JP2010147264A - 物体保持装置、物体保持方法、露光方法、露光装置及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

物体保持装置、物体保持方法、露光方法、露光装置及び電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】物体を十分に高い平面度で吸着保持できる物体保持装置を提供する。
【解決手段】物体を保持可能な物体保持装置において、前記物体を静電吸着させる吸着部と、前記吸着部に電圧を印加する電源部と、前記物体と前記吸着部とに流れる漏れ電流を検出する検出部と、前記漏れ電流の変化率に基づいて、前記物体の前記吸着部に対する吸着状態を判定する制御部と、を備えるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、物体保持装置、物体保持方法、露光方法及び露光装置に関するものである。また、本発明は、半導体素子、液晶表示素子などのデバイスを製造するためのリソグラフィ工程で使用される露光装置の物体保持装置に使用して好適なものであり、該露光装置を用いる電子デバイスの製造方法にも関するものである。
半導体素子、液晶表示素子などのデバイスを製造するためのリソグラフィ工程では、基板への微細パターンの形成に際し、形成すべきパターンの形状に応じた光量分布を有する露光光を、表面に感光膜(フォトレジスト)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜ウエハともいう)上に露光する露光装置が用いられている。これらの露光装置としては、例えば、レチクル又はマスク(以下、「マスク」と総称する)を照明する照明光学系と、マスクのパターン像を基板上に投影する投影光学系とを備えた露光装置がある。
近年においては、半導体集積回路の高集積化及び該高集積化に伴うパターンの微細化を図るために、投影光学系の更なる高解像度化が要求されている。そのため、露光装置に用いる露光光の短波長化が進み、極端紫外線光(EUV光)や電子線(EB)を露光光として用いる露光装置の開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。また、パターンの微細化に伴い、露光時におけるマスクやウエハの平面度を高精度に維持する必要がある。この平面度が悪いと、マスクやウエハの表面の位置ズレによりパターンの転写精度が悪化する。そのため、例えば、マスクやウエハを静電吸着によって保持し、高い平面度を維持する技術が開発されている(例えば、特許文献2参照)。また、従来、例えばウエハ(又はマスク)を静電吸着する際、ウエハを吸着する吸着部(例えば、静電チャック)とウエハとを流れる漏れ電流が規定値以上になった場合に、ウエハが吸着部に高い平面度で吸着保持されたと判断していた。
国際公開第2007/004358号 特開2005−116849号
しかしながら、上述の漏れ電流は、吸着部とウエハ(又はマスク)との間隔が狭くなるにつれて増大するが、吸着部とウエハとがそれぞれ有する微小な凹凸やコンタミ等の影響を受ける。このため、例えばその微小な凹凸によって漏れ電流が変化するために、規定値の漏れ電流値に到達せず、ウエハが十分に高い平面度で吸着部に吸着されない問題があった。また、その規定値を低く設定すると、ウエハを十分に高い平面度で吸着部に吸着保持できないという問題にもなっていた。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ウエハ又はマスク等の物体を十分に高い平面度で吸着部に吸着保持できる物体保持装置、物体保持方法を提供することを目的とする。
また、その物体保持装置を備えた露光装置の提供、ウエハ又はマスクを十分に高い平面度で吸着部に吸着保持しつつ、ウエハにパターンを露光できる露光方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することも目的とする。
本発明の第1の態様である物体保持装置は、物体を保持可能な物体保持装置において、前記物体を静電吸着させる吸着部と、前記吸着部に電圧を印加する電源部と、前記物体と前記吸着部とに流れる漏れ電流を検出する検出部と、前記漏れ電流の変化率に基づいて、前記物体の前記吸着部に対する吸着状態を判定する制御部と、を備えるものである。
本発明の第2の態様である物体保持方法は、物体を保持する物体保持方法において、前記物体を静電吸着させる吸着部に電圧を印加する電圧印加工程と、前記物体と前記吸着部とに流れる漏れ電流を検出する検出工程と、前記漏れ電流の変化率に基づいて、前記物体の前記吸着部に対する吸着状態を判定する判定工程と、を有するものである。
本発明の第3の態様である露光装置は、第1面の像を第2面に投影露光する露光装置において、第1の態様の物体保持装置を備えるものである。
本発明の第4の態様である露光方法は、第1面の像を第2面に露光する露光方法において、物体を静電吸着させる吸着部に電圧を印加し、前記物体と前記吸着部とに流れる漏れ電流を検出する第1工程と、前記漏れ電流の変化率に基づいて、前記物体の前記吸着部に対する吸着状態を判定する第2工程と、前記判定工程で判定された前記吸着状態に基づいて、前記第1面の像を前記第2面に露光する第3工程と、を有するものである。
