JP3978641B2 - エンジンの吸気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの吸気装置に係り、特に車両の下部位にエアクリーナをレイアウトするエンジンの吸気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、図7に示す如く、運転座席(図示せず)の下方にエンジンルームERを設け、このエンジンルームER内にエンジン102を配設し、このエンジン102に接続した吸気マニホルド104を右方向に指向して設け、この吸気マニホルド104の上流側にスロットルボディ106を取り付け、このスロットルボディ106にエアクリーナホース108の一端側を配設し、このエアクリーナホース108の他端側にエアクリーナ110を連結し、エアクリーナ110からエンジン102に至る吸気系全体を左右に指向させて配設している。エアクリーナ110は、車体フレームである右側サイドフレーム112付近に配置され、エンジン102に吸入される吸入空気を濾過するものである。このエアクリーナ110には、新気取入ホース114が設けられている。また、エアクリーナホース108には、エンジン102の動きを吸収するために、蛇腹部108Aを設けているとともに、吸気騒音を低減するために、サイドブランチレゾネータ116を設けている。
【0003】
また、エンジンルームにエンジンを配設する場合に比べて、図8に示す如く、運転座席202の下方にエンジン(図示せず)を配設する場合には、エアクリーナ204が地面に近接して配設され、このエアクリーナ204の内部に水が入り易いので、図9に示す如く、エアクリーナ204の底面部204Aには、水抜き穴206を形成するとともに、この水抜き穴206を開閉するゴム製の水抜き用バルブ208を設けている。この水抜き用バルブ208は、エアクリーナ204の底面部204Aのバルブ取付孔210に取り付けられ、エンジンの駆動時に、エアクリーナ204内で吸入空気が吸入されることで発生する負圧によって閉動作して水抜き穴206を閉成する一方、エンジンの非駆動時には、エアクリーナ204内で吸入空気が吸入されず、負圧が発生しないことから、開動作して水抜き穴206を開成するものである。
【0004】
また、このようなエンジンの吸気装置としては、例えば、特開平5−26123号公報に開示されている。この公報に記載のものは、板状のクリーナエレメントの下面側から外気を導入させて、ほこり等が溜まるのを防止し、また、外気側開口及びエンジン側開口を下側ケースに設けて、上側ケースの着脱を容易としたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来、このように運転席の下方にエンジンが配設される場合に、運転席の下方のエンジンルームが運転席の前方に形成されるエンジンルームに比べて小さいので、エアクリーナやレゾネータ等の容積を拡大して吸気騒音の低減を図ろうとする場合には、エアクリーナやレゾネータ等の設置スペースを確保することができないという不都合があった。また、充填効率を高めるべく、吸気マニホルドの各ブランチを長尺化する場合には、エアクリーナホースの長さが短くなってしまうので、レゾネータをエアクリーナホースに設けることが困難になり、もって、消音性能を向上することが困難になるという不都合があった。
【0006】
また、図8、9に示す如く、車両のかなり下部位に配設したエアクリーナには、水没等で浸入した水を抜くために、特殊な水抜き用バルブを取り付ける必要があり、このため、部品点数が増加するとともに、エアクリーナの構成が複雑になり、しかも、高価になるという不都合があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、車両の運転座席の下方にエンジンルームを設け、このエンジンルームにエンジンを配設し、このエンジンに吸入される吸入空気を濾過するエアクリーナを設け、このエアクリーナに新気を導入する吸気ダクトを接続したエンジンの吸気装置において、前記エアクリーナを車両前後方向に延びる車体フレームの鉛直方向上方にその一部がこの車体フレームから車両幅方向外側に突出する状態で配設し、前記吸気ダクトを前記エアクリーナの鉛直方向下方且つ車両幅方向両側を前記車体フレームと車体ボディとに挟まれる空間に配設し、前記吸気ダクトを前記エアクリーナの底面部に接続するとともにダクト用ブラケットを介して鉛直方向上方の車体フロアに固設し、さらに、前記吸気ダクトには前記ダクト用ブラケットに対して車両の前方側と後方側に