JP3904458B2 - 脂環式エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂環式エポキシ化合物に関し、詳しくは、特に発光ダイオード用封止材(LED用封止材)として好適に使用することが出来る脂環式エポキシ化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ化合物は、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度、電気特性などに優れていることから、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料など、様々な分野で使用されている。
【0003】
上記のエポキシ化合物としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの芳香族エポキシ樹脂が一般的である。
【0004】
一方、LEDは、種々の表示板、画像読み取り用光源、交通信号、大型ディスプレイユニット等に実用化されている。LEDの発光装置において、発光部分の周囲は、半導体の保護および集光の観点から、透明樹脂で封止することが一般的に行われており、特に密着性などの観点からエポキシ化合物で封止するのが一般的である。
【0005】
しかしながら、酸無水物で硬化したエポキシ樹脂の場合は、酸無水物由来の変質が起こり易いことが知られている。また、硬化した樹脂封止が屋外に曝される場合や紫外線を発生する光源に曝される場合は、黄変色を起こす等の問題がある。特に、近年、高輝度の青色(460nm付近に主発光がある)LEDの開発や紫外線領域(例えば350〜400nm)に主発光を持つLEDの開発が進んでいる。また、従来の赤色LED、緑色LEDに加え、青色LEDの性能が向上したことにより3原色の表示が可能となり、デスイプレイユニット用などに供されている。更に、発光素子と蛍光体を併用し、発光素子の短波長側の発光の一部または全部を長波長側に変換することにより混色する様にした白色LEDも提案され、既に、照明用、バックライト用などに供されている。
【0006】
ところで、上記の様に、発光波長が短波長側になるに従い、光のエネルギーが増加するため、封止材が劣化し易くなる。例えば、特開平8−148717号公報には、青色LEDから発生する熱や光により封止材が劣化して光度が低下することが記載されている。また、白色LEDは、混色であるため、封止材に可視領域波長での光吸収があると色調が変化することが懸念される。特に白色に対する人の色調感覚は敏感である。例えば、特開平2000−315826号公報には、LEDの測定方位によっても封止材による屈折などで色むらが生じることが記載されている。
【0007】
上記の様な短波長の光による問題を解決するため、特開2001−19742号公報には、芳香族エポキシ化合物の核水素化物とカチオン硬化触媒から成る組成物が提案されている。この組成物は、硬化物の靱性と着色が改善され、耐光性にも優れている。
【0008】
一方、芳香族エポキシ化合物の芳香環を水素化して対応する脂環式エポキシ化合物を製造する試みが従来から種々提案されている。
【0009】
例えば、米国特許第3、336、241号明細書には、活性炭などの不活性担体にロジウム又はルテニウムを担持した水素添加触媒の存在下、少なくとも1個のエポキシ基および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を水素化する方法が提案されている。特開平11−217379号公報には、活性や選択率の向上のため、比表面積が5〜600m2/gの範囲にある炭素質担体にロジウム又はルテニウムを担持した水素添加触媒が提案されている。更に、特開平11−199645号公報では、上記の方法に基づき、水素化率が高く且つエポキシ基の損失が少ない、低塩素含量のエポキシ化合物が提案されている。
【0010】
しかしながら、貴金属触媒を使用する水素化方法では、得られる脂環式エポキシ化合物(封止材)の短波長側での透過率が経時的に低下する。そのため、斯かる脂環式エポキシ化合物により、短波長側に主発光波長を有するLEDを封止した場合は、LEDの放射光度が経的に低下する。また、白色LEDを封止した場合は、可視光領域での透過率の分布により、白色の色調が変化するという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、色相の再現性、均一性、安定性などの変化が小さく、しかも、LEDの放射光度の経時的低下が小さく、従って、LED用封止材として好適な脂環式エポキシ化合物の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記の目的は、水素添加反応の溶媒の種類を選択することにより容易に達成し得るとの知見を得た。
