JP3906941B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気バルブ及び排気バルブを任意の時期に開閉可能なバルブ駆動機構を備え、且つ吸気、圧縮、膨張及び排気の4行程を繰り返し実施する4サイクル内燃機関に適用され、特に機関始動時の燃焼状態を制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常一般の内燃機関では、クランクシャフトの回転をベルト若しくはチェーン等のタイミング手段を介して吸気側カムシャフト及び排気側カムシャフトに伝達し、この時の吸気側カムシャフト及び排気側カムシャフトの回転により吸気バルブ及び排気バルブを開閉動作させる構成を有する。ところが、かかる構成では、スタータモータによるクランキング時において、燃料に点火しても圧縮による筒内圧が十分に上昇していないと火炎が十分に伝播せず、燃焼が緩慢となる。よって、排気バルブが開くまで燃焼が継続した後消炎し、大量の未燃燃料(未燃HC)として排出されるという問題を招く。また更に、こうした機関始動の不安定状態が続く間にも燃料噴射が継続されると、大量の燃料が壁面付着や浮遊液滴として吸気ポートやシリンダ内に残留する。そして、これら残留する燃料は、初爆後の圧縮時に気化すると共に、ブローダウンで一気に液状化して点火プラグを濡らす。これにより、プラグくすぶりに起因する点火不良が生じ、始動不能を招くおそれがあった。
【0003】
こうした実状において、上記問題を解決する一手法として、吸気バルブ及び排気バルブを任意の時期に開閉可能なバルブ駆動機構を備えた内燃機関の制御装置が提案されている(例えば、特開平2−267308号公報)。このような装置では、吸気バルブ及び排気バルブの開閉動作をカムシャフトの回転に連結して行なわせるのではなく、クランクシャフトの回転とは無関係に任意のタイミングで且つ任意のサイクルで行なわせることができるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の装置では、任意のタイミングで吸気及び排気バルブの開閉を行なわせることが可能になるものの、機関始動時におけるバルブ制御に関する開示事項はなく、機関始動時に未燃燃料(未燃HC)が外部に排出されるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、吸気及び排気バルブを任意の時期に開閉可能なバルブ駆動機構を備えた内燃機関において、機関始動時の未燃燃料の排出を抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明ではその特徴として、バルブ駆動機構に制御指令を与えて、吸気バルブ及び排気バルブの開閉動作を制御するバルブ動作制御手段と、内燃機関の筒内で燃料が完全燃焼しているか否かを判定する完全燃焼判定手段と、前記完全燃焼判定手段により不完全燃焼している旨が判定された場合、前記バルブ動作制御手段による吸気バルブ及び排気バルブの開動作を休止して圧縮及び膨張行程を繰り返し実施することによって筒内の未燃燃料の完全燃焼を促進し、その後の前記完全燃焼判定手段による完全燃焼の判定後に、前記休止した吸気バルブ及び排気バルブの通常の開動作を許容するバルブ操作手段とを備える。
【0007】
要するに、例えば内燃機関の低温始動時には燃料の燃焼が不完全燃焼状態になることがあり、この状態下で排気バルブの開閉動作を通常の行程通りに実施すると、未燃燃料(未燃HC)が排出されるおそれがあった。これに対して上記構成によれば、不完全燃焼時に吸気バルブ及び排気バルブを閉状態で維持することで、機関始動時の未燃燃料の排出を抑制することができる。
【0008】
特に、上記請求項1の発明では、不完全燃焼している旨が判定された場合、バルブ動作制御手段による吸気及び排気バルブの開動作を休止して圧縮及び膨張行程を繰り返し実施することによって筒内の未燃燃料の完全燃焼を促進し、その後の完全燃焼判定手段による完全燃焼の判定後に、上記休止した吸気バルブ及び排気バルブの通常の開動作を許容するようにしている。
また、請求項2に記載の発明では、圧縮及び膨張行程を繰り返し実施する際に、燃料の点火をその都度実施させるようにしている。
【0009】
上記請求項1,2の発明によれば、通常の「吸気+圧縮+膨張+排気」の4サイクル運転に代えて、「吸気+圧縮+膨張+再圧縮+再膨張+排気」の6サイクル運転が可能となる。これにより、不完全燃焼時において未燃燃料の燃焼が繰り返され、当該未燃燃料の完全燃焼が促進されることになる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、バルブ操作手段による排気バルブの開動作休止を実施するか否かを、機関運転状態に基づいて判定し、所定の運転状態下では、前記開動作休止を実施せず、通常通りに排気バルブを開閉制御するようにしている。この場合、より具体的には、請求項4に記載したように、内燃機関の極低回転域若しくは極低温域で排気バルブの開動作休止を実施しないようにするとよい。
【0011】
つまり、機関の低温始動時において、上記のように排気バルブの開動作を休止したり、圧縮及び膨張行程を重複させて6サイクル運転を実行したりすると、未燃燃料の排出が抑制されることは既述した通りであるが、かかる制御では、内燃機関が所定の運転状態下にある場合に始動時間が長期化するという不都合を招くおそれがある。因みに、こうした不都合が生じうる機関の運転状態とは、機関回転数(クランキング時の回転数)が100rpm以下といった極低回転域にある場合や、冷却水温が0℃以下といった極低温域にある場合など、バッテリ負荷が過大になる状態(スタータ電流が低下する状態)に相当する。従って、上記の運転状態下では始動時間を短縮させることを優先すべく、6サイクル運転を禁止して通常の4サイクル運転を実施する。
【0012】
こうした構成は、多気筒内燃機関において、1気筒でも不完全燃焼気筒がある場合に、不完全燃焼気筒を優先するか、或いは完全燃焼気筒を優先するかを判断するための基準となる。このとき、不完全燃焼気筒が優先されれば未燃燃料の排出が抑制され、他方、完全燃焼気筒が優先されれば始動時間が短縮されることになる。
【0013】
さらに、請求項5に記載の発明では、完全燃焼判定手段は、スタータモータによるクランキング時の圧縮行程の所要時間と膨張行程の所要時間との大小関係に基づいて、完全燃焼であるか否かを判定する。つまり、完全燃焼時には、クランキングの回転速度が圧縮行程に比べて膨張行程で上昇するのに対し、不完全燃焼時(失火時)には圧縮行程と膨張行程とで回転速度の変化が殆どない。従って、圧縮行程に要する時間と膨張行程に要する時間とを比較すれば、容易に燃焼状態が判別できる。また、完全燃焼を判定するパラメータとしては、クランキング時におけるスタータモータに流れる電流(スタータ電流)、バッテリ電圧、筒内圧等の変化状態を用いてもよく、これらのパラメータでも容易に燃焼状態が判別できるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。なお、本実施の形態は、4気筒ガソリン噴射式4サイクルエンジンに本発明を具体化したものであって、その主要な構成としては、油圧アクチュエータにてエンジンの吸気バルブ及び排気バルブを開閉駆動させるバルブ駆動機構(カムレス式バルブ駆動機構)と、そのバルブ駆動機構の動作を制御して吸気及び排気バルブの開閉時期(バルブタイミング)を可変に調整するための電子制御装置(以下、ECUという)とを備える。エンジンの形態としては、吸気ポートに燃料を噴射供給する構成を有し、吸気側及び排気側において各々2個ずつ(気筒毎に計4個)のバルブを有する。以下に、その詳細を説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態におけるエンジン断面及びエンジン制御システムの概略を示す構成図である。図1において、エンジン1のシリンダブロック2には円筒状のシリンダ3が形成されており、同シリンダ3内には図示しないクランク軸に連結されたピストン4が図の上下方向に往復動可能に配設されている。ピストン4は、コンロッド5を介して図示しないクランクシャフトに連結されている。また、シリンダヘッド7には、ピストン上部の燃焼室6に連通する吸気ポート8と排気ポート9とが形成され、吸気ポート8には電磁駆動式のインジェクタ10が配設されている。インジェクタ10はECU50からの噴射制御信号に基づいて吸気ポート8に燃料を噴射する。
【0018】
さらに、シリンダヘッド7には、吸気バルブ11及び排気バルブ12が配設されており、これらバルブ11,12の開閉動作に伴い燃焼室6とポート8,9との間が連通又は閉塞される(断続される)。燃焼室6は、吸気バルブ11及び排気バルブ12が共に閉鎖されているときには略密閉状態になるようになっている。また、燃焼室6には、ECU50からの点火制御信号に基づいて発火する点火プラグ43が配設されている。
【0019】
バルブ駆動機構20A,20Bはシリンダヘッド7の上方に配設され、ECU50からの制御信号を受けて上記の吸気バルブ11及び排気バルブ12の開閉動作を制御する。なお、バルブ駆動機構20A,20Bの詳細な構成については、後述する。
【0020】
スタータモータ44は、エンジン1に初期回転を付与してクランキングさせるものであり、エンジン始動当初のイグニッションキー操作時にバッテリ45からの給電により回転駆動される。因みに、スタータモータ44の駆動時に流れるスタータ電流及びバッテリ電圧は随時検出され、ECU50に入力されるようになっている。
