に腐食速度に違いが生ずる。そこで、図9及び図10に示した腐食性指標Zに対する垂直曝露材の初年腐食量Av及び水平曝露材の初年腐食量AHを用いて2次回帰分析を行ったところ数式(式7a)及び(式7b)が得られた。これは、上述のF(Z)関数を求めることができたことを意味する。また、図9及び図10に示す曲線は、夫々数式(式7a)、(式7b)で表される曲線である。
Figure 0003909057
なお、本明細書において、垂直曝露材若しくは水平曝露材のみに関する数値、又は垂直曝露材若しくは水平曝露材のみから得られたデータに基づく数値であることを区別して記載する場合は、「Av」、「AH」のように垂直(V)、水平(H)に対応する符号で区別して記載する。一方、垂直及び水平が混合している場合、又は垂直も水平も同等で特に区別の必要のない場合には、「A」のように区別なく記載する。
数式(式7a)及び数式(式7b)には、括弧内に回帰分析の有意性判定に用いられるpの値を示した。このpの値が0.05より大きい場合には、この関係式は帰無仮説により棄却すべきであると判定される。しかし、各式のpの値は極めて小さいため、これらは統計的に十分有意と判定できる。
上述の数式(式7a)及び数式(式7b)で求められる初年腐食量Aは平均値であるため、予測範囲を示すには十分ではない。気象データ観測地と橋梁建設サイトとでは、環境条件に違いがあるので、ばらつきが発生することは不可避であろう。そこで、図9及び図10の片対数プロットを行いばらつきの範囲を評価して、数式(式8aU)、数式(式8aL)、数式(式8bU)及び数式(式8bL)に示すように、上側値には平均値の1.7倍、下側値には平均値の1.7分の1を用い、予測結果は範囲表示することにした。
Figure 0003909057
腐食性指標Zが大気環境のマクロな腐食性を表すのに対し、考え方の上では、水平曝露材の初年腐食量AH及び垂直曝露材の初年腐食量AV値は、それぞれ水平曝露条件、垂直曝露条件に置かれた耐候性鋼に対する環境の腐食性に対応する値となっている。その意味で、再度、図6に立ち返り考察を進めると、横軸に初年腐食量A、縦軸にさび安定化指数Bをプロットすれば、何らかの関係が得られると予測される。
そこで、前述の全国41橋曝露試験の結果をそのようにプロットすると図11に示すグラフが得られる。この図11からは、ばらつきはあるが、次のような傾向が読み取れた。すなわち、初年腐食量Aが約30μmまでの範囲では、さび安定化指数Bが減少して長期に腐食速度の低減効果が期待できる。これに対し、初年腐食量が約30μmを超える厳しい腐食環境においては、さび安定化指数Bが増大し、異常腐食が発生しやすくなるという傾向がある。このような傾向が新たに見出された。なお、この図11は、図6の基本概念を定量データにより初めて表現したものとなる。
本願発明者らは、さび安定化指数Bの推定にあたり、よりばらつきが小さくなる関係論を気象データ等を参考にしながら探ってみたが、図11より良い相関関係を得ることはできなかった。そこで、図11を次のように解釈できると考えて、さび安定化指数Bを推定する方法を策定した。
(i)データのばらつきは、凍結防止剤の散布、又は塵埃若しくは塩分の堆積等の腐食環境の測定で把握しきれなかった腐食性因子が存在し、さび安定化指数Bの低減が阻害されたために生じたと解釈できる。以下、このような腐食性因子を過剰影響因子と称する。
(ii)過剰影響因子によるさび安定化を阻害する程度が極めて軽微な場合には、測定点の80%以上が分布するバンド内にさび安定化指数Bが入る。以下、このような状態を自然状態と称する。
(iii)自然状態では、さび安定化指数BがNatura1 Upper線を上回る確率は小さい。
(iv)自然状態ではさび安定化指数BがNatura1 Lower線を下回る確率は小さい。
(v)当初の環境計測にて捕捉できなかった過剰影響因子が作用する場合、日本国内における影響程度の標準的な上側の目安は、Extra Influence線で表されるレベルと推定するのが妥当であると考えられるが、環境条件の計測結果を見直して入力直し、自然状態条件で予測計算をし直してもよい。Extra Influence線で表されるレベルとは、さび安定化指数Bの過剰影響値であり、さび安定化指数Bの自然上側値+0.15で表される。以下、さび安定化指数Bの過剰影響値を過剰影響B値といい、さび安定化指数Bの自然上側値を自然上限B値という。同様に、さび安定化指数Bの自然下側値を自然下限B値といい、初年腐食量Aの過剰影響値を過剰影響A値といい、初年腐食量Aの自然上限値を自然上限A値という。
以上の解釈をもとにすれば、環境データを用いて推定した自然状態でのさび安定化指数Bの範囲を、自然上側B値及び自然下側B値で表すことが可能となる。過剰影響A値は、自然上側A値程度になると推測し、自然上側A値に1.0を乗じた値を標準的な目安として採用する。また、過剰影響状態でのさび安定化指数Bは、標準的目安として自然上側B値+0.15を採用する。ただし、過剰影響の度合いに関しては状況により変化しうるので自然上側A値及び自然上側B値を基準にして値を調整して考察することも必要となる。上述の通り、過剰影響モードによる計算はあくまで目安を示す簡易法であることを十分に認識しておく必要がある。
Aの値は初年腐食量に相当する値であるから、気象データや飛来塩分量、硫黄酸化物量をもとに推定することは上述により可能である。また実曝露試験を行って求めても良い。
上記の初年腐食量A及びさび安定化指数Bの分布バンドを設定することにより、予測計算の結果もバンド表示されることになる。100年後の腐食量に関し、環境条件を用いた予測範囲と実測データから予測した結果とを統計解析した結果に基づいて統計解析を行ったところ、過剰影響が顕著に存在すると考えられるケース数件を除き、予測腐食減耗曲線の自然上側線及び自然下側線がそれぞれ累積正規分布曲線の約98%及び2%と合致することがわかった。そこで、予測腐食曲線に実現確率を付与して表現することにし、計算結果の解釈をより高い精度で検討できるようにした。
近年、国内鉄鋼メーカーより海浜・海岸耐候性鋼なる新しい高耐候性鋼が開発され市場投入がなされている。その中で覆下条件での長期曝露データが存在するのは、現時点では新日本製鐵株式会社の海浜耐候性鋼のみである。ただし、JIS規格型耐候性鋼(以下、JIS G 3114及びJIS G 3125に規定される鋼材を総称してJIS規格型耐候性鋼という。)に比べるとそのデータ数はわずかであり、上述のような系統的な気象データとの関係を把握及び解析することは困難な状態にある。しかしながら、海浜や凍結防止剤の散布を由来とする飛来塩分の影響が指摘される中、新しい鋼材についても過度な期待による不具合発生を最小化し、安全にLCCミニマム化を実現するためには目安としての経年累積腐食量の予測値を提示しておくことが望ましいといえる。そこで、上述のJIS規格型耐候性鋼に関する経年累積腐食量予測法をベースに3Ni−0.4Cu系海浜耐候性鋼の予測法を以下の考え方を基に策定した。
海浜耐候性鋼の経年累積腐食量はY=AXBで表される式に従う。
海浜耐候性鋼は腐食溶解活性がより低い鋼材であるので、海浜耐候性鋼の初年腐食量AはJIS規格型耐候性鋼より小さくなる。
海浜耐候性鋼は、Ni含有さびの形成により腐食界面での低pH化が抑制されている鋼(材料と環境 第49巻 第1号 30−40頁(2000))なので、海浜耐候性鋼のさび安定化指数Bの水準はJIS規格型耐候性鋼よりも小さくなる。
これらの考え方に基づき、飛来塩分量が1.3mddである君津市岸壁で9年間水平曝露して得た覆下曝露試験結果から、3Ni−0.4Cu系海浜耐候性鋼及び比較となるJIS規格型耐候性鋼(J1S−SMA490W:JIS規格 G3114)の初年腐食量A及びさび安定化指数Bを求めたところ、表1の結果を得た。ここに、3Ni−0.4Cu系海浜耐候性鋼とは、例えば特開平2−125839号公報及び特開平11−172370号公報や「材料と環境 第49巻 第1号 30−40頁(2000)」に開示されている鋼材をいう。
Figure 0003909057
