JP3907957B2 - 薄膜半導体デバイス及び薄膜半導体デバイスの作製方法 - Google Patents

薄膜半導体デバイス及び薄膜半導体デバイスの作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本明細書で開示する発明は、結晶性珪素薄膜を用いた半導体装置およびその作製方法に関する。特に結晶性珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタおよびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子プロセスの低温化に関して盛んに研究が進められている。その大きな理由は、安価で加工性に富んだガラス等の絶縁基板上に半導体素子を形成する必要が生じたからである。これは、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に利用される薄膜トランジスタをガラス基板上に形成する必要が生じたことが大きな要因である。その他にも素子の微小化や素子の多層化に伴う要請もある。
【0003】
半導体プロセスにおいては、半導体材料に含まれる非晶質成分もしくは非晶質半導体材料を結晶化させることや、結晶性であるのだが、より結晶性を向上させることが必要とされることがある。従来、このような目的のためには熱的なアニールが用いられていた。半導体材料として珪素を用いる場合には、600℃から1100℃の温度で0.1〜48時間、もしくはそれ以上の時間のアニールをおこなうことによって、非晶質の結晶化、結晶性の向上等がなされてきた。
【0004】
このような、熱アニールは、一般に温度が高いほど処理時間は短くても良かった。しかし、500℃以下の温度ではほとんど効果はなかった。例えば、CVD法で成膜された非晶質珪素膜を加熱により結晶化させる場合、加熱処理温度が600℃の場合は、10時間以上の時間が必要とされていた。また、550℃の加熱処理温度では、100時間以上の加熱処理時間が必要とされていた。しかし、一般にガラス基板は、600℃の加熱処理を10時間以上加えた場合、基板の歪みや変形が顕在化してしまう。この基板の歪みや変形は、基板が小型の場合(一般に10cm角以下)であればそれほど大きな問題とはならない。しかし、基板を大型化した場合、大きな問題となる。また、550℃程度の温度でも100時間以上の加熱処理を施した場合は、この歪みや変形の問題は大きなものとなる。
【0005】
この問題を解決するには、熱に耐える特殊なガラス基板や石英基板を用いればよい。しかし、このような基板は単価が高く、低コスト化を目指す液晶ディスプレイの生産には適さない。即ち、産業上利用することは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス基板上に形成された非晶質珪素膜を加熱によって結晶化させる技術に関しては、本出願人による(特開平6─244103号公報)に記載された技術がある。この技術では、珪素の結晶化を助長する金属元素を利用することにより、非晶質珪素膜を550度、4時間程度の加熱処理により、結晶化させる技術である。この技術を利用すれば、安価なガラス基板を利用した場合であっても、問題なく結晶性珪素膜を得ることができる。
【0007】
しかし、この技術を用いて形成された結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタを構成した場合、この珪素の結晶化を助長する金属元素の影響によって、薄膜トランジスタの電気特性が影響を受けることが懸念される。
【0008】
また、この金属元素の影響と見られる薄膜トランジスタの特性のバラツキが観察されている。アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、数百×数百のマトリクス状に配置された画素のそれぞれに薄膜トランジスタが配置される構成を有している。従って、個々の薄膜トランジスタの特性のバラツキは、表示画像のムラや不自然さの原因となる。
【0009】
そこで、本明細書で開示する発明においては、この珪素の結晶化を助長する金属元素の影響を排除した薄膜トランジスタを得る技術を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する発明では、珪素の結晶化を助長する金属元素を用いて得られた結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタ等の素子を形成する際に、当該素子を構成する領域(金属元素を含んだ珪素でなる領域)の近傍に前記金属元素を移動させ、当該素子領域または当該素子領域の一部における前記金属元素の濃度を低下させることを特徴とする。