【0013】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、白金族を主成分とする水素添加触媒の存在下に芳香族エポキシ化合物の芳香環を選択的に水素添加率85%以上に水素化するに当たり、エステル系溶媒の含有率が90重量%以上である反応溶媒の存在下に反応を行なうこと特徴とする脂環式エポキシ化合物の製造方法に存する。そして、本発明の特に好ましい実施態様においては、水素化反応で得られ脂環式エポキシ化合物を吸着剤と接触させて当該脂環式エポキシ化合物中のロジウムを除去する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
先ず、水素化反応工程について説明する。本発明で使用される芳香族エポキシ化合物は、分子内に2個以上のエポキシ基を持つ芳香族化合物であり、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類など、種々のものがある。
【0016】
上記の芳香族化合物の具体例としては、例えば、一般式(I)で表されるビスフェノールA又はビスフェノールFとエピクロロヒドリンを原料とするエポキシ化合物、一般式(II)で表されるフェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
【化1】
【0018】
更に、2価以上のフェノール化合物とエピクロロヒドリンから得られる種々の芳香族エポキシ化合物も使用することが出来る。斯かる芳香族エポキシ化合物の具体例としては、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、3、3’、5、5’−テトラメチルビフェノールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0019】
上記の中では、式(I)で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物および式(II)で表されるオルソクレゾールノボラックのポリグリシジルエーテルが好ましく、特に、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(式(I)のn=0)及びそのオリゴマーが好ましい。
【0020】
なお、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート828EL」、「エピコート828US」として、そのオリゴマーは、「エピコート834」、「エピコート1001」、「エピコート1004」等として、式(II)のものは、「エピコート152」、「エピコート154」、「エピコート180S65」として、何れも、ジャパンエポキシレジン(株)より市販されている。
【0021】
本発明で使用される水素添加触媒は、主として白金族元素を活性成分とする触媒であり、この中ではロジウム触媒またはルテニウム触媒が好ましい。また、炭素系担体に活性成分を担持して成る触媒が好ましい。炭素系担体としては、活性炭、グラファイト、カーボンブラック等が挙げられる。活性炭または高表面積グラファイト(high surface area graphite)と呼ばれるグラファイトが特に好ましい。炭素系担体の比表面積は、通常5〜3000m2/g、好ましくは50〜1500m2/g、粒径は通常5〜500μである。
【0022】
水素添加触媒の調製法は、例えば特開平11−217379号公報に示す方法などを採用し得る。水素添加触媒の調製法により製品に混入する触媒金属成分量は変化するが、本発明においては、後述の精製工程で製品中の触媒金属成分を除去することも出来る。
【0023】
本発明において、上記の水素化反応は、エステル系溶媒の含有率が50重量%以上である反応溶媒の存在下に反応を行なう必要がある。エステル系溶媒としては、脂肪酸エステル、炭酸エステル、ラクトンなどが挙げられるが、特に脂肪酸エステルが好ましい。また、取扱の面から、常圧下での沸点が50〜180℃の範囲にある脂肪酸エステルが好ましい。斯かる脂肪酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、イソ吉草酸メチル等を挙げることが出来る。これらの中では、酢酸エステルとプロピオン酸エステルが好ましい。具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルが好ましく、特に酢酸エチルが好適である。
【0024】
エステル系溶媒は、従来技術で広く使用されているエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、パラフィン系溶媒と混合して使用してもよいが、この場合、エステル系溶媒の割合は、混合溶媒に対し、通常50重量%以上、好ましくは90%以上とされる。また、エーテル系溶媒は実質的に含まないことが好ましく、具体的には、エーテル系溶媒の含有割合は1重量%以下にするのが好ましい。
