JP2006204289A - 細胞培養用培地 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、優れた細胞培養性能を有し、かつ安全性および操作性にも優れた細胞培養用培地の提供を目的としている。
【解決手段】水溶性処理された絹フィブロインを細胞培養のための基礎培地に添加することにより、優れた細胞培養性能を発揮することを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、絹フィブロインを含んでなる細胞培養用培地、該培地を使用した細胞培養方法、タンパク質の製造方法、ウイルスベクターの複製方法に関する。
【解決手段】水溶性処理された絹フィブロインを細胞培養のための基礎培地に添加することにより、優れた細胞培養性能を発揮することを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、絹フィブロインを含んでなる細胞培養用培地、該培地を使用した細胞培養方法、タンパク質の製造方法、ウイルスベクターの複製方法に関する。
Description
本発明は細胞を培養するための培地に関するものである。具体的には、培地組成として、絹フィブロインを含んでなる細胞培養用培地に関するものである。
細胞の培養には、従来市販の基礎培地に培地の有効成分として血清、例えば、牛胎児血清(FCS)や子牛血清が用いられている。しかしながら、これらの血清は非常に高価であること、血清の性状にロット差があること、また培養後に培養生産物から血清由来物質を除去することが面倒であることなどの問題がある。また、動物由来の血清には、ヤコブ病を導くことが危惧されている狂牛病やヒツジのスクレイピーといったプリオンに加え、ウイルスによる感染の危険があり、目的産物の安全性が十分に確保できない可能性もある。さらに、血清を含む培地を用いる場合、血清は未知の成分を含む非常に多くの種類の成分から構成されていることから、実験系が複雑となり易いという問題がある。このため、牛胎児血清や子牛血清のような血清に代えて、既知の細胞成長因子やホルモン類等を含む細胞培養用の培地が注目されている。しかしながら、これらの細胞成長因子やホルモン類は、天然における存在が微量で高価なことから、その使用は制限される。したがって、前記血清や細胞成長因子等に代わる安全かつ比較的安価な細胞増殖因子を含んで成る細胞培養用培地もしくは細胞培養手段が望まれている。
特開昭61-180800
本発明は、優れた細胞培養性能を有し、かつ安全性および操作性にも優れた細胞培養用培地の提供を目的としている。
上記の課題について本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、水溶性処理された絹フィブロインを細胞培養用のための基礎培地に添加することにより、優れた細胞培養性能を発揮することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
1.水溶性絹フィブロインからなる培地添加物、
2.絹フィブロインが、繭または生糸から抽出して得られたものである、前項1に記載の培地添加物、
3.絹フィブロインの加水分解物である、前項1または2に記載の培地添加物、
4.親水性である前項1〜3のいずれか1項に記載の培地添加物、
5.平均分子量が1,000〜10,000である前項1〜4のいずれか1項に記載の培地添加物、
6.前項1〜5のいずれか1項に記載の添加物を含んでなる細胞培養用培地、
7.培地全量に対して0.01〜2.0重量%の絹フィブロインを含んでなる、前項6に記載の培地、
8.動物細胞培養用である前項6または7に記載の培地、
9.昆虫細胞培養用である前項6または7に記載の培地、
10.前項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用して細胞を培養し、該細胞を増殖させることを含んでなる、細胞の培養方法、
11.前項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用してタンパク質産生可能な細胞を培養し、該培地および/または該細胞から、産生されたタンパク質を採取することを含んでなる、タンパク質の製造方法、
12.前項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用して、ウイルスベクターを感染させた細胞を培養して増殖させ、該培地および/または該細胞から、ウイルスベクターを採取することを含んでなる、ウイルスベクターの複製方法、
からなる。
1.水溶性絹フィブロインからなる培地添加物、
2.絹フィブロインが、繭または生糸から抽出して得られたものである、前項1に記載の培地添加物、
3.絹フィブロインの加水分解物である、前項1または2に記載の培地添加物、
