JP3906773B2 - 陰極線管制御装置及び陰極線管制御方法 - Google Patents

陰極線管制御装置及び陰極線管制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機やプロジェクションテレビ受像機などに使用される陰極線管に関するものであり、特に映像信号の鮮鋭度を改善するために使用される陰極線管制御装置及び制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の陰極線管制御においても、映像信号の鮮鋭度改善のために、信号の立ち上がり部(以下、「スタートエッジ」という。)と信号の立ち下がり部(以下、「エンドエッジ」という。また、「スタートエッジ」と「エンドエッジ」をまとめて「エッジ」という。)の輝度差を強調することが一般に行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
「トランジスタ技術SPECIAL No.52」CQ出版、1995年10月1日、第53項、図25
【0004】
図27に従来の陰極線管制御装置のブロック図を示す。図において、入力端子6からの入力映像信号は、第1の遅延手段1と増幅率が0.5倍の加算手段3とに入力される。第1の遅延手段1の出力は、第2の遅延手段2と減算手段4とに入力される。また、第2の遅延手段2の出力は加算手段3に入力され、加算手段3の出力は減算手段4に入力される。さらに、減算手段4の出力は利得可変増幅器5に入力され、利得可変増幅器5の出力は変調信号出力端子7に入力される。
【0005】
次に、従来の陰極線管制御装置により順次入出力あるいは生成される信号の波形を、図28にパターン3−A、3−B、図29にパターン3−C、3−D、図30にパターン3−E、3−Fとして示す。これらの図において横軸は時間、縦軸は相対輝度を表す。なお、相対輝度とは、いわゆるIRE等で表現された輝度を無次元化したものである。入力端子6からの入力映像信号はパターン3−Aであり、この入力映像信号を第1の遅延手段1により所定期間tだけ遅延した第1の遅延信号が、パターン3−Bである。また、第1の遅延信号を第2の遅延手段2によりさらに所定期間tだけ遅延した第2の遅延信号が、パターン3−Cである。加算手段3は、パターン3−Aの入力映像信号とパターン3−Cの第2の遅延信号とを加算し、増幅率0.5倍に基づく演算処理をした後、パターン3−Dである信号を減算手段4に出力する。減算手段4は、パターン3−Bの第1の遅延信号からパターン3−Dである信号を減算し、パターン3−Eの変調信号を利得可変増幅器5に出力する。そして、変調信号が利得可変増幅器5から出力端子7に出力される。このパターン3−Eの変調信号と、タイミングを合わせたパターン3−Bの第1の遅延信号とを組み合わせると、パターン3−Fの信号が得られる。
【0006】
従来の陰極線管制御装置により生成される信号の波形は、上記の通りパターン3−Fとなり、スタートエッジ及びエンドエッジが強調された波形となる。一般に、人間の視覚は輝度の差が大きい個所を輪郭として認識し、輝度差が大きくなるにしたがって、よりはっきりとした輪郭として認識する傾向にある。従って、パターン3−Bの第1の遅延信号よりも、エッジが強調されているパターン3−Fの信号の方が画面上ではより明確な輪郭として認識される。
従来の陰極線管制御装置は上記のような信号処理を行いエッジを強調し、鮮鋭度の改善を行っている。
【0007】
ところで、実際は映像信号がパターン3−Aのような矩形波を示す場合だけではなく、パターン4−Aのように、輝度が徐々に変化する波形を示す場合もある。パターン4−Aでは、スタートエッジにおいて、相対輝度が0から10に到達するまでに、2tから6tまでの期間4tが必要であり、同様に、エンドエッジにおいて、相対輝度が10から0に到達するまでに11tから15tまでの期間4tが必要である。
また、パターン4−Aにおけるスタートエッジの3tの時点や、エンドエッジにおける12tの時点のように、エッジに輝度の変化量が変わる点が存在することもある。従来の陰極線管制御装置では、エッジに輝度の変化量が変わる点がある4−Aのようなパターンの信号を処理した場合、以下のような問題が発生していた。
【0008】
パターン4−Aの入力映像信号が信号処理された場合について、図31にパターン4−A、4−B、図32にパターン4−C、4−D、図33にパターン4−E、4−Fとして示す。ただし、入力映像信号の波形が上記の例とは異なる以外は同じ信号処理が行われるので、信号処理の詳細な説明は省略する。
【0009】
パターン4−Aの入力映像信号が従来の陰極線管制御装置により処理されると、生成される信号はパターン4−Fに示す波形となる。パターン4−Fは、スタートエッジの開始部である3tや、エンドエッジの開始部である12tにおいてエッジが強調された波形となる。これらのエッジの強調は、上述したパターン3−Fにおけるスタートエッジの開始部である5tから6tや、エンドエッジの開始部である15tから16tにおけるエッジの強調と同様の効果を有し、従って、鮮鋭度の改善を確認できる。
【0010】
しかし、パターン4−Fでは、スタートエッジの4tやエンドエッジの13tの時点のような相対輝度(以下、「輝度」ともいう。)の変化量が変わる点においても、その変化が強調されるような波形となっている。従って、スタートエッジを画面に表示すると、4tの時点において急激に明るくなった後5tの時点で一旦暗くなり、その後徐々に明るくなり8tの時点から輝度が一定になる変化が確認でき、その結果、輪郭が2重に見えてしまう問題が発生する。同じように、エンドエッジを画面に表示すると、13tの時点で急激に暗くなった後14tの時点で一旦明るくなり、その後徐々に暗くなり16tの時点から輝度が一定になる変化が確認でき、やはり輪郭が2重に見えてしまう問題が発生する。このような輪郭が複数に見えてしまう現象は一般にリンギングと呼ばれ、画質低下の一要素となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の陰極線管制御装置により生成された信号は上記のように、スタートエッジやエンドエッジで輝度の変化量が変わる点があると、その点における輝度の変化が強調されてしまい、画像の輪郭が2重に見えるリンギングが発生する問題点があった。さらに、輝度の変化量が変わる点がエッジに複数ある場合は、輪郭が2重、又は3重以上に見えることとなり、問題はより深刻になってしまう。
【0012】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、エッジに輝度の変化量が変わる点がある場合でもリンギングの発生を抑制し、良好な鮮鋭度の改善ができる陰極線管制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る陰極線管制御装置は、
入力映像信号と当該入力映像信号を所定期間遅延した第1の遅延信号とに基づき第1の差分信号を出力する第1の演算手段と、
前記第1の遅延信号と当該第1の遅延信号を前記所定期間さらに遅延した第2の遅延信号とに基づき第2の差分信号を出力する第2の演算手段と、