【0011】
珪素の結晶化を助長する金属元素としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種類の元素を用いることができる。この元素の中で、特にNiを用いることが、その効果や再現性の点で非常に有用である。またNiの次に利用できるのが、PdやPt、さらにはCuである。
【0012】
当該素子領域の近傍に前記金属元素を移動させるには、当該素子を構成する領域に接して、格子欠陥領域を有する酸化珪素膜や窒化珪素膜を存在させ、加熱処理を加えることで実現することができる。また、この加熱処理は、当該素子領域を結晶化させる工程を兼ねている。
【0013】
格子欠陥領域は、アニールされにくい欠陥や不対結合手を高濃度に有しており、上記珪素の結晶化を助長する金属元素を強くトラップする性質を有している。従って、加熱処理を加えることにより、当該素子領域中に存在している金属元素は、この格子欠陥領域に拡散していき、強くトラップされることとなる。
【0014】
格子欠陥領域は、酸化珪素膜等のこの格子欠陥領域を形成しようとする領域に、酸素、アルゴン、塩素、弗素、リン、ボロンから選ばれた1種または複数種類の元素のイオンをイオン注入法やプラズマドーピング法で打ち込み、イオンの衝撃を与えることによって形成することができる。
【0015】
以下に本明細書で開示する発明の概要を示す。本明細書で開示する発明の一つは、
珪素の結晶化を助長する金属元素をトラップする格子欠陥領域を形成する工程と、
前記格子欠陥領域に接して非晶質珪素膜で構成される素子領域を形成する工程と、
前記素子領域を構成する非晶質珪素膜に接して前記金属元素を接して保持させる工程と、
加熱処理を施し前記素子領域を結晶化させる工程と、
を有することを特徴とする。
【0016】
上記構成の具体的な例を図2に示す。図2において(D)の207が薄膜トランジスタを構成する活性層(素子領域)である。図2に示す例においては、(A)で示される工程において、202で示される酸化珪素膜にリンイオンを注入することにより、酸化珪素膜202を格子欠陥領域とする。そしてその上に(C)で示されるように非晶質珪素膜でなる活性層204を形成する。
【0017】
そして、スピナー206を用いて酢酸ニッケル塩溶液205を塗布し、スピンドライを行うことによって、珪素の結晶化を助長する金属元素であるニッケル元素を活性層204に接して保持させた状態とする。
【0018】
次に(D)に示されるように、加熱処理を施すことにより、活性層204を結晶化させ、結晶性珪素膜でなる活性層207を得る。この際、活性層中から格子欠陥領域となっている酸化珪素膜202中にニッケル元素が拡散していき、トラップされる。
【0019】
他の発明の構成は、
基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に酸素、アルゴン、ハロゲン元素、リンから選ばれた少なくとの一種類の元素のイオンを注入することによって、格子欠陥領域を形成する工程と、
前記絶縁膜上に非晶質珪素膜を形成する工程と、
前記非晶質珪素膜に接して珪素の結晶化を助長する金属元素を保持させる工程と、
加熱処理を施し前記非晶質珪素膜を結晶化させる工程と、
を有することを特徴とする。
【0020】
他の発明の構成は、
絶縁膜上に結晶性珪素薄膜が形成された構成を有し、
前記結晶性珪素膜中には、珪素の結晶化を助長する金属元素が1×1016原子/cm3 〜5×1019原子/cm3 の濃度で含まれており、
前記絶縁膜膜中には、酸素、アルゴン、ハロゲン元素、リンから選ばれた少なくとも1種類の元素が含まれており、
前記絶縁膜は、全体が格子欠陥領域となっており、
前記絶縁膜中には、前記結晶性珪素膜中に含まれているより高い濃度で前記金属元素が含まれていることを特徴とする。
【0021】
上記構成において、結晶性珪素膜中に含まれる金属元素の濃度が1×1016原子/cm3 〜5×1019原子/cm3 の濃度に限定される。これは、金属元素の濃度がこの濃度以下であると、そもそも本明細書で開示する発明の特徴の一つとするところである550℃程度の加熱処理で結晶性珪素膜を得ることができないからである。(即ち、上記濃度以下の濃度で金属元素を含んでいる結晶性珪素膜は、上記発明の構成要件とはならない)
