JP3907263B2 - 記録液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性媒体記録液、特にインクジェット用記録液、もしくは筆記具用記録液に適した黒色系の記録液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録用の記録液としては酸性染料や直接染料を水性媒体中に溶解した水性インク、あるいは、油溶性染料を有機溶剤中に溶解した溶剤系インクが使用されている。溶剤系インクは溶剤を使用するため、環境安全面で問題があり、用途が限られオフィスなどでの使用は適さないなど用途が限られている。一方水性インクは水溶性の色素を使用するため、特に普通紙に記録した場合、記録物の耐水性が劣ることが問題である。また、これらの染料を用いたインクの記録物は耐光性の面でも不十分である。また、このようなことはインクジェット用のみならず、筆記具用記録液についても同様である。
【0003】
前記の問題点を改良するため、色材として耐水性及び耐光性に優れたカーボンブラックを用い、カーボンブラックを水性媒体中に分散した水性分散インクが一部で用いられている。しかし、従来のカーボンブラックの水性分散インクは長期の保存安定性や記録物の記録濃度が不十分なことや、吐出耐久性の面などで問題がある。
【0004】
工業的なカーボンブラックとして、これまでチャンネルブラック、ファーネスブラック等がよく知られている。
しかしながら、これらの工業的なカーボンブラックの物性としては、これまで、チャンネルブラックについては、高DBP吸油量かつ高揮発分のものが、また、ファーネスブラックについては、低DBP吸油量かつ低揮発分のものが一般的であり、記録液用途向けにもこのような物性のカーボンブラックが用いられている。
【0005】
即ち、特開平3−134073号公報では吐出安定性の向上を目的として中性及び塩基性(pH7〜10)のファーネスカーボンブラックと水溶性樹脂を含有するインクジェット記録用記録液を記載しているが、カーボンブラックのDBP吸油量及び揮発分と印字濃度についての記載はない。実際にはDBP吸油量及び揮発分のいずれかが本発明の特定の物性を満たさないカーボンブラックであり、十分な性能は得られない。
【0006】
また特開平3−210373号公報では、酸性のカーボンブラックと水溶性樹脂を含有する印字濃度の向上する記録液を記載しているが、揮発分が3.5〜8重量%、DBP吸油量が45〜170ml/100gと大きいものと小さいものとを同等に記載しており、実際にはDBP吸油量及び揮発分のいずれかが、本発明の特定の物性を満たさないカーボンブラックであることから、十分な性能は得られない。印字濃度とDBP吸油量との関係については全く示唆していない上、高温で長時間保存した場合の安定性が不十分であるため、分散剤を十分選択して使用する必要がある。
更に、特開平7−331141号公報には、DBP吸油量が75ml/100g以上のカーボンブラックを用いたインクジェット記録用記録液を記載しているが、カーボンブラックの揮発分について記載されておらず、また、実際には揮発分が本発明の範囲を満たさない高揮発分であることから十分な性能は得られない。
【0007】
一方、特開平2−276872号、特開平2−276873号、特開平2−276875号、特開平3−66768号、特開平3−140377号、特開平4−57859号、特開平4−57860号、特開平4−57861号、特開平4−57862号、特開平4−57863号、特開平4−58864号、特開平4−57865号、特開平4−59879号、特開平4−332773号、特開平5−247391号等各号公報では、これらの問題点を改良する目的で、アゾ染料、フタロシアニン染料などの水溶性色素を併用しているが、該水溶性の色素を使用することから、耐水性の面で問題がある。
このように、カーボンブラックの水性分散系記録液は、未だ工業的に十分な性能を達成するに至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はインクジェット記録用もしくは筆記具用として、普通紙に記録した場合にも耐水性が良好で、高濃度の記録が可能で、記録の信頼性も高く(例えばインクジェット記録に使用する際などに、吐出安定性、吐出応答性、間欠吐出の際の安定性などが優れる)、記録物の印字品位、耐光性など耐水性以外の堅牢性も良好な記録が可能であると共に、特に高温で長期間保存した場合でも安定性が良好であるカーボンブラックを使用した水性分散インク、及び、加熱による記録液の状態変化を利用してインクジェット記録を行ういわゆる加熱型のインクジェットプリンターにおいても加熱手段である電極板上の不純物の析出(コゲーション)などが極めて少ない等、吐出耐久性に優れるカーボンブラックを使用した水性分散インクを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは記録液用の水性顔料分散ブラックインクの印字濃度向上、耐水性向上、保存安定性向上、吐出安定性向上を種々検討した結果、水系媒体及び特定の物性を有するカーボンブラックを含む記録液を用いると、得られた印字物の印字濃度が向上するだけでなく、該記録液を用いた時の保存安定性や吐出安定性が向上することを見出し本発明に至ったものである。本発明は、水性媒体及び下記物性を有するカーボンブラックを含有することを特徴とする記録液に存する。
カーボンブラック物性
■DBP吸油量:140ml/100g以上
■揮発分:4重量%以下
■pH:7〜14。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカーボンブラックのDBP吸油量は、通常140ml/100g以上の範囲であるが、150ml/100g以上が好ましい。上限としては通常280ml/100g以下である。
また、揮発分は4重量%以下の範囲のものを使用するが、3重量%以下が好ましい。