表1に示す結果から、3Ni−0.4Cu耐候性鋼の初年腐食量Aは、JIS−SMA耐候性鋼の初年腐食量Aに0.55を乗じた値になり、3Ni−0.4Cu系耐候性鋼のさび安定化指数Bの水準は、J1S−SMA耐候性鋼のさび安定化指数Bの水準に0.76を乗じた値になるといえる。そこで、この関係に基づいて、目安としての経年累積腐食量予測を行うこととした。なお、、表1の結果は、覆い下曝露といっても、実橋のスケールより遥かに小さいうえ、結露時間も長く、多量の塩分や粉塵の堆積もあるような過剰影響条件での長期曝露結果であった。風通しが良く、堆積物がこの条件ほど多量にたまることはないと考えられる実橋梁桁下条件では、初年腐食量A、さび安定化指数Bともにその絶対値が小さくなるものと考えられる。JIS規格型耐候性鋼と3Ni−0.4Cu系耐候性鋼の初年腐食量Aの比率及びさび安定化指数Bの比率は上述の曝露条件による絶対値問題をキャンセルするので、有効に作用すると考えられる。なお、、ここでは、3Ni−0.4Cu系耐候性鋼の腐食減耗予測法について具体的な方法を記述したが、今後のデータの蓄積により他の鋼材についても各係数を求めることもできる。同様な方法で、それらの新鋼材の腐食減耗予測が可能となるが、この場合も本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
さび安定化の定義(案)によると、機能を表面処理によりさらに強化するには、保護性さびの形成を短期化するために腐食を加速するよりも、むしろゆっくり確実にそれを形成させる手段を選択した方がはるかに有利となる。つまり、鋼材の腐食速度を可能な限り落としながら、最終的に保護性さびへ置換させていくことで、再塗装を行わずに構造物の耐荷重性能を超長期に維持していくことが、さび安定化状態を超長期にわたり継続させる上で有効であり、その機能発現の結果として流れさび発生も防止できることになる。古くより商品化されている燐酸系PVB系表面処理法を適用した耐候性鋼材の20年から30年に及ぶ曝露試験結果や鋼構造物適用実績から、このコンセプトが実現できていることも実証されている。
ゆっくり確実に保護性さびを形成させる表面処理の効果は以下のように考えることで目安としての試算を行うことができる。
(i)ゆっくり確実に保護性さびを形成させる表面処理を施した耐候性鋼では、有機被膜の劣化課程が完了するまでの間、腐食減耗がゼロに保たれる。
(ii)ゆっくり確実に保護性さびを形成させる表面処理の有機被膜劣化課程が完了するころ、プライマーに含まれる保護性さび形成助成剤の効果により耐候性鋼の表面に保護性さびの形成が起こる。
(iii)その結果、有機被覆劣化が完了した時点での耐候性鋼の腐食速度は、裸材初期のそれより小さくなる。
上述の定性的な仮定に基づき、検討している地区で適用する表面処理の効果を算定するには、何年耐候性鋼の腐食減耗をゼロに保てるかという情報が必要である。この情報に関しては、表面処理の仕様により種々設定が変ると思われる。鋼材メーカーや表面処理メーカーの実績に基づく見解を参考にしてその年数をソフトウェアに入力して、効果の試算を行うことができるようにした。なお、on set時期を有機被膜劣化期間にすると同時に、上述の効果を鑑み、腐食減耗曲線を、表面処理を施した耐候性鋼の有機皮膜の劣化期間だけ曝露期間軸方向に平行移動することにより、表面処理の影響を加味した腐食量予測が可能になる。
また、表面処理を施した耐候性鋼の曝露データから求めた初年腐食量A及びさび安定化指数Bに対する表面処理効果係数を、予測計算された裸耐候性鋼の初年腐食量A及びさび安定化指数Bに乗ずることにより、表面処理耐候性鋼の腐食減耗曲線を計算することができる。これにより、初年腐食量A及びさび安定化指数Bについても、表面処理の影響を加味した腐食量予測が実現できる。
また、景観性を重視する場合や、腐食環境の厳しい地域での適用を考えた場合には、初期のみでなく、数十年毎に表面処理や塗装の塗り直しを実施することもある。このような塗り替え前提の設計における長期腐食減耗量の予測も可能となるような計算方式として、表面処理膜又は塗膜が健全なうちは腐食速度ゼロ、表面処理又は塗膜が劣化した状態では相応の腐食速度を呈するという考え方を前提にした。
本発明によれば、国家や地方自治体の財務体質改善にも寄与しうる耐候性鋼製構造物のミニマムメンテナンス超長期耐久化設計を、複雑な耐候性鋼の腐食現象に必ずしも精通していない利用者が簡単に行えるようになる。この結果、安全かつ安心で、しかも低ライフサイクルコストな社会資本整備が促される。そして、国全体の産業競争力再生につながる潜在性が高くなる。耐候性鋼の腐食という自然現象を利用した新思想である本発明の予測技術は、さらなる研究の進捗により精度向上へ向けて改善されうる。但し、このような場合であっても、その基本的部分は本発明の範疇に位置づけられることはいうまでもない。このようにして確立した耐候性鋼の長期腐食減量予測方法による計算結果を、これまで蓄積されてきた実曝露試験データと比較したところ、両者はよく一致することを確認できた。本発明の予測法が妥当であることを検証できたことになる。
上述の新しい考え方とそれに基づいてなされた発明を実施するに当たり、計算手順を一つ一つこなしていくのは膨大な手間と時間がかかる。そこで、誰でも簡単にパソコン上で耐候性鋼の長期腐食減耗量の予測ができるようにするため、Microsoft(登録商標)社のVisual Basic(登録商標)6.0を言語として用い、計算実行可能なソフトウェアを開発することで、上述の意義を効果的かつ効率的に発現させるよう試みることにした。
次に、このソフトウェアの動きについて説明する。このソフトウェアは、本願発明者らが開発したものであり、本発明の実施形態の一つである。
先ず、図12に示す「耐候性鋼使用環境概要」のパネル(画面)において、環境条件の設定を行う。環境条件設定画面にて所望の地域の気象データ及び飛来塩分・硫黄酸化物データを入力し、地域/地点名やその近隣の気象台情報を入力して、メニュー操作により条件ファイル(.YSK)を作成、保存する。また、予測結果を出力する出力ファイル(.CSV)の保存場所と名前を設定する。
なお、濡れ時間TOW及び環境腐食性指標Zは、入力データから自動計算される。また、年間降水量は本ソフトウェアの計算に用いないが、参考値として入力保存しておくことが望ましい。飛来塩分量及び硫黄酸化物量については、それらの測定値があればその値を入力する。測定値が無い場合は、チェックボックスをクリックすると日本国内の5水準の中からおおよその値を仮定値として設定することも可能である。予測結果を実構造物設計等に活用する場合、本ソフトウェア使用是非の判断も含め、条件設定にはそれなりの説明責任が伴うものと考えられる。このため、条件設定者名を記入する。実曝露により1年間の腐食量がわかっている場合は、この画面のメニュー操作により初年腐食量Aの入力を行って、モード設定を切り替えると、実測した初年腐食量Aを基にした予測計算もできる。
建設地の経度及び緯度の値は、度未満を十進変換して表示される。度、分及び秒での表示や入力を行うには、「Input」のボタンをクリックして図13に示すパネルを表示させる。そして、東経又は西経の選択、北緯又は南緯の選択、並びに度、分及び秒の値の入力を行い、「=」のボタンをクリックすると、度未満を十進変換した値が計算され、表示される。更に、「結果転送」のボタンをクリックすると、緯度及び経度のデータ入力作業が完了する。
気象データの設定も簡単にできる。上述の「耐候性鋼使用環境概要」の画面に示されるテキストポックスヘの設定値の入力は、メニュー操作でデータ処理・そして「Visual Climate Search(図示せず)」をクリックし、図14に示すパネルを稼働することにより、データベースからの簡単な入力が可能となる。その際、事前に検討地点の緯度と経度を入力しておくと、データベース選定作業が効率化される。Visual Climate Searchのマップには、事前に入力された緯度、且つ経度の点に小さな赤丸が示される。マップ内をマウス操作すると範囲が表示され、その範囲内にある気象台に絞り込むことができる。赤丸印の近傍の気象台を抽出した後、リストボックスで選択すると、その緯度及び経度がマップ上に示され、さらに距離指数が計算表示される。距離指数が小さいほど緯度及び経度の差が小さいことを意味する。
距離指数は平面的な緯度及び経度の差異を示すので、気象観測地の標高も参照しながら選定作業を進める。「データ転送」のボタンをクリックすると、選定した気象条件が「耐候性鋼使用環境概要」の画面に自動的に入力される。なお、このパネルは日本国内の気象データを簡単に入力できるようにするため工夫されたものであり、計算に必要な気象条件の設定は手動で入力することも可能である。すなわち、海外における耐候性鋼の長期的な腐食減耗の予測も原理的に十分可能であり、本発明の効果が得られるのは、日本国内に限られるわけではない。
