JP3904715B2 - 屋根 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根に関し、詳しくは、屋根パネルを小屋裏内に立設された束で支持する屋根に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、住宅等の建物の屋根としては、建物駆体の上に鉄骨構造の屋根トラスを組み、これに屋根パネルを組みつける構造、あるいは、建物駆体の上に束、梁、母屋などを組み立てて小屋組を形成し、この小屋組上に屋根パネルを組み付ける構造が一般的に利用されている。
これらの屋根の一例として、特開平7−113283号公報に示されたものがある。この屋根は、図7に示されるように、屋根パネルを小屋裏100内に立設された束101で支持するものである。束101は、小屋裏100に複数立設されるとともに、平面視で四角形に設定されたコア部分Cの周縁に配置されたものである。
この屋根には、束101と、屋根パネルに設けられた第1および第2の骨組構成要素110X,110Y,120X,120Yとによって屋根骨組が形成されている。このとき、屋根骨組には、第1および第2の骨組構成要素110X,110Y,120X,120Yと束101によって垂直構面が、第2の骨組構成要120X,120Yによって水平構面がそれぞれ形成されている。その後、第1および第2の骨組構成要素110X,110Y,120X,120Yと束101によって形成されている垂直構面にブレース140を架け渡し、これにより、屋根骨組の剛性を確保し、屋根の強度を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような小屋裏100では、互いに交差する一対のブレーズ140で束101の上下端を連結するので、小屋裏100内で居室等として利用できるスペースは、図8に示されるように、ブレース140で囲まれたコア部分Cのみになり、広い空間が確保できず、本来広い小屋裏のスペースを十分に活用することができないという問題がある。
ここで、広い空間を確保するために、ブレース140を省略することが考えられるが、ブレース140を省略すると、屋根骨組の剛性が確保できないという問題が生じる。
本発明の目的は、屋根全体の剛性を損なうことなく、広い小屋裏内空間を形成できる屋根を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は図面をも参照して説明すると、箱状の建物ユニット1Bを複数組み合わせたユニット式建物1Aの傾斜屋根面を形成する屋根パネル4,5を、小屋裏2内に立設された束で支持する屋根であって、束3として、平面視でL字形に形成されたパネル状補強部7と、このパネル状補強部7のL字形の角部に配置された支柱部8とが一体化された束部材6を備え、平面視で前記小屋裏の出隅部分の角部は、前記ユニット式建物の出隅に配置された建物ユニットの角部に対応し、前記ユニット式建物の出隅に配置された前記建物ユニット上において、前記束部材6は、前記パネル状補強部のL字形の角部9が、平面視で前記小屋裏の出隅部分10の角部10Aと対向する位置に配置されていることを特徴とする。
このような本発明では、平面視でL字形に形成されたパネル状補強部7により、束部材6の支柱部は、先端が撓まなくなり、ブレースを設けなくとも、屋根骨組の剛性が確保できるようになる。
そして、ブレースが不要となるうえ、束部材6が小屋裏2の出隅部分10のみを閉鎖するので、小屋裏2内で居室として利用できるスペースは、その中央部分であるコア部分Cに限らず、その周囲の空間をも利用できるようになり、小屋裏2内に十分広いスペースが確保されるようになる。
【0005】
以上において、束部材6のパネル状補強部は、支柱部8とともに三角形状の枠を形成する軸組材11を備え、これらの支柱部8および軸組材11には、前記三角形の枠に応じた補強面材12が張り付けられている。
このようにすれば、平面視で長方形の中央のコア部分Cを閉鎖することなく、そこから屋根の周縁に伸長するスペースを形成し確保することができるうえ、支柱部8および軸組材11がトラスを形成するとともに、このトラスに補強面材12が張り付けられるので、屋根骨組の剛性が充分に確保される。
また、束部材6の前記L字形の一方の辺側に設けられたパネル状補強部7は、前記支柱部8とともに三角形状の枠を形成する軸組材11を備え、これらの支柱部8および軸組材11には、三角形の枠に応じた補強面材12が張り付けられ、前記束部材6の前記L字形の他方の辺側に設けられたパネル状補強部20は、前記支柱部とともに長方形の枠を形成する軸組材21を備え、これらの支柱部8および軸組材21には前記長方形の枠の対角線状に張られたブレース22が設けられている。