【0011】
該揮発分範囲とすることにより、特に、加熱型のインクジェットプリンターにおいて、加熱手段である電極板上の不純物の析出(コゲーション)などが極めて少なくなるなど、吐出耐久性を良好にすることができる。pHとしては7〜14のものを用いると、記録液の長期間の保存中にも、使用したカーボンブラックの粒度が上昇することもなく非常に保存安定性が良好である。ここでpH7〜14のカーボンブラックとは、いわゆる中性カーボンブラック及びアルカリ性カーボンブラックのことである。それ以外にBET比表面積は100m2 /g以上が好ましく、150m2 /g以上が更に好ましく、200〜700m2 /gのものが特に好ましい。1次粒子径については24nm以下が好ましく18nm以下のものが特に好ましい。
また、カーボンブラックとしてはファーネスブラックを用いることが好ましい。
【0012】
尚、ここでいうカーボンブラックのDBP吸油量はJIS K6221 A法で測定した値、pHは試料10gに蒸留水100mlを加え、ホットプレート上で10分間煮沸し室温までに冷却した後、上澄みを分離し泥状物のpHをガラス電極pHメーターを用いて測定した値、揮発分はJIS K6221の方法で測定した値、BET比表面積はASTM D3037 D法で求めた値、1次粒子径は電子顕微鏡による算術平均径のことである。
これらの特徴を有する本発明の記録液を用いて印字を行うと、高濃度の記録物を得ることができ、記録物の印字品位、耐光性など耐水性以外の堅牢性も良好な記録が可能であると共に、記録液の保存安定性や吐出安定性に優れる。
【0013】
本発明の記録液に使用されるカーボンブラックとしては、上記の物性を有するものならば、カーボンブラックを化学的に処理したもの(酸化処理、フッ素化処理等)や、分散剤、界面活性剤などを物理的または化学的に結合させたもの(グラフト化処理、分散剤を分散前にあらかじめ吸着させたもの等)等を使用してもよい。なお、これらの表面処理を施したカーボンブラックの揮発分とは、これらを大量の塩酸水でpH1以下の酸性条件下で懸濁させた後、濾別して乾燥し、前記の方法(JIS K6221)で測定した値である。
【0014】
また、カーボンブラックとして工業的に入手可能な製品としては、極めて限られた特殊なグレードであるが、三菱化学(株)の製品で、商品名が#3050B、#3350B、#3250、#3750等、コロンビアン社の製品で、商品名がConductex 975 ULTRA等、キャボット社の製品で、商品名がVULCAN XC72R、VULCAN XC72等が挙げられる。またこれらのカーボンブラックを化学的に処理したもの(フッ素化処理等)や、分散剤、界面活性剤などを物理的または化学的にカーボンブラックに結合させたもの(グラフトカーボン、分散前に分散剤をあらかじめ吸着させたカーボンブラック等)等で、上記の条件を満足するものが挙げられる。
【0015】
本発明の記録液には分散剤を用いても良い。使用できる分散剤としては、各種の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子系分散剤等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類、アルカンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類、α−オレフィンスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0016】
非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン誘導体類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類等が挙げられる。
【0017】
陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤としてはアルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、アルキルベタイン類、アミノキサイド類が挙げられる。
また、高分子系分散剤としてはポリアクリル酸、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸ハーフエステル共重合体、α−オレフィン/アリルエーテル/マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルフォン酸共重合体、ビニルナフタレン/マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン/アクリル酸共重合体あるいはこれらの塩(リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−プロピルアルコール等の有機アミン塩等)等が挙げられる。
これらの内陰イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び高分子系分散剤が特に優れている。
【0018】
本発明の記録液に用いられる水性媒体は水を主体とするが、水に水溶性有機溶剤を添加して用いるのが好ましい。水溶性有機溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200、#300、#400、#600)、グリセリン、上記グリコール類のアルキルエーテル類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、チオジグリコール、2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0019】
本発明の記録液には上記の成分の他に、水溶性樹脂、防黴剤、殺菌剤、pH調整剤、尿素化合物(尿素誘導体、チオ尿素)等を必要に応じて添加しても良い。
