JP3904148B2 - 吸気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに空気を供給する吸気装置、より詳しくは騒音を抑制できる吸気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸気装置の概略図を図4に示す。図に示すように、吸気装置100は、吸気ダクト101とレゾネータ110とエアクリーナ103とエアクリーナホース104とスロットルボディ105とインテークマニホールド106とを備える。吸気は、吸気口102から吸気ダクト101に取り込まれ、レゾネータ110、エアクリーナ103、エアクリーナホース104、スロットルボディ105、インテークマニホールド106を介して、エンジンの燃焼室109に供給される。
【0003】
ところで、吸気装置100においては、吸気口102から漏れる騒音(以下、「吸気音」と称す。)が問題となる。吸気音は、1kHz以上に亘る比較的広い周波数域を有する。そして、この周波数域中には、音圧レベルが著しく大きい共鳴ピークが複数点在している。したがって、共鳴ピークを小さくすることで、吸気音を抑制することができる。
【0004】
そこで、特開2002−21660号公報には、通気性部材を持つエアクリーナが紹介されている。図5に、同公報記載のエアクリーナの概略図を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図に示すように、エアクリーナ103ダーティ側の底壁111の一部は、通気性部材112により形成されている。複数の共鳴ピークのうち、比較的低周波数域の共鳴ピークを形成する定在波の腹は、エアクリーナ103ダーティ側に位置している。このため、同公報記載のエアクリーナ103によると、吸気音のうち比較的低周波数域の音を抑制することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同公報記載のエアクリーナ103によると、比較的低周波数域の音を抑制することができるに過ぎなかった。すなわち、広い周波数域に亘る吸気音のうち、ごく一部の狭い周波数域の音を抑制できるに過ぎなかった。
【0006】
また、通気性部材112を配置すると、通気性部材112を透過する騒音(以下、「透過音」と称す。)が発生する。透過音は、車室に近接したエンジンルーム内に漏出する。このため、透過音も、吸気音同様に抑制する必要がある。具体的には、吸気音の音圧と透過音の音圧とを、広い周波数域に亘ってチューニングする必要がある。吸気音および透過音のチューニングは、通気性部材112の通気量などを調整することにより行うことができる。
【0007】
ところが、同公報記載のエアクリーナ103によると、単一の通気性部材112がダーティ側に配置されているのみである。このため、吸気音および透過音のうちチューニングすることができるのは、比較的低周波数域の音だけである。すなわち、吸気音の音圧と透過音の音圧とを、広い周波数域に亘ってチューニングすることは困難である。
【0008】
本発明の吸気装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、広い周波数域に亘って吸気音の音圧と透過音の音圧とをチューニングできる吸気装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するため、本発明の吸気装置は、外部から吸気を取り込む吸気口を持つ筒状の吸気ダクトと、該吸気ダクトの下流側であってエンジンの燃焼室の上流側に配置され該吸気を濾過するエアクリーナと、を備えてなる吸気装置であって、前記吸気ダクトおよび前記エアクリーナのダーティ側は、それぞれ通気性部材により塞がれた透過口を有しており、前記吸気口から発生する吸気音および該通気性部材から発生する透過音の音圧をチューニングするために、吸気ダクトの透過口を塞ぐ通気性部材の通気量は、エアクリーナの透過口を塞ぐ通気性部材の通気量よりも大きくなるように設定されており、また40〜1000Hzの周波数域において、吸気音の音圧が透過音の音圧〜透過音の音圧+3dBであることを特徴とする。
【0010】
つまり、本発明の吸気装置は、吸気ダクトとエアクリーナとを備えるものである。これらの部材には、通気性部材により塞がれた透過口が開設されている。すなわち、通気性部材も複数配置されている。そして、これら複数の通気性部材の通気量は、吸気音の音圧および透過音の音圧を、ともにチューニングできるように、各々異なる値に設定されている。