【0022】
また上記濃度以上の濃度で金属元素を含んでいる場合には、金属元素の影響が強すぎ、半導体としての特性が損なわれてしまうからである。
【0023】
上記構成に具体的な例を図2(D)に示す。図2(D)に示す構成においては、リンイオンの注入によって格子欠陥領域が形成された酸化珪素膜202、さらにこの酸化珪素膜202上に形成された結晶性珪素膜でなる活性層207、が示されている。
【0024】
図2(D)に示す構成においては、酸化珪素膜202の全体を格子欠陥領域と見なすことができ、さらにこの酸化珪素膜202中には、珪素の結晶化を助長する金属元素をゲッタリングする元素でるリンが含まれているので、活性層207を形成する際の加熱処理工程において、活性層中の当該金属元素は酸化珪素膜202の格子欠陥領域さらには酸化珪素膜202中のリン元素にトラップあるいはゲッタリングされる。そして、最終的な状態において、活性層202中の当該金属元素の濃度よりも、酸化珪素膜202中の当該金属元素の濃度の方が高い状態となる。これは、酸化珪素膜中に、当該金属元素を留め置くためのトラップや元素が存在しているからである。
【0025】
なお、酸化珪素膜202による当該金属元素のトラップ作用やゲッタリング作用が極めて効果的に進行した場合、活性層207中における当該金属元素の濃度が、1×1016原子/cm3 以下となる場合も考えられるが、効果的に結晶化を行った場合には、一般に上記値以上の濃度が活性層中に観察される。
【0026】
なお、本明細書中で示す元素の濃度は、SIMS(2次イオン分析法)で得られる最大値として定義される。
【0027】
【発明の実施の形態】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例では、非晶質珪素薄膜に珪素の結晶を化助する金属元素を導入し、加熱処理により前記珪素膜に結晶性を与えると同時に、結晶化後は不要となる当該金属元素を当該結晶性珪素膜の外に除去する技術を示す。
【0028】
ここでは、珪素の結晶化を助長する金属元素として、Niを用いる。まず、ガラス基板(例えばコーニング7959ガラス基板)101上に下地膜として、酸化珪素膜102を3000Åの厚さに成膜する。この酸化珪素膜は、TEOSを原料としたプラズマCVD法により成膜する。
【0029】
次に、イオンドーピング法、またはプラズマドーピング法により、酸化珪素膜102に酸素もしくはアルゴンのイオンを打ち込む。ドーズ量は、1016〜1021個/cm2 の間で選ぶ。このようにすると、酸化珪素膜102中に格子欠陥領域が形成され、酸化珪素膜102は主に格子欠陥領域で構成されることとなる。この工程において、できる限り、酸化珪素膜102を格子欠陥領域として構成することが重要である。また、多量のドーズ量(一般に1018個/cm2 以上)でもってイオンを打ち込むことによって、アニールによって修復されにくい格子欠陥領域とすることができる。(図1(A))
【0030】
次にプラズマCVD法によって、非晶質珪素膜(アモルファスシリコン膜)103の成膜を行う。ここでは、プラズマCVD法を用いるが、減圧熱CVD法を用いるのでもよい。また、非晶質珪素膜103の厚さは、500Åとする。勿論この厚さは、必要とする厚さとすればよい。しかし、後述するように、レーザー光の照射を併用し、さらに膜中の金属元素(ここではNi元素)濃度を低下させ、また同時にその結晶性を向上させる場合には、非晶質珪素膜の膜厚を500Å以下とする必要がある。
【0031】
次に過水アンモニアに基板を浸し、70℃に5分間保つことにより、非晶質珪素膜103の表面に酸化膜(図示せず)を形成する。この酸化膜は、後のニッケル酢酸塩溶液の塗布工程において、その濡れ性を改善させるために形成される。さらにニッケル酢酸塩溶液をスピンコート法により非晶質珪素膜の表面に塗布する。Ni元素は、非晶質珪素膜が結晶化する際に結晶化を助長する元素として機能する。
【0032】
次に窒素雰囲気中において、450℃の温度で1時間保持することにより、非晶質珪素膜中の水素を離脱させる。これは、非晶質珪素膜中に不対結合手を意図的に形成することにより、後の結晶化に際してのしきい値エネルギーを下げるためである。そして窒素雰囲気中において、550℃、4〜8時間の加熱処理を施すことにより、非晶質珪素膜103を結晶化させる。この結晶化の際の温度を550℃とすることができたのは、Ni元素の作用によるものである。
【0033】
