JP3904034B2 - 露光装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)又は薄膜磁気ヘッド等を製造するためのリソグラフィ工程中で、マスクパターンを感光性の基板上に転写するために使用される露光装置に関し、特に感光性の基板に対する露光量の制御機能を備えた露光装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より半導体素子等を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンを投影光学系を介してフォトレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上の各ショット領域に転写露光する投影露光装置(ステッパー等)が使用されている。斯かる投影露光装置における1つの基本的な機能として、ウエハの各ショット領域内の各点に対する露光量(積算露光エネルギー)を適正範囲内に維持するための露光量制御機能がある。
【0003】
従来の露光量制御方式としては、照明光学系中で露光光の一部を分離し、このように分離された露光光をこの露光光に対して十分な感度と応答速度とを有する光電センサ(以下、「インテグレータセンサ」と呼ぶ)で受光し、このインテグレータセンサの出力信号よりウエハに対する露光量を間接的にリアルタイムでモニタする方式が知られている。この場合、予めインテグレータセンサの出力と、レチクルのパターン像の投影面(ウエハの配置面)に設置された所定の基準照度計の出力(単位はエネルギー)との1次の相関係数を求めることにより、基準照度計で計測される露光量(これを「露光量絶対値」という)に対するそのインテグレータセンサの出力信号の較正が行われ、露光時間中にそのインテグレータセンサの出力を積算することにより、ウエハに対する露光量が求められていた。
【0004】
また、従来の投影露光装置の照明光学系の開口絞り(2次光源)の標準的な形状は円形であり、通常、その開口絞りのサイズ、ひいては所謂コヒーレンスファクタ(σ値)は装置内では一定の値に設定されていた。これに対して、最近のリソグラフィ工程ではウエハ上のレイヤ毎にパターンの形状、寸法に応じて最適なコヒーレンスファクタ、及び投影光学系の開口数を使い分けるのが普通となりつつある。更に、例えば2次光源の形状を変形させることにより、解像度及び焦点深度を向上させる超解像技術も用いられるようになってきたこともあり、最近では、1つの投影露光装置内で、複数種類の照明条件を切り換えて使用するのが普通になってきている。
【0005】
また、半導体集積回路等の更なる微細化に対応するために、露光波長は更に短波長化する傾向にある。例えば、近年では波長248nmのKrFエキシマレーザ光源、又は波長193nmのArFエキシマレーザ光源を露光光源とする投影露光装置が実用に供されつつある。このような遠紫外域で最近用いられる高感度の化学増幅レジストの感度(必要露光量)は、従来のエキシマレーザ用のフォトレジストに比べて例えば1/10倍より少なくて済み、投影露光装置が扱うフォトレジストの感度のレンジは大きくなる傾向にある。
【0006】
ところで、エキシマレーザ光源はパルス光源であり、このようなパルス光源ではパルス発光毎の発光エネルギーにばらつきが有るため、或る一定のパルス数(以下、「最小露光パルス数」という)以上の複数のパルス光で露光することにより、所望の露光量制御再現性を得ている。この場合、高感度レジストに露光する際には、設定露光量が小さいため、パルス光源自体の出力を下げるか、又は光路に設置された減光手段によりパルス光を減光して、最小露光パルス数以上で露光できるようにしていた。
【0007】
また、従来より、パルス光による積算露光エネルギーを検出する手法としては、1パルス光毎にインテグレータセンサの出力信号をピークホールド、及びアナログ/デジタル変換処理して積算する手法が使用されている。この際に、インテグレータセンサの出力信号に対するピークホールドされた信号の直線性を広いレンジに亘って必要な精度で維持するのはハードウェア的には困難であるため、従来は、入射パルスエネルギーに対する投影光学系の結像面上での基準照度計の出力と、インテグレータセンサの出力との相関を最小2乗法により1次関数で近似し、インテグレータセンサの出力のフルレンジでの基準照度計の出力に対する較正誤差の2乗和が最小になるようにしていた。つまり、インテグレータセンサの出力のフルレンジに対して唯一の較正係数を用いていた。また、更にインテグレータセンサの検出レンジを実質的に拡大するために、複数個のインテグレータセンサを使用する等の手法も使用されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように複数種類の照明条件を切り換えて使用する場合、従来は標準的な照明条件のもとで基準照度計の出力とインテグレータセンサの出力との1次の相関係数を求め、他の照明条件のもとでもその相関係数を用いてウエハ上の露光量を求めていた。しかしながら、照明条件が標準的な条件と異なる場合には、インテグレータセンサの検出面における露光光の入射角分布の変化、及びインテグレータセンサに露光光を導くための光学系全体の露光光に対する角度特性等によって、その他の照明条件のもとではその相関係数に基づいて必ずしも正確に露光量絶対値を求められないという不都合があった。
【0009】