4.親水性である前項1〜3のいずれか1項に記載の培地添加物、
5.平均分子量が1,000〜10,000である前項1〜4のいずれか1項に記載の培地添加物、
6.前項1〜5のいずれか1項に記載の添加物を含んでなる細胞培養用培地、
7.培地全量に対して0.01〜2.0重量%の絹フィブロインを含んでなる、前項6に記載の培地、
8.動物細胞培養用である前項6または7に記載の培地、
9.昆虫細胞培養用である前項6または7に記載の培地、
10.前項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用して細胞を培養し、該細胞を増殖させることを含んでなる、細胞の培養方法、
11.前項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用してタンパク質産生可能な細胞を培養し、該培地および/または該細胞から、産生されたタンパク質を採取することを含んでなる、タンパク質の製造方法、
12.前項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用して、ウイルスベクターを感染させた細胞を培養して増殖させ、該培地および/または該細胞から、ウイルスベクターを採取することを含んでなる、ウイルスベクターの複製方法、
からなる。
本発明の培地によれば、培養される細胞の増殖を促進させることができ、また細胞の生存率を向上させることができる。また本発明の培地を、目的とする有用物質を産生する動物細胞の培養において適用することにより、該有用物質の産生を促進することが可能となる。そして、本発明の培地によるそのような効果は、浮遊細胞や付着性細胞のような細胞の形態、および株化細胞や正常細胞のような細胞の種類に関わらず、発揮させることができる。
本発明は絹フィブロインの新規用途、又絹フィブロインを含んでなる細胞培養用培地に関するものである。絹フィブロインは、昆虫が作るタンパク質繊維の総称であり、それは、カイコ、蜘蛛等が吐糸したもの等は良く知られている。そのなかで、カイコの絹フィブロインは、生糸の原料として最も研究されてきた。絹は、天然のタンパク繊維であり、フィブロインはそれを構成する繊維状タンパク(重量比約75%)であり、その外側をセリシン(重量比約25%)が包み込むような形で存在する。工業的にはセリシンを除去し(精練)、フィブロインだけにしたものを絹繊維(生糸)として使用している。絹フィブロインは、グリシン、アラニン等の無極性アミノ酸が全体の約75%をしめており、それゆえに結晶性が高く、分解しにくく水不溶性である。一方、セリシンはアスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸等の極性アミノ酸が全体の約80%を占めており、化粧品の保湿成分として利用されている。絹フィブロインは、結晶性が高く水には溶けにくいため水溶性に処理される必要があり、そのための数々の技術が考案されてきた(特開昭61-180800)。
本発明で使用する絹フィブロインは水溶性の絹フィブロインである。本発明の絹フィブロインは絹糸を酸、アルカリまたは酵素で加水分解し、中和、脱塩処理を施した後、粉末化したもの(シルクパウダー)である。本発明の培地添加物は、絹フィブロインの加水分解物であることが好ましく、親水性の加水分解物であることがより好ましい。さらに、本発明に用いる絹フィブロインの平均分子量は、好ましくは約1,000〜10,000、より好ましくは約4,000〜8,000、特に好ましくは約5,000である。本発明に用いるシルクパウダーの製造に利用される絹糸は、家蚕、野蚕又は両者を併用した繭が使用される。
絹フィブロイン(シルクパウダー)は、絹糸中のセリシンを溶解除去し、フィブロイン溶液とし、それを酸、アルカリまたは酵素で加水分解することにより得ることができる。
絹フィブロイン(シルクパウダー)の製造方法の具体例としては、例えば、以下のような方法を用いることができる。
絹フィブロイン(シルクパウダー)の製造方法の具体例としては、例えば、以下のような方法を用いることができる。
最初に、精錬工程は、主に、シルクフィブロインを覆っているセリシンを除去するためのものであり、近年では様々な方法で行われている。それらには、珪酸ナトリウムやソーダ灰とマルセル石鹸を混合溶解した精錬液に絹を浸漬し、加熱する「石鹸練り」や、密閉容器に薬剤無添加状態で、高圧下120〜130℃で加熱する「高温・高圧精錬」と言われる方法、また、生糸をpH9〜10.5のアルカリ性プロテアーゼ等のタンパク質分解酵素水溶液で40〜65℃、1〜3時間処理をして加水分解する方法などがある。
上記のようにしてセリシンを除去した後、部分加水分解を行う。部分加水分解工程とは絹フィブロインが、完全にアミノ酸まで分解されない程度に加水分解を終了させるものである。
