JP3905178B2 - 水性人工培地 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水性人工培地に関し、より詳しくは、鉢植えや切り花などの植物のための、土壌に代わる培地として好適な水性の人工培地に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸水性ポリマーを植物の培地に用いることは既に知られている。これは例えば架橋ポリアクリル酸塩系、でんぷん/ポリアクリル酸塩系などのポリマーを土壌の一部に混合して培地とするものであが、植物の栽培に適した培地とするためには、給水性ポリマーにより提供される保水性と給水性のバランスがとれていることなどが特に必要である。最近はこうした観点から、改良された性能を有する吸水性ポリマーが提案されるに至っている。
【0003】
例えば特開平8−256592号は、N−ビニルカルボン酸アミド系の架橋ホモポリマー又はコポリマーを0.3〜10重量%配合した人工培地を教示している。これらのポリマーは保水能力と植物に対する水の供給能力のバランスがとれ、植物の生育にも影響を与えないとされる。また特開平8−266147号は、ポリN−置換(メタ)アクリルアミド誘導体などの、温度依存型の平衡吸水率を有する架橋ポリマーを0.1〜10重量%程度の量で培地に含有させることにより、温度変化に応じて給水量を調節することを開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術による人工培地は、通常はせいぜい3重量%程度の吸水性ポリマーを土壌と混合してなるものである。しかしながら、鉢植え植物や切り花植物などはインテリア性の高いものであるため、人工培地が土壌を含まない、よりクリーンな形態で提供されることが好ましい。そこで人工培地を吸水性ポリマーのみから、或いはその大半を吸水性ポリマーから構成することが望まれる。だが、こうした系では毎日の潅水の手間が省けるといった吸水性ポリマーの特質に基づく利点は得られるものの、土壌並の生育性を獲得することは困難であった。即ち植物の生育、発芽、発根、生長といった面では、大部分を吸水性ポリマーのみから構成した人工培地は、大半が土壌から構成される人工培地、或いは土壌自体には未だ及ばなかった。
【0005】
そこで本発明の1つの課題は、全部又は大部分を吸水性ポリマーから構成でき、土壌を代替可能な水性人工培地を提供することである。こうした人工培地は、従来のように土壌の一部として混合して用いられる場合でも、従来の人工培地よりも植物体に対して好ましい影響を及ぼすことができる。
【0006】
また、切り花植物を花瓶に活けるような場合については、水を吸水性ポリマー培地で代替することが可能であれば、倒れても水がこぼれる心配がないため、インテリアとしての範囲が広がることになるが、こうした場合には吸水性ポリマー培地が水と同等の鮮度を保持することが必要である。本発明の別の課題は、こうした用途にも好適に用いることのできる人工培地を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題の下に検討を重ねた結果、吸水性ポリマーに界面活性剤を併用することにより、優れた特性を有する水性人工培地を得ることができることを見いだし、本発明に到達した。即ち本発明によれば、吸水性ポリマー0.01〜10重量%と、界面活性剤0.0001〜20重量%とを含んでなる水性人工培地が提供される。残部は水であり、通常は水道水が用いられるが、純水やイオン交換水などを用いることもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる吸水性ポリマーは、水溶性樹脂を僅かに架橋(三次元化)して水不溶化したものであり、陰イオン性重合体、又は非イオン性重合体が一般的である。しかしこのことは、4級アンモニウム塩系などの陽イオン性重合体や、両性イオン性重合体の使用を排除するものではない。しかしながら汎用性などの点からして、陰イオン性重合体又は非イオン性重合体、或いはこれらの混合物が好ましい。
【0009】
陰イオン性重合体としては、例えばポリアクリル酸塩系、イソブチレン/マレイン酸塩系、でんぷん/ポリアクリル酸塩系、ビニルアルコール/アクリル酸塩系、カルボキシメチルセルロース系、アクリル酸塩/アクリルアミド系、酢酸ビニル/アクリル酸塩系、ポリアクリロニトリル系ケン化物、でんぷん/アクリロニトリルグラフト重合体系ケン化物、多糖類/アクリル酸塩系、アルギン酸エステル系、ポリスルホン酸塩系、及び酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体系ケン化物が挙げられる。これらの重合体は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらは一般に粉末状又は繊維状であり、ポリアクリロニトリル内芯/ポリアクリル酸塩外皮のような複合繊維の形態を取る場合もある。
【0010】