図4は、複数の照明条件のもとでの基準照度計の出力E[mJ/(cm2 pulse]とインテグレータセンサの出力I[任意単位]との関係を示し、この図4において、照明光学系のコヒーレンスファクタ(σ値)を標準的な値にした場合の両者の関係が直線30Bで示され、そのσ値を小さな値にした場合、及び大きな値にした場合の両者の関係がそれぞれ30A及び30Cで示されている。また、Emin は、両者の出力E及びIの関係が直線で表されるべき最小値であり、Emax は、σ値を大きくした場合に露光光の減光を行わない状態で得られる基準照度計の出力である。図4から分かるように、σ値が異なると基準照度計の出力Eに対するインテグレータセンサの出力Iの傾きは変化している。ところが、従来は全ての照明条件下で、直線30Bの傾き(1次の相関係数)を用いてインテグレータセンサの出力から露光量絶対値を求めていた。その結果、図5に示すように、照明光学系のσ値が標準的な値から外れると、ウエハに対する露光量が実際の露光量(基準照度計で計測されるエネルギー)に対して誤差を有するようになる。
【0010】
即ち、図5は、図4の直線30Bで表される1次の相関係数を用いて、複数の照明条件のもとで設定露光量S[mJ/cm2]を変化させた場合の、ウエハに対する露光量の誤差を示し、この図5において、縦軸は設定露光量(基準照度計で計測されるエネルギー)に対する実際の露光量の誤差、即ち基準照度計に対する露光量直線性誤差δS[%]を表す。また、曲線31A,31B,及び31Cはそれぞれσ値を標準より小さな値にした場合、標準値にした場合、及び標準より大きな値にした場合の誤差δSを表し、横軸のSNDは、標準的なσ値の場合で減光が必要となる設定露光量の限界を示す。この図5において、例えば曲線31Cのオフセット的誤差Δより明らかなように、σ値が標準値から或る程度以上に外れると、設定露光量に対する実際の露光量の誤差が無視できないものとなる。
【0011】
また、そのオフセット的誤差は当該投影露光装置に固有の誤差であり、例えば複数台の投影露光装置を用いてウエハ上の異なる層に露光を行うような場合に、共通の照明条件下であっても、そのオフセット的誤差のばらつきによって投影露光装置間の露光量の互換性が劣化する不都合がある。このため、1台の投影露光装置内で照明条件を切り換えて使用する場合、又は複数台の投影露光装置を混用する場合において、露光量の互換性の管理が困難になりつつある。
【0012】
次に、上述のように露光光源としてエキシマレーザ光源のような遠紫外域で発光するパルス光源を使用する場合、使用されるフォトレジストの感度のレンジが広くなり、且つ所望の最小露光パルス数を得るためにパルス光を減光する場合もあるため、インテグレータセンサへの入射光量のレンジが広くなっている。このため、それぞれパルス光源を使用する複数台の投影露光装置間で広いレンジに亘って露光量の互換性を得るためには、基準照度計に対して広いレンジでインテグレータセンサの較正を正確に行う必要がでてきた。
【0013】
また、特に高感度の化学増幅レジストは一般に露光量誤差の許容量が狭く、複数台の投影露光装置を用いて、且つ化学増幅レジストを用いるときには、露光量再現性だけでなく露光量互換精度を所定の狭い許容範囲内に抑えることが重要である。
本発明は斯かる点に鑑み、1台の露光装置において照明条件を切り換えたような場合でも、各照明条件下においてそれぞれ正確にウエハに対して適正な露光量を与えることができる露光装置を提供することを第1の目的とする。
【0014】
また、本発明は、露光用の照明光(露光光)の照度を広いレンジで切り換えたような場合でも、その広いレンジの全体でそれぞれ正確にウエハに対して適正な露光量を与えることができる露光装置を提供することを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の露光装置は、複数の照明条件から選択された所定の照明条件で、転写用のパターンの形成されたマスク(13)を露光用の照明光で照明する照明光学系(1〜5A,12)と、その照明光のもとでマスク(13)のパターンを感光性の基板(16)上に転写露光する投影光学系(14)とを備えた露光装置において、その照明光学系中で、その照明光から分離された光束を受光する第1の光電検出器(7)と、その投影光学系を通過したその照明光を受光する第2の光電検出器(18,19)と、その第1の光電検出器の出力よりその照明光の基板(16)上での露光量を算出する露光量算出手段(11)と、を備え、この露光量算出手段は、それら複数の照明条件のそれぞれに対して、その第1の光電検出器の出力とその第2の光電検出器の出力とに基づいて求めた、その第1の光電検出器の出力から基板(16)上での露光量を算出するための較正値(相関係数、相関関数、相関マップ等を含む)を記憶しているものである。
【0016】
斯かる本発明の第1の露光装置によれば、予め全ての照明条件のもとでそれぞれ例えば基板(16)の配置面上の第2の光電検出器(18,19)の出力と第1の光電検出器(7)の出力とを比較することによりその較正値を求めておく。その後、全ての照明条件のもとで、それぞれその較正値及び第1の光電検出器(7)の出力より正確に基板(16)上での露光量が計測される。従って、それに基づいて基板(16)に対して適正な露光量を与えることができる。
本発明において、一例として、その第2の光電検出器の受光面が、その基板の表面と同じ高さになるように、その基板を保持するステージ(17)に設けられる。
更に、一例として、その第2の光電検出器は、そのステージに常設される。
また、別の例として、その第2の光電検出器は、そのステージに着脱自在に設けられる。
また、一例として、その露光量算出手段は、その照明光の照度を所定範囲で変化させながら、その第1の光電検出器の出力とその第2の光電検出器の出力との相関データを計測し、この計測結果に基づいて前記較正値を求める。
【0017】
また、本発明による第2の露光装置は、所定の照明条件で、転写用のパターンの形成されたマスク(13)を露光用の照明光で照明する照明光学系(1〜5A,12)を有し、その照明光のもとでマスク(13)のパターンを感光性の基板(16)上に転写露光する露光装置において、その照明光学系中で、その照明光から分離された光束を受光する光電検出器(7)と、この光電検出器の光電変換信号よりその照明光の基板(16)上での露光量を算出する露光量算出手段(11)と、を備え、その露光量算出手段は、その光電検出器の光電変換信号から基板(16)上での露光量を算出するための較正関数又は較正マップを記憶するメモリを有し、その較正関数又はその較正マップは、基板(16)の配置面上に設置された基準照度計(18)の出力信号と、その光電検出器の光電変換信号とを、その所定の照明条件及び他の照明条件のもとでその照明光の照度を所定範囲で変化させながら比較することにより求められるものである。