前記入力映像信号における黒レベル部を検出する第1のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第1の比較信号として出力する第1の比較手段と、
前記入力映像信号における白レベル部を検出する、第1のしきい値より相対輝度が高い第2のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第2の比較信号として出力する第2の比較手段と、
前記第1の差分信号、前記第2の差分信号、前記第1の比較信号及び前記第2の比較信号に基づいて、黒レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジ並びに白レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジを変調する部分変調信号を得、当該部分変調信号に基づいて、陰極線管の電子ビームを制御するための変調信号を生成する変調信号生成手段と、
を備えることとしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる陰極線管制御装置を図を用いて説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1に本発明の陰極線管制御装置の一実施形態の構成を示す。
本実施の形態に係る陰極線管制御装置は、映像信号中の黒レベル部と白レベル部とを検出した後、さらに黒レベル部のスタートエッジ、黒レベル部のエンドエッジ、白レベルのスタートエッジ、及び白レベル部のエンドエッジの輝度の変化量を検出し、各エッジにおいて所定値以上の変化量が所定期間以上継続した時、部分変調信号を得られるように構成する。ここで、部分変調信号とは黒レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジ、並びに白レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジの各エッジにおいて得られた変調信号をいい、各部分変調信号を用いて最終的な変調信号を生成する。
また一般に、黒レベルとは輝度の低い状態を、白レベルとは輝度の高い状態をいい、本願においても、第1のしきい値以下の、相対輝度が低い状態を黒レベルといい、第1のしきい値より相対輝度の高い第2のしきい値以上の、相対輝度が高い状態を白レベルという。
【0016】
また、白レベル部のスタートエッジとエンドエッジから得られた部分変調信号は、画像の白レベル面積が拡大しないような構成を採る。すなわち、白レベル部のエッジから得られた2つの部分変調信号は、互いの時間的な前後関係を維持しつつ出力する。一方黒レベル部のエッジから得られた部分変調信号は、画像の黒レベル部の面積が拡大するような構成を採る。すなわち、エンドエッジの部分変調信号を所定期間遅延して出力した場合、スタートエッジの部分変調信号は所定期間よりさらに遅延量を大きくして出力し、時間的な前後関係を変化させて構成する。このような構成を採用すると、白レベル部のピーク値を高め、鮮鋭度を改善する効果が高まる。白レベル部のピーク値を高める効果について、以下に説明する。
【0017】
一般に、画面全体の輝度は陰極線管に流す電子ビームの電流量によって決定される。従って、陰極線管に流す電子ビームの電流量が大きくなれば、画面全体の輝度が増す。また一方、陰極線管における電子ビームの電流量は、一般に平均電流値で規定されている。そのため、画面全体の輝度は電子ビームの平均電流量によって決定されると言い換えてもよい。
今、画面の画素のほとんどが輝度の低い黒レベル部の状態であり、一部の画素のみ輝度の高い白レベル部の場合を考える。このような場合、白レベル部の画素のみ輝度を上げて表示すればよいが、上述のように画面全体の輝度は電子ビームの平均電流量で決定されるので、画面全体が輝度の高い白レベル部の場合と比較して、より大きな電流量を白レベル部の画素に割り当てることができる。従って、画像の黒レベル部の面積を拡大し、白レベル部の面積を縮小すると、白レベル部のピーク値が高まり、画像の鮮鋭度改善に役立つ効果がある。
【0018】
図1に実施の形態1に係る陰極線管制御装置のブロック図、図2から図12には以下に詳細を説明する信号処理を行った信号の波形をそれぞれ示す。すなわち、図2にパターン1−A、1−B、図3にパターン1−C、1−D、図4にパターン1−E、1−F図5にパターン1−G、1−H、図6にパターン1−I、1−J、図7にパターン1−K、1−L、図8にパターン1−M、1−N、図9にパターン1−O、1−P、図10にパターン1−Q、1−R、図11にパターン1−S、1−T、図12にパターン1−R、1−S、及び1−Tとして示す。
【0019】
<遅延手段>
入力端子6からの入力映像信号は、第1の遅延手段8と第1の演算手段10とに入力される。入力映像信号の波形はパターン1−Aである。第1の遅延手段8によって所定期間tだけ遅延された第1の遅延信号は、第2の遅延手段9、第1の演算手段10、第2の演算手段11、第1の比較手段12及び第2の比較手段14とに入力される。第1の遅延信号の波形はパターン1−Bとなる。第2の遅延手段9に入力された第1の遅延信号は、さらに所定期間tだけ遅延された第2の遅延信号となり、第2の演算手段11に入力される。このとき、第2の遅延信号の波形はパターン1−Cとなる。
すなわち、第1の遅延手段8及び第2の遅延手段9は、後述するように、第1の遅延信号と第2の遅延信号とを生成する機能を有している。
【0020】
<比較手段>
次に、比較手段について説明する。第1の比較手段12は、入力映像信号のどの部分が黒レベル部であるかを検出する機能を有し、第2の比較手段14は、入力映像信号のどの部分が白レベル部であるかを検出する機能を有する。
【0021】
<第1の比較手段>
第1の比較手段12は黒レベル設定部13から入力される第1のしきい値を基準とし、相対輝度が第1のしきい値以下の場合は入力された信号の波形をそのまま出力し、相対輝度が第1のしきい値を超える場合は相対輝度10を出力するよう構成する。この構成により、第1のしきい値以下の部分は黒レベル部と判断し、黒レベル部以外の部分については相対輝度10の白レベル部として波形を生成する。本実施の形態では、第1のしきい値を相対輝度2とする。従って、第1の比較手段12に第1の遅延信号が入力された場合、出力される第1の比較信号の波形はパターン1−Fとなり、黒レベル部は1t、2t、3t、及び14tから19tの各時点となる。
【0022】
<第2の比較手段>
同様に、第2の比較手段14は白レベル設定部32から入力される第2のしきい値を基準とし、相対輝度が第2のしきい値以上の場合は入力された信号の波形をそのまま出力し、相対輝度が第2のしきい値より小さい場合は相対輝度0を出力するよう構成する。この構成により、第2のしきい値以上の部分は白レベル部と判断し、白レベル部以外の部分については相対輝度0の黒レベル部として波形を生成する。本実施の形態では、第2のしきい値を相対輝度9とする。したがって、第2の比較手段14に第1の遅延信号が入力された場合、出力される第2の比較信号の波形はパターン1−Gとなり、白レベル部は6tから12tの各時点となる。