これらのカーボンブラック、分散剤及び有機溶剤は1種類の物を単独で用いても良いが、場合により2種以上の物を併用することにより、より一層の効果をあげることができる。
【0020】
カーボンブラックの使用量は記録液全重量に対し1〜10重量%の範囲が良いが、3〜8重量%が好ましい。分散剤を使用する場合の使用量はカーボンブラックの重量に対して3〜100重量%の範囲が良いが、20〜80重量%が好ましい。記録液中の水溶性有機溶剤の使用量は5〜30重量%の範囲が良いが、10〜20重量%が好ましい。また、その他の添加剤を用いる場合は、それぞれ添加の効果が現れ、記録液としての性能を阻害されない程度に使用されていればよい。通常は合計で2重量%以下、中でも0.1〜2重量%、特に0.1〜1重量%の範囲で用いられる。
【0021】
本発明の記録液の調製方法としては上記の各成分を混合し、分散機を用いてカーボンブラックを微粒子に摩砕、分散処理することにより行われる。分散機としてはボールミル、ロールミル、サンドグラインドミル以外に、メディアを用いずに粉砕処理できるナノマイザー、アルティマイザー等のジェットミルが用いられるが、特にサンドグラインドミル、もしくはメディアに由来する汚染の少ないジェットミルが好ましい。この摩砕、分散処理の後、濾過機あるいは遠心分離機を用いて粗大粒子を除去する。カーボンブラック、分散剤、水以外の成分は摩砕、分散処理後に添加しても良い。
【0022】
本発明では、記録液中において、カーボンブラックの粒径(カーボンブラックの記録液中に存在している状態=凝集体の粒径を表す)の最大値(粒度分布の上限)が、3μm、好ましくは1μmであるのがよい。平均粒径(体積平均粒子径:体積が50%の値、以下「D−ave」と示す)で表した場合は、0.02〜1.0μmの範囲であるようにするのが好ましく、更に0.05〜0.5μmの範囲であるようにするのがより好ましい。
また、摩砕、分散処理は高濃度で調製することにより効率的実施できるので、高濃度(例えばカーボンブラックの分散液中濃度を5〜20重量%程度)で摩砕、分散処理し、該処理液を、水性媒体で希釈して前記のような最終的な記録液の濃度に調整することが好ましい。
【0023】
本発明の記録液を用いて印字を行うと、高濃度で印字品位の優れた記録物を得ることができ、該記録物の耐光性など耐水性以外の堅牢性も良好な記録が可能であると共に、記録液としての保存安定性にも優れる。特に、加熱型のインクジェットプリンターにおいて、加熱手段である電極板上の不純物の析出(コゲーション)などが極めて少ない等、吐出耐久性に優れている。また、pHが7から14であるカーボンブラックを用いた場合には、記録液の長期間の保存中にも、使用したカーボンブラックの粒度の上昇を生じることもなく非常に保存安定性が良好である。
【0024】
【実施例】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例において「部」及び「%」は重量基準である。
【0025】
上記の各成分を内部をウレタン樹脂でコーティングした円筒形の容器に取り、平均0.5mm径のジルコニアビーズ67部と共にサンドグラインダーを用いて12時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水56部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
(印字試験)
上記実施例に記された方法で得られた記録液を用いて、加熱型インクジェットプリンター(ヒューレット・パッカード社製 DeskWriter C)で電子写真用紙(Xerox 4024紙、Xerox製品)にインクジェット記録を行った結果、目詰まりなど無く安定でかつ良好な吐出性を示し、印字品位の良好な印字物が得られた。
【0026】
(印字濃度評価)
上記の印字試験で得た印字物の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製 RD914)を用いて測定した。評価結果は下記第1表に示した。
(耐水性試験)
印字試験で得た印字物をビーカーに取った水道水に5秒浸漬した。印字物乾燥後、字汚れの有無を目視評価した。結果は以下のように分類し、下記第1表に示した。
○──────字汚れほとんどなし
△──────かすかに字汚れあるが実用上問題なし
×──────字汚れが目立つ
【0027】
(耐光性試験)
印字物をキセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製造)を用いて100時間照射した後の変退色を目視評価した。結果は以下のように分類し、下記第1表に示した。
○──────良好
△──────変退色あるが実用上問題なし
×──────変退色が目立つ
【0028】
(コゲーション試験)
上記実施例に記された方法で得られた記録液を用いて、加熱型インクジェットプリンター(ヒューレット・パッカード社製 DeskWriter C)で15cm×25cmのベタ印字を電子写真用紙(Xerox 4024紙、Xerox製品)25枚に行った後、ヘッドを静かに分解し電極板をイオン交換水で静かに洗浄する。乾燥後光学顕微鏡で電極板上付着物を観察する。結果は以下のように分類し、下記第1表に示した。
○──────かすかに付着物がみられるが実用上問題なし
△──────付着物が少し見られる
×──────付着物がひどい
【0029】
【0030】
上記の各成分を内部をウレタン樹脂でコーティングした円筒形の容器に取り、平均0.5mm径のジルコニアビーズ67部と共にサンドグラインダーを用いて12時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水56部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