【0018】
斯かる本発明の第2の露光装置によれば、予めその所定の照明条件のもとで、例えば光電検出器(7)のフルレンジで基準照度計(18)の出力と光電検出器(7)の光電変換信号とを比較することによりその較正関数を求めておく。その後、その所定の照明条件のもとで、そのフルレンジに亘ってその較正関数、及び光電検出器(7)の光電変換信号より正確に基板(16)上での露光量が計測される。更に、それら第1及び第2の露光装置を組み合わせることにより、複数の照明条件のそれぞれにおいて、例えば光電検出器(7)のフルレンジに亘って正確に基板(16)上での露光量が計測される。
【0019】
また、本発明の第3の露光装置は、複数の照明条件から選択された所定の照明条件で、転写用のパターンの形成されたマスク(13)を露光用の照明光で照明する照明光学系(1〜5A,12)を有し、その照明光のもとでマスク(13)のパターンを感光性の基板(16)上に転写露光する露光装置において、その照明光学系中で、その照明光から分離された光束を受光する第1光電検出器(7)と、この第1光電検出器の光電変換信号よりその照明光の基板(16)上での露光量を算出する露光量算出手段(11)と、基板(16)の配置面に常設された第2光電検出器(19)と、を備え、複数の照明条件中の標準となる照明条件で、所定の基準照度計(18)の出力信号と第1光電検出器(7)の光電変換信号とを比較することにより、第1光電検出器(7)の光電変換信号より基板(16)上での露光量を算出する際の第1較正値を求め、その標準となる照明条件及び他の照明条件のそれぞれにおいて、第2光電検出器(19)の光電変換信号と第1光電検出器(7)の光電変換信号とを比較することにより、第1光電検出器(7)の光電変換信号より基板(16)上での露光量を算出する際の第2較正値を求め、それら第1較正値及び第2較正値を露光量算出手段(11)に記憶させておくものである。
【0020】
斯かる本発明の第3の露光装置によれば、その標準となる照明条件では、その第1較正値、及び第1光電検出器(7)の光電変換信号より基板(16)上での露光量が計測され、他の照明条件ではその第2較正値、及び第1光電検出器(7)の光電変換信号より基板(16)上での露光量が計測される。
また、この第3の露光装置において、一例として、その標準となる照明条件は、それら複数の照明条件の中で使用頻度が高い照明条件である。
なお、上述の第2及び第3の露光装置において、その基準照度計は、その基板を保持するステージに着脱自在に設けられることが好ましい。これによって、複数の投影露光装置間の全ての照明条件間の露光量の互換性が得られる。また、上述の第2の露光装置において、較正関数は、2次以上の高次関数であることが好ましい。これによって、基準照度計に対する所望の露光量直線性を得ることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による露光装置の実施の形態の一例につき図1〜図3を参照して説明する。本例は、露光光源としてパルス光源であるエキシマレーザ光源を使用するステッパー型の投影露光装置に本発明を適用したものである。これに対して、水銀ランプのi線(波長365nm)等の連続光を用いた投影露光装置にも本発明は適用できるが、連続光を用いた場合には減光を行う露光量制御は必要なく、1つの照明条件内ではインテグレータセンサの出力の較正は極限的には1点で行っておけばよいため、現状では本発明を適用する必要性は小さい。
【0022】
図1は本例の投影露光装置を示し、この図1において、発振波長248nmのKrFエキシマレーザ光源(又はArFエキシマレーザ光源等も可)よりなるエキシマレーザ光源1から射出されたパルス照明光は、シリンダーレンズやビームエキスパンダ等で構成されるビーム整形光学系2により、後続のフライアイレンズ4に効率よく入射するようにビームの断面形状が整形される。ビーム整形光学系2から射出されたパルス照明光は、エネルギー減光ユニット3に入射する。エネルギー減光ユニット3は、透過率の異なる複数枚のNDフィルタを備え入射光に対する透過率を複数段階で粗く切り換えられる粗調ユニットから構成されている。エネルギー減光ユニット3は、入射光に対する減光率を露光コントローラ11からの指令に応じた値に設定する。
【0023】
露光対象のウエハ上のフォトレジストの感度が高い(設定露光量が少ない)場合、エネルギー減光ユニット3における減光率は、減光無しの場合のウエハの表面(結像面)上での照度、及び照明系の開口絞りの開口率との兼ね合いにもよるが、原則として所望の露光量制御再現性を得るための最小露光パルス数の条件を満たすNDフィルタが選択される。この結果、照明光学系のコヒーレンスファクタ(σ値)が大きく、照明系の開口絞りの開口率が大きい程、必要とされる減光率のレンジは大きく、後述のインテグレータセンサでも広い範囲で出力値の較正を行っておく必要がある。
【0024】
エネルギー減光ユニット3から射出されたパルス照明光はフライアイレンズ4に入射する。フライアイレンズ4は、後続のレチクル13を均一な照度分布で照明するために多数の2次光源を形成する。フライアイレンズ4の射出面には照明系の開口絞り(以下、「σ絞り」と呼ぶ)5Aが配置され、そのσ絞り5A内の2次光源から射出されるパルス照明光ILは、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ6に入射し、ビームスプリッタ6を透過したパルス照明光は、コンデンサーレンズ12を経て、レチクル13を均一な照度分布で照明する。なお、不図示であるが、ビームスプリッタ6とコンデンサーレンズ12との間には、リレーレンズ系及び視野絞り(レチクルブラインド)が配置され、この視野絞りによってレチクル13上の照明領域が設定されるようになっている。
