JP3906521B2 - エンジンの失火診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに失火故障が発生しているか否かを診断するエンジンの失火診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジンのインジェクタや点火プラグ等に故障や劣化が生じると、失火が生じるこが避けられず、このような失火が生じると、排気ガス中に未燃焼ガスが混入され、この未燃焼ガスが排気ガス触媒中で燃焼することにより排気ガス浄化触媒に悪影響を与えるとともに、エミッションを悪化させることになるため、その早期発見が望まれている。
【0003】
ところで、高温状態にあるエンジンが始動された場合には、インジェクタ内に存在する燃料に気泡が生成されるベーパが生じると、この気泡の生成量に対応して燃料噴射量が一時的に減り、空燃比がリーン化して失火や、半失火が生じることがある。このような失火や、半失火は、その後にインジェクタに供給される燃料によって当該インジェクタが冷却されるに応じて解消される一時的なものであり、実際は失火故障であると判定せずに正常とみなすことが妥当である。
【0004】
このため、特開平4−36044号公報に示されるように、スタータモータの駆動開始時点から一定時間に亘って失火判定停止期間を設け、この期間が経過するまで失火判定を停止することにより、上記インジェクタ内の燃料に気泡が生成されることによる失火が、インジェクタの故障等に起因して発生する失火故障であると誤判定されるのを防止し、上記失火判定停止期間の経過後に失火故障が生じたか否かを適正に診断することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に示されるように、エンジンの始動後に常に一定時間に亘って失火故障の診断を停止するようにした構成によると、上記ベーパが発生していない場合においても、エンジンの始動後に一定時間が経過するまで失火故障の診断が行われないので、排気ガス浄化触媒に悪影響を与えるとともに、エミッションを悪化させる失火故障を早期に診断することができないという問題がある。
【0006】
また、上記失火故障には、インジェクタや点火プラグの故障等に起因した失火の発生頻度が高い重度の失火故障と、排気ガス中のO2 量を測定するO2 センサの劣化等に起因する軽度の失火故障とがある。この軽度の失火故障は、失火の発生頻度が低いので、上記排気ガス浄化触媒を損傷させる等の弊害が生じる可能性は低いが、上記失火故障を正確に診断することが困難であり、この失火故障が見逃され易い傾向がある。
【0007】
このため失火故障の診断期間を長くすることにより、上記軽度の失火故障が発生した場合においても、これを確実に診断できるようにし、これによってエミッションが悪化するのを防止することが望ましいが、上記診断期間を長くすると、上記重大な失火故障の発見がさらに遅れるという問題がある。この重大な失火故障の発見が遅れると、排気ガス中に多量の未燃焼ガスが混入され、この未燃焼ガスが排気ガス触媒中で燃焼して排気ガス浄化触媒が損傷することがあるので、これを早期に診断できるようにすることが望まれる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、エンジンの失火故障を迅速かつ適正に診断することができるエンジンの失火診断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、失火故障診断用の診断期間を計測する診断期間計測手段と、エンジンの失火回数を計測する失火回数計測手段と、エンジンの失火故障判定用のしきい値を設定するしきい値設定手段と、予め設定された基準時間に対応した診断期間が計測される間に上記失火回数計測手段より計測された失火回数と上記しきい値設定手段によって設定されたしきい値とを比較することによりエンジンに失火故障が生じたか否かを判定する失火故障判定手段とを備えたエンジンの失火診断装置であって、予め設定された第1基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数に応じてベーパ判定用の基準失火回数を設定するとともに、上記第1基準時間よりも長い時間に設定された第2基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数の計測値と、上記ベーパ判定用の基準失火回数とに基づいてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否かを判定するベーパ判定手段を備え、このベーパ判定手段においてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあると判定された場合に、上記失火故障判定手段による失火故障の判定を禁止するように構成したものである。
【0010】
上記構成によれば、診断期間計測手段によって計測された診断期間が予め設定された第1基準時間となるまでの間に、失火回数計測手段で計測された失火回数に応じてベーパ判定用の基準失火回数が設定される。そして、上記診断期間計測手段によって計測された診断期間が第2基準時間となるまでの間に、失火回数計測手段で計測された失火回数と、上記ベーパ判定用の基準失火回数とが比較され、この基準失火回数よりも上記失火回数の計測値が大きいことが確認された場合には、上記第2基準時間内における失火がベーパに起因して発生したものであると判定され、上記失火故障判定手段による失火故障の判定が禁止されることになる。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載のエンジンの失火診断装置において、第1基準時間を第2基準時間内の後半部に設定したものである。