【0011】
本発明の吸気装置によると、吸気音および透過音の持つ広い周波数域のうち、各周波数ごとの音圧分布に応じて通気量を最適化することができる。すなわち、吸気音および透過音を、きめ細やかにチューニングすることができる。したがって、本発明の吸気装置によると、広い周波数域に亘って吸気音の音圧と透過音の音圧とを自在にチューニングすることができる。なお、「通気量」とは、単位時間あたりの体積流量をいう。
【0012】
(2)好ましくは、前記吸気音の音圧は、前記透過音の音圧とほぼ等しくなるように設定されている構成とする方がよい。吸気口は車外に開口している。このため、吸気音は主に車外騒音の一因となる。一方、透過口はエンジンルームなどに開口している。このため、透過音は主に車内騒音の一因となる。したがって、車外騒音および車内騒音の双方を小さくするためには、吸気音の音圧と透過音の音圧とがほぼ等しくなるようにチューニングすればよい。
【0013】
(3)好ましくは、吸気音の音圧が、透過音の音圧以上となるように設定されている構成とする方がよい。例えば、エンジンルームなどの遮音性が低い場合、透過音は減衰しないまま車室に伝達されることになる。このような場合は、透過音の音圧を吸気音の音圧以下となるようにチューニングすると、より車内騒音を抑制しやすくなる。
【0014】
図6に、前出の図5同様に、エアクリーナのダーティ側に単一の通気性部材を配置した吸気装置の吸気音および透過音の周波数分布を示す。図中、横軸は周波数(Hz)を示す。また、縦軸は音圧レベル(dB)を示す。また、実線は吸気音を示す。また、点線は透過音を示す。
【0015】
この吸気装置によると、周波数域A、周波数域Bにおいて、透過音の音圧の方が吸気音の音圧よりも大きくなってしまう。透過音の音圧を吸気音の音圧以下にまで小さくするためには、通気性部材の通気量を小さくしてやればよい。しかしながら、通気性部材の通気量を小さくすると、今度は吸気音の音圧が大きくなってしまう。また、周波数域A、周波数域Bにのみ注視してチューニングを行うと、他の周波数域において、透過音の音圧が吸気音の音圧よりも大きくなる、透過音の音圧が吸気音の音圧に対して過剰に小さくなる、などの不具合が発生するおそれがある。このように、単一の通気性部材により、広い周波数域に亘って吸気音の音圧と透過音の音圧とを、吸気音の音圧が透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるようにチューニングするのは困難である。
【0016】
これに対し、本構成の吸気装置は複数の通気性部材を備えている。この複数の通気性部材の配置場所や通気量などを調整することにより、比較的簡単に、吸気音の音圧と透過音の音圧とを、吸気音の音圧が透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるように、チューニングすることができる。したがって、本構成の吸気装置によると、車外騒音と車内騒音とをバランス良く抑制することができる。
【0017】
(4)好ましくは、40Hz以上1000Hz以下の周波数域の、吸気音と透過音との音圧レベルが最も近づくある特定の周波数において、吸気音の音圧を、透過音の音圧〜透過音の音圧+3dBの範囲内に設定する方がよい。
【0018】
その理由は、通気性部材を全く用いない場合の吸気音の騒音エネルギを100%とすると、通気性部材を用いた場合、吸気音と透過音の二つに騒音エネルギが分散されることになる。吸気音と透過音とが等しい場合は、各々50%ずつに分散される。また、3dB差がある場合には、吸気音:透過音=2:1となり、吸気音は通気性部材を用いない場合と比べて2/3に騒音エネルギが抑制可能である。厳密には、透過音は吸気音より車室内に近く耳障りとなるため、吸気音より低く設定するために目安として3dBとしている。
【0019】
(5)好ましくは、前記透過口は、前記吸気ダクトと、前記エアクリーナのダーティ側と、に配置されている構成とする方がよい。後述する実施例から、通気性部材により塞がれた透過口を、吸気ダクトおよびエアクリーナのダーティ側に配置すると、より簡単に、吸気音の音圧と透過音の音圧とを、吸気音の音圧が透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるように、チューニングできることが判った。本構成の吸気装置によると、より簡単に、車外騒音と車内騒音とをバランス良く抑制することができる。