非イオン性重合体としては、ポリビニルアルコール系、でんぷん/ポリアクリロニトリル系、ポリオキシエチレン系、酢酸ビニル/無水マレイン酸系、ポリ−N−ビニルアセトアミド系、及びポリアクリルアミド系が挙げられる。これらも1種又は2種以上を混合して用いることができ、一般に粉末状又は繊維状の製品形態を有する。
【0011】
以上のような吸水性ポリマーの中でも、ポリアクリル酸塩系、イソブチレン/マレイン酸塩系、でんぷん/ポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系、酢酸ビニル/無水マレイン酸系、ポリN−アセトアミド系のものが好ましい。より好ましくは、ポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系、酢酸ビニル/無水マレイン酸系、ポリN−アセトアミド系の吸水性ポリマーが使用される。これは、これらのポリマーや、ポリマー製造時に生ずる非架橋ポリマー、不純物等が、仮に植物体表面に吸着したり植物体内に取り込まれたりしても、植物の生育、発芽、発根、生長といったものを比較的阻害しにくいためである。またこれらのポリマーは、植物の生育にとって完全とは言わないまでも、生育に必要な水の吸水性、保水性、通水性などの能力を比較的十分に有しているからである。
【0012】
吸水性ポリマーの使用量は、水を保持できる最小量、即ち0.01重量%から、10重量%の範囲である。0.01重量%を下回ると、吸水性ポリマーは固まらずに液状となる。また10重量%を超えると吸水性が強すぎ、界面活性剤を添加しても放水性が弱く、植物が生育しにくくなる。好ましくは、吸水性ポリマーの使用量は0.1〜10重量%である。
【0013】
本発明によれば、上記のような吸水性ポリマーと共に、更に界面活性剤を併用することにより、すぐれた植物生育性を有する水性人工培地を提供することができる。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤、或いはそれらの混合物を用いることができる。界面活性剤は培地の表面張力を低下させ、植物体の根や導管と培地とのぬれ性を向上させ、植物の吸水に重要な毛管現象を助長すると考えられる。また、培地の吸水性ポリマーと界面活性剤とがイオン的或いは疎水的な相互作用を引き起こし、ポリマーを改質してポリマーに保持される水の放水性を助長すると考えられる。しかしながら本発明は勿論、こうした理論ないし機構によって何ら拘束されるものではない。界面活性剤の使用量は0.0001〜20重量%であり、この範囲未満の場合には界面活性剤による放水性の効果が期待できない。またこの範囲を超えた場合には、植物体に対する生育阻害が発現してくる傾向が強くなる。好ましくは、界面活性剤は0.001〜1重量%の量で使用される。
【0014】
非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルホルムアルデヒド縮合物;ポリオキシアルキレンアリールエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンブロック共重合体;ポリオキシアルキレンブロック共重合体グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルスルホンアミド;ポリオキシアルキレンロジンエステル;アルキルポリグリコシド;ポリオキシアルキレンアルキルポリグリコシド;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミドなど;及びこれらのうち2種以上の混合物が挙げられる。以下に説明するものを含めて、アルキル基及びアルケニル基としては、炭素数8から24の直鎖又は分岐鎖構造のものが好ましい。
【0015】
陽イオン界面活性剤の例としては、モノアルキル1級アミン;モノアルキルジ低級アルキルアミン;ジアルキルモノ低級アルキルアミン;タローアミンエチレンオキサイド付加物、オレイルアミンエチレンオキサイド付加物、ソイアミンエチレンオキサイド付加物、ココアミンエチレンオキサイド付加物、合成アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、オクチルアミンエチレンオキサイド付加物等のアルキルアミンエチレンオキサイド付加物;アルキルアミンプロピレンオキサイド付加物;トリエタノールアミンジ脂肪酸エステル等のアルカノールアミン脂肪酸エステル;アルカノールアミン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物;エーテルアミン;エーテルアミンアルキレンオキサイド付加物;これらの酸塩(例えば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、又は酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸による塩)及び4級化物(例えばメチルクロライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ベンジルクロライド等による4級化物);及びこれらのうち2種以上の混合物が挙げられる。