【0012】
上記構成によれば、第1基準時間内において失火故障判定手段により失火故障の診断が実行されるとともに、上記第2基準時間の後半部に設定された第1基準時間の経過時点で、失火回数計測手段で計測された失火回数に応じてベーパ判定用の基準失火回数が設定され、このベーパ判定用の基準失火回数に基づいてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否かが判定されることになる。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または請求項2記載のエンジンの失火診断装置において、第1基準時間をベーパ発生に起因した失火が発生する可能性がある領域に設定したものである。
【0014】
上記構成によれば、第1基準時間内において失火故障判定手段により失火故障の診断が実行されるとともに、上記第2基準時間内において、ベーパ発生に起因した失火が発生する可能性がある領域に設定された第1基準時間の経過時点で、失火回数計測手段で計測された失火回数に応じてベーパ判定用の基準失火回数が設定され、このベーパ判定用の基準失火回数に基づいてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否かが判定されることになる。
【0015】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの失火診断装置において、上記第1基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数の第1計測値と、上記しきい値設定手段によって設定された第1しきい値とに基づいて排気ガス浄化触媒に悪影響を与える可能性が高い重度の失火故障が生じたか否かを判定するとともに、上記第2基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数の第2計測値と、上記しきい値設定手段によって設定された第2しきい値とに基づいて排気ガス浄化触媒に悪影響を与える可能性が低い軽度の失火故障が生じたか否かを判定するように構成したものである。
【0016】
上記構成によれば、診断期間計測手段によって計測された診断期間が、重度の失火故障を判定する第1基準時間となったことが確認された時点で実行される重度の失火故障の判定時に、失火回数計測手段により計測された失火回数に基づいてベーパ判定用の基準失火回数が設定される。そして、上記診断期間計測手段によって計測された診断期間が、軽度の失火故障を判定する第2基準時間となったことが確認された時点で実行される重度の失火故障の判定時に、失火回数計測手段により計測された失火回数と上記基準失火回数とに基づいてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否か判定され、気泡が生成された状態にあると判定された場合には、上記失火故障判定手段による失火故障の判定が禁止されることになる。
【0017】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの失火診断装置において、エンジン回転数の積算値に基づいて診断期間を計測するように構成したものである。
【0018】
上記構成によれば、エンジン回転数の積算値に基づいて診断期間が計測され、この診断期間の計測値に応じて上記基準時間が経過したか否かが判別されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される失火診断装置を備えたエンジンの全体構造を示している。この図に示すエンジン本体10は、複数の気筒を備え、各気筒にピストン12が収容されており、このピストン12の上方に燃焼室14が形成されている。この燃焼室14には吸気ポート15および排気ポート16が臨み、これら吸気ポート15および排気ポート16がそれぞれ吸気弁17および排気弁18によって開閉されるようになっている。また、このエンジン本体10の適所には、クランク角センサ13と、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ19とが配設されている。
【0020】
上記吸気ポート15には、吸気通路20が接続されている。この吸気通路20には、その上流側から順に、エアクリーナー21、エアフローセンサ22、スロットル弁23、サージタンク24および吸気マニホールド25が設けられ、上記吸気ポート15に向けてインジェクタ26が配設されている。上記スロットル弁23はバイパス通路27によってバイパスされ、このバイパス通路27の途中にアイドル回転数制御用のバイパス弁28が設けられている。また、上記エアクリーナー21には、吸気温度を検出する吸気温センサ29が設けられている。
【0021】
上記排気ポート16には、排気通路30が接続されている。この排気通路30には排気ガス浄化触媒31が設けられ、その上流側にO2 センサ32が設けられている。そして、上記各センサの検出信号がマイクロコンピュータからなるエンジンの制御ユニット(ECU)40に入力されるようになっている。
【0022】