またこの結晶化された珪素膜中には、水素が0.001原子%〜5原子%の割合で含まれている。上記加熱処理中、Ni元素は珪素膜中を移動しながら、該珪素膜の結晶化を促進する。さらに、該Ni元素は前記非晶質珪素膜102中に形成された格子損傷領域に向かって104で示されるように移動していく。
【0034】
また、550℃程度の温度の加熱処理では、酸化珪素膜中に形成された格子欠陥領域は修復されない。また、格子欠陥領域が多量に存在している関係で、最終的な濃度分布は、珪素膜103中よりも酸化珪素膜102中の方が高いものとなる。
【0035】
こうして、ガラス基板上に結晶性を有し、かつNi元素の濃度の少ない結晶性珪素膜を得ることができる。(図1(B))
【0036】
次にパターニングを行うことにより、薄膜トランジスタの活性層105を形成する。さらにゲート絶縁膜として機能する酸化珪素膜106を1000Åの厚さに成膜する。さらにスカンジウムを微量に含有させたアルミニウムの膜を6000Åの厚さに成膜し、パターニングを施すことにより、ゲート電極107を形成する。そしてこのゲート電極107を陽極として電解溶液中において陽極酸化を行うことにより、アルミニウムの酸化物層108を2000Åの厚さに形成する。この酸化物層108は、後の不純物イオンの注入工程において、オフセットゲート領域を形成するためのマスクとして機能する。(図1(C))
【0037】
この状態において、P(リン)イオンの打ち込みをプラズマドーピング法またはイオン注入法によって行う。すると、ゲート電極107とその周囲の酸化物層108とがマスクとなって、活性層の109と112とにPイオンの注入が行われる。そして、110と111との領域には、Pイオンの注入が行われない。この結果、109と112の領域がソース/ドレイン領域として構成される。また110の領域がオフセットゲート領域として構成される。また、111の領域がチャネル形成領域として構成される。(図1(D))
【0038】
図1(D)に示す工程を経た後、層間絶縁膜を形成し、さらにコンタクトホールを形成する。そして、ソース/ドレイン領域へのコンタクト電極、さらにはゲート電極へのコンタクト電極を形成する。最後に、350℃の水素雰囲気中において、1時間の加熱処理を行うことにより、薄膜トランジスタを完成させる。
【0039】
本実施例で作製した薄膜トランジスタでは、低温(ガラス基板が耐え得ると意味で)の加熱処理で結晶性珪素膜が得ることができる。さらに加えて、得られる薄膜トランジスタの活性層中におけるニッケル元素の濃度を低くすることができる。こうして、生産コストが低く、しかも特性の劣化や変化の無い薄膜トランジスタを得ることができる。
【0040】
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1で作製した珪素膜をさらに結晶性の良い物とし、さらに珪素の結晶化を助長するための金属元素の濃度をさらに低いものとするための構成に関する。
【0041】
まず、図1(B)で示される工程で示されるような加熱処理を行うことにより、結晶性珪素膜を得る。そして、2段階に渡るレーザー光の照射を行う。ここでは、線状に加工されたレーザービームを操作しながら照射することにより、レーザー光の照射を行う。レーザー光としては、KrFエキシマレーザーを用いる。レーザー光の照射条件は、まず予備照射として100ー300mJ/cm2 、次に本照射として200〜500mJ/cm2 の2段階照射とする。また、パルス数を30パルス/sとする。ここで、2段階照射とするのはレーザー光の照射による膜表面の均一性悪化を極力抑さえる為である。
【0042】
実施例1で示した加熱処理のみで結晶化した結晶性珪素膜においては、その膜中に非晶質成分が多く残っている。このような場合、膜の全体において均一なレーザーエネルギーの吸収が行われれず、レーザー光の照射に従って、膜の表面が荒れたものとなってしまう。そこで、1回目の照射で膜に残っている非晶質部分を結晶化して、さらに2回目の照射では全体的な結晶化を促進させる。こうすることで、全体の結晶性が高く、また膜表面の荒れの少ない結晶性珪素膜を得ることができる。
【0043】
この2段階照射の効果は大変高く、完成する半導体デバイスの特性を著しく向上させることができる。特に1000Å以下というような薄膜デバイスを作製する場合は、利用する薄膜半導体の表面の状態が、デバイスの特性に非常に大きく影響するので、上記2段階照射によって表面の荒れの生じない処理を行えることは非常に有効である。
【0044】