本発明の第5の態様である電子デバイスの製造方法は、第3の態様の露光装置を用いて基板を露光する工程と、露光された前記基板を現像する工程と、を含むものである。
本発明の物体保持装置及び物体保持方法に於いては、ウエハ又はマスク等の物体を十分に高い平面度で吸着保持できる。
また、本発明の露光装置及び露光方法に於いては、ウエハ又はマスクを十分に高い平面度で吸着保持できるため、より高解像度の露光装置及び露光方法を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の物体保持装置及び露光装置の概要を示す図である。本実施形態の露光装置は、波長5nm〜100nm程度の極紫外線光であるEUV(Extreme Ultraviolet)光を露光光として使用するEUV露光装置である。本露光装置100は、光源装置1からの露光用の照明光(露光光)ILで反射型のマスクMのパターン面(マスク面)を照明する照明光学系ILSと、マスクMを載置し、マスクMの位置決めを行うマスクステージMSと、マスクMのパターン像をウエハW(感光性基板)上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを載置し、ウエハWの位置決めを行うウエハステージWSを備える。
図1においては、ウエハWの載置面の法線方向をZ方向とし、Z方向に垂直な平面内において図1の紙面に平行な方向をY方向、紙面に垂直な方向をX方向としている。なお、本露光装置100は、マスクMとウエハWとを図1のY方向(以下、走査方向Yともいう)に走査移動させつつ、マスクM上のマスクパターンをウエハWに投影する走査型露光装置である。
本露光装置100は、その内部が真空雰囲気に維持される真空チャンバ100を有しており、EUV光の発光点からウエハWまでの光路の全体は、真空チャンバ100内に収められる。さらに、真空チャンバ100内で照明光ILの光路上の真空度をより高めるためには複数のサブチャンバ(不図示)も設けられている。一例として、真空チャンバ100内の気圧は10-5Pa程度、真空チャンバ100内で投影光学系PLを収納するサブチャンバ(不図示)内の気圧は10-5〜10-6Pa程度である。また、マスクステージMSには、静電チャックMK(吸着部)を有するマスクホルダMH(保持部)が設けられ、そのマスクホルダMHによってマスクMが保持される。同様に、ウエハステージWSには、静電チャックWK(吸着部)を有するウエハホルダWH(保持部)が設けられ、そのウエハホルダWHによってウエハWが保持される。さらに、マスクステージMS(移動部)及びウエハステージWS(移動部)は、それぞれマスクステージ駆動部(不図示)及びウエハステージ駆動部(不図示)によって、Y方向に所定ストロークで駆動可能であるとともに、X方向、Z方向、X方向周りの回転方向であるθX方向、Y方向回りの回転方向であるθY方向及びZ方向回りの回転方向であるθZ方向にも駆動可能である。
なお、主制御部MCが配置されており、その主制御部MCからマスクステージMSやウエハステージWS等の本露光装置100の各部に対して各種の指令を与える。
レーザ励起型プラズマ光源又は放電励起型プラズマ光源等の光源装置1から射出された露光光(照明光IL)は、コリメータミラー2により略平行光束とされ、照明光学系ILSに入射される。
照明光学系ILSに入射した露光光は、オプティカルインテグレータ3に入射する。すなわち、照明光ILは、反射型のオプティカルインテグレータ3を構成する第1のフライアイミラー3a(第1の均一化光学素子)と第2のフライアイミラー3b(第2の均一化光学素子)とにより順次反射され、第2のフライアイミラー3b上(又はその近傍)である照明光学系ILSの瞳面(照明光学系瞳面)に、所定の形状を有する実質的な面光源を形成する。その後、照明光ILは、コンデンサミラー4によって集光され、光路折り曲げ用の平面ミラー5によって偏向されて、マスクMのパターン面上の露光視野内を円弧スリット状の照明光ILとしてほぼ均一に照明する。
マスクMのパターン面により反射されて投影光学系PLに入射した照明光IL(露光光)は、第1ミラーPM1によって反射され、投影光学系PLの瞳面に配置された不図示の開口絞りを介した後、第2ミラーPM2に入射する。第2ミラーPM2で反射された照明光IL(露光光)は、第3ミラーPM3、第4ミラーPM4、第5ミラーPM5、第6ミラーPM6の順に反射されて、ウエハW上の露光領域にマスクパターンの像を形成する。
次に、本実施形態における物体保持装置の詳細について説明する。
図2(A)は、本実施形態における物体保持装置の一例を示す側面図であり、図2(B)は、これを、ウエハWを保持していない状態で−Z方向から見た上面図である。図2(A)、(B)に示す如く、本実施形態における物体保持装置は、ウエハWを静電吸着させる吸着部WK(例えば、静電チャック)と、吸着部WKに所定の電圧を印加する電源部WVと、ウエハWと吸着部WKとに流れる漏れ電流を検出する検出部WDと、その漏れ電流の変化率に基づいて、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態を判定する制御部C2と、で構成される。また、図2(A)、(B)に示す如く、上記の吸着部WKはウエハホルダWH上に設けられており、そのウエハホルダWHは吸着部WKによってウエハWを保持する。なお、ウエハホルダWHは、図1に示す如く、ウエハステージWS上に配置されている。
