JP3906924B2 - 絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用 - Google Patents

絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用 Download PDF

Info

Publication number
JP3906924B2
JP3906924B2 JP2003406608A JP2003406608A JP3906924B2 JP 3906924 B2 JP3906924 B2 JP 3906924B2 JP 2003406608 A JP2003406608 A JP 2003406608A JP 2003406608 A JP2003406608 A JP 2003406608A JP 3906924 B2 JP3906924 B2 JP 3906924B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
cell growth
amino acid
fibroin
silk
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003406608A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004339189A (ja
Inventor
紘三 坪内
弘生 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Agrobiological Sciences
Original Assignee
National Institute of Agrobiological Sciences
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Agrobiological Sciences filed Critical National Institute of Agrobiological Sciences
Priority to JP2003406608A priority Critical patent/JP3906924B2/ja
Publication of JP2004339189A publication Critical patent/JP2004339189A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3906924B2 publication Critical patent/JP3906924B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、絹タンパク由来の細胞生育促進性に優れたペプチド及びその製造法、並びにそのスキンケア用素材としての医薬品、医薬部外品、化粧品等の分野への利用及びバイオ素材として細胞培養基材への利用に関する。
絹糸は手術糸として古くから使われてきたことから、絹タンパクは生体適合性素材と考えられ、その特性に着目して各種分野において新しい用途の開発が、最近、盛んになされてきている。
例えば、絹糸を溶解して絹タンパク水溶液とした後に、これを凝固・乾燥・粉砕等により粉末化し、化粧用添加材として、また絹タンパク水溶液を平板上でキャスト等によりフィルム状物とし、細胞培養床や創傷被覆材およびコーティング材として、また絹タンパク水溶液をゲル状物とし、食品や化粧品として利用するための開発が進められている。
このような開発例として、例えば、開昭62−000415号公報、特公平01−044320号公報、特開平01−254164号公報、特公平06−004679号公報、特開平11−139986号公報、特開平11−276876号公報、特許第2997758号、特許第2990239号、特開平11−253155号公報、特願2002−230656号、特願2002−148849号、特開2001−163899号公報のもが挙げられる(特許文献1から12参照)。
これらの絹新素材開発の過程で、絹タンパクは細胞生育性、抗酸化性、抗菌性、アルコール消化性、抗血液凝固性等、多様な機能を有することが明らかにされた。
しかし、それらの機能が絹タンパクのどのような部位または構造に起因するかについてはまだ明らかになってはいない。
本発明者らは絹タンパクの有する細胞生育機能に注目し、繭糸または絹糸を溶解した後に、これを粉末、フィルム、ゲル等に変え、これらをスキンケア素材として創傷被覆材や化粧品、合成繊維の改質として利用するための開発と機能の研究を進めてきた(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12参照)。
その過程で、絹タンパクを構成するフィブロインのH鎖とL鎖およびセリシンのa成分にはヒト正常皮膚由来線維芽細胞を生育促進する作用のあることが分かった(例えば、特許文献13、特許文献14、特許文献15参照)。
一方、繭糸は繊維として衣服以外の分野、例えば、繭を各種加工工程を経て生糸、さらに絹織物に加工して、医療(手術用縫合糸)や化粧(パフ)等の分野で利用されているが、最近、このような繭や生糸の加工工程で絹タンパクの分子量は低下することが分かってきた。
また、繭糸や絹糸を粉末、フィルム、ゲル等に変える加工工程(特に、繭糸や絹糸の溶解工程)においても絹タンパクの分子量は低下することが分かってきた〔H.Yamadaら著:Materials Science & Engineering C,14,P.41-46(2001)〕、
〔坪内紘三、山田弘生、高須陽子:日本蚕糸学会誌、71巻、1号、P.1-5(2002) 〕( 非特許文献、非特許文献2参照) 。
このような加工により分子量の低下した絹タンパクは、電気泳動像では分子量約1から20万の間に1つのスメアーでブロードなバンドが見えるのみである。
分子量1万程度以下はほとんど透析等の工程で除外されてしまうが、実際はアミノ酸やペプチド程度にまで分子量が低下している。
分子量が低下した絹タンパクはヒト細胞生育促進性が低下し、あるいは細胞生育を阻害していることが分かった(特許文献11参照)。
つまり、未分解フィブロイン、未分解セリシンは細胞生育促進性が優れているにもかかわらず、繭加工過程の酸やアルカリ、光、熱等の処理によるペプチド結合の複雑な、または不均一な切断のため分子量低下とともに細胞生育の阻害が生じている。
したがって、絹タンパクの細胞生育促進機能を利用するためには未分解絹フィブロイン、未分解絹セリシンあるいはフィブロインのH鎖(分子量約35万)、L鎖またはセリシンa(分子量約40万)等を未分解の状態で利用することが好ましい。
しかし、これら3成分(特にH鎖やセリシンa)は分子量が非常に大きく、一定の性状で長期保存するための安定性が低い。
また、L鎖はフィブロイン中で10%以下の重量割合で含まれているに過ぎなく、量的に少ない。
さらに、これら3成分について、各成分のどの部分に細胞生育促進作用があるかを明らかにした報告は、未だなされていない。
開昭昭62−000415号公報 特公平01−044320号公報 開昭平01−254164号公報 特開平04−202435号公報 特公平06−004679号公報 特開平11−139986号公報 特開平11−276876号公報 特許第2997758号 特許第2990239号 特開平11−253155号公報 特願2002−230656号 特願2002−148849号 特開2001−163899号公報 特願2001−180169号公報 特開2002−128691号公報 H.Yamadaら著:Materials Science & Engineering C,14,P.41-46(2001) 坪内紘三、山田弘生、高須陽子:日本蚕糸学会誌、71巻、1号、P.1-5(2002) Tashiro Yutaka and Otsuki Eiichi , Journal of Cell Biology, Vol, 46, P1(1970)
フィブロインのH鎖やセリシンのa成分は細胞生育促進性に優れているが、分子量が30万以上の高分子量であり、結晶化しやすい。
これに比べてフィブロインのL鎖は分子量2. 5万であり、H鎖やa成分と比較すれば分子量は小さいが、通常のタンパクと比べれば、結晶に成りやすい性質を持っている。
また、フィブロインのH鎖とL鎖の重量比はほぼ13(H鎖) 対1(L鎖) であり、L鎖の割合は非常に少ない。
このような高分子量で結晶性のタンパクは水溶液において安定性が低い。
また、油成分等の医薬品や化粧品添加物を加えるとゲル化し易く、性状が不安定で、長期(1年以上)の貯蔵に対する安定性が低い。
一方、絹フィブロインH鎖やセリシンaより分子量が低く、細胞生育性に優れた物質としては各種細胞の増殖因子、例えば分子量1.77から1.9万の線維芽細胞増殖因子(FGF)がある。
これらは腫瘍やガン化した細胞、または急激に増殖している細胞から分泌され、その中には皮膚潰瘍治療剤として使われているものもある(フィブラストスプレー、科研薬品株式会社)が、安全性に問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。
即ち、腫瘍細胞などの異常な細胞によって産生された細胞増殖因子とは異なり、安全性に優れ、比較的低分子量で安定性にも優れ、かつ細胞生育促進性に優れたペプチドを得ることを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、絹フィブロインの特定の部位のペプチド鎖に細胞生育促進機能があることを突き止めることに成功し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は絹タンパクを構成する非結晶部のペプチド鎖から選ばれる1又は2以上のペプチド鎖の部分ペプチドを含有してなり、該部分ペプチドはアミノ酸残基数が4から40からなる特定のアミノ酸配列を有するペプチドであり、該特定のアミノ酸配列を有するペプチド鎖が、次の(1)から(8)のいずれかのアミノ酸配列を有することを特徴とする細胞生育促進性に優れたペプチド組成物に存する。
(1)A−6−2 VITTDSDGNE
(2)A−6−6 NINDFDED
(3)SfHE AASSVSSASSRSYDYSRRNVRKN
(4)SfHA GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
(5)AfH1 YGWGDGGYGSDS
(6)AfH5 DEYVDN
(7)AfH6 VETIVLEEDPYGHEDIYEED
(8)AfH7 DDGFVLDGGYDSE
更に詳しくは、家蚕の絹フィブロインのH鎖を構成するN末端部(I)、非結晶部(A)、及びC末端部(a)の各ペプチド鎖、L鎖のペプチド鎖、並びに天蚕のようなAntheraeaに属する野蚕の絹フィブロインを構成するN末端部(I)、非結晶部(A)、及びC末端部(a)の各ペプチド鎖、から選ばれる1又は2以上のペプチド鎖の部分ペプチドを含有してなり、該部分ペプチドはアミノ酸残基数が4から40からなる特定のアミノ酸配列を有するペプチドであり、該特定のアミノ酸配列を有するペプチド鎖が、上記(1)から(8)のいずれかのアミノ酸配列を有する細胞生育促進性に優れたペプチド組成物に存する。
そしてまた、()、次の(1)から(8)のいずれかのアミノ酸配列からなる細胞生育促進性に優れたペプチドに存する。
(1)A−6−2 VITTDSDGNE
(2)A−6−2 NINDFDED
(3)SfHE AASSVSSASSRSYDYSRRNVRKN
(4)SfHA GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
(5)AfH1 YGWGDGGYGSDS
(6)AfH5 DEYVDN
(7)AfH6 VETIVLEEDPYGHEDIYEED
(8)AfH7 DDGFVLDGGYDSE
そしてまた、(2)、家蚕の未分解絹タンパク又はAntheraeaに属する野蚕の未分解絹フィブロインを、加水分解した後、分子量分画により細胞生育促進性に優れた非結晶部のペプチドを分離、取得する方法に存する。
そしてまた、(3)、加水分解を希酸、ヒドロキシルアミン又は蛋白分解酵素により行うことを特徴とする上記第2の発明の細胞生育促進性に優れた非結晶部のペプチドを分離、取得する方法に存する。
そしてまた、(4)、上記(1)のペプチドを含有する試験管内で用いられる細胞増殖促進剤に存する。
そしてまた、(5)、上記(1)のペプチドを含有する試験管内で用いられる細胞接着剤に存する。
そしてまた、(6)、上記(1)のペプチドを含有する化粧料に存する。
そしてまた、(7)、上記(1)のペプチドを含有する細胞培養基材に存する。


