JP3903539B2 - 調光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は外光の反射率を制御できる調光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギーおよび省資源の観点から、窓ガラスからの光エネルギーの出入りを制御しようとする多くの試みがなされてきた。たとえば2枚のガラス板の間に乾燥空気を挟んだ構造を設けた複層ガラス、および反射性多層膜をガラスにスパッタリング法などで形成した熱線反射ガラスなどが知られている。
【0003】
これらの素子はいわば受動的な動作をするものであり、いったんこれらの窓を設置するとその光学的性能を変化させることができない。また、他の試みとして、電気的または熱的に光透過量を制御する提案も行われている。
【0004】
たとえば、N−イソブチルアクリルアミドの水溶液は温度が上昇すればその曇点に達して白濁する。この現象を利用して、前記の水溶液を2枚のガラスの間に挟み込んだ窓ガラスが提案された。しかし、この従来例の技術では、外部の温度変化に対応して、低温では透明状態、高温では白濁状態になるものの、この透明・白濁状態を使用しようとする者の希望に応じて任意に変えることができない。このため、外部からの電気信号によって制御できる調光窓が求められていた。
【0005】
その一つは酸化タングステンなどの電気化学反応による濃色と淡色の変化を利用したエレクトロクロミック調光窓である。しかしながら、濃色状態では窓自身が光を吸収して、調光窓が蓄熱することや電気化学反応を利用するため大面積窓では変化速度がかなり遅いという欠点が指摘されていた。
【0006】
他の試みの一つが液晶/高分子分散型素子を用いた調光窓である。これは誘電率異方性が正のネマチック液晶と高分子を分散させた系における、樹脂相と液晶相とのインデックスミスマッチングとインデックスマッチング状態を電界印加によって制御し、光の透過状態と散乱状態とを制御するものである。
【0007】
これは、調光窓を通して向こう側を視認できる透過状態と、調光窓が白濁して向こう側が見えなくなる散乱状態とを電気的に切り替えて使用するものである。その応答速度が早いため電子制御の調光素子として優れているが、散乱能が充分でない場合に、たとえば一部の太陽光が前方散乱光として室内に入射するという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題を解決するものであり、調光素子に光束の反射機能と透過機能の両方を付与しようとするものである。かつ、調光素子全体の反射率と透過率を自由に制御でき、さらに遮光性を同時に合わせ持つようにする。
【0009】
そして、内部における畜熱作用をほぼ持たず、外光の入射と反射を高効率で制御し、低エネルギーで高速の切換動作が可能な調光素子を得ようとする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は少なくとも1個の反射性偏光手段と電子制御によって光学的性質が変化する光変調手段とが組み合わされて、従来にない高機能の調光素子を得る。
【0012】
請求項1は、光入射面における入射光束の直線偏光方向と光出射面における出射光束の直線偏光方向が面内で変化せしめられる機能を有する光変調手段を備え、ほぼ直交する直線偏光成分の一方の透過率が高い透過軸および他方の直線偏光成分の反射率が高い反射軸を備えた第1の反射性偏光手段が光変調手段の光入射面側に配置され、ほぼ直交する直線偏光成分の一方の透過率が高い透過軸および他方の直線偏光成分の反射率が高い反射軸を備えた第2の反射性偏光手段が光変調手段の光出射面側に配置され、反射性偏光手段に到達した光束のうちの一部の偏光成分が外部に反射される調光素子を提供する。
【0013】
また、請求項2は、反射性偏光手段が屈折率の異なる2種類以上の高分子材料からなる高分子多層膜である請求項1記載の調光素子を提供する。
【0014】
また、請求項3は、2種類以上の高分子材料のうちの少なくとも1種が複屈折性をしめすことを特徴とする請求項2記載の調光素子を提供する。
【0015】
また、請求項4は、光変調手段が電界応答型の液晶セルである請求項1、2または3記載の調光素子を提供する。
【0016】
また、請求項5は、光変調手段がオン状態で相対的に高い透過率を示し、オフ状態で相対的に低い透過率を示す請求項1〜4のいずれか1項記載の調光素子を提供する。
【0017】