【0021】
ECU50は、各種の制御プログラムを実行するCPUや、制御データやマップ等を記憶するメモリ等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成されるものであって、水温センサ51にて検出された水温信号(Tw)、吸気温センサ52にて検出された吸気温信号(Tin)、及びクランク角センサ53にて検出されたクランク角信号(Ne)等を入力する。そして、これら入力信号に基づいて、インジェクタ10による燃料噴射の制御や点火プラグ43による点火制御を実施する。特にエンジン始動時において、ECU50は、クランキング回転数、エンジン水温、吸気温に応じて最適な燃料噴射量を算出し、吸気バルブ11の開時期に同期してインジェクタ10から燃料を噴射させる。また、クランキング回転数とバルブタイミングとから予想筒内圧を算出し、燃焼遅れを加味しつつ熱効率が最良となる時期に点火を実施する。
【0022】
またさらに、ECU50は、バルブ駆動機構20A,20Bに制御指令を出力するためのバルブ動作制御手段に相当し、上記の各種信号に基づいてバルブ駆動機構20A,20Bによる吸気バルブ11及び排気バルブ12の開閉時期を制御する。このとき、エンジン1の通常運転時には、エンジン回転数やエンジン負荷に応じて吸気及び排気バルブ11,12が開閉制御され、エンジン1の低温始動時には、クランキング期間の燃料燃焼状態に応じて吸気及び排気バルブ11,12が開閉制御されるようになっている。
【0023】
次に、図2を用いてバルブ駆動機構20A,20B並びにその周辺部の構成を説明する。但し、図2は吸気側のバルブ駆動機構20Aの構成のみを示すものであって、同図には左右一対の吸気バルブ11を示している。
【0024】
図2において、吸気バルブ11の上端にはスプリングリテーナ13が取り付けられ、同スプリングリテーナ13とシリンダヘッド7との間には、吸気バルブ11を閉弁方向(図の上方向)に付勢するためのバルブスプリング14が配設されている。左右一対の吸気バルブ11はバルブブリッジ15により一体動作可能に連結されている。バルブブリッジ15の上面には、図の上下方向に往復動するプランジャ16が連結されており、このプランジャ16が下動することにより吸気バルブ11が開弁し(図示の状態)、上動することにより吸気バルブ11が閉弁する。プランジャ16の動作はその上面に形成された油圧室17の油圧(バルブ駆動機構20Aの作動油圧)に応じて制御されるものであるが、その詳細については後述する。なお、符号18は吸気バルブ11の動作位置を微調整するための調整ねじである。
【0025】
一方、バルブ駆動機構20Aにおいて、シリンダヘッド7の一部に固定されるハウジング21には、図の左右方向に延びる円形孔部22が形成されており、同孔部22にはスプール型方向制御弁(以下、方向制御弁という)23が配設されている。方向制御弁23は大別して、円筒状のスリーブ24と、同スリーブ24内を図の左右方向に摺動するスプール25とから構成され、スリーブ24は円形孔部22の開口部近傍に螺着された蓋体33により固定されている。スリーブ24の外周面には、油圧ポート26a,26b,26cが環状に形成され、これら油圧ポート26a,26b,26cはそれぞれ複数箇所に設けられた連通路27a,27b,27cを介してスリーブ内周面に連通している。
【0026】
また、ハウジング21には、油圧ポンプ41から給送される高圧油を方向制御弁23に吸入するための吸入ポート28と、方向制御弁23からドレンタンク42に高圧油を排出するための排出ポート29とが設けられている。ここで、油圧ポンプ41はドレンタンク42から作動油を汲み上げ約12MPaに高圧化して方向制御弁23に給送する。なお、吸入ポート28は通路30を介して前記油圧ポート26aに連通され、排出ポート29は通路31を介して前記油圧ポート26cに連通されている。また、前記油圧室17は通路32を介して前記油圧ポート26bに連通されている。
【0027】
ハウジング21内部にはハウジング室35が形成され、同ハウジング室35内にはその内周面を摺動するピストン36が配設されている。ピストン36内には、電圧の印加に伴い伸長するピエゾスタック37が配設されている。このピエゾスタック37は、圧電素子としての多数のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を積層して構成されるものであって、その一端には一対の電極38a,38bが取り付けられている。電極38a,38bには、ECU50からの制御指令に基づいてドライバ55を介して所定の電圧が印加される。一方、ピストン36の左側に配設された皿ばね39はピエゾスタック37に収縮方向の力を付与している。なお、図2はピエゾスタック37に電圧を印加した状態を示すものであって、同ピエゾスタック37が伸長してピストン36が図の左方向に移動した状態を示している。
【0028】
次に、バルブ駆動機構20Aの作動を図3に従って説明する。ここで、図3(a)はピエゾスタック37に電圧を印加した状態を示している。つまり、電圧が印加されるとピエゾスタック37が伸長してピストン36は皿ばね39のばね力に抗して図の左方向に移動し、これによりスプール25は左方向に押し込まれる。このとき、吸入ポート28に吸入された高圧油は図中の破線矢印の如く流通して油圧室17内に供給され、吸気バルブ11が開弁状態となる。
【0029】
また、図3(b)はピエゾスタック37に電圧を印加していない状態を示している。つまり、ピエゾスタック37への電圧印加を解除した状態では、ピストン36は皿ばね39のばね力により図の右方向に付勢されているため、スプール25は右方向に引き寄せられる。このとき、油圧室17内の作動油は図中の破線矢印の如く流通して排出ポート29へ排出され(ドレンタンク42に戻される)、吸気バルブ11が閉弁状態となる。なお上述した電圧印加の動作は、ECU50による制御信号に基づいて制御されるようになっている。
【0030】
このように本実施の形態のバルブ駆動機構20Aでは、プランジャ16と油圧室17とにより吸気バルブ11を駆動する油圧シリンダが構成され、この油圧シリンダへの油圧供給を断続する油圧制御弁が油圧ポンプ41及び方向制御弁23により構成されている。そして、このような構成を用いることにより、吸気バルブ11の開閉時期を自由に制御することができ、エンジン1の吸気特性を変化させることができる。また、吸気バルブ11の閉弁時期を変えることなく同バルブ11の開弁時期だけを変えることもできるようになる(逆に、閉弁時期だけを変えることも可)。
【0031】
因みに、排気側のバルブ駆動機構20Bについては図示及びその詳細な説明を省略するが、それは上述した吸気側のバルブ駆動機構20Aと略同様の構成を有するものであり、排気バルブ12もやはりECU50によるバルブ駆動機構20Bの制御に基づいて開閉されるようになっている。
【0032】
次に、本実施の形態における作用を説明する。ここで本実施の形態では、エンジン1の低温始動時にその時々の運転状態に応じて吸気及び排気バルブ11,12の開閉動作を制御することを特徴としており、その概要を図6〜図8を用いて説明する。図6〜図8の各図において、横軸に示すBDCはエンジン1のピストン下死点、TDCはピストン上死点を示し、縦軸はバルブリフト量を示している。
【0033】
図6は、通常モードでのエンジン1の運転動作を、「排気」、「吸気」、「圧縮」、「膨張」の各行程に対応させて示すタイムチャートである。同図に示すように、排気バルブ12は排気行程のBDC直前からTDC直後までの期間で開放され、吸気バルブ11は吸気行程のTDC直前からBDC直後までの期間で開放される。また、インジェクタ10による燃料噴射は吸気行程の初期に実施され、その噴射燃料は圧縮TDC直前にて点火プラグ43により点火されるようになっている。つまり、図6に示す通常モードでは、エンジン1の4サイクル運転に応じて吸気及び排気バルブ11,12の開閉動作が制御されると共に、燃料噴射並びに点火動作が制御される(以下、この通常モードを「4サイクル運転モード」とも言う)。なお、本実施の形態のバルブリフト動作は、油圧式のバルブ駆動機構20A,20Bにより実現されるものであるが、それはカムシャフトの回転に伴いリフト動作するカム駆動式のプロフィールに略一致する。
【0034】
また図7では、前記図6の通常モード(4サイクル運転モード)と比較して、圧縮及び膨張行程が2回分繰り返し実行されている。つまりこれは、燃料噴射後において圧縮及び膨張行程の後の吸気及び排気行程(吸気及び排気バルブ11,12の開動作)が1回分、休止されることを意味し、全体として「排気→吸気→圧縮→膨張→圧縮→膨張」の6サイクル運転が実施されている(これを、「6サイクル運転モード」という)。この場合、1回の燃料噴射に対し、圧縮及び膨張行程が2回繰り返されると共に、クランク角1080度内の2回の圧縮TDC付近でその都度点火が実施されることにより、筒内燃料の完全燃焼が促進されることになる。
【0035】
さらに図8では、4サイクル運転が実施されることは前記図6の通常モードと同様であるが、吸気バルブ11の開時期をTDCよりも遅らせている点が前記図6と相違している(但し、排気バルブ12の開閉時期は通常通り)。この場合、筒内が負圧状態になってから吸気バルブ11を開くことにより、吸入空気の流速が高められその吸気流で燃料噴霧が筒内(燃焼室6内)に導かれる。これにより、インジェクタ10による噴射燃料の微粒化が促進されることになる。以下の記載では、こうした運転モードを「燃料微粒化モード」という。
【0036】