【0020】
(6)好ましくは、前記複数の通気性部材の通気量は、上流側に配置された該通気性部材の通気量の方が、下流側に配置された該通気性部材の通気量よりも、大きくなるように設定されている構成とする方がよい。
【0021】
つまり、本構成は、複数の通気性部材の通気量を、上流側>下流側となるように設定するものである。後述する実施例から、通気量を上流側>下流側と設定すると、より簡単に、吸気音の音圧と透過音の音圧とを、吸気音の音圧が透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるように、チューニングできることが判った。本構成の吸気装置によると、より簡単に、車外騒音と車内騒音とをバランス良く抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸気装置の実施の形態について説明する。
【0023】
(1)第一実施形態
まず、本実施形態の吸気装置の構成について説明する。図1に、本実施形態の吸気装置の概略図を示す。図に示すように、吸気装置1は、吸気ダクト2とエアクリーナ4とエアクリーナホース5とスロットルボディ6とインテークマニホールド7とを備える。
【0024】
吸気ダクト2は、PP(ポリプロピレン)製であって円筒状を呈している。吸気ダクト2は、上流端に開設された吸気口20により、自動車の外部と連通している。図2に、吸気ダクトおよびエアクリーナの分解図を示す。図に示すように、吸気ダクト2の側周壁には、矩形状の透過口80aが開設されている。透過口80aは、PET(ポリエチレンテレフタレート)不織布製であって矩形板状の通気性部材8aにより塞がれている。
【0025】
エアクリーナ4は、ダーティ側ケース40とクリーン側ケース41とエレメント42とを備える。図2に戻って、ダーティ側ケース40は、タルク配合PP製であって上方に開口する箱状を呈している。ダーティ側ケース40の側壁からは、ダクト接続筒400が突設されている。ダクト接続筒400は、吸気ダクト2の下流端に接続されている。また、ダーティ側ケース40の側壁には、透過口80bが開設されている。透過口80bは、PET不織布製であって矩形板状の通気性部材8bにより塞がれている。なお、通気性部材8bの通気量は、通気性部材8aの通気量よりも、小さく設定されている。
【0026】
クリーン側ケース41は、タルク配合PP製であって下方に開口する箱状を呈している。クリーン側ケース41は、開口が伏せられた状態で、ダーティ側ケース40の上方に配置されている。クリーン側ケース41の側壁からは、ホース接続筒410が突設されている。
【0027】
エレメント42は、PET不織布をひだ折り加工した長方形板状を呈している。エレメント42は、ダーティ側ケース40の開口縁とクリーン側ケース41の開口縁との間に挟持固定されている。そして、エレメント42は、ダーティ側ケース40とクリーン側ケース41とにより形成される閉空間を、上下二室に仕切っている。
【0028】
図1に戻って、エアクリーナホース5は、CR(クロロプレンゴム)製であって蛇腹筒状を呈している。エアクリーナホース5の上流端は、図2に示すホース接続筒410に接続されている。エアクリーナホース5の下流端には、筒状のスロットルボディ6の上流端が接続されている。スロットルボディ6の下流端には、燃焼室70に分岐接続されたインテークマニホールド7が接続されている。外部から吸気口20に取り込まれた空気は、吸気装置1内を、吸気ダクト2→ダーティ側ケース40→エレメント42→クリーン側ケース41→エアクリーナホース5→スロットルボディ6→インテークマニホールド7の順に通過し、燃焼室70に流入する。
【0029】
次に、本実施形態の吸気装置の効果について説明する。本実施形態の吸気装置1には、合計二つの透過口80a、80bが開設されている。そして、各々の透過口80a、80bは、通気性部材8a、8bにより塞がれている。また、通気性部材8a、8bの通気量は、上流側に配置された通気性部材8aの方が下流側に配置された通気性部材8bよりも大きくなるように設定されている。このため、本実施形態の吸気装置1によると、吸気音および透過音の持つ広い周波数域のうち、各周波数ごとの音圧分布に応じて通気量を最適化することができる。そして、吸気音および透過音を、きめ細やかにチューニングすることができる。