夫々前方側、後方側レゾネータを連結したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明は、車体ボディの壁面と車体フレームとの間のデットスペースを有効に活用することができ、また、新気導入口を排水口としても機能させることができ、エアクリーナに水抜き穴や水抜き用バルブを別途に設ける必要がないので、部品点数を低減するとともに、構成を簡単とし、廉価とすることができ、しかも、車体フロアの下方のデッドスペースに大型のレゾネータをレイアウトしたり、消音周波数の異なる複数個のレゾネータをバランス良く配設することができ、さらに消音性能を向上させることができる。
【0009】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。図1〜4は、この発明の第1実施例を示すものである。図4において、2は車両、4はこの車両2に搭載されたエンジン、6は車両2の右側で前後方向に指向する車体フレームである右側サイドフレーム、8は車体ボディ(ボデイ外板)、10は車体フロアである。エンジン4は、図4に示す如く、運転座席(図示せず)の下方に設けたエンジンルームER内に配設されている。
【0010】
エンジン4には、吸気マニホルド12の一端側である下流側が接続して設けられている。この吸気マニホルド12は、右側サイドフレーム6側の右方に指向し、他端側の上流側にスロットルボディ14を取り付けている。また、このスロットルボディ14には、右側サイドフレーム6側にエアクリーナホース16の一端側の下流側が接続されている。このエアクリーナホース16は、右方に指向して配置され、他端側の上流側にエアクリーナ18を連結している。エアクリーナホース16には、エンジン4の動きを吸収するために、蛇腹部16Aが設けられている。
【0011】
このエアクリーナ18は、図3に示す如く、クリーナケース20内にフィルタエレメント22を備え、エンジン4に吸入される吸入空気を濾過するものであり、図4に示す如く、右側サイドフレーム6と長手方向Xが一致して配設され、車体ボディ8の壁面8Aと右側サイドフレーム6との間のデットスペースの空間S1に配設され、車体フロア10上に固設されている。よって、このエアクリーナ18は、かなり下部位にレイアウトされる。
【0012】
エアクリーナ18の底面部18Aには、新気導入口24が下方に開口して設けられている。また、この新気導入口24に対応して、車体フロア10には、フロア側開口26が形成されている。そして、新気導入口24には、車体フロア10の下方からフロア側開口26を経て、吸気ダクト28の一端側の下流側が接続して設けられる。
【0013】
一方、右側サイドフレーム6には、図1に示す如く、エアクリーナ18よりも車両2の後方側の少し上方に延長したフレーム延設部6Aに、フレーム側開口30が形成されている。このフレーム側開口30には、右側サイドフレーム6の外側から内側に、吸気ダクト28の他端側の上流側が接続して設けられる。この右側サイドフレーム6内には、吸気通路32が形成されている。
【0014】
吸気ダクト28は、車体ボディ8と右側サイドフレーム6との間で且つ車室34と車外36とを区画する車体フロア10の下方のデッドスペースの空間S2にレイアウトされる。つまり、吸気ダクト28は、エアクリーナ18の底面部18Aから略垂直状態で右側サイドフレーム6の下端面付近まて直線的に延設したクリーナ側端部28−1と、この右側サイドフレーム6の下端面に沿って車両2の後方に水平状態で延設した中間部28−2と、右側サイドフレーム6の上端面付近まで略垂直状態に指向して延設した立上がり部28−3と、右側サイドフレーム6の上端面付近でこの右側サイドフレーム6に沿って延設したフレーム側端部28−4とからなる。
【0015】
従って、エアクリーナ18への新気は、右側サイドフレーム6内の吸気通路32からフレーム側開口30を経て吸い込まれ、吸気ダクト28に導かれて、エアクリーナ18の底面部18Aの新気導入口24からエアクリーナ18内に導入されるものである。
【0016】
吸気ダクト28は、中間部28−2がダクト用ブラケット38によって車体フロア10に固定して設けられる。このダクト用ブラケット38は、一側のフロア側ボルト孔40、40に挿通したフロア側取付ボルト42、42によって車体フロア10の下面に取り付けられているとともに、他端側には吸気ダクト28の中間部28−2に固定した固定ブラケット44、44をダクト側取付ボルト46、46によって取り付けている。
【0017】