図4は、本実施の形態におけるエンジン始動時のバルブ制御ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチンはイグニッションキーのON操作に伴いECU50により起動される。
【0037】
図4において、ECU50は、先ずステップ101で始動完了フラグXF1に「1」がセットされているか否かを判別する。この始動完了フラグXF1は、本ルーチンの起動に伴い「0」に初期化され、下記の始動完了条件が成立した場合に「1」にセットされるようになっている。すなわち、ステップ102では、クランク角センサ53により検出されたエンジン回転数Neが所定回転数(本実施の形態では、400rpm)以上であるか否かを判別し、続くステップ103では、水温センサ51により検出されたエンジン水温Twが所定温度(本実施の形態では、40℃)以上であるか否かを判別する。そして、ステップ102,103(始動完了条件)のいずれかが成立すれば、ECU50は、エンジン1が暖機されて始動が完了したとみなし、ステップ104で始動完了フラグXF1に「1」をセットする。こうしてフラグXF1がセットされた場合、吸気及び排気バルブ11,12が後述する低温始動時のバルブ制御により駆動されることはなく、通常運転時の周知のバルブ制御にて駆動されることになる(例えば、エンジン回転数Neやエンジン負荷に基づいて吸気及び排気バルブ11,12が制御される)。
【0038】
一方、始動完了前であって(XF1=0)、前記ステップ102,103がいずれも不成立であれば(Ne<400rpmで、且つTw<40℃の場合)、ECU50はステップ105に進み、エンジン回転数Neが所定回転数(本実施の形態では、60rpm)以上であるか否かを判別する。このとき、冬場等のエンジン冷間時やバッテリ45の電圧低下時には、ステップ105が否定判別され(Ne<60rpm)、ECU50はステップ106に進む。
【0039】
ECU50は、ステップ106で上述した燃料微粒化モードに従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図8参照)。すなわち、吸気バルブ11の開時期が遅延側に制御され、インジェクタ10による噴射燃料の微粒化が促進されるようになる。また、ECU50は、続くステップ107で4サイクル運転フラグXF2に「1」をセットする。この4サイクル運転フラグXF2は、エンジン1が「4サイクル運転」又は「6サイクル運転」のいずれで運転されているかを識別するものであって、XF2=1の場合には、4サイクル運転が実施されているとして図示しない制御プログラムに基づきクランク角720度内に1回ずつ燃料噴射と点火とが実行され、XF2=0の場合には、6サイクル運転が実施されているとしてクランク角1080度内に1回の燃料噴射と2回の点火とが実行されるようになっている(前記図6〜図8参照)。上記ステップ106,107の処理は、Ne≧60rpmとなりステップ105が肯定判別されるまで繰り返し実行される。
【0040】
前記ステップ105が肯定判別されると、ECU50は図5のステップ108に進み、吸気及び排気バルブ11,12の開動作を休止するための条件(バルブ休止条件)が成立しているか否かを判別する。ここで、バルブ休止条件とは、例えば図9に示すマップにより判定されるものであり、その時のエンジン状態が同図中の許可域(図の斜線領域)にあれば吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止が許容され、上記許可域以外の禁止域にあれば吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止が禁止される。
【0041】
ステップ108が否定判別された場合、ECU50はステップ109に進み、上述した通常モード(4サイクル運転モード)に従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図6参照)。また、ECU50は、続くステップ110で4サイクル運転フラグXF2に「1」をセットし、その後図4のステップ101に戻る。つまり、前記図9に示すようなエンジン1の低回転条件下や低温度条件下(図の斜線域以外の領域)では、燃焼を促進させて迅速な暖機が要望される。そのためかかる場合には、6サイクル運転モードでのバルブ制御よりも、4サイクル運転モードでのバルブ制御が優先されることになる。
【0042】
一方、前記ステップ108が肯定判別された場合、ECU50は、ステップ111で圧縮行程に要した時間(以下、圧縮時間t1とする)を読み込むと共に、続くステップ112で膨張行程に要した時間(以下、膨張時間t2とする)を読み込む。これら圧縮時間t1及び膨張時間t2は、クランク角センサ53による検出結果に基づき算出されるようになっている。
【0043】
さらに、ECU50は、ステップ113で前記読み込んだ圧縮時間t1と膨張時間t2との時間比(t1/t2)を算出し、続くステップ114で時間比(t1/t2)に基づきその時の燃焼が完全燃焼状態であるか否かを判別する。この場合、図10(a),(b)に示すように、完全燃焼状態であれば圧縮時間t1に対して膨張時間t2が短くなり(t1/t2>1)、不完全燃焼状態であれば圧縮時間t1と膨張時間t2とが略一致する(t1/t2≒1)。従って、ECU50は、t1/t2>1であれば完全燃焼状態とみなし、t1/t2≒1であれば不完全燃焼状態とみなす。なおここで、単に圧縮時間t1と膨張時間t2との大小関係により完全燃焼か否かを判別するようにしてもよい。
【0044】
ステップ114で完全燃焼状態である旨が判別された場合、ECU50はステップ109に進み、上述した通常モード(4サイクル運転モード)に従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図6参照)。また、ECU50は、続くステップ110で4サイクル運転フラグXF2に「1」をセットし、その後図4のステップ101に戻る。
【0045】
また、ステップ114で不完全燃焼状態である旨が判別された場合、ECU50はステップ115に進み、上述した6サイクル運転モードに従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図7参照)。また、ECU50は、続くステップ116で4サイクル運転フラグXF2を「0」にクリアし、その後図4のステップ101に戻る。
【0046】
なお本実施の形態では、上記図5のステップ111〜114の処理が請求項記載の完全燃焼判定手段に相当し、ステップ115の処理がバルブ操作手段に相当する。
【0047】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(a)本実施の形態では、エンジン1の筒内(燃焼室6内)で燃料が完全燃焼しているか否かを判定し、不完全燃焼している旨が判定された場合、吸気及び排気バルブ11,12の開動作を一定期間内で休止させ、完全燃焼の判定後に通常通りの吸気及び排気バルブ11,12の開動作を許容するようにした。要するに、例えばエンジン1の低温始動時には不完全燃焼状態になることがあり、この状態下で吸気及び排気バルブ11,12の開閉動作を通常の行程通りに実施すると、未燃燃料(HC)が排出されるおそれがある。しかし本構成によれば、不完全燃焼時に吸気及び排気バルブ11,12を閉状態で維持することで、エンジン始動時の未燃燃料の排出を抑制することができる。
【0048】
(b)また、不完全燃焼している旨が判定された場合、吸気及び排気バルブ11,12の開動作を休止させ、圧縮及び膨張行程を重複して実施すると共に、燃料の点火をその都度実施させるようにした。本構成によれば、通常の「吸気+圧縮+膨張+排気」の4サイクル運転に代えて、「吸気+圧縮+膨張+再圧縮+再膨張+排気」の6サイクル運転が可能となる。これにより、不完全燃焼時において未燃燃料の燃焼が繰り返され、当該未燃燃料の完全燃焼が促進されることになる。
【0049】
(c)フラグ操作(4サイクル運転フラグXF2の操作)により、バルブ系、燃料噴射系及び点火系を関連付けて制御するようにしたため、これら各制御が総合的に実施できるようになる。
【0050】
(d)吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止を実施するか否かを、エンジン運転状態に基づいて判定し(前記図5のステップ108)、所定の運転状態下では、前記開動作休止を実施せず、通常通りに吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御するようにした。すなわち、6サイクル運転を禁止して通常の4サイクル運転を実施するようにした。より具体的には、エンジン1の極低回転域若しくは極低温域では、吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止を実施しないようにした(前記図9のマップ)。この場合、バッテリ負荷が過大になる状態(スタータ電流が低下する状態)において、未燃燃料の排出抑制よりも始動時間の短縮化を優先させることができる。
【0051】
(e)さらに、スタータモータ44によるクランキング時の圧縮行程の所要時間と膨張行程の所要時間との大小関係に基づいて、完全燃焼であるか否かを判定するようにした。この場合、燃焼状態が容易に判別できるようになる。
【0052】