【0016】
陰イオン界面活性剤のうち、典型的なものは水溶液或いは固体状態で入手され得るが、その例としては、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びこれらの塩等の脂肪酸及びその塩;ポリカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;アルキルスルホコハク酸塩;ヒドロキシアルカンスルホン酸塩;アルケンスルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;N−アシル−N−メチルタウレート;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のモノ又はジアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシアルキレンモノ又はジアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;アルキルリン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸塩;ポリオキシアルキレンエーテル酢酸又はその塩;直鎖又は分岐鎖アルキルアミドポリオキシアルキレンエーテル酢酸又はその塩;これらのうち2種以上の混合物など(ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアミン塩を含む)が挙げられる。
【0017】
また、適当な両性界面活性剤の例としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、商品名アルモックス(Armox)C/12、イミダゾリニウムベタイン(商品名ミラノール(Miranol))、アルキルベタイン、商品名ロンザイン(Lonzaine)、これらの混合物などがある。
【0018】
本発明においては、以上の界面活性剤の中で陽イオン界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が好ましく用いられ、より好ましくは陽イオン性界面活性剤が用いられる。これらの活性剤は植物体に取り込まれても、植物の生育、発芽、発根、生長に対する阻害を比較的起こしにくく、特に陽イオン界面活性剤は、負の電荷を有する吸水性ポリマー培地(ポリアクリル酸系など)に電気的相互作用を引き起こし、著しいポリマーの改質作用を発現し、植物体への放水性を向上するものと考えられる。
【0019】
本発明の水性人工培地は、吸水性ポリマーに対して界面活性剤を添加し、所要量の水を添加することによって調製することができる。水の添加に際しては、緩やかに撹拌を行うことが好ましい。あるいは、必要な界面活性剤を水に予め溶解又は乳化、分散させ、これを吸水性ポリマーに注ぐことによって培地を調製することもできる。
【0020】
本発明によれば、水性人工培地はさらに肥料成分を含有することができる。肥料成分としては、窒素質肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、有機質肥料、複合肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥料、苦土肥料、マンガン質肥料、ホウ素質肥料、微量要素複合肥料などの普通肥料と、その他の特殊肥料を挙げることができる。これらの肥料成分は液状又は粉末などの固体状であり、界面活性剤と共に吸水性ポリマーに対して添加することによって、或いは吸水性ポリマーに注水する水に含有させることによって、水性人工培地中に存在させることができる。
【0021】
本発明の水性人工培地は、さらに鮮度保持剤、活力剤、防腐剤、殺菌剤、殺虫剤、殺菌殺虫剤、土壌改質剤、植物ホルモン剤などの1種又は2種以上を含有することができる。これらの成分も、界面活性剤の添加に際して吸水性ポリマーに添加すること、或いは吸水性ポリマーに注水する水に含有させることができる。
【0022】
本発明の水性人工培地は、土壌、砂、無機物、支持体などの1種又は2種以上と混合した形態の人工培地とすることができる。こうした場合でも、本発明の水性人工培地は従来の吸水性ポリマーよりも植物に対して良好な影響を有することから、従来の吸水性ポリマー含有培地よりも植物にとって好ましいものとなる。こうした場合の本発明の水性人工培地と土壌などとの配合割合は特に限定されるものではないが、鉢植え植物の栽培などの場合、例えば土壌/水性人工培地=0.1〜1.0程度の比率で用いることができる。
【0023】
