JP3905415B2 - アーチ橋の構築方法及びアーチ橋用の支承 - Google Patents

アーチ橋の構築方法及びアーチ橋用の支承 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願に係る発明は、対峙する架設位置でそれぞれアーチリブを上方に構築し、形成されたアーチリブを対向する側に回動させて双方を中央部で連結するアーチ橋の架設方法及び、この架設方法で好適に用いられるアーチ橋用の支承に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大規模なコンクリートアーチ橋を構築する方法の一つとして、対峙するアーチアバット上で上方にアーチリブを構築し、アーチリブをそれぞれ対峙する側に所定の位置まで回転させて対向する2つのアーチリブを連結する、いわゆるロアーリング方式がある。この方式では、架設中のアーチリブの自重が軸力として効率的にアーチアバットに伝達されるため、アーチリブを吊り支持する支柱や下方から支持する支保工の組立てを不要とすることができ、工期を短縮し、工事費を低減することができる。
【0003】
従来のロアーリング方式は、図9に示すように、対峙するように設けられた二つのアーチアバット51上に回動可能な支承52を設け、この支承上に上方にコンクリートを順次打設してアーチリブ54aを構築する。アーチリブ54aが橋面の高さ付近まで到達したら、上路桁55上に設置されたジャッキ56によってアーチリブ54aを後方に引き寄せ、アーチリブ54aの端面をほぼ水平にし、再び上方にコンクリートを打設する。アーチリブ54が完成したら、アーチリブの上部54bとアンカーブロック57との間にロアーリングケーブル58を張架する。そして、ジャッキ56によってアーチリブ54を対峙する側に押圧してロアーリングケーブル58に張力を付与し、ロアーリングケーブル58を伸延してアーチリブを傾斜させる。
【0004】
また、特開平1−151606号公報に記載のロアーリング方式では、図10に示すように、上方に立ち上げられたアーチリブ61の先端部61aにロアーリングケーブル62の一端を定着するとともに、他端をアンカーブロック63aに支持させる。一方、アーチリブ61の中央部61bと対岸のアンカーブロック63bとの間に引き寄せケーブル64を張架する。そして、引き寄せケーブル64の緊張とロアーリングケーブル62の伸延とを繰り返しながら、アーチリブ61を傾斜させる。
【0005】
一方、ロアーリング方式による架設を行なう場合には、アーチリブの基部に下沓と上沓とが回動可能に連結されている回転支承が用いられる。
この回転支承は、例えば図11に示すように、アーチアバット71の水平部71aに、傾斜支持部74を有する支持台73をアンカーボルト72によって固定し、この傾斜支持部74に下沓75をボルト76によって固定する。そして、下沓75の下面75aまでコンクリート80を打設し、下沓75とアーチリブ79の下端部が固着される上沓77とを回動ボルト78によって回動可能に一体化する。
【0006】
また、図12に示す回転支承は、下沓91が、水平板91aと、該水平板91aと連続して設けられている垂直板91bと、アーチリブ92の幅方向に複数設けられている垂直支持板91cとで構成されている。この下沓91は、アーチアバット93の水平部93a及び垂直部93bに当接するように配置され、上沓94と回動軸95によって回動が可能に連結されている。この回転支承では、下沓91が水平板91aを有しているためアーチアバット上に容易に配置することができ、下沓91を支持する支持台を不要とすることができる。また、アーチリブ92を上方に構築する際に、アーチリブ92の自重をコンクリートの水平面とほぼ垂直な支圧力として伝えることができ、アンカーボルトに大きなせん断力が作用することがない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記ロアーリング方式では、ジャッキや引き寄せケーブルによってロアーリングケーブルを対峙する側に押出すことによって、ロアーリングケーブルにはジャッキの押圧力又は引き寄せケーブルの引張力とアーチリブの自重による回転モーメントに応じた引張力が作用する。このように相当の引張力が作用する状態でロアーリングケーブルが張架されることにより、このロアーリングケーブルでアーチリブを安定した状態で支持し、ロアーリングケーブルを伸延してアーチリブを回転させることができる。