(f)吸気バルブ11の開時期を通常時期よりも遅延させるようにした(前記図4のステップ106)。つまり、未燃燃料の排出をより一層抑制するには、エンジン始動性を向上させる必要もある。そこで、吸気バルブ11の開時期の制御によりインジェクタ10による噴射燃料の微粒化を図るようにした。この場合、上記した未燃燃料の排出抑制を図ると共に、エンジン始動性の向上をも実現させることができる。
【0053】
なお、本発明の実施の形態は、上記以外に次の形態にて実現できる。
上記実施の形態では、エンジン低温始動時の不完全燃焼に際し、吸気側及び排気側の両バルブ11,12の開動作を休止させるよう制御していたが、この構成を変更してもよい。つまり、少なくとも排気バルブ12の開動作のみを休止させれば、未燃燃料の排出が抑制できるといった効果が得られるようになる。
【0054】
上記実施の形態では、エンジン低温始動時の不完全燃焼に際し、圧縮及び膨張行程(及び点火)を1回ずつ余分に実施し、エンジン1の6サイクル運転を実現するようにしていたが、圧縮及び膨張行程(及び点火)を2回ずつ余分に実施し、エンジン1の8サイクル運転を実現するようにしてもよい(吸気+圧縮+膨張+再圧縮+再膨張+再々圧縮+再々膨張+排気という行程を実施させる)。また、エンジン運転状態に応じて、これら6サイクル運転と8サイクル運転とを選択的に実施するようにしてもよい。要は、筒内の未燃燃料の排出を抑制し、且つ同未燃燃料の燃焼を促進させるよう、吸気及び排気行程を一定期間内で休止させる構成であればよい。
【0055】
多気筒エンジン(例えば、上記実施の形態のような4気筒エンジン)において、1気筒でも不完全燃焼気筒がある場合に、不完全燃焼気筒を優先するか、或いは完全燃焼気筒を優先するかを判断し、不完全燃焼気筒を優先するのであれば6サイクル運転を実施し、完全燃焼気筒を優先するのであれば4サイクル運転を実施するようにしてもよい。このとき、不完全燃焼気筒が優先されれば未燃燃料の排出が抑制され、他方、完全燃焼気筒が優先されれば始動時間が短縮されることになる。
【0056】
上記実施の形態で開示した燃料微粒化モードでのバルブ制御について、次の図11又は図12に示す形態のように具体化してもよい。
・エンジン1の低温始動時において、図11に示すように、排気バルブ12の閉時期を通常時期よりも進め、排気バルブ12の閉動作後、筒内(燃焼室6内)を圧縮してから吸気バルブ11を開動作させる。この場合、筒内の吸入ガスが吸気ポート8に吹き返され、燃料噴霧が微粒化される。
・スタータモータ44によるクランキング開始後において、図12に示すように、吸気バルブ11を先に開動作させてから排気バルブ12を開動作させる。この場合、吸気バルブ11の開動作初期には筒内圧力>吸気管圧力となるため、筒内の吸入ガスが吸気ポート8に吹き返され、この時期に同期して燃料を噴射すれば燃料噴霧が微粒化される。特にかかる場合には、クランキング回転数、吸気温、エンジン水温(シリンダ壁温)、バッテリ電圧等を考慮して最も未燃燃料の排出量が少なく、且つ始動に要する時間が短かくてすむクランキング回転数に達するまで排気バルブ12を開かずに、先に吸気バルブ11を動かすと同時に燃料噴射を開始する。そして、「圧縮→点火→爆発」をクランキング回転数の変化幅から検知し、爆発が行なわれた場合のみ排気バルブ12を開く。また、爆発が不十分な時は、排気バルブ12を開かずに再圧縮して点火し、それにより燃焼を完全に終了させるようにするとよい。
【0057】
またここで、前記図4におけるステップ105のエンジン回転数Neの判別処理を廃止し、エンジン1の低温始動時には、常に燃料微粒化モードでのバルブ制御を実施するようにしてもよい。この場合、燃料微粒化モードでのバルブ制御と、6サイクル運転モードでのバルブ制御とが組み合わされて実施されるようになる。他方で、上記の燃料微粒化のための処理を一切実施しないようにして具体化することも可能あり、かかる場合にも吸気及び排気バルブ11,12の開動作を休止させる等の処理を実行することで、未燃燃料の排出が抑制できる。
【0058】
また、不完全燃焼時には、排気バルブ12の開時期を遅らせて、燃焼が完全に終了してから排気を行うようにしてもよい。つまり、膨張行程で燃焼が緩慢に続いている時に排気バルブ12を開くと、筒内圧力が急激に低下し、それにより消炎して大量の未燃ガスが排出されるおそれがあるが、排気バルブ12の開時期を遅らせることで上記の不具合が防止できる。
【0059】
またさらに、スタータモータ44によるクランキング時の回転数を検出し、該検出されるクランキング時の回転数が所定回転域に達するまでは、排気及び吸気バルブ11,12の開閉動作を休止させる(例えば、両バルブを共に開又は閉状態とする)。この場合、クランキング回転数が上昇するまで吸気及び排気バルブ11,12を開閉動作させないことにより、ポンプ損失が低減され、スタータモータ44の負荷が低減できる。このとき、燃料噴射と点火も停止させておく。そして、圧縮圧力が十分になるクランキング回転数まで上昇してから、排気バルブ12、吸気バルブ12の順に開閉動作を実施すればよい。
【0060】
上記実施の形態では、前記図4,5のバルブ制御ルーチンにおいて、圧縮時間t1と膨張時間t2との時間比を用いてエンジン1が完全燃焼しているか否かを判別していたが、この構成を変更してもよい。つまり、図10(a),(b)に示すように、完全燃焼時と不完全燃焼時とを比較すれば、スタータ電流のピーク値が相違しており、完全燃焼時にはスタータ電流のピーク値が徐々に減少するのに対し、不完全燃焼時にはスタータ電流のピーク値が略一定値に保持される。従って、スタータ電流のピーク値に基づいて完全燃焼状態を判別することが可能となる。
【0061】
また、完全燃焼を判定するパラメータとしては、クランキング時におけるスタータモータ44に流れる電流(スタータ電流)、バッテリ電圧、筒内圧等の変化状態を用いてもよく、これらのパラメータでも容易に燃焼状態が判別できる。つまり、図13に示すように、クランキング当初の不完全燃焼から完全燃焼に移行すると、クランキング回転数が上昇してスタータモータ44の負荷が軽減され、スタータ電流が低下する。また、スタータモータ44の負荷軽減により、バッテリ45の電力消費量が低下してバッテリ電圧が上昇する。従って、これらスタータ電流やバッテリ電圧の変化から完全燃焼に至ったか否かを判別することができるようになる。さらに、図示は省略するが、完全燃焼時と不完全燃焼時とについて筒内圧を比較すれば、前者の筒内圧の方が高いため、このパラメータ(筒内圧)によっても燃焼状態の判別が可能となる。
【0062】
上記実施の形態では、吸気及び排気バルブ11,12を開閉動作させるアクチュエータとして、油圧駆動式のバルブ駆動機構20A,20Bを開示したが、これに代えて、空気圧駆動式或いは電磁駆動式のバルブ駆動機構を用いるようにしてもよい。
【0063】
また、本発明の制御装置を、ディーゼルエンジンに適用してもよく、かかる場合にも、当該エンジンからの未燃燃料の排出が抑制されるといった効果が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。
【図2】バルブ駆動機構並びにその周辺部の構成を示す断面図。
【図3】方向制御弁の動作を説明するための断面図。
【図4】バルブ制御ルーチンを示すフローチャート。
【図5】図4に続き、バルブ制御ルーチンを示すフローチャート。
【図6】通常モード(4サイクル運転モード)でのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図7】6サイクル運転モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図8】燃料微粒化モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図9】バルブ開動作休止の許可域を示すマップ。
【図10】完全燃焼時と不完全燃焼時とについて、圧縮及び膨張行程の所要時間の違いと、スタータ電流波形の違いとを示すタイムチャート。
【図11】燃料微粒化モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図12】燃料微粒化モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図13】エンジン始動時におけるスタータ電流、バッテリ電圧、エンジン回転数及び吸入空気量の推移を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、10…インジェクタ、11…吸気バルブ、12…排気バルブ、20A,20B…バルブ駆動機構、43…点火プラグ、44…スタータモータ、45…バッテリ、50…バルブ動作制御手段,完全燃焼判定手段,バルブ操作手段を構成するECU(電子制御装置)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気バルブ及び排気バルブを任意の時期に開閉可能なバルブ駆動機構を備え、且つ吸気、圧縮、膨張及び排気の4行程を繰り返し実施する4サイクル内燃機関に適用され、特に機関始動時の燃焼状態を制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常一般の内燃機関では、クランクシャフトの回転をベルト若しくはチェーン等のタイミング手段を介して吸気側カムシャフト及び排気側カムシャフトに伝達し、この時の吸気側カムシャフト及び排気側カムシャフトの回転により吸気バルブ及び排気バルブを開閉動作させる構成を有する。ところが、かかる構成では、スタータモータによるクランキング時において、燃料に点火しても圧縮による筒内圧が十分に上昇していないと火炎が十分に伝播せず、燃焼が緩慢となる。よって、排気バルブが開くまで燃焼が継続した後消炎し、大量の未燃燃料(未燃HC)として排出されるという問題を招く。また更に、こうした機関始動の不安定状態が続く間にも燃料噴射が継続されると、大量の燃料が壁面付着や浮遊液滴として吸気ポートやシリンダ内に残留する。そして、これら残留する燃料は、初爆後の圧縮時に気化すると共に、ブローダウンで一気に液状化して点火プラグを濡らす。これにより、プラグくすぶりに起因する点火不良が生じ、始動不能を招くおそれがあった。
