JP3903031B2 - 近接場露光方法 - Google Patents
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例えば、マスクまたはレチクルのパターンに対するデザインルールはライン・アンド・スペース(L&S)130nmを量産工程で達成しようとし、今後益々小さくなることが予想される。近年主流である投影露光装置は、一般に、光源から出射された光束を利用してマスクを照明する照明光学系とマスクと被露光物との間に配置される投影光学系とを有する。
投影露光装置では一般に解像度は使用する光源の波長が略限界であると言われ、エキシマレーザーを使用しても投影露光装置は0.10μm以下のパタ−ンを形成することが困難である。加えて、仮に、より短い波長を有する光源が存在しても、かかる短波長の露光光を投影光学系に使用される光学材料(即ち、レンズの硝材)が透過できずに(その結果被露光物に投影できずに)露光ができなくなるという問題もある。
このようなことから、従来においては、必然的に同一の露光マスクの製作枚数を増やすことが必要となり、経費増大を招く原因となっていた。
すなわち、本発明の近接場露光方法は、
微小開口を有する遮光膜を備えた弾性変形可能な露光マスクと、被露光基板と、を離間させて配置した後、前記露光マスクを変形させて該露光マスクと前記被露光基板と密着させた状態で、前記露光マスクに露光光を照射し、前記微小開口からにじみ出る近接場光を用いて前記被露光基板を露光し、該露光後、前記露光マスクを前記被露光基板から剥離する近接場露光方法であって、
前記露光後に光学式センサを用いて前記露光マスクの変形量を測定することで前記露光マスクの前記被露光基板への吸着状態を検知し、該検知した吸着状態に基づいて、微振動印加手段により微振動を前記露光マスクに印加し、
該マスクの前記被露光基板への吸着力を弱めて該マスクを前記被露光基板から剥離することを特徴とする。
また、本発明の近接場露光方法は、前記光学式センサが、レーザと受光部を備えることを特徴とする。
また、本発明の近接場露光方法は、前記微振動印加手段が、振動子であることを特徴とする。
また、本発明の近接場露光方法は、前記微振動印加手段が、超音波ホーンであることを特徴とする。
図1は、本実施の形態における剥離補助方法及び手段に用いる近接場露光用マスクの構成を示す図であり、また、図2は、本実施の形態における剥離補助方法及び手段を用いて露光マスクの弾性劣化を軽減するようにした近接場露光装置の構成を示す図である。
図1における露光マスク100は、マスク支持体104、マスク母材101、遮光膜102から構成されている。遮光膜102は、マスク母材101の上に成膜されており、その遮光膜102に微小開口103が所望のパターンに形成されている。また、マスク母材101は弾性体で構成されており、薄膜として存在している。
この露光マスク100は、図2に示される近接場露光装置の圧力調整容器内に、露光マスクの裏面が面するように配置して圧力調整を加えマスクのたわみを調整する。
図2において、被露光物としては、基板203の表面にレジスト202を形成する(以下、これをレジスト202/基板203と記す)。レジスト202/基板203をステージ204上に取り付け、ステージ204を駆動することにより、露光マスク201に対する基板203のマスク面内2次元方向の相対位置合わせを行う。次に、マスク面法線方向にステージ204を駆動し、露光マスク201のおもて面と基板203上のレジスト202面との間隔が全面にわたって100nm以下になるように両者を密着させる。
この後、露光光源209から出射される露光光210をコリメータレンズ211で平行光にした後、ガラス窓212を通し、圧力調整容器205内に導入し、露光マスク201に対して裏面(図2では上側)から照射し、露光マスク201おもて面のマスク母材206上の遮光膜207に形成された微小開口パターンから滲み出す近接場でレジスト202の露光を行う。
露光マスク201のおもて面と基板203上のレジスト202面がともに完全に平坦であれば、全面にわたって両者を密着させることが可能である。しかしながら、実際には、マスク面やレジスト/基板面に凹凸やうねりが存在するので、両者を近づけ、接触させただけでは、密着している部分と非密着部分が混在する状態になってしまう。
そこで、露光マスク201の裏面からおもて面方向に向かって圧力を印加することにより、露光マスク201に弾性変形による撓みを生じさせ、レジスト202/基板203へ押し付けるようにすることにより、薄膜部が全面にわたって密着させることができる。
ここで、圧力調整手段213から圧力調整容器205内に高圧ガスを導入し、圧力調整容器205内の圧力を増大させ、露光マスク201のおもて面と基板203上のレジスト202面とを全面にわたって均一な圧力で密着させる。