このようにすれば、切妻屋根40において、長方形の枠の長辺を屋根の棟に平行になるように立設すれば、対向する長方形の軸組材21との間に略直方体のスペースが形成され、しかも、このスペースは、中央の平面視で長方形のコア部分Cから連続しているため、全体としてさらに大きなスペースが生じる。
そのうえ、これらの長方形の枠の内部に対角線に張られたブレース22が設けられたパネル状補強部20およびトラス状の枠に補強面材12を張り付けたパネル状補強部7により、屋根全体の剛性が充分確保される。
【0006】
さらに、束部材のパネル状補強部20は、前記補強面材12が合板であることが好ましい。
このようにすれば、合板は軽量で補強面材として加工しやすいため必要とされる補強面材の形状に合わせて容易に加工することができる。
さらに前記小屋裏2の内部は、部屋として利用可能となっていることが好ましい。
このようにすれば、従来の制限されたスペースのコア部分Cを有する小屋裏2とは異なり、収納庫としての他に、より広いスペースが確保され、居室としても利用可能となり、さらに、小屋裏内空間の有効利用が図られるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る住宅1Aが示されている。この住宅1Aは、箱状に形成された複数の建物ユニット1Bを組み合わせて建築されたものである。住宅1Aの屋根1は、寄棟式のものとなっている。この屋根1の小屋裏2には、複数の束3が立設されるとともに、複数の束部材6が設けられており、これらの束3および束部材6によって傾斜屋根面を形成する屋根パネル4,5が支持されている。
【0008】
束部材6は、図2示されるように、平面視でL字形に形成されたパネル状補強部7と、パネル状補強部7のL字形の角部に配置された支柱部8とが一体化されている。束部材6のパネル状補強部7は、支柱部8とともに三角形状の枠を形成する軸組材11を備え、これらの支柱部8および軸組材11には、三角形の枠に応じた補強面材12が張り付けられている。補強面材12は、合板を三角形状に成形したものである。
また、束部材6は、図3に示されるように、パネル状補強部7のL字形の角部9が、小屋裏2の出隅部分10の角部10Aと対向する位置に配置される。
ここで、束部材6のパネル状補強部7によって囲まれる空間は、小屋裏2の出隅部分10に限定されるので、小屋裏2内で利用可能となる空間は、その中央部分であるコア部分Cだけでなく、コア部分Cの図中上下の周辺部S1およびコア部分Cの図中左右の周辺部S2も利用可能となる。これにより、部屋として有効利用が拡張される。
【0009】
前述の実施形態によれば次のような効果がある。
すなわち、束として、平面視でL字形に形成されたパネル状補強部7と、このパネル状補強部のL字形の角部に配置された支柱部8とが一体化された束部材を設け、この束部材6は、L字形の角部9が、平面視で小屋裏の出隅部分10の角部と対向する位置に配置されるようにしたので、束部材6が小屋裏の出隅部分10のみを閉鎖し、来技術のように束部材により小屋裏の中央部分に閉鎖されたスペースとしてのコア部分Cのみが形成されることがないために、小屋裏2に十分広いスペースを確保できる。しかも、屋根の剛性も充分確保できる。
そのうえ、束部材のパネル状補強部7は、支柱部8とともに三角形状の枠を形成する軸組材11を備え、これらの支柱部8および軸組材11には、三角形の枠に応じた補強面材を張り付けるようにしたので、中央の平面視で視たときの閉鎖された長方形のコア部分を形成することなく、コア部分から屋根の周縁に伸長するスペースを形成し確保することができる。
【0010】
また、束部材のパネル状補強部7は、合板の補強面材11を張り付けるようにしたので、軽量で加工しやすい合板の材質的な特徴により、補強面材11の形状に合わせて容易に加工することができる。
さらに、小屋裏2の内部は、部屋として利用可能としたので、従来の制限されたスペースを有する小屋裏とは異なり、この広いスペースによって収納部屋として利用する他に居室としてもさらに有効に利用できるようになる。
【0011】
図4には、本発明の第2実施形態を示している。この実施形態は第1実施形態が寄棟屋根1に適用するものに対し、切妻屋根40の小屋裏2に適用されるようにしたものである。
すなわち、束部材6Aは、L字形の一方の辺側に設けられたパネル状補強部7が、支柱部8とともに三角形状の枠を形成する軸組材11を備えたものとなっている。これらの支柱部8および軸組材11には、この三角形の枠組に応じた補強面材12が張り付けられる。なお、補強面材12は、合板である。
一方、束部材6AのL字形の他方の辺側に設けられたパネル状補強部20は、支柱部8とともに長方形の枠を形成する軸組材21を備えたものとなっている。これらの支柱部8および軸組材21が形成する長方形の枠の内部には、その対角線状に張られた一対のブレース22が設けられている。