部分加水分解工程は、例えば、酸加水分解法、酵素加水分解法などいずれでもよい。酸加水分解法としては、例えば、燐酸もしくは硫酸水溶液などを0.8N以下で、上述の精練工程を経た絹糸を、終濃度3〜50重量%で添加し、24〜110℃で、1〜24時間浸漬することにより行われる。また、酵素加水分解法としては、使用する酵素(パパイン、トリプシン、キモトリプシン等)の至適pH(pH5〜9)に調節した液体中に精練工程を経た絹糸および0.01〜10.0重量%の酵素を添加し、0.1〜48時間酵素により加水分解を起こさせるものである。いずれの加水分解法においても、絹フィブロインのすべてが完全にアミノ酸まで分解される以前に、その工程は終了する。
次に、酸加水分解法の場合は、硫酸、塩酸等の強酸にて加水分解し、アセトン等の有機溶媒で析出させ中和工程において形成された沈殿物を濾過する。酵素加水分解法の場合も、前記凝固剤を添加することにより析出された沈殿物を濾過する。さらに、必要により、活性炭などを用いて脱色工程を行う。その後、乾燥(例えば、スプレードライ、風乾、減圧乾燥、凍結乾燥などの方法、できれば、加熱しないことが好ましい)により乾燥し、により粉末状とする。物理的粉砕方法は、乳鉢と乳棒を用いた方法などのようなものでもよい。好ましくは、湿式もしくは乾式の超微粒摩砕機を用いることが好ましい。なお、湿式粉砕を行う場合には、上述した乾燥工程は、粉砕工程の後に行う。本発明には市販品を用いることもでき、具体例としてカネボウ株式会社より市販されているsilkpoweder FDが挙げられる。
上記のようにしてセリシンを除去した後、部分加水分解を行う。部分加水分解工程とは絹フィブロインが、完全にアミノ酸まで分解されない程度に加水分解を終了させるものである。
部分加水分解工程は、例えば、酸加水分解法、酵素加水分解法などいずれでもよい。酸加水分解法としては、例えば、燐酸もしくは硫酸水溶液などを0.8N以下で、上述の精練工程を経た絹糸を、終濃度3〜50重量%で添加し、24〜110℃で、1〜24時間浸漬することにより行われる。また、酵素加水分解法としては、使用する酵素(パパイン、トリプシン、キモトリプシン等)の至適pH(pH5〜9)に調節した液体中に精練工程を経た絹糸および0.01〜10.0重量%の酵素を添加し、0.1〜48時間酵素により加水分解を起こさせるものである。いずれの加水分解法においても、絹フィブロインのすべてが完全にアミノ酸まで分解される以前に、その工程は終了する。
次に、酸加水分解法の場合は、硫酸、塩酸等の強酸にて加水分解し、アセトン等の有機溶媒で析出させ中和工程において形成された沈殿物を濾過する。酵素加水分解法の場合も、前記凝固剤を添加することにより析出された沈殿物を濾過する。さらに、必要により、活性炭などを用いて脱色工程を行う。その後、乾燥(例えば、スプレードライ、風乾、減圧乾燥、凍結乾燥などの方法、できれば、加熱しないことが好ましい)により乾燥し、により粉末状とする。物理的粉砕方法は、乳鉢と乳棒を用いた方法などのようなものでもよい。好ましくは、湿式もしくは乾式の超微粒摩砕機を用いることが好ましい。なお、湿式粉砕を行う場合には、上述した乾燥工程は、粉砕工程の後に行う。本発明には市販品を用いることもでき、具体例としてカネボウ株式会社より市販されているsilkpoweder FDが挙げられる。
また、本発明に用いる絹フィブロイン(シルクパウダー)とは、絹繊維を、必要により精練し、さらに、降解(解繊)した後、物理的粉砕により、粒径1〜5μm程度の粉末状とした、実質的に表面のセリシンが除去されたシルクパウダー(セリシン除去絹微粉末)であることが好ましい。実質的にセリシンが除去されたとは、完全に除去されたものに限らず、数%程度のセリシンが残留しているものを含むものである。ここで除去されるセリシンは、絹タンパク質の表面に存在しているものであり、内部に存在しているものまでを含むものではない。なお、このようにセリシンを除去することが好ましいが、セリシンを除去しないものでもよい。
本発明の細胞培養用培地は、絹フィブロインと、培地基礎成分とを少なくとも含んでなるものである。したがって、前記成分を含んでいる限り、例えば、アルブミンやトランスフェリン等の結合タンパク、インスリン、上皮増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子や各種ホルモン類、細胞接着因子などの各種細胞増殖因子や、さらには血清を必要に応じて含んでいてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、細胞培養用培地は、使用される血清の量が慣用の培地の場合に比べて低減されているものが好ましく、より好ましくは無血清培地である。なおここで、無血清培地とは、血清を含有しないものをいい、血清以外の細胞増殖因子やホルモンを含むものであってもよい。