ここで、本実施形態における吸着部WKは、吸着対象である物体(例、ウエハW)との間に電位差を与えられ、静電引力による吸着を行うものである。例えば、吸着部WKは、表面(吸着面)が誘電体で構成され、電源部WVによって吸着部WKに所定の電圧を印加して表面に電荷を発生させ、吸着部WKとウエハWと間にクーロン力(又は、ジャンセン・ラーベック力)を発生させることでウエハWを吸着させるものである。
なお、本実施形態における物体保持装置の一例としてウエハWを保持する場合を例としたが、マスクMを保持する場合においてもウエハWの場合と同様又は同等な構成をとることができる。マスクMを保持する場合には、本実施形態における物体保持装置は、図3に示す如く、マスクMを静電吸着させる吸着部MK(例えば、静電チャック)と、吸着部MKに所定の電圧を印加する電源部MVと、マスクMと吸着部MKとに流れる漏れ電流を検出する検出部MDと、その漏れ電流の変化率に基づいて、マスクMの吸着部MKに対する吸着状態を判定する制御部C1と、で構成される。また、図3に示す如く、上記の吸着部MKはマスクホルダMH上に設けられており、そのマスクホルダMHは吸着部MKによってマスクMを保持する。なお、マスクホルダMHは、図1に示す如く、マスクステージMS上に配置されている。上記の吸着部MKの構成及び作用は、ウエハWの吸着部WKと同様又は同等であるので、その説明は省略する。
次に、本実施形態における物体保持装置による物体の保持方法について詳細に説明する。
図4は、本実施形態における物体保持装置によるウエハWの保持方法についてのフローチャート図である。図5は、本実施形態における吸着部WKに100Vを印加した場合に、検出部WDで検出された漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率を示す一例図である。
図4に示す如く、まず、不図示のウエハ搬送装置によってウエハWをウエハステージWS上に搬送し、ウエハステージWSの吸着部WKに載置する(S401:ローディング工程)。次に、電源部WVによって上記の吸着部WKに所定の電圧(本実施形態においては、100V)を印加し、ウエハWを吸着部WKに静電吸着させる(S402:電圧印加工程)。そして、検出部WDは、電源部WVによって吸着部WKに電圧を印加している状態で、ウエハWと吸着部WKとを流れる漏れ電流値を検出し、検出した漏れ電流値を制御部C2へ送信する(S403:検出工程)。制御部C2は、受信した漏れ電流値から算出する漏れ電流の変化率と所定の漏れ電流変化率dI100(本実施形態においては、吸着部WKに100Vを印加した場合に、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したとみなされる電流変化率又はウエハWが吸着部WKに対して最低限吸着されたとみなされる電流変化率)とを比較して、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態を判定する(S404:判定工程)。
そして、図5に示す如く、制御部C2は、検出工程S403において検出された漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率が、上記所定の漏れ電流変化率dI100以下であった場合には、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作が完了したと判断する。本実施形態においては、図5に示す如く、予め実験値又は予測値などにより所定の漏れ電流変化率dI100が一例として0.01mA/Sに設定されているので、制御部C2は、漏れ電流の変化率が0.01mA/S以下の時に、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作の完了と判断する。また、制御部C2は、検出工程S403において検出された漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率が、上記所定の漏れ電流変化率dI100(本実施形態においては、0.01mA/S)より大きい場合には、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作が完了していないと判断する。また、吸着動作が完了していないと判断された場合は、上記の電圧印加工程S402又は検出工程S403に戻り、再度、判定工程S404においてウエハWの吸着状態を判断される。なお、本実施形態においては、図5に示す如く、電源部WVによる吸着部WKへの電圧印加開始から27秒後に吸着動作の完了と判断される。
