JP3904262B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐候性に優れたポリカーボネート樹脂の積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は透明性、耐衝撃性、耐熱性、難燃性などに優れ道路資材や建築材料などに広く用いられており今後も用途の拡大が期待されている。
しかしながらポリカーボネート樹脂は一般に耐候性が悪く屋外等紫外線に長期間さらされると黄変したり透明性が失われ、しかも機械強度も劣化するといった問題点があった。そこでポリカーボネート樹脂の耐候性を改良するための検討が様々になされている。ごく一般的にはポリカーボネート樹脂を劣化させる紫外線を吸収するため、ポリカーボネート樹脂に紫外線吸収剤を配合する方法が用いられている。しかしこの方法の場合には改良効果が不十分であるばかりか、紫外線吸収剤による着色や濁りが目立ち実用に適さない。
【0003】
そこでポリカーボネート樹脂そのものを改良するのではなく、ポリカーボネート樹脂の表面に耐候性のよい樹脂を被覆し紫外線から保護する方法が検討されている。そのなかでも紫外線吸収剤を多量に添加したアクリル系樹脂を共押出やラミネート等で表面を被覆する方法がよく用いられている(例えば、特公昭47−19119号公報、特開昭55−59929号公報、特公平6−41162号公報)。これはポリカーボネート樹脂を劣化させる紫外線を被覆樹脂層に配合した紫外線吸収剤で吸収し、基材部のポリカーボネート樹脂に紫外線が到達しないよう保護するものである。
【0004】
この方法により基材部ポリカーボネート樹脂自体は確かに紫外線から保護され得るが、紫外線吸収剤を被覆層樹脂に多量に添加する必要があるため、被覆層樹脂が濁ったり着色してしまう。その結果積層体全体で見たときの透明性が損なわれたり着色が目立つ等の問題があった。逆に被覆層樹脂の濁りや着色を防ぐため紫外線吸収剤の量を減らすと被覆層で紫外線を完全に吸収してしまうことができず、透過した紫外線によって基材部のポリカーボネート樹脂が黄変したり透明性が失われたり機械強度が低下するなど耐候性が悪かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は耐候性と被覆層の着色及び透明性とを同時に改良されたポリカーボネート樹脂積層体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討の結果、特定の化合物からなる紫外線吸収剤が、従来より少量で紫外線吸収効果があることを見出し、この紫外線吸収剤を特定量配合した熱可塑性樹脂をポリカーボネート樹脂成形体の表面に被覆することによって上記問題点を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明はポリカーボネート樹脂成形体の表面に10〜150μmの厚みのアクリル系樹脂層が被覆された積層体において、該被覆層アクリル系樹脂がヒドロキシフェニルトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤を含有し、かつ被覆層アクリル系樹脂層厚み(μm)×被覆層中の紫外線吸収剤濃度(重量%)=20〜300を満足していることを特徴とする積層体である。また、該ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールである積層体である。また、該積層体の被覆アクリル系樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂成形体の間に被覆アクリル系樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂がお互いくい込んだ混合層を有し、該混合層が厚み0.1〜2μm、かつ波打ちの最大振幅が幅5mmあたり10μm以下であることを特徴とする積層体である。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明でポリカーボネート樹脂成形体の表面に被覆される熱可塑性樹脂としては特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。このうち好ましくはポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は一種、または二種以上用いてもよく共重合体あるいは混合体であってもよい。これら被覆層熱可塑性樹脂には必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、離型剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、光拡散剤、着色剤、無機フィラー、ガラス繊維、架橋剤、可塑剤等の各種添加剤等を含有させることもできる。
【0009】
該被覆層熱可塑性樹脂層の厚みは10〜150μmが必要であり、好ましくは20〜100μmである。10μm未満の場合均一な厚みでポリカーボネート樹脂成形体の表面に該被覆層熱可塑性樹脂を被覆させることが困難になり外観不良が発生する。また、150μmより厚い場合耐候性改良効果に有意差がないばかりか機械的強度など物性の低下が発生してきて問題となる。
【0010】