上記エンジンの制御ユニット40は、インジェクタ26の燃料噴射制御およびバイパス弁28の開閉制御等を行うとともに、上記排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が高い失火故障、例えば上記インジェクタ26または点火プラグ等の故障に起因した失火の発生頻度が高い重度の失火故障と、上記排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性は低いが、エミッションを悪化させる失火故障、例えばO2 センサ32の劣化等に起因した失火の発生頻度が低い軽度の失火故障とを診断する機能を有している。
【0023】
すなわち、上記制御ユニット40には、失火故障診断用の診断期間を計測する診断期間計測手段41と、エンジンの失火回数を計測する失火回数計測手段42と、エンジンの失火故障判定用のしきい値を設定するしきい値設定手段43と、予め設定された基準時間に対応した診断期間が上記診断期間計測手段41によって計測されるまでの間に上記失火回数計測手段42より計測された失火回数を、上記しきい値設定手段43によって設定されたしきい値と比較することによりエンジンに失火故障が生じたか否かを判定する失火故障判定手段44と、インジェクタ26内や、インジェクタ26に燃料タンク内の燃料を供給する燃料供給パイプ(図示せず)内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否かを判定するベーパ判定手段45とが設けられている。
【0024】
上記診断期間計測手段41は、点火プラグの点火回数等に応じてエンジン回転数を積算するとともに、このエンジン回転数の積算値に基づいて上記診断期間を計測し、この計測値を上記失火回数計測手段42に出力するように構成されている。また、上記診断期間計測手段41は、排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が高い重度の失火故障が生じたか否かを判定する第1基準時間に対応した診断期間と、排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が低い軽度の失火故障が生じたか否かを判定する第2基準時間に対応した診断期間との二種類を計測する機能を有している。上記第1基準時間は、エンジン回転数の積算値にして200回転程度に設定され、第2基準時間は、エンジン回転数の積算値にして1000回転程度に設定されている。
【0025】
上記失火回数計測手段42は、クランク角センサ13から出力される検出信号に基づき、今回のクランク角速度と前回のクランク角速度との差からなるクランク角速度の変動値を演算した後、このクランク角速度の変動値が予め設定された判定値を上回った場合に失火が発生したと判断し、上記診断期間計測手段41により計測された診断期間が第1基準時間および第2基準時間となるまでの間、上記失火回数の積算値をそれぞれ計測してこの計測値を上記失火故障判定手段44に出力するように構成されている。
【0026】
また、上記しきい値設定手段43は、失火の発生頻度が高く排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が高い重度の失火故障が生じたか否かを判定する第1しきい値と、失火の発生頻度が低く排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が低い軽度の失火故障が生じたか否かを判定する第2しきい値とを設定するように構成されている。さらに上記しきい値設定手段43は、ベーパ判定手段45においてインジェクタ26内の燃料に気泡が生成され易い状態にあることが確認された場合に、上記第1しきい値および第2しきい値をそれぞれ通常時よりも大きな値に設定するように構成されている。
【0027】
上記失火故障判定手段44は、第1基準時間が経過するまでの間に、上記失火回数計測手段42によって計測された失火回数の第1計測値と、上記しきい値設定手段43によって設定された第1しきい値とを比較し、上記失火回数の第1計測値が第1しきい値よりも大きいことが確認された場合に、インジェクタ26の故障等からなる重度の失火故障が発生した判定して警告灯46を点灯させる制御信号を出力するように構成されている。
【0028】
また、上記失火故障判定手段44は、第2基準時間が経過するまでの間に、上記失火回数計測手段42によって計測された失火回数の第2計測値と、上記しきい値設定手段43によって設定された第2しきい値とを比較し、上記失火回数の第2計測値が第2しきい値よりも大きいことが確認された場合に、O2 センサ32の劣化等からなる軽度の失火故障が発生した判定して警告灯46を点灯させる制御信号を出力するように構成されている。
【0029】
上記ベーパ判定手段45は、水温センサ19および吸気温センサ29の検出信号に応じてエンジン水温が100°C以上でかつ吸気温度が60°C以上の高温状態にあるとともに、エンジンが始動後30秒未満の状態にあることが確認された場合に、インジェクタ26内の燃料に気泡が生成され易い状態にあり、空燃比がリーン化して一時的な失火を生じている可能性が高いと判定し、この判定信号を上記しきい値設定手段43に出力するように構成されている。
【0030】
また、ベーパ判定手段45は、上記重度の失火故障を判定する第1基準時間に対応した診断期間が上記診断期間計測手段41において計測される間に、上記失火回数計測手段42により計測された失火回数の第1計測値に応じてベーパ判定用の基準失火回数を設定するとともに、上記軽度の失火故障を判定する第2基準時間に対応した診断期間が上記診断期間計測手段41において計測される間に、上記失火回数計測手段42により計測された失火回数の第2計測値が、上記ベーパ判定用の基準失火回数よりも大きいことが確認された場合に、上記失火故障判定手段44による軽度の失火故障の判定を禁止する制御信号を上記失火故障判定手段44に出力するように構成されている。