本発明の細胞培養用培地における絹フィブロイン(シルクパウダー)の含有量又は添加量は、特に制限はなく、培養する細胞の種類、培養目的、基礎培地成分の種類等に応じて、適宜変更可能であるが、好ましくは培地全量に対して0.01〜2.0重量%、より好ましくは0.09〜1.5重量%であり、さらに好ましくは0.04〜1.0重量%である。
本発明において、培地基礎成分は、通常動物細胞が同化し得る炭素源、消化しうる窒素源および無機塩から構成されるものであり、具体的には例えば無機塩類、アミノ酸、グルコース、およびビタミン類を含むものである。また培地基礎成分には必要に応じて微量栄養促進物質、前駆物質などの微量有効物質をさらに配合してもよい。このような培地基礎成分としては、当業者において公知の培地成分を使用することができる。
本発明による培地で培養可能な細胞は、特に制限はなく、培養細胞として株化されたものであっても、生物組織から得られる株化されていない正常細胞であってもよい。したがって、本発明において細胞は、例えば、その細胞自体がタンパク質を産生可能な細胞であっても、遺伝子工学的手法により形質転換されて異種タンパク質を発現するようにされた細胞であってもよく、さらには、各種のウイルスベクターにより感染された細胞であってもよい。
細胞自体がタンパク質を産生する細胞としては、例えばモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、インターフェロン(IFN)-αを産生する白血球、IFN-βを産生する繊維芽細胞、IFN-γを産生するリンパ球、プロウキナーゼ(プロUK)もしくはUKを産生するヒト腎細胞、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)を産生するメラノーマ細胞、インスリンを産生するIn-111細胞、グルカゴンを産生するHIT細胞、エリスロポエチンを産生するHepG2細胞およびインターロイキン-5を産生するB151K12細胞等が挙げられる。また、遺伝子工学的手法により形質転換された株化細胞としては、MDCK細胞、Vero細胞、HeLa細胞、CHO(Chinese hamster ovary)細胞、HKG細胞、NIH3T3細胞、BHK細胞、COS-1細胞、COS-7細胞およびミエローマ細胞等が挙げられる。
ウイルスベクターにより感染された細胞としては、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびヘルペスウイルスベクターなどのようなウイルスベクターに感染された細胞が挙げられる。この場合、ウイルスベクターは慣用の遺伝子工学的手法により遺伝子組み換えされたものであってもよい。またこのようなウイルスベクターを感染させて本発明により培養される細胞としては、例えばSf-9細胞、HEK(HumanEmbryonic Kidney)293細胞、A549細胞、およびPER.C6細胞等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の培地を使用して細胞を培養し、該細胞を増殖させることを含んで成る細胞の培養方法が提供される。この場合の培養条件は、例えば培地中の酸素濃度、浸透圧、pH、培地温度等は、培養する細胞の種類、培養目的、培養量、基礎培地成分の種類等に応じて適宜変更することができる。また培養の形式は、バッチ式培養、連続式培養、還流培養などいずれの形式であってもよく、高密度培養を行ってもよい。
本発明の別の好ましい態様によれば、本発明の培地を使用して、タンパク質産生可能な細胞を培養し、該細胞を増殖させ、次いで該培地および/または該細胞から、産生されたタンパク質を採取することを含んでなるタンパク質の製造方法が提供される。タンパク質の製造方法において、本発明により好ましく製造することができるタンパク質としては、例えばモノクローナル抗体、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、プロUKもしくはUK、tPA、インスリン、グルカゴン、エリスロポエチンおよびインターロイキン-5等が挙げられる。
産生されたタンパク質の採取は、該タンパク質の化学的性質もしくは物理的性質を利用して、慣用の各種分離操作により分離精製することにより行うことができる。例えば、タンパク質沈殿剤による処理、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、および透析法等の手段、またはこれら手段の組み合わせを実施することにより、該タンパク質を分離精製し回収することができる。
本発明のさらに別の好ましい態様によれば、本発明の培地を使用して、ウイルスベクターを感染させた細胞を培養して増殖させ、該培地および/または該細胞から、ウイルスベクターを採取することを含んでなるウイルスベクターの複製方法が提供される。