本発明で用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヘキシルオキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが特に2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール〔別名2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン〕が好ましく、該紫外線吸収剤を添加する被覆層熱可塑性樹脂層の厚み(μm)×被覆層中の紫外線吸収剤濃度(重量%)=20〜300、好ましくは30〜100を満足することが必要である。即ち被覆層熱可塑性樹脂層の厚みが薄ければ被覆層中の紫外線吸収剤の濃度を濃くし、逆に被覆層熱可塑性樹脂層が厚い場合被覆層中の紫外線吸収剤濃度は薄くする必要がある。被覆層熱可塑性樹脂層の厚み(μm)×被覆層中の紫外線吸収剤濃度(重量%)の数値が20未満の場合被覆層での紫外線吸収効果が小さく紫外線が基材部ポリカーボネート樹脂に到達し劣化させてしまう。一方この値が300を超えても耐候性改良効果に有意差がないばかりか被覆層熱可塑性樹脂が濁ったり着色してしまい、その結果積層体全体で見たときの透明性が損なわれたり着色が目立つ等の問題が発生してしまう。
【0011】
紫外線吸収剤を被覆層熱可塑性樹脂に混合する方法には特に制限はなく、ドラムブレンダーやヘンシルミキサーなどでドライブレンドする方法や、混合したあと押出機を通してペレット化する方法や被覆層熱可塑性樹脂を押出機を用いて押出ながら紫外線吸収剤を定量ポンプによって押出機に注入し押出機内部で混合する方法などのいずれを用いることもできる。
【0012】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、下記化1で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
【化1】
Figure 0003904262
(式中、Arは二価の芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフィニレン、ピリジレンや、化2で表されるものが挙げられる。)
【0013】
【化2】
Figure 0003904262
(式中Ar1 及びAr2 はそれぞれアリレーン基である。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表し、Yは化3及び化4で表されるアルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0014】
【化3】
Figure 0003904262
【0015】
【化4】
Figure 0003904262
(式中R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、アルコシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数であり、化4の水素原子は、低級アルキル基、アリール基、ハロゲン基等で置換されてもよい。)
【0016】
また、化5で示される二価の芳香族残基を共重合体成分として含有していてもよい。
【化5】
Figure 0003904262
〔式中Ar1 、Ar2 は化2と同じ。Zは単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−CO2 −、−CON(R1 )−、(R1 は前記と同様)等の二価の基である。〕
これら二価の芳香族残基の例としては、下記化6及び化7で表されるもの等が挙げられる。
【0017】
【化6】
Figure 0003904262
【0018】
【化7】
Figure 0003904262
【0019】
(式中R5 及びR6 はそれぞれ水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル基、C1 〜C10アルコキシ基、C1 〜C10シクロアルキル基またはフェニル基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R5 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各R6 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
【0020】
中でも、下記化8で表されるものが好ましい一例である。特に、下記化8をArとする繰り返しユニットを85モル%以上含むものが好ましい。
【化8】
Figure 0003904262
【0021】
また、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、三価以上の芳香族残基を共重合成分として含有していてもよいし、脂肪族または芳香族のエステル成分を共重合成分として含有してもよい。
ポリマー末端の分子構造は特に限定されないが、ヒドロキシ基、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。アリールカーボネート末端基は、下記化9で表され、具体例としては例えば化10が挙げられる。
【0022】
【化9】
Figure 0003904262
(式中Ar3 は一価の芳香族残基であり、芳香環は置換されていてもよい。)
【0023】
【化10】
Figure 0003904262
【0024】
アルキルカーボネート末端基は、下記化11で表され、具体例としては例えば下記化12等が挙げられる。