このような方法で圧力の印加を行うと、パスカルの原理により、近接場マスク201のおもて面と基板203上のレジスト202面との間に作用する斥力が均一になる。このため、露光マスク201や基板203上のレジスト202面に対し、局所的に大きな力が加わったりすることがなく、露光マスク201や基板203、レジスト202が局所的に破壊されたりするようなことが生じない。
図3において、(3−*)に露光マスクの変化の様子を示す。
図3の(3−1)は、まだ露光マスクを撓ませていない状態である。その後、露光マスクを撓ませ始めると図3の(3−2)、(3−3)、(3−4)、(3−5)と変化する。
図3の(3−2)では、被露光物に密着する直前であり図3の(3−3)では、露光マスクの中心部が被露光物に密着し始めている。このとき更に、露光マスクの傾きが大きくなり照射スポット位置Pからの反射光の受光部302(a)でのスポット位置が下にずれる。さらに露光マスクを撓ませ密着部分を広げると、図3の(3−4)のように照射スポット位置Pでの露光マスクの傾きが次第に小さくなり反射スポット位置が上にずれてくる。さらに密着部分を広げ、図3の(3−5)では、照射スポット位置Pで露光マスクが被露光物に所定領域まで密着すると、露光マスクの傾きは被露光物の傾きと同一になり、露光マスクの初期位置時と同じ傾きとなり反射スポット位置もほぼ同一の位置まで上にずれる。
このように、露光マスクが撓み始めて照射スポット位置Pまで密着する間に、照射スポット位置Pからの反射光の受光部302(a)でのスポット位置が1往復し、照射スポット位置Pからの反射光の受光部302(a)でのスポット位置が初期位置とほぼ同じ位置に戻ることによって、露光マスクと被露光物の密着を検知することが可能となる。
近接場露光においては、密着後露光を行い、露光後に露光マスクとレジストの剥離を行うが、この剥離時に露光マスクとレジストとの間に吸着力が働く場合、密着時における露光マスクの変化の様子と違いが生じる。露光マスクとレジストとの間に吸着力が全く存在していない場合は、密着時の薄膜の軌跡をたどって元に戻るが、吸着力がある場合は図4のようになる。
これを、図4の(4−5)から(4−1)に順を追って説明する。図4の(4−5)では、薄膜とレジストが密着している状態である。このとき、薄膜とレジストの間に吸着力が働いているとする。その後、図4の(4−4)に示すように、薄膜をレジストから剥離させるため、圧力を低くするが薄膜とレジストとの間に吸着力が働いており、その吸着力に打ち勝つだけの圧力ではないため、薄膜の密着していない領域のみが変化し、照射スポット位置P4では薄膜は変化しない。ここで、照射スポット位置P4には、薄膜とレジストが密着している部分を選んでいる。そのため反射スポット位置は変化しない。その後さらに減圧をすると、照射スポット位置P4部は剥離し始める。このとき、まだ中心部は剥離していないため照射スポット位置P4の薄膜の傾きが変化する速度が速くなり図4の(4−3)となり、反射光スポット下側に大きく下がる。その後、さらに減圧をすすめると薄膜が剥がれようとする力が吸着力よりも強くなり薄膜部全面が剥離し、図3の(3−2)と同じ変形量を持つ図4の(4−2)となる。さらに、減圧し薄膜のおもて面、裏面の間の圧力差を無くすことで撓ませる前の状態である図4の(4−1)の状態にもどる。
以上順を追って説明したように、薄膜とレジストとの間に吸着力が存在することで、図3の密着時にたどる薄膜の変形の軌跡と、図4の剥離時にたどる薄膜の変形の軌跡が異なる。
ここで、薄膜とレジスト間の吸着力が大きいと薄膜とレジストを剥離するのに必要な力が大きくなり露光マスクへの負担が大きくなり、露光マスクの変形量も大きくなる。その結果、露光マスクがその負荷に耐え切れなくなり破壊に至る。
このように、薄膜で形成した露光マスクとレジストとの間の吸着状態は、薄膜の角度変化から読み取ることが可能である。また、それに限らず密着するために要する物理量と、剥離するために要する物理量の差異から読み取るようにすることも可能であり、あるいはこの物理量の差異と薄膜の角度変化から読み取る手法等を併用することによっても可能である。
本実施の形態における剥離補助手段においては、以上の説明から明らかなように、薄膜が剥がれ始める際の圧力値や、あるいは角度変化をモニターすることで、露光マスクの吸着状態を検知することが可能となることから、これらにより検知した吸着状態に基づいて、剥離補助手段により微振動を印加することで、吸着力を弱め剥離を進行させるようにしたものである。
これを、図5の(5−5)から(5−1)に順を追って説明する。