【0031】
例えば、上記第2基準時間の後半部に設定された第1基準時間が経過する間に、上記失火回数計測手段42により計測された失火回数の第1計測値を6倍した値を、ベーパ判定用の基準失火回数として設定し、この基準失火回数よりも、上記第2基準時間内において計測された失火回数の第1計測値が大きいことが確認された場合に、インジェクタ26内の燃料に気泡が生成された状態にあると判定して、上記失火故障判定手段44による軽度の失火故障の判定を禁止するようにしている。これにより上記第2基準時間内において発生した失火が、インジェクタ26内の燃料に気泡が生成されることによって燃料噴射量が一時的に減り、空燃比がリーン化することに起因して発生したものであるにも拘らず、O2 センサ32の劣化等からなる軽度の失火故障によるものであると、誤判定されることが防止されることになる。
【0032】
上記構成を有する失火診断装置によって実行される失火診断時の制御動作を、図3および図4のフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずスタータモータを作動させるスタータSWがON状態となったか否かを判定し(ステップS1)、YESと判定された時点で、上記スタータモータを作動させてエンジンのクランキングを行う(ステップS2)。
【0033】
次いで、エンジン始動後の経過時間を計測する始動後タイマーTstのカウント値を0にリセットした後(ステップS3)、上記軽度の失火故障を判定する第2基準時間内において、診断期間計測手段41により計測されるエンジン回転数の積算値からなる診断期間の第2計測値Chkeと、上記失火回数計測手段42により計測される失火回数の第2計測値Nmsfeとを、それぞれ0にリセットするとともに(ステップS4)、上記重度の失火故障を判定する第1基準時間内に対応した診断期間の第1計測値Chkcおよび失火回数の第1計測値Nmsfcを、それぞれ0にリセットする(ステップS5)。
【0034】
また、上記各センサの検出信号に基づいてエンジンの運転状態を検出した後(ステップS6)、エンジンが完爆状態なったことを示すエンジン回転速度が1000rpm以上となったか否かを判別する等により、エンジンがスタートしたか否かを判定する(ステップS7)。このステップS7でNOと判定された場合には、上記ステップS3にリターンする。そして、上記ステップS7でYESと判定された時点で、上記タイマーTstのカウント値を1だけ増加させ(ステップS8)、次いでエンジンのスタート後、5秒以上経過したか否か判別し、かつエンジンが低負荷・低回転状態となったか否かを判別する等により、失火故障の判定条件が成立したか否かを判定する(ステップS9)。このステップS9でNOと判定された場合には、上記ステップS4にリターンする。
【0035】
上記ステップS9でYESと判定された場合には、上記しきい値設定手段43において第1しきい値および第2しきい値を設定するための失火回数の第1基準値NOcと、第2基準値NOeとを、エンジン負荷およびエンジン回転数の検出値に基づいて求めて設定する(ステップS10)。上記第1基準値NOcおよび第2基準値NOeは、エンジンが高負荷・高回転となるに従い、エンジンの回転変動が小さくなって上記クランク角速度の変動値に基づく失火判定が困難になるため、これに応じて上記第1基準値NOcおよび第2基準値NOeも小さな値に設定されるようになっている。なお、上記第1,第2基準値NOc,NOeは、固定値であってもよい。
【0036】
次いで、上記ベーパ判定手段45において水温センサ19および吸気温センサ29の検出信号に応じて始動時のエンジン水温thwsが100°Cよりも高く、かつ始動時の吸気温度thasが60°Cよりも高い高温状態であるか否かを判別するとともに(ステップS11,S12)、始動後タイマTstの計測値が30秒未満であるか否かを判別することにより(ステップS13)、インジェクタ26の燃料に気泡が生成されるベーパが発生し易い状態にあるか否かを判定する。
【0037】
上記ステップS11〜S13でそれぞれYESと判定され、インジェクタ26内でベーパが発生し易い状態にあることが確認された場合には、上記ステップS10で設定した第1基準値NOcおよび第2基準値NOeに所定の補正値Nhotc,Nhoteを加算してなる第1しきい値Nthcと、第2しきい値Ntheとを、上記しきい値設定手段43において失火故障判定用のしきい値として設定する(ステップS14)。
【0038】
また、上記ステップS11〜S13の何れかにおいてNOと判定され、インジェクタ26内の燃料に気泡が生成され易い状態にないことが確認された場合には、しきい値設定手段43において、上記ステップS10で設定した第1基準値NOcおよび第2基準値NOeを、そのまま失火故障判定用の第1しきい値Nthcおよび第2しきい値Ntheとして設定する(ステップS15)。
【0039】
そして、上記診断期間計測手段41において、エンジン回転数の積算値に基づいて診断期間を計測することにより、第1,第2基準時間に対応した診断期間の第1計測値Chkcおよび第2計測値Chkeをカウントするとともに(ステップS16)、上記第1,第2基準時間内における失火回数の第1計測値Nmsfcおよび第2計測値Nmsfeをカウントした後(ステップS17)、診断期間計測手段41において上記診断期間の第1計測値Chkcが、200回転程度に設定されたエンジン回転数の積算値からなる第1基準時間aと等しいか否かを判別することにより、重度の失火故障を判定するための第1基準時間aが経過したか否かを判定する(ステップS18)。