【0025】
また、σ絞り5Aの開口部の形状はほぼ円形であり、露光コントローラ11の指令によって駆動部5Bを介して、その開口部の直径、ひいては照明光学系の開口数(N.A.)を所望の値に設定できるようになっている。この場合、後述の投影光学系14の開口数に対する照明光学系の開口数の比の値がコヒーレンスファクタ(σ値)であるため、露光コントローラ11は、駆動部5Bを介してそのσ値を制御できることになる。
【0026】
レチクル13上のパターンが、両側(又はウエハ側に片側)テレセントリックな投影光学系14を介して投影倍率β(βは例えば1/5)で縮小されて、フォトレジストが塗布されたウエハ16上の1つのショット領域に投影露光される。投影光学系14の瞳面(レチクル13に対するフーリエ変換面)上には、開口絞り15が配置されている。以下、投影光学系14の光軸AXに平行にZ軸を取り、そのZ軸に垂直な平面内で図1の紙面に平行にX軸を、図1の紙面に垂直にY軸を取って説明する。このとき、レチクル13は、XY平面内でレチクル13の位置決めを行うレチクルステージ(不図示)上に載置されている。一方、ウエハ16は不図示のウエハホルダーを介して、X方向、Y方向、Z方向等にウエハ16の位置決めを行うウエハステージ17上に載置されている。
【0027】
また、ウエハステージ17上には、受光面がウエハ16の表面と同じ高さになるように着脱自在の基準照度計18が設置されている。基準照度計18は、焦電検出器又はカロリーメータ等から構成され、その出力E[mJ/(cm2 pulse)]は、例えばNIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準・技術研究所)等の標準照度計に対してトレーサブルである。また、その基準照度計18は検出光の入射角に関して等方的である(ランバートの法則を満たす)とする。即ち、基準照度計18の出力Eは、検出光の入射角θに対してcos θで変化する。更に、その基準照度計18の出力Eは、投影露光装置側として要求されるウエハ上での入射エネルギー密度のレンジに対して所定の直線性を満足しているものとする。
【0028】
更に、ウエハステージ17上には、受光面がウエハ16の表面と同じ高さになるように、PIN型のフォトダイオード等の光電検出器よりなる常設の照度むらセンサ19が固定されている。照度むらセンサ19の受光面は所定の大きさのピンホールが形成されたカバーで覆われ、そのピンホールを通過した照明光を受光するようになっている。ウエハステージ17を駆動して、照度むらセンサ19のピンホールで投影光学系14の露光フィールドをX方向、Y方向に走査して照度むらセンサ19の出力を取り込むことにより、その露光フィールド内での照明光の照度むらを検出できるようになっている。但し、本例では後述のように、その照度むらセンサ19の出力を用いて、インテグレータセンサの出力の較正を行う。
【0029】
そのため、照度むらセンサ19の光電変換信号は、ピークホールド回路(以下、「P/H回路」という)20、及びアナログ/デジタル(A/D)変換器21を介してデジタルの出力Q[digit/pulse ]に変換され、その出力Qが積算器22で所定期間積算され、積算結果が露光コントローラ11に供給されている。
【0030】
一方、ビームスプリッタ6で反射されたパルス照明光ILは、PIN型のフォトダイオード等の光電検出器からなるインテグレータセンサ7で受光され、インテグレータセンサ7の光電変換信号は、P/H回路8、及びA/D変換器9を介してデジタルの出力I[digit/pulse ]に変換され、その出力Iが積算器10で所定期間積算され、積算結果が露光コントローラ11に供給されている。インテグレータセンサ7においても、P/H回路9で検出されるパルス信号のピーク値を1パルス当たりの露光エネルギーとみなしている。以下では、A/D変換器9からの出力I[digit/pulse ]を、各パルス照明光当たりのインテグレータセンサ7の出力とみなす。なお、ビームスプリッタ6とインテグレータセンサ7との間に集光レンズを配置してもよい。
【0031】
本例では、基準照度計18又は照度むらセンサ19の出力を用いてインテグレータセンサ7の出力の較正が行われ、インテグレータセンサ7の出力からウエハ16の表面でのパルス照明光ILの1パルス当たりの露光エネルギーを求めるための相関関数が露光コントローラ11内のメモリに記憶されている。そして、露光コントローラ11では、積算器10からの出力データ、及びその相関関数よりウエハ16上の各点での積算露光量を求めて主制御系23に供給する。
【0032】
主制御系23は、レチクル13に応じたコヒーレンスファクタ(σ値)、及びウエハ16上のフォトレジストに対する設定露光量(感度)の情報や、露光の開始の指令を露光コントローラ11に発し、これに応じて露光コントローラ11はエネルギー減光ユニット3の減光率の設定を行った後、エキシマレーザ光源1に発光トリガー信号を供給することにより、エキシマレーザ光源1の発光のタイミング及び発光期間を制御する。
【0033】
次に、本例における露光量制御動作の一例につき説明する。以下、露光量制御方式としては一括露光方式で用いられているカットオフ制御をベースとして説明する。最近では、レチクルのパターンの一部をウエハ上に投影した状態で、レチクルとウエハとを同期して走査することにより、レチクルのパターンをウエハ上の各ショット領域に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式等の走査露光方式の投影露光装置も使用されている。走査露光方式でもインテグレータセンサがフルレンジで正確に較正されていることが望ましい点で両方式は等価である。