【0003】
こうした実状において、上記問題を解決する一手法として、吸気バルブ及び排気バルブを任意の時期に開閉可能なバルブ駆動機構を備えた内燃機関の制御装置が提案されている(例えば、特開平2−267308号公報)。このような装置では、吸気バルブ及び排気バルブの開閉動作をカムシャフトの回転に連結して行なわせるのではなく、クランクシャフトの回転とは無関係に任意のタイミングで且つ任意のサイクルで行なわせることができるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の装置では、任意のタイミングで吸気及び排気バルブの開閉を行なわせることが可能になるものの、機関始動時におけるバルブ制御に関する開示事項はなく、機関始動時に未燃燃料(未燃HC)が外部に排出されるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、吸気及び排気バルブを任意の時期に開閉可能なバルブ駆動機構を備えた内燃機関において、機関始動時の未燃燃料の排出を抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明ではその特徴として、バルブ駆動機構に制御指令を与えて、吸気バルブ及び排気バルブの開閉動作を制御するバルブ動作制御手段と、内燃機関の筒内で燃料が完全燃焼しているか否かを判定する完全燃焼判定手段と、前記完全燃焼判定手段により不完全燃焼している旨が判定された場合、前記バルブ動作制御手段による吸気バルブ及び排気バルブの開動作を休止して圧縮及び膨張行程を繰り返し実施することによって筒内の未燃燃料の完全燃焼を促進し、その後の前記完全燃焼判定手段による完全燃焼の判定後に、前記休止した吸気バルブ及び排気バルブの通常の開動作を許容するバルブ操作手段とを備える。
【0007】
要するに、例えば内燃機関の低温始動時には燃料の燃焼が不完全燃焼状態になることがあり、この状態下で排気バルブの開閉動作を通常の行程通りに実施すると、未燃燃料(未燃HC)が排出されるおそれがあった。これに対して上記構成によれば、不完全燃焼時に吸気バルブ及び排気バルブを閉状態で維持することで、機関始動時の未燃燃料の排出を抑制することができる。
【0008】
特に、上記請求項1の発明では、不完全燃焼している旨が判定された場合、バルブ動作制御手段による吸気及び排気バルブの開動作を休止して圧縮及び膨張行程を繰り返し実施することによって筒内の未燃燃料の完全燃焼を促進し、その後の完全燃焼判定手段による完全燃焼の判定後に、上記休止した吸気バルブ及び排気バルブの通常の開動作を許容するようにしている。
また、請求項2に記載の発明では、圧縮及び膨張行程を繰り返し実施する際に、燃料の点火をその都度実施させるようにしている。
【0009】
上記請求項1,2の発明によれば、通常の「吸気+圧縮+膨張+排気」の4サイクル運転に代えて、「吸気+圧縮+膨張+再圧縮+再膨張+排気」の6サイクル運転が可能となる。これにより、不完全燃焼時において未燃燃料の燃焼が繰り返され、当該未燃燃料の完全燃焼が促進されることになる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、バルブ操作手段による排気バルブの開動作休止を実施するか否かを、機関運転状態に基づいて判定し、所定の運転状態下では、前記開動作休止を実施せず、通常通りに排気バルブを開閉制御するようにしている。この場合、より具体的には、請求項4に記載したように、内燃機関の極低回転域若しくは極低温域で排気バルブの開動作休止を実施しないようにするとよい。
【0011】
つまり、機関の低温始動時において、上記のように排気バルブの開動作を休止したり、圧縮及び膨張行程を重複させて6サイクル運転を実行したりすると、未燃燃料の排出が抑制されることは既述した通りであるが、かかる制御では、内燃機関が所定の運転状態下にある場合に始動時間が長期化するという不都合を招くおそれがある。因みに、こうした不都合が生じうる機関の運転状態とは、機関回転数(クランキング時の回転数)が100rpm以下といった極低回転域にある場合や、冷却水温が0℃以下といった極低温域にある場合など、バッテリ負荷が過大になる状態(スタータ電流が低下する状態)に相当する。従って、上記の運転状態下では始動時間を短縮させることを優先すべく、6サイクル運転を禁止して通常の4サイクル運転を実施する。
【0012】
こうした構成は、多気筒内燃機関において、1気筒でも不完全燃焼気筒がある場合に、不完全燃焼気筒を優先するか、或いは完全燃焼気筒を優先するかを判断するための基準となる。このとき、不完全燃焼気筒が優先されれば未燃燃料の排出が抑制され、他方、完全燃焼気筒が優先されれば始動時間が短縮されることになる。
【0013】
さらに、請求項5に記載の発明では、完全燃焼判定手段は、スタータモータによるクランキング時の圧縮行程の所要時間と膨張行程の所要時間との大小関係に基づいて、完全燃焼であるか否かを判定する。つまり、完全燃焼時には、クランキングの回転速度が圧縮行程に比べて膨張行程で上昇するのに対し、不完全燃焼時(失火時)には圧縮行程と膨張行程とで回転速度の変化が殆どない。従って、圧縮行程に要する時間と膨張行程に要する時間とを比較すれば、容易に燃焼状態が判別できる。また、完全燃焼を判定するパラメータとしては、クランキング時におけるスタータモータに流れる電流(スタータ電流)、バッテリ電圧、筒内圧等の変化状態を用いてもよく、これらのパラメータでも容易に燃焼状態が判別できるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。なお、本実施の形態は、4気筒ガソリン噴射式4サイクルエンジンに本発明を具体化したものであって、その主要な構成としては、油圧アクチュエータにてエンジンの吸気バルブ及び排気バルブを開閉駆動させるバルブ駆動機構(カムレス式バルブ駆動機構)と、そのバルブ駆動機構の動作を制御して吸気及び排気バルブの開閉時期(バルブタイミング)を可変に調整するための電子制御装置(以下、ECUという)とを備える。エンジンの形態としては、吸気ポートに燃料を噴射供給する構成を有し、吸気側及び排気側において各々2個ずつ(気筒毎に計4個)のバルブを有する。以下に、その詳細を説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態におけるエンジン断面及びエンジン制御システムの概略を示す構成図である。図1において、エンジン1のシリンダブロック2には円筒状のシリンダ3が形成されており、同シリンダ3内には図示しないクランク軸に連結されたピストン4が図の上下方向に往復動可能に配設されている。ピストン4は、コンロッド5を介して図示しないクランクシャフトに連結されている。また、シリンダヘッド7には、ピストン上部の燃焼室6に連通する吸気ポート8と排気ポート9とが形成され、吸気ポート8には電磁駆動式のインジェクタ10が配設されている。インジェクタ10はECU50からの噴射制御信号に基づいて吸気ポート8に燃料を噴射する。
【0018】
さらに、シリンダヘッド7には、吸気バルブ11及び排気バルブ12が配設されており、これらバルブ11,12の開閉動作に伴い燃焼室6とポート8,9との間が連通又は閉塞される(断続される)。燃焼室6は、吸気バルブ11及び排気バルブ12が共に閉鎖されているときには略密閉状態になるようになっている。また、燃焼室6には、ECU50からの点火制御信号に基づいて発火する点火プラグ43が配設されている。
【0019】
バルブ駆動機構20A,20Bはシリンダヘッド7の上方に配設され、ECU50からの制御信号を受けて上記の吸気バルブ11及び排気バルブ12の開閉動作を制御する。なお、バルブ駆動機構20A,20Bの詳細な構成については、後述する。
【0020】
スタータモータ44は、エンジン1に初期回転を付与してクランキングさせるものであり、エンジン始動当初のイグニッションキー操作時にバッテリ45からの給電により回転駆動される。因みに、スタータモータ44の駆動時に流れるスタータ電流及びバッテリ電圧は随時検出され、ECU50に入力されるようになっている。
【0021】
ECU50は、各種の制御プログラムを実行するCPUや、制御データやマップ等を記憶するメモリ等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成されるものであって、水温センサ51にて検出された水温信号(Tw)、吸気温センサ52にて検出された吸気温信号(Tin)、及びクランク角センサ53にて検出されたクランク角信号(Ne)等を入力する。そして、これら入力信号に基づいて、インジェクタ10による燃料噴射の制御や点火プラグ43による点火制御を実施する。特にエンジン始動時において、ECU50は、クランキング回転数、エンジン水温、吸気温に応じて最適な燃料噴射量を算出し、吸気バルブ11の開時期に同期してインジェクタ10から燃料を噴射させる。また、クランキング回転数とバルブタイミングとから予想筒内圧を算出し、燃焼遅れを加味しつつ熱効率が最良となる時期に点火を実施する。
【0022】