吸気ダクト28には、ダクト用ブラケット38に対して車両2の前方側と後方側とにおいて前方側、後方側レゾネータが連結して設けられる。
【0018】
つまり、吸気ダクト28の中間部28−2には、車両2の前方側のデットスペースである前方側空間S3で、右側サイドフレーム6の下端面付近に沿って水平方向に指向したレゾネータ用パイプ48の一端側が接続して設けられている。このレゾネータ用パイプ48の他端側には、前方側のレゾネータとして、大容量のヘルムホルツレゾネータ50が接続して設けられている。このヘルムホルツレゾネータ50は、前方側空間S3で、長手方向が右側サイドフレーム6に沿って水平方向に指向して配設されている。また、このヘルムホルツレゾネータ50の上端部位には、レゾネータ用ブラケット52が固定されている。このレゾネータ用ブラケット52は、レゾネータ用取付ボルト54で車体フロア10の下面に固定されている。
【0019】
また、吸気ダクト28のフレーム側端部28−4には、立上がり部28−3よりも車両2の後方側のデットスペースである後方空間S4に、後方側のレゾネータとして、サイドブランチレゾネータ56の一端側が接続して設けられる。このサイドブランチレゾネータ56は、ヘルムホルツレゾネータ50の容量よりも小さく、消音周波数が異なるものであり、立上がり部28−3に沿って下方に延設し、先端側が右側サイドフレーム6の下端面付近に配置している。
【0020】
次に、この第1実施例の作用を説明する。
【0021】
エアクリーナ18には、右側サイドフレーム6の内側の吸気通路32から吸い込まれた新気が、吸気ダクト28を経て、底面部18Aの新気導入口24から導入される。このとき、吸気ダクト28中の吸気脈動は、ヘルムホルツレゾネータ50とサイドブランチレゾネータ56とによって抑制されることから、吸気騒音の発生が低減される。
【0022】
また、エアクリーナ18内に水が溜まった場合には、図3に示す如く、底面部18Aの新気導入口24から下方に流去する。
【0023】
この結果、エアクリーナ18を、右側サイドフレーム6と長手方向Xを一致して配設するとともに、車体ボディ8の壁面と車体フレームである右側サイドフレーム6との間に配設し、エアクリーナ18の底面部18Aには吸気ダクト28が接続される新気導入口24を下方に開口して設けているので、車体ボディ8の壁面と右側サイドフレーム6との間のデットスペースにエアクリーナ18を設けて、デットスペースを有効に活用することができ、また、新気導入口24を排水口として機能させることができ、エアクリーナ18に水抜き穴やバルブを別途に設ける必要がないので、部品点数を低減するとともに、構成を簡単とし、廉価とすることができ、また、エアクリーナ18単体で気密性を向上させ、消音性能を向上させることができる。
【0024】
また、吸気ダクト28は右側サイドフレーム6に接続され、この右側サイドフレーム6内には吸気通路32を形成しているので、新気導入口24を、吸気ダクト28を介して右側サイドフレーム6の閉空間に開口させ、新気導入口24から泥、雪等の不純物が吸い込まれるのを防止することができる。
【0025】
更に、吸気ダクト28を、車体ボディ8と右側サイドフレーム6との間で且つ車室34と車外38とを区画する車体フロア10の下方に配設したことにより、車室34内のスペースを広く形成することができ、スペースの有効活用を図ることができる。
【0026】
更にまた、吸気ダクト28はダクト用ブラケット38を介して車体フロア10に固設され、吸気ダクト28にはダクト用ブラケット38に対して車両2の前方側と後方側とにおいて前方側、後方側レゾネータとして、ヘルムホルツレゾネータ50とサイドブランチレゾネータ56とを連結して設けたので、車体フロア10の下方のデッドスペースに大型のレゾネータをレイアウトしたり、消音周波数の異なる複数個のレゾネータをバランス良く配設することができ、さらに消音性能を向上させることができる。
【0027】
図5は、この発明の特別構成であり、第2実施例を示すものである。
【0028】
以下の実施例においては、上述の第1実施例と同一機能を果す箇所には同一符号を付して説明する。
【0029】
この第2実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、右側サイドフレーム6には、吸気ダクト28が接続されるフレーム開口30を手前側から覆うように、不純物浸入防止体62を設けた。この不純物浸入防止体62には、複数の通過孔(図示せず)が形成されているとともに、空気の流れに対して下向きに傾斜した不純物案内部材62Aが複数段に配置されている。