【0034】
A.フォトレジストの種類が少ない場合
先ず、使用されるフォトレジストの種類が少なく、インテグレータセンサ7の出力のレンジをそれ程広くする必要がない場合につき説明する。
A−1.第1ステップ
図1のレチクル13の代わりにパターンの無いレチクル13Aを設置し、ウエハステージ17上の基準照度計18の受光面を投影光学系14の照野フィールドの中央部に移動し、σ絞り5Aを介して照明光学系のσ値を標準値に設定し、エキシマレーザ光源1をパルス発光させて、1パルス照明光当たりのインテグレータセンサ7の出力Iと、基準照度計18の出力Eとの相関係数を求める。具体的に、エネルギー減光ユニット3を介してパルス照明光のエネルギーを、対象となるフォトレジストの感度の全てを想定したレンジで例えば10段階程度で変化させて、それぞれインテグレータセンサ7の出力I、及び基準照度計18の出力Eを取り込む。
【0035】
図2の直線24Bは取り込まれたデータ(相関データ)に対応する直線を示し、この図2において、横軸は基準照度計18の出力E[mJ/(cm2 pulse)]、縦軸はインテグレータセンサ7の出力I[digit/pulse ]である。その直線24Bは、その標準的なσ値で取り込まれた複数のデータを最小2乗法により直線で近似し、且つインテグレータセンサ7の出力Iのオフセット値を除去して得られたものであり、直線24Bの傾きを相関係数α[digit/(mJ/cm2)]として図1の露光コントローラ11内のメモリに記憶する。従って、インテグレータセンサ7にて検出された1パルス照明光当たりの出力I[digit/pulse ]を相関係数αにて除算した結果が、像面上、即ちウエハ16或いは基準照度計18に与えられるエネルギー密度を表す。
【0036】
そこで、図1でカットオフ制御を行う場合には、ウエハ16上のフォトレジストに対する設定露光量にその相関係数αを乗ずることにより、その設定露光量をデジタル量に変換し、所望の露光量制御再現性から決まるカットオフレベルを算出する。そして、インテグレータセンサ7からの出力Iを積算器10で積算して得られる値がそのカットオフレベルに達した時点でエキシマレーザ光源1のパルス発光を停止する。これによって、正確な露光量制御が行われる。
【0037】
その他の方式として、図1において、インテグレータセンサ7の出力I(A/D変換器9の出力)を直接露光コントローラ11に供給し、その出力Iをその相関係数αで除算して得られる値を露光コントローラ11内で積算していき、この積算値が設定露光量に対するカットオフレベルに達した時点でエキシマレーザ光源1の発光を停止するようにしてもよい。
【0038】
A−2.第2ステップ
次に、図1のσ絞り5Aの開口径を変えることにより、照明系のσ値を種々の値σi(i=1,2,…)に変えてインテグレータセンサ7の出力Iと基準照度計19の出力Eとの相関データを取る。そのσ値を変化させる範囲は、対象とするフォトレジストを使用する場合に必要な全範囲とする。
【0039】
図2には、一例としてσ値を小さくした場合(直線24Aに沿ったデータ)、及び大きくした場合(直線24Cに沿ったデータ)の相関データが示されている。そして、各σ値σi の相関データを、それぞれ最小2乗法によって直線近似し、その直線の傾きとしての相関係数αi[digit/(mJ/cm2)]を得る。このようにして求めた各σi 毎(照明条件毎)の相関係数αi をパラメータとして露光コントローラ11内のメモリに保持する。
【0040】
最近ではσ絞りを変えてσ値を変化させたときでも、照明光の利用効率劣化を抑えるような照明光学系も開発されているが、本例では、σ絞り5Aの開口率に比例してパルス照明光のパワーも減少する場合を考える。この場合には、図2に示すように、σ値が小さい程、露光量制御上減光しなければならないレンジが小さくなる。即ち、図2において、基準照度計18の出力Eの範囲25A(最小値からS3max までの範囲)、範囲25B(最小値からS2max までの範囲)、範囲25C(最小値からS1max までの範囲)はそれぞれ、σ値が小さい場合、標準値の場合、大きい場合の必要制御範囲を示す。
【0041】
A−3.第3ステップ
図1の主制御系23は、現在使われている照明条件に対する相関係数αi を用いて通常の露光量制御を行う。これにより全ての照明条件においても基準照度計18に対して較正された露光量制御が可能となる。結果として複数の投影露光装置間の全ての照明条件間の露光量の互換性が得られている。但し、通常は複数の投影露光装置間の共通照明条件間での互換性があれば十分である。
【0042】
以上の工程が各照明条件においてインテグレータセンサ7に必要とされるレンジが比較的狭く、そのレンジ内においては基準照度計18に対する直線性が1次近似直線で得られる場合である。露光光源としてg線やi線の連続光を出力する水銀ランプ等を使用する投影露光装置がこれに相当する。また、パルスレーザ光源を露光光源として使用する場合でも、使用するフォトレジストの種類が限定されている場合は有効である。
【0043】
B.フォトレジストが多数種類の場合
次に、使用するフォトレジストの種類が多数種に亘り、インテグレータセンサ7の出力をより広いレンジで較正しておく必要がある場合につき説明する。現状のKrFエキシマレーザ光源を使用して複数種類のフォトレジストを使用する状況に相当する。
【0044】
B−1.第4ステップ
便宜上、1つの照明条件下に限定して説明するが、以下の動作が必要な全ての照明条件で実行される。
図3は、その1つの照明条件下で取り込まれた基準照度計18の出力E[mJ/(cm2 pulse)]、及びインテグレータセンサ7の出力I[digit/pulse ]の関係を示すデータ(相関データ)を示し、この図3において、相関曲線26が実際に計測された結果の非線形性を誇張した相関データである。その相関曲線26に対して最小2乗法により当てはめた直線を最小2乗近似直線28とする。また、横軸の基準照度計18の出力E中の範囲27は、縦軸のインテグレータセンサ7の出力Iの較正が必要なレンジに対応する範囲を示している。