またさらに、ECU50は、バルブ駆動機構20A,20Bに制御指令を出力するためのバルブ動作制御手段に相当し、上記の各種信号に基づいてバルブ駆動機構20A,20Bによる吸気バルブ11及び排気バルブ12の開閉時期を制御する。このとき、エンジン1の通常運転時には、エンジン回転数やエンジン負荷に応じて吸気及び排気バルブ11,12が開閉制御され、エンジン1の低温始動時には、クランキング期間の燃料燃焼状態に応じて吸気及び排気バルブ11,12が開閉制御されるようになっている。
【0023】
次に、図2を用いてバルブ駆動機構20A,20B並びにその周辺部の構成を説明する。但し、図2は吸気側のバルブ駆動機構20Aの構成のみを示すものであって、同図には左右一対の吸気バルブ11を示している。
【0024】
図2において、吸気バルブ11の上端にはスプリングリテーナ13が取り付けられ、同スプリングリテーナ13とシリンダヘッド7との間には、吸気バルブ11を閉弁方向(図の上方向)に付勢するためのバルブスプリング14が配設されている。左右一対の吸気バルブ11はバルブブリッジ15により一体動作可能に連結されている。バルブブリッジ15の上面には、図の上下方向に往復動するプランジャ16が連結されており、このプランジャ16が下動することにより吸気バルブ11が開弁し(図示の状態)、上動することにより吸気バルブ11が閉弁する。プランジャ16の動作はその上面に形成された油圧室17の油圧(バルブ駆動機構20Aの作動油圧)に応じて制御されるものであるが、その詳細については後述する。なお、符号18は吸気バルブ11の動作位置を微調整するための調整ねじである。
【0025】
一方、バルブ駆動機構20Aにおいて、シリンダヘッド7の一部に固定されるハウジング21には、図の左右方向に延びる円形孔部22が形成されており、同孔部22にはスプール型方向制御弁(以下、方向制御弁という)23が配設されている。方向制御弁23は大別して、円筒状のスリーブ24と、同スリーブ24内を図の左右方向に摺動するスプール25とから構成され、スリーブ24は円形孔部22の開口部近傍に螺着された蓋体33により固定されている。スリーブ24の外周面には、油圧ポート26a,26b,26cが環状に形成され、これら油圧ポート26a,26b,26cはそれぞれ複数箇所に設けられた連通路27a,27b,27cを介してスリーブ内周面に連通している。
【0026】
また、ハウジング21には、油圧ポンプ41から給送される高圧油を方向制御弁23に吸入するための吸入ポート28と、方向制御弁23からドレンタンク42に高圧油を排出するための排出ポート29とが設けられている。ここで、油圧ポンプ41はドレンタンク42から作動油を汲み上げ約12MPaに高圧化して方向制御弁23に給送する。なお、吸入ポート28は通路30を介して前記油圧ポート26aに連通され、排出ポート29は通路31を介して前記油圧ポート26cに連通されている。また、前記油圧室17は通路32を介して前記油圧ポート26bに連通されている。
【0027】
ハウジング21内部にはハウジング室35が形成され、同ハウジング室35内にはその内周面を摺動するピストン36が配設されている。ピストン36内には、電圧の印加に伴い伸長するピエゾスタック37が配設されている。このピエゾスタック37は、圧電素子としての多数のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を積層して構成されるものであって、その一端には一対の電極38a,38bが取り付けられている。電極38a,38bには、ECU50からの制御指令に基づいてドライバ55を介して所定の電圧が印加される。一方、ピストン36の左側に配設された皿ばね39はピエゾスタック37に収縮方向の力を付与している。なお、図2はピエゾスタック37に電圧を印加した状態を示すものであって、同ピエゾスタック37が伸長してピストン36が図の左方向に移動した状態を示している。
【0028】
次に、バルブ駆動機構20Aの作動を図3に従って説明する。ここで、図3(a)はピエゾスタック37に電圧を印加した状態を示している。つまり、電圧が印加されるとピエゾスタック37が伸長してピストン36は皿ばね39のばね力に抗して図の左方向に移動し、これによりスプール25は左方向に押し込まれる。このとき、吸入ポート28に吸入された高圧油は図中の破線矢印の如く流通して油圧室17内に供給され、吸気バルブ11が開弁状態となる。
【0029】
また、図3(b)はピエゾスタック37に電圧を印加していない状態を示している。つまり、ピエゾスタック37への電圧印加を解除した状態では、ピストン36は皿ばね39のばね力により図の右方向に付勢されているため、スプール25は右方向に引き寄せられる。このとき、油圧室17内の作動油は図中の破線矢印の如く流通して排出ポート29へ排出され(ドレンタンク42に戻される)、吸気バルブ11が閉弁状態となる。なお上述した電圧印加の動作は、ECU50による制御信号に基づいて制御されるようになっている。
【0030】
このように本実施の形態のバルブ駆動機構20Aでは、プランジャ16と油圧室17とにより吸気バルブ11を駆動する油圧シリンダが構成され、この油圧シリンダへの油圧供給を断続する油圧制御弁が油圧ポンプ41及び方向制御弁23により構成されている。そして、このような構成を用いることにより、吸気バルブ11の開閉時期を自由に制御することができ、エンジン1の吸気特性を変化させることができる。また、吸気バルブ11の閉弁時期を変えることなく同バルブ11の開弁時期だけを変えることもできるようになる(逆に、閉弁時期だけを変えることも可)。
【0031】
因みに、排気側のバルブ駆動機構20Bについては図示及びその詳細な説明を省略するが、それは上述した吸気側のバルブ駆動機構20Aと略同様の構成を有するものであり、排気バルブ12もやはりECU50によるバルブ駆動機構20Bの制御に基づいて開閉されるようになっている。
【0032】
次に、本実施の形態における作用を説明する。ここで本実施の形態では、エンジン1の低温始動時にその時々の運転状態に応じて吸気及び排気バルブ11,12の開閉動作を制御することを特徴としており、その概要を図6〜図8を用いて説明する。図6〜図8の各図において、横軸に示すBDCはエンジン1のピストン下死点、TDCはピストン上死点を示し、縦軸はバルブリフト量を示している。
【0033】
図6は、通常モードでのエンジン1の運転動作を、「排気」、「吸気」、「圧縮」、「膨張」の各行程に対応させて示すタイムチャートである。同図に示すように、排気バルブ12は排気行程のBDC直前からTDC直後までの期間で開放され、吸気バルブ11は吸気行程のTDC直前からBDC直後までの期間で開放される。また、インジェクタ10による燃料噴射は吸気行程の初期に実施され、その噴射燃料は圧縮TDC直前にて点火プラグ43により点火されるようになっている。つまり、図6に示す通常モードでは、エンジン1の4サイクル運転に応じて吸気及び排気バルブ11,12の開閉動作が制御されると共に、燃料噴射並びに点火動作が制御される(以下、この通常モードを「4サイクル運転モード」とも言う)。なお、本実施の形態のバルブリフト動作は、油圧式のバルブ駆動機構20A,20Bにより実現されるものであるが、それはカムシャフトの回転に伴いリフト動作するカム駆動式のプロフィールに略一致する。
【0034】
また図7では、前記図6の通常モード(4サイクル運転モード)と比較して、圧縮及び膨張行程が2回分繰り返し実行されている。つまりこれは、燃料噴射後において圧縮及び膨張行程の後の吸気及び排気行程(吸気及び排気バルブ11,12の開動作)が1回分、休止されることを意味し、全体として「排気→吸気→圧縮→膨張→圧縮→膨張」の6サイクル運転が実施されている(これを、「6サイクル運転モード」という)。この場合、1回の燃料噴射に対し、圧縮及び膨張行程が2回繰り返されると共に、クランク角1080度内の2回の圧縮TDC付近でその都度点火が実施されることにより、筒内燃料の完全燃焼が促進されることになる。
【0035】
さらに図8では、4サイクル運転が実施されることは前記図6の通常モードと同様であるが、吸気バルブ11の開時期をTDCよりも遅らせている点が前記図6と相違している(但し、排気バルブ12の開閉時期は通常通り)。この場合、筒内が負圧状態になってから吸気バルブ11を開くことにより、吸入空気の流速が高められその吸気流で燃料噴霧が筒内(燃焼室6内)に導かれる。これにより、インジェクタ10による噴射燃料の微粒化が促進されることになる。以下の記載では、こうした運転モードを「燃料微粒化モード」という。
【0036】
図4は、本実施の形態におけるエンジン始動時のバルブ制御ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチンはイグニッションキーのON操作に伴いECU50により起動される。
【0037】
図4において、ECU50は、先ずステップ101で始動完了フラグXF1に「1」がセットされているか否かを判別する。この始動完了フラグXF1は、本ルーチンの起動に伴い「0」に初期化され、下記の始動完了条件が成立した場合に「1」にセットされるようになっている。すなわち、ステップ102では、クランク角センサ53により検出されたエンジン回転数Neが所定回転数(本実施の形態では、400rpm)以上であるか否かを判別し、続くステップ103では、水温センサ51により検出されたエンジン水温Twが所定温度(本実施の形態では、40℃)以上であるか否かを判別する。そして、ステップ102,103(始動完了条件)のいずれかが成立すれば、ECU50は、エンジン1が暖機されて始動が完了したとみなし、ステップ104で始動完了フラグXF1に「1」をセットする。こうしてフラグXF1がセットされた場合、吸気及び排気バルブ11,12が後述する低温始動時のバルブ制御により駆動されることはなく、通常運転時の周知のバルブ制御にて駆動されることになる(例えば、エンジン回転数Neやエンジン負荷に基づいて吸気及び排気バルブ11,12が制御される)。