【0025】
反応溶媒の使用量は、原料のエポキシ化合物に対する重量比として、通常0.05〜10、好ましくは0.1〜3である。反応溶媒の量が余りにも少ない場合は、一般に原料のエポキシ化合物の粘度が高いため、水素の拡散が悪くなり、反応速度が低下したり、水素化反応の選択性が低下する。逆に、反応溶媒の量が余りにも多い場合は、生産性が低下し経済的に不利になる。
【0026】
反応温度は、通常30〜150℃、好ましくは50〜130℃である。反応温度が低すぎる場合は、反応速度が低下し反応を完結するために多量の水素添加触媒および長時間を必要とする。反応温度が高すぎる場合は、エポキシ基の水素化分解などの副反応が増加するだけでなく、触媒金属成分の溶出が増加し製品の品質が低下する。反応圧力は、通常1〜30MPa、好ましくは3〜15MPaである。反応圧力が低すぎる場合は、反応速度が低下し反応を完結するために多量の水素添加触媒および長時間を必要とする。反応圧力が高すぎる場合は、必要な設備が大掛かりとなり、経済的に不利となる。
【0027】
反応方式としては、液相懸濁反応または固定床反応が可能であるが、特に液相懸濁反応が好ましい。水素は、流通方式で導入してもよいし、消費分だけ導入してもよい。また、水素は、液中に導入して分散させることも出来るし、気相から攪拌などの手段で液中に巻き込んで吸収させることも出来る。反応の終点は、水素吸収のモニター又はサンプリングによる分析で判断することが出来る。芳香環の水添率は85%以上が好ましく、更に高い水添率にすることも出来る。
【0028】
反応終了後、必要に応じ、反応液から触媒をろ過・遠心分離などの操作で分離し、その後、蒸留によって反応溶媒を留去し、目的生成物を得ることが出来る。反応溶媒の留去は、減圧下において、通常50〜200℃、好ましくは70〜150℃の条件で行う。使用時の環境に与える影響、特に臭気の観点から、反応溶媒の残在量は、通常1重量%以下、好ましくは0.2重量%以下とされる。反応溶媒の残在量の下限は通常0.001重量%である。それ以上の反応溶媒の留去は、長時間の加熱を必要とし、製品の安定性が低下する懸念がある。反応溶媒の残存量の一層の低減には、窒素などの不活性ガスの導入が効果的である。
【0029】
前記の水素化反応で得られる脂環式エポキシ化合物中の触媒金属成分の濃度は通常0.01〜50ppmである。すなわち、溶媒としてエステル系溶媒を使用することに加え、水素化反応に使用する触媒の調製や水素化反応の条件を選択することにより、脂環式エポキシ化合物中の触媒金属成分の濃度を本発明が達成しようとする濃度にすることが可能である。更に、脂環式エポキシ化合物中の触媒金属成分の濃度を確実に且つ一層低くするため、次の精製工程を行うことがより好ましい。
【0030】
次に、精製工程について説明する。精製工程で使用する吸着剤としては、活性炭、活性白土、イオン交換樹脂、合成吸着剤などが挙げられる。これらの中では活性炭が好ましい。吸着剤の活性表面としては、酸性、中性または塩基性の何れをも採り得るが、塩基性が好ましい。斯かる塩基性の吸着剤としては、酸化マグネシウム等の固体塩基性化合物、塩基性イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0031】
上記の精製工程は、粉末吸着剤による回分接触処理、粒状吸着剤充填層への流通処理の何れの方式で行ってもよい。粉末吸着剤としては平均粒径が1〜1000μmの吸着剤が好適に用され、粒状吸着剤としては平均粒径が1〜10mmの吸着剤が好適に使用される。
【0032】
活性炭の種類は、特に制限されず、ヤシ殻原料、木質原料、石炭原料などの各種の原料から製造される各種の活性炭を使用することが出来る。活性炭の比表面積としては500〜3000m2/gの範囲が好適である。
【0033】
吸着剤の使用量は、吸着剤の種類によっても異なるが、処理液に含まれるエポキシ化合物に対し、通常0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.2〜10重量%である。
【0034】
接触処理の温度は、通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。また、接触処理の状態は、作業性、回収率、吸着効率などの面から、溶媒を含む状態が好ましい。溶媒の種類は、エポキシ化合物が溶解すれば特に制限されない。上記の精製工程は、通常、反応液を濃縮する前に行われるため、反応溶媒がそのまま好適に使用される。溶媒の含有量は溶液中の濃度として、通常5〜80重量%である。溶媒の量が余りにも少ない場合は、処理液の粘度が高くなり、吸着効率が低下する。
【0035】
本発明においては、水素化反応後、水素添加触媒を分離せず、反応液に吸着剤を入れて混合し、触媒と吸着剤とを一緒に固液分離することも出来る。斯かる方法によれば、次の様な利点がある。
【0036】