(5−5)では、薄膜とレジストが密着している状態である。このとき、薄膜とレジストの間に吸着力が働いているとする。その後、図5の(5−4)に示すように、薄膜をレジストから剥離させるため、圧力を低くするが薄膜とレジストとの間に吸着力が働いており、その吸着力に打ち勝つだけの圧力ではないため、薄膜の密着していない領域のみが変化し、照射スポット位置P5では薄膜は変化しない。ここで、照射スポット位置P5には、薄膜とレジストが密着している部分を選んでいる。そのため反射スポット位置は変化しない。
また、熱伝導性の高い液体に熱による対流を発生させ、対流による露光マスクに温度変化を与え熱膨張収縮を繰り返させる方法も考えられる。
露光マスクに振動を与える方法としては、露光マスクの遮光膜に磁性体を含有させ、露光マスクの近傍に備えた電磁石による磁界の正反転を繰り返し行うことで、露光マスクに振動を発生させる方法も考えられる。
また、露光マスクと被露光物との間に生じている吸着力が静電気力による場合は、イオナイザーを外部から照射させて静電気力を弱める方法も考えられる。このときイオンを送り込むための気体を脈動させて、複合的に効果を出す方法も考えられるし、この送り込む気体の湿度制御を施すことで、更に効果を向上させることも考えられる。以上のような剥離補助手段や、これら複数の手段を複合させて剥離補助を行うものも、本発明の範疇である。
図6に、本発明の実施例の近接場露光方法に用いる近接場露光装置の構成を示す。
本実施例は、上記した実施の形態で説明した露光マスクの剥離補助手段を近接場露光装置に適用した構成例である。
図6に示すように、露光マスクは密閉容器内に裏面を面するようにして設けられ、該露光マスクの表面と、被露光物であるフォトレジスト602を塗布した基板603のフォトレジスト表面の間隔を固定し、約100μmとした。この時、使用した露光マスク601の薄膜となっている部分は、10mm×10mmの大きさで、1μmの厚さであった。露光マスク601とフォトレジスト間の間隔を固定したまま、露光マスク601を撓ませることにより、露光マスク601とフォトレジスト602を密着させる。そこで、密閉容器605内に窒素を流し圧力を密閉容器外に比べ高くするため、電磁弁606を開き密閉容器605内に窒素ガスを流し入れた。このとき、密閉容器605内に設置した圧力センサ608をモニターし、100Pa/秒の加圧速度で流し入れるよう窒素の流量を流量調節装置609により制御した。
密閉容器605内の圧力が100Pa/秒で変化する間、露光マスク601の薄膜部分が次第に撓んで行った。露光マスク601が撓むことにより、反射光を受けるPSD613上のスポットの位置が変化し、それにしたがってPSD613からの電圧の出力が変化する。PSD613の出力が大きいと受光部のより下に反射光スポットが位置していることを示している。
その後、水銀ランプ604のg線(波長436nm)の光を照射しフォトレジストを露光する。露光後、電磁弁610を開き密閉容器605内の窒素を排出し、密閉容器605内の圧力を大気圧まで減圧し露光マスク601の撓みを解消する。
101:マスク母材
102:遮光膜
103:微小開口
104:マスク支持体
201、301、401、601:露光マスク
202、602:レジスト
203、603:基板
204、607:ステージ
205、605:圧力調整容器
206:マスク母材
207:遮光膜
208、608:圧力センサ
209、604:露光光源
210:露光光
211、611:コリメータレンズ
212、614:ガラス窓
213:圧力調整手段
214、514:剥離補助手段
215:光源
216:受光部
302(a):受光部
402(a):受光部
502(a):受光部
606、610:電磁弁
609:流量調整手段
612:半導体レーザ
613:PSD(半導体位置検出器)
615:超音波ホーン
Claims (4)
- 微小開口を有する遮光膜を備えた弾性変形可能な露光マスクと、被露光基板と、を離間させて配置した後、前記露光マスクを変形させて該露光マスクと前記被露光基板と密着させた状態で、前記露光マスクに露光光を照射し、前記微小開口からにじみ出る近接場光を用いて前記被露光基板を露光し、該露光後、前記露光マスクを前記被露光基板から剥離する近接場露光方法であって、
前記露光後に光学式センサを用いて前記露光マスクの変形量を測定することで前記露光マスクの前記被露光基板への吸着状態を検知し、該検知した吸着状態に基づいて、微振動印加手段により微振動を前記露光マスクに印加し、
該マスクの前記被露光基板への吸着力を弱めて該マスクを前記被露光基板から剥離することを特徴とする近接場露光方法。 - 前記光学式センサは、レーザと受光部を備えることを特徴とする請求項1に記載の近接場露光方法。
- 前記微振動印加手段は、振動子であることを特徴とする請求項1に記載の近接場露光方法。
- 前記微振動印加手段は、超音波ホーンであることを特徴とする請求項1に記載の近接場露光方法。
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