【0023】
黒レベル部を検出した第1の比較信号は、黒レベル部の部分変調信号を生成する第1の部分変調信号生成部18と第4の部分変調信号生成部22に入力される。白レベル部を検出した第2の比較信号は、白レベル部の部分変調信号を生成する第2の部分変調信号生成部20と第3の部分変調信号生成部21に入力される。
なお、本実施の形態では、第1のしきい値を相対輝度2と設定しているが、設定値を変更することも可能である。同様に、相対輝度9と設定している第2のしきい値も、変更することが可能である。
また、回路構成を簡単にするため、検出対象を第1の遅延信号としたが、入力映像信号や第2の遅延信号を検出対象としてもよい。所定期間の遅延がある以外は波形が同じだからである。
【0024】
<演算手段>
さらに、演算手段の説明をする。第1の演算手段10は、黒レベル部のスタートエッジ及び白レベル部のエンドエッジのそれぞれの部分変調信号を得るために用いられる第1の差分信号を出力する機能を有する。同様に、第2の演算手段11は、黒レベル部のエンドエッジ及び白レベル部のスタートエッジのそれぞれの部分変調信号を得るために用いられる第2の差分信号を出力する機能を有する。
【0025】
第1の演算手段10は、パターン1−Bの第1の遅延信号からパターン1−Aの入力映像信を減算し、パターン1−Dである第1の差分信号を出力する。同様に、第2の演算手段11は、パターン1−Cの第2の遅延信号からパターン1−Bの第1の遅延信号を減算し、パターン1−Eである第2の差分信号を出力する。第1の差分信号は、白レベル部のエンドエッジの部分変調信号を生成する第3の部分変調信号生成部21と、黒レベル部のスタートエッジの部分変調信号を生成する第4の部分変調信号生成部22とに向けてそれぞれ出力される。同様に、第2の差分信号は、白レベル部のスタートエッジの部分変調信号を生成する第2の部分変調信号生成部20と、黒レベル部のエンドエッジの部分変調信号を生成する第1の部分変調信号生成部18とに向けてそれぞれ出力される。
【0026】
<波形極性反転手段>
但し、後述の信号処理のため、第1の差分信号は、第1の波形極性反転手段16によりパターン1−Iの第1の反転信号とされた後、第4の部分変調信号生成部22に入力される。同様に、第2の差分信号は、第2の波形極性反転手段15によりパターン1−Hの第2の反転信号とされた後、第2の部分変調信号生成部20に入力される。
【0027】
<部分変調信号生成部>
さらに、変調信号生成手段における、部分変調信号生成部の説明をする。この部分変調信号生成部は、黒レベル部のスタートエッジの部分変調信号、黒レベル部のエンドエッジの部分変調信号、白レベル部のスタートエッジの部分変調信号、及び白レベル部のエンドエッジの部分変調信号を得る、それぞれの部分変調信号生成部から構成される。
【0028】
<第1の部分変調信号生成部>
まず、第1の部分変調信号生成部18について説明する。この第1の部分変調信号生成部18は、黒レベル部のエンドエッジの部分変調信号を生成する機能を有する。すなわち、入力映像信号の黒レベル部のエンドエッジあると検出された付近において、輝度の変化量が所定値以上、かつ、所定の検出期間以上継続している場合、黒レベル部のエンドエッジの部分変調信号を生成する。
【0029】
以下、その手順を説明する。第1の部分変調信号生成部18には、入力映像信号のどの部分が黒レベルであるかを検出したパターン1−Fの第1の比較信号と、黒レベル部のエンドエッジを得るために用いられるパターン1−Eの第2の差分信号とが入力される。また、変化量設定部19において、検出する輝度の変化量を1、検出する所定期間を3tと設定し、これらも第1の部分変調信号生成部18に入力される。
【0030】
パターン1−Fの第1の比較信号において、相対輝度が2以下である黒レベル部は、1t、2t、3t、及び14tから19tである。但し、第1の部分変調信号生成部は黒レベル部のエンドエッジの部分変調信号を生成する機能を有しており、検出対象となるのは14tから19tである。従って、パターン1−Eの第2の差分信号において、14tから19tの各時点が検出対象となる。
【0031】
今、14tの時点を考える。変化量設定部19において、検出する輝度の変化量は1、検出する所定期間を3tと設定している。従って、パターン1−Eの第2の差分信号において14t自身を基準とし、14t、13t、及び12tの各時点における変化量を確認する。なお、第2の差分信号は、上述したように、第2の遅延信号から第1の遅延信号を減算した信号であり、各時点における変化量を表した波形である。従って、第2の差分信号における相対輝度が各時点の変化量であり、各時点の相対輝度が1以上か否かを確認すればよい。
【0032】
また、基準時点を14tとした場合、基準時点14t及び、基準時点より前の13t、12tの時点における変化量を対象とするのは下記の理由による。
パターン1−Fの第1の比較信号において、白レベル部が終了し黒レベル部が開始するのは14tの時点からであり、その後信号の終了まで黒レベル部が続く。従って、黒レベル部のエンドエッジについての部分変調信号を生成するためには、黒レベル部に移行した14t付近の変化量を確認する必要があり、また、黒レベル部に移行するまでの変化量、及び黒レベル部に移行した後で相対輝度が0になるまでの変化量が重要となる。そのため、基準時点を定めた場合、その基準時点より以前の変化量を対象とする。
【0033】
パターン1−Eの第2の差分信号において14tは変化量1、13tは変化量7、12tは変化量0である。従って、14tの時点は、変化量設定部19にて設定した条件には適合しない。
次に、15tの時点を考える。15t自身を基準とし、15t、14t、及び13tの各時点における変化量を確認する。
15tは変化量1、14tは変化量1、13tは変化量7である。従って、15tの時点は、変化量設定部19にて設定した条件に適合するため、15tの時点において部分変調信号を生成する。なお、15tの時点において生成される部分変調信号の値は、15tの時点における変化量1である。
【0034】
同様に、16tの時点を考える。16t自身を基準とし、16t、15t、及び14tの各時点における変化量を確認する。
16tは変化量1、15tは変化量1、14tは変化量1である。従って、16tの時点も、変化量設定部19にて設定した条件に適合するので、16tの時点においても部分変調信号を生成する。16tの時点において生成される部分変調信号の値は、16tの時点における変化量1である。
なお、17t以降は各時点における変化量が0となるので、変化量設定部19にて設定した条件に適合しない。
以上より、黒レベル部のエンドエッジにおける部分変調信号の波形は、パターン1−Jのようになる。
【0035】
<第2の部分変調信号生成部>
次に、第2の部分変調信号生成部20について説明する。この第2の部分変調信号生成部20は、白レベル部のスタートエッジの部分変調信号を生成する機能を有する。すなわち、入力映像信号の白レベル部のスタートエッジであると検出された付近において、輝度の変化量が所定値以上、かつ、所定の検出期間以上継続している場合、白レベル部のスタートエッジの部分変調信号を生成する。
【0036】