【化11】
Figure 0003904262
(式中R7 は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アルキル基)
【0025】
【化12】
Figure 0003904262
【0026】
これらの中で、フェニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフェニルカーボネート基等が好ましく用いられる。またヒドロキシ基末端と他の末端との比率は特に限定されず、用途に応じて1:1000〜1000:1の範囲で用いられる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の分子量は特に限定されない。
【0027】
これらポリカーボネート樹脂は公知の方法で製造できる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応せしめる公知の方法、例えば芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(ホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを反応させるエステル交換法(溶融法)、結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033、特開平1−271426、特開平3−68627)等の方法により製造できる。
【0028】
該ポリカーボネート樹脂には成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するため各種の酸化防止剤、熱安定剤を添加することもできる。また、必要に応じて紫外線吸収剤、難燃剤、光拡散剤、着色剤、無機フィラー、ガラス繊維、架橋剤、可塑剤その他各種添加剤を添加することもできる。
ポリカーボネート樹脂積層体の厚みは1〜30mmが好ましく、更に好ましくは2〜20mmである。
【0029】
ポリカーボネート樹脂成形体の表面に該紫外線吸収剤を配合した被覆層熱可塑性樹脂を被覆させる方法についても特に制限はない。例えば、基材部ポリカーボネート樹脂と該被覆層熱可塑性樹脂を同時に溶融押出してシート化する共押出法や、押出成形されたポリカーボネート樹脂成形体に紫外線吸収剤含有被覆層熱可塑性樹脂をTダイより溶融押出してラミネートする方法、あらかじめフイルム状に成形された紫外線吸収剤含有被覆層熱可塑性樹脂をポリカーボネート樹脂成形体の製造工程途中で加熱ロール等を用い該成形体表面にに連続的にラミネートする方法、シート状に成形されたポリカーボネート樹脂成形体とフイルム状に成形された該紫外線吸収剤含有被覆層熱可塑性樹脂をプレスで熱圧着する方法などを挙げることができる。
【0030】
また、本発明の積層体は被覆層熱可塑性樹脂層と基材部ポリカーボネート樹脂成形体の間に混合層が存在し、かつ該混合層を特定の形状、厚みに調整する必要がある。混合層は積層界面に必ず存在し、被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂の両成分がくい込んだ形で構成されている。
【0031】
本発明の積層体の混合層の成形形態としては被覆層熱可塑性樹脂及び基材部ポリカーボネート樹脂がともに溶融している状態で積層する場合、被覆層熱可塑性樹脂もしくは基材部ポリカーボネート樹脂のどちらかが溶融している状態で積層する場合、または被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂がともに溶融していない状態で積層する場合があるが、いずれの場合も被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂の層界面に樹脂圧等接着に寄与する力を得ることにより両層がくい込み合う現象が生じ接着された結果積層界面は被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂両樹脂の組成を持つ。
【0032】
積層体をつくる条件としては被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂がともに溶融した状態で積層する場合は両樹脂の流動性を合わせることが重要であり、例えば被覆層熱可塑性樹脂のメルトフローレイトは基材部ポリカーボネート樹脂のメルトフローレイトに対し0.5〜2倍であることが好ましい。0.5倍未満では積層時被覆層熱可塑性樹脂が基材層ポリカーボネート樹脂を押し込み積層界面での専断応力が不均一になり混濁が発生する。また、2倍をこえると逆に被覆層熱可塑性樹脂が基材部ポリカーボネート樹脂に押し込まれ混濁したり被覆層熱可塑性樹脂が流れにくくなった部分で積層界面が波状になりスジ模様の外観不良が発生してしまう。また、被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂のどちらかが溶融した状態で積層する場合、溶融している樹脂の熱が溶融していない樹脂を溶融し相互にくい込み現象が発生し混合層をつくり接着するため温度や接着に寄与する外圧の調整に技術を要する。また、両樹脂ともに溶融していない状態で積層する場合は外部からの大きな圧力が必要となる。この場合には両樹脂の融点に近い温度が必要で、一般的に常温では混合層を形成するのは難しい。
【0033】