ここで、本実施形態における吸着状態とは、物体(例、ウエハWやマスクM)が吸着部(吸着部WK又は吸着部MK)に吸着しているかどうかの状態又は吸着したかどうかの状態、所望の平面度(又は平坦度)で物体を吸着しているかどうかの状態、アライメントや露光が可能な程度に十分な平面度で物体が吸着しているかどうかの状態、物体の平面度の度合い、物体の保持度合い、物体が平面に矯正される状態、吸着部における物体の曲面や凹凸の低減度合い、などを含むものである。また、本実施形態における漏れ電流の変化率は、例えば、吸着部WKに所定の電圧を印加した場合に、ウエハWと吸着部WKとに1秒あたりに流れる漏れ電流量(例、mA)であって、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したとみなされる判断指標又はウエハWが吸着部WKに対して最低限吸着されたとみなされる判断指標、等に用いられるものである。なお、漏れ電流の変化率の単位は、例えば、抵抗値などによって変わり、図5のようにmA/Sである場合やμA/Sである場合もある。また、所定の漏れ電流変化率は、例えば印加電圧や吸着部WKの材料などによって変わるので、適宜所望の変化率に設定すればよい。
また、判定工程S404において吸着動作の判定がされた後、制御部C2は、吸着動作の判定、ここではウエハWの吸着部WKに対する吸着動作の完了又は未完了についての判定結果を主制御部MCへ送信する。そして、主制御部MCは、受信した判定結果に基づいて、マスクMのパターンをウエハW上に露光させるかどうか(或いは、露光動作を開始するかどうか)の判断を行う。例えば、主制御部MCは、制御部C2より受信した判定結果が吸着動作の完了であれば露光動作を開始させるし、制御部C2より受信した判定結果が吸着動作の未完了であれば露光動作を開始させずに待機させる。また、主制御部MCは、上記の判定結果が吸着動作の未完了であっても、必要に応じて、露光動作を開始させてもよい。
なお、本実施形態において送受信される情報は、情報そのものでもよいし、データそのものでもよいし、その情報又はデータに基づく電気信号であってもよい。
このように、本実施形態によれば、例えば高い平面度のような所望の平面度でウエハWを吸着保持できる。また、本実施形態によれば、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態を高精度に判定することができる。また、本実施形態によれば、ウエハWを高い平面度で保持可能なので、マスクMのパターンを高精度でウエハW上に露光することができる。
次に、本実施形態における物体保持装置による物体の保持方法の第1の変形例について説明する。なお、この変形例において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同じ符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図6は、本実施形態における物体保持装置によるウエハWの保持方法についてのフローチャート図である。図7は、本実施形態における吸着部WKに100Vを印加した場合に、検出部WDで検出された漏れ電流値とその漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率とを示す一例図である。
図6に示す如く、ローディング工程S601及び電圧印加工程S602を経た後、検出工程S603においてウエハWと吸着部WKとを流れる漏れ電流値が検出される。なお、上記のローディング工程S601、電圧印加工程S602、及び検出工程S603は、上述の実施形態において対応する各工程(S401〜S403)と同じ又は同等なため、その説明を省略する。制御部C2は、受信した漏れ電流値と所定の漏れ電流値I100(本実施形態においては、吸着部WKに100Vを印加した場合に、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したとみなされる電流値又はウエハWが吸着部WKに対して最低限吸着されたとみなされる電流値)との比較と、受信した漏れ電流値から算出する漏れ電流の変化率と所定の漏れ電流変化率dI100(本実施形態においては、吸着部WKに100Vを印加した場合に、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したとみなされる電流変化率又はウエハWが吸着部WKに対して最低限吸着されたとみなされる電流変化率)との比較とから、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態を判定する(S604:判定工程)。