【0040】
上記ステップS18でNOと判定された場合には、上記ステップS6にリターンして上記制御動作を繰り返す。そして、上記ステップS18でYESと判定されて上記第1基準時間aが経過したことが確認された時点で、上記第1計測値Chkcをクリアした後(ステップS19)、上記ステップS16でカウントされた失火回数の第1計測値Nmsfcが、上記ステップS14またはステップS15で設定された第1しきい値Nthcよりも大きいか否かを上記失火故障判定手段44において判定する(ステップS20)。
【0041】
上記ステップS20でYESと判定され、上記失火回数の第1計測値Nmsfcが第1しきい値Nthcよりも大きいことが確認された場合には、上記排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が高い重度の失火故障が生じていると判定し、警告灯46に重度の失火故障が生じたことを示す表示を点灯させる制御信号を出力する(ステップS21)。なお、上記警告灯46が一旦点灯されると、修理工場で修理されてそのチェックがされない限り、エンジン作動中は点灯されたままの状態となる。一方、ステップS20でNOと判定され、上記失火回数の第1計測値Nmsfcが第1しきい値Nthc以下であることが確認された場合には、上記重度の失火故障が生じていないと判定して下記のステップS22に移行する。
【0042】
すなわち、上記診断期間計測手段41において計測された診断期間の第2計測値Chkeが、1000回転程度に設定されたエンジン回転数の積算値からなる第2基準時間bと等しいか否かを判別することにより、上記排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が低い軽度の失火故障を判定するための第2基準時間bが経過したか否かを判定する(ステップS22)。
【0043】
上記ステップS22でNOと判定された場合には、上記ステップS5にリターンして上記制御動作を繰り返す。そして、上記ステップS22でYESと判定されて上記第2基準時間bが経過したことが確認された時点で、上記第2計測値Chkeをクリアした後(ステップS23)、上記ステップS17でカウントされた失火回数の第2計測値Nmsfeが、上記ステップS14またはステップS15で設定された第2しきい値Ntheよりも大きいか否かを上記失火故障判定手段44において判定する(ステップS24)。
【0044】
上記ステップS24でNOと判定され、上記失火回数の計測値Nmsfcが第2しきい値Nthe以下であることが確認された場合には、上記軽度の失火故障が生じていない正常な状態にあると判断して上記ステップS4にリターンし、上記制御動作を繰り返す。これにより、上記第1基準時間a内において計測される失火回数の第1計測値Nmsfcの書き替えと、この第1計測値Nmsfcに基づく重度の失火故障の再判定が行われることになる。
【0045】
そして上記ステップS24でYESと判定された時点で、水温センサ19および吸気温センサ29の検出信号に基づき、エンジン水温thwsが100°Cよりも高い高温状態であるか否かを判定するとともに、吸気温度thasが60°Cよりもも高い高温状態であるか否かを上記ベーパ判定手段45において判定し(ステップS25,S26)、かつこの判定制御がエンジン始動直後の初回判定であるか否かを判定することにより(ステップS27)、上記インジェクタ26内でベーパが発生している可能性があるか否かを判別する。
【0046】
上記ステップS25〜S27のいずれかにおいてNOと判定された場合には、インジェクタ26内でベーパが発生している可能性が低いにも拘らず、エミッションを悪化させる可能性がある軽度の失火故障が発生したために、上記ステップS24で上記失火回数の第2計測値Nmsfeが第2しきい値Ntheよりも大きいと判定されたと判断して、警告灯46に軽度の失火故障が生じたこと示す表示を点灯させる制御信号を出力した後に(ステップS29)、上記ステップS4にリターンする。
【0047】
上記ステップS25〜S27でそれぞれYESと判定された場合には、上記ステップS17でカウントされたエンジンが1000回転する間における最後の200回転に対応した第1基準時間a内における失火回数の第1計測値Nmsfcを6倍することにより、ベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfcを設定した後、上記軽度の失火故障を判定する第2基準時間bが経過する間に失火回数計測手段42により計測された失火回数の第2計測値Nmsfeが、上記ベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfcよりも大きいか否かをベーパ判定手段45において判定する(ステップS28)。
【0048】
上記ステップS28でYESと判定された場合には、インジェクタ26内の燃料に気泡が生成されることにより、エンジン始動後の初期段階で失火が頻繁に発生した後、失火の発生頻度が次第に低下する傾向にあると考えられるため、上記ステップS24で上記失火回数の第2計測値Nmsfeが第2しきい値Ntheよりも大きいと判定されたにも拘らず、警告灯46を点灯させる制御信号を出力することなく、上記ステップS4にリターンすることにより、失火故障判定手段44による上記第2計測値Nmsfeに基づく失火故障の判定を禁止する。