本発明は、分子量が1 万以下、好ましくは4, 000から400の特定のアミノ酸配列を有するペプチドを、絹タンパクの非結晶部から分離、分収すると共に、それらと類似のペプチドを合成することにより、細胞生育性に優れた新規ペプチドを提供できた。
これらのペプチドを細胞接着剤、細胞増殖促進剤、創傷治癒促進剤、化粧料等のスキンケア用素材や細胞培養基材などのバイオ素材として有用可能である。
本発明の細胞生育促進性に優れた絹タンパクの非結晶部のペプチドまたはそれらのペプチド組成物は、次の操作により取得すると共に、そのアミノ酸配列を決定した。
(1)家蚕又は天蚕のようなAntheraeaに属する野蚕の繭層を精練し、精練した繭層をLiSCN水溶液に溶解し
て遠心分離機にかけ、その上清液を分離、回収して水に対して透析し、透析液を再度遠心分離機にかけて上清液を分離、回収する。
(2)分離、回収した精製上清液に、キモトリプシン等の蛋白分解酵素を添加して加水分解処理する。
(3)加水分解処理した液の上清液(非結晶部分)を沈澱層(結晶部分)から分離、回収する。
(4)上清液(非結晶部分)を逆相クロマトグラフィーにより分画する。
(5)逆相クロマトグラフィーにより分画した各画分について細胞培養を行う。
(6)細胞生育性に優れている画分についてゲルろ過クロマトグラフィーにより分子量分画し、対照区より2倍以上の細胞生育率を有する画分(ペプチド鎖)についてアミノ酸配列を決定する。
(7)得られたペプチドをもとに細胞生育促進性に優れたペプチドを設計して合成する。
そして、本発明は、分子量が1万以下、好ましくは4,000から400の優れた細胞生育促進性を有するペプチドを絹タンパクの非結晶部から分離、分収すると共に、それらと類似のペプチドを合成し、それらペプチドを細胞接着剤、細胞増殖促進剤、創傷治癒促進剤、化粧料等のスキンケア用素材や細胞培養基材などのバイオ素材として提供することができるものである。
本発明における絹タンパク由来の細胞生育促進ペプチドとは、実施例1から実施例3で述べるように3日間の細胞培養試験に置いて、ペプチドを添加しないで細胞を培養する対照区より2倍以上の細胞生育率を有するペプチドを言う。
家蚕フィブロインの1次構造
家蚕の場合、蚕は営繭時に絹タンパクを吐糸して、繭(繭糸と蛹で構成)を作る。
繭糸には中心部にフィブロイン、周囲部にセリシンが存在し、存在比は、(70から80%フィブロイン):20から30%(セリシン)であることが知られている。
繭糸(フィブロインとセリシンをまとめて、あるいは単独で絹タンパクという)のフィブロインは分子量約37万である。
〔Tasiro Yutaka and Otsuki Eiichi , Journal of Cell Biology, Vol, 46, P1(1970)〕(非特許文献3参照)。
分子量約37万のフィブロインは分子量約35万(H鎖)と約2. 5万(L鎖)がS−S結合している。
フィブロインのH鎖は非常に高分子量であるが、類似したアミノ酸残基配列の繰り返しで構成されている。
ゲノムバンク(Gen Bank accession no. AF 226688)によれば、H鎖の前駆体タンパクは次のようにN末端部( I) 、結晶部(R)と非結晶部(A)の繰り返し部、C末端部(a)から成っている。
繰り返し部は12の結晶部(R01からR12)が11の非結晶部(A01からA11)を介して繰り返している。
結晶部は、結晶性の高い(Gly-X)のジペプチドの長い繰り返しから成っている。
Xとしては結晶性の高いAla(A) の他にSer(S) が主で、その他にTyr(Y) 、Val (V) などがマイナー成分として存在している。
特に、GAGAGS、またはGAの繰り返しが多い。
その結果、結晶部ではGとAの和が50%を超え、70%程度以上になっている。
非結晶部のA01からA11のペプチドはアミノ酸配列は似ているが、各ペプチドのアミノ酸配列に少しの違いが見られる。
また、非結晶部(A01からA11)のGとAの和は50%以下である。
N末端部とC末端部はアミノ酸配列およびアミノ酸組成から、非結晶部と考えられ、A01からA11と同様にGとAの和は50%以下である。
ところが、非結晶部の中でも6〜10残基程度の部分ペプチドとしては、GとAの和が50%を超える部分が存在する。
<フィブロインH鎖前駆体>
I-R01A01R02A02R03A03R04A04R05A05R06A06R07A07R08A08R09A09R10A10R11A11R12-a
N末端部:I
N末端部(I)はイニシアルペプチドの部分で、アミノ酸配列は次の通りである。
MRVKTFVILCCALQYVAYTNANINDFDEDYFGSDVTVQSSNTTDEIIRDASGAVIEEQITTKKMQRKNKNHGILGKNEKMIKTFVITTDSDGNESIVEEDVLMKTLSDGTVAQSYVAADAGAYSQSGPYVSNSGYSTHQGYTSDFSTSAAV
結晶部:R01、R02、…、R12
R01、R02、…、R12はいずれも結晶部と言われている部位で、各アミノ酸残基数はいずれも300以上である。ただし、R12のアミノ酸残基数は54である。
(A01〜A11)いずれの結晶部もGとAの和が70%程度以上である。
非結晶部:A01、A02、…、A11
アミノ酸残基数28〜32から成り、非結晶部(A)と言われている。
それらのアミノ酸配列は次の通りである。
A01 GSSGFGPYVANGGYSRSDGYEYAWSSDFGT
A02 GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
A03 GSSGFGPYVANGGYSGYEYAWSSESDFGT
A04 GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
A05 GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
A06 GSSGFGPYVANGGYSGYEYAWSSESDFGT
A07 GSSGFGPYVANGGYSGYEYAWSSESDFGT
A08 GSSGFGPYVANGGYSGYEYAWSSESDFGT
A09 GSSGFGPYVNGGYSGYEYAWSSESDFGT
A10 GSSGFGPYVANGGYSGYEYAWSSESDFGT
A11 GSSGFGPYVANGGYSRREGYEYAWSSKSDFET
C末端部:a
C末端側の非結晶部位でアミノ酸配列は次のように成っている。
AASSVSSASSRSYDYSRRNVRKNCGIPRRQLVVKFRALPCVNC
本発明の理解の便宜、参考のために、以下に、タンパクにおけるアミノ酸またはアミノ酸残基の表記法、アミノ酸の荷電特性等について表10に記載しておく。
Figure 0003906924
アミノ酸は側鎖の特徴から下記のように酸性アミノ酸、 極性非荷電アミノ酸、非極性アミノ酸,塩基酸アミノ酸の4つに分けられている。
(1) 酸性アミノ酸 :E、D
(2) 極性非荷電アミノ酸 :N、S、Q、Y、T、C、F
(3) 非極性アミノ酸 :A、G、V、P、L、I、W
(4) 塩基性アミノ酸 :H、K、R
次に示すフィブロインL 鎖はH鎖の結晶部と非結晶部のアミノ酸配列と比べれば非結晶部である。
<フィブロインL 鎖のアミノ酸配列>
MKPIFLVLLVATSAYAAPSVTINQYSDNEIPRDIDDGKASSVISRAWDYVDDTDKSIAILNVQEILKDMASQGDYASQASAVAQTAGIIAHLSAGIPGDACAAANVINSYTDGVRSGNFAGFRQSLGPFFGHVGQNLNLINQLVINPGQLRYSVGPALGCAGGGRIYDFEAAWDAILASSDSSFLNEEYCIVKRLYNSRNSQSNNIAAYITAHLLPPVAQVFHQSAGSITDLLRGVGNGNDATGLVANAQRYIAQAASQVHV