【0038】
一方、始動完了前であって(XF1=0)、前記ステップ102,103がいずれも不成立であれば(Ne<400rpmで、且つTw<40℃の場合)、ECU50はステップ105に進み、エンジン回転数Neが所定回転数(本実施の形態では、60rpm)以上であるか否かを判別する。このとき、冬場等のエンジン冷間時やバッテリ45の電圧低下時には、ステップ105が否定判別され(Ne<60rpm)、ECU50はステップ106に進む。
【0039】
ECU50は、ステップ106で上述した燃料微粒化モードに従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図8参照)。すなわち、吸気バルブ11の開時期が遅延側に制御され、インジェクタ10による噴射燃料の微粒化が促進されるようになる。また、ECU50は、続くステップ107で4サイクル運転フラグXF2に「1」をセットする。この4サイクル運転フラグXF2は、エンジン1が「4サイクル運転」又は「6サイクル運転」のいずれで運転されているかを識別するものであって、XF2=1の場合には、4サイクル運転が実施されているとして図示しない制御プログラムに基づきクランク角720度内に1回ずつ燃料噴射と点火とが実行され、XF2=0の場合には、6サイクル運転が実施されているとしてクランク角1080度内に1回の燃料噴射と2回の点火とが実行されるようになっている(前記図6〜図8参照)。上記ステップ106,107の処理は、Ne≧60rpmとなりステップ105が肯定判別されるまで繰り返し実行される。
【0040】
前記ステップ105が肯定判別されると、ECU50は図5のステップ108に進み、吸気及び排気バルブ11,12の開動作を休止するための条件(バルブ休止条件)が成立しているか否かを判別する。ここで、バルブ休止条件とは、例えば図9に示すマップにより判定されるものであり、その時のエンジン状態が同図中の許可域(図の斜線領域)にあれば吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止が許容され、上記許可域以外の禁止域にあれば吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止が禁止される。
【0041】
ステップ108が否定判別された場合、ECU50はステップ109に進み、上述した通常モード(4サイクル運転モード)に従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図6参照)。また、ECU50は、続くステップ110で4サイクル運転フラグXF2に「1」をセットし、その後図4のステップ101に戻る。つまり、前記図9に示すようなエンジン1の低回転条件下や低温度条件下(図の斜線域以外の領域)では、燃焼を促進させて迅速な暖機が要望される。そのためかかる場合には、6サイクル運転モードでのバルブ制御よりも、4サイクル運転モードでのバルブ制御が優先されることになる。
【0042】
一方、前記ステップ108が肯定判別された場合、ECU50は、ステップ111で圧縮行程に要した時間(以下、圧縮時間t1とする)を読み込むと共に、続くステップ112で膨張行程に要した時間(以下、膨張時間t2とする)を読み込む。これら圧縮時間t1及び膨張時間t2は、クランク角センサ53による検出結果に基づき算出されるようになっている。
【0043】
さらに、ECU50は、ステップ113で前記読み込んだ圧縮時間t1と膨張時間t2との時間比(t1/t2)を算出し、続くステップ114で時間比(t1/t2)に基づきその時の燃焼が完全燃焼状態であるか否かを判別する。この場合、図10(a),(b)に示すように、完全燃焼状態であれば圧縮時間t1に対して膨張時間t2が短くなり(t1/t2>1)、不完全燃焼状態であれば圧縮時間t1と膨張時間t2とが略一致する(t1/t2≒1)。従って、ECU50は、t1/t2>1であれば完全燃焼状態とみなし、t1/t2≒1であれば不完全燃焼状態とみなす。なおここで、単に圧縮時間t1と膨張時間t2との大小関係により完全燃焼か否かを判別するようにしてもよい。
【0044】
ステップ114で完全燃焼状態である旨が判別された場合、ECU50はステップ109に進み、上述した通常モード(4サイクル運転モード)に従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図6参照)。また、ECU50は、続くステップ110で4サイクル運転フラグXF2に「1」をセットし、その後図4のステップ101に戻る。
【0045】
また、ステップ114で不完全燃焼状態である旨が判別された場合、ECU50はステップ115に進み、上述した6サイクル運転モードに従い吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御する(前記図7参照)。また、ECU50は、続くステップ116で4サイクル運転フラグXF2を「0」にクリアし、その後図4のステップ101に戻る。
【0046】
なお本実施の形態では、上記図5のステップ111〜114の処理が請求項記載の完全燃焼判定手段に相当し、ステップ115の処理がバルブ操作手段に相当する。
【0047】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(a)本実施の形態では、エンジン1の筒内(燃焼室6内)で燃料が完全燃焼しているか否かを判定し、不完全燃焼している旨が判定された場合、吸気及び排気バルブ11,12の開動作を一定期間内で休止させ、完全燃焼の判定後に通常通りの吸気及び排気バルブ11,12の開動作を許容するようにした。要するに、例えばエンジン1の低温始動時には不完全燃焼状態になることがあり、この状態下で吸気及び排気バルブ11,12の開閉動作を通常の行程通りに実施すると、未燃燃料(HC)が排出されるおそれがある。しかし本構成によれば、不完全燃焼時に吸気及び排気バルブ11,12を閉状態で維持することで、エンジン始動時の未燃燃料の排出を抑制することができる。
【0048】
(b)また、不完全燃焼している旨が判定された場合、吸気及び排気バルブ11,12の開動作を休止させ、圧縮及び膨張行程を重複して実施すると共に、燃料の点火をその都度実施させるようにした。本構成によれば、通常の「吸気+圧縮+膨張+排気」の4サイクル運転に代えて、「吸気+圧縮+膨張+再圧縮+再膨張+排気」の6サイクル運転が可能となる。これにより、不完全燃焼時において未燃燃料の燃焼が繰り返され、当該未燃燃料の完全燃焼が促進されることになる。
【0049】
(c)フラグ操作(4サイクル運転フラグXF2の操作)により、バルブ系、燃料噴射系及び点火系を関連付けて制御するようにしたため、これら各制御が総合的に実施できるようになる。
【0050】
(d)吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止を実施するか否かを、エンジン運転状態に基づいて判定し(前記図5のステップ108)、所定の運転状態下では、前記開動作休止を実施せず、通常通りに吸気及び排気バルブ11,12を開閉制御するようにした。すなわち、6サイクル運転を禁止して通常の4サイクル運転を実施するようにした。より具体的には、エンジン1の極低回転域若しくは極低温域では、吸気及び排気バルブ11,12の開動作休止を実施しないようにした(前記図9のマップ)。この場合、バッテリ負荷が過大になる状態(スタータ電流が低下する状態)において、未燃燃料の排出抑制よりも始動時間の短縮化を優先させることができる。
【0051】
(e)さらに、スタータモータ44によるクランキング時の圧縮行程の所要時間と膨張行程の所要時間との大小関係に基づいて、完全燃焼であるか否かを判定するようにした。この場合、燃焼状態が容易に判別できるようになる。
【0052】
(f)吸気バルブ11の開時期を通常時期よりも遅延させるようにした(前記図4のステップ106)。つまり、未燃燃料の排出をより一層抑制するには、エンジン始動性を向上させる必要もある。そこで、吸気バルブ11の開時期の制御によりインジェクタ10による噴射燃料の微粒化を図るようにした。この場合、上記した未燃燃料の排出抑制を図ると共に、エンジン始動性の向上をも実現させることができる。
【0053】
なお、本発明の実施の形態は、上記以外に次の形態にて実現できる。
上記実施の形態では、エンジン低温始動時の不完全燃焼に際し、吸気側及び排気側の両バルブ11,12の開動作を休止させるよう制御していたが、この構成を変更してもよい。つまり、少なくとも排気バルブ12の開動作のみを休止させれば、未燃燃料の排出が抑制できるといった効果が得られるようになる。
【0054】
上記実施の形態では、エンジン低温始動時の不完全燃焼に際し、圧縮及び膨張行程(及び点火)を1回ずつ余分に実施し、エンジン1の6サイクル運転を実現するようにしていたが、圧縮及び膨張行程(及び点火)を2回ずつ余分に実施し、エンジン1の8サイクル運転を実現するようにしてもよい(吸気+圧縮+膨張+再圧縮+再膨張+再々圧縮+再々膨張+排気という行程を実施させる)。また、エンジン運転状態に応じて、これら6サイクル運転と8サイクル運転とを選択的に実施するようにしてもよい。要は、筒内の未燃燃料の排出を抑制し、且つ同未燃燃料の燃焼を促進させるよう、吸気及び排気行程を一定期間内で休止させる構成であればよい。