本発明による複製方法により複製可能なウイルスベクターとしては、前記の各種ウイルスベクターを用いることができ、これらは必要に応じて遺伝子組み換えされたものであることができる。また、増殖させた細胞からのウイルスベクターの採取は、限外濾過および遠心分離等のような慣用の各種分離操作を適用することにより分離精製して行うことができる。このとき、ウイルスベクターの採取手段は、ウイルスベクターの種類に応じて適宜選択することが望ましい。
(MDCK(Madin-Darby Canine Kidney:犬腎臓由来細胞)を用いた、シルクパウダー(絹フィブロイン)の細胞増殖における効果の検討)
〈材料と方法〉
1.細胞の調製
検定用の細胞は、MDCK(Madin-Darby Canine Kidney:犬腎臓由来細胞)を使用した。MDCKは、予めMEM+5%FBS(コージンバイオ、LotEME03002)で継代を行いながら5% CO2の存在下、37℃にて維持培養を行い、細胞の状態を平衡化した。維持培養を行ったMDCKを、コンフルエント直前に、50ml遠心チューブ(Corning、Code430291)を用いて遠心1500 rpm、5分にて回収した。12ウェルプレート(Corning、Code 3513)に、回収した細胞を2×104個/mlの生細胞数で捲いた。
1.細胞の調製
検定用の細胞は、MDCK(Madin-Darby Canine Kidney:犬腎臓由来細胞)を使用した。MDCKは、予めMEM+5%FBS(コージンバイオ、LotEME03002)で継代を行いながら5% CO2の存在下、37℃にて維持培養を行い、細胞の状態を平衡化した。維持培養を行ったMDCKを、コンフルエント直前に、50ml遠心チューブ(Corning、Code430291)を用いて遠心1500 rpm、5分にて回収した。12ウェルプレート(Corning、Code 3513)に、回収した細胞を2×104個/mlの生細胞数で捲いた。
2.培地の調製
培地は、細胞をウェルに捲く直前に準備した。シルクパウダー(絹フィブロイン)(カネボウ株式会社 silk powder FD)は、KBM450MD2(コージンバイオ、Lot2004721)に各濃度(0.2、0.4、0.6、1mg/ml)で添加した。陽性対照培地は、前培養にも使用した培地(MEM+5% FBS(MOREGATE、Lot24300133)と、既存製品のOpti pro(Gibco、Lot1214009)を使用した。
培地は、細胞をウェルに捲く直前に準備した。シルクパウダー(絹フィブロイン)(カネボウ株式会社 silk powder FD)は、KBM450MD2(コージンバイオ、Lot2004721)に各濃度(0.2、0.4、0.6、1mg/ml)で添加した。陽性対照培地は、前培養にも使用した培地(MEM+5% FBS(MOREGATE、Lot24300133)と、既存製品のOpti pro(Gibco、Lot1214009)を使用した。
3.細胞数の計測
細胞の培養開始4日後、ウェル中の細胞を0.05% EDTA含有トリプシンで剥離し、ピペッティングで単細胞の状態にした。1% FBS含有RPMI1640で酵素反応を止め、細胞培養液と0.2%トリパンブルーを適当量で希釈し、ピペッティングでよく混和した。混和した液を用いて血球計算盤(Burker-Turk)により、細胞数の計測を行った。
細胞の培養開始4日後、ウェル中の細胞を0.05% EDTA含有トリプシンで剥離し、ピペッティングで単細胞の状態にした。1% FBS含有RPMI1640で酵素反応を止め、細胞培養液と0.2%トリパンブルーを適当量で希釈し、ピペッティングでよく混和した。混和した液を用いて血球計算盤(Burker-Turk)により、細胞数の計測を行った。
〈結果〉
図1に示すように、コントロール(MEM+5% FBS)に対し、シルクパウダー(絹フィブロイン)は0.6mg/mlの濃度で優位性を示した。また、コントロール(Opti PRO)に対しては、シルクパウダー(絹フィブロイン)は0.6〜1mg/mlの濃度で優位性を示した。
図1に示すように、コントロール(MEM+5% FBS)に対し、シルクパウダー(絹フィブロイン)は0.6mg/mlの濃度で優位性を示した。また、コントロール(Opti PRO)に対しては、シルクパウダー(絹フィブロイン)は0.6〜1mg/mlの濃度で優位性を示した。
Sf-9 cells Adapt(蛾由来細胞 GIBCO、Code 1200198)を用いた、シルクパウダー(絹フィブロイン)の細胞増殖における効果の検討
〈材料と方法〉
1.細胞の調製