その手順は、上記の<第1の部分変調信号生成部>の場合と同様である。第2の部分変調信号生成部20には、入力映像信号のどの部分が白レベルであるかを検出した、パターン1−Gの第2の比較信号と、白レベル部のスタートエッジを得るために用いられるパターン1−Hの第2の反転信号とが入力される。また、変化量設定部19において検出する輝度の変化量を1、検出する所定期間を3tと設定し、これらも第2の部分変調信号生成部20に入力される。
【0037】
パターン1−Gの第2の比較信号において、相対輝度が9以上である白レベル部は、6tから12tである。従って、パターン1−Hの第2の反転信号の6tから12tの各時点が検出対象となる。
【0038】
今、6tの時点を考える。変化量設定部19において、検出する輝度の変化量は1、検出する所定期間を3tと設定している。従って、パターン1−Hの第2の反転信号において6t自身を基準とし、6t、5t、及び4tの各時点における変化量を確認する。なお、第2の反転信号は、上述したように、第2の遅延信号から第1の遅延信号を減算した第2の差分信号の極性を反転した信号であり、各時点における変化量を表した波形である。第2の差分信号の極性を反転させ、第2の反転信号を生成した理由は、変化量設定部19において変化量が正の値に設定されているからである。従って、第2の反転信号における相対輝度が各時点の変化量であり、各時点の相対輝度が1以上か否かを確認すればよい。
【0039】
また、基準時点6tとした場合、基準時点6t及び、基準時点より前の5t、4tの時点における変化量を対象とするのは、<第1の部分変調信号生成部>と同様の理由による。
即ち、パターン1−Gの第2の比較信号において、黒レベル部が終了し白レベル部が開始するのは6tの時点からであり、その後12tの時点まで白レベル部が続く。従って、白レベル部のスタートエッジについての部分変調信号を生成するためには、白レベル部に移行した6t付近の変化量を確認する必要があり、また、白レベル部に移行するまでの変化量、及び白レベル部に移行した後で相対輝度が10になるまでの変化量が重要となる。そのため、基準時点を定めた場合、その基準時点より以前の変化量を対象とする。
【0040】
パターン1−Hの第2の反転信号において6tは変化量1、5tは変化量1、4tは変化量7である。従って、6tの時点は、変化量設定部19にて設定した条件には適合するため、6tの時点において部分変調信号を生成する。なお、6tの時点において生成される部分変調信号の値は、6tの時点における変化量1である。
同様に、7tの時点を考える。7t自身を基準とし、7t、6t、及び5tの各時点における変化量を確認する。
7tは変化量1、6tは変化量1、5tは変化量1である。従って、7tの時点も、変化量設定部19にて設定した条件に適合するため、7tの時点においても部分変調信号を生成する。なお、7tの時点において生成される部分変調信号の値は、7tの時点における変化量1である。
【0041】
なお、8t以降は各時点における変化量が0となるので、変化量設定部19にて設定した条件に適合しない。
以上より、白レベル部のスタートエッジにおける部分変調信号の波形は、パターン1−Kのようになる。
【0042】
<第3の部分変調信号生成部>
さらに、第3の部分変調信号生成部21について説明する。この第3の部分変調信号生成部21は、白レベル部のエンドエッジの部分変調信号を生成する機能を有する。すなわち、入力映像信号の白レベル部のエンドエッジであると検出された付近において、輝度の変化量が所定値以上、かつ、所定の検出期間以上継続している場合、白レベル部のエンドエッジの部分変調信号を生成する。
【0043】
第3の部分変調信号生成部21には、入力映像信号のどの部分が白レベルであるかを検出したパターン1−Gの第2の比較信号と、白レベル部のエンドエッジを得るために用いられるパターン1−Dの第1の差分信号とが入力される。また、変化量設定部19において、検出する輝度の変化量を1、検出する所定期間を3tと設定し、これらも第3の部分変調信号生成部21に入力される。
【0044】
パターン1−Gが第2の比較信号において、相対輝度が9以上である白レベル部は6tから12tまでである。従って、パターン1−Dの第1の差分信号において、6tから12tの各時点が検出対象となる。
【0045】
今、12tの時点を考える。変化量設定部19において、検出する輝度の変化量は1、検出する所定期間を3tと設定している。従って、パターン1−Dの第1の差分信号おいて12t自身を基準とし、12t、13t、及び14tの各時点における変化量を確認する。なお、第1の差分信号は、上述したように、第1の遅延信号から入力映像信号を減算した信号であり、各時点における変化量を表した波形である。従って、第1の差分信号における相対輝度が各時点の変化量であり、各時点の相対輝度が1以上か否かを確認すればよい。
【0046】
また、基準時点を12tとした場合、基準時点12t及び、基準時点より後の13t、14tの時点における変化量を対象とするのは下記の理由による。
パターン1−Gの第2の比較信号において、白レベル部が終了するのは12tの時点であり、その後信号の終了まで黒レベル部が続く。従って、白レベル部のエンドエッジについての部分変調信号を生成するためには、白レベル部が終了し黒レベル部へ移行する12t付近の変化量を確認する必要があり、また、白レベル部が終了した後の変化量が重要となる。そのため、基準時点を定めた場合、その基準時点より以後の変化量を対象とする。
【0047】
パターン1−Dの第1の差分信号おいて12tは変化量7、13tは変化量1、14tは変化量1である。従って、12tの時点は、変化量設定部19にて設定した条件には適合するため、12tの時点において部分変調信号を生成する。なお、12tの時点において生成される部分変調信号の値は、12tの時点における変化量7である。
同様に、11tの時点を考える。11t自身を基準とし、11t、12t、及び13tの各時点における変化量を確認する。
11tは変化量0、12tは変化量7、13tは変化量1である。従って、11tの時点は、変化量設定部19にて設定した条件に適合しない。
【0048】
なお、上記で説明した11tを含めて10t以前は各時点における変化量が0となるので、変化量設定部19にて設定した条件に適合しない。
【0049】
以上より、白レベル部のエンドエッジにおける部分変調信号の波形は、パターン1−Lのようになる。
【0050】
<第4の部分変調信号生成部>
最後に、第4の部分変調信号生成部22について説明する。この第4の部分変調信号生成部22は、黒レベル部のスタートエッジの部分変調信号を生成する機能を有する。すなわち、入力映像信号の黒レベル部のスタートエッジであると検出された付近において、輝度の変化量が所定値以上、かつ、所定の検出期間以上継続している場合、黒レベル部のスタートエッジの部分変調信号を生成する。
【0051】
第4の部分変調信号生成部22には、入力映像信号のどの部分が黒レベルであるかを検出したパターン1−Fの第1の比較信号と、黒レベル部のスタートエッジを得るために用いられるパターン1−Iの第1の反転信号とが入力される。また、変化量設定部19において、検出する輝度の変化量を1、検出する所定期間を3tと設定し、これらも第1の部分変調信号生成部18に入力される。