【0030】
また、透過口80aは吸気ダクト2に、透過口80bはエアクリーナ4のダーティ側ケース40に、それぞれ開設されている。このため、本実施形態の吸気装置1によると、広い周波数域に亘って、吸気音および透過音を、吸気音の音圧が透過音の音圧とほぼ等しくかつ透過音の音圧以上となるように、チューニングすることができる。したがって、本実施形態の吸気装置1によると、車外騒音と車内騒音とをバランス良く抑制することができる。
【0031】
また、二つの透過口80a、80bは、いずれもエレメント42よりも上流側に開設されている。このため、仮に通気性部材8a、8bを介して、塵埃が吸気装置1内に混入しても、エレメント42により、塵埃を濾し取ることができる。このため、本実施形態の吸気装置1によると、エレメント42よりも下流側の清浄性を確保することができる。
【0047】
(2)その他
以上、本発明の吸気装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態においては、ダーティ側ケース40およびクリーン側ケース41をタルク配合PPにより形成した。しかしながら、ダーティ側ケース40およびクリーン側ケース41の材質は特に限定しない。例えば、タルク−ガラス繊維配合PPにより形成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、通気性部材8a、8b、8c、8dを、PET不織布により形成した。しかしながら、通気性部材8a、8b、8c、8dの材質は特に限定しない。例えば、PP不織布やPA(ポリアミド)不織布により形成してもよい。また、不織布に限らず、PET織布、PP織布、PA織布、木綿により形成してもよい。また、ウレタン系連泡スポンジやEPDM(エチレンプロピレンディエンモノマー)系連泡スポンジにより形成してもよい。また、濾紙を用いてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、エアクリーナホース5を、CRにより形成した。しかしながら、エアクリーナホース5の材質は特に限定しない。例えば、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)とPVC(ポリ塩化ビニル)とのブレンド材、EPDM、NBRとEPDMとのブレンド材、サントプレーンエラストマーにより形成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、吸気ダクト2を、PPにより形成した。しかしながら、例えばPE(ポリエチレン)などにより形成してもよい。
【0052】
また、通気性部材と吸気ダクト、または通気性部材とダーティ側ケース、または通気性部材とクリーン側ケース、または通気性部材とエアクリーナホースの接合方法は特に限定しない。例えば、熱板溶着、振動溶着、超音波溶着などの溶着方法により接合してもよい。また、接着剤により接合してもよい。また、上記各部材を射出成形する際に、通気性部材をインサート成形することにより接合してもよい。
【0053】
また、透過口および通気性部材の配置場所、個数、形状は特に限定しない。例えば、一つの部材に複数の透過口を開設してもよい。
【0054】
【実施例】
以下、第一実施形態の吸気装置を用いて行った実験について、前出の図1を参照しながら説明する。図3に、吸気音および透過音の周波数分布を示す。なお、この周波数分布は、インテークマニホールド7下流側に配置したスピーカからホワイトノイズを発生させ、吸気口20上流側に配置したマイクロホンにより吸気音を、通気性部材8b外側に配置したマイクロホンにより透過音を、それぞれ採取することにより測定した。なお、通気性部材8aの肉厚は、2.5mmとした。また、通気性部材8aの通気量は、98Pa時において4(m3/h)となるように設定した。また、通気性部材8bの肉厚は、2.0mmとした。また、通気性部材8bの通気量は、98Pa時において2.6(m3/h)となるように設定した。なお、実際の通気量は、下流側の方が上流側よりも吸気脈動圧力が高いため、設定値とは若干異なる。また、通気性部材8a、8bの肉厚は、PET不織布原反面重量840g/m2、PET不織布原反板厚(熱間プレス前)5mmのものを、熱間プレス成形にて板厚を変えることにより、調整している。肉厚が厚いほど、通気量は大きくなる。反対に、肉厚が薄いほど、通気量は小さくなる。
【0055】