計算の実行へ移る前に、過剰影響度を図15に示すパネルで確認する。自然上側A値に対する倍率、及び自然上側B値に加算される値の一般的な値がデフォールトで示される。非常に強く過剰影響が出ると予測される場合等では、これらの値を大きめに設定すべき場合もある。環境計測値に考慮されそこなった過剰影響度を加味して予測する方法は、元来きちんとした測定結果を元にした自然状態による予測計算を行うべきであるから、不要とも考えられるが、実橋梁を維持及び管理していく上で、建設当初より環境が厳しくなったと考えられる場合の経験的目安値を表示するのに便利な機能とも考えられる。このため、本ソフトウェアには、過剰影響度を変更する機能が付与されている。すべての条件設定入力を終えた後、メニュー操作により「データ処理」を選択し、更に「A値とB値の計算実行」を選択し、「パラメータ計算結果」の画面に移行する。次に、メニュー操作により「経年予測へ」を選択し、「計算実行」をクリックすることにより、「経年腐食予測概要」のパネルが表示される。
図16に示す「パラメータ計算結果(橋梁内桁想定)」のパネルにより初年腐食量Aとさび安定化指数Bの推定結果の参照ができる。耐候性鋼の腐食減耗の予測は、一般に受け入れられているY=AXB(Y:片側経年累積腐食量、X:経年数)で表される式により行われる。「パラメータ計算結果」のパネルには、設定条件をもとにした初年腐食量A及びさび安定化指数Bの推定値が表示される。凍結防止剤の散布の影響や、塩分の堆積、結露水の滞留等の過剰影響因子によってさび安定化が阻害される程度が軽微な状態における予測範囲が、自然下側値(累積正規確率2%値)及び自然上側値(累積正規確率98%値)として示される。過剰影響因子によってさび安定化が阻害される程度が大きくなる場合の目安値も同時に示される。メニュー操作又は「Next」のボタンのクリックにより「計算結果概要参照」のパネルヘと移行する。
前パネルに表示された定数予測値をもとに、水平又は垂直曝露条件での10年後、50年後、100年後における耐候性鋼(SMA)及び海浜耐候性鋼(3Nト0.4Cu)の各条件における片側腐食減耗予測値の2%、50%、98%確率値が計算される。この計算結果は、図17に示すパネルで参照することができる。
「経年腐食量予測概要」のパネルの下端にあるボタンをクリックすると、計算で予測された腐食曲線を図18のようにグラフ表示することができる。グラフ中のハッチングされた領域は自然条件における腐食減耗予測範囲(2σ範囲)であり、その中をさらに1σ、0.5σ、0.25σ領域に分けて表示されるようになっている。つまり、予測腐食減耗曲線に実現確率を付与して表示(表現)することができるようになっている。以下の図19、図20、図21、図22、図24、図26及び図27においても、同様に予測腐食減耗曲線に実現確率を付与して表示(表現)することができるようになっている。左下のチェックボックスの操作により所望の確率領域の表示/非表示を設定し直すことができる。最近の学会における議論では、コンクリートについても鋼についても、長期的には、腐食及び劣化が生じることを前提として設計及び維持管理を行うべきとされている。また、建設する構造物に関しては設計の段階から維持管理のシナリオを作成することが義務づけられる動きもある。
このソフトウェアの計算結果を基に、鋼橋梁の耐荷重性能や使用性能には殆ど影響は及ぼさない50年で片側0.3mm、100年で片側0.5mm程度の腐食量の範囲になるよう、鋼材や表面処理法の適用指針検討や橋梁の設計検討、さらには維持管理指針検討を行えばよい。図18の計算例では、この環境条件においてJIS規格型耐候性鋼の水平部材(SMA−Horizontal)の裸使用において、約30%の確率で100年0.5mmの腐食量を超える可能性があると判断される。そこで、鋼材を3Ni−0.4Cu系の海浜耐候性鋼として予測計算を行うと、図19に例示した結果が得られる。なお、過剰影響を考慮した計算値も垂直ハッチングした領域で示してある。この結果から、鋼材を3Ni−0.4Cu系の海浜耐候性鋼とすれば、この環境条件において裸使用でミニマムメンテナンス化が十分可能であると判断できる。
耐候性鋼及び海浜耐候性鋼の腐食をさらに抑制する目的で、ゆっくり確実にさび安定化を促す表面処理法を適用することがあるため、その効果を腐食量として概算することが必要な場合に備え、パネル右下にリストボックスが設置してある。その使用条件において表面処理膜が劣化し、耐候性鋼又は海浜耐候性鋼の腐食が開始し始めるまでの想定期間を選定すると、一般的塗装表面処理を施したJIS規格型耐候性鋼の場合は図19のように、耐候性鋼用表面処理を施したJIS規格型耐候性鋼の場合図20のように、経年腐食量予測曲線が再計算される。
図19に示す前者は、保護性さび形成を促す処理がなされていないと想定して単に鋼材腐食の開始時期を25年後として計算することにより得られた腐食減耗の予測曲線である。一方、図20に示す後者は、保護性さび形成を促す処理がなされたことを想定して腐食開始時期を25年後とすると同時に初年腐食量A及びさび安定化指数Bへの効果係数を乗じて計算することにより得られた腐食減耗の予測曲線である。これらの計算結果から、この環境ではJIS規格型耐候性鋼に保護性さび形成を促す表面処理を施すことで100年の耐用年数をミニマムメンテナンスで実現可能と判定される。
一般に、耐候性鋼への表面処理には塗り替えは想定されないが、厳しい腐食環境における超長期の耐久化の低コストでの実現、景観仕様の表面処理の使用、塗装と組み合わせた長寿命化等の目的及び要求に対応するため、本ソフトウェアでは、塗り替えを許容した場合の腐食減耗曲線の計算も可能となっている。図18乃至図21の画面で、表面処理膜の耐久年数を入力した後、「Repeat」のボタンをクリックすると、塗り替えまでの猶予期間の入力を促すパネルが表示される。デフォールトは10年であるが、0年から60年の間で変更が可能である。たとえば、一般的な表面処理膜の耐久性を25年とし、塗り替えまでの猶予期間を5年と設定した場合には、合計30年の腐食減耗曲線が加算的に繰り返されて100年までの目安としての腐食減耗予測曲線が描かれるようにプログラムされている。この結果は、図22のように示される。この図22から、この環境条件で耐候性鋼への一般的表面処理を行う場合には、塗り替えを前提とした設計及び維持管理指針とすれば、100年の耐用年数を実現できると判断できる。
上述までの腐食減耗の予測例は、建設環境をマクロに代表する条件の入力により計算を行ったものであるが、複雑な形状を持ち地理的にも大きな範囲をまたがる実際の構造物では、構造部位により環境条件が異なる。従って、構造部位に応じた環境条件の見極めにより、さらに予測精度を向上して構造部位に応じた防食設計法を検討する必要性も指摘される。
図23は、建設する橋梁構造において比較的飛来塩分量が少なくなると想定される構造部位における「使用環境条件設定」のパネルへの入力条件例である。このような条件は、橋梁では海風がダイレクトに当たらないような一般的な桁表面において成立する。
図24は、図23の条件により計算した比較的飛来塩分量が少なくなると想定される構造部位における腐食減耗予測曲線の例である。構造部位による環境条件の設定精度が上がっている分、予測計算精度も上がるため0.5σ領域までを表示した。この予測結果から、これらの一般的な桁表面にはJIS規格型耐候性鋼を裸で使用しても100年の耐久性は十分実現できると判定される。
図25は、建設する橋梁構造において比較的飛来塩分量が多くなり、しかも湿度が高くなると想定される構造部位における「使用環境条件設定」のパネルへの入力条件例である。このような条件は、構造上風通しが悪く高湿度になりやすい桁端部等に見られる。
図26は、図25の条件により計算した比較的飛来塩分量が多くなり、しかも湿度が高くなると想定される構造部位における腐食減耗予測曲線の例である。ここでも、環境条件の設定精度が上がっているので、予測曲線としては0.5σ領域までを示すことにした。この予測結果により、同じ建設物件でも局部的に腐食環境が厳しくなることがあり、その部分まで裸使用を行うと後に腐食が進みすぎ、問題となりうることがわかる。このような構造部位のみ何らかの防食措置を施すことで、ミニマムメンテナンス構造物が実現する可能性がある。
図27は、同じく図25の条件により計算した比較的飛来塩分量が多くなり、しかも湿度が高くなると想定される構造部位において耐候性鋼用のさび安定化表面処理を施したことを考慮に入れた腐食減耗予測曲線の例である。この予測結果に基づくと、当該構造物において局所的に腐食環境が厳しくなる構造部位のみにさび安定化表面処理を行えば、構造物全体として最低コストで超長期の耐久性能を実現しうると判定できる。従って、当初よりそれらの知見を設計に反映することが可能となる。同様にして、既存の構造物においても将来の腐食減耗予測を構造部位別に実施し、維持管理指針を策定することが可能となる。