【0052】
パターン1−Fの第1の比較信号において、相対輝度が2以下である黒レベル部は、1t、2t、3t、及び14tから19tである。但し、第4の部分変調信号生成部は黒レベル部のスタートエッジの部分変調信号を生成する機能を有しており、検出対象となるのは1t、2t、及び3tである。従って、パターン1−Iの第1の反転信号において、1t、2t及び3tの各時点が検出対象となる。
【0053】
今、3tの時点を考える。変化量設定部19において、検出する輝度の変化量は1、検出する所定期間を3tと設定している。従って、パターン1−Iの第1の反転信号において3t自身を基準とし、3t、4t、及び5tの各時点における変化量を確認する。なお、第1の反転信号は、上述したように、第1の遅延信号から入力映像信号を減算した第1の差分信号の極性を反転した信号であり、各時点における変化量を表した波形である。第1の差分信号の極性を反転させ、第1の反転信号を生成した理由は、変化量設定部19において変化量が正の値に設定されているからである。従って、第1の反転信号における相対輝度が各時点の変化量であり、各時点の相対輝度が1以上か否かを確認すればよい。
【0054】
また、基準時点を3tとした場合、基準時点3t及び、基準時点より後の4t、5tの時点における変化量を対象とするのは、<第3の部分変調信号生成部>と同様の理由による。
即ち、パターン1−Fの第1の比較信号において、黒レベル部が終了するのは3tの時点であり、その後13tの時点まで白レベル部が続く。従って、黒レベル部のスタートエッジについての部分変調信号を生成するためには、黒レベル部が終了し白レベル部へ移行する3t付近の変化量を確認する必要があり、また、黒レベル部が終了した後の変化量が重要となる。そのため、基準時点を定めた場合、その基準時点より以後の変化量を対象とする。
【0055】
パターン1−Iの第1の反転信号において3tは変化量7、4tは変化量1、5tは変化量1である。従って、3tの時点は、変化量設定部19にて設定した条件に適合するため、3tの時点において部分変調信号を生成する。なお、3tの時点において生成される部分変調信号の値は、3tの時点における変化量7である。
次に、2tの時点を考える。2t自身を基準とし、2t、3t、及び4tの各時点における変化量を確認する。
2tは変化量0、3tは変化量7、4tは変化量1である。従って、2tの時点は、変化量設定部19にて設定した条件に適合しない。
さらに、1tの時点を考える。1t自身を基準とし、1t、2t、及び3tの各時点における変化量を確認する。1tは変化量0、2tは変化量0、3tは変化量7である。従って、1tの時点も、変化量設定部19にて設定した条件に適合しない。
【0056】
以上より、黒レベル部のスタートエッジにおける部分変調信号の波形は、パターン1−Mのようになる。
【0057】
<部分変調信号出力部>
さらに、変調信号生成手段における、部分変調信号出力部の説明をする。部分制御信号出力部は、部分変調信号生成部で生成された信号に所定の遅延量を与え、部分変調信号を出力する機能を有する。
【0058】
すなわち、白レベル部のスタートエッジとエンドエッジから得られた部分変調信号は、互いの時間的な前後関係を崩すことなく出力し、一方黒レベル部のエッジから得られた部分変調信号は、エンドエッジの部分変調信号を所定期間遅延して出力した場合、スタートエッジの部分変調信号は所定期間よりさらに遅延量を大きくして出力し、時間的な前後関係を変化させて構成する。
【0059】
各々の出力タイミングは、黒レベル部のエンドエッジから得られた第1の部分変調信号を基準とする。
まず、黒レベル部のエンドエッジから得られた第1の部分変調信号は、第1の部分変調信号出力部23から出力される。その後、白レベル部のスタートエッジから得られた第2の部分変調信号は第2の部分変調信号出力部24から、及び白レベル部のエンドエッジから得られた第3の部分変調信号は第3の部分変調信号出力部25から、それぞれ第1の所定期間期間遅延して出力される。さらに、第1の部分変調信号の出力タイミングから第2の期間遅延して、黒レベル部のスタートエッジから得られた第4の部分変調信号を第4の部分変調信号出力部26から出力する。
その後、第1から第4の部分変調信号は各々増幅器27〜30を経て、変調信号を生成する第3の演算手段31に出力される。
【0060】
<第1の部分変調信号出力部>
第1の部分変調信号出力部23に入力される第1の部分変調信号は、黒レベル部のエンドエッジの部分変調信号である。後述する白レベル部の変調信号の出力タイミングとの関係から、第1の部分変調信号出力部23からは遅延量0で、第1の増幅器27に出力される。従って遅延量が0である第1の部分変調信号は、後述する第2から第4の部分変調信号に対して出力タイミングが早くなる。これは、黒レベル部のエンドエッジが時間的に前に移動したことを意味し、従って画像の黒レベル部の面積が拡大する。
本実施の形態では、第1の部分信号出力部の後段に設けた第1の増幅器27の増幅率を1とする。従って、第1の増幅器27から出力される第1の部分変調信号の波形は、パターン1−Nである。
【0061】
<第2の部分変調信号出力部>
第2の部分変調信号出力部24に入力される第2の部分変調信号は、白レベル部のスタートエッジの部分変調信号である。第1の部分変調信号、及び第4の部分変調信号の出力タイミングとの関係から、第2の部分変調信号は遅延量を第1の所定期間tとして第2の部分変調信号出力部24から出力される。
第2部分変調信号出力部の後段に設けられた第2の増幅器28の増幅率を1とする。従って、第2の増幅器28から出力される第2の部分変調信号の波形は、パターン1−Oである。
【0062】
<第3の部分変調信号出力部>
第3の部分変調信号出力部25に入力される第3の部分変調信号は、白レベル部のエンドエッジの部分変調信号である。従って、第2の部分変調信号と同様、第3の部分変調信号も、遅延量を第1の所定期間tとして第3の部分変調信号出力部29から出力される。従って、遅延量がtである第2の部分変調信号と第3の部分変調信号は、両者間の出力タイミングは変化しない。従って、白レベル部のスタートエッジとエンドエッジの時間的な前後関係が変化することはなく、画像の白レベル部の面積は変化しない。
第3部分変調信号に設けられた第3の増幅器29の増幅率を1とする。従って、第3の増幅器29ら出力される第2の部分変調信号の波形は、パターン1−Pである。
【0063】
<第4の部分変調信号出力部>
第4の部分変調信号出力部26に入力される第4の部分変調信号は、黒レベル部のスタートエッジの部分変調信号である。前述した第1から第3の部分変調信号の出力タイミングとの関係から、第4の部分変調信号は遅延量を第2の所定期間2tとして第4の部分変調信号出力部26から出力される。従って、第4の部分変調信号は、第1から第3の部分変調信号に対して出力タイミングが遅くなる。これは、黒レベル部のスタートエッジの出力タイミングが時間的に後ろに移動したことを意味し、従って、画像の黒レベル部の面積が拡大する。