これに対し、野蚕の絹タンパクのアミノ酸配列は家蚕と異なるが、野蚕の中でAntheraea に属する天蚕、サク蚕、エリ蚕、ムガ蚕、タサール蚕等はほぼ同じアミノ酸配列をしている。
天蚕フィブロインでは10残基以上のアラニン(A)のみの繰り返しから成っている部分を結晶部、それ以外を非結晶部とする。
家蚕フィブロインと比べ、Antheraeaに属する野蚕フィブロインでは結晶部と非結晶部の各繰り返し部の、残基数が少ない。
10残基以上アラニンが続いている結晶部を除き天蚕フィブロインの非結晶部のアミノ酸配列を次に示す。
アミノ酸組成からN末端部及びC末端部も非結晶部である。
<天蚕フィブロインの非結晶部の一次構造>
N末端部:イニシアルペプチド
MRVTAFVILCCALQYATANNLHHHDEYVDNHGQLVERFTTRKHYERNAATRPHLSGNERLVETIVLEEDPYGHEDIYEEDVVINRVPGASSSAAAASSASAGSGQTIIVERQASHGAGGA
非結晶部:
AGAAAGAAAGSSARGG
SGFYETHDSYSSYGSGSSSAAAASSGAGGAGGGYGWGDGGYGSDS
GSGAGGRGDGGYGSGSS
RRAGHDHAAGSSGGGYSWDYSSYGSES
GSGAGGVGGGYGGGDGGYGSGSS
RRAGHDRAAGS
SGAGGSGGGYGWGDGGYGSDS
GSGAGRAG
GDYGWGDGGYGSDS
RQAGHERAAGS
SGAGGSGRGYGWGDGGYGSDS
GSGAGGAGGDYGWGDGGYGSD
GSGAGGAGGDYGWGDGGYGSDS
SGAGGAGGGYGWGDGGYGSDS
SGAGGAGGYGGYGSDS
SGAGGSGGGYGWGDGGYGSGS
GSGAGGVGGGYGWGDGGYGSDS
SGAGGRGDGGYGSGSS
GSGAGGAGGGYGWGDGGYGSDS
RRAGHDRAAGC
SGAGGTGGGYGWGDGGYGSDS
SGAGGSGGGYGWGDGGYGSNS
SGAGRSGGGYGWGDGGYSSDS
SGAGGSGGYGGYGSDS
GSGAGGVGGGYGWGDGGYGGYGSDS
GSGAGGVGGGYGRGDSGYGSGSS
GHGRSSGS
SGAGGSGGGYGWDYGSYGSDS
SSGAGGSGGGYGWDYGGYGSDS
GSGAGGSGGGYGWGDGGYGSDS
SRRAGHDRAYGAGS
GAGASRPVGIYGTDDGFVLDGGYDSEGS
C末端部:
SSSGRSTEGHPLLSICCRPCSHRHSYEASRISVH
ところで、本発明では細胞生育促進性に優れた絹タンパク成分に関して、各成分のどの部分に細胞生育促進性があるかを分析してきたところ、非結晶部に細胞生育促進性があることが明らかになった。
フィブロインの非結晶部とは上記したアミノ酸配列部分である。
従って、非結晶部にはN末端部およびC末端部も含まれている。
家蚕フィブロインの非結晶部のA01〜A11(28〜32残基のペプチド)では、いずれも同様の優れた細胞生育性を示すが、A01〜A11は全く同じアミノ酸配列ではない。
A11の場合、他のA01〜A10とは32残基の内の8残基以内でアミノ酸残基配列が異なる。
したがって、30%程度以下のアミノ酸残基配列に違いがあっても細胞生育性に影響はない。
また、20%程度以内でアミノ酸残基数に増減があっても細胞生育性に影響は少ない。
しかし、細胞生育促進性を保つにはアミノ酸配列の違いは50%以下が好ましい。
一方、アミノ酸残基数が非常に少ないペプチドでは細胞生育促進性が発現しない。
特に、アミノ酸が2残基以下では細胞生育を粗害することがある。
したがって、細胞生育促進ペプチドとしては4〜40残基、好ましくは6〜32残基のペプチドがよい。
さらに、非結晶部においても塩基性アミノ酸残基をほとんど含まず、酸性アミノ酸残基およびまたは極性非荷電アミノ酸を多く含む部分ペプチドが細胞生育促進性に優れていることが分かった。
特に、酸性アミノ酸残基は極めて優れた細胞生育促進性を示した。
非結晶部は、全体としては優れた細胞生育促進性を示すが、部分としてはGとAの和が55%を超え、また塩基性アミノ酸残基が多いため、細胞生育率の低いアミノ酸配列部がある。
そこで、フィブロインの非結晶部から酸性アミノ酸が存在し、そしてまたは極性非荷電アミノ酸が存在する。
また、塩基性アミノ酸がほとんど存在しない部分ペプチドを分離、回収する。
回収した部分ペプチドの中からアミノ酸残基数が40以下で、細胞生育率がペプチド無添加を対照区とし、実施例1〜実施例3のような細胞培養試験において細胞生育率が対照区の2倍以上の値を示すペプチドをSDFGP とする。
また、アミノ酸残基数4〜40の複数のペプチドの混合物であっても、細胞生育率が対照区の2倍以上であればSDFGP とする。
その条件としては、非結晶部の部分ペプチドにおいて
(1)GとAの残基数の和がペプチドの全残基数に対して55%以下である。
GやAが多いと結晶になりやすいためである。
(2)塩基性アミノ酸残基数はペプチドの全残基数に対して25%以下である。
(3)酸性アミノ酸およびまたは極性非荷電アミノ酸が存在する。
という事項を満たすことが必要であり、このことは表6に示したところから容易に推考される。
また、これらを満たさない場合、細胞生育性を阻害することがある。
因みに、アミノ酸またはペプチドの性質は側鎖の化学構造によって異なる。
酸性アミノ酸は細胞生育促進性に優れていても、EとDでは側鎖の長さが異なるため、側鎖や主鎖の柔軟性や立体構造が異なり、同じ細胞生育促進性を示さない。
このことは極性非荷電アミノ酸や塩基性アミノ酸といわれる各種のアミノ酸についても、同様にいえることで、物理化学的性質がそれぞれ異なるため同じ細胞促進性や阻害性を示すわけではない。
我々の体を作っている細胞は大きくは付着性の細胞と浮遊性の細胞に分けられる。
付着性の細胞には皮膚細胞、血管細胞、腺細胞等がある。浮遊細胞には血液細胞等がある。
付着性の細胞の生育過程は、まず接着してから増殖するため、大きくは接着と増殖に分けられる。
本発明のSDFGP は接着性、増殖性の性質を有するが比較すれば接着性に優れている。
増殖性に優れていることは、細胞を異常に増殖させることになり、長期に使用する場合、安全性に課題が残る。
したがって、接着性に優れ、増殖促進性を有し、細胞生育を阻害しない本発明のSDFGP はスキンケア素材としてまたバイオ素材として極めて優れている。
実際に、絹タンパクから部分ペプチドを分離、回収する場合は特異的なペプチド結合を切断するタンパク分解酵素またはその他の化学物質で絹タンパクを切断し、断片の中から非結晶部に属しているアミノ酸残基数40以下のペプチドを回収する。
また、得られた部分ペプチドをもとに細胞生育に優れたペプチドを設計し、合成することができる。
1.絹タンパクからペプチドの分離、回収
絹タンパクの非結晶部を分離、回収するには、非結晶部の特徴を利用するとよい。
非結晶部は水に溶けやすいので、絹物質を中性付近(PH5.0〜9.0)の水に浸漬すればよい。
しかし、単に絹物質を浸漬するだけでは効率よく非結晶部のペプチドを得ることができない。
そこで、絹タンパクの特異的なペプチド結合を積極的に切断する。
このようなペプチド結合の切断方法としては、特異的なペプチド結合を積極的に切断する化学物質や酵素等を用いることが好ましい。
以下にこのことを述べる。