【0049】
また、上記ステップS28でNOと判定され、失火回数の第2計測値Nmsfeが上記ベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfc以下であり、失火の発生頻度が顕著な低下傾向にないことが確認された場合には、インジェクタ26内でベーパが発生していない状態で、エミッションを悪化させる可能性がある軽度の失火故障が発生したために、上記ステップS25で上記失火回数の第2計測値Nmsfeが第2しきい値Ntheよりも大きくなったと考えられるので、警告灯46に軽度の失火故障が生じたこと示す表示を点灯させる制御信号を出力した後に(ステップS29)、上記ステップS4にリターンする。上記警告灯46は、修理工場で修理されてそのチェックがされるまで、エンジン作動中は点灯された状態に維持される。
【0050】
このように予め設定された第1基準時間aに対応した診断期間が計測される間に、失火回数計測手段42により計測された失火回数の第1計測値Nmsfcに応じ、ベーパ判定用の基準失火回数6×Nmsfcを設定するとともに、上記第1基準時間aよりも長い時間に設定された第2基準時間bに対応した診断期間が計測される間に、失火回数計測手段42により計測された失火回数の第2計測値Nmsfeと、上記ベーパ判定用の基準失火回数6×Nmsfcとに基づいて、インジェクタ26内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否かを判定するベーパ判定手段45を設け、このベーパ判定手段45においてインジェクタ26内の燃料に気泡が生成された状態にあると判定された場合に、上記失火故障判定手段44による失火故障の判定を禁止するように構成したため、上記ベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfcに基づいてインジェクタ26内でベーパが発生しているか否かを迅速かつ正確に判別し、燃料に気泡が生成されるベーパの発生時に、失火故障が発生していないにも拘らず、失火故障判定手段44において失火故障が発生したと誤判定されるのを効果的に防止することができる。
【0051】
すなわち、上記インジェクタ26内でベーパが発生している場合には、図6の実線に示すように、エンジンの始動直後に上記ベーパに起因した失火が顕著に発生するとともに、その後に供給される燃料によりインジェクタ26が冷却されるのに応じて失火の発生頻度が次第に低下する。このため、1000回転に設定されたエンジン回転数の積算値からなる第2基準時間bの経過時点で計測された失火回数の第2計測値Nmsfeが、02 センサの劣化や、O2 センサの検出値に基づく空燃費のフィードバック制御システムの異常により、エンジン回転数の積算値が800回転から1000回転になるまでの間に設定された第1基準時間aの経過時点で計測された失火回数の第1計測値Nmsfcを6倍してなるベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfc以下であると判定され、図6の破線に示すように、失火の発生頻度が顕著に低下する傾向にないことが確認された場合には、上記第2基準時間b内における失火がベーパに起因して発生したとは考えられず、O2 センサ32の劣化等に起因したものであると考えられる。
【0052】
したがって、従来装置のように、エンジンの始動後に失火故障の判定停止期間を設けることなく、エンジンの始動直後から上記第2基準時間bに対応した診断期間の計測を開始し、この第2基準時間bの経過時点で上記失火回数計測手段42により計測された失火回数の第2計測値Nmsfeに基づいて、上記O2 センサ32の劣化等に起因した軽度の失火故障が発生していることを正確に診断することができる。
【0053】
また、上記のように1000回転に設定されたエンジン回転数の積算値からなる第2診断期間bの経過時点で計測された失火回数の第2計測値Nmsfeが、上記第1診断期間aの経過時点で計測された失火回数の第1計測値Nmsfcを6倍してなるベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfcよりも大きいことが確認された場合には、上記失火がベーパに起因して発生したと考えられるため、失火故障判定手段44において軽度の失火故障が発生した判定されるのを禁止することにより、上記軽度の失火故障が発生したと誤診断されるのを効果的に防止することができる。
【0054】
特に、上記実施形態では、エンジン回転数の積算値にして1000回転に設定された第2基準時間b内の後半部に第1基準時間aを設定し、診断期間計測手段41によって計測されるエンジン回転数の積算値が800回転から1000回転となるまでの間に、失火回数計測手段42により失火回数の第1計測値Nmsfcを計測するように構成したため、上記ベーパの発生時に、エンジン回転数が充分に安定した後に計測された上記失火回数の第1積算値Nmsfcに応じてベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfcを適正に設定することができる。
【0055】