【0008】
ところが、アーチリブの回転モーメントはアーチリブを架設位置まで回転させたとき最大となり、この回転モーメントに抵抗するようにロアーリングケーブルの径が決定されるため、一般に、ロアーリングケーブルは太径で伸び剛性の高いものが用いられる。このため、アーチリブの回転角度が小さい場合には、ロアーリングケーブルにアーチリブの回転モーメントによる張力がほとんど生じず、ロアーリングケーブルにサグが生じてしまう。そして、ロアーリングケーブルの見かけ上の軸方向剛性がサグによって低下し、アーチリブを安定した状態で支持することが困難となってしまう。大型のジャッキや太径の引き寄せケーブルを用いてロアーリングケーブルに大きな張力を与えることによって、ロアーリングケーブルのサグを小さくすることができるが、ジャッキ等の設置に多くの時間や費用を要してしまう。
【0009】
一方、ロアーリング方式において従来用いられている回転支承には次のような問題点がある。
図12に示す回転支承では、上方に構築中のアーチリブの自重は、アーチリブとほぼ直交する水平板によって効率的にアーチアバットに伝達される。しかし、アーチリブを架設位置まで傾斜させた状態では、アーチリブの軸力は水平板と垂直板とによってアーチアバットに伝達される。このため、水平板及び垂直板は十分な面積を必要とし、これにともなって下沓の重量が増加し、下沓の製作及び設置に多くの費用を要することとなってしまう。
【0010】
また、ロアーリング方式では、所定の幅を有するアーチリブを安定した状態で支持するために、一般に、アーチリブの幅方向に複数の回転支承が設置されている。そして、これらの回転支承の回動軸が異なるとアーチリブの回転が偏心し、アーチリブを所定の架設位置に回転させることができない。また、それぞれの回転支承に生じるアーチリブ反力が不均一となり、回転支承が破壊されてしまうか、もしくは回転支承間でアーチリブに大きな応力が生じてアーチリブが破壊するおそれがある。このため、それぞれの回転支承の回転軸が一致するように配置する必要があるが、複数の回転支承をアーチリブの幅方向に沿って正確に配置するのが非常に困難であり、回転支承の位置を調整する作業に時間を要してしまう。
【0011】
本願に係る発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロアーリング方式によるアーチ橋の架設方法においてアーチリブを所定の位置まで安定した状態で回転させること及び、ロアーリング方式で用いられる回転支承の設置作業を簡略化することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、 対峙する架橋地点の両側にアーチ橋台を形成し、 前記アーチ橋台上に設けられた回動支承上に、架設するアーチ全体のほぼ半分のアーチリブ(以下、半アーチという)を上方に立ち上げ、 対峙する二つの前記半アーチを、それぞれ対峙する側に所定の角度まで回転し、該二つの半アーチを連結するアーチ橋の構築方法において、 上方に立ち上げられた前記半アーチに一次ケーブルと二次ケーブルとの一端を定着し、他端を地盤に固定されたアンカーに係止し、 前記一次ケーブルは、前記二次ケーブルより断面積が小さい鋼材とし、 前記半アーチの回転モーメントを前記一次ケーブルの張力によって支持し、該一次ケーブル長を伸延することによって、前記半アーチの立ち上げ完了位置から所定角度まで回転させ、 その後、前記半アーチの回転モーメントを前記二次ケーブルの張力によって支持し、該二次ケーブル長を伸延することによって所定の角度まで回転させることを特徴とするアーチ橋の構築方法を提供するものである。
【0013】