第4部分変調信号に設けられた第4の増幅器30の増幅率を1とする。従って、第4の増幅器30ら出力される第2の部分変調信号の波形は、パターン1−Pである。
【0064】
なお、本実施の形態では、各部分変調信号出力部の遅延量は、所定期間tを基準としたが、各々の部分変調信号における時間的な前後関係が維持されればよいので、第1の部分変調信号出力部23における遅延量をt’、第2の部分変調信号出力部24、及び第3の部分変調信号出力部25における第1の所定期間を遅延量t’+t、第4の部分変調信号出力部26における第2の所定期間を遅延量t’+2tと構成してもよい。
また、本実施の形態では各増幅器の増幅率をすべて1と設定したが、変更することも可能である。
【0065】
<変調信号生成>
第3の演算手段31は、原映像信号と合成する、変調信号を生成する機能を有する。すなわち、第1の部分変調信号、第2の部分変調信号、第3の部分変調信号、及び第4の部分変調信号に基づいて、映像信号と合成する最終的な変調信号を生成する。
第3の演算手段31は、白レベル部の信号である第2の部分変調信号と第3の部分変調信号を加算し、黒レベル部の信号である第1の部分変調信号と第4の部分変調信号を減算する演算を行い、パターン1−Rに示す波形の変調信号を変調信号出力端子7に入力する。そして、変調信号は、変調信号出力端子7から出力される。
【0066】
一方、第3の遅延手段17に入力された第1の遅延信号は、所定期間tだけ遅延され、パターン1−Sに示す波形の原映像信号となり、原映像信号出力端子33から出力される。なお、第3の遅延手段17における遅延量を変更すると、第3の遅延手段17に入力する信号は、入力映像信号や第2の遅延信号も可能となる。原映像信号と変調信号とを加算した信号が、パターン1−Tに示す波形となる。
本実施の形態に係る陰極線管制御装置により生成された信号は、パターン1−Tに示す波形となり、エッジに輝度の変化量が変わる点があってもリンギングの発生が抑制されていることが確認できる。また、入力された映像信号と比較すると、5t、16tの時点で相対輝度が0となり、黒レベル面積が拡大し、鮮鋭度の改善が確認できる。
【0067】
実施の形態2.
図13に本発明の陰極線管制御装置の他の実施形態の構成を示す。
本実施の形態に係る陰極線管制御装置は、黒レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジ、並びに白レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジにおいて輝度の変化量を検出する場合、検出のための所定期間を各部分変調信号生成手段毎に設定可能に構成する。
【0068】
図13に実施の形態2に係る陰極線管制御装置のブロック図、図14から図19に各処理を行った信号の波形をそれぞれ示す。すなわち、図14にパターン2−J、2−K、図15にパターン2−L、2−M、図16にパターン2−N、2−O、図17にパターン2−P、2−Q、図18にパターン2−R、2−S、図19にパターン2−T、並びにパターン2−R、2−S、及び2−Tとして示す。図13において、図1と同じ構成要素には同じ番号を付している。
【0069】
本実施の形態では、第1の部分変調信号生成部18に第1の検出期間設定部34から、第2の部分変調信号生成部20に第2の検出期間設定部35から、第3の部分変調信号生成部21に第3の検出期間設定部36から、及び第4の部分変調信号生成部22に第4の検出期間設定部37から、それぞれ独自に検出のための所定期間を設定可能な構成とした。従って、変化量設定部19からは、検出する輝度の変化量のみが、各部分変調信号生成部に入力される。
【0070】
なお実施の形態1と同様、黒レベル設定部13における第1のしきい値を相対輝度2、白レベル設定部32における第2のしきい値を相対輝度9、変化量設定部19における変化量を相対輝度1、第1の部分変調信号出力部23の遅延量を0、第2の部分変調信号出力部24及び第3の部分変調信号出力部25の遅延量を第1の所定期間t、第4の部分変調信号出力部26の遅延量を第2の所定期間2t、並びに各増幅器の増幅率を1と各々設定し、各手段、各部において実施の形態1と同様の信号処理を行う。
【0071】
本実施の形態に係る陰極線管制御装置において、波形がパターン1−Aのような入力映像信号を入力すると、パターン2−Aからパターン2−Iに現れる波形は、パターン1−Aからパターン1−Iに示される波形と同じとなる。しかし、第1から第4の検出期間設定部において、輝度の変化量を検出するための所定期間を2tに設定すると、各部分変調信号生成部から出力される部分変調信号は、第1の部分変調信号がパターン2−J、第2の部分変調信号がパターン2−K、第3の部分変調信号がパターン2−L、及び第4の部分変調信号がパターン2−Mに示す波形となる。
【0072】
さらに、第1の部分変調信号は、第1の部分変調信号出力部23と第1の増幅器27を経て、波形がパターン2−Nの第1の部分変調信号になる。第2の部分変調信号は、第2の部分変調信号出力部24と第1の増幅器28を経て、波形がパターン2−Oの第2の部分変調信号になる。第3の部分変調信号は、第3の部分変調信号出力部25と第1の増幅器29を経て、波形がパターン2−Pの第3の部分変調信号になる。第4の部分変調信号は、第4の部分変調信号出力部26と第1の増幅器30を経て、波形がパターン2−Qの第4の部分変調信号になる。
【0073】
第3の演算手段31は、第2の部分変調信号と第3の部分変調信号とを加算し、第1の部分変調信号と第4の部分変調信号とを減算し、波形がパターン2−Rである変調信号を、変調信号出力端子7に入力する。一方、第3の遅延回路17により出力タイミングを、波形がパターン1−Sと同形となる原映像信号パターン2−Sは、原映像信号出力端子33から出力される。変調信号出力端子7から出力される変調信号と原映像信号とを加算し得られた信号は、パターン2−Tに示す波形となる。
【0074】
本実施の形態では、各部分変調信号生成部毎において、それぞれ独自に検出のための所定期間を設定可能な構成とした。従って、各エッジ毎に検出のための所定期間を最適に設定できる。
【0075】
さらに、図20に示すように、黒レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジ、並びに白レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジにおける輝度変化を検出する所定期間だけではなく、検出する輝度の変化量も設定可能に構成することができる。
図20において、図13と同じ構成要素には同じ番号を付している。
図20の陰極線管制御装置では、第1の部分変調信号生成部18に変化量設定部19から、第2の部分変調信号生成部20に第2の変化量設定部58から、第3の部分変調信号生成部21に第3の変化量設定部59から、及び第4の部分変調信号生成部22に第4の変化量設定部60から、それぞれ独自に輝度の変化量を設定することができる構成とした。
このように、各部分変調信号生成部において独自に輝度の変化量を設定可能に構成したので、各エッジ毎に輝度の変化量を最適に設定できる。
【0076】
実施の形態3.