そして、図7に示す如く、制御部C2は、検出工程S603において検出された漏れ電流値が、上記所定の漏れ電流値I100以上であった場合、かつ、検出工程S603において検出された漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率が、上記所定の漏れ電流変化率dI100以下であった場合には、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作が完了したと判断する。本実施形態においては、図7に示す如く、予め実験値又は予測値などにより所定の漏れ電流変化率dI100が一例として0.13mAに設定され、予め実験値又は予測値などにより所定の漏れ電流変化率dI100が一例として0.01mA/Sに設定されているので、制御部C2は、検出された漏れ電流値が0.13mA以上の時、かつ、その漏れ電流の変化率が0.01mA/S以下の時に、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作の完了と判断する。また、制御部C2は、検出工程S603において検出された漏れ電流値が上記所定の漏れ電流値I100より小さい場合、又は、検出工程S603において検出された漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率が上記所定の漏れ電流変化率dI100(本実施形態においては、0.01mA/S)より大きい場合には、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作が完了していないと判断する。また、吸着動作が完了していないと判断された場合は、上記の電圧印加工程S602又は検出工程S603に戻り、再度、判定工程S604においてウエハWの吸着状態を判断される。なお、本実施形態においては、図7に示す如く、電源部WVによる吸着部WKへの電圧印加開始から27秒後に吸着動作の完了と判断される。
また、本実施形態における漏れ電流値は、例えば、吸着部WKに所定の電圧を印加した場合に、ウエハWと吸着部WKと流れる漏れ電流値(例、mA)であって、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したとみなされる判断指標又はウエハWが吸着部WKに対して最低限吸着されたとみなされる判断指標、等に用いられるものである。なお、漏れ電流値の単位は、例えば、抵抗値などによって変わり、図7のようにmAである場合やμAである場合もある。また、所定の漏れ電流値は、例えば印加電圧や吸着部WKの材料などによって変わるので、適宜所望の漏れ電流値に設定すればよい。
なお、判定工程S604において吸着動作の判定後、上述の実施形態と同様に、主制御部MCは、制御部C2から受信した判定結果に基づいて、露光動作の開始又は待機を判断する。
このように、本実施形態によれば、例えば高い平面度のような所望の平面度でウエハWを吸着保持できる。また、本実施形態によれば、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態をより高精度に判定することができる。また、本実施形態によれば、ウエハWを高い平面度で保持可能なので、マスクMのパターンをより高精度でウエハW上に露光することができる。
次に、本実施形態における物体保持装置による物体の保持方法の第2の変形例について説明する。なお、この変形例において、上述の実施形態又は変形例と同一又は同等の構成部分については同じ符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、本実施形態における物体保持装置によるウエハWの保持方法についてのフローチャート図である。図9は、本実施形態における吸着部WKに100Vを印加した場合に、検出部WDで検出された漏れ電流値とその漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率とを示す一例図である。図10は、本実施形態における吸着部WKに100V及び200Vを印加した場合に、検出部WDで検出された漏れ電流値とその漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率とを示す一例図である。
図8に示す如く、ローディング工程S801及び電圧印加工程S802を経た後、検出工程S803においてウエハWと吸着部WKとを流れる漏れ電流値が検出される。なお、上記のローディング工程S801、電圧印加工程S802、及び検出工程S803は、上述の実施形態において対応する各工程(S401〜S403)と同じ又は同等なため、その説明を省略する。制御部C2は、受信した漏れ電流値と所定の漏れ電流値I100(本実施形態においては、吸着部WKに100Vを印加した場合に、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したとみなされる電流値又はウエハWが吸着部WKに対して最低限吸着されたとみなされる電流値)との比較と、受信した漏れ電流値から算出する漏れ電流の変化率と所定の漏れ電流変化率dI100(本実施形態においては、吸着部WKに100Vを印加した場合に、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したとみなされる電流変化率又はウエハWが吸着部WKに対して最低限吸着されたとみなされる電流変化率)との比較とから、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態を判定する(S804:判定工程)。