好ましくは、光変調手段への入力がオフでほぼ最大の透過率を示し、入力がオンで透過率が低下する構成のものである。取扱が容易であって、通常の使用に好適であるからである。
【0018】
また、請求項6は、光変調手段がオン状態のときとオフ状態のときにおける、反射性偏光手段と光変調手段の総合透過率の差が30%以上であり、最大の総合透過率が70%以上である請求項1〜5のいずれか1項記載の調光素子を提供する。
【0019】
また、上記の請求項記載の各発明の好ましい態様にあっては、両透明電極基板間にほぼ90°ツイスト配向されたTN型液晶表示素子、強誘電液晶素子、反強誘電液晶素子、または、200〜270°ツイスト配向されたSTN型液晶表示素子から選択される。
【0020】
また、上記の請求項記載の各発明の好ましい態様にあっては、電界を印加しない状態の透過率が電界を印加した状態の透過率よりも大きく設定される。また、その最大透過率が70%以上であるように設定される。
【0021】
また、上記の反射性偏光手段に高分子多層膜が用いられた発明においては、高分子多層膜が多層押し出し成形によって形成されることが好ましい。量産に適しており生産性を向上でき、かつ高い製品歩留を確保できる。
【0022】
さらに、この高分子多層膜が多層押し出し成形後少なくとも一軸方向に延伸されて形成されることが好ましい。複屈折性を付与し、高い光学特性を達成できるようになるからである。以下、本発明について図1を参照してさらに詳しく説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の調光素子が高機能付きの窓として使用される場合には、光変調手段の両側にそれぞれ反射性偏光手段が設置される。光変調手段としては、例えば液晶セルを用いる。液晶セルはガラスや高分子からなる2枚の絶縁基板の内面側にITOなどの透明電極が設けられ、液晶層を挟持した構造を有する。
【0024】
反射性偏光手段は屈折率の異なる2種類以上の高分子材料からなる高分子多層膜であることが好ましい。この構成は米国特許第5486949号明細書、米国特許第5587816号明細書、および国際特許公開パンフレットWO9619347に述べられている。以下に、調光素子の各部材の材料や製造方法などについて説明する。まず、反射性偏光手段について(1)〜(4)、次いで、液晶セルについて(5A)〜(5C)、調光素子の用途について(6)の項目に分けて説明を行う。
【0025】
(1)材料
高分子材料を用いることが好ましい。高分子材料は使用状態において透明なものを用いる。また、耐熱性や耐湿性に優れたものが好ましい。さらには押し出し成形可能な材料が好ましい。その例はメタクリル酸エステルの重合体(ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートなど)、ポリカーボネート、スチレン重合体(ポリスチレン、ポリクロロスチレンなど)、ポリテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリイソブチレンなど)、フッ素樹脂(PFA、FEP、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、3フッ化塩化エチレン重合体、ポリビニルフロライドなど)、トリアセチルセルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアルキレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートなど)、4−ヒドロキシ安息香酸やテレフタル酸を出発原料とする主鎖型高分子液晶(エコノール(住友化学(株)商品名)、ベクトラ(ポリプラスチック(株)商品名)、ロッドラン(ユニチカ(株)商品名)など)、側鎖型高分子液晶さらには、ポリテレフタレートとポリアルキレンナフタレートの共重合体などがあげられる。また、各層の厚みは可視光の波長ないしそれ以下が好ましい。さらには、各層の厚みは0.1〜0.5μmが好ましい。
【0026】
(2)多層押し出し成形
反射性偏光手段はこれらの高分子材料から選ばれた2種以上の材料を多層押し出し成形することによって製造できる。多層押し出し成形の技術は米国特許第3773882号、および米国特許第3884606号に述べられている。
【0027】
(3)延伸
使用する高分子材料によっては多層押し出し成形時に2種類以上の高分子材料のうち少なくとも1種は複屈折率性をしめすが、場合によってはさらに複屈折率性を強めるために少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。