すなわち、水素化反応後、反応液に吸着剤を入れずに触媒の固液分離を行なう場合は、触媒表面に付着した有機物の粘着性によって固液分離性が低下する。これに対し、上記の方法に従って、吸着剤(特には活性炭)と共に触媒の固液分離を行なう場合は固液分離性が極めて良好となる。勿論、斯かる方法によっても触媒金属成分の除去効率は殆ど変化しない。吸着剤と共に触媒の固液分離を行なう場合、吸着剤の使用量は、触媒に対して1〜30重量比とするのが好ましい。
【0037】
次に、精製された脂環式エポキシ化合物について説明する。脂環式エポキシ化合物中の触媒金属成分の濃度は、LED用封止材に使用するため、通常2ppm以下、好ましくは1ppm以下、更に好ましくは0.5ppmであり、品質要求が厳しい特殊用途の場合は0.1ppm以下である。
【0038】
触媒金属成分として、ロジウムやルテニウム等の分析は、サンプルを直接溶媒に希釈するか、または、有機物を燃焼した後、ピロ硫酸カリウム、過酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム等を添加して湿式分解して水溶液系で溶解した後、原子吸光法やICP発光分析などの公知の手法で行うことが出来る。
【0039】
触媒金属成分の存在が製品に与える影響としては、製品の透過率の低下が挙げられる。特に短い波長側での透過率の低下が大きい。このことは、以下の式の様に、400nmと700nmの透過率の値の比(石英1cmセル)によって定量化することが出来る。
【0040】
【数1】
K=T400/T700
【0041】
すなわち、上記の透過率の比(K値)が1に近い程に色むらが小さい。また、ロジウムの値が多い程、K値は1より小さくなり、短波長側の吸収が増加する。上記のK値は0.9以上あることが好ましい。また、触媒金属成分以外の要因により、K値が1より大きくなる場合、K値は1.1以下であることが好ましい。また、紫外線領域での吸収は340nmにおける透過率で測定することが出来る。340nmにおける透過率は、紫外線領域での封止材の安定性の観点から、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例中で使用した分析方法および物性測定方法は次の通りである。
【0043】
(1)製品中の触媒金属成分濃度の分析:
ロジウム及びルテニウムの分析は、エタノールに溶解した試料を使用し原子吸光測定により行なった。具体的には、装置として、バリアン・テクノロジーズ・ジャパンリミテッド社製の「GF−AAS Spectra AA−300」を使用し、それぞれの金属の標準液により検量線を作成し、試料中の触媒金属濃度に応じ、エタノールによる希釈倍率を5〜5000倍に変化させ、検量線の濃度範囲に入る様に分析した。この方法のロジウム分析下限界は0.02ppm、ルテニウム分析下限界は0.2ppmであった。
【0044】
(2)製品の水素化率:
酢酸エチルに溶解した試料を使用し275nmでの吸光度を測定し、原料の芳香族エポキシ化合物の吸光度と比較して算出した。酢酸エチルによる希釈倍率は水素化率に応じ10〜1000倍とした。
【0045】
(3)エポキシ当量:
JIS K7236−1955に準拠し、酢酸と臭化セチルトリメチルアンモニウムの存在下、過酸化水素で滴定し、発生する臭化水素をエポキシ基に付加させ、終点を電位差で判定した。試料は製品(原液)を使用した。
【0046】
(4)透過率:
島津製作所製の「UV−2400PC」を使用し、1cmセルを使用し、蒸留水をブランクとして測定した。試料は製品(原液)を使用した。
【0047】
実施例1
200ml誘導攪拌式オートクレーブ内に、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート 828EL」エポキシ当量186)30g、酢酸エチル30g、水素添加触媒として5重量%ロジウム/グラファイト触媒0.2gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後、水素置換した。その後、110℃、7MPaの水素圧力で水素吸収が略停止するまで水素化反応を行った。反応時間は140分であった。
【0048】
5Cの濾紙を使用して反応液から水素添加触媒をろ過した。次いで、減圧下100℃で少量の窒素を吹き込みながら反応溶媒を留去してほぼ透明な製品を得た。製品の分析結果を表1に示す。なお、製品の透過率は、可視光域の指標として440nmで測定した。
【0049】
比較例1
反応溶媒を酢酸エチルからテトラヒドロフランに変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果は表1に示す通りであった。
【0050】
比較例2
反応溶媒をシクロヘキサンに変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果は表1に示す通りであった。
【0051】
比較例3