該混合層の厚みは0.1〜2μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.15〜1.8μmの範囲である。0.1μm未満では実質的なくい込み現象が発生せず接合力が弱く積層体に曲げ加工や穴あけ加工等の二次加工を施したり長期使用によって接着層が簡単に剥がれてしまう。また2μmを超える場合は積層体表面が乱れ外観不良を呈しかつ機械強度等物性が低下する。
該混合層の波打ちの最大振幅は幅5mmあたり10μm以下であることが好ましい。より好ましくは5μm以下である。10μmを超えると外観不良や波打ちの凹凸部分に応力集中が発生した場合強度低下等物性低下が発生する。
【0034】
該混合層は前述のとおり被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂の混合層である。混合層の組成は好ましくは被覆層熱可塑性樹脂0.1〜99.9重量%に対し基材部ポリカーボネート樹脂99.9〜0.1重量%である。さらに好ましくは被覆層熱可塑性樹脂0.5〜99.5重量%に対し基材部ポリカーボネート樹脂99.5〜0.5重量%である。両樹脂が混合しない場合は混合層が生成せず被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂は接着しない。該混合比は混合層の厚み方向に段階的に変化していたほうが好ましい。
くい込み現象とは前述の被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂の混合状態に他ならず、混合することによって被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂がからみあうことをいう。
【0035】
【実施例】
以下に実施例、比較例を用いて本発明、およびその効果をさらに具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例で用いた評価、試験方法を以下に示す。
(1)ヘイズ(H%)及び黄色度(YI)
JIS K7103に準拠して雰囲気温度23℃における試験片の透明性(曇りの度合)を示すヘイズ(H%)と試験片の着色を示す黄色度(YI)を測定した。
ヘイズ(H%)の値が大きいほど透明性がなく、この値が1%を超えると曇りが目立つ。
また黄色度(YI)の値が大きいほど黄色味が強く、この値が4を超えると目視でも黄色味が目立つ。
【0036】
(2)耐候性試験
スガ試験機製のサンシャインウエザーメーターでサンシャインスーパーロングライフカーボンを使用し、温度63℃一定下、降雨無し2時間と降雨18分のサイクルを繰り返す条件で試験片を1000時間暴露した。
評価として暴露前の試験片からのヘイズと黄色度の変化を測定した。
ヘイズ差(ΔH%)=(暴露後のヘイズ)−(暴露前のヘイズ)
黄変度(ΔYI)=(暴露前の黄色度)−(暴露前の黄色度)
ヘイズ差(ΔH%)の値が大きいと初期値に比べて耐候性試験の結果曇りが大きくなったことを意味し、このヘイズ差(ΔH%)が2を超えると透明感の喪失が目視で明らかにわかる。
また黄変度(ΔYI)の値が大きいと初期値に比べて耐候性試験の結果黄色味が濃くなった(着色した)ことを意味し、この黄変度(ΔYI)が4を超えると着色したことが目視で明らかにわかる。
【0037】
参考例1
被覆層熱可塑性樹脂として出光石油化学製ポリカーボネート樹脂(商品名;タフロンIV2500)、紫外線吸収剤として2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール(チバガイギー社製:商品名;チヌビン1577FF)を用い、該ポリカーボネート樹脂97重量%と紫外線吸収剤3重量%をドラムブレンダー内で予備混合し、更に30mmベント付2軸押出機(ナカタニ機械製:商品名;A型)を用いて270℃で押出・造粒した。
【0038】
このようにして得られた紫外線吸収剤含有被覆層熱可塑性樹脂を東芝機械製、直径50mm、L/D=32の押出機を用い、同時に基材部となるポリカーボネート樹脂(出光石油化学製:商品名;タフロンIV2500)を東芝機械製、直径100mm、L/D=32の押出機を用い共押出によってポリカーボネート樹脂の両面に紫外線吸収剤含有被覆層熱可塑性樹脂が被覆された2種3層のポリカーボネート樹脂積層板を得た。共押出ダイはマルチマニホールド方式、ダイ設定温度は270℃、押出機シリンダー温度はいずれも290℃で実施した。被覆層熱可塑性樹脂層の厚みは片面30μmずつになるよう押出機の吐出量とダイの流量調整ボルトを調整することによって調整を行った。従ってこの場合被覆層熱可塑性樹脂層の厚み(μm)×被覆層中の紫外線吸収剤濃度(重量%)の数値は90となる。またダイから吐出された積層溶融樹脂は100℃に温調された艶付けロールによって板厚8mmに調整し、外観上良好な積層板を得た。得られた積層板の被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂両樹脂間には、日立製作所製超高分解能走査電子顕微鏡(型式:S−5000)を用い積層体断面を観察した結果、厚みが1μm、波打ちの最大振幅は2μmの接合層が確認された。この接合層を日本分光製レーザーラマン分光装置(型式:PE1700X)を用い該接合層に焦点を合わせ接合層中の組成分析を行った結果、被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂両方のピークが存在し、この接合層が被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂の混合層であることが確認された。