1)原料
家蚕ではフィブロインのH鎖、L鎖およびセリシンのa成分が残っている絹タンパクを原料とする。
野蚕(天蚕、サク蚕、エリ蚕、ムガ蚕、タサール蚕等)では、フィブロインの電気泳動像に家蚕フィブロインのH鎖と同程度に明確なバンドが認められる場合を原料とする。
原料はフィブロイン、セリシン単独でもフィブロインとセリシンが同時に存在していてもよい。
したがって、本発明の原料物質は繭糸、生糸、絹織編物、絹糸(フィブロイン繊維)、それらの残糸、またはそれらを原料とした繊維、粉末、フィルム等、家蚕および野蚕等の絹糸虫類が吐糸する蛋白質繊維物質(絹物質)すべてを対象とすることができる。
しかし、これらの原料には家蚕フィブロインH鎖、セリシンのa成分、野蚕ではそれらに相当する成分が存在する必要がある。
フィブロインのH鎖はL鎖より分解しやすいので、H鎖の一部でも残っていればL鎖のほとんどが分解しないで残っている。
2)原料の溶解
中性塩で溶解される前記1)の原料は精練物、半精練物、未精練物およびそれらの中間物であってもよい。
セリシン蚕繭糸でもよい。
重要なことはそれらの絹タンパクが未分解であるか、あるいは各種の加工工程を経てもフィブロインのH鎖、セリシンのa成分およびそれらに相当するタンパクの一部が未分解で残されていることである。
H鎖やa成分等が存在するかどうかの確認は電気泳動像で、それぞれに相当するバンドの存在を確認することで行う。
原料絹糸の溶解剤である中性塩としては、例えば塩化カルシウム、銅エチレンジアミン、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、臭化リチウム、硝酸マグネシウム等の中性塩が挙げられる。
当該中性塩においても飽和水溶液又は50%〔重量( g)/容量(ml)〕飽和以上の濃度が好ましい。
フィブロインとセリシンが含まれている場合、例えば繭糸や未精練物、半精練等は上記中性塩で絹糸と同様に溶解する。
一方、セリシン蚕繭糸のようにセリシンが98%以上の場合は8M尿素で70〜90℃、10分以内で溶解する。
また、セリシン蚕繭糸は、9MLiBr でも室温(20〜30℃)で30分以内に溶解できる。
溶解時の条件はこれらの条件に準じてかえて行う。
絹物質を中性塩溶液に溶解する工程では、中性塩にメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコールを添加してもよい。
中性塩として塩化カルシウムを使う場合は94℃以下の温度で、望ましくは75〜85℃程度の温度で行う。
臭化リチウムを使う場合は50℃程度以下の温度で原料を溶解する等、中性塩によって溶解条件は異なるが、フィブロインのH鎖、セリシンのa 成分が残るような、またはそれに相当する溶解方法を行う。
絹物質の溶解においては、
(1)攪拌することにより溶解を促進することができる。
(2)溶解温度が低いと溶解しにくい。
溶解温度が高いと溶解し易いが、分子量低下が激しく起きる。
絹を中性塩で溶解した溶解液には、フィブロインあるいはフィブロインとセリシンの混合物のほかに中性塩、アルコール等が含まれている。
この溶解液から、まず不溶物を除去し、次いで透析膜や透析装置を用いて分子量約5,000以下の低分子物を除去する。
このような透析によって絹タンパク水溶液を得る。
3)酵素による分解と回収
一般に、タンパク分解酵素によるタンパクの切断は特異的なペプチド結合で起き、切断が穏和な条件下で行われるため、アミノ酸残基側鎖の修飾が起こらないと言われている。
また、タンパクの非特異的切断による断片の複雑化を避けることもできる。
このような酵素には、リジルエンドペプチターゼ、セリンプロテアーゼ、メタロエンドペプチターゼ、アルギニルエンドペプチターゼ、メタロプロテアーゼ、キモトリプシン、パパイン、アルカラゼ、ペプシン、レンニン、パンクレアチン、エラスターゼ、カルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼ、ジペプチターゼ等がある。
これらの中で、結晶部と非結晶部を分けるには、キモトリプシンが特に好ましい。
絹タンパク水溶液にタンパク分解酵素を添加すると、絹タンパクは特異なペプチド結合間で切断される。
切断された絹タンパク由来のペプチドが主に絹タンパクの結晶部由来の断片であれば凝集しやすく、凝集(凝固、或いは結晶化)すれば沈澱する。
凝集しにくい場合でも、結晶部由来のペプチドほど凝集しやすいので、凝集剤としてアルコール(メチルアルコール、エチルアルコール等)等を添加すれば結晶部由来ペプチドから凝集し始め、沈澱する。
沈澱物を除去すれば、残りは非結晶部由来ペプチドの溶液である。
沈澱物の除去には、沈澱物を含んだ溶液を遠心分離機(1, 000〜10, 000G)で分け、沈澱物を除く。
沈澱物を除いた液は非結晶部から分離された非結晶部分のペプチドの水溶液である。
これを乾燥すれば、フィルム状あるいは粉末状のペプチドが得られる。
但し、非結晶部由来のペプチド水溶液にアルコールを添加した場合、アルコール濃度が濃くなるにつれて非結晶部由来のペプチドも順次凝集し、沈殿する。
この非結晶部由来のペプチドに結晶部の部分ペプチドが50%程度以下であれば含まれていてもよい。
しかし、非結晶性部由来のペプチドであっても細胞生育促進性に優れたペプチドを得るには、グリシンとアラニン残基数の和が、55%を越えないことが好ましい。
また、塩基性アミノ酸残基数がペプチド構成残基数の25%以下であることが好ましい。
一方、酸性アミノ酸残基や非極性荷電アミノ酸残基は多いほどよい。
特に、酸性アミノ酸残基数が多いと細胞生育促進性に優れる。
乾燥は凍結乾燥法やスプレードライ法で乾燥する。
非結晶部由来のペプチドは乾燥後に結晶化していても、低分子量であるため水に溶けやすい。
2.絹タンパク由来線維芽細胞増殖ペプチド(SDFGP) の合成
絹タンパクから分離、回収したSDFGP としては次のペプチドがある。
これらは、SDFGP の一例である。
さらに〔0047〕の条件を満たす多くのSDFGP が存在することはいうまでもない。
A−6−2 VITTDSDGNE
A−6−6 NINDFDED
SfHE AASSVSSASSRSYDYSRRNVRKN
SfHA GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
AfH1 YGWGDGGYGSDS
AfH5 DEYVDN
AfH6 VETIVLEEDPYGHEDIYEED
AfH7 DDGFVLDGGYDSE
優れた細胞生育促進性はこれらのSDFGP の一部のアミノ酸配列のみでもSDFGP となり得る。
また、40残基以内でこれらのペプチドが繰り返されたり、別のペプチドと連結してもよい。
しかし、アミノ酸の状態では細胞生育促進機能を有していない。
機能を有する細胞生育アミノ酸残基数は4残基以上必要とする。
しかし、ペプチド合成の効率から40残基以下が好ましい。
SDFGP の合成は、絹タンパクの非結晶部のアミノ酸配列を模倣し、〔0047〕の条件を満たすペプチドを合成する。
合成ペプチドのアミノ酸残基は4〜40、好ましくは6〜32残基である。
この場合、絹タンパクのアミノ酸配列と完全に同じでなくてもよい。
例えば、フィブロインH鎖の非結晶部(A01〜A11) のアミノ酸配列は全部が同じでないが、細胞生育促進性はほぼ同じであり、いずれもSDFGPである。
したがって、アミノ酸配列に30%程度以下の違いがあってもよいが、アミノ酸配列の違いは50%以下が好ましい。
この場合、酸性アミノ酸は多いほどよく、極性非荷電アミノ酸はある方が好ましい。
しかし、塩基性アミノ酸はほとんどない方が好ましい。