【0045】
図5より分かるように、相関曲線26の非線形性が大きいため、較正が必要な範囲27内で、最小2乗近似直線28では基準照度計18の出力Eに対して十分な直線性が得られない。そのため、その最小2乗近似直線28の傾きである1つの相関係数αだけで較正したインテグレータセンサ7の出力Iを用いて、広いレンジで種々のフォトレジストに対する露光量制御を行うと、基準照度計に対する所望の露光量直線性が得られない。そこで、以下のような手法を用いる。
【0046】
B−2.第5ステップ
この場合、まず第1の手法として、相関曲線26を1次関数ではなく、基準照度計18の出力E[mJ/(cm2 pulse)]の2次以上の高次関数J(E)で近似する。この場合、1次関数の傾きである相関係数αに対応して、インテグレータセンサ7の出力I[digit/pulse]における相関関数α(I)を次式のように定義する。但し、次式における出力Eは、出力Iに対して I=J(E) を満たすように求められる値である。
【0047】
α(I)=J(E)/E (1)
即ち、露光中にインテグレータセンサ7の出力が1パルス照明光当たりI[digit/pulse]となったとき、その出力Iを対応する相関関数α(I)で除算することにより、像面上での露光エネルギーEが求められる。それ以降は、A−1の第1ステップで説明した露光量制御を行う。
【0048】
次に、第2の手法として、図3の相関曲線26を高次関数J(E)ではなく、基準照度計18の出力Eについて所定ステップの相関マップ29で近似してもよい。この場合の相関マップ29の分解能は所望の近似精度が得られるように設定される。インテグレータセンサ7の検出された出力Iを、その出力Iに対応する相関マップ29中の相関係数α(即ち、出力Iを基準照度計18の出力Eで除算した値)で除算することにより、像面上での露光エネルギーが求められる。
【0049】
C.簡便な露光量制御方法
以上の第5ステップでは1パルス照明光毎に相関関数α(I)、又は相関係数αを用いて、インテグレータセンサ7の出力Iを像面上の露光エネルギーに変換していたが、制御上簡便な手法を以下に述べる。
C−1.第6ステップ
露光の前、例えばウエハ毎、又はロット毎等の頻度で、インテグレータセンサ7を用いてパルス照明光のエネルギーチェックを行い、減光が必要な場合はエネルギー減光ユニット3を介して減光した状態で、インテグレータセンサ7の出力I及び基準照度計18の出力Eの相関データを計測する。そして、予め露光前に露光で用いる相関係数α、又は相関関数α(I)をそれぞれ相関マップ、又は(1)式より算出する。露光量制御としては、最初に例えば、設定露光量を、得られた相関係数α、又は相関関数α(I)を乗じることによりインテグレータセンサ7の出力Iの設定値[digit]に換算する。
【0050】
C−2.第7ステップ
その後の露光中は、インテグレータセンサ7の出力Iをパルス照明光毎に露光エネルギーに変換せず、第6ステップで求めた設定値を目標値としてデジタル量でのカットオフ制御を行う。この場合、パルス照明光のエネルギーはパルス間で約±10%程度ばらつく。従って、この±10%のレンジでの相関を1次近似の相関係数αで代表することになるが、±10%という狭いレンジではその1次近似による露光量制御誤差は十分小さいと見なせる場合がほとんどである。
【0051】
以上の第4、第5ステップ、又は第6、第7ステップの何れかを全ての照明条件について行う。これにより、全ての照明条件について広いレンジでインテグレータセンサ7の出力Iの基準照度計18の出力Eに対する正確な相関係数、又は相関関数が得られる。但し、第2ステップで述べたように、照明系のσ値によって正確な相関データの必要なレンジ(図2の範囲25A〜25Cに対応する範囲)が狭く、第1ステップのように相関係数αの値1つで十分な相関が得られる場合は最も低次の制御、即ちその1次近似の制御で構わない。
【0052】
D.短時間でインテグレータセンサ7の出力の較正を行う方法
上述の例では全ての照明条件について、インテグレータセンサ7の出力と基準照度計18の出力との相関データを取得しなければならない。これでは計測作業の工数が増えるばかりでなく、インテグレータセンサ7の基準照度計18に対する較正は頻繁に行う場合があるので、一連のインテグレータセンサ7の出力の較正は短時間で済ませることが望ましい。以下の短時間でインテグレータセンサ7の出力Iの較正を行う手法は、一般に露光光を減光して露光量制御する必要のない水銀ランプ等を使用するステッパーに対して有効、且つ現実的である。即ち、露光光をシャッタで開閉している間は別にして、インテグレータセンサ7で検出される出力Iはほぼ一定なので、照明条件毎に相関係数αの値を持つこととする。
【0053】
D−1.第8ステップ
そのために、図1に示すように、基準照度計18と同じく像面上のセンサであり、投影光学系14の照野フィールド内の照度むら計測を行うための照度むらセンサ19を用いる。この照度むらセンサ19は基準照度計18と同様に入射光の入射角に対して等方的であり、σ絞り5Aによるエネルギー損失程度のレンジの入射エネルギーに対してはその出力が十分な直線性を持っているものとする。
【0054】
先ず、σ絞り5Aを介して、照明系のσ値を最も使用頻度の高い照明条件のもとでの標準σに設定して、第1ステップと同様に、基準照度計18に対して通常のインテグレータセンサ7の出力の較正を行って相関係数αを求める。このときの相関係数αとはシャッタオープンの状態の1点での相関係数でよく、そのように求められた相関係数αを相関係数αstd と置く。全ての照明条件に対して同じことを行えばよいが、それでは時間がかかるため、ここではその他の照明条件では同じ像面上の照度むらセンサ19を利用する。