図中、横軸は周波数(Hz)を示す。また、図中、縦軸は音圧レベル(dB)を示す。また、図中、太実線aは、第一実施形態の吸気装置1の吸気音を示す。また、図中、細実線bは、第一実施形態の吸気装置1の透過音を示す。なお、透過音については、測定値の大きい方をグラフに記載している。
【0056】
また、図中、太点線cは、エアクリーナ4のダーティ側ケース40に単一の通気性部材8bを配置した場合の吸気音を示す(前出図6の実線に相当)。また、図中、細点線dは、エアクリーナ4のダーティ側ケース40に単一の通気性部材8bを配置した場合の透過音を示す(前出図6の点線に相当)。
【0057】
また、図中、太一点鎖線eは、吸気ダクト2に単一の通気性部材8aを配置した場合の吸気音を示す。また、図中、細一点鎖線fは、吸気ダクト2に単一の通気性部材8aを配置した場合の透過音を示す。
【0058】
図に示すように、エアクリーナ4のダーティ側ケース40に単一の通気性部材8bを配置した場合、周波数域Aおよび周波数域Bのように、透過音の音圧(細点線d)>吸気音の音圧(太点線c)となる周波数域が発生する。また、吸気音および透過音の持つ周波数域全体を見ると、透過音、吸気音ともに音圧の変動が大きい。また、周波数域Cおよび周波数域Dおよび周波数域Eのように、吸気音の音圧に対し、透過音の音圧が過剰に小さい周波数域が発生する。
【0059】
ここで、吸気音の音圧を、透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるようにチューニングしようとすると、周波数域Aおよび周波数域Bにおいて、透過音の音圧≦吸気音の音圧とする必要がある。このため、通気性部材8a、8bの通気量を小さくする必要がある。しかしながら、通気量を小さくすると、吸気音の音圧が大きくなる。したがって、周波数域Cおよび周波数域Dおよび周波数域Eのような、吸気音の音圧に対し、透過音の音圧が過剰に小さい周波数域が増加する。
【0060】
このように、エアクリーナ4のダーティ側ケース40に単一の通気性部材8bを配置した場合、透過音の音圧>吸気音の音圧となる周波数域Aおよび周波数域Bに規制されるため、チューニング代がほとんど無いことが判る。
【0061】
また、図に示すように、吸気ダクト2に単一の通気性部材8aを配置した場合、透過音の音圧(細一点鎖線f)>吸気音の音圧(太一点鎖線e)となる周波数域は発生しない。しかしながら、周波数域Hのように、透過音の音圧と吸気音の音圧とがほぼ等しくなる周波数域が発生する。また、吸気音および透過音の持つ周波数域全体を見ると、透過音、吸気音ともに音圧の変動が大きい。また、周波数域Fおよび周波数域Gのように、吸気音の音圧に対し、透過音の音圧が過剰に小さい周波数域が発生する。
【0062】
ここで、吸気音の音圧を、透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるようにチューニングしようとしても、周波数域Hにおいて透過音の音圧と吸気音の音圧とがほぼ等しくなっている。このため、仮に、周波数域Fおよび周波数域Gにおいて透過音の音圧を吸気音の音圧付近まで大きくすると、周波数域Hにおいて透過音の音圧>吸気音の音圧となってしまうおそれがある。したがって、透過音の音圧を大きくする方向にチューニングすることができない。一方、透過音の音圧を小さくする方向にチューニングすると、周波数域Fおよび周波数域Gのように、吸気音の音圧に対し、透過音の音圧が過剰に小さい周波数域が増加する。
【0063】
このように、吸気ダクト2に単一の通気性部材8aを配置した場合、透過音の音圧と吸気音の音圧とがほぼ等しい周波数域Hに規制されるため、チューニング代がほとんど無いことが判る。
【0064】
上記、単一の通気性部材を配置した場合に対し、第一実施形態の吸気装置1の場合、透過音の音圧(細実線b)>吸気音の音圧(太実線a)となる周波数域は発生しない。また、吸気音および透過音の持つ周波数域全体を見ると、透過音、吸気音ともに音圧の変動が小さい。また、周波数域I以外の全周波数域において、吸気音の音圧は透過音の音圧〜透過音の音圧+3dBの範囲に入っている。
【0065】
すなわち、第一実施形態の吸気装置1によると、吸気音の音圧は、透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるようにチューニングされていることが判る。したがって、車外騒音および車内騒音の双方が小さいことが判る。