土壌としては、赤玉土、黒土、ビートモス、培養土、腐葉土、石灰、鹿沼土、山苔、日向土、水苔、ケト土などがある。砂や無機物としては、川砂、山砂、矢作砂、桐生砂、富士砂、朝明砂、多孔性鉱物として砕石、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、オスマンダ、鉱さい、軽石、苦土石灰、ドリームボール、くん灰、火山灰などが挙げられるがこの限りではない。支持体とは肥料や鮮度保持剤その他の添加剤の支持体となり得る基体であり、例えば鋸屑、パルプ、紙、腐食土壌、チップ、ダスト、バーク、稲わら、麦わら、バーミキュライト、ロックウール、石膏、多孔質セラミック等を挙げることができる。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
水性人工培地の調製
水耕栽培容器に下記aからfの吸水性ポリマーを、水道水を添加した時にそれぞれについてに示す吸水倍率(重量比)になる量だけ入れた。
【0026】
a.架橋ポリアクリル酸Na(花王(株)製):150倍(0.67%)
b.イソブチレン/マレイン酸塩((株)クラレ製商品名KIゲル):120倍(0.83%)
c.デンプン/ポリアクリル酸塩(三洋化成(株)製商品名サンフレッシュST100):250倍(0.40%)
d.酢酸ビニル/マレイン酸塩(日本合成化学(株)製商品名アクアリザーブ):50倍(2.00%)
e.ポリ−N−ビニルアセトアミド(昭和電工(株)製):30倍(3.30%)
f.ポリアクリル酸Na(花王(株)製):300倍(0.33%)及び酢酸ビニル/マレイン酸塩(日本合成化学(株)製商品名アクアリザーブ):100倍(1.00%)の混合物
次に、それぞれの吸水性ポリマーに対し、界面活性剤として、1.セチルトリメチルアンモニウムクロライド(花王(株)製商品名コータミン-60W)、2.ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンオレイン酸エステル(花王(株)製商品名レオドールTW-O-120)、3.ポリオキシエチレン(20モル)ラウリルエーテル(花王(株)製商品名エマルゲン120)を、最終濃度1000ppmになるよう添加した。またa.架橋ポリアクリル酸Naに対しては、陽イオン界面活性剤として、4.塩化ベンザルコニウム(花王(株)製商品名サニゾールC)、5.ジメチルジデシルアンモニウムクロライド(花王(株)製)を最終濃度1000ppmになるよう添加した。
【0027】
さらに肥料成分として、市販液体肥料(N:P:K=5:10:5)を、水道水で最終的に希釈した時に1000倍希釈(0.1%)になるよう添加し、また防腐剤を最終濃度が10ppmになるように添加した。その後、所定量の水道水により緩やかに撹拌しながら希釈し、数分間撹拌した後に2時間程度静置し、合計20種類のゲル状の水性人工培地を得た。これらを表1に実施例1〜20として示す。
【0028】
また、吸水性ポリマーa〜fに対して界面活性剤を添加せずに、6種類のゲル状の水性人工培地を同様に調製した。これらも表1に比較例1〜6として併せて示す。さらに、一般的な栽培との比較を示すものとして、土壌培土(タキイ種苗(株)、商品名タキイ培土)を比較例7として、また水道水を比較例8として用いた。
【0029】
【表1】
【0030】
花の生育維持試験
実施例1〜20及び比較例1〜6で得た水性人工培地、並びに比較例7及び8の土壌培地及び水道水を用い、それぞれについて根付き植物の生育維持試験を行った。植物としては、予め土壌栽培しておいた開花直後のポリアンサを用いた。根を傷めないように土壌を丁寧に流水にて洗い流し、水性人工培地を入れた200mlの水耕栽培容器に移植した。その後、温度20℃、湿度60%、照度1万lxの条件下で栽培した。水性人工培地自体から水が蒸発しないように植物体の周りをシールし、植物と栽培容器全体の重量を測定することで、植物による蒸散量を測定した。蒸散量測定は毎日行い、蒸散量分の水道水を随時補給することで、容器内の溶質濃度を一定に維持した。生育維持の評価は、目視と蒸散量の双方により行った。栽培10日目の結果を表2に示した。比較例1〜6の吸水性ポリマー単独の系と比較して、本発明により吸水性ポリマーに界面活性剤を添加した系では、全ての実施例において花勢が良好で蒸散量も多く、生育維持効果が高いことが観察された。
【0031】
【表2】
【0032】
種子発芽性、発根性、生育性試験
実施例1〜20及び比較例1〜6で得た水性人工培地、並びに比較例7の土壌培地をそれぞれ200mlの水耕栽培容器に入れ、アサガオの種子(タキイ種苗(株))を10粒(2反復)播種した。その後、温度20℃、湿度60%、遮光という条件下(但し発芽後は照度1万lx)で栽培した。容器の重量を毎日測定し、蒸散、蒸発した水分量を随時水道水により補給した。評価は発芽率、20日目における発根性、上部生育性の目視観察により行った。結果を表3に示した。比較例1〜6の吸水性ポリマー単独を培地として栽培した場合と比較して、本発明により吸水性ポリマーに界面活性剤を添加した水性人工培地を用いた系では、全ての実施例において発芽率が向上し、発根性、生育性も良好であった。
【0033】
【表3】
【0034】
切り花の鮮度保持、延命試験