【0055】
D−2.第9ステップ
その標準σの照明条件において、ウエハステージ17を駆動して、基準照度計18と同じ照野フィールド内の計測点(一般に照野フィールドの中央)に照度むらセンサ19の受光部を移動する。このときのインテグレータセンサ7の出力Iと照度むらセンサ19の出力Qとの比の値Rstd を次のように求める。
【0056】
std =I/Q (2)
D−3.第10ステップ
次に、σ絞り5Aを介して照明系のσ値をσi(i=1,2,…)に変更する。そして、同様の手順にて、各σ値σi において、インテグレータセンサ7の出力Iと照度むらセンサ19出力Qとの比の値Ri(=I/Q)を求める。そして、そのσ値σi において、インテグレータセンサ7の出力Iから像面上での露光エネルギーを算出するための相関係数αi を次式にて求める。
【0057】
αi =(Ri/Rstd)・αstd (3)
即ち、このσ値σi の照明条件での相関係数αi を同じ像面上の照度むらセンサ19を仲介して間接的に計測したこととなる。なお、(3)式中の比の値Ri の計測の際に計測誤差が生じると、結果として相関係数αi の誤差になる。そこで、比の値Ri の計測時の平均値をインテグレータセンサ7及び照度むらセンサ19のそれぞれの単体の計測再現性より算出して、(3)式で使用されるRi を適切なものにすれば、相関係数αi としての誤差を十分小さく抑えることができる。以下、同様の手順で全ての照明条件に対して間接的に相関係数αi を求める。基準照度計18はその性質上オフラインで使用される普通であるため、このように照度むらセンサ19を使用する計測方法は非常に簡便である。
【0058】
D−4.第11ステップ
図1の主制御系23は、現在使われている照明条件に対する相関係数αを用いて通常の露光量制御を行う。これにより全ての照明条件においても基準照度計18に対して較正された露光量制御が可能となる。結果として複数の投影露光装置間の全ての照明条件間の露光量の互換性が得られている。但し、通常は複数の投影露光装置間の共通の照明条件間での露光量の互換性があれば十分である。
【0059】
なお、この例では照度むらセンサ19を用いたが、像面上に常設されて角度特性、及び直線性に問題のないセンサであるならば何でもよい。
また、水銀ランプ等を露光光源とするステッパー等では、例えばランプ交換時に第8ステップに示した標準σでの基準照度計に対するインテグレータセンサ7の出力の較正を行うが、他の照明条件に対しては以上の第9ステップ及び第10ステップの一連の計測シーケンスをバッチ処理化しておけば良く、非常に簡単に済む。
【0060】
また、本発明は、レチクルのパターンの一部をウエハ上に投射した状態で、例えば投影光学系に対してレチクル及びウエハを同期して走査することにより、レチクル上のパターンをウエハ上の各ショット領域に逐次転写露光するステップ・アンド・スキャン方式等の走査露光方式の露光装置で露光量制御を行う場合にも同様に適用できることは明らかである。このように、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0061】
【発明の効果】
本発明の第1の露光装置によれば、露光量算出手段は、照明光学系の複数の照明条件のそれぞれに対して光電検出器の光電変換信号から基板上での露光量を算出するための較正値を記憶しているため、1台の露光装置において照明条件を切り換えたような場合でも、各照明条件下においてそれぞれ正確に基板(ウエハ等)に対して照度計基準の適正な露光量を与えることができる利点がある。また、複数の露光装置間の複数の照明条件のもとでの露光量の互換性が向上する。
【0062】
また、本発明の第2の露光装置によれば、照明光の照度を所定範囲で変化させながら基準照度計の出力信号と光電検出器の光電変換信号とを比較することにより求めた、その光電検出器の光電変換信号から基板上での露光量を算出するための較正関数又は較正マップを露光量算出手段に記憶させているため、露光用の照明光(露光光)の照度を広いレンジで切り換えたような場合でも、その広いレンジの全体でそれぞれ正確に基板に対して照度計基準の適正な露光量を与えることができる利点がある。また、広いレンジのフォトレジスト等の感光材料の感度に対して複数の露光装置間での露光量の互換性の精度も向上する。
【0063】
更に、第1の発明と第2の発明とを合わせることにより、複数の露光装置間で複数の照明条件を用いる場合でも、全ての照明条件に対して広範な感光材料の感度に対して良好な露光量制御精度が得られ、露光装置間の露光量の互換性も向上する。
また、本発明の第3の露光装置によれば、標準となる照明条件以外の照明条件では、第2光電検出器の光電変換信号と第1光電検出器の光電変換信号とを比較することにより、その第1光電検出器の光電変換信号より基板上での露光量を算出する際の第2較正値を求めるようにしているため、計測時間を短縮できると共に、1台の露光装置において照明条件を切り換えたような場合でも、各照明条件下においてそれぞれ正確に基板に対して適正な露光量を与えることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の投影露光装置を示す構成図である。
【図2】その実施の形態の一例で照明条件を変更しながら計測した基準照度計18の出力とインテグレータセンサ7の出力との線形の相関を示す図である。
【図3】その実施の形態の一例で1つの照明条件で計測した基準照度計18の出力とインテグレータセンサ7の出力との非線形の相関を示す図である。
【図4】従来例で照明条件を変更した場合の基準照度計の出力とインテグレータセンサの出力との関係を示す図である。
【図5】従来例で照明条件を変更した場合の露光量誤差の状態を示す図である。
【符号の説明】
1 エキシマレーザ光源
2 ビーム整形光学系
3 エネルギー減光ユニット