印字試験、耐水性試験、耐光性試験、コゲーション試験、及び印字濃度評価は実施例1と同様の方法で行った。評価結果は下記第1表に示した。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
【0033】
【0034】
上記の各成分を内部をウレタン樹脂でコーティングした円筒形の容器に取り、平均0.5mm径のジルコニアビーズ67部と共にサンドグラインダーを用いて12時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水56部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
印字試験、耐水性試験、耐光性試験、コゲーション試験、及び印字濃度評価は実施例1と同様の方法で行った。評価結果は下記第1表に示した。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
【0035】
【0036】
上記の各成分を内部をウレタン樹脂でコーティングした円筒形の容器に取り、平均0.5mm径のジルコニアビーズ67部と共にサンドグラインダーを用いて12時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水56部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
印字試験、耐水性試験、耐光性試験、コゲーション試験、及び印字濃度評価は実施例1と同様の方法で行った。評価結果は下記第1表に示した。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
【0037】
比較例1
実施例1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックAを用いる代わりに、Color Black FW18(カーボンブラック、商品名、デグッサ社製品、物性値第2表参照)を用いた以外は全て同様の方法で記録液を得た。
印字試験、耐水性試験、耐光性試験、コゲーション試験、及び印字濃度評価は実施例1と同様の方法で行った。評価結果は下記第1表に示した。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
【0038】
比較例2
実施例2において、カーボンブラックとしてカーボンブラックBを用いる代わりに、Color Black S170(カーボンブラック、商品名、デグッサ社製品、物性値第2表参照)を用いた以外は全て同様の方法で記録液を得た。
印字試験、耐水性試験、耐光性試験、コゲーション試験、及び印字濃度評価は実施例2と同様の方法で行った。評価結果は下記第1表に示した。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
【0039】
比較例3
実施例1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックAを用いる代わりに、MCF88(カーボンブラック、商品名、三菱化学(株)製品、物性値第2表参照)を用いる以外は全て同様の方法で記録液を得た。
印字試験、耐水性試験、耐光性試験、コゲーション試験、及び印字濃度評価は実施例2と同様の方法で行った。評価結果は下記第1表に示した。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【0043】
上記の各成分をステンレス製の容器に取り、平均0.5mm径のガラスビーズ152部と共にサンドグラインダーを用いて60時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水127部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
(粒度分布測定)
上記実施例に記された方法で得られた記録液の粒度分布をレーザードップラー式粒度分布計(商品名:Microtrac UPA、日機装販売)を用いて測定し、結果はD−ave(μm)の値を下記第3表に示した。測定は記録液を希釈せずに行った。
【0044】
(記録液の保存安定性試験)
▲1▼記録液をテフロン容器に密閉し、70℃で1ヶ月間保存した。ゲル化や沈澱物の有無を目視評価した。結果は以下のように分類し、下記第3表に示した。
○──────ゲル化や沈澱物ほとんどなし
△──────かすかにゲル化や沈澱物がみられるが実用上問題なし
×──────ゲル化や沈澱物が目立つ
▲2▼上記の70℃で1ヶ月間保存した記録液を室温にまで戻し、前記と同様の機器で同様に粒度分布を測定し、D−ave(μm)の値を下記第3表に示した。この他、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験を実施例1と同様に行った結果を第3表に示した。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
本実施例の記録液は、1ヶ月間保存後も平均粒子径の変化がほとんど無く、極めて安定な記録液であることがわかる。
【0045】
【0046】
上記の各成分をステンレス製の容器に取り、平均0.5mm径のガラスビーズ152部と共にサンドグラインダーを用いて60時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水127部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
この記録液を用いて実施例6と同様に粒度分布測定、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験、及び記録液の保存安定性試験を行った結果を第3表に示す。なお、印字試験結果は実施例6と同様であった。
【0047】
【0048】