図21に本発明の陰極線管制御装置の他の実施形態の構成を示す。
本実施の形態に係る陰極線管制御装置では、生成された変調信号を陰極線管のG1電極に入力するよう構成する。
図21に実施の形態3に係る陰極線管制御装置のブロック図、図22にG1電極に入力される信号の波形を示す。なお、図21において、図1と同じ構成要素には同じ番号を付している。
図21において、変調出力端子7から出力される変調信号は、増幅回路61、コンデンサ62、クランプ回路63を経てCRT64のG1電極65に出力される。すなわち、増幅回路61、コンデンサ62を経て増幅された変調信号は、クランプ回路63によって図22のように0ボルトを中心に正パルスと負パルスとがG1電極65に入力される。これにより正パルスが入力されたときは、電子ビームの電流が増加してCRT64の画面は明るくなり、負パルスが入力されたときはビーム電流が減少してCRT64の画面は暗くなる。
【0077】
G1電極は高インピーダンス、低容量のため、映像信号変調を行う場合、周波数特性の劣化が小さい特性を有する。従って、実施の形態1で説明した陰極線管制御装置により生成した変調信号をG1電極に入力し、画像の鮮鋭度を改善することが可能となる。さらに画像の黒レベル部の面積が拡大し、相対的に白レベル部の面積が縮小するので、走査速度変調による鮮鋭度の改善と同様な効果を低消費電力で得ることができる。また、実施の形態2で説明した陰極線管制御装置を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0078】
実施の形態4.
図23に本発明の陰極線管制御装置の他の実施形態の構成を示す。
本実施の形態に係る陰極線管制御装置では、生成された変調信号を陰極線管の速度変調コイルに入力するよう構成する。
図23に実施の形態3に係る陰極線管制御装置のブロック図、図24に速度変調コイルに入力される信号の波形を示す。なお、図23において、図1と同じ構成要素には同じ番号を付している。
【0079】
図23において、変調出力端子7から出力される変調信号は、速度変調出力回路78からCRT79に装着された速度変調コイル80に出力される。
図24に示す通り、速度変調出力回路78から0ボルトを中心に正パルスと負パルスが速度変調コイル80に入力されるよう構成している。これにより正パルスが入力されたときは、ビーム電流の偏向速度が低下してCRT79の画面は明るくなり、負パルスが入力されたときはビーム電流の偏向速度が増加してCRT79の画面は暗くなる。
【0080】
実施の形態1で説明した陰極線管制御装置により生成された変調信号は、リンギングの発生を抑制した波形となっている。従って、走査線速度変調コイルにおける負荷においてもリンギングが増幅されることなく、走査線速度変調を実現することが可能となる。
なお、実施の形態2で説明した陰極線管制御装置を用いても、同様の効果を得ることができるのは、実施の形態3と同様である。
【0081】
実施の形態5.
図24に本発明の陰極線管制御装置の他の実施形態の構成を示す。
本実施の形態に係る陰極線管制御装置では、各部分変調信号生成部からの出力を分岐し、複数のCRTのG1電極に変調信号を出力するように構成する。従って、複数のCRTを制御することが可能となる。
図24に実施の形態5に係る陰極線管制御装置のブロック図を示す。なお、図24において、図1と同じ構成要素には同じ番号を付している。
本実施の形態に係る陰極線管制御装置は、基本的な構成は実施の形態1に係る陰極線管制御装置と同じであるが、各部分変調信号生成部からの出力を分岐し、3台のCRT66,71,76のG1電極67、72、77に信号を入力する構成とする。
【0082】
図24に示す構成であれば、各CRT毎に部分変調信号生成手段において独自に各設定値を定めることが可能となる。例えば、各CRT毎にグリーン、レッド、ブルーの単色のみを表示しプロジェクター等に使用する場合、各色毎に変調信号の遅延時間を変更することにより、コンバーゼンス補正の効果を得ることが可能となる。
【0083】
さらに、図25に示すように、各部分変調信号生成部からの出力を、陰極線管の走査線速度変調コイルに入力する構成とすることも可能である。
図25に示す構成であれば、各CRT毎に部分変調信号生成手段において独自に各設定値を定めることが可能となり、図24の構成の場合と同様、各CRT毎にグリーン、レッド、ブルーの単色のみを表示しプロジェクター等に使用する場合、各色毎に変調信号の遅延時間を変更することにより、コンバーゼンス補正の効果を得ることが可能となる。
【0084】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0085】
本発明に係る陰極線管制御装置は、
入力映像信号と当該入力映像信号を所定期間遅延した第1の遅延信号とに基づき第1の差分信号を出力する第1の演算手段と、
前記第1の遅延信号と当該第1の遅延信号を前記所定期間さらに遅延した第2の遅延信号とに基づき第2の差分信号を出力する第2の演算手段と、
前記入力映像信号における黒レベル部を検出する第1のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第1の比較信号として出力する第1の比較手段と、
前記入力映像信号における白レベル部を検出する、第1のしきい値より相対輝度が高い第2のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第2の比較信号として出力する第2の比較手段と、
前記第1の差分信号、前記第2の差分信号、前記第1の比較信号及び前記第2の比較信号に基づいて、黒レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジ並びに白レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジを変調する部分変調信号を得、当該部分変調信号に基づいて、陰極線管の電子ビームを制御するための変調信号を生成する変調信号生成手段と、
を備えることとしたので、エッジに輝度の変化量が変化する点があってもリンギングの発生を抑制でき、良好な鮮鋭度の改善ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図3】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図4】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図5】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図6】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図7】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図8】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図9】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図10】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図11】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図12】 実施の形態1に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図13】 実施の形態2に係る陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図14】 実施の形態2に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図15】 実施の形態2に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図16】 実施の形態2に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図17】 実施の形態2に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図18】 実施の形態2に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図19】 実施の形態2に係る陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図20】 実施の形態2に係る、他の構成の陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図21】 実施の形態3に係る陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図22】 実施の形態3に係るG1電極に入力される変調信号の波形を示す図である。