つまり、各SDFGP のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置き換わってもよい。
この場合、塩基性アミノ酸残基はペプチドを構造するアミノ酸残基数の少なくとも25%以下となるようにする。
一方、ペプチド(SDFGP)における酸性アミノ酸は多い方が好ましい。
全アミノ酸残基が酸性アミノ酸およびまたは非極性荷電アミノ酸で構成されていてもよい。
したがって、A−6−2からDSDGDE、A−6−6からDEDEDE、EDEDED、SfHAからSSESSEやYGGYEY、AfH1からDGGYGGD 、AfHSからDEYDEY、AfHGからYEEDYEED等、さらに、EEEE、EEEEEE 、EYEYEY、EEYEEY、YYYYYY、EGSEGSなど多くのペプチドがSDFGPとなり得る。
前述した〔0047〕の条件の範囲で、これらのペプチドが繰り返されたり、別のペプチドと連結しても、分子量1万以下で、好ましくは4,000〜400の範囲であればよいことは言うまでもない。
そしてまた、アミノ酸残基が他のアミノ酸残基と入れ変わっていてもよい。
4.利用
絹タンパクの非結晶部から得たペプチド集合物およびSDFGP は細胞生育促進性に優れているだけでなく、水に溶けやすい。
また、分子量が4, 000程度以下であるため溶解している状態でも長期間形態が安定である。
さらに、各種のSDFGPを混合すると単独であるより細胞生育は促進される。
したがって、細胞培養液、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、目薬、食品等にこれらを
混合して添加する。
本発明のペプチド集合物およびSDFGPは皮膚細胞を生育促進する作用に優れているため、スキンケア用素材として、また、細胞培養素材として上記以外の分野、例えば衣類繊維、化粧粉末、 樹脂等の改良でも優れた素材である。
絹フィブロインの酵素分解物の細胞生育活性
(1)絹タンパクの非結晶部を酵素で分解、分離、分収
家蚕の繭を切開して蛹を除き、繭層(10g) を30倍量の8M尿素、90℃に10分浸漬し、セリシンを抽出した。
抽出残さは水洗、乾燥しこれをフィブロインとした。
フィブロイン1. 0gを9M LiSCN10mlに浸漬して溶かし、これに蒸留水10ml加えて、これを3, 000rmp 、10分間遠沈した。
上清液を半透膜に入れ50倍量の水に対して透析した。
透析は、30分ごとに透析外液の水をかえて4回行った。
透析後に液を再び遠沈し、上清液に0. 1Mリン酸水素二ナトリウム(pH8. 5)を加え、pHを7〜8に調製した。
そこにフィブロイン量の100分の1量のキモトリプシンを入れ、40℃で4時間置いたところ沈澱を生じた。
このときの上清液のタンパクをあるいはペプチドについて、フィブロインの非結晶部(A)からえられたものを非結晶部分(A')、沈澱物のタンパクあるいはペプチドを結晶部(C)からえられたものを結晶部分(C')、とした。
結晶部分は水洗し、9M LiSCN 1mlに溶解し、50倍量の水で前述と同様に半透膜で透析し、水溶液のタンパク量を測定した。
上清はそのままタンパク量を測定した。
(2)細胞培養容器へコーティング
これらの結晶部分(C')及び非結晶部分(A')の水溶液をそれぞれ0.025%、0.0025%の濃度になるように70%エタノールを加えて調製し、それをポリスチレンのシャーレ(35mm¢、ファルコン)に1mlずつ入れて風乾した。
対照区用シャーレは70%エタノールのみを1ml入れて風乾した。
(3)細胞培養
細胞は三光純薬から購入した(凍結)ヒト皮膚線維芽細胞(成人の正常皮膚由来)を使用した。
培地はクラボウから購入したヒト皮膚線維芽細胞増殖用低血清培地〔Medium106S(皮膚線維芽細胞基礎培地)500mlにLSGS(低血清増殖添加剤)10mlを添加〕を使用した。
なお、LSGSには細胞増殖性がある。
シャーレ1枚に付き培地2mlを入れ、8万ケの細胞を接種し、3日間培養した。
(4)アラマーブルー色素での生細胞数の測定
シャーレ1枚に付き培地2ml、アラマーブルー(IWAKI)0.1mlの割合で入れ、37℃、2時間培養したのち、570nm、600nmの吸光度から計算したアラマーブルー色素の還元量を生細胞数とした。
絹タンパクの成分無添加の場合を対照区(100%) とした、結晶部分及び非結晶部分をコートしたシャーレでのヒト皮膚線維芽細胞の生育を表1に示す。
絹タンパク成分をコートしたシャーレでの細胞生育率は対照区と比べてすべて高い値を示した。
特に、非結晶部分(C')の0.025%濃度の生育率が高く、SDFGPの混合物である。
結晶部分では濃度の濃い方(0.025%)が薄い方(0.0025%)より生育が悪かった。
これは、結晶部分の絹タンパクは細胞生育を阻害しているためと考えられる。
細胞生育促進ペプチドのアミノ酸配列
フィブロインの非結晶部は結晶部より細胞生育を促進することが実施例1で分かった。
しかし、実施例1で分取した非結晶部分は酵素で切断されたペプチドの混合物と考えられる。
そこで、非結晶部分をさらに分離して、細胞生育促進部位の特定を行った。
まず、実施例1の非結晶部分に含まれるペプチドを極性の違いで分けるため、逆相クロマトグラフィーで分離した。
カラムはRESOURCER RPCk3mlを使用した。
Aポンプに0.1%TFA (トリフルオロ酢酸)を、Bポンプに0.1%TFA/90%アセトニトリルを使用し、0〜15分でBが0〜75%になるグラジェントでクロマトグラフィを行った。
その結果、6つのピーク( A−1、…、A−6) が確認できた。
それぞれのピークを回収し、エバポレーターで乾燥し、少量のバッファー(PBS) で溶解した。
A−1〜A−6のそれぞれの濃度が0.025%となるように70%エタノールで調整し、細胞培養用ポリスチレンのシャーレ( 35mmφ、ファルコン) に1mlづつ入れて風乾した。
対照区用シャーレは70% エタノールのみを1ml入れて風乾した。
これらのシャーレを用いて細胞培養を行った。
細胞培養方法は〔実施例1〕と同じ方法で行った。
非結晶部分のペプチド断片をコートしたシャーレでのヒト皮膚線維芽細胞の生育率を表2に示す。
非結晶部分のうち、A−6の生育が対照区の約4倍と非常に優れていた。
次に、細胞生育性に最も優れていたA−6に含まれているペプチドを分子量で分けるため、Superdex peptideHR10/30(ゲルろ過クロマトグラフィー)で分離した。
その結果、A−6−1〜A−6−7までの7つのピークが確認できた。
いずれも分子量2, 500以下である。
7つのピークの内で、ピークがシャープで明確な5つのピーク(A−6−2、A−6−3、A−6−4、A−6−6、A−6−7)のペプチドを回収し、各ペプチドを細胞培養容器にコートし、そこに培地と細胞を接種し、2日間培養して、細胞生育性を測定した。
細胞生育性の実験は〔実施例1〕と同じである。
細胞生育率の測定結果を表3に示す。
A−6−2とA−6−6は対照区と比べて、2日間培養で生育率が1.5倍を示し、細胞生育促進性に優れていた。
3日間培養では生育率は2倍を越えていた。
そこで、A−6−2とA−6−6のアミノ酸配列をベックマン株式会社のLF3000Protein Sequencorで分析した結果、アミノ酸配列は
A−6−2 VITTDSDGNE
A−6−6 NINDFDED
となった。
A−6−2およびA−6−6ともにフィブロインのN末端側のペプチドであった。
N末端部はアミノ酸組成から考えて、非結晶部である。
そこで、A−6−2とA−6−6のペプチドを合成し、(北海道システムサイエンス株式会社に委託)、前述と同様に3日間培養して合成ペプチドの生理活性を測定したところ、絹タンパクからの抽出物と同様に細胞生育促進性のあることを確認した。