しかしながら、例えば、ウエハWと吸着部WKと間に異物がある場合などにおいては、図9に示す如く、検出部WDにおいて検出された漏れ電流値が所定の漏れ電流値I100に達しないことがある。そこで、図8及び図10に示す如く、検出した漏れ電流値が所定の漏れ電流値I100に達しない場合(検出した漏れ電流値が所定の漏れ電流値I100以上にならない場合)には、制御部C2は、電源部WVによる吸着部WKに印加する電圧を上げさせる(S805:制御工程)。本実施形態においては、図10に示す如く、制御部C2は、吸着部WKに印加する電圧を100Vから200Vに制御する(本実施形態においては、増圧している)。
そして、制御部C2は、図10に示す如く設定された所定の漏れ電流値I200(本実施形態においては、一例として26mA)と、所定の漏れ電流変化率dI200(本実施形態においては、一例として0.02mA/S)とに基づいて、再度、判定工程S804においてウエハWの吸着部WKに対する吸着状態を判定する。例えば、制御部C2は、検出された漏れ電流値が0.26mA以上の時、かつ、その漏れ電流の変化率が0.02mA/S以下の時に、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作の完了と判断する。また、制御部C2は、検出工程S803において検出された漏れ電流値が上記所定の漏れ電流値I200より小さい場合、又は、検出工程S803において検出された漏れ電流値から算出した漏れ電流の変化率が上記所定の漏れ電流変化率dI200(本実施形態においては、0.02mA/S)より大きい場合には、吸着部WKに対するウエハWの吸着動作が完了していないと判断する。なお、吸着動作が完了していないと判断された場合は、上記の電圧印加工程S802又は検出工程S803に戻り、再度、判定工程S804においてウエハWの吸着状態を判断される。なお、本実施形態においては、図10に示す如く、電源部WVによる吸着部WKへの電圧印加開始から53秒後に吸着動作の完了と判断される。
また、本実施形態において、制御部C2による吸着部WKに対する印加電圧の制御は、1回だけ行ったが、必要に応じて、2回や多数回行うようにしてもよい。
なお、判定工程S804において吸着動作の判定後、上述の実施形態と同様に、主制御部MCは、制御部C2から受信した判定結果に基づいて、露光動作の開始又は待機を判断する。
このように、本実施形態によれば、例えば高い平面度のような所望の平面度でウエハWを吸着保持できる。また、本実施形態によれば、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態をより高精度に判定することができる。また、本実施形態によれば、ウエハWと吸着部WKとの間に異物があるような場合においても、ウエハWの吸着部WKに対する吸着状態をより高精度に判定することができる。また、本実施形態によれば、ウエハWを高い平面度で保持可能なので、マスクMのパターンをより高精度でウエハW上に露光することができる。
なお、上述の実施形態において、ウエハWの吸着部WKに対する吸着動作が完了したと判断された場合には、吸着部WK又はウエハW等における発熱量を低減させる等のために、吸着部WKに印加する電圧を下げてもよい。
また、上述の実施形態において検出される漏れ電流値は、印加する電圧や吸着部WKの形状、などによっても変化する場合があるので、上述の所定の漏れ電流値や所定の漏れ電流変化率は、必要に応じて、適宜設定されることが望ましい。
また、上述の実施形態における物体保持装置は、図11に示す如く、離散的に配置された複数の吸着部WKを用いる構成にしてもよい。この場合においても、本実施形態における物体保持装置は、複数の吸着部WKによってウエハWを静電吸着でき、所望の平面度でウエハWを保持することができる。
なお、上述の実施形態においては、本実施形態における物体保持装置によるウエハWの保持方法について説明したが、マスクMの保持方法についても方法、構成及び作用はウエハWの場合と同様又は同等なため、その説明は省略する。
また、本実施形態における投影光学系PLは、上述の6枚の非球面の各ミラーPM1〜PM6で構成される光学系に限られるものではなく、8枚のミラーや10枚のミラーなど、他の枚数のミラーからなる反射光学系を用いることもできる。
なお、本実施形態における露光装置に用いられるミラー(例えば、照明光学系ILS及び投影光学系PLの各ミラー)は、EUV光を反射させるために、反射面に多層膜が形成されている。例えば、この多層膜は、Mo/Si多層膜やMo/Be多層膜などで構成される。
また、本実施形態の光源装置1から射出されるEUV光(露光光)の波長は、高解像度を達成するために50nm以下とすることが望ましく、一例としては11.8nm又は13.5nmを使用することが望ましい。
また、本実施形態における照明光学系ILSは、マスクMのパターン面上の露光視野内を照明する構成であればよく、具体的な構成は特に制限されない。
なお、以上の説明においては、露光対象となる基板として半導体ウエハWを想定したが、露光対象となる基板は半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスク又はレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)、又はフィルム部材などであってもよい。また、その基板は、その形状が円形に限られるものではなく、矩形など他の形状でもよい。