切り花としては、開花直後のバラを用いた。実施例1〜20及び比較例1〜6で得た水性人工培地、並びに比較例8の水道水をそれぞれ30mlの試験管に入れ、花下部15cm程度のところで導管をふさがないように鋭利に切断した切り花を人工培地に直接挿した。その後、温度20℃、湿度60%、照度1万lxの条件下で栽培した。鮮度保持、延命効果は花勢の目視観察により評価した。栽培5日目の結果を表4に示した。比較例1〜6の吸水性ポリマー単独を培地として栽培した場合と比較して、本発明により吸水性ポリマーに界面活性剤を添加した水性人工培地を用いた系では、全ての実施例において、花勢は良好であった。
【0035】
【表4】
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、植物の生育に有用な水性人工培地が提供される。この水性人工培地は鉢植え植物の生育、種子の発芽、発根、生育、及び切り花の鮮度保持や延命に有用なものであり、土壌栽培又は水耕栽培可能な全ての植物に対して適用可能である。
Claims (11)
- 吸水性ポリマー0.01〜10重量%と、界面活性剤0.0001〜20重量%とを含んでなり、残部が水であり、界面活性剤が、(1)モノアルキル1級アミン、モノアルキルジ低級アルキルアミン、ジアルキルモノ低級アルキルアミン、アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、アルキルアミンプロピレンオキサイド付加物、アルカノールアミン脂肪酸エステル、アルカノールアミン脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、アルカノールアミン脂肪酸エステルプロピレンオキサイド付加物、エーテルアミン、エーテルアミンエチレンオキサイド付加物、並びにこれらの酸塩及び4級化物からなる群より選ばれる1種以上の陽イオン界面活性剤、並びに、(2)ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルホルムアルデヒド縮合物、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンブロック共重合体グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルスルホンアミド、ポリオキシアルキレンロジンエステル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミドからなる群より選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤、から選ばれる1種以上の界面活性剤であることを特徴とする水性人工培地。
- 吸水性ポリマーが、陰イオン性重合体、非イオン性重合体、又はこれらの混合物からなる、請求項1の水性人工培地。
- 陰イオン性重合体が、ポリアクリル酸塩系、イソブチレン/マレイン酸塩系、でんぷん/ポリアクリル酸塩系、ビニルアルコール/アクリル酸塩系、カルボキシメチルセルロース系、アクリル酸塩/アクリルアミド系、酢酸ビニル/アクリル酸塩系、ポリアクリロニトリル系ケン化物、でんぷん/アクリロニトリルグラフト重合体系ケン化物、多糖類/アクリル酸塩系、アルギン酸エステル系、ポリスルホン酸塩系、及び酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体系ケン化物からなる群より選ばれる1種以上である、請求項2の水性人工培地。
- 非イオン性重合体が、ポリビニルアルコール系、でんぷん/ポリアクリロニトリル系、ポリオキシエチレン系、酢酸ビニル/無水マレイン酸系、ポリ−N−ビニルアセトアミド系、及びポリアクリルアミド系からなる群より選ばれる1種以上である、請求項2の水性人工培地。
- 吸水性ポリマーが、ポリアクリル酸塩系、イソブチレン/マレイン酸塩系、でんぷん/ポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系、酢酸ビニル/無水マレイン酸系、ポリN−アセトアミド系、又はこれらの2種以上の混合物からなる、請求項1の水性人工培地。
- 吸水性ポリマーが0.1〜10重量%、界面活性剤が0.001〜1重量%である、請求項1から5の何れか1の水性人工培地。
- さらに肥料成分を含有してなる、請求項1から6の何れか1の水性人工培地。
- さらに鮮度保持剤、活力剤、防腐剤、殺菌剤、殺虫剤、殺菌殺虫剤、土壌改質剤、植物ホルモン剤の1種以上を含有してなる、請求項1から7の何れか1の水性人工培地。
- 請求項1から8の何れか1の水性人工培地と、土壌、砂、無機物、支持体の1種以上とからなる人工培地。
- 土壌を含み、土壌と水性人工培地の比率が、土壌/水性人工培地=0.1〜1.0である請求項9記載の人工培地。
- 請求項1から8の何れか1の水性人工培地からなり、土壌を含まない人工培地。
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