また、合成したペプチドA−6−2とA−6−6を混合した場合、それぞれを単独で細胞培養した場合より細胞生育促進性に優れていた。
合成ペプチドの細胞生育率
家蚕フィブロインH鎖および天蚕フィブロインのアミノ酸配列をもとに、それぞれ合計12部位について合成したペプチド(北海道システムサイエンス株式会社に委託)の細胞活性を測定した。
(1)ペプチド合成
家蚕フィブロインの結晶部から2ケ 所の部分ペプチド(SfHC-1、SfHC-2)、及び非結晶部から2ケ 所の部分ペプチド(SfHE、SfHA)を取り上げた。
また、天蚕フィブロインは結晶部としてAla (A) の繰り返し部分(AfH0)、および非結晶部の7部分ペプチド(AfH1〜AfH )を取り上げ、それらを合成した。
家蚕のフィブロインH 鎖の部分ペプチドは4種類、天蚕のフィブロインの部分ペプチドは8種類(AfH0〜AfH7)あり、それぞれのペプチドのアミノ酸配列を以下に示す。
家蚕フィブロインH 鎖の部分ペプチド( 4種類)
SfHC−1 GAGAGSGAGAGSGAGAGYGAGY
SfHC−2 GAGAGSGAASGAGAGAGAGAGT
SfHE AASSVSSASSRSYDYSRRNVRKN
SfHA GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
天蚕フィブロインの部分ペプチド( 8種類)
AfH0 AAAAAAAAAA
AfH1 YGWGDGGYGSDS
AfH2 SGAGGSGGYGGYGSDS
AfH3 GSGAGGRGDGGYGSGSS
AfH4 RRAGHDRAAGS
AfH5 DEYVDN
AfH6 VETIVLEEDPYGHEDIYEED
AfH7 DDGFVLDGGYDSE
(2)合成ペプチドのシャーレへのコート
それぞれの合成ペプチドを約1mgづつとり、PBS 200μl に溶解した。
溶解したペプチド溶液は70%エタノールで希釈し、0.025%及び0.0025%の濃度に調製し、それらを1mlづつシャーレに入れ乾燥した。
SfHC−1、SfHC−2、SfHEは溶けにくかった為、9M LiSCN 1mlを追加して溶解した。
溶解液を半透膜に入れ100倍量の水で30分ごとに外液をかえて透析し、275nmの吸光度でタンパク量を確認した。
SfHC−2はチロシン等が無いため、吸光度の測定はできなかったが、SfHC−1、 SfHE は溶解前とほぼ同量存在していたので、SfHC−2も同量あると仮定し、他のペプチドと同様に70%エタノールで希釈しシャーレに入れて乾燥した。
また、AfH0も溶けにくかったが、透析すると分子量が小さいため抜けてしまう可能性があるので、よく攪拌して7 0%エタノールで希釈しシャーレに入れ乾燥した。
(3)培養
細胞は三光純薬から購入した(凍結)ヒト皮膚線維芽細胞( 成人の正常皮膚由来) を使用した。
培地は、クラボウから購入したヒト皮膚線維芽細胞増殖用低血清培地を使用した。
シャーレ1枚に付き培地2mlを入れ、約8万の細胞を接種し、3日間培養した。
その後、アラマーブルー(IWAKI)を0.1ml入れ、37℃、2時間培養したのち570nm、600nmの吸光度から計算した色素の還元量を生細胞数とした。
これら細胞培養に関する測定方法は実施例1と同じである。
結果を表4、表5に示す。
家蚕フィブロインでは、フィブロインの結晶部の部分ペプチドSfHC−1、SfHC−2より、非結晶部の部う分ペプチドであるSfHE、SfHAの生育率が高く、対照区の2倍以上の値を示し、非結晶部の部分ペプチド、またはその混合物はSDFGPである。
天蚕フィブロインの結晶部の部分ペプチドであるAfH0には活性はほとんど無く、濃度の濃い方(0.025%)が生育率が低いため、細胞生育を阻害していると考えられる。
非結晶部の部分ペプチド合成物AfH1〜AfH7は細胞生育促進性を示したが生育率に差が現れた。
例えば、AfH3とAfH6はいずれも塩基性アミノ酸を1残基含むが、AfH3は酸性アミノ酸残基が少なく、AfH6は酸性アミノ酸残基が多いため、AfH6の方が高い細胞生育促進性を示した。
特にAfH1、AfH5、AfH6、AFH7は優れた細胞生育促進性を示し、いずれも合成によって得られたSDFGPである。
表5で示したように、非結晶部から得た部分ペプチドの細胞生育率は全てが高くSDFGP となるわけではない。
それは、表6で示したように各ペプチドを構成するアミノ酸側鎖の化学構造の違いによる。
合成ペプチドの細胞生育活性
実施例1〜実施例3の結果を基に細胞生育活性を示すと考えられる酸性アミノ酸および極性非荷電アミノ酸を主成分とした合成ペプチド(北海道システムサイエンス株式会社に合成を委託)の線維芽細胞生育活性を測定した。
細胞生育活性の測定方法は〔実施例1〕と同様に行った。
細胞培養は3日間行い、ペプチド濃度0.025 μg/cm2 の場合について結果を表7に示した。
グルタミン酸では4残基以上の配列となると細胞生育活性が優れていた。
合成ペプチドの細胞接着および増殖促進性
絹タンパク由来の合成ペプチドまた酸性アミノ酸または極性非荷電アミノ酸を主とした合成ペプチドなどが有する細胞生育活性について、細胞生育性をさらに詳しく細胞接着性と増殖性に分けて測定した。
この測定方法は〔実施例1〕における(3)細胞培養の方法とは方法が一部異なる。
ここにおける細胞培養では、細胞は三光純薬から購入した(凍結)ヒト皮膚線維芽細胞(成人の正常な皮膚由来)を使用した。
培地はクラボウから購入したヒト皮膚細胞芽細胞増殖用低血清培地(Medium 106S 500ml)を使用した。
Medium106Sは皮膚線維芽細胞基礎培地である。
ここではLSGS(低血清増殖添加剤)は使用していない。
接着性を測定する場合は、培地に細胞を接種した5時間後に培地に浮遊している細胞を除き、シャーレの底に接着している生細胞数を測定した。
増殖性を測定する場合は、培地に細胞を接種した時から3日間培養した後の生細胞数を測定した。
細胞培養法の他は、〔実施例1〕と同様に、ペプチドの細胞培養容器へのコーティング、アラマーブルー色素による生細胞数の測定等を行った。
ペプチドを細胞培養容器にコーティングしなかった場合の生細胞数を対照区(100%)として、得られた接着性の結果を表8に、また増殖性の結果を表9に示す。
すなわち、表8は、各種ペプチドをコートしたシャーレでヒト皮膚線維芽細胞を5時間培養した後の接着性を示す。
ここで合成ペプチドは記号またはアミノ酸配列で示した。
この場合、各シャーレへコートした時の各ペプチドの濃度は0.025 μg/cm2 である。
ペプチドをコートしなかった場合の接着率(%)を100とした。
表9は、各種ペプチドをコートしたシャーレでヒト皮膚線維芽細胞を3日間培養した後の増殖性を示す。
ここで合成ペプチドは記号又はアミノ酸配列で示した。
この場合、各シャーレへコートした時の各ペプチドの濃度は0.025 μg/cm2 である。
ペプチドをコートしなかった場合の増殖率(%)を100とした。
ただし、3日間培養した後の対照区における生細胞数は培養中に約150% に増殖していたが、対照区の値(100%)は3日間培養した後の生細胞数を基にしている。
従って、3日間の培養中に細胞数が増減しなかった場合の増殖率は約70% となる。
Figure 0003906924
Figure 0003906924
Figure 0003906924
Figure 0003906924
Figure 0003906924
Figure 0003906924
Figure 0003906924
Figure 0003906924
Figure 0003906924