このようにしてソフトウェア化された塗装耐候性鋼の長期腐食減耗量を予測する計算法を広く一般に使えるようにすれば、その出力データを参照することで国内に限らず任意の建設地における耐候性鋼の適用可否決定、鋼種選定、表面処理法選定、耐久化設計、維持管理指針作成等を誰でも簡単に行えるようになる。これにより、耐候性鋼の正しい使い方に関する認識が広がり、結果としてこの鋼材に対する信頼性向上に寄与する。また、安全で安心かつ低ライフサイクルコストである社会資本整備が促されることになる。更に、予測計算結果と比較することで、新しい耐候性鋼材やその表面処理や維持管理方法にかかわる研究開発が効率化され、さらには、新たなる開発目標設定にも有効に活用できることはいうまでもない。そして、それらを活用することは、必然として耐候性鋼又はその表面処理に関わる営業方法の大幅効率化につながる。
また、本発明に係る方法を実行することが可能なソフトウェアを利用することによって、次のような業務形態を実現することが可能となる。
先ず、耐候性鋼を適用した鋼構造物の計画段階(鋼種の選定段階)では、ユーザーが耐候性鋼を適用しようとする使用予定位置における年平均気温、湿度、降水量、風向・風速及び飛来塩分量、硫黄酸化物量等を含む環境データを、実測若しくは推定した数値に基づいて、本発明の方法で、1種又は2種以上の候補となる耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、この予測腐食量と設計耐用期間における設計上の許容腐食量とを比較する工程と、を経て鋼構造物へ適用する鋼種の計画することが可能となる。つまり、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びにその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算と、前記予測腐食量と設計耐用期間における設計上の許容腐食量とを比較と、を経て鋼種の選定を行うことが可能となる。
この適用性の判定において、一般には予測腐食量と許容腐食量の比較において、予測腐食量が許容腐食量以下である場合に適用鋼種とするのが普通であるが、路面凍結防止のために融雪塩の散布が大量に行われる場合等、過剰影響因子を考慮すべき場合がある。
このような場合、予測腐食量と許容腐食量の比較において、その差が過剰環境因子に応じた一定の規定量以上となるようにしてもよいが、さび安定化因子の補正として本発明の予測方法に取り込むことが好ましい。
この計画方法又は選定方法において、前記予測腐食量が許容腐食量を上回る鋼種について、予測腐食量を許容腐食量以下とできるような防食手段及び/又は維持管理手段を付加したうえで予測腐食量を再計算する工程や、1種又は2種以上の候補となる耐候性鋼を、ユーザーが使用する地点、構造部位に適用した場合の、予想コスト及び予想寿命をユーザーに開示する工程が、さらに含まれることが、好ましい。つまり、前記予測腐食量が前記許容腐食量を超える鋼種について、前記予測腐食量を低下させるための防食方法及び維持管理方法からなる群から選択された少なくとも1種の方法を行った場合の予測腐食量を計算することが好ましい。また、前記1又は2種以上の耐候性鋼が前記使用予定位置に使用された場合の予想コスト及び予想寿命を取得することが好ましい。これは、表面処理等を含むコストや寿命等も同時に検討できるからである。
次に、鋼構造物の維持管理においては、任意期間経過後における腐食減量の実測に基づいて、初年腐食量Av及びAHを算出し、この実測初年腐食量から本発明の方法によって再計算された予測腐食量に基づいて、その後のより適切な維持管理方針を決定することが可能となる。つまり、耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の任意の期間における腐食減量の実測結果に基づいて、前記耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の実測初年腐食量を夫々算出し、前記耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の情報、前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報並びに前記各実測初年腐食量を用いて前記耐候性鋼の予測腐食量を計算し、前記予測腐食量に基づいて、維持管理方針を決定することが可能となる。
この場合、前記再計算が、腐食性指標Zにおける係数の補正であることが好ましい。つまり、前記予測腐食量を計算する際に、後述の数式(式6)を用いて腐食性指標Zを計算することが好ましい。
v及び/又はAHにおいて実測値が予測値を上回った場合には、その後の予測腐食量が、計画当初の予測腐食量以下となる維持管理方針を採用することが好ましい。つまり、前記耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の実測初年腐食量の少なくとも一方が前記予測腐食量を超えている場合に、前記予測腐食量が、計画当初の値よりも小さくなる維持管理方針を採用することが好ましい。但し、どの程度上回った場合に実際に管理方針を変更するかは、腐食量の絶対値等も加味して決定することが好ましい。
なお、より適切な維持管理方針には、点検、補修、洗浄のうち1種又は2種以上の作業をおこなう構造部位及び/又は前記作業をおこなう時期を、計画当初の予定から変更することが含まれる。但し、維持管理方針は、これらに限られるものではない。
また、耐候性鋼に関する情報の提供方法においては、図28にその一例を示したように、本発明の方法が実行可能なサーバーに、ユーザーがインターネット等の電気通信回線を介してアクセスし、ユーザーが耐候性鋼を適用しようとする地点、構造部位における年平均の気温、湿度、降水量、風向・風速及び飛来塩分量、硫黄酸化物量を含む環境データを、実測もしくは推定した数値に基づいて入力する工程と、その入力と、ユーザーが適用しようとする鋼種の選択に応じて、本発明の方法で、1種又は2種以上の候補となる耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、その計算結果を、インターネット等の電気通信回線を介して、ユーザーの端末において表示する工程を、含む耐候性鋼に関する情報の提供方法が可能となる。つまり、気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算するサーバーに、ユーザーが、端末機器から電気通信回線を介してアクセスする工程と、前記ユーザーが、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データを前記端末機器から前記サーバーに入力する工程と、前記ユーザーが、その使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記端末機器から前記サーバーに認識させる工程と、前記サーバーが、前記環境データ及び前記内因性の腐食情報に基づいて、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、前記サーバーが、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記端末機器に伝送する工程と、前記端末機器が前記予測腐食量を出力する工程と、を有する情報の提供が可能となる。
このような情報は、鋼材メーカーのホームページの一環として提供されることが、非常に好ましい実施形態の一つである。このような情報の提供により、ユーザーは自分が耐候性鋼を適用しようとする地点、構造部位において実際に耐候性鋼が使えるものであるかどうかをインターネット上で簡単に調査できるようになる。この結果、耐候性鋼を普及させる上で極めて有用な情報開示となる。
前記ユーザーのアクセスに対し、ユーザーが耐候性鋼を適用しようとする地点、構造部位における前記環境データを入力するようなウインドウが準備されていたり、このウインドウにおいて、鋼材メーカーが提供できる鋼種をメニュー形式で表示したりすることにより、ユーザーがその予想腐食量を計算しようとする鋼種を選択可能としておくことが好ましい。これは、ユーザーの使い勝手が向上すると共に、サーバーにデータを保存する場合に、そのデータを統一しやすくなるためである。
また、ユーザーが入力する前記環境データは、ユーザーが耐候性鋼を適用しようとする地点、構造部位において実測された平均気温、湿度、風向・風力等であることが、予測腐食量の計算精度や鋼材環境のデータとして鋼材メーカーの参考になるという観点からは好ましい。