上記一次ケーブルは上記二次ケーブルより断面積が小さい鋼材であり、半アーチの自重による回転モーメントが小さい回転初期の段階でも、引張応力度が高いため一次ケーブルのサグは小さくなっており、見かけ上の軸方向剛性が高い。このため、半アーチの回転角度が小さい場合でも、半アーチは安定した状態で支持される。そして、一次ケーブル長を伸延することによって、半アーチを安定した状態で回転させることができる。半アーチの回転角度が大きくなると、半アーチに大きな回転モーメントが生じるため、負荷を二次ケーブルで負担するように張力を調整し、半アーチを支持する。このとき、回転モーメントが大きくなっているため二次ケーブルの引張応力も大きくなり、サグは小さくなる。したがって、二次ケーブルの実質的な軸方向の剛性(伸び剛性)は大きくなっており、この二次ケーブル長を伸延して、半アーチを所定の角度まで安定した状態で回転させることができる。また、半アーチを上方に構築することによって、半アーチに大きな回転モーメント及び曲げモーメントが生じるのを防ぐことができるため、半アーチを支持する作業を簡略化したり架設用の資材を低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、 請求項1に記載のアーチ橋の構築方法において、前記二次ケーブルの一端を前記半アーチの頭頂部付近で定着し、 前記一次ケーブルの一端を前記半アーチの頭頂部より下方で、前記アンカーとほぼ同じ高さで前記半アーチに定着するものである。
【0015】
上記一次ケーブルはアンカーから半アーチにほぼ水平に配置されているため、短い鋼材で上方に立ち上げられた半アーチを支持し、安定した状態で回転させることができる。また、二次ケーブルの一端が半アーチの頭頂部付近で定着されており、この定着部と回転支承との距離が長いため、二次ケーブルに半アーチの大きな回転モーメントによる引張応力が作用した場合でも、二次ケーブルの張力によって半アーチを効率良く支持することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、 請求項2に記載のアーチ橋の構築方法において、前記半アーチの前記アンカーとほぼ同じ高さを、ジャッキによって対峙する半アーチ側に押圧しながら前記一次ケーブルを伸延するものである。
【0017】
上記ジャッキは半アーチの一次ケーブルを定着している高さとほぼ同じ高さを、対峙する半アーチ側に押圧するものであり、半アーチを押出すことによって一次ケーブルに引張力が作用する。このため、半アーチの回転角度が小さい場合でも、一次ケーブルにジャッキによる押圧力相当分の引張力と、半アーチの回転モーメントによる引張力とが作用し、一次ケーブルを小さいサグで張架することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、 請求項2又は請求項3に記載のアーチ橋の構築方法において、前記一次ケーブルがほぼ直線状に配置されるように、該一次ケーブルを下方から支持するものである。
【0019】
一次ケーブルを下方から支持することによって、半アーチの回転モーメントによる引張力が小さい場合でも、一次ケーブルにサグが生じるのを防止して、一次ケーブルをほぼ水平に配置することができる。そして、半アーチを安定した状態で支持し、回転させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、 アーチ橋台に固着される下沓と、 アーチリブの下端部に固着される上沓と、 前記下沓と上沓とを回動可能に連結する回動軸とを有し、 前記下沓及び上沓は、独立した複数の沓を前記アーチリブの幅方向に並列したものであり、 前記回動軸は、複数の前記下沓と上沓とを連結する一本の連続した部材であることを特徴とするアーチ橋用の支承を提供するものである。
【0021】
上記支承では、複数の下沓と上沓とを一本の連続した部材である回動軸によって連結することによって、複数の下沓及び上沓をアーチリブの幅方向において精度良く並列することができ、位置調整が容易となる。そして、複数の下沓と上沓とを同一の回動軸によって回転させ、上沓に固着されたアーチリブを過大な反力又は応力を生じることなく、所定の位置まで傾斜させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、請求項1、請求項2又は請求項3に係る発明の一実施形態であるアーチ橋の構築方法によって構築されたアーチ橋を示す概略構成図である。
このアーチ橋は深い渓谷等に架設されており、架橋地点の両側に対峙するように設けられた二つのアーチアバット11a、11bの間に架設されたアーチリブ3と、このアーチリブ3上に支柱4で支持された上路桁2と主要部が構成されている。上路桁2の両端は橋台1a、1bに支持され、この上路桁上に路面が形成される。なお、アーチリブ3は、一対のアーチアバット11a、11b上にアーチ全体のほぼ半分である半アーチを上方に構築し、この半アーチをそれぞれ対岸側に回転させ、連結したものである。
【0023】
次に、上記アーチ橋の構築方法を図に基づいて説明する。
図2に示すように、上路桁2の端部を支持する位置に橋台1を設け、該橋台1の前方にアーチリブを支持するアーチアバット11を構築する。また、橋台1の後方にはアンカーブロック15を形成し、グラウンドアンカーによって強固に地盤又は岩盤に固定する。次に、アーチアバット11上に、半アーチの基部となる回転支承16を据え付け、上路桁2を支持するための橋脚13を立設する。そして、橋脚13に押出しジャッキ12を取りつけるとともに、橋台1と橋脚13との間に押出しジャッキ12の反力に抵抗する反力受け梁14を架設する。
【0024】
上記回転支承16はアーチリブの幅方向に2基配置されており、図4及び図5に示すように、アーチアバット11に固着される下沓31と、半アーチ17の下端部に固着される上沓32とで構成されている。そして、2基の回転支承がそれぞれ有する下沓31と上沓32とは、一本の連続した部材である回動軸33によって回動可能に連結されている。
【0025】
上記下沓31は、アーチアバット11の傾斜面11aと平行な支圧面を有する傾斜支圧部31aと、該傾斜支圧部31aの下端部に連続して設けられ、アーチアバット11の水平面11bと当接される水平支圧部31bと、傾斜支圧部31a及び水平支圧部31bに垂直方向に接合され、回動軸33の方向に所定間隔で複数設けられた垂直板31cと、アーチアバット11に埋め込まれるリブ31dとを有する。また、上記上沓32は、複数のアンカーボルト32aが固定されている支持板32bと、該支持板32bに垂直方向に接合され、平行に隣合う垂直板31cの間に差し入れられる位置に設けられた垂直支持板32cとを有する。なお、垂直板31c及び垂直支持板32cには、回動軸33を挿通するための挿通孔が設けられている。
【0026】
上記下沓31をアーチリブの幅方向の所定位置に2台を設置し、下沓31が有する傾斜支圧部31aがアーチアバット11の傾斜面11aに密着するようにモルタル等を充填し、アンカーボルト34をアーチアバット11に固定する。次に、2台の上沓32を鋼型材35によって吊り支持し、それぞれの上沓32の垂直支持板32cを、対応する下沓31の隣合う垂直板31cの間に挿入し、垂直支持板32cと垂直板31cとの挿通孔を重ね合わせる。そして、2組の下沓31と上沓32との垂直板31c及び垂直支持板32cに、連続する回動軸33を挿通し、下沓31と上沓32とを連結し、ボルト36によって幅方向の位置を固定する。
【0027】
次に、支持板32bが所定の角度となるように上沓32を固定し、図3に示すように、支持板32b上に順次コンクリートを継ぎ足して打設し、上方に向かって支持されたアーチリブ17を構築していく。このとき、構築中のアーチリブ17の高さが低い間は、固定用のジャッキ18及び押出しジャッキ12でアーチリブを支持するものとし、後方にやや傾斜させて曲率を有するアーチリブ17に前方への転倒モーメントが作用するのを防止している。
【0028】
図6に示すように、アーチリブ17を順次上方へ立ち上げる工程が進み、一次ケーブル20の定着位置まで到達すると、一次ケーブル20をアーチリブ17とアンカーブロック15との間にほぼ水平に張架し、押出しジャッキ12でアーチリブを前方(支間中央側)へ押出すとともに、一次ケーブル20の引張力でアーチリブ17をアンカーブロック15側へ引き付ける。これにより、一次ケーブル20には所定の引張力が導入され、サグが小さい状態に維持される。したがって、一次ケーブル20の見かけの軸方向剛性がサグによって著しく低下するようなことはなく、アーチリブ17が安定した状態で保持される。
【0029】
アーチリブ17の構築がほぼ半アーチの完成に至ると、アーチリブ17の頭頂部17aとアンカーブロック15との間に二次ケーブル19を配置する。このとき、二次ケーブル19に張力を導入してもよいが、アーチリブ17を主に保持するのは、一次ケーブル20の引張力と押出しジャッキ12の押圧力となるように設定する。
【0030】
そして、アーチリブ17の上方への立ち上げが終了すると、押出しジャッキ12を前方(支間中央側)に押出すとともに、一次ケーブル20をアンカーブロック側でゆっくりと送り出し、アーチリブ(半アーチ)を回転させ、支間中央側へ傾斜させていく。アーチリブ17の回転が所定量進むと、アーチリブ17は押出しジャッキ12から離れ、一次ケーブル20の引張力はアーチリブ17の支間中央側への回転モーメントに対応する値となる。このとき、アーチリブ17の傾斜角が小さいときには、一次ケーブル20に作用する引張力はさほど大きいものではないが、一次ケーブル20の断面は二次ケーブル19より小さく適切に設置されているので、引張応力度はある程度大きく、サグがわずかしか生じない。このため、アーチリブ17は、支間中央側への回転が開始された初期の段階で安定した状態で保持される。
【0031】
アーチリブ17の回転がさらに進行し、傾斜面が大きくなるとアーチリブ17の回転モーメントが増大する。この増大した回転モーメントに対しては、二次ケーブル19の長さを調整し、二次ケーブル19の引張力で抵抗させる。このとき、回転モーメントが大きくなっており、二次ケーブルの断面積が大きくなっていてもサグは小さく、二次ケーブル19のサグは小さい。したがって、見かけ上の軸方向剛性は大きく維持され、安定した状態でアーチリブ17を保持し、この二次ケーブルを少しずつ送り出してケーブル長を伸延することによってアーチリブ17の回転を進めることができる。
なお、アーチリブ17を二次ケーブル19で保持した後は、一次ケーブル20を撤去することができる。
【0032】
図7に示すように、対向する一対の半アーチ17a、17bが所定の位置に配設されたら、それぞれの半アーチ17a、17bの先端部が対向する位置にアーチクラウン部21を形成し、アーチリブ3を形成する。その後、二次ケーブル19を撤去し、回転支承16をコンクリートによって埋め込んでアーチリブ3の下端をアーチアバット11に固定し、一体化する。そして、アーチリブ3上に支柱を立ち上げて上路桁を架設し、アーチ橋を完成させる。
【0033】
上記実施の形態において、一次ケーブル20は、図8に示すように、サグが生じないように支持台41を設けて支持することができる。支持台41は、一次ケーブルが直線状となってサグが生じないように正確に製作する。また、一次ケーブルとの接触面は、大きな摩擦力が生じないように平滑なものとするのが望ましい。このように、一次ケーブル20を支持することにより、一次ケーブルに大きな引張力を導入するのが難しい場合にも、サグの発生を防止し、見かけの軸方向剛性を大きくすることができる。
なお、このように支持台を設ける方法は、請求項4に記載の発明の一実施形態である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係るアーチ橋の構築方法では、上方に立ち上げたアーチリブの回転モーメントを一次ケーブルの張力によって支持し、該一次ケーブル長を少しずつ送り出し伸延することによって回転させる。一次ケーブルは、断面積が小さい引張応力度が高い鋼材からなるため、アーチリブの傾斜角度が小さく、回転モーメントが小さい場合でも、サグを生じることなく張架される。このため、アーチリブを安定した状態で保持し回転させることができる。アーチリブの傾斜角度が大きくなると、二次ケーブルによって大きな回転モーメントに抵抗するものとし、アーチリブを支持するとともに、二次ケーブルの大きな引張力によってサグが小さく抑えられ、アーチリブを安定した状態で保持し、所定の角度まで回転させることができる。
【0035】
また、本願発明に係るアーチ橋用の回転支承では、複数の下沓と上沓とを一本の連続した部材である回動軸によって連結することによって、複数の下沓及び上沓をアーチリブの幅方向において精度良く並列し、配置作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1、請求項2又は請求項3に係る発明の一実施形態であるアーチ橋の構築方法によって構築されたアーチ橋を示す概略構成図である。
【図2】 図1に示すアーチ橋の構築方法を示す説明図である。
【図3】 図1に示すアーチ橋の構築方法を示す説明図である。
【図4】 図1に示すアーチ橋で用いられる回転支承の側面図である。
【図5】 図1に示すアーチ橋で用いられる回転支承の断面図である。
【図6】 図1に示すアーチ橋の構築方法を示す説明図である。
【図7】 図1に示すアーチ橋の構築方法を示す説明図である。
【図8】 請求項4に係るアーチ橋の構築方法における一次ケーブルの支持状態を示す概略図である。
【図9】 従来のロアーリング方式によるアーチ橋の架設方法を示す概略図である。
【図10】 従来のロアーリング方式によるアーチ橋の架設方法を示す概略図である。
【図11】 従来のアーチ橋で用いられる回転支承の側面図である。
【図12】 従来のアーチ橋で用いられる回転支承の側面図である。
【符号の説明】
1 橋台
2 上路桁
3 アーチリブ
4 支柱
11 アーチアバット
12 押出しジャッキ
13 橋脚
14 反力受け梁
15 アンカーブロック
16 回転支承
17 アーチリブ(半アーチ)
18 固定用ジャッキ
19 二次ケーブル
20 一次ケーブル
21 アーチクラウン部
31 下沓
32 上沓
33 回動軸
34 アンカーボルト
35 鋼材
36 ボルト
41 支持台

Claims (5)

  1. 対峙する架橋地点の両側にアーチ橋台を形成し、
    前記アーチ橋台上に設けられた回動支承上に、架設するアーチ全体のほぼ半分のアーチリブ(以下、半アーチという)を上方に立ち上げ、
    対峙する二つの前記半アーチを、それぞれ対峙する側に所定の角度まで回転し、該二つの半アーチを連結するアーチ橋の構築方法において、
    上方に立ち上げられた前記半アーチに一次ケーブルと二次ケーブルとの一端を定着し、他端を地盤に固定されたアンカーに係止し、
    前記一次ケーブルは、前記二次ケーブルより断面積が小さい鋼材とし、
    前記半アーチの回転モーメントを前記一次ケーブルの張力によって支持し、該一次ケーブル長を伸延することによって、前記半アーチの立ち上げ完了位置から所定角度まで回転させ、
    その後、前記半アーチの回転モーメントを前記二次ケーブルの張力によって支持し、該二次ケーブル長を伸延することによって所定の角度まで回転させることを特徴とするアーチ橋の構築方法。
  2. 前記二次ケーブルの一端を前記半アーチの頭頂部付近で定着し、
    前記一次ケーブルの一端を前記半アーチの頭頂部より下方で、前記アンカーとほぼ同じ高さで前記半アーチに定着することを特徴とする請求項1に記載のアーチ橋の構築方法。
  3. 前記半アーチの前記アンカーとほぼ同じ高さを、ジャッキによって対峙する半アーチ側に押圧しながら前記一次ケーブルを伸延することを特徴とする請求項2に記載のアーチ橋の構築方法。
  4. 前記一次ケーブルがほぼ直線状に配置されるように、該一次ケーブルを下方から支持することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のアーチ橋の構築方法。
  5. アーチ橋台に固着される下沓と、
    アーチリブの下端部に固着される上沓と、
    前記下沓と上沓とを回動可能に連結する回動軸とを有し、
    前記下沓及び上沓は、独立した複数の沓を前記アーチリブの幅方向に並列したものであり、
    前記回動軸は、複数の前記下沓と上沓とを連結する一本の連続した部材であることを特徴とするアーチ橋用の支承。
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