したがって、上記ベーパ判別用の基準失火回数6×Nmsfcに基づいてインジェクタ26内の燃料に気泡が生成されるベーパが発生したか否かを正確に判定し、このベーパの発生時に、上記失火故障判定手段44による失火故障の判定を禁止することにより、上記ベーパに起因した失火が失火故障によるものであると誤判定されるのを効果的に防止することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、第1基準時間aに対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段42により計測された失火回数の第1計測値Nmsfcと、上記しきい値設定手段43によって設定された第1しきい値Nthcとに基づいて排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が高い重度の失火故障が生じたか否かを判定するとともに、上記第2基準時間bに対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段42により計測された失火回数の第2計測値Nmsfeと、上記しきい値設定手段43によって設定された第2しきい値Ntheとに基づいて排気ガス浄化触媒31に悪影響を与える可能性が低い軽度の失火故障が生じたか否かを判定するように構成したため、第1基準時間aが経過した時点で、上記第1しきい値Nthcに基づいて重度の失火故障を、迅速に診断することができるとともに、第2基準時間bが経過した時点で、失火の発生頻度が比較的低い軽度の失火故障を、上記第2しきい値Ntheに基づいて確実に診断することができる。
【0057】
すなわち、インジェクタ26や点火プラグの故障等に起因した重度の失火故障が発生した場合には、失火の発生頻度が高く、診断期間を短くした場合においても誤診断を生じる可能性が低いため、上記第1基準時間aを短い時間に設定することにより、上記重度の失火故障を迅速に診断することができる。したがって、上記重度の失火故障の発生時に、上記警告灯46を点灯して早期に修理を促すことにより、排気ガス中に混入された多量の未燃焼ガスが、排気ガス触媒31中で燃焼することに起因した排気ガス浄化触媒31の損傷を効果的に防止することができる。
【0058】
また、排気ガス中のO2 量を測定するO2 センサ32の劣化等に起因する軽度の失火故障が発生した場合には、上記重度の失火故障に比べて失火の発生頻度が低いので、診断期間を短かくすると誤診断を生じる可能性が高なり、かつこの失火故障の診断が多少遅れても上記排気ガス触媒31が直ぐに損傷することはないため、軽度の失火故障を診断する第2診断期間bを、上記第1診断期間aよりも長い時間に設定することにより、誤判定の発生を防止して上記軽度の失火故障を確実に診断することができる。したがって、上記第2診断期間bが経過した時点で、軽度の失火故障が発生しか否かを判定し、失火故障が発生したことが確認された場合に、上記警告灯46を点灯して修理を促すことにより、エミッションが悪化するのを防止することができる。
【0059】
さらに、上記実施形態では、水温センサ19および吸気温センサ29の検出信号等に応じてインジェクタ26内でベーパが発生し易い状態にあるか否かをベーパ判定手段45により判定し、このベーパ判定手段45においてベーパが発生し易い状態にあることが確認された場合に、上記第1しきい値Nthcおよび第2しきい値Ntheを、それぞれ通常時よりも大きな値に設定するように構成したため、始動時にエンジンが既に高温状態にあり、インジェクタ26内の燃料に気泡が生成されることにより燃料噴射量が一時的に減少し、空燃比がリーン化することによる失火が生じた場合に、この失火が上記失火故障に起因したものであると誤判定されるのを効果的に防止することができる。
【0060】
しかも、上記ベーパ判定手段45において、インジェクタ26内でベーパが発生し易い状態にはなく、空燃比がリーン化することによる失火が生じにくいことが確認された場合には、上記第1しきい値Nthcおよび第2しきい値Ntheを通常の値に設定することにより、この第1しきい値Nthcおよび第2しきい値Ntheに基づいてインジェクタ26の故障等に起因した失火故障が発生したことを正確に判定することができる。
【0061】
なお、エンジン回転数の積算値に基づいて診断期間を計測するようにした上記実施形態に代え、タイマ等により予め設定された第1,第2基準時間に対応した診断期間を計測するようにしてもよい。しかし、上記実施形態に示すように、エンジン回転数の積算値に基づいて診断期間を計測するように構成した場合には、エンジンの始動状態に応じてエンジン回転速度が様々に変化した場合でも、この回転速度の変化状態に対応した失火の発生頻度を適正に計測し、この発生頻度に基づいた失火故障の診断を適正に実行することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、インジェクタ26内におけるベーパの発生時に、時間の経過に伴って失火頻度が次第に低下した後に安定することを考慮して、上記ベーパ判定用の基準失火回数を、第2診断期間bの後半部に設定された第1診断期間aの経過時点で計測された失火回数の第1計測値Nmsfcを6倍することにより設定した例について説明したが、第2診断期間b内においてベーパに起因した失火が発生する領域に設置された第1基準時間a内で計測された失火回数の第1計測値Nmsfcに基づき、上記誤判定の発生を防止できる範囲内で、上記基準失火回数を任意に設定可能である。
【0063】