また、このレーザー光の照射は、基板温度を500℃に保って行う。これは、レーザー光の照射による基板表面温度の上昇と下降の速度を和らげるために行われる。一般に環境の急激な変化は、物質の均一性を損なわれることが知られている。そこで、基板温度を高く保つことでレーザー光の照射による基板表面の均一性の劣化を極力抑えることができる。この実施例では基板温度を500℃に設定しているが、この温度は、450℃から基板の歪み点までの間で選択することができる。例えばコーニング7059ガラス基板を用いた場合には、その歪み点が593℃であるので、この温度以下であってかつ450℃以上の温度から選択することができる。
【0045】
珪素膜の厚さが500Å程度以下である場合において、上記のレーザー光の照射を行うと、ニッケル元素が下地の酸化珪素膜102中にさらに拡散することになるので、さらに珪素膜中のニッケル元素濃度を下げることが可能となる。珪素膜の厚さが薄い方がこの効果が大きいが、100Å以下となると、一般のCVD方ではその成膜が困難となるので、注意が必要である。従って、一般的には、珪素膜の膜厚を100〜500Å程度とすることが適当である。また、レーザー光の照射は、膜の結晶性を高めることになるので、その意味においても非常に有用なものとなる。
【0046】
〔実施例3〕
本実施例は、薄膜トランジスタの活性層(素子領域ということもできる)を構成する領域に隣接して、格子欠陥領域を人為的に形成することにより、この格子欠陥領域に活性層中の金属元素をトラップさせ、活性層中における金属元素の濃度を下げることを特徴とする。
【0047】
図2に本実施例に示す半導体装置の作製工程の一部を示す。まずガラス基板201上に下地膜として酸化珪素膜202を3000Åの厚さにプラズマCVD法またはスパッタ法で成膜する。
【0048】
そしてリンイオンをプラズマドーピング法、またはイオン注入法で酸化珪素膜202中に注入する。ドーズ量は、1016〜1021個/cm2 とする。この工程で酸化珪素膜202はPSG膜のようなリンガラスの状態となる。またその膜全体が格子欠陥領域として形成される。この工程では、酸化珪素膜全体において、高い密度で欠陥が形成されるように工夫する必要がある。(図2(A))
【0049】
なお、上記イオンの注入を行った結果、酸化珪素膜202の表面が荒れてしまう。そこで、バッファフッ酸を用いたウエットエッチングを行い、その表面を数十〜数百Å程度の厚さで除去し、平坦化する。
【0050】
次に非晶質珪素膜203をプラズマCVD法または減圧熱CVD法で500Åの厚さに成膜する。(図2(B))
【0051】
次に非晶質珪素膜203を所定のパターンにパターニングすることにより、薄膜トランジスタの活性層204を形成する。そして、珪素の結晶化を助長する金属元素であるNiを導入する。ここでは、スピナー206上に試料を配置し、所定のNi濃度に調整されたニッケル酢酸塩溶液をまず塗布する。この状態で、図2(C)に示されるように水膜205が形成される。(図2(C))
【0052】
そしてスピナー206を回転させてスピンドライを行うことにより、余分やニッケル酢酸塩溶液を吹き飛ばす。こうして、ニッケル元素が活性層の形状にパターニングされた非晶質珪素膜204上に接して保持された状態が実現される。
【0053】
ここでは、ニッケル元素を含んだ溶液を用いて、ニッケル元素を導入する例を示したが、例えば、蒸着法やスパッタ法、さらにはプラズマCVD法でニッケルの薄膜、またはニッケル元素を含む薄膜を非晶質珪素膜の表面に形成するのでもよい。
【0054】
次に図2(D)に示すように、550℃、4時間の加熱処理を行うことにより、非晶質珪素膜でなる活性層204を結晶化させる。この結果、結晶性珪素膜でなる活性層207が形成される。この際、矢印208で示されるように、全体が格子欠陥領域となっている酸化珪素膜202中に活性層中からニッケル元素が拡散していく。(図2(D))
【0055】
一般にガラス基板の歪点は、600℃程度であるので、550℃、4時間の加熱処理によって、その変形や歪みが問題となることはない。また、本実施例に示す構成においては、酸化珪素膜202中にニッケルが拡散し、トラップされるので、活性層中におけるニッケル元素の濃度を下げることができる。特に、本実施例においては、酸化珪素膜中にニッケル元素トラップさせるための格子欠陥領域に加えて、ニッケルをゲッタリングする作用を有するリンが含まれているので、効果的にニッケル元素を酸化珪素膜202中に移動させることができる。
【0056】
また実施例2に示したように、加熱処理の後にさらにレーザー光を照射するこは、活性層207の結晶化を向上させ、さらに活性層207中に含まれているニッケル元素の濃度を下げることができる。