また、本実施形態における露光装置の形態は、マスクMとウエハWとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)であってもよいし、マスクMとウエハWとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)であってもよい。
また、本実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることは言うまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が完了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に、本実施形態における露光装置を用いた電子デバイスの製造方法について説明する。
上記の実施形態の露光装置を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図12に示す如く、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ111、この設計ステップ111に基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ112、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造するステップ113、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板へ露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ114、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージング工程などの加工プロセスを含む)115、並びに検査ステップ116等を経て製造される。言い換えると、このデバイスの製造方法は、リソグラフィ工程を含み、そのリソグラフィ工程で上記の実施形態の露光装置を用いて感光性基板を露光している。
なお、上述のように本発明における実施形態の一例を説明したが、本発明は上述した全ての構成要素を適宜組み合わせて用いる事が可能であり、また、一部の構成要素を用いない場合もある。
本実施形態における露光装置の概要を示す図である。 本実施形態における物体保持装置の一例を示す図である。(A)は、本実施形態における物体保持装置の一例を示す図である。(B)は、本実施形態における物体保持装置の一例を示す上面図である。 本実施形態における物体保持装置の一例を示す図である。 本実施形態における物体保持装置による物体の保持方法についてのフローチャートの一例を表わす図である。 本実施形態における物体保持装置において、電圧印加後の漏れ電流の時間変化の一例を表わす図である。 本実施形態における物体保持装置による物体の保持方法についてのフローチャートの一例を表わす図である。 本実施形態における物体保持装置において、電圧印加後の漏れ電流の時間変化の一例を表わす図である。 本実施形態における物体保持装置による物体の保持方法についてのフローチャートの一例を表わす図である。 本実施形態における物体保持装置において、電圧印加後の漏れ電流の時間変化の一例を表わす図である。 本実施形態における物体保持装置において、電圧印加後の漏れ電流の時間変化の一例を表わす図である。 本実施形態における物体保持装置の一例を示す図である。 本実施形態における電子デバイスの製造方法の概要を示す図である。
符号の説明
1a・・・レーザ光源、1c・・・ターゲット供給用ノズル、1d・・・集光ミラー、M・・・マスク、W・・・ウエハ、MH・・・マスクホルダ、WH・・・ウエハホルダ、MK・・・マスク用の吸着部、WK・・・ウエハ用の吸着部、MC・・・主制御部、C1・・・マスク側の制御部、C2・・・ウエハ側の制御部

Claims (25)

  1. 物体を保持可能な物体保持装置において、
    前記物体を静電吸着させる吸着部と、
    前記吸着部に電圧を印加する電源部と、
    前記物体と前記吸着部とに流れる漏れ電流を検出する検出部と、
    前記漏れ電流の変化率に基づいて、前記物体の前記吸着部に対する吸着状態を判定する制御部と、
    を備えることを特徴とする物体保持装置。
  2. 前記制御部は、所定の漏れ電流変化率と検出された前記漏れ電流の変化率とを比較することで、前記吸着状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の物体保持装置。
  3. 前記制御部は、所定の漏れ電流値と検出された前記漏れ電流の値とを比較することで、前記吸着状態を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物体保持装置。