例えば、図6に示すように、上記第2基準時間b内において、失火の発生頻度が最も平均的な値となることが考えられる第1基準時間a´、つまりエンジン回転数の積算値が400回転から600回転になるまでの間に設定された診断期間内で計測された失火回数の第1計測値Nmsfcを5倍することにより、ベーパ判別用の基準失火回数5×Nmsfcを設定するように構成してもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、予め設定された第1基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数に応じてベーパ判定用の基準失火回数を設定するとともに、上記第1基準時間よりも長い時間に設定された第2基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数と、上記ベーパ判定用の基準失火回数とに基づいて、インジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否かを判定するベーパ判定手段を設け、このベーパ判定手段においてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあると判定された場合に、上記失火故障判定手段による失火故障の判定を禁止するように構成したため、上記ベーパ判別用の基準失火回数に基づいてインジェクタ内で蒸発燃料が発生しているか否かを迅速かつ正確に判別し、上記燃料に気泡が生成されるベーパの発生時に、失火故障が発生していないにも拘らず、失火故障判定手段において失火故障が発生したと誤判定されるのを効果的に防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る失火診断装置を備えたエンジンの一例を示す概略図である。
【図2】上記失火診断装置の具体的構成を示すブロック図である。
【図3】失火診断制御の第1工程を示すフローチャートである。
【図4】失火診断制御の第2工程を示すフローチャートである。
【図5】失火診断制御の第3工程を示すフローチャートである。
【図6】上記失火診断時の失火回数の変化状態を示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジン本体
19 水温センサ(エンジン水温検出手段)
26 インジェクタ
29 吸気温センサ(吸気温度検出手段)
40 エンジンの制御ユニット
41 診断期間計測手段
42 失火回数計測手段
43 しきい値設定手段
44 失火故障診断手段
45 ベーパ判定手段
Claims (5)
- 失火故障診断用の診断期間を計測する診断期間計測手段と、エンジンの失火回数を計測する失火回数計測手段と、エンジンの失火故障判定用のしきい値を設定するしきい値設定手段と、予め設定された基準時間に対応した診断期間が計測される間に上記失火回数計測手段より計測された失火回数と上記しきい値設定手段によって設定されたしきい値とを比較することによりエンジンに失火故障が生じたか否かを判定する失火故障判定手段とを備えたエンジンの失火診断装置であって、予め設定された第1基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数に応じてベーパ判定用の基準失火回数を設定するとともに、上記第1基準時間よりも長い時間に設定された第2基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数の計測値と、上記ベーパ判定用の基準失火回数とに基づいてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあるか否かを判定するベーパ判定手段を備え、このベーパ判定手段においてインジェクタ内の燃料に気泡が生成された状態にあると判定された場合に、上記失火故障判定手段による失火故障の判定を禁止するように構成したことを特徴とするエンジンの失火診断装置。
- 上記請求項1記載のエンジンの失火診断装置において、第1基準時間を第2基準時間内の後半部に設定したことを特徴とするエンジンの失火診断装置。
- 上記請求項1記載または請求項2のエンジンの失火診断装置において、第1基準時間をベーパ発生に起因した失火が発生する可能性がある領域に設定したことを特徴とするエンジンの失火診断装置。
- 上記請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの失火診断装置において、上記第1基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数の第1計測値と、上記しきい値設定手段によって設定された第1しきい値とに基づいて排気ガス浄化触媒に悪影響を与える可能性が高い重度の失火故障が生じたか否かを判定するとともに、上記第2基準時間に対応した診断期間が計測される間に失火回数計測手段により計測された失火回数の第2計測値と、上記しきい値設定手段によって設定された第2しきい値とに基づいて排気ガス浄化触媒に悪影響を与える可能性が低い軽度の失火故障が生じたか否かを判定するように構成したことを特徴とするエンジンの失火診断装置。
- 上記請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの失火診断装置において、エンジン回転数の積算値に基づいて診断期間を計測するように構成したことを特徴とするエンジンの失火診断装置。
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- 1997-06-03 JP JP14548497A patent/JP3906521B2/ja not_active Expired - Fee Related
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