しかし、一方、当然このような準備なしにアクセスするユーザーが多いことが想定されるから、計算に必要な環境データの一部又は全部を、前記入力以外から取得もしくは計算する工程を、さらに含むことがユーザーの便宜上好ましい。つまり、前記サーバーが、前記環境データを構成する要素の少なくとも一部を、前記ユーザーによる入力以外の手段により取得する工程があることが好ましい。例えば地図上で鋼材の使用場所をクリックすれば、気象庁のデータベース等にリンクして必要な環境データを検索もしくは計算できるような実施形態が非常に好ましい。
さらに、不特定多数のユーザーに公開するのであるから、前記サーバーにおけるアクセス権が階層化されており、ユーザーの耐候性鋼の使用実績等に応じて、サーバーにアクセスするためのユーザーIDにアクセス権を設定することが好ましい。
前記ユーザーの入力した環境データが、サーバーに保存され、サーバー管理側から参照可能としておけば、このデータを利用して、サーバーへのアクセスのあったユーザーIDやそのアクセス頻度に基づいて、営業先を決定することや、サーバーに保存蓄積されたユーザーの入力した環境データを解析し、その結果に基づいて、既存鋼種の適用環境拡大や新鋼種に関する研究開発を行うことが可能となる。
また、ユーザーからの要求があった場合や、入力された環境に特別な配慮が必要な場合に、ユーザーがサーバーへのアクセスによって得る計算結果とは別に、さらに詳細な情報をユーザーに提供するようにすれば、ユーザーの便宜や鋼種の誤使用防止等の観点から、さらに好ましい。
この場合、前記詳細な情報を、ユーザーの最寄りの営業拠点に設置された端末にインターネット等の電気通信回線を介して転送することが効率的でよい。最寄りの営業拠点には、営業担当者の出向いたユーザー先も含められる。すなわち、詳細な情報は、ユーザー最寄りの営業所に設置された端末に転送されてもよいし、ユーザー先に持ち込んだ携帯型端末に転送されてもよい。
ユーザーを前にした営業活動の局面では、ユーザーが耐候性鋼を適用しようとする地点、構造部位における耐候性鋼の適用検討において、インターネット等の電気通信回線を介して、もしくはスタンドアロンで、本発明の方法が実行可能なコンピュータに、ユーザーが耐候性鋼を適用しようとする地点、構造部位における年平均の気温、湿度、降水量、風向・風速及び飛来塩分量、硫黄酸化物量を含む環境データを、実測もしくは推定した数値に基づいて、営業担当者が入力する工程と、その入力と、ユーザーが適用しようとする鋼種の選択に応じて、本発明の方法で、1種又は2種以上の候補となる耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、その計算結果をユーザーに提示する工程を、含む耐候性鋼の営業形態が可能となる。つまり、気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算する電子計算機に、営業担当者が、顧客が耐候性鋼の使用を予定している使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報を入力する工程と、前記営業担当者が、前記顧客がその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記電子計算機に認識させる工程と、前記電子計算機が、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、前記営業担当者が、前記電子計算機による計算結果を前記顧客に提示する工程と、を有する耐候性鋼の営業が可能となる。
この場合も、計算に必要な環境データの一部又は全部を、前記入力以外から取得もしくは計算する工程を、さらに含むことが便宜上好ましい。また、前記予測腐食量が許容腐食量を上回る鋼種について、予測腐食量を許容腐食量以下とできるような防食手段及び/又は維持管理手段を付加したうえで予測腐食量を再計算する工程や、1種又は2種以上の候補となる耐候性鋼を、ユーザーが使用する地点、構造部位に適用した場合の、予想コスト及び予想寿命をユーザーに開示する工程が、さらに含まれることが、表面処理等を含むコストや寿命等も同時に検討できるので、非常に好ましい。
この営業形態においても、本発明の方法による計算が実行可能な端末が営業部門にあってもよいし、営業担当者がそのような携帯型端末をユーザー先に持参してもよい。好ましくは、この端末から気象庁が開示する気象データ等にアクセス可能としておけば、気温等のデータをユーザーが準備していなくても鋼材選択打ち合わせ中に、データに基づいた具体的検討がその場で行うことができる。
この営業方法によれば、営業活動を効率化できるのはもちろん、ユーザーに対しても候補となる鋼種を迅速かつ定量的に比較することができるという大きなメリットを提供できることになる。また、このように定量的なデータを迅速に提供できることは、いままで不確定な要因が多かった耐候性という鋼材の付加価値への理解を促し、耐候性鋼材のさらなる普及につながる。
本発明の方法によれば、暴露試験等の限られた実測データに基づいても、数十年に及ぶ耐用年数における腐食量を、高い精度で予測できる。また、防食手段や維持管理方法の取り込みも容易である。
本発明により、これまで長期曝露試験に頼っていた耐候性鋼の適用可否判断や材料選定、耐久化設計、表面処理適用判断やその種類選定、維持管理指針作成等の諸作業を高精度化及び高効率化できる。また、本発明により、耐候性鋼の営業活動も低コスト化できる。従って、本発明は、耐候性鋼の競争力の向上に寄与することができる。
従来、飛来塩分量だけで適用可否判断をしていたため、本来、耐侯性鋼で維持管理コスト低減できる地域であるにもかかわらず、適用が控えられて施主の維持管理費用の増大が招かれている。また、その逆に、湿度や温度が高い等の原因で飛来塩分量が低いにもかかわらず、不測にも異常腐食して補修費用が発生している。これに対し、本発明によれば、このような事態を事前に回避することも可能となる。
このような不具合の回避は、環境側の不確定要因の存在によって生じ得る、耐候性鋼を適用する際のトラブルを未然に防ぐことにもなる。従って、本発明は、安心で安全なインフラストラクチャーの整備にも一役をはたすことになる。これらの一連の長期腐食減耗の予測と、得られた計算結果をベースにした各種防食手段の組み合わせにより、100年を超える耐用期間を有する耐候性鋼から製造される構造物の設計が可能となる。この結果、社会資本のミニマムメンテナンス化の実現が促される。
図1は、従来の耐候性鋼の適用可否を判断する方法の一例を示すフローチャートである。 図2は、従来の耐候性鋼の適用可否を判断する方法の他の一例を示すフローチャートである。 図3は、従来の耐候性鋼の適用可否を判断する方法の更に他の一例を示すフローチャートである。 図4は、従来の耐候性鋼の適用可否を判断する方法の更に他の一例を示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施形態に係る腐食量予測方法及びこれに基づく耐候性鋼の適用可否を判断する方法を示すフローチャートである。 図6は、さび安定化状態の基本概念を示す図である。 図7は、式(4)に基づく、経年累積腐食量Yと経過年数Xとの関係を両対数軸にて模式的に示した図である。 図8は、飛来塩分量Cと初年腐食量Aとの関係を示す図である。 図9は、垂直曝露材の腐食性指標Zと初年腐食量Aとの関係を示す図である。 図10は、水平曝露材の腐食性指標Zと初年腐食量Aとの関係を示す図である。 図11は、初年腐食量Aとさび安定化指数Bとの関係、及びその解釈を示す図である。 図12は、耐候性綱の長期腐食減耗予測ソフトウェアの条件設定パネルの例を示す図である。 図13は、耐候性鋼の長期腐食減耗予測ソフトウェアの経度と緯度の入力パネルの例を示す図である。 図14は、耐候性鋼の長期腐食減耗予測ソフトウェアの気象データ入力パネルの例を示す図である。 図15は、入力を完了した耐候性鋼の長期腐食減耗予測ソフトウェアの条件設定パネルの例を示す図である。 図16は、耐候性鋼の長期腐食減耗予測ソフトウェアの初年腐食量A及びさび安定化指数B表示パネルの例を示す図である。 図17は、耐候性鋼の長期腐食減耗予測ソフトウェアの計算結果概要参照パネルの例を示す図である。 図18は、裸使用JIS規格型耐候性鋼の長期腐食減耗予測計算結果参照パネルの例を示す図である。 図19は、過剰影響も考慮した海浜耐候性鋼の長期腐食減耗予測計算結果グラフ表示パネルの例を示す図である。 図20は、一般的表面処理をJIS規格型耐候性鋼に施した場合の長期腐食減耗予測計算結果のグラフ表示パネルの例を示す図である。 図21は、耐候性鋼用表面処理をJIS規格型耐候性鋼に施した場合の長期腐食減耗予測計算結果のグラフ表示パネルの例を示す図である。 図22は、JIS規格型耐候性鋼に一般的表面処理を塗替えしていく方法による長期腐食減耗予測計算結果のグラフ表示パネルの例を示す図である。 図23は、建設する橋梁構造において比較的飛来塩分量が少なくなると想定される構造部位における使用環境条件設定パネルの入力条件の例を示す図である。 図24は、図23の条件により計算した比較的飛来塩分量が少なくなると想定される構造部位における腐食減耗予測曲線の例を示す図である。 図25は、建設する橋梁構造において比較的飛来塩分量が多くなりしかも湿度が高くなると想定される構造部位における使用環境条件設定パネルの入力条件の例を示す図である。 図26は、図25の条件により計算した比較的飛来塩分量が多くなりしかも湿度が高くなると想定される構造部位における腐食減耗予測曲線の例を示す図である。 図27は、図25の条件により計算した比較的飛来塩分量が多くなりしかも湿度が高くなると想定される構造部位において耐候性鋼用のさび安定化表面処理を施したことを考慮に入れた腐食減耗予測曲線の例を示す図である。 図28は、本発明の実施形態に係る腐食予測方法に基づく、耐候性鋼に関する情報の提供方法の一例を模式的に示す図である。 図29は、図5に示す工程を実施することができる処理システムの例を示すブロック図である。