このように構成された束部材6は、長方形の枠を有するパネル補強部材20が屋根の棟に沿って配置され、三角形状の枠を有するパネル状補強部材7は、妻面に沿った方向に配置される。
このような第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の作用、効果が得られる他、切妻屋根についても、小屋裏2のスペースを拡大できるという効果を付加することができる。
【0012】
以上本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、これら実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、住宅としては、一戸建てのものに限らず、集合住宅でもよい。集合住宅とする場合には、図6に示されるように、居室となる小屋裏2内に、隣接する住戸51,52を仕切る界壁53が設けられる。そして、この界壁53で屋根パネルを支持し、界壁53に束の機能を兼用させ、束を省略してもよい。
このようにすれば、界壁53の内部に、三角トラス状の骨組54や、四角枠状の内部にブレース55を設けた骨組56が含まれるうえ、これらの骨組54,56の両面に、剛性の高い軽量気泡コンクリート板(図示略)が張り付けられるので、屋根の剛性をさらに向上させることができる。
【0013】
また、三角形の枠および長方形の枠を有するパネル状補強部7を説明したが、建物の種々の屋根の形状および必要とされるスペースに応じて、他の形状、例えば、台形や正方形等の枠を使用してもよい。
【0014】
【発明の効果】
上述のように、パネル状補強部とこのパネル状補強部の角部に配置された支柱部とが一体化された束部材を、角部が小屋裏の出隅部分の角部と対向する位置に配置したので屋根全体の剛性を損なうことなく、小屋裏空間を広くして部屋として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】前記実施形態の束部材を示す分解斜視図である。
【図3】前記実施形態の小屋裏内を示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】前記実施形態の束部材を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の変形例を示す分解斜視図である。
【図7】従来例を示す斜視図である。
【図8】前記従来例の小屋裏の平面図である。
【符号の説明】
1 寄棟屋根
2 小屋裏
3 束
4,5 屋根パネル
6,6A 束部材
7,20 パネル状補強部
8 支柱部
9 角部
10 出隅部分
10A 出隅部分の角部
11,21 軸組材
12 補強部材
22 ブレース
40 切妻屋根
Claims (5)
- 箱状の建物ユニットを複数組み合わせたユニット式建物の傾斜屋根面を形成する屋根パネルを、小屋裏内に立設された束で支持する屋根であって、前記束として、平面視でL字形に形成されたパネル状補強部と、このパネル状補強部のL字形の角部に配置された支柱部とが一体化された束部材を備え、平面視で前記小屋裏の出隅部分の角部は、前記ユニット式建物の出隅に配置された建物ユニットの角部に対応し、前記ユニット式建物の出隅に配置された前記建物ユニット上において、前記束部材は、前記パネル状補強部のL字形の角部が、平面視で前記小屋裏の出隅部分の角部と対向する位置に配置されていることを特徴とする屋根。
- 請求項1に記載の屋根において、前記束部材のパネル状補強部は、前記支柱部とともに三角形状の枠を形成する軸組材を備え、これらの支柱部および軸組材には、前記三角形の枠に応じた補強面材が張り付けられていることを特徴とする屋根。
- 請求項1に記載の屋根において、前記束部材の前記L字形の一方の辺側に設けられたパネル状補強部は、前記支柱部とともに三角形状の枠を形成する軸組材を備え、これらの支柱部および軸組材には、前記三角形の枠に応じた補強面材が張り付けられ、前記束部材の前記L字形の他方の辺側に設けられたパネル状補強部は、前記支柱部とともに長方形の枠を形成する軸組材を備え、これらの支柱部および軸組材には、前記長方形の枠の対角線上に張られたブレースが設けられていることを特徴とする屋根。
- 請求項2または請求項3に記載の屋根において、前記束部材のパネル状補強部は、前記補強面材が合板であることを特徴とする屋根。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の屋根において、前記小屋裏の内部は、部屋として利用可能となっていることを特徴とする屋根。
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