【0028】
(4)物性
2種類以上の高分子材料のうち少なくとも1種は延伸または押し出し成形により、複屈折率性を示すようになる。また、用いる最小2種の材料は好ましくは多層押し出しまたは延伸による複屈折率性の付与の程度に差があることが好ましい。
【0029】
多層押し出しまたは延伸によって複屈折率性を付与しやすい材料は結晶性や液晶性が大きい材料であり、複屈折率性を付与しにくい材料はアモルファス材料である。一般に押し出し方向または1軸延伸方向の屈折率がその方向に直角な方向のそれよりも大きいが、ポリスチレンのようにそうでない場合もある。このようにして得られた反射性偏光手段は屈折率差のより大きい方向の偏光は反射し、それに直角方向の偏光に対しては透過する性質がある。
【0030】
(5)液晶セル
(5A)基本構造
液晶セルは2個の透明電極付き基板の間に電界応答型液晶を封入した構造のものを用いることができる。絶縁基板はガラス、透明高分子などから選択されるが、場合によっては反射性偏光手段をそのまま転用して用いてもよい。電界応答型液晶は両透明電極基板間電界を印加することによって、液晶セルを通過する光の偏光状態を制御できるものであればよい。
【0031】
電界応答型液晶は散乱と透明状態間を制御する液晶/高分子分散型表示素子、スメクチックC* と称される強誘電性液晶や反強誘電性液晶を有する液晶表示素子、各基板にほぼ平行配向せしめた正の誘電率異方性のネマチック液晶がツイストした状態で存在するいわゆるツイステッドネマチック(TN)液晶素子などが採用できる。しかし、液晶/高分子分散型表示素子は原理的に散乱を伴うので、本発明において、視界確保が必要な窓用途には必ずしも適さない。
【0032】
クラークらによって見いだされた表面安定化強誘電液晶はカイラルスメクチックC(Sc* )がセル厚2μm程度の空間に閉じこめられた場合に基板の影響下螺旋が消失して、自発分極の向きに対応して分子の長軸が層の法線方向から左右に傾いた双安定状態をとる。そして、電界の印加により、自発分極が電界方向にそろうので、電界の極性の反転により左右いずれかに傾いた状態とすることができ、この状態は電界を切っても保持することができる。
【0033】
反強誘電液晶を液晶セルに用いた場合には電界の有無およびその極性に応じて光透過状態を選択することができる。
【0034】
反射性偏光手段は屈折率差のより大きい方向の偏光は反射し、それに直角方向の偏光に対しては透過する性質があるので、液晶の配向方向と反射性偏光手段の製造時の押し出し方向または延伸方向(透過軸または反射軸)とを各液晶セルに応じて適宜選択する。
【0035】
(5B)配置構成
TN液晶素子の場合一方の反射性偏光板の製造時の押し出し方向または延伸方向と一方の基板の液晶の配向方向とが直角になるようにした場合、他方の基板の外側につける反射性偏光手段の押し出し方向または延伸方向を他方の基板のラビング方向に平行または直角になるように反射性偏光手段の張り付け方法を選択できる。
【0036】
平行の場合には液晶セルに電圧を印加しない場合には全反射状態を、電圧を印加した場合には半反射状態を選択できる。一方、直角の場合には液晶セルに電圧を印加しない場合には半反射状態を、電圧を印加した場合には全反射状態を選択できる。
【0037】
特に、車載用窓の場合にはフェイルセイフの観点から電圧を印加しない状態で半反射状態を、電圧を印加したときには全反射状態に変化するように設けることが好ましい。また、特に車載用では視界を確保するために、最大透過率を70%以上とすることが好ましい。
【0038】
図1に、透過軸1aと反射軸1bを有する反射性偏光手段1Aと、光入射面側の直線偏光方向7と光出射面側の直線偏光方向8が面内で変化せしめられる機能を備えた光変調手段6とが設けられた調光素子の模式的な斜視図を示す。同図において反射性偏光手段1A側が光出射側である。
【0039】
(5C)基板材料