反応溶媒をn−ブタノールに変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果は表1に示す通りであった。
【0052】
実施例2
1L誘導攪拌式オートクレーブ内に、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート 828EL」エポキシ当量186)400g、酢酸エチル100g、水素添加触媒として5重量%ロジウム/グラファイト触媒2.4gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後、水素置換した。その後、110℃、8MPaの水素圧力で水素吸収が略停止するまで水素化反応を行った。反応時間は3時間であった。
【0053】
反応液を樹脂濃度が50%になる様に反応溶媒で希釈した後、活性炭(二村化学製「太閤K」dry品)をエポキシ樹脂に対して2重量%加えて攪拌混合した後、5Cの濾紙を使用して反応液から水素添加触媒と共に活性炭をろ過した。次いで、減圧下100℃で少量の窒素を吹き込みながら反応溶媒を留去して製品を得た。製品の分析結果を表2及び表3に示す。
【0054】
実施例3
反応溶媒をプロピオン酸メチルに変更する以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果は表2及び表3に示す通りであった。
【0055】
実施例4
1L誘導撹拌式オートクレーブ内に、「エピコート 828US」(エポキシ当量186)200g、酢酸エチル200g、水素添加触媒として5重量%ルテニウム/活性炭触媒(エヌ・イー ケムキャット株式会社製Aタイプ)20gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後に水素置換した。その後、60℃、8MPaの水素圧力で水素吸収が略停止するまで水素化反応を行った。反応時間は360分であった。冷却後、少量の反応液をサンプリングした後、残りに反応液に活性炭(二村化学製「太閤K」dry品)をエポキシ樹脂に対して5重量%加えて攪拌混合した。次いで、5Cの濾紙を使用して反応液から水素添加触媒と共に活性炭をろ過した後、反応液に減圧下100℃で少量の窒素を吹き込みながら溶媒を留去して製品を得た。結果は表2及び表3に示す通りであった。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、色相の再現性、均一性、安定性などの変化が小さく、しかも、LEDの放射光度の経時的低下が小さく、従って、LED用封止材として好適な脂環式エポキシ化合物の製造方法が提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
Claims (14)
- 白金族を主成分とする水素添加触媒の存在下に芳香族エポキシ化合物の芳香環を選択的に水素添加率85%以上に水素化するに当たり、エステル系溶媒の含有率が90重量%以上である反応溶媒の存在下に反応を行なうこと特徴とする脂環式エポキシ化合物の製造方法。
- 水素添加触媒がロジウム触媒またはルテニウム触媒である請求項1に記載の製造方法。
- 水素添加触媒がロジウム触媒である請求項1に記載の製造方法。
- 反応溶媒がエーテル系溶媒を実質的に含まない請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
- エステル系溶媒が脂肪酸エステルである請求項1〜4の何れかに記載の製造方法。
- エステル系溶媒が常圧下での沸点が50〜180℃の範囲にある脂肪酸エステルである請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
- エステル系溶媒が酢酸エステル又はプロピオン酸エステルを主成分とする請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
- エステル系溶媒が酢酸エチルである請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
- 芳香族エポキシ化合物がビスフェノールAとエピクロロヒドリンの縮合物である請求項1〜8の何れかに記載の製造方法。
- 反応温度が50〜150℃である請求項1〜9の何れかに記載の製造方法。
- 水素化反応で得られ脂環式エポキシ化合物を吸着剤と接触させて当該脂環式エポキシ化合物中のロジウムを除去する請求項1〜10の何れかに記載の製造方法。
- 吸着剤が活性炭である請求項11に記載の製造方法。
- 水素化反応で得られ脂環式エポキシ化合物を含有する反応液を吸着剤と接触させる請求項11又は12に記載の製造方法。
- 得られる脂環式エポキシ化合物中の触媒金属濃度が2ppm以下である請求項1〜13の何れかに記載の製造方法。
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