Claims (7)

  1. 次の(1)から(8)のいずれかのアミノ酸配列からなることを特徴とする細胞生育促進性に優れたペプチド。
    (1) VITTDSDGNE
    (2) NINDFDED
    (3) AASSVSSASSRSYDYSRRNVRKN
    (4) GSSGFGPYVAHGGYSGYEYAWSSESDFGT
    (5) YGWGDGGYGSDS
    (6) DEYVDN
    (7) VETIVLEEDPYGHEDIYEED
    (8) DDGFVLDGGYDSE
  2. 家蚕の未分解絹タンパク又はAntheraeaに属する野蚕の未分解絹フィブロインを、加水分解した後、分子量分画により請求項1記載のペプチドを分離、取得する方法。
  3. 加水分解を希酸、ヒドロキシルアミン又は蛋白分解酵素により行うことを特徴とする細胞生育促進性に優れた請求項2記載のペプチドを分離、取得する方法。
  4. 請求項1記載のペプチドを含有する試験管内で用いられる細胞増殖促進剤。
  5. 請求項1記載のペプチドを含有する試験管内で用いられる細胞接着剤。
  6. 請求項1記載のペプチドを含有する化粧料。
  7. 請求項1記載のペプチドを含有する細胞培養基材。
JP2003406608A 2003-02-28 2003-12-04 絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用 Expired - Fee Related JP3906924B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003406608A JP3906924B2 (ja) 2003-02-28 2003-12-04 絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003055048 2003-02-28
JP2003406608A JP3906924B2 (ja) 2003-02-28 2003-12-04 絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004339189A JP2004339189A (ja) 2004-12-02
JP3906924B2 true JP3906924B2 (ja) 2007-04-18