【0066】
以上、第一実施形態の吸気装置を用いた実験について説明した。本実験においては、吸気音の音圧を、透過音の音圧とほぼ等しく、かつ透過音の音圧以上となるようにチューニングする場合について説明した。
【0067】
しかしながら、透過音の音圧と吸気音の音圧とを本実験以外のバランスにチューニングする場合であっても、第一実施形態の吸気装置の方が単一の通気性部材を持つ吸気装置よりも有利である。
【0068】
例えば、透過音の音圧>吸気音の音圧となるようにチューニングする場合、ダーティ側ケース40に単一の通気性部材8bを配置した吸気装置だと、周波数域Cおよび周波数域Dおよび周波数域Eのように、吸気音の音圧に対し、透過音の音圧が過剰に小さい周波数域が存在する。これらの周波数域において、透過音の音圧>吸気音の音圧となるようにチューニングすると、本来透過音の音圧の方が吸気音の音圧よりも大きい周波数域A、周波数域Bにおいて、透過音の音圧の方が吸気音の音圧よりも過剰に大きくなってしまう。
また、透過音の音圧>吸気音の音圧となるようにチューニングする場合、吸気ダクト2に単一の通気性部材8aを配置した吸気装置だと、周波数域Fおよび周波数域Gのように、吸気音の音圧に対し、透過音の音圧が過剰に小さい周波数域が存在する。これらの周波数域において、透過音の音圧>吸気音の音圧となるようにチューニングすると、透過音の音圧と吸気音の音圧とがほぼ等しい周波数域Hにおいて、透過音の音圧の方が吸気音の音圧よりも過剰に大きくなってしまう。
【0069】
上記、単一の通気性部材を配置した場合に対し、第一実施形態の吸気装置1の場合、透過音の音圧>吸気音の音圧となる周波数域は存在しない。また、吸気音および透過音の持つ周波数域全体を見ると、透過音、吸気音ともに音圧の変動が小さい。また、周波数域I以外の全周波数域において、吸気音の音圧は透過音の音圧〜透過音の音圧+3dBの範囲に入っている。このため、透過音の音圧と吸気音の音圧とのバランスを採りながら、透過音の音圧>吸気音の音圧となるように、チューニングすることができる。
【0070】
なお、透過音の音圧>吸気音の音圧となるようにチューニングする場合としては、エンジンルームの遮音性が高く、透過音の音圧を大きくしても車内騒音が大きくならない場合が挙げられる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によると、広い周波数域に亘って吸気音の音圧と透過音の音圧とをチューニングできる吸気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施形態の吸気装置の概略図である。
【図2】 第一実施形態の吸気装置の吸気ダクトおよびエアクリーナの分解図である。
【図3】 第一実施形態の吸気装置の吸気音および透過音の周波数分布を示すグラフである。
【図4】 従来の吸気装置の概略図である。
【図5】 従来のエアクリーナの概略図である。
【図6】 従来の吸気装置の吸気音および透過音の周波数分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1:吸気装置、2:吸気ダクト、20:吸気口、4:エアクリーナ、40:ダーティ側ケース、400:ダクト接続筒、41:クリーン側ケース、410:ホース接続筒、42:エレメント、5:エアクリーナホース、6:スロットルボディ、7:インテークマニホールド、70:燃焼室、8a:通気性部材、8b:通気性部材、80a:透過口、80b:透過口、A:周波数域、B:周波数域。
Claims (1)
- 外部から吸気を取り込む吸気口を持つ筒状の吸気ダクトと、該吸気ダクトの下流側であってエンジンの燃焼室の上流側に配置され該吸気を濾過するエアクリーナと、を備えてなる吸気装置であって、
前記吸気ダクトおよび前記エアクリーナのダーティ側は、それぞれ通気性部材により塞がれた透過口を有しており、
前記吸気口から発生する吸気音および該通気性部材から発生する透過音の音圧をチューニングするために、前記吸気ダクトの前記透過口を塞ぐ前記通気性部材の通気量は、前記エアクリーナの前記透過口を塞ぐ前記通気性部材の通気量よりも大きくなるように設定されており、
また40〜1000Hzの周波数域において、前記吸気音の音圧が前記透過音の音圧〜前記透過音の音圧+3dBであることを特徴とする吸気装置。
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