上記の各成分をステンレス製の容器に取り、平均0.5mm径のガラスビーズ152部と共にサンドグラインダーを用いて60時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水127部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
この記録液を用いて実施例6と同様に粒度分布測定、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験、及び記録液の保存安定性試験を行った結果を第3表に示す。なお、印字試験結果は実施例6と同様であった。
【0049】
【0050】
上記の各成分をステンレス製の容器に取り、平均0.5mm径のガラスビーズ152部と共にサンドグラインダーを用いて60時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水127部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
この記録液を用いて実施例6と同様に粒度分布測定、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験、及び記録液の保存安定性試験を行った結果を第3表に示す。なお、印字試験結果は実施例6と同様であった。
【0051】
【0052】
上記の各成分をステンレス製の容器に取り、平均0.5mm径のガラスビーズ152部と共にサンドグラインダーを用いて60時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水127部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過し、ここで得られた液を記録液とした。
この記録液を用いて実施例6と同様に粒度分布測定、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験、及び記録液の保存安定性試験を行った結果を第3表に示す。なお、印字試験結果は実施例1と同様であった。
【0053】
比較例4
実施例6でカーボンブラックとして#3350Bを用いる代わりに、Color Black FW1(カーボンブラック、商品名、デグッサ社製品、特開平4−210373号記載のもの、物性値第4表参照)を用いる以外は全て同様の方法で記録液を得た。
この記録液を用いて実施例6と同様に粒度分布測定、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験、及び記録液の保存安定性試験を行った結果を第3表に示す。なお、印字試験結果は実施例6と同様であった。
【0054】
比較例5
実施例7でカーボンブラックとしてVULCAN XC72Rを用いる代わりに、Color Black S170(カーボンブラック、商品名、デグッサ社製品、特開平4−210373号記載のもの、物性値第4表参照)を用いる以外は全て同様の方法で記録液を得た。
この記録液を用いて実施例6と同様に粒度分布測定、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験、及び記録液の保存安定性試験を行った結果を第3表に示す。なお、印字試験結果は実施例6と同様であった。
【0055】
比較例6
実施例6でカーボンブラックとして#3350Bを用いる代わりにMCF88(カーボンブラック、商品名、三菱化学(株)製品、物性値第4表参照)を用いる以外は全て同様の方法で記録液を得た。
この記録液を用いて実施例5と同様に粒度分布測定、印字試験、印字濃度評価、耐水性試験、耐光性試験、及び記録液の保存安定性試験を行った結果を第3表に示す。なお、印字試験結果は実施例6と同様であった。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
上記第4表中、
粒子径=一次粒子径(nm)
FC:Furnace Carbon Black
CC:Channel Carbon Black
をそれぞれ表す。
【0060】
【発明の効果】
本発明の記録液を用いることにより、普通紙に記録した場合にも耐水性が良好で、記録濃度が高く、印字品位、耐光性など耐水性以外の堅牢性も良好な黒色の記録物を得ることが可能であり、記録液の吐出安定性も良好である。本発明は上記の特性を有するのでインクジェット用及び筆記具用に止まらず、他の用途の記録液として使用する事も出来る。
【0061】
本発明の記録液は、特にインクジェット記録用に使用するのが好ましい。該インクジェット記録方法としては、電気エネルギーを利用したもの、熱エネルギーを利用したものなど特に限定されず何れにおいても好ましく使用できる。中でも、加熱型のインクジェットプリンターにおいて、加熱手段である電極板上の不純物の析出(コゲーション)などが極めて少ない等、吐出耐久性に優れているので有利である。
Claims (5)
- 水性媒体、及び下記物性を有するカーボンブラックを含有することを特徴とする記録液。
カーボンブラック物性
■DBP吸油量:140ml/100g以上
■揮発分:4重量%以下
■pH:7〜14。 - カーボンブラックが更に下記物性を有することを特徴とする請求項1に記載の記録液。
カーボンブラック物性
BET比表面積:100m2 /g以上。 - カーボンブラックが更に下記物性を有することを特徴とする請求項2記載の記録液。
カーボンブラック物性
1次粒子径:24nm以下。 - カーボンブラックとしてファーネスブラックを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録液。
- 加熱型インクジェット記録用に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録液。
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