【0030】
この第2実施例の構成によれば、空気が不純物浸入防止体62に至ると、水等の不純物が不純物案内部材62Aによって下方に案内されるので、不純物を容易に除去することができる。
【0031】
図6は、この発明の特別構成であり、第3実施例を示すものである。
【0032】
この第3実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、吸気ダクト28の入口の前方には、第1、第2空気導入体72−1、72−2を離間して直列に配置するとともに、第1空気導入体72−1と第2空気導入体72−2との間に第1不純物落下用隙間74−1を形成するとともに、第2空気導入体72−2と吸気ダクト28の入口部位との間に第1不純物落下用隙間74−1を形成する。第1空気導入体72−1及び第2空気導入体72−2は、空気を導入し易いように、入口側が出口側よりも大きな径に形成されている。また、吸気ダクト28の入口部位は、第1、第2空気導入体72−1、72−2の入口部位と同径に形成されている。
【0033】
この第3実施例の構成によれば、新気は、第1、第2空気導入体72−1、72−2に導かれて吸気ダクト28内に流入する。このとき、新気に含まれる水等の不純物は、その重力で第1、第2不純物落下用隙間74−1、74−2から落下して下方に流去するので、不純物が吸気ダクト28に浸入するのを防止することができる。なお、この場合に、第1、第2空気導入体72−1、72−2を軸方向に移動して、第1空気導入体72−1と第2空気導入体72−2とをオーバーラップさせたり、第2空気導入体72−2と吸気ダクト28の入口部位をオーバーラップさせることにより、第1、第2不純物落下用隙間74−1、74−2を調整して、不純物を効果的に除去させることができる。
【0034】
なお、この発明においては、吸気ダクトの低部位となる中間部に、流下した水を排出させる逆止弁等の排水弁機構を設け、水を積極的に外部に流出させることも可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれば、車体ボディの壁面と車体フレームとの間のデットスペースを有効に活用することができ、また、新気導入口を排水口として機能させることができ、エアクリーナに水抜き穴やバルブを別途に設ける必要がないので、部品点数を低減するとともに、構成を簡単とし、廉価とし、しかも、車体フロアの下方のデッドスペースに大型のレゾネータをレイアウトしたり、消音周波数の異なる複数個のレゾネータをバランス良く配設することができ、さらに消音性能を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の吸気装置の側面図である。
【図2】車両の吸気装置の正面図である。
【図3】エアクリーナの概略断面図である。
【図4】車両の吸気装置の平面図である。
【図5】第2実施例において車両の吸気装置の一部側面図である。
【図6】第3実施例において車両の吸気装置の一部斜視図である。
【図7】従来における車両の吸気装置の平面図である。
【図8】従来における車両の吸気装置の側面図である。
【図9】従来においてエアクリーナの底面部に水抜き用バルブを取り付けた断面図である。
【符号の説明】
2 車両
4 エンジン
6 右側サイドフレーム
10 車体フロア
18 エアクリーナ
24 新気導入口
28 吸気ダクト
32 吸気通路
38 ダクト用ブラケット
50 ヘルムホルツレゾネータ
56 サイドブランチレゾネータ
Claims (1)
- 車両の運転座席の下方にエンジンルームを設け、このエンジンルームにエンジンを配設し、このエンジンに吸入される吸入空気を濾過するエアクリーナを設け、このエアクリーナに新気を導入する吸気ダクトを接続したエンジンの吸気装置において、前記エアクリーナを車両前後方向に延びる車体フレームの鉛直方向上方にその一部がこの車体フレームから車両幅方向外側に突出する状態で配設し、前記吸気ダクトを前記エアクリーナの鉛直方向下方且つ車両幅方向両側を前記車体フレームと車体ボディとに挟まれる空間に配設し、前記吸気ダクトを前記エアクリーナの底面部に接続するとともにダクト用ブラケットを介して鉛直方向上方の車体フロアに固設し、さらに、前記吸気ダクトには前記ダクト用ブラケットに対して車両の前方側と後方側に夫々前方側、後方側レゾネータを連結したことを特徴とするエンジンの吸気装置。
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