【0057】
【発明の効果】
本明細書で開示する技術を利用することによって、ガラス基板が利用できるような温度における加熱処理において、結晶性珪素膜を得ることができる。さらに加えて、当該結晶性珪素膜中における金属元素の濃度を下げることができるので、得られる薄膜半導体デバイスにおいて、特性の劣化や特性の変化のないものを得ることができる。
【0058】
特に本明細書で開示する発明を利用して、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に利用される薄膜トランジスタアレイを作製した場合、各薄膜トランジスタの特性のバラツキを抑えることができるので、表示特性の高いTFT液晶パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で示す薄膜トランジスタの作製工程を示す。
【図2】 実施例で示す薄膜トランジスタの作製工程を示す。
【符号の説明】
101、201 ガラス基板
102、202 酸化珪素膜
103、203 非晶質珪素膜
105、207 活性層
106 ゲート絶縁膜(酸化珪素膜)
107 アルミニウムを主成分とするゲート絶縁膜
108 アルミニウムの陽極酸化物層
109 ソース領域
110 オフセットゲート領域
111 チャネル形成領域
112 ドレイン領域
205 ニッケル酢酸塩溶液の水膜
206 スピナー

Claims (9)

  1. 珪素の結晶化を助長する金属元素を含む半導体膜および前記半導体膜に接して格子欠陥領域を有する被膜を積層して形成し、
    前記半導体膜および前記被膜に加熱処理を施すことによって、前記半導体膜中の前記珪素の結晶化を助長する金属元素を前記格子欠陥領域を有する被膜中へ移動させ、
    前記加熱後の半導体膜を用いて活性層を形成する薄膜半導体デバイスの作製方法であって、
    前記格子欠陥領域を有する被膜は、プラズマCVD法により成膜され、イオンドーピング法もしくはプラズマドーピング法により、アルゴンが添加されていることを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法。
  2. 格子欠陥領域を有する被膜上に接して非晶質半導体膜を形成し、
    前記非晶質半導体膜上に珪素の結晶化を助長する金属元素を保持させた後、加熱して結晶性半導体膜を形成し、
    前記結晶性半導体膜を用いて活性層を形成する薄膜半導体デバイスの作製方法であって、
    前記格子欠陥領域を有する被膜は、プラズマCVD法により成膜され、イオンドーピング法もしくはプラズマドーピング法により、アルゴンが添加されていることを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記イオンドーピング法もしくはプラズマドーピング法によるアルゴンのドーズ量は、10 16 〜10 21 個/cm であることを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記格子欠陥領域を有する被膜は、絶縁膜であることを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれか一において、
    前記半導体膜は、膜厚10nm〜50nmの珪素膜であり、
    前記加熱後の前記珪素膜にレーザー光照射を行うことを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法。
  6. 請求項5において、
    前記レーザー光照射は、2段階のレーザー光照射であることを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    前記珪素の結晶化を助長する金属元素は、Fe、Co、Ni、Pd、Ir、Pt、CuもしくはAuであることを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
    前記薄膜半導体デバイスは、薄膜トランジスタであることを特徴とする薄膜半導体デバイスの作製方法
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
    前記作製方法によって形成されたことを特徴とする薄膜半導体デバイス。
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