Family

ID=33542935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003406608A Expired - Fee Related JP3906924B2 (ja) 2003-02-28 2003-12-04 絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3906924B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006204289A (ja) * 2004-12-27 2006-08-10 Koojin Bio Kk 細胞培養用培地
JP2007075102A (ja) * 2005-07-05 2007-03-29 Koojin Bio Kk 昆虫細胞培養用培地
US8168181B2 (en) 2006-02-13 2012-05-01 Alethia Biotherapeutics, Inc. Methods of impairing osteoclast differentiation using antibodies that bind siglec-15
DK1994155T4 (da) 2006-02-13 2022-07-25 Daiichi Sankyo Co Ltd Polynukleotid- og polypeptidsekvenser involveret i fremgangsmåden med knogleremodellering
KR100864380B1 (ko) 2006-10-17 2008-10-21 주식회사 브레인가드 두뇌기능 향상과 뇌신경계 질환 예방 또는 치료용 펩타이드
CN103097405B (zh) * 2010-06-14 2015-06-10 基因信号国际公司 用于伤口愈合的新型肽
EP2748177A4 (en) * 2011-08-26 2015-04-08 Agricultural Res Dev Agency Public Organization BIOACTIVE OLIGOPEPTIDE COMPOSITIONS OF SILK BASE AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
ES2723885T3 (es) 2012-07-19 2019-09-03 Daiichi Sankyo Co Ltd Anticuerpos anti-Siglec-15
WO2014145002A2 (en) * 2013-03-15 2014-09-18 Kluge Jonathan A Low molecular weight silk compositions and stabilizing silk compositions
JP6369783B2 (ja) * 2014-06-12 2018-08-08 株式会社アーダン 加水分解フィブロインを含む軟膏及びその製造方法
KR101794401B1 (ko) * 2015-03-26 2017-11-06 윤원준 접착성 펩타이드 및 그 용도
KR102012380B1 (ko) * 2016-08-26 2019-08-20 (주)세원생명공학 골재생 또는 골형성 촉진용 펩타이드 및 그 용도
MX2021004303A (es) * 2018-10-23 2021-05-27 Unilever Ip Holdings B V Composiciones cosmeticas que comprenden fibroina de seda de bajo peso molecular.

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004339189A (ja) 2004-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Miller et al. [1] Collagen: An overview
JP3906924B2 (ja) 絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用
Fietzek et al. The primary structure of collagen
JP4490498B2 (ja) 疾病抑制剤
US7193038B2 (en) Extraction and utilization of cell growth-promoting peptides from silk protein
Gallop et al. Posttranslational protein modifications, with special attention to collagen and elastin
Rosenbloom et al. Extracellular matrix 4: the elastic fiber
EP2027152B1 (en) Peptide fragments for inducing synthesis of extracellular matrix proteins
AU705719B2 (en) Method for preparation of type II collagen
CA2854289C (en) Dpp-4 inhibitor
CN107653291A (zh) 多步酶法协同制备藏牦牛皮胶原蛋白和胶原多肽的方法
CA2880009C (en) Collagen peptide composition production method, dpp-4 inhibitor, and antihyperglycemic agent
KR100882560B1 (ko) 배지 첨가제 및 동물 세포 배양용 배지
Banerjee et al. Cryptic peptides from collagen: a critical review
JP5437378B2 (ja) ヒャッポダ由来のヘモコアグラーゼ
JP2007151453A (ja) エラスチン高含有可溶性ペプチドおよびその製造方法
JP6448216B2 (ja) ペプチド組成物の調製方法、細胞培養方法、およびペプチド組成物
Liu Application of marine collagen for stem‑cell‑based therapy and tissue regeneration
JP6860877B2 (ja) 骨芽細胞の分化促進剤および骨形成促進剤
Pozzolini et al. Marine Collagen and its Biotechnological Applications
Tanji et al. The primary structure of the major pepsinogen from the gastric mucosa of tuna stomach
CN114836377A (zh) 一种干细胞体外成骨诱导分化方法
JPWO2002102845A1 (ja) 絹フィブロイン由来機能性ポリペプチドの製造法及びその利用
CN114573682A (zh) 一种弹性蛋白肽及其制备方法
US7741441B2 (en) Method for producing type IV collagen

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060623

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20060710

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060710

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061010

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110126

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130126

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140126

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees