JP3905387B2 - 高耐力土中アンカー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主として雪崩や落石などのおそれのある法面等に使用される高耐力土中アンカーに関する。
【0002】
【従来の技術】
雪崩や落石の防止施設として、雪崩や落石の恐れのある法面(斜面)に柵体(金網張りしたものを含む)や三角錐状の枠体を設置し、これらを吊りロープ(ケーブル)によって法面の上方部位に固定したアンカーで吊持したり、ポケットを形成するように張ったポケット式ロックネットのロープや覆式ロックネットのロープを法面の上方部位に固定したアンカーで吊持したり、法面に沿って浮石押さえロープを敷設し、そのロープの上部をアンカーで吊持したりすることが行われている。
【0003】
かかるアンカーとして、地盤が土質系である場合、打ち込み式アンカーが用いられるが、吊りロープとこれに連結した被吊持物および雪や岩石などの荷重が作用するので、地盤に強固に設置する必要がある。
しかし、旧来の打ち込み式アンカーは、鋼管製のパイプの上端に吊りロープの端末を支持させたものであったので、荷重によりアンカーの下端を支点として頭部が荷重方向である前面側に傾き(お辞儀)やすく、ローム質、N値ほぼ3の地盤での水平耐力がせいぜい2.5kN程度しかなかった。
【0004】
この対策として、鋼管製パイプの上端に設けた吊りロープの端末係止具の直近部位に、水平板部と該水平板部の下面とパイプ外面とを結ぶ縦羽根部とを有する抵抗板を備えたいわゆるロケット型のアンカーが使用されている。
かかるロケット型のアンカーは、頭部付近に抵抗板があるため、旧来のアンカーに比べて頭部の傾きが抑制され、耐力を増加することができた。
【0005】
しかし、このロケット型のアンカーでも、落石防止工で大きな荷重が作用した場合、また、雪圧のような常時荷重を受けた場合に、アンカー頭部の変形量(変位量)が大きくなり、その結果、アンカー背面(山側)に地盤の亀裂が生じ、雨水凍結融解により亀裂が発達し、破壊に至る危険があった。
また、アンカー耐力と変形量は比例関係にあり、ロケット型のアンカーは極限耐力として所定の効果はあるけれども、変形量を規定された場合の許容耐力は低くなる問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、耐力が極めて高くかつ頭部の変位が非常に生じにくい構造の比較的簡易な高耐力地中アンカーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、外力の作用点をアンカー本体の上端に置くとしていた従来の打ち込み式地中アンカーの発想を転換し、外力の作用点をアンカーの高さ方向中間部位に位置させたもので、すなわち、第一発明は、ロープで代表される条体の端末を支持するため法面に設置されるアンカーにおいて、地中に埋設される部位に支持部を設けたアンカー本体と、下端が前記支持部に枢支されて土中を谷側に斜めに延び上端を条体と連結したアームと、前記アンカー本体の位置よりも谷側の地表に設けられ前記アームの先端領域を受け止める支圧板とを備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の第二発明は、ロープで代表される条体の端末を支持するため法面に設置されるアンカーにおいて、地中に埋設される部位に支持部を設けたアンカー本体と、下端が前記支持部に連結されて土中を谷側に斜めに延びる条体と、前記アンカー本体の打ち込み位置よりも谷側の地表に設けられ条体の地表露出部分を受け止める支圧板とを備えていることを特徴としている。
【0009】
なお、本発明は、谷側の荷重を支持する条体を吊るアンカーを法面に設置するにあたり、高さ方向の中間部位にアームの下端部を枢支したアンカー本体を使用し、アームを起立させた状態で法面に打ち込み、アンカー本体よりも谷側に前記アームの先端領域を受け止める傾斜部を有する支圧板を打ち込み、アームを支圧板に向けて倒して先端部を傾斜部で受支させる法面へのアンカー設置方法を含んでいる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1(a)、(b)は本発明の適用例を示しており、SLは法面、Gは吊持対象物であり、この例では柵であるが、これに限定されるものではない。1は本発明の高耐力地中アンカー、2は一端が高耐力地中アンカー1に連結され、他端が支持対象物Gに連結された条体であり、この実施例ではワイヤーロープが用いられている。
【0011】
図2ないし図7は本発明による高耐力地中アンカーの第1実施例を示しており、アンカー本体3と、該アンカー本体3の地中に埋め込まれる部位に下端が枢支連結され、地中で谷側(ロープ牽引方向)に所要角度αに傾斜されたアーム4と、アンカー本体3よりも谷側の法面表面に設置され前記アーム4の上端下面を支持する支圧板5とを備えており、条体2は地表から突出したアーム4の上端に連結され、谷側に導かれている。
【0012】
図1(a)はアンカー本体3を法面SLに対して略直角に設置した場合を、図1(b)は地軸に対して略垂直に設置した場合を示している。もちろん図示しないが法面に水平部を形成してそこに設置することもできる。
【0013】
アンカー本体3はめっきなど耐食処理の施された鉄鋼材からなり、図2のように、地中に埋め込まれる部位に支持部30を有している。ここで、地中に埋め込まれる部位は、地表から打ち込まれた長さL1の範囲内をさし、地質、法面傾斜角度などによりL1の1/3〜2/3の範囲から選定する。この例では略1/2L1としている。
【0014】
支持部30は、この例では、図4のように、ヨークを構成するように溶接などによってアンカー本体外面に固着した2枚のブラケットと、ブラケットに設けた通孔300に挿通されるピンボルト301及びナット302からなっている。
【0015】
アンカー本体3は、この実施例では、天端付近に、地表に接地する板部310とこれの下面およびにアンカー本体側面に端縁が接合された羽根板部311からなる抵抗板31を有している。しかし、本発明は、かかる抵抗板31を有しないものも含んでいる。
【0016】
アーム4はめっきなどの耐食処理の施された剛性の高い帯板、通常、帯鋼から構成されており、下端部に通孔40が設けられ、これがアンカー本体3の支持部30を構成するブラケットに設けた前記通孔300に合わされ、ピンボルト301を貫挿してナット302が螺合されることにより、アンカー本体3の支持部30に角度可変に枢支連結されている。
【0017】
アーム4は、支持部30を支点として所要の角度αたとえば30〜50度、谷側に傾斜したしたときに上端部が地表から突出されるような長さを持ち、前記上端部には条体2との連結用部41が設けられている。この例では連結用部41は通孔からなっている。
そして、アーム4は、アンカー本体3とともに地中に打ち込まれた後、支持部30を支点として所要の角度α谷側に倒されるときに土砂をせん断するために、下面縁部に比較的尖鋭な刃部(エッジ)42が設けられている。
【0018】
支圧板5は前記アーム4の地中への沈下を防止して傾斜角度αを維持するための手段であり、前記アーム4の傾斜位置における地表部の反力支持点に配置固定される。
支圧板5は地表に対する接地板50と、これの下面に固着され地中に打ち込まれる羽根板51とを有し、かつ、山側には前記アーム4の上端部下面を受支する傾斜状受部52を有している。
傾斜状受部52は、この例では、施工現場に応じたアーム4の傾斜角度αの変更に簡易に対応できるようにすべく接地板50と別部材とされ、接地板50に部分的に重ねられ、ボルト・ナット520より締結一体化されるようになっている。
【0019】
前記傾斜状受部52には、前記アーム4の左右のずれを防止するための拘束手段54が取り付けられている。
この拘束手段54は任意であるが、この実施例では、傾斜状受部52に数個の通孔を設け、これら通孔にUボルト540を通し、これに帯板541を嵌めてナット542を螺合するようにしている。
【0020】
なお、この例ではアーム4の連結用部41は通孔であるため、該通孔にシャックル43の脚端穴部が合わされてピンが挿通され、シャックル43に条体2の端末アイ部20が交合状に取り付けられている。
【0021】
本発明は前記態様に限定されるものではなく、種々の態様を採用し得る。
まず、条体2は、ワイヤーロープだけでなく繊維ロープ、ワイヤーと繊維との複合ロープ、さらにはチェーン、金属、非金属、あるいはそれらの複合材からなるロッドなどを含んでいる。
アーム4も種々の構成を採用しうる。図8はアーム4の他の態様を示しており、(a)はアーム4の連結用部41をヨーク状に構成し、これに条体2の端末アイ部20が交合状に配され、ボルトピンとナットで取り付けられている。(b)はアーム4が平行な2本の帯板4a、4aからなっている。なお、地質などによっては、アーム4は帯板でなく棒鋼などであってもよい。
【0022】
図9は支圧板5の他の態様を示しており、(a)は傾斜状受部52を面板50と一体に形成している。また、(b)は拘束手段54の他の例を示しており、傾斜状受部52に一体に設けられている。この場合には、拘束手段54は溝部材たとえば短く切った溝形鋼のウエブを溶接などで固着したり、L形鋼を1対固着したりして構成すればよく、必要に応じて、アーム4を配置後にアーム4の上方への突出を抑制する蓋部材をねじなどで取り付ければよい。
なお、支圧板5は通常アーム4と分離されているが、場合によっては、一体に連結されていてもよい。
【0023】
【実施例の作用】
第1実施例の使用法と作用を説明すると、図10(a)のようにアーム4をアンカー本体3と略平行となるように支持部30を支点として起立させ、この状態で施工予定部位に打ち込む。それと並行して、アンカー本体打ち込み位置よりも谷側の地表に傾斜状受部52が山側に位置するように支圧板5を配し、羽根板51を地中に打ち込む。
所定の長さアンカー本体3を打ち込んだ状態では、アーム4は大半が地中にともに押入れられ、上端部分が地表から突出している。
【0024】
そこで次に、図10(b)のように、アーム4を谷側から支圧板5の方向に引っ張るかあるいは山側から押圧する。これはハンマーで殴打したり、建機で押圧したり、あるいはあらかじめアーム4の上端の連結用部41に連結しておいた条体を牽引したりして行えばよく、アーム4はアンカー本体3の支持部30を支点として土砂をせん断しながら倒され、傾斜される。アーム4は下面端縁にエッジ42があるため、比較的抵抗を少なくすることができる。
【0025】
こうしてアーム4が倒されると、上端部分の下面が支圧板5の傾斜状受部52に受け止められられ傾斜角度αが固定される。そこで拘束手段54でアーム4のずれを止め、条体2を法面SLと略平行状に導いて対象物Gに連結する。これで作業は終了し、図2に示す状態で荷重を支える。なお、条体2の端末の連結はアーム4蛾傾斜されてから行ってもよい。
【0026】
このように設置された状態では、対象物Gから条体2に伝達された荷重は傾斜角度αのアーム4を介してアンカー本体3の地中埋め込みされている支持部30に伝達される。すなわち、外力の作用点はアンカー本体3の上端ではなく、それより下の地中部位となる。また、アーム4の傾斜角度は支圧板5の傾斜状受部52で受支され、耐力に見合った反力支持点を維持できるので、アーム4の傾斜角度は変わらない。
【0027】
したがって、本発明においては、アンカー本体3のおじぎ(転倒モーメント)が軽減され、アンカー本体3の全体が横方向に引かれることにより外力と水平方向に変位されるようになり、アンカー本体3の略全長に抵抗土圧を一様に作用させることができる。このため、変位の著しい抑制と水平耐力の向上を図ることができる。
【0028】
しかも、アーム4を倒して傾斜角度を得るため、アンカー本体3の谷側を掘削する必要がなく、施工性がよく、地盤耐力の低下も招かない。
こうしたことから、本発明は、同じ耐力を短いアンカー本体3で得ることができことになり、その分だけ法面での取り扱い、打ち込み作業が楽になり、また材料コストも増さない。さらに、施工場所での水平部確保や段切り掘削を要さず、地軸に垂直にも施工できる。
【0029】
図11と図12は本発明の第2実施例を示している。
この実施例においては、アーム4に代えて条体2(この例ではロープ)が用いられており、条体2の端末がアンカー本体3の高さ方向中間部位の支持部30に連結され、谷側の地中を斜めに走って地表に導かれ、支圧板5の傾斜状受部52で保持された後、谷側に導かれている。
条体2は対象物支持ためのものをそのまま使用できるが、もちろん吊りのための条体と別の条体を使用し、地表から突出した端部に吊りのための別の条体を連結してもよい。条体2がロープに限られないことは第1実施例に述べたとおりである。
【0030】
他の構成は第1実施例及びその変化態様と同様であり、施工方法も第1実施例と基本的に同じである。ただ、第2実施例は、可撓性のある条体を使用したすると、場合によってはアンカー本体3の谷側を掘削することが必要になるが、これによる地盤耐力の低下を軽減するため、アンカー本体から支圧板5の位置まで条体の太さ程度の幅のスリット状軟質部を形成するとよい。これはブレーカー、突き棒などを使用して行うことができる。
【0031】
図13は第2実施例の他の態様を示しており、アンカー本体3の谷側を掘削せずに、条体2を確実に土中で傾斜できるようにするため、剛性の補助部材8が用いられている。
該補助部材8は、たとえば下面に尖ったエッジ80を有するV状の鉄鋼材、あるいは三角形状の中空材が用いられ、これらの内部に条体2を配した状態で起立させ、アンカー本体3を地中に打ち込んだ後、補助部材8を谷側に引っ張りあるいは押圧して、条体2を一緒に傾斜させる。傾斜させた後は、補助部材8はそのまま埋め殺してもよいし、抜き取ってもよい。
【0032】
本発明は雪崩や落石防止用の柵体(金網張りしたものを含む)や三角錐状の枠体の吊り設置を対象とするだけではなく、ポケット式ロックネットのロープや覆式ロックネットを施工するためのアンカー、斜面に沿って落石防止ネットを展張する場合の幹ロープ類を固定するための法面アンカーなどにも適用される。
【0033】
次に、本発明を実地に試験した結果を示す。
〔第1例〕−第1実施例
アンカー本体は、長さ2000mm、直径114mm、厚さ4.5mmの鉄鋼パイプの上端から約200mmの位置に、接地板と300×300mmの羽根板を有する抵抗板を設けたものを使用し、接地板の位置から800mm下の位置に突出長さ110mm、高さ100mmの支持ブラケットを固着した。
【0034】
アームとして、長さ1300mm、幅80mm、厚さ19mmの帯鋼板を縦に使用し、先端と後端には通孔を設けた。下面となる縁部に1000mmの長さにわたってエッジを形成した。該アームの下端部を支持ブラケットに挿し合わせ、ボルトナットで角度可変に連結した。
【0035】
支圧板は、400×600×6mmの面板の中央部下面に、高さ500mmの十字状羽根板を固着した本体に、幅400mm、厚さ6mmで中間から傾斜角度45度の傾斜部を形成した受板をボルトナットで結合した構成とした。
条体には、構成が3×7、直径18mmのワイヤーロープを使用した。
【0036】
〔第2例〕 −第2実施例
アンカー本体と支圧板は第1例と同じものを使用した。
ワイヤーロープも第1例と同じものを使用し、これの端末を支持ブラケットに挿し合わせ、ボルトナットで角度可変に連結した。
【0037】
〔比較例〕 −ロケットアンカー
長さ2000mm、直径114mm、厚さ4.5mm、の鉄鋼パイプの上端から約200mmの位置に、接地板と300×300mmの羽根板を有する抵抗板を設けたアンカー本体を使用した。アンカー本体の抵抗板よりも上位にボルトを横通してワイヤーロープの係止部とした。ワイヤーロープは第1例と同じものを使用し、これの端末をアンカー本体の頭部に嵌め、係止部で上方への外れを止めた。
【0038】
前記第1例、第2例及び比較例を地中に設置して、耐力と変位を試験した。
土質条件は関東ローム層、N≒3、前日の降雨で地盤強度は通常時よりも低下していた。
比較例の設置法:エアパンチャーを使用して2mの深さに打ち込み、ワイヤーロープの端末をアンカー本体の頭部に嵌め、係止部で上方への外れを止めた。
【0039】
第1例の設置法:アームをアンカー本体と平行状になるように起立させた状態で、エアパンチャーを使用してアームを帯同させつつアンカー本体を2mの深さに打ち込んだ。支圧板をアンカー本体の約970mm前方の位置に油圧ショベルのアームで押し込んで固定した。地表から突出しているアームの先端部分を油圧ショベルのアームで支圧板の方向に引張って45度の傾斜となるように倒し、受板で支持させた。アームの先端部分にU字状連結具を介してワイヤーロープの端末を連結した。
【0040】
第2例の設置法:ロープをアンカー本体と平行状になるように起立させた状態で、エアパンチャーを使用してロープを帯同させつつアンカー本体を2mの深さに打ち込んだ。支圧板をアンカー本体の約970mm前方の位置に油圧ショベルのアームで押し込んで固定した。
アンカー本体位置から支圧板の位置まで、ブレーカーによりロープの径と略同程度の幅、深さ約30mmの軟化スリット状部を形成した。地表から突出しているアームの先端部分を支圧板の方向に引張って45度の傾斜となるように倒し、受板で支持させた。
地表から突出しているロープ部分を支圧板の方向に引張って45度の傾斜となるように倒し、受板で支持させた。
【0041】
以上のようにして得られた各アンカーについて、水平引張り荷重を作用させ、水平変位のみ増加して、それ以上荷重が増加しなくなる点を終点として荷重を増加させた。試験方法を図14に示す。引張り荷重は油圧ジャッキで付加し、ロードセル及び弦巻式の伸び計に連結しているデータローガから3秒ごとに荷重及び変位を測定した。
【0042】
限界荷重tf(Pu)と降伏荷重tf(Py)、限界変位mm(δu),降伏変位mm(δy)の測定結果は次のとおりである。
比較例:限界荷重=7.55tf、降伏荷重=5.90tf、限界変位=129.6mm、降伏変位=34.6mm
第1例:限界荷重=9.09tf、降伏荷重=7.35tf、限界変位=3.8mm、降伏変位=0mm
第2例:限界荷重=8.90tf、降伏荷重=7.33tf、限界変位=4.2mm、降伏変位=0mm
【0043】
この結果から、第1例は限界荷重と降伏荷重は比較例に比べてそれぞれ2割および、2.5割増加し、降伏変位及び限界変位はそれぞれ9割減少し、変位抑制と引張り耐力が極めて改善されていることがわかる。第1例と比較例の水平引張り荷重の変化と変位の変化は図15のとおりであり、きわめて変位が少ないことがわかる。
第2例も、限界荷重と降伏荷重は比較例に比べてそれぞれ約2割および約2.5割増加し、降伏変位及び限界変位はそれぞれ9割減少し、変位抑制と引張り耐力が極めて改善されていることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によれば、地中に埋め込まれる部位に支持部30を設けたアンカー本体3と、下端が前記支持部30に枢支されて土中を谷側に斜めに延び上端を条体2と連結したアーム4と、前記アンカー本体3の位置よりも谷側の地表に設けられ前記アーム4の先端領域を受け止める支圧板5とを備えているので、外力の作用点がアンカー本体3の地中部分に位置させられ、また、前方地表面部の反力支持点に耐力に見合った支圧板5があり、アーム4の地中への沈下を防止するので、アンカーの変位を抑えて耐力を著しく増加させることができ、しかもアンカー本体の谷側を掘削しないでよくなるので、施工性もよいなどのすぐれた効果が得られる。
【0045】