絶縁基板はソーダライムガラス、無アルカリガラスなどのガラス基板、メタクリル酸エステルの重合体(ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートなど)、ポリカーボネート、スチレン重合体(ポリスチレン、ポリクロロスチレンなど)、ポリテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリイソブチレンなど)、フッ素樹脂(PFA、FEP、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、3フッ化塩化エチレン重合体、ポリビニルフロライドなど)、トリアセチルセルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアルキレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートなど)、さらには、ポリテレフタレートとポリアルキレンナフタレートの共重合体などのプラスチック基板があげられる。
【0040】
プラスチック基板の場合には、反射性偏光手段を兼ねることもできる。またプラスチック基板の場合にはガラス基板の間にポリビニルブチラールフィルムのような透明な衝撃吸収膜を介して挟み込んでもよい。このポリビニルブチラールフィルムには紫外線吸収能があるほうが、素子を屋外で使用する場合耐久性の観点から好ましい。
【0041】
(6)用途
上記の説明では本発明の調光素子を窓として使用する場合をおもに説明したが、もちろん、本発明の調光素子は表示素子として、また光のスイッチング素子としても応用可能である。たとえば、偏光光であるレーザ光に対しては1個の反射性偏光手段と、電圧印加によって光学的性質が変化する液晶セルとを組み合わせて調光素子として使用することが好ましい。
【0042】
たとえば、電界応答型の液晶セルとして両透明電極基板間にほぼ90°ツイストした状態で配向したものを用いる。そして、反射性偏光手段を液晶セルのレーザ光出射側に置き、反射性偏光手段の偏光方向が入射する偏光性のレーザ光の偏光方向と一致する場合には、印加しない状態で偏光面を90°回転させるので、レーザ光は全反射され、電圧を印加した場合には偏光面を回転しないのでレーザ光を全透過させうる。
【0043】
このように反射性偏光手段の透過軸と反射軸と、光変調手段の直線偏光の変調を行う軸方向との関係を調整することで所望の効果を達成できる。その他の用途として、ショーウインドウの窓ガラスや、サンルームの窓ガラス、自動車のサイドガラス、リアガラス、ムーンルーフガラスなどに適用できる。次に、実施例を説明する。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
ポリエチレンナフタレートを第一層としポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートの共重合体を第二層とする1025層の多層押し出し成形フィルムを、押し出し方向にさらに3倍延伸した延伸フィルムを反射性偏光板として用いた。
【0045】
2枚の10cm×10cmのITO付きガラス板(厚み1.1mm)を用意した。それぞれポリイミド塗布、加熱、ラビング処理を行い、ラビング方向を90°交差させた空セル(ギャップ6μm)を用意し、液晶ZLI1565(メルク社製)をこの空セルに注入して液晶セルを作成した。
【0046】
先に用意した反射性偏光板の製造時の押し出し方向と、一方の基板のラビング方向とが直角になるように反射性偏光板をこの基板に張り付け、他方の基板には押し出し方向または延伸方向が他方の基板のラビング方向とが直角になるように反射性偏光板を張り付けた。このようにして調光素子を作成した。
【0047】
図2にその断面の模式図を示す。反射性偏光手段1Aと、基板2A、表側電極3A、シール材4、液晶層5、裏側電極3B、第2の基板2Bとを備えた液晶セル、および反射性偏光手段2Bとからなる調光素子の模式的な断面図を示す。同図において基板1A側が光入射側である。
【0048】
この調光素子は白色光に対して電極間に0V印加時に54%の透過率を、5V印加時に6.5%の透過率を示した。
【0049】
(実施例2)
実施例1と同じ反射性偏光板を用い、実施例1と同様にして液晶セルを作成した。反射性偏光板の製造時の押し出し方向と一方の基板のラビング方向とが直角になるように反射性偏光板をこの基板に張り付け、他方の基板には押し出し方向または延伸方向が他方の基板のラビング方向とが平行になるように反射性偏光板を張り付けた。
【0050】
このようにして調光素子を作成した。この調光素子は白色光に対して0V印加時に9.6%の透過率を5V印加時に56%の透過率を示した。
(実施例3)
実施例1と同じ反射性偏光板を用い、2枚の10cm×10cmのITO付きガラス板(厚み:1.1mm)を用意し、それぞれポリイミド塗布、加熱、ラビング処理を行い、ラビング方向をそろえた空セル(ギャップ1.5μm)を用意し、液晶CS−1014(チッソ社製、みかけのチルト角21°(25℃))をこの空セルに注入して液晶セルを作成した。