4 フライアイレンズ
5 σ絞り
7 インテグレータセンサ
8,20 ピークホールド回路(P/H回路)
9,21 A/D変換器
10,22 積算器
11 露光コントローラ
12 コンデンサーレンズ
13 レチクル
13A パターン無しのレチクル
14 投影光学系
15 開口絞り
16 ウエハ
17 ウエハステージ
18 基準照度計
19 照度むらセンサ19

Claims (14)

  1. 複数の照明条件から選択された所定の照明条件で、転写用のパターンの形成されたマスクを露光用の照明光で照明する照明光学系と、前記照明光のもとで前記マスクのパターンを感光性の基板上に転写露光する投影光学系とを備えた露光装置において、
    前記照明光学系中で、前記照明光から分離された光束を受光する第1の光電検出器と、
    前記投影光学系を通過した前記照明光を受光する第2の光電検出器と、
    前記第1の光電検出器の出力より前記照明光の前記基板上での露光量を算出する露光量算出手段と、を備え、
    該露光量算出手段は、前記複数の照明条件のそれぞれに対して、前記第1の光電検出器の出力と前記第2の光電検出器の出力とに基づいて求めた、前記第1の光電検出器の出力から前記基板上での露光量を算出するための較正値を記憶していることを特徴とする露光装置。
  2. 前記第2の光電検出器の受光面が、前記基板の表面と同じ高さになるように、前記基板を保持するステージに設けられることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記第2の光電検出器は、前記ステージに常設されることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記第2の光電検出器は、前記ステージに着脱自在に設けられることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  5. 前記露光量算出手段は、前記照明光の照度を所定範囲で変化させながら、前記第1の光電検出器の出力と前記第2の光電検出器の出力との相関データを計測し、該計測結果に基づいて前記較正値を求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光装置。
  6. 前記較正値は、相関係数、相関関数、又は相関マップを含むことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
  7. 前記複数の照明条件は、前記照明光学系のσ値がそれぞれ異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の露光装置。
  8. 前記露光量算出手段は、前記較正値を記憶するメモリを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の露光装置。
  9. 所定の照明条件で、転写用のパターンの形成されたマスクを露光用の照明光で照明する照明光学系を有し、前記照明光のもとで前記マスクのパターンを感光性の基板上に転写露光する露光装置において、
    前記照明光学系中で、前記照明光から分離された光束を受光する光電検出器と、
    該光電検出器の光電変換信号より前記照明光の前記基板上での露光量を算出する露光量算出手段と、を備え、
    前記露光量算出手段は、前記光電検出器の光電変換信号から前記基板上での露光量を算出するための較正関数又は較正マップを記憶するメモリを有し、
    前記較正関数又は前記較正マップは、前記基板の配置面上に設置された基準照度計の出力信号と、前記光電検出器の光電変換信号とを、前記所定の照明条件及び他の照明条件のもとで前記照明光の照度を所定範囲で変化させながら比較することにより求められることを特徴とする露光装置。
  10. 前記較正関数は、2次以上の高次関数であることを特徴とする請求項に記載の露光装置。
  11. 複数の照明条件から選択された所定の照明条件で、転写用のパターンの形成されたマスクを露光用の照明光で照明する照明光学系を有し、前記照明光のもとで前記マスクのパターンを感光性の基板上に転写露光する露光装置において、
    前記照明光学系中で、前記照明光から分離された光束を受光する第1光電検出器と、
    該第1光電検出器の光電変換信号より前記照明光の前記基板上での露光量を算出する露光量算出手段と、
    前記基板の配置面に常設された第2光電検出器と、を備え、
    前記複数の照明条件中の標準となる照明条件で、所定の基準照度計の出力信号と前記第1光電検出器の光電変換信号とを比較することにより、前記第1光電検出器の光電変換信号より前記基板上での露光量を算出する際の第1較正値を求め、前記標準となる照明条件及び他の照明条件のそれぞれにおいて、前記第2光電検出器の光電変換信号と前記第1光電検出器の光電変換信号とを比較することにより、前記第1光電検出器の光電変換信号より前記基板上での露光量を算出する際の第2較正値を求め、前記第1較正値及び第2較正値を前記露光量算出手段に記憶させておくことを特徴とする露光装置。
  12. 前記標準となる照明条件は、前記複数の照明条件の中で使用頻度が高い照明条件であることを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
  13. 前記基準照度計は、前記基板を保持するステージに着脱自在に設けられることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の露光装置。
  14. 前記基準照度計は、複数の露光装置間で使用されることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の露光装置。
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