符号の説明
1:情報入力部
2:演算部
3:表示部
4:比較部

Claims (42)

  1. 電子計算機を用いて、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程を有する耐候性鋼の腐食予測方法であって、
    前記予測腐食量を計算する工程は、
    下記数1を用いて腐食性指標Zを計算する工程を有することを特徴とする耐候性鋼の腐食量予測方法。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  2. 前記予測腐食量を計算する工程は、
    前記腐食性指標Zから耐候性鋼の初年腐食量及びさび安定化指数を推定して、前記耐候性鋼の経年累積腐食量を計算する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  3. 前記予測腐食量を計算する工程は、
    2次回帰分析により、前記腐食性指標Zから垂直曝露材の初年腐食量AV及び水平曝露材の初年腐食量AHを推定する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の耐侯性鋼の腐食量予測方法。
  4. 前記関係式を求める工程において、下記数2及び数3で表される値を求めることを特徴とする請求項3に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
    Figure 0003909057
    Figure 0003909057
  5. 推定された前記初年腐食量AV及びAHの値に、ばらつきの上限及び下限に対応する夫々の定数を乗じてばらつきの範囲を求める工程を有することを特徴とする請求項3に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  6. 前記ばらつきの範囲を求める工程は、
    前記初年腐食量AVの範囲の上限AUpper Vを下記数4で表される値とし、
    前記初年腐食量AVの範囲の下限ALower Vを下記数5で表される値とし、
    前記初年腐食量AHの範囲の上限AUpper Hを下記数6で表される値とし、
    前記初年腐食量AHの範囲の下限ALower Hを下記数7で表される値とする工程を有することを特徴とする請求項5に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
    Figure 0003909057
    Figure 0003909057
    Figure 0003909057
    Figure 0003909057
  7. 前記初年腐食量AV及びAH並びにさび安定化指数の分布関数に基づいて、
    測定点の80%以上が分布する領域の上限を、自然上側さび安定化指数、又は前記自然上側さび安定化指数に更に過剰影響の程度に応じた値を加算した過剰影響さび安定化指数とし、
    前記測定点の80%以上が分布する領域の下限を、自然下側さび安定化指数とし、
    前記自然上限さび安定化指数に0.15を加算して得た値を過剰影響さび安定化指数とする工程を有することを特徴とする請求項3に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  8. 前記さび安定化指数の分布バンドと実曝露試験データとの関係を統計解析した結果に基づいて、予測腐食減耗曲線に実現確率を付与して表現する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  9. 前記経年累積腐食量を計算する工程は、
    前記初年腐食量及びさび安定化指数の夫々について、第1の耐侯性鋼と第2の耐候性鋼との測定値の比を用いることにより、前記第1の耐候性鋼の経年累積腐食量から前記第2の耐候性鋼の経年累積腐食量を推定する工程を有することを特徴とする請求項2に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  10. 前記経年累積腐食量を計算する工程は、
    表面処理を施した耐候性鋼の曝露データから、前記初年腐食量及びさび安定化指数に対する表面処理効果係数を求める工程と、
    裸耐候性鋼の推定された前記初年腐食量及びさび安定化指数に乗ずることで表面処理耐侯性鋼の前記経年累積腐食量を求める工程と、
    を有することを特徴とする請求項2に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  11. 前記予測腐食量を計算する工程は、曝露期間と経年累積腐食量との関係を示す腐食減耗曲線を表示装置に表示する工程を有し、
    表面処理を施した耐候性鋼の有機皮膜の劣化期間だけ前記腐食減耗曲線を曝露期間軸方向に平行移動させて前記表示装置に表示する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  12. 前記予測腐食量を計算する工程は、構造物の構造部位に応じた環境条件に基づいて、曝露期間と経年累積腐食量との関係を示す腐食減耗曲線を求める工程を有することを特徴とする請求項1に記載の耐候性鋼の腐食量予測方法。
  13. 耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて予測腐食量を計算する手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記予測腐食量を計算する手順は、
    下記数8を用いて腐食性指標Zを計算する手順を含むプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  14. 電子計算機を用いて、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びにその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、
    電子計算機を用いて、前記予測腐食量と設計耐用期間における設計上の許容腐食量とを比較する工程と、
    を有し、
    前記予測腐食量を計算する工程は、
    下記数9を用いて腐食性指標Zを計算する工程を有することを特徴とする鋼種の選定方法。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  15. 前記予測腐食量と前記許容腐食量とを比較した結果、前記予測腐食量が前記許容腐食量以下である耐候性鋼を適用可能な鋼種であると判断することを特徴とする請求項14に記載の鋼種の選定方法。
  16. 前記予測腐食量が前記許容腐食量を超える鋼種について、前記予測腐食量を低下させるための防食方法及び維持管理方法からなる群から選択された少なくとも1種の方法を行った場合の予測腐食量を計算する工程を、更に有することを特徴とする請求項14に記載の鋼種の選定方法。
  17. 前記予測腐食量と前記許容腐食量とを比較する工程において、過剰影響の程度に応じた過剰影響因子を考慮することを特徴とする請求項14に記載の鋼種の選定方法。
  18. 前記過剰影響因子を考慮する際に、さび安定化指数を補正する工程を有することを特徴とする請求項17に記載の鋼種の選定方法。