【0051】
先に用意した反射性偏光板の偏光軸をレーザ光の出射側にラビング方向から21°傾けて反射性偏光板をこの基板に張りつけた。このようにして調光素子を作成した。
【0052】
波長680nmの半導体レーザをその偏光軸と反射性偏光板の偏光軸を一致させて配置した。一方の基板側をプラスにして電圧を印加した後、電圧印加を止めると透過率の高い状態がメモリーされ、マイナスにして電圧を印加した後、電圧印加を止めると反射率の高い状態がメモリーされた。
【0053】
図4に本例の構成を模式的に示す。レーザ光源21、レーザ光22、調光素子20、光ディテクター23からなる光学システムである。調光素子20はレーザ光の透過状態をメモリーする機能を備えていることが確認された。
【0054】
(実施例4)
実施例1と同じ反射性偏光板を用い、サイズが10cm×10cmのITO付きガラス板(厚み:1.1mm)を2枚用意し、それぞれポリイミド塗布、加熱、ラビング処理を行い、ラビング方向を60°交差させた空セルを用意し、これにカイラルネマチック液晶を注入し、240°ツイストの状態を実現した。さらに、一方の基板の外側に位相差板を近接する液晶セルのラビング方向に対して90°傾けた。
【0055】
その外側に反射性偏光板の延伸方向と位相差板の光軸とが45°になるように反射性偏光板を配置した。また他方の基板の外側に、反射性偏光板を延伸方向と近接する液晶セルのラビング方向とが45°の角度になるように配置した。液晶層のΔn・dは0.85μmであり、位相差板のΔn・dは0.57μmとした。電圧無印加時には反射率が高く、電圧印加時には透過率が増加した。
【0056】
(実施例5)
実施例1の調光素子を電車の窓ガラスに用いた。図3に本例の構成を模式的に示す。外光の強さ、および室内の明るさをフォトディテクター11で感知し、駆動回路10の制御によって、自動的に調光素子30の透過率・反射率を設定し、日差しが強い時には反射率を高め、日差しが弱いときには透過率を高めるように設定した。また、使用者の判断で自動制御を解除し、任意設定することもできる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によって、反射率を電圧印加によって制御でき、それ自身による光吸収の少ない新しい調光素子を形成できた。
【0058】
また、本発明はその効果を損しない範囲で種々の応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を模式的に示す斜視図。
【図2】2枚の反射性偏光手段を備えた本発明の構成を示す断面図。
【図3】実施例5の説明図。
【図4】本発明の調光素子をシャッタ装置に応用した場合の説明図。
【符号の説明】
1A、1B:反射性偏光手段
1a:透過軸
1b:反射軸
6:光変調手段
7、8:直線偏光方向
Claims (6)
- 光入射面における入射光束の直線偏光方向と光出射面における出射光束の直線偏光方向が面内で変化せしめられる機能を有する光変調手段を備え、ほぼ直交する直線偏光成分の一方の透過率が高い透過軸および他方の直線偏光成分の反射率が高い反射軸を備えた第1の反射性偏光手段が光変調手段の光入射面側に配置され、ほぼ直交する直線偏光成分の一方の透過率が高い透過軸および他方の直線偏光成分の反射率が高い反射軸を備えた第2の反射性偏光手段が光変調手段の光出射面側に配置され、反射性偏光手段に到達した光束のうちの一部の偏光成分が外部に反射される調光素子。
- 反射性偏光手段が屈折率の異なる2種類以上の高分子材料からなる高分子多層膜である請求項1記載の調光素子。
- 2種類以上の高分子材料のうちの少なくとも1種が複屈折性を示すことを特徴とする請求項2記載の調光素子。
- 光変調手段が電界応答型の液晶セルである請求項1、2または3記載の調光素子。
- 光変調手段がオン状態で相対的に高い透過率を示し、オフ状態で相対的に低い透過率を示す請求項1〜4のいずれか1項記載の調光素子。
- 光変調手段がオン状態のときとオフ状態のときにおける、反射性偏光手段と光変調手段の総合透過率の差が30%以上であり、光変調手段がオン状態のときの最大の総合透過率が70%以上である請求項1〜5のいずれか1項記載の調光素子。
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