JP3908959B2 - 被操作部材のオープナー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車のトランク扉、給油蓋、ボンネット等のオープナーに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、運転席近傍には、トランク扉、給油蓋、ボンネット等(以下被操作部材という)を解放するオープナーが設けられている。通常、オープナーは回転レバー状のハンドルで、1つの被操作部材に対して1つのオープナーがあてがわれるが、1つのオープナーの引っ張り回転と押し込み回転とで、2つの被操作部材を個別に操作できるようにしたものもある。
また、1つのオープナーで2つの被操作部材を操作できるものでは、誤操作を防止できるように、一方側への操作にはロック機構による規制を設けてロックを解除してからの操作を要求し、他方側への操作はフリーとすることがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、ロック機構を設けて一方側への操作を規制するものでは、ロックを解除してからハンドル操作をし、その後、ハンドルはバネ弾力で元に戻るが、ロック機構はアンロックのままとなり、手動でロックに戻す必要があった。
【0004】
【発明の目的】
よって、本発明は、ロック解除による一方側の操作終了後、自動的にロック状態に戻るようにした被操作部材のオープナーを提供するものである。
また、本発明は、いずれの方向への操作にもロック機構を設けた被操作部材のオープナーを提供するものである。
【0005】
【課題を解決する手段】
よって、本発明は、中立位置を挟んで支持軸19を中心に両方向に回転可能のハンドルレバー17と、前記ハンドルレバー17を前記中立位置に向けて付勢する中立復帰バネ20と、ロック位置とアンロック位置に切り替るロックレバー28と、前記ロックレバー28を死点境界線Yを境に前記ロック位置側と前記アンロック位置側とのいずれか一方側に弾力的に付勢するオーバーセンターバネ33とを有し、前記ハンドルレバー17には前記ロックレバー28のロックピン35が係合する操作溝部36を設けたものにおいて、前記操作溝部36には、前記ハンドルレバー17の一方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記ロック位置に保持された前記ロックピン35と係合して前記ハンドルレバー17の前記一方側への回転を規制する係合凹部38と、前記ハンドルレバー17の前記一方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記アンロック位置に保持された前記ロックピン35と当接して前記ロックピン35を前記死点境界線Yを越えて前記ロック位置側に移動させるロック戻し縁40とを設けた被操作部材のオープナーの構成としたものである。
【0006】
【実施例】
本発明による被操作部材のオープナーの実施例を図により説明すると、オープナーの樹脂製ハンドルケース10は、運転席近傍、好適には、その床面若しくはダッシュボードの下部側に取り付けられる。ハンドルケース10には外部に露出した露出収納部11と、外部から実質的に隔離された隔離収納部12とを設け、隔離収納部12にはブラケット13を止着具14でハンドルケース10に固定する。
【0007】
前記ブラケット13は、「コ」の字状を呈していて、その左壁15と右壁16との間にはハンドルレバー17の基端部18を配置して、基端部18のフランジアーム18Aを支持軸19でブラケット13に軸止する。支持軸19には中立復帰バネ20のコイル部が巻回されるように取付けられ、中立復帰バネ20の左脚部21は左壁15に形成した左長孔22に係止させ、中立復帰バネ20の右脚部23は右壁16に形成した右長孔24に係止させる。前記基端部18には脚部21、23に当接するバネ当接面25が設けられる。ハンドルレバー17は中立復帰バネ20の弾力をバネ当接面25が受けることで、非操作状態においては、中立位置に保持される。ハンドルレバー17が後述するアンロック状態において時計方向(一方方向)に操作されると、バネ当接面25は左脚部21に当接して中立復帰バネ20を圧縮し、また、反時計方向(他方方向)に操作されたときは、バネ当接面25は右脚部23に当接して中立復帰バネ20を圧縮させ、操作終了後は、圧縮させた中立復帰バネ20の反発力で中立位置に戻される。26は露出収納部11内に配置されたハンドルレバー17の操作部である。