検定用の細胞は、Sf-9 cells Adaptを使用した。Sf-9 cells Adaptは、予めSf-900II(Gibco、Lot1200198)で継代を行いながら、25℃にて維持培養を行い、細胞の状態を平衡化した。維持培養を行ったSf-9cells Adaptを、コンフルエント直前に、50ml遠心チューブ(Corning、Code430291)を用いて遠心1500 rpm、5分にて回収した。回収した細胞を、10×105個/ml の生細胞数で6ウェルプレート(Corning、Code3515)に捲いた。
1.細胞の調製
検定用の細胞は、Sf-9 cells Adaptを使用した。Sf-9 cells Adaptは、予めSf-900II(Gibco、Lot1200198)で継代を行いながら、25℃にて維持培養を行い、細胞の状態を平衡化した。維持培養を行ったSf-9cells Adaptを、コンフルエント直前に、50ml遠心チューブ(Corning、Code430291)を用いて遠心1500 rpm、5分にて回収した。回収した細胞を、10×105個/ml の生細胞数で6ウェルプレート(Corning、Code3515)に捲いた。
2.培地の調製
培地は、細胞をウェルに捲く直前に準備した。シルクパウダー(絹フィブロイン )(カネボウ株式会社 silk powder FD)は、KBM710(コージンバイオ、Lot041022)に添加した。対照培地は、維持培養に使用したSf-900IIと、既存品のEX-CELL420(JRH、Lot 3L0039)を使用した。
培地は、細胞をウェルに捲く直前に準備した。シルクパウダー(絹フィブロイン )(カネボウ株式会社 silk powder FD)は、KBM710(コージンバイオ、Lot041022)に添加した。対照培地は、維持培養に使用したSf-900IIと、既存品のEX-CELL420(JRH、Lot 3L0039)を使用した。
3.細胞数の計測
細胞の培養開始3日および6日後、ウェル中の細胞をピペッティングで単細胞の状態にし、細胞培養液と0.2%トリパンブルーを適当量で希釈し、ピペッティングでよく混和した。混和した液を用いて血球計算盤(Burker-Turk)により、細胞数の計測を行った。
細胞の培養開始3日および6日後、ウェル中の細胞をピペッティングで単細胞の状態にし、細胞培養液と0.2%トリパンブルーを適当量で希釈し、ピペッティングでよく混和した。混和した液を用いて血球計算盤(Burker-Turk)により、細胞数の計測を行った。
〈結果〉
図2および3に示すように既存製品Sf-900II及び、EX-CELLの両方のコントロールに対し、本発明におけるシルクパウダーをKBM710(コージンバイオ、Lot041022)に添加すると、細胞増殖能において優位性を示すことがわかった。
図2および3に示すように既存製品Sf-900II及び、EX-CELLの両方のコントロールに対し、本発明におけるシルクパウダーをKBM710(コージンバイオ、Lot041022)に添加すると、細胞増殖能において優位性を示すことがわかった。
〈材料と方法〉
1. 細胞の調製
検定用の細胞は、Sf-9 cells Adapt(蛾由来細胞 GIBCO、Code 1200198)を使用した。Sf-9細胞は、予めSf-900II(Gibco、Lot 1200198)で継代を行いながら、25℃にて維持培養を行い、細胞の状態を平衡化した。維持培養を行ったSf-9細胞を、コンフルエント直前に、50ml遠心チューブ(Corning、Code430291)を用いて遠心1500 rpm、5分にて回収した。50mL フラスコ(スミロン、Code MS2105R)に、回収した細胞を、8×105個/mlの生細胞数で(Corning、Code 3515)に捲いた。
1. 細胞の調製
検定用の細胞は、Sf-9 cells Adapt(蛾由来細胞 GIBCO、Code 1200198)を使用した。Sf-9細胞は、予めSf-900II(Gibco、Lot 1200198)で継代を行いながら、25℃にて維持培養を行い、細胞の状態を平衡化した。維持培養を行ったSf-9細胞を、コンフルエント直前に、50ml遠心チューブ(Corning、Code430291)を用いて遠心1500 rpm、5分にて回収した。50mL フラスコ(スミロン、Code MS2105R)に、回収した細胞を、8×105個/mlの生細胞数で(Corning、Code 3515)に捲いた。
2. 培地の調製
培地は、細胞をウェルに捲く直前に準備した。セップパックバックカートリッジ(日本ウォーターズ、Code WAT043345、Lot 026535255A)を用いて、シルクパウダー(絹フィブロイン)(カネボウ株式会社 silk powder FD)を親水性と疎水性フラクションに分けた。これらのフラクションを凍結乾燥によって濃縮後、重量を合わせて超純水、もしくは、超純水とエタノールの混合液に再溶解した。フラクション液各々の濃度が同じ量になるように培地に添加した。未分画のシルクパウダーを添加した培地を対照区とした。