  19. 前記1又は2種以上の耐候性鋼が前記使用予定位置に使用された場合の予想コスト及び予想寿命を取得する工程を更に有することを特徴とする請求項14に記載の鋼種の選定方法。
  20. 耐候性鋼から作製された実構造物の任意の期間における腐食減量又は耐候性鋼から作製され実構造物に取り付けられた垂直曝露材若しくは水平曝露材の任意の期間における腐食減量の実測結果から実測初年腐食量を求める工程と、
    電子計算機を用いて、前記実測初年腐食量をAV又はAHとして、請求項7に記載の方法により前記耐候性鋼の腐食量を予測する工程と、
    前記予測された耐候性鋼の腐食量に基づいて、維持管理方針を決定する工程と、
    を有することを特徴とする鋼構造物の維持管理方法。
  21. 耐候性鋼から作製された実構造物の任意の期間における腐食減量又は耐候性鋼から作製され実構造物に取り付けられた垂直曝露材若しくは水平曝露材の任意の期間における腐食減量の実測結果から実測初年腐食量を求める工程と、
    電子計算機を用いて、前記実構造物が設けられた位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報から、下記数10を用いて腐食性指標Zを計算する工程と、
    電子計算機を用いて、前記腐食性指標Zから前記耐候性鋼の初年腐食量を推定する工程と、
    電子計算機を用いて、前記実測初年腐食量と前記推定された初年腐食量との比較を行う工程と、
    電子計算機を用いて、前記比較の結果に基づいて前記腐食性指標Zを補正する工程と、
    電子計算機を用いて、補正後の前記腐食性指標Zに基づいて、前記耐候性鋼の腐食量を予測する工程と、
    前記予測された腐食量に基づいて、維持管理方針を決定する工程と、
    を有することを特徴とする鋼構造物の維持管理方法。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  22. 前記維持管理方針を決定する工程は、
    前記耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の実測初年腐食量の少なくとも一方が前記予測腐食量を超えている場合に、前記予測腐食量が、計画当初の値よりも小さくなる維持管理方針を採用する工程を有することを特徴とする請求項20に記載の鋼構造物の維持管理方法。
  23. 前記維持管理方針を決定する工程は、
    前記耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の実測初年腐食量の少なくとも一方が前記予測腐食量を超えている場合に、前記予測腐食量が、計画当初の値よりも小さくなる維持管理方針を採用する工程を有することを特徴とする請求項21に記載の鋼構造物の維持管理方法。
  24. 前記維持管理方針を決定する工程は、
    点検、補修及び洗浄からなる群から選択された少なくとも1種の作業を施す部位及び時期からなる群から選択された少なくとも1種の選択要素を、計画当初の予定のものから変更する工程を有することを特徴とする請求項20に記載の鋼構造物の維持管理方法。
  25. 前記維持管理方針を決定する工程は、
    点検、補修及び洗浄からなる群から選択された少なくとも1種の作業を施す部位及び時期からなる群から選択された少なくとも1種の選択要素を、計画当初の予定のものから変更する工程を有することを特徴とする請求項21に記載の鋼構造物の維持管理方法。
  26. 年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算するサーバーに、ユーザーが、端末機器から電気通信回線を介してアクセスする工程と、
    前記ユーザーが、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データを前記端末機器から前記サーバーに入力する工程と、
    前記ユーザーが、その使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記端末機器から前記サーバーに認識させる工程と、
    前記サーバーが、前記環境データ及び前記内因性の腐食情報に基づいて、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、
    前記サーバーが、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記端末機器に伝送する工程と、
    前記端末機器が前記予測腐食量を出力する工程と、
    を有し、
    前記サーバーは、前記予測腐食量を計算する際に、下記数11を用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする耐候性鋼に関する情報の提供方法。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  27. 前記サーバーが、前記環境データを構成する要素の少なくとも一部を、前記ユーザーによる入力以外の手段により取得する工程を更に有することを特徴とする請求項26に記載の耐候性鋼に関する情報の提供方法。
  28. 前記サーバーにおけるアクセス権が階層化されており、ユーザーの耐候性鋼の使用実績に応じて、前記サーバーが、前記サーバーにアクセスするためのユーザーIDにアクセス権を設定する工程を有することを特徴とする請求項26に記載の耐候性鋼に関する情報の提供方法。
  29. 前記サーバーが、前記ユーザーが入力した環境データを保存する工程を更に有することを特徴とする請求項26に記載の耐候性鋼に関する情報の提供方法。
  30. 前記サーバーが前記予測腐食量を伝送する工程は、
    前記ユーザーからの要求があった場合、及び入力された環境に特別な配慮が必要な場合に、前記サーバーが、前記予測腐食量と共に、他の詳細情報を前記端末機器に伝送する工程を有することを特徴とする請求項26に記載の耐候性鋼に関する情報の提供方法。
  31. 前記サーバーが前記他の詳細情報を伝送する工程は、
    前記他の詳細情報を、前記サーバーが、前記ユーザーの最寄りの営業拠点に設置された端末にも電気通信回線を介して転送する工程を有することを特徴とする請求項30に記載の耐候性鋼に関する情報の提供方法。
  32. 年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算するサーバーに、ユーザーが、端末機器から電気通信回線を介してアクセスする工程と、
    前記ユーザーが、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データを前記端末機器から前記サーバーに入力する工程と、
    前記ユーザーが、その使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記端末機器から前記サーバーに認識させる工程と、
    前記サーバーが、前記環境データ及び前記内因性の腐食情報に基づいて、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、
    前記サーバーが、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記ユーザーの端末機器に伝送する工程と、
    前記端末機器が前記予測腐食量を出力する工程と、
    前記サーバーにアクセスした履歴の有無及び前記サーバーにアクセスした頻度からなる群から選択された少なくとも1種の要素に基づいて営業先を決定する工程と、
    を有し、
    前記サーバーは、前記予測腐食量を計算する際に、下記数12を用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする耐候性鋼の営業方法。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  33. 年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算する電子計算機に、営業担当者が、顧客が耐候性鋼の使用を予定している使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報を入力する工程と、
    前記営業担当者が、前記顧客がその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記電子計算機に認識させる工程と、
    前記電子計算機が、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、
    前記営業担当者が、前記電子計算機による計算結果を前記顧客に提示する工程と、
    を有し、
    前記電子計算機は、前記予測腐食量を計算する際に、下記数13を用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする耐候性鋼の営業方法。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  34. 前記サーバーが、前記環境データを構成する要素の少なくとも一部を、前記営業担当者による入力以外の手段により取得する工程を更に有することを特徴とする請求項33に記載の耐候性鋼の営業方法。
  35. 前記営業担当者が、前記予測腐食量が設計耐用期間における設計上の許容腐食量を超える鋼種について、前記予測腐食量を低下させるための防食方法及び維持管理方法からなる群から選択された少なくとも1種の方法を行った場合の予測腐食量を、前記電子計算機に計算させる工程と、
    前記営業担当者が、前記電子計算機による計算結果を顧客に提示する工程と、
    を、更に有することを特徴とする請求項33に記載の耐候性鋼の営業方法。
  36. 前記営業担当者が、前記各耐候性鋼を前記使用予定位置に使用された場合の予想コスト及び予想寿命を提示する工程を更に有することを特徴とする請求項33に記載の耐候性鋼の営業方法。
  37. 情報の入力手段と、
    前記入力手段から入力された、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びに前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記耐候性鋼の予測腐食量を計算する演算手段と、
    前記演算手段による計算結果を出力する出力手段と、
    を有し、
    前記演算手段は、前記予測腐食量を計算する際に、下記数14を用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする腐食量予測システム。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  38. 情報の入力手段と、
    前記入力手段から入力された、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の腐食情報並びにその使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する演算手段と、
    前記予測腐食量と設計耐用期間における設計上の許容腐食量とを比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較結果を出力する出力手段と、
    を有し、
    前記演算手段は、前記予測腐食量を計算する際に、下記数15を用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする鋼種の選定システム。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  39. 情報の入力手段と、
    前記入力手段から入力された、耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の任意の期間における腐食減量の実測結果に基づいて、前記耐候性鋼から作製した垂直曝露材及び水平曝露材の実測初年腐食量を夫々算出し、
    前記入力手段から入力された、前記耐候性鋼が使用される予定の使用予定位置における年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む外因性の情報、前記入力手段を介して認識させられた、前記耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報、並びに前記各実測初年腐食量を用いて前記耐候性鋼の予測腐食量を計算し、
    前記予測腐食量に基づいて、維持管理方針を決定する演算手段と、
    を有し、
    前記演算手段は、前記予測腐食量を計算する際に、下記数16を用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする鋼構造物の維持管理システム。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  40. ユーザーが端末機器から電気通信回線を介してアクセスすることが可能であり、年間ぬれ時間、年平均風速、年平均気温、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算し、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記端末機器に伝送するサーバーを有し、
    前記サーバーは、前記予測腐食量を計算する際に、下記数17を用いて腐食性指標Zを計算することを特徴とする耐候性鋼に関する情報の提供システム。
    Figure 0003909057
    (但し、TOWは、前記使用予定位置の年間ぬれ時間(h)を示し、Wは、前記使用予定位置の年平均風速(m/sec.)を示し、Cは、前記使用予定位置の飛来塩分量(mdd)を示し、Sは、前記使用予定位置の硫黄酸化物量(mdd)を示し、Eaは、耐候性鋼の腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)を示し、Rは、気体定数(J/(K・mol))を示し、Tは、前記使用予定位置の年平均気温(K)を示す。また、αは実測値との比較によって決まる定数であり、κ、δ及びεは、夫々がかかる各因子の影響度を表す定数である。)
  41. 気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算するサーバーに、ユーザーが、端末機器から電気通信回線を介してアクセスする工程と、
    前記ユーザーが、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データを前記端末機器から前記サーバーに入力する工程と、
    前記ユーザーが、その使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記端末機器から前記サーバーに認識させる工程と、
    前記サーバーが、前記環境データ及び前記内因性の腐食情報に基づいて、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、
    前記サーバーが、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記端末機器に伝送する工程と、
    前記端末機器が前記予測腐食量を出力する工程と、
    を有し、
    前記サーバーにおけるアクセス権が階層化されており、ユーザーの耐候性鋼の使用実績に応じて、前記サーバーが、前記サーバーにアクセスするためのユーザーIDにアクセス権を設定する工程を有することを特徴とする耐候性鋼に関する情報の提供方法。
  42. 気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データ並びに耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を用いて耐候性鋼の予測腐食量を計算するサーバーに、ユーザーが、端末機器から電気通信回線を介してアクセスする工程と、
    前記ユーザーが、耐候性鋼を使用する予定の使用予定位置における気象観測データ、飛来塩分量及び硫黄酸化物量を含む環境データを前記端末機器から前記サーバーに入力する工程と、
    前記ユーザーが、その使用を予定している1又は2種以上の耐候性鋼の成分に関する内因性の腐食情報を前記端末機器から前記サーバーに認識させる工程と、
    前記サーバーが、前記環境データ及び前記内因性の腐食情報に基づいて、前記各耐候性鋼の予測腐食量を計算する工程と、
    前記サーバーが、前記電気通信回線を介して前記予測腐食量を前記ユーザーの端末機器に伝送する工程と、
    前記端末機器が前記予測腐食量を出力する工程と、
    前記サーバーにアクセスした履歴の有無及び前記サーバーにアクセスした頻度からなる群から選択された少なくとも1種の要素に基づいて営業先を決定する工程と、
    を有することを特徴とする耐候性鋼の営業方法。
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