【0055】
多気筒エンジン(例えば、上記実施の形態のような4気筒エンジン)において、1気筒でも不完全燃焼気筒がある場合に、不完全燃焼気筒を優先するか、或いは完全燃焼気筒を優先するかを判断し、不完全燃焼気筒を優先するのであれば6サイクル運転を実施し、完全燃焼気筒を優先するのであれば4サイクル運転を実施するようにしてもよい。このとき、不完全燃焼気筒が優先されれば未燃燃料の排出が抑制され、他方、完全燃焼気筒が優先されれば始動時間が短縮されることになる。
【0056】
上記実施の形態で開示した燃料微粒化モードでのバルブ制御について、次の図11又は図12に示す形態のように具体化してもよい。
・エンジン1の低温始動時において、図11に示すように、排気バルブ12の閉時期を通常時期よりも進め、排気バルブ12の閉動作後、筒内(燃焼室6内)を圧縮してから吸気バルブ11を開動作させる。この場合、筒内の吸入ガスが吸気ポート8に吹き返され、燃料噴霧が微粒化される。
・スタータモータ44によるクランキング開始後において、図12に示すように、吸気バルブ11を先に開動作させてから排気バルブ12を開動作させる。この場合、吸気バルブ11の開動作初期には筒内圧力>吸気管圧力となるため、筒内の吸入ガスが吸気ポート8に吹き返され、この時期に同期して燃料を噴射すれば燃料噴霧が微粒化される。特にかかる場合には、クランキング回転数、吸気温、エンジン水温(シリンダ壁温)、バッテリ電圧等を考慮して最も未燃燃料の排出量が少なく、且つ始動に要する時間が短かくてすむクランキング回転数に達するまで排気バルブ12を開かずに、先に吸気バルブ11を動かすと同時に燃料噴射を開始する。そして、「圧縮→点火→爆発」をクランキング回転数の変化幅から検知し、爆発が行なわれた場合のみ排気バルブ12を開く。また、爆発が不十分な時は、排気バルブ12を開かずに再圧縮して点火し、それにより燃焼を完全に終了させるようにするとよい。
【0057】
またここで、前記図4におけるステップ105のエンジン回転数Neの判別処理を廃止し、エンジン1の低温始動時には、常に燃料微粒化モードでのバルブ制御を実施するようにしてもよい。この場合、燃料微粒化モードでのバルブ制御と、6サイクル運転モードでのバルブ制御とが組み合わされて実施されるようになる。他方で、上記の燃料微粒化のための処理を一切実施しないようにして具体化することも可能あり、かかる場合にも吸気及び排気バルブ11,12の開動作を休止させる等の処理を実行することで、未燃燃料の排出が抑制できる。
【0058】
また、不完全燃焼時には、排気バルブ12の開時期を遅らせて、燃焼が完全に終了してから排気を行うようにしてもよい。つまり、膨張行程で燃焼が緩慢に続いている時に排気バルブ12を開くと、筒内圧力が急激に低下し、それにより消炎して大量の未燃ガスが排出されるおそれがあるが、排気バルブ12の開時期を遅らせることで上記の不具合が防止できる。
【0059】
またさらに、スタータモータ44によるクランキング時の回転数を検出し、該検出されるクランキング時の回転数が所定回転域に達するまでは、排気及び吸気バルブ11,12の開閉動作を休止させる(例えば、両バルブを共に開又は閉状態とする)。この場合、クランキング回転数が上昇するまで吸気及び排気バルブ11,12を開閉動作させないことにより、ポンプ損失が低減され、スタータモータ44の負荷が低減できる。このとき、燃料噴射と点火も停止させておく。そして、圧縮圧力が十分になるクランキング回転数まで上昇してから、排気バルブ12、吸気バルブ12の順に開閉動作を実施すればよい。
【0060】
上記実施の形態では、前記図4,5のバルブ制御ルーチンにおいて、圧縮時間t1と膨張時間t2との時間比を用いてエンジン1が完全燃焼しているか否かを判別していたが、この構成を変更してもよい。つまり、図10(a),(b)に示すように、完全燃焼時と不完全燃焼時とを比較すれば、スタータ電流のピーク値が相違しており、完全燃焼時にはスタータ電流のピーク値が徐々に減少するのに対し、不完全燃焼時にはスタータ電流のピーク値が略一定値に保持される。従って、スタータ電流のピーク値に基づいて完全燃焼状態を判別することが可能となる。
【0061】
また、完全燃焼を判定するパラメータとしては、クランキング時におけるスタータモータ44に流れる電流(スタータ電流)、バッテリ電圧、筒内圧等の変化状態を用いてもよく、これらのパラメータでも容易に燃焼状態が判別できる。つまり、図13に示すように、クランキング当初の不完全燃焼から完全燃焼に移行すると、クランキング回転数が上昇してスタータモータ44の負荷が軽減され、スタータ電流が低下する。また、スタータモータ44の負荷軽減により、バッテリ45の電力消費量が低下してバッテリ電圧が上昇する。従って、これらスタータ電流やバッテリ電圧の変化から完全燃焼に至ったか否かを判別することができるようになる。さらに、図示は省略するが、完全燃焼時と不完全燃焼時とについて筒内圧を比較すれば、前者の筒内圧の方が高いため、このパラメータ(筒内圧)によっても燃焼状態の判別が可能となる。
【0062】
上記実施の形態では、吸気及び排気バルブ11,12を開閉動作させるアクチュエータとして、油圧駆動式のバルブ駆動機構20A,20Bを開示したが、これに代えて、空気圧駆動式或いは電磁駆動式のバルブ駆動機構を用いるようにしてもよい。
【0063】
また、本発明の制御装置を、ディーゼルエンジンに適用してもよく、かかる場合にも、当該エンジンからの未燃燃料の排出が抑制されるといった効果が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。
【図2】バルブ駆動機構並びにその周辺部の構成を示す断面図。
【図3】方向制御弁の動作を説明するための断面図。
【図4】バルブ制御ルーチンを示すフローチャート。
【図5】図4に続き、バルブ制御ルーチンを示すフローチャート。
【図6】通常モード(4サイクル運転モード)でのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図7】6サイクル運転モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図8】燃料微粒化モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図9】バルブ開動作休止の許可域を示すマップ。
【図10】完全燃焼時と不完全燃焼時とについて、圧縮及び膨張行程の所要時間の違いと、スタータ電流波形の違いとを示すタイムチャート。
【図11】燃料微粒化モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図12】燃料微粒化モードでのバルブ制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図13】エンジン始動時におけるスタータ電流、バッテリ電圧、エンジン回転数及び吸入空気量の推移を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、10…インジェクタ、11…吸気バルブ、12…排気バルブ、20A,20B…バルブ駆動機構、43…点火プラグ、44…スタータモータ、45…バッテリ、50…バルブ動作制御手段,完全燃焼判定手段,バルブ操作手段を構成するECU(電子制御装置)。
Claims (5)
- 吸気バルブ及び排気バルブを任意の時期に開閉可能なバルブ駆動機構を備える内燃機関に適用され、特に機関始動時の燃焼状態を制御する制御装置であって、
前記バルブ駆動機構に制御指令を与えて、前記吸気バルブ及び排気バルブの開閉動作を制御するバルブ動作制御手段と、
前記内燃機関の筒内で燃料が完全燃焼しているか否かを判定する完全燃焼判定手段と、
前記完全燃焼判定手段により不完全燃焼している旨が判定された場合、前記バルブ動作制御手段による吸気バルブ及び排気バルブの開動作を休止して圧縮及び膨張行程を繰り返し実施することによって筒内の未燃燃料の完全燃焼を促進し、その後の前記完全燃焼判定手段による完全燃焼の判定後に、前記休止した吸気バルブ及び排気バルブの通常の開動作を許容するバルブ操作手段と
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
圧縮及び膨張行程を繰り返し実施する際に、燃料の点火をその都度実施させるようにした内燃機関の制御装置。 - 前記バルブ操作手段による排気バルブの開動作休止を実施するか否かを、機関運転状態に基づいて判定し、所定の運転状態下では、前記開動作休止を実施せず、通常通りに排気バルブを開閉制御するようにした請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
- 請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関の極低回転域若しくは極低温域では、前記排気バルブの開動作休止を実施しないようにした内燃機関の制御装置。 - 前記完全燃焼判定手段は、スタータモータによるクランキング時の圧縮行程の所要時間と膨張行程の所要時間との大小関係に基づいて、完全燃焼であるか否かを判定するものである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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