【図23】 実施の形態4に係る陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図24】 実施の形態4に係る走査線速度変調コイルに入力される変調信号の波形を示す図である。
【図25】 実施の形態5に係る陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図26】 実施の形態5に係る、他の構成の陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図27】 従来の陰極線管制御装置を示すブロック図である。
【図28】 従来の陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図29】 従来の陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図30】 従来の陰極線管制御装置により処理された信号の波形を示す図である。
【図31】 従来の陰極線管制御装置により処理された他の信号の波形を示す図である。
【図32】 従来の陰極線管制御装置により処理された他の信号の波形を示す図である。
【図33】 従来の陰極線管制御装置により処理された他の信号の波形を示す図である。
【符号の説明】
1 第1の遅延手段、2 第2の遅延手段、3 加算手段、4 減算手段、5利得可変増幅器、6 入力端子、7 変調信号出力端子、8 第1の遅延手段、9 第2の遅延手段、10 第1の演算手段、11 第2の演算手段、12 第1の比較手段、13 黒レベル設定部、14 第2の比較手段、15 第2の波形極性反転手段、16 第1の波形極性反転手段、17 第3の遅延手段、18 第1の部分変調信号生成部、18 第1の部分変調信号生成部、19 変化量設定部、20 第2の部分変調信号生成部、21 第3の部分変調信号生成部、22 第4の部分変調信号生成部、23 第1の部分変調信号出力部、24 第2の部分変調信号出力部、25 第3の部分変調信号出力部、26 第4の部分変調信号出力部、27 第1の増幅器、28 第2の増幅器、29 第3の増幅器、30 第4の増幅器、31 第3の演算手段、32 白レベル設定部、33 原映像信号出力端子、34 第1の検出期間設定部、35 第2の検出期間設定部、36 第3の検出期間設定部、37 第4の検出期間設定部、58 第2の変化量設定部、59 第3の変化量設定部、60 第4の変化量設定部、61 増幅回路、62 コンデンサ、63 クランプ回路、64 CRT、65 G1電極、78 速度変調出力回路、79 CRT、80 速度変調コイル。

Claims (8)

  1. 入力映像信号と当該入力映像信号を所定期間遅延した第1の遅延信号とに基づき第1の差分信号を出力する第1の演算手段と、
    前記第1の遅延信号と当該第1の遅延信号を前記所定期間さらに遅延した第2の遅延信号とに基づき第2の差分信号を出力する第2の演算手段と、
    前記入力映像信号における黒レベル部を検出する第1のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第1の比較信号として出力する第1の比較手段と、
    前記入力映像信号における白レベル部を検出する、第1のしきい値より相対輝度が高い第2のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第2の比較信号として出力する第2の比較手段と、
    前記第1の差分信号、前記第2の差分信号、前記第1の比較信号及び前記第2の比較信号に基づいて、黒レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジ並びに白レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジを変調する部分変調信号を得、当該部分変調信号に基づいて、陰極線管の電子ビームを制御するための変調信号を生成する変調信号生成手段と、
    を備えることを特徴とする陰極線管制御装置。
  2. 変調信号生成手段は、
    黒レベル部のエンドエッジの部分変調信号を得るために、第2の差分信号と第1の比較信号とに基づいて第1の部分変調信号を生成する第1の部分変調信号生成部と、
    白レベル部のスタートエッジの部分変調信号を得るために、前記第2の差分信号と第2の比較信号とに基づいて第2の部分変調信号を生成する第2の部分変調信号生成部と
    白レベル部のエンドエッジの部分変調信号を得るために、第1の差分信号と前記第2の比較信号とに基づいて第3の部分変調信号を生成する第3の部分変調信号生成部と、
    黒レベル部のスタートエッジの部分変調信号を得るために、前記第1の差分信号と前記第1の比較信号とに基づいて第4の部分変調信号を生成する第4の部分変調信号生成部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管制御装置。
  3. 変調信号生成手段は、
    第1の部分変調信号を出力する第1の部分変調信号出力部と、
    前記第1の部分変調信号の出力タイミングから第1の期間遅延して第2の部分変調信号を出力する第2の部分変調信号出力部と、
    前記第1の部分変調信号の出力タイミングから第1の期間遅延して第3の部分変調信号を出力する第3の部分変調信号出力部と、
    前記第1の部分変調信号の出力タイミングから第2の期間遅延して第4の部分変調信号を出力する第4の部分変調信号出力部と、
    を備えることを特徴とする請求項2に記載の陰極線管制御装置。
  4. 第1から第4の部分変調信号生成部は、
    相対輝度の変化量及び/又は前記相対輝度の変化量の検出期間を入力可能に構成され、
    前記相対輝度の変化量及び/又は前記相対輝度の変化量の検出期間が可変とされたことを特徴とする請求項2又は3に記載の陰極線管制御装置。
  5. 変調信号は、陰極線管のG1電極に入力されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の陰極線管制御装置。
  6. 変調信号は、陰極線管の走査線用速度変調コイルに入力されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の陰極線管制御装置。
  7. 複数の変調信号生成手段を有し、複数の変調信号を生成可能な請求項1から6のいずれかに記載の陰極線管制御装置。
  8. 入力映像信号と当該入力映像信号を所定期間遅延した第1の遅延信号とに基づき第1の差分信号を出力し、
    前記第1の遅延信号と当該第1の遅延信号を前記所定期間さらに遅延した第2の遅延信号とに基づき第2の差分信号を出力し、
    前記入力映像信号における黒レベル部を検出する第1のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第1の比較信号として出力し、
    入力映像信号における白レベル部を検出する、第1のしきい値より相対輝度が高い第2のしきい値と、前記第1の遅延信号との比較結果を第2の比較信号として出力し、
    前記第1の差分信号、前記第2の差分信号、前記第1の比較信号及び前記第2の比較信号に基づいて、黒レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジ並びに白レベル部のスタートエッジ及びエンドエッジを変調する部分変調信号を得、当該部分変調信号に基づいて、陰極線管の電子ビームを制御するための変調信号を生成すること
    を特徴とする陰極線管制御方法。
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