培地は、細胞をウェルに捲く直前に準備した。セップパックバックカートリッジ(日本ウォーターズ、Code WAT043345、Lot 026535255A)を用いて、シルクパウダー(絹フィブロイン)(カネボウ株式会社 silk powder FD)を親水性と疎水性フラクションに分けた。これらのフラクションを凍結乾燥によって濃縮後、重量を合わせて超純水、もしくは、超純水とエタノールの混合液に再溶解した。フラクション液各々の濃度が同じ量になるように培地に添加した。未分画のシルクパウダーを添加した培地を対照区とした。
3. 細胞数の計測
細胞の培養開始4日後、フラスコ中の細胞をピペッティングで単細胞の状態にした。細胞培養液と0.2% トリパンブルーを適当量で希釈し、ピペッティングでよく混和した。混和した液を用いて血球計算盤(Burker-Turk)により、細胞数の計測を行った。
細胞の培養開始4日後、フラスコ中の細胞をピペッティングで単細胞の状態にした。細胞培養液と0.2% トリパンブルーを適当量で希釈し、ピペッティングでよく混和した。混和した液を用いて血球計算盤(Burker-Turk)により、細胞数の計測を行った。
〈結果〉
図4に示すように、シルクパウダーの加水分解物は、未分画、疎水性に比べ、親水性のフラクションにおいて細胞増殖活性があることがわかった。また、疎水性のあるフラクションには細胞増殖阻害活性があることがわかった。
図4に示すように、シルクパウダーの加水分解物は、未分画、疎水性に比べ、親水性のフラクションにおいて細胞増殖活性があることがわかった。また、疎水性のあるフラクションには細胞増殖阻害活性があることがわかった。
本発明によって提供される動物細胞培養用培地は幅広い動物細胞についての培養が可能であり、無血清条件で高い汎用性を実現するきわめて有用性の高い培地である。
Claims (12)
- 水溶性絹フィブロインからなる培地添加物。
- 絹フィブロインが、繭または生糸から抽出して得られたものである、請求項1に記載の培地添加物。
- 絹フィブロインの加水分解物である、請求項1または2に記載の培地添加物。
- 親水性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の培地添加物。
- 平均分子量が1,000〜10,000である請求項1〜4のいずれか1項に記載の培地添加物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の添加物を含んでなる細胞培養用培地。
- 培地全量に対して0.01〜2.0重量%の絹フィブロインを含んでなる、請求項6に記載の培地。
- 動物細胞培養用である請求項6または7に記載の培地。
- 昆虫細胞培養用である請求項6または7に記載の培地。
- 請求項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用して細胞を培養し、該細胞を増殖させることを含んでなる、細胞の培養方法。
- 請求項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用してタンパク質産生可能な細胞を培養し、該培地および/または該細胞から、産生されたタンパク質を採取することを含んでなる、タンパク質の製造方法。
- 請求項6〜9のいずれか1項に記載の培地を使用して、ウイルスベクターを感染させた細胞を培養して増殖させ、該培地および/または該細胞から、ウイルスベクターを採取することを含んでなる、ウイルスベクターの複製方法。
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Citations (3)
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JPS6152280A (ja) * | 1984-08-20 | 1986-03-14 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 細胞培養床 |
JP2002186847A (ja) * | 2000-12-19 | 2002-07-02 | National Institute Of Agrobiological Sciences | ハイドロゲルの製造方法および細胞培養支持体 |
JP2004339189A (ja) * | 2003-02-28 | 2004-12-02 | National Institute Of Agrobiological Sciences | 絹タンパクから細胞生育ペプチドの抽出と利用 |
-
2005
- 2005-12-15 JP JP2005361384A patent/JP2006204289A/ja active Pending
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