【0008】
前記ハンドルレバー17には、トランク扉、給油蓋、ボンネット等の被操作部材に至るワイヤー又はロッド27が連結され、ハンドルレバー17の両方向の回転で、2つの被操作部材を個別に操作できるようにしてある。個別に操作するための手段は任意であり、2本のワイヤー又はロッド27をそれぞれ別方向にロストモーションを介してハンドルレバー17に連結しても良く、また、1本のワイヤー又はロッド27の先に設けたブランチを介して2つの被操作部材を個別に操作可能に接続しても良い(特公昭58−24585号公報参照)。
【0009】
28はブラケット13の左壁15に軸部29で軸止されたロックレバーであり、概略V字状を呈している。ロックレバー28の第1アーム30にはハンドルケース10の開口31を介して外方に突出する操作ピン32を設ける。ロックレバー28はオーバーセンターバネ33の弾力でその死点を境にロック位置(図1)と、アンロック位置(図4)とのいずれか一方側に弾力的に付勢される。
【0010】
前記ロックレバー28の第2アーム34にはロックピン35が設けられ、ロックピン35はハンドルレバー17の基端部18に形成した操作溝部36内に係合可能に臨ませる。第1実施例の操作溝部36は略台形状を呈していて、前記支持軸19から遠い外周縁37は支持軸19を中心とする円弧状に形成され、外周縁37の一端側には係合凹部38が形成される。ロックレバー28がロック位置でハンドルレバー17が中立位置にあるときは、図1のように、ロックレバー28のロックピン35は外周縁37に摺接するとともに係合凹部38の近傍に位置し、ハンドルレバー17の時計回転は、ロックピン35と係合凹部38との当接により規制されるが、反時計回転はフリーに行え、このとき外周縁37は支持軸19を中心とする円弧状であるため、ロックピン35に操作溝部36の形状による外力は加わらないことになる。
【0011】
図1のロックレバー28の操作ピン32を摘んでロックレバー28を図4のアンロック位置に移動させると、ロックピン35は、オーバーセンターバネ33により設定される死点境界線Yを越えてアンロック側に移動して操作溝部36の内周縁39に当接し、この状態では、ハンドルレバー17は両方向に回転可能となる。内周縁39のうち、ハンドルレバー17が時計回転したときにロックピン35が摺接するロック戻し縁40は、その一端側41に向けて支持軸19からの距離が徐々に遠くなり、その途中で死点境界線Yを越えるようにように設定される。また、一端側41から前記係合凹部38に至る部分は前記支持軸19を中心とする円弧縁42に設定する。このため、ロックレバー28をアンロックに切り替えて、ロックピン35と係合凹部38の対峙状態を解除してからハンドルレバー17を時計回転させると、所望の被操作部材(好適には、トランク扉)の操作が行えると共に、ロックピン35をロック戻し縁40との当接により徐々に外方に押し出して死点境界線Yを越えてロック位置側に移動させることができ、その後、ハンドルレバー17の操作終了により中立復帰バネ20の弾力でハンドルレバー17が中立位置に向けて反時計回転すると、ロックピン35はオーバーセンターバネ33の弾力でロック側に付勢されたまま円弧縁42に対して摺接移動し、ハンドルレバー17が中立位置に復帰すると、ロックピン35も係合凹部38と対峙状態となるロック位置に復帰する。なお、ロックが掛からないハンドルレバー17の反時計回転操作では、好適には給油蓋を解放できるようにする。
【0012】
図5は、操作溝部36の第2実施例を示しており、第2実施例では、ロックレバー28のアンロックへの切替をハンドルレバー17の操作で行えるようにしてある。このため、第2実施例の外周縁37Aの形状は、係合凹部38から離れるに従い支持軸19からの距離が短くなり、その途中で死点境界線Yをアンロック側に越えるように設定されている。これにより、ロックレバー28のロックを解除するときは、ハンドルレバー17を反時計回転させて、外周縁37Aとの当接によりロックピン35を死点境界線Yを越えてアンロック側に移動させればよく、これにより、ハンドルレバー17の時計回転が可能となる。なお、ロック解除後に、ハンドルレバー17を中立位置を越えて時計回転させると、ロックレバー28のロックピン35はロック戻し縁40との当接によりロック側に戻される点は、第1実施例と同じである。
【0013】
また、第2実施例においては、ハンドルレバー17を反時計回転させて外周縁37Aの作用によりロックを解除させるとき、ハンドルレバー17の反時計回転による被操作部材の操作が行われる前にロック解除が行えるように、ハンドルレバー17と被操作部材との間にロストモーションを設定する。
【0014】
図6は、操作溝部36の第3実施例を示しており、第3実施例では、ハンドルレバー17の時計回転及び反時計回転の両方向でロックがかかるようになっている。このため、操作溝部36には前記係合凹部38と対をなす係合凹部43を設けて、係合凹部38と係合凹部43との間にロック位置のロックピン35が臨むように設定し、ロック状態においては、ハンドルレバー17の両方向の回転を規制させる。
【0015】
第3実施例では、前記内周縁39のうち、ロック戻し縁40の反対側となる部分にもロック戻し縁44を設定する。ロック戻し縁44はロック戻し縁40と同様に、その端部45に向けて支持軸19からの距離が徐々に遠くなり、その途中で死点境界線Yを越えるようにように設定される。また、端部45から係合凹部43に至る部分は支持軸19を中心とする円弧縁46に設定する。これにより、アンロック状態において、ハンドルレバー17をいずれかの方向に操作すると、ロックピン35はロック戻し縁40又は44との当接により徐々に外方に押し出されて死点境界線Yをロック側に越え、ハンドルレバー17が操作終了により中立復帰バネ20の弾力で中立位置に向けて戻されると、ロックピン35も元のロック位置に戻される。
【0016】
前記第1実施例と第2実施例では、ハンドルレバー17の時計回転方向にロックが掛かるように設定されているが、操作溝部36の形状を論理的に反転させることで、ハンドルレバー17の反時計回転方向にロックを掛けることができることは自明である。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、中立位置を挟んで支持軸19を中心に両方向に回転可能のハンドルレバー17と、前記ハンドルレバー17を前記中立位置に向けて付勢する中立復帰バネ20と、ロック位置とアンロック位置に切り替るロックレバー28と、前記ロックレバー28を死点境界線Yを境に前記ロック位置側と前記アンロック位置側とのいずれか一方側に弾力的に付勢するオーバーセンターバネ33とを有し、前記ハンドルレバー17には前記ロックレバー28のロックピン35が係合する操作溝部36を設けたものにおいて、前記操作溝部36には、前記ハンドルレバー17の一方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記ロック位置に保持された前記ロックピン35と係合して前記ハンドルレバー17の前記一方側への回転を規制する係合凹部38と、前記ハンドルレバー17の前記一方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記アンロック位置に保持された前記ロックピン35と当接して前記ロックピン35を前記死点境界線Yを越えて前記ロック位置側に移動させるロック戻し縁40とを設けた被操作部材のオープナーとしたため、一方側へ回転を規制するロックを解除した後、一方側にハンドルレバー17を操作すれば、自動的に一方側へのロックが復帰するから、ロックのかけ忘れが防止される。
また、前記オープナーにおいて、前記操作溝部36には、前記ロックピン35が前記ロック位置にあるときに前記ハンドルレバー17が他方側に回転しても前記ロックピン35を前記アンロック位置に移動させない外周縁37を設けた被操作部材のオープナーとしたため、一方側への回転を規制するロック機構はハンドルレバー17の他方側への操作によっては解除されないため、利便性が向上する。
また、前記オープナーにおいて、前記操作溝部36には、前記ハンドルレバー17の他方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記ロック位置に保持された前記ロックピン35と当接して前記ロックピン35を前記死点境界線Yを越えて前記アンロック位置側に移動させる外周縁37Aを設けた被操作部材のオープナーとしたため、一方側への回転を規制するロック機構をハンドルレバー17の他方側への操作によって解除できるため、新たな需要に応えるオープナーが得られる。
また、前記オープナーにおいて、前記操作溝部36には、前記ハンドルレバー17の他方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記ロック位置に保持された前記ロックピン35と係合して前記ハンドルレバー17の前記他方側への回転を規制する係合凹部43と、前記ハンドルレバー17の前記他方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記アンロック位置に保持された前記ロックピン35と当接して前記ロックピン35を前記死点境界線Yを越えて前記ロック位置側に移動させるロック戻し縁44とを設けた被操作部材のオープナーとしたため、ハンドルレバー17の両方向への回転に簡単な構成でロック機構を付加できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例によるオープナーの側面図。
【図2】 前記オープナーの正面図。
【図3】 第1実施例の操作溝部の拡大図。
【図4】 アンロック状態における側面図。
【図5】 第2実施例の操作溝部の拡大図。
【図6】 第3実施例の操作溝部の拡大図。
【符号の説明】
10…ハンドルケース、11…露出収納部、12…隔離収納部、13…ブラケット、14…止着具、15…左壁、16…右壁、17…ハンドルレバー、18…基端部、18A…フランジアーム、19…支持軸、20…中立復帰バネ、21…左脚部、22…左長孔、23…右脚部、24…右長孔、25…バネ当接面、26…操作部、27…ワイヤー又はロッド、28…ロックレバー、29…軸部、30…第1アーム、31…開口、32…操作ピン、33…オーバーセンターバネ、34…第2アーム、35…ロックピン、36…操作溝部、37…外周縁、37A…外周縁、38…係合凹部、39…内周縁、40…ロック戻し縁、41…一端側、42…円弧縁、43…係合凹部、44…ロック戻し縁、45…端部、46…円弧縁。
Claims (4)
- 中立位置を挟んで支持軸19を中心に両方向に回転可能のハンドルレバー17と、前記ハンドルレバー17を前記中立位置に向けて付勢する中立復帰バネ20と、ロック位置とアンロック位置に切り替るロックレバー28と、前記ロックレバー28を死点境界線Yを境に前記ロック位置側と前記アンロック位置側とのいずれか一方側に弾力的に付勢するオーバーセンターバネ33とを有し、前記ハンドルレバー17には前記ロックレバー28のロックピン35が係合する操作溝部36を設けたものにおいて、前記操作溝部36には、前記ハンドルレバー17の一方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記ロック位置に保持された前記ロックピン35と係合して前記ハンドルレバー17の前記一方側への回転を規制する係合凹部38と、前記ハンドルレバー17の前記一方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記アンロック位置に保持された前記ロックピン35と当接して前記ロックピン35を前記死点境界線Yを越えて前記ロック位置側に移動させるロック戻し縁40とを設けた被操作部材のオープナー。
- 請求項1において、前記操作溝部36には、前記ロックピン35が前記ロック位置にあるときに前記ハンドルレバー17が他方側に回転しても前記ロックピン35を前記アンロック位置に移動させない外周縁37を設けた被操作部材のオープナー。
- 請求項1において、前記操作溝部36には、前記ハンドルレバー17の他方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記ロック位置に保持された前記ロックピン35と当接して前記ロックピン35を前記死点境界線Yを越えて前記アンロック位置側に移動させる外周縁37Aを設けた被操作部材のオープナー。
- 請求項1において、前記操作溝部36には、前記ハンドルレバー17の他方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記ロック位置に保持された前記ロックピン35と係合して前記ハンドルレバー17の前記他方側への回転を規制する係合凹部43と、前記ハンドルレバー17の前記他方側への回転により前記オーバーセンターバネ33の弾力で前記アンロック位置に保持された前記ロックピン35と当接して前記ロックピン35を前記死点境界線Yを越えて前記ロック位置側に移動させるロック戻し縁44とを設けた被操作部材のオープナー。
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