こうして得られたポリカーボネート樹脂積層板の評価結果を表1に示す。
【0039】
参考例2〜5
被覆層熱可塑性樹脂(ポリカーボネート樹脂)に配合する紫外線吸収剤の量、被覆層熱可塑性樹脂層の厚みを表1に示す通りに変えた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0040】
実施例1
被覆層熱可塑性樹脂の原料をアクリル樹脂(旭化成工業製:商品名;デルパウダ0H)に変更し、また共押出時の被覆層熱可塑性樹脂を押し出す押出機シリンダー温度を270℃に変更した以外は参考例1と同様にしてポリカーボネート樹脂積層板を得た。得られた積層板の被覆熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂両樹脂間には、日立製作所製超高分解能走査電子顕微鏡(型式:S−5000)を用い積層体断面を観察した結果、厚みが1μm、波打ちの最大振幅は2μmの接合層が確認された。この接合層を日本分光製レーザーラマン分光装置(型式:PE1700ーX)を用い該接合層に焦点を合わせ接合層中の組成分析を行った結果、被覆層熱可塑性樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂両方のピークが存在し、この接合層が被覆層熱可塑性樹脂と基材符ポリカーボネート樹脂の混合層であることが確認された。
こうして得られたポリカーボネート樹脂積層板の評価結果を表1に示す。
【0041】
実施例2〜5
被覆層熱可塑性樹脂(アクリル樹脂)に配合する紫外線吸収剤の量、被覆層熱可塑性樹脂層の厚みを表1に示す通りに変えた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003904262
【0043】
被覆層熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤を配合せず参考例1と同様にポリカーボネート樹脂積層板を作製した。結果を表2に示すが、耐候性試験後の透明性が損なわれ黄変していることがわかる。
【0044】
(比較例2)
被覆層熱可塑性樹脂に配合する紫外線吸収剤を2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕(旭電化工業製:商品名;MARK LA−31)に変更した以外は参考例1と同様に実施した。結果を表2に示す。実施例1に比べ耐候性試験後の透明性が損なわれかつ黄変している。つまりMARK LA−31の場合には増量しなければ効果がないことを示している。
【0045】
(比較例3)
被覆層熱可塑性樹脂に配合する紫外線吸収剤を2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(チバガイギー社製:商品名;TINUVIN 234)に変更した以外は参考例1と同様に実施した。結果を表2に示す。参考例1に比べ耐候性試験後の透明性が損なわれかつ黄変している。つまりTINUVIN234の場合も増量しなければ効果がないことを示している。
【0046】
(比較例4〜7)
被覆層熱可塑性樹脂(ポリカーボネート樹脂)に配合する紫外線吸収剤の量、被覆層熱可塑性樹脂層の厚みを表2に示す通りに変えた以外は参考例1と同様に実施した。結果を表2に示す。いずれの例も初期の透失や着色が目立ったり、耐候性試験によって透明性が損なわれたり黄変したりしている。
【0047】
(比較例8〜11)
被覆層熱可塑性樹脂(アクリル樹脂)に配合する紫外線吸収剤の量、被覆層熱可塑性樹脂層の厚みを表2に示す通りに変えた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。いずれの例も初期の透失や着色が目立ったり、耐候性試験によって透明性が損なわれたり黄変したりしている。
【0048】
【表2】
Figure 0003904262
【0049】
【発明の効果】
本発明によればポリカーボネート樹脂の透明性や良好な外観を損なうことなく着色と耐候性が同時に改良され、屋外で使用される用途、分野への拡大が期待できる。

Claims (3)

  1. ポリカーボネート樹脂成形体の表面に10〜150μmの厚みのアクリル系樹脂層が被覆された積層体において、該被覆層アクリル系樹脂がヒドロキシフェニルトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤を含有し、かつ被覆層アクリル系樹脂層厚み(μm)×被覆層中の紫外線吸収剤濃度(重量%)=20〜300を満足していることを特徴とする積層体。
  2. 該ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールである請求項1記載の積層体。
  3. 該積層体の被覆アクリル系樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂成形体の間に被覆アクリル系樹脂と基材部ポリカーボネート樹脂がお互いくい込んだ混合層を有し、該混合層が厚み0.1〜2μm、かつ波打ちの最大振幅が幅5mmあたり10μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
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