請求項2によれば、アーム4が帯状板からなり、下面端縁に土砂を切り込むエッジ42を有しているので、アームを円滑に所定角度に傾斜させることができるというすぐれた効果が得られる。
請求項3によれば、支圧板5が、地表に対する接地板50と、地中に食い込む羽根板51と、アームの先端領域を受け止める傾斜状受け52を有しているので、アーム4を所定の傾斜角度に確実に保持させることができるというすぐれた効果が得られる。
請求項4によれば、地中埋め込み部位に支持部30を設けたアンカー本体3と、下端が前記支持部30に連結された土中を谷側に斜めに延びる条体2と、前記アンカー本体3の打ち込み位置よりも谷側の地表に設けられ条体2の地表露出部分を受け止める支圧板5とを備えているので、外力の作用点がアンカー本体3の地中に位置させられ、また、前方地表面部の反力支持点に耐力に見合った支圧板5によりロープ2の地中への沈下を防止するので、アンカーの変位を抑えて耐力を著しく増加させることができ、しかも構造が簡単で安価に実施できるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)はそれぞれ本発明のアンカーの設置例を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施例の平面図である。
【図4】図2のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図2の部分拡大図である。
【図6】図5のY−Y線に沿う断面図である。
【図7】図5のZ―Z線に沿う断面図である。
【図8】(a)は第1実施例のアームの他例を示す平面図、(b)は第1実施例のアームの他の例を示す平面図である。
【図9】 (a)は本発明の支圧板の他例を示す斜視図、(b)は拘束手段の他の例を示す部分的平面図である。
【図10】 (a)(b)(c)は第1実施例の施工状態を段階的に示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施例を示す断面図である。
【図12】本発明の第2実施例を示す平面図である。
【図13】(a)は第2実施例の他の例を示す断面図、(b)は(a)のZ−Z線に沿う断面図である。
【図14】本発明アンカーの具体例の試験方法を示す説明図である。
【図15】具体例の第1例と比較例の荷重〜変位曲線図である。
【符号の説明】
1 アンカー
2 条体
3 アンカー本体
4 アーム
5 支圧板
30 支持部
42 エッジ
50 接地版
51 羽根板
52傾斜状受け
Claims (5)
- ロープで代表される条体を支持するため法面に設置されるアンカーにおいて、地中に埋設される部位に支持部を設けたアンカー本体と、下端が前記支持部に枢支されて土中を谷側に斜めに延び上端を条体と連結したアームと、前記アンカー本体の位置よりも谷側の地表に設けられ前記アームの先端領域を受け止める支圧板とを備えていることを特徴とする高耐力土中アンカー。
- アームが、下面端縁に土砂を切り込むエッジを有する帯状板からなっている請求項1に記載の高耐力土中アンカー。
- 支圧板が、地表に対する接地板と、地中に食い込む羽根板と、アームの先端領域を受け止める傾斜状受けを有している請求項1に記載の高耐力土中アンカー。
- ロープで代表される条体を支持するため法面に設置されるアンカーにおいて、地中に埋設される部位に支持部を設けたアンカー本体と、下端が前記支持部に連結されて土中を谷側に斜めに延びる条体と、前記アンカー本体の打ち込み位置よりも谷側の地表に設けられ条体の地表露出部分を受け止める支圧板とを備えていることを特徴とする高耐力アンカー。
- 支圧板が、地表に対する接地板と、地中に食い込む羽根板と、条体の地表露出部を受け止める傾斜状受けを有している請求項4に記載の高耐力土中アンカー。
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