  4. 前記制御部は、前記漏れ電流と前記漏れ電流の変化率とから前記吸着部に印加する電圧を制御することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の物体保持装置。
  5. 前記吸着部を複数備えることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の物体保持装置。
  6. 前記吸着部を有し、前記物体を保持する保持部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の物体保持装置。
  7. 少なくとも一方向に移動可能な移動部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6に記載の物体保持装置。
  8. 物体を保持する物体保持方法において、
    前記物体を静電吸着させる吸着部に電圧を印加する電圧印加工程と、
    前記物体と前記吸着部とに流れる漏れ電流を検出する検出工程と、
    前記漏れ電流の変化率に基づいて、前記物体の前記吸着部に対する吸着状態を判定する判定工程と、
    を有することを特徴とする物体保持方法。
  9. 前記判定工程は、所定の漏れ電流変化率と検出された前記漏れ電流の変化率とを比較することで、前記吸着状態を判定することを含むことを特徴とする請求項8に記載の物体保持方法。
  10. 前記判定工程は、前記漏れ電流の変化率が前記所定の漏れ電流変化率以下の場合に、前記吸着部に対する前記物体の吸着動作が完了したと判定することを含むことを特徴とする請求項9に記載の物体保持方法。
  11. 前記判定工程は、所定の漏れ電流値と検出された前記漏れ電流の値とを比較することで、前記吸着状態を判定することを含むことを特徴とする請求項8〜請求項10の何れか一項に記載の物体保持方法。
  12. 前記漏れ電流と前記漏れ電流の変化率とから前記吸着部に印加する電圧を制御する制御工程を有することを特徴とする請求項8〜請求項11の何れか一項に記載の物体保持方法。
  13. 前記物体を前記吸着部に載置させる工程を有することを特徴とする請求項8〜請求項12の何れか一項に記載の物体保持方法。
  14. 第1面の像を第2面に投影露光する露光装置において、
    請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の物体保持装置を備えることを特徴とする露光装置。
  15. 前記吸着部における前記物体を静電吸着する面は、前記第1面又はその近傍面であることを特徴とする請求項14に記載の露光装置。
  16. 前記吸着部における前記物体を静電吸着する面は、前記第2面又はその近傍面であることを特徴とする請求項14に記載の露光装置。
  17. 第1面の像を第2面に露光する露光方法において、
    物体を静電吸着させる吸着部に電圧を印加し、前記物体と前記吸着部とに流れる漏れ電流を検出する第1工程と、
    前記漏れ電流の変化率に基づいて、前記物体の前記吸着部に対する吸着状態を判定する第2工程と、
    前記判定工程で判定された前記吸着状態に基づいて、前記第1面の像を前記第2面に露光する第3工程と、
    を有することを特徴とする露光方法。
  18. 前記第2工程は、所定の漏れ電流変化率と検出された前記漏れ電流の変化率とを比較することで、前記吸着状態を判定することを含むことを特徴とする請求項17に記載の露光方法。
  19. 前記第2工程は、前記漏れ電流の変化率が前記所定の漏れ電流変化率以下の場合に、前記吸着部に対する前記物体の吸着動作が完了したと判定することを含むことを特徴とする請求項18に記載の露光方法。
  20. 前記第3工程は、前記吸着状態が前記物体の吸着動作完了の場合に、前記第1面の像を前記第2面に露光することを含むことを特徴とする請求項17〜請求項19の何れか一項に記載の露光方法。
  21. 前記第2工程は、所定の漏れ電流値と検出された前記漏れ電流の値とを比較することで、前記吸着状態を判定することを含むことを特徴とする請求項17〜請求項20の何れか一項に記載の露光方法。
  22. 前記漏れ電流と前記漏れ電流の変化率とから前記吸着部に印加する電圧を制御する第4工程を有することを特徴とする請求項17〜請求項21の何れか一項に記載の露光方法。
  23. 前記第1面又はその近傍面に前記物体が配置され、
    前記第3工程は、前記物体に形成されたパターンを第2面に露光することを特徴とする請求項17〜請求項22の何れか一項に記載の露光方法。
  24. 前記第2面又はその近傍面に前記物体が配置され、
    前記第3工程は、第1面の像を前記物体上に露光することを特徴とする請求項17〜請求項22の何れか一項に記載の露光方法。
  25. 請求項14〜請求項16の何れか一項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
    露光された前記基板を現像する工程と、
    を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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