JP3902499B2 - 二成分現像用黒トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる二成分現像用黒トナー及び該黒トナーを含有した二成分現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式における複写機やプリンタでは、写真再現性を含む高画質化が要求されている。そこで、高画質化の観点から、低抵抗のカーボンブラックの代替として金属酸化物を黒色着色剤として使用することが提案されている(特開2000−10344号公報、特開平9−25126号公報、特開平4−144924号公報、特開平3−2276号公報等)。
【0003】
しかしながら、金属酸化物の黒色度は低く、カーボンブラックと同程度の黒色度を得ようとして、金属酸化物を多量に含有させると真比重の増加により、トナー飛散が生じる。さらに、網点再現性が不十分であり、先端引き(ベタ画像の先端部分に発生するスジ)も生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた黒色度を有し、トナー飛散が少なく、かつ網点再現性及び先端引きの防止にも優れた二成分現像用黒トナー及び該黒トナーを含有した二成分現像剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂及び黒色着色剤を含有してなり、樹脂被覆キャリアとともに使用される二成分現像用黒トナーであって、前記結着樹脂がポリエステルであり、前記黒色着色剤として、BET比表面積が10m2 /g以上であり、796kA/mの磁場を印加した際に0.5〜30.7Am2 /kgの磁化を示す磁気特性を有する、Ti、Mn、Fe、Cu、Mg及びAlからなる群より選ばれた2種以上の金属の複合酸化物を含有してなり、トナーの誘電正接(tanδ)が0.001〜0.006であり、反転現像に用いられる二成分現像用黒トナー、及び該二成分現像用黒トナーと、樹脂被覆キャリアとを含有してなる二成分現像剤に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、特定のBET比表面積を有する複合酸化物が黒色着色剤として含有されている点に大きな特徴を有する。本発明者らは、黒色着色剤の黒色度及び表面抵抗が、その比表面積の影響を受けることから、特定のBET比表面積を有する複合酸化物を使用することにより、優れた黒色度が得られ、かつトナー飛散の低減、網点再現性の改善及び先端引きの防止ができることを見出した。即ち、トナーの真比重が大きいと、現像の際にマグネットロール上でかかる遠心力の影響を受けてトナー飛散を生じるが、本発明では、BET比表面積の大きい複合酸化物を使用することにより、少量の添加量で十分な黒色度を確保することができるため、トナーの真比重を小さくすることができる。さらに適度な表面抵抗となるため、適度な帯電量及びシャープな帯電量分布のトナーとなり、トナー飛散の抑制、さらには網点再現性の向上及び先端引きの防止に寄与する。
【0007】
本発明における複合酸化物の、BET法により求められる比表面積、即ちBET比表面積は、複合酸化物を構成する金属の種類によっても異なるが、7m2 /g以上、好ましくは10m2 /g以上、より好ましくは15m2 /g以上、特に好ましくは30m2 /g以上、最も好ましくは40m2 /g以上であり、取り扱い性及び抵抗調整の観点から、好ましくは300m2 /g以下、より好ましくは200m2 /g以下、特に好ましくは100m2 /g以下である。
【0008】
複合酸化物の平均粒径は、BET比表面積及び隠蔽力の観点から、5nm〜1μmが好ましく、5〜450nmがより好ましく、5〜200nm特に好ましい。
【0009】
複合酸化物は、低磁性であるのが好ましく、非磁性であるのがより好ましい。。ここで、低磁性とは、796kA/m(10kOe)の磁場を印加した際に、0.1〜50Am2 /kg(emu/g)の磁化を示す磁気特性を有することをいい、また非磁性とは、796kA/mの磁場を印加した際に、0.1〜10Am2 /kgの磁化を示す磁気特性を有することをいう。
【0010】
本発明において、複合酸化物は、トナーの黒色度及び磁気特性の制御の観点から、少なくとも2種の金属により構成されている。特に、その少なくとも1種、好ましくは2種がチタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)又はマグネシウム(Mg)であるのが好ましく、これらの中では、Ti、Mn、Fe、Cu、Mg及びAlがより好ましく、Ti、Mn、Fe、Cu、Mg及びAlが特に好ましい。複合酸化物における金属の組成比は特に限定されない。
【0011】
複合酸化物の含有量は、トナーの黒色度及び比重の観点から、結着樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、3〜20重量部がより好ましく、6〜17重量部が特に好ましい。
【0012】
複合酸化物の製造方法としては、主酸化物を芯粒子とし、その表面に他の酸化物を付着させる方法(特開2000−10344号公報)、数種の酸化物を焼成して複合酸化物にする方法(特開平9−25126号公報) 等が挙げられるが、特に限定されない。
【0013】
本発明において好適な複合酸化物の市販品としては、「ダイピロキサイドブラックNo.1」、「ダイピロキサイドブラックNo.2」(以上、大日精化工業社製)、「HSB−603Rx」(戸田工業社製)、「ETB−200」(チタン工業社製)、「K−002」(戸田工業社製)、MCシリーズ(三井金属鉱業製)等が挙げられる。
【0014】
なお、本発明のトナーには、着色剤として前記複合酸化物以外の公知の着色剤が適宜含有されていてもよく、特にカーボンブラックと併用する際には、カーボンブラックの含有量を大幅に低減させることができる。
【0015】
本発明における結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、2種以上の樹脂成分が部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が挙げられ、特に限定されないが、これらの中では、着色剤の分散性及び転写性の観点から、ポリエステル及びポリエステル成分とスチレン−アクリル樹脂成分とを有するハイブリッド樹脂が好ましく、ポリエステルがより好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、50〜100重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましく、100重量%が特に好ましい。
【0016】
なお、ハイブリッド樹脂は、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーから得られたものであっても、さらに2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。
【0017】
ポリエステルの原料モノマーとしては、公知の2価以上のアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
【0018】
アルコール成分としては、式(I):
【0019】
【化1】
【0020】
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)で表される化合物が含有されていることが好ましい。
【0021】
式(I)で表される化合物としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。また、他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2 −プロピレングリコール、1,4 −ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられ、これらの1種以上を含有することが好ましい。
【0022】
式(I)で表される化合物のアルコール成分中の含有量は、5モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは100モル%が望ましい。
【0023】
また、2価のカルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、テトラプロペニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0024】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中ではトリメリット酸が好ましい。3価以上のカルボン酸成分のカルボン酸成分中の含有量は、5〜50モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
【0025】
ポリエステルは、例えば、アルコール成分、カルボン酸成分等を不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、減圧下で、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
【0026】
ポリエステルの酸価は、着色剤の分散性及び転写性の観点から、0.5〜60mgKOH/gが好ましく、水酸基価は、1〜60mgKOH/gが好ましい。
【0027】
また、ポリエステルの軟化点は、80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。
【0028】
本発明のトナーの誘電正接(tanδ)は、トナー中の複合酸化物の分散性、すなわちトナーの帯電特性の観点から、0.001〜0.006が好ましく、0.002〜0.004がより好ましい。トナーの誘電正接(tanδ)は、原料の種類、添加量、それらの予備混合時間や混練工程の各種条件の変更等により調整することができる。
【0029】
本発明のトナーには、トナー飛散を抑制するため、磁性粉が含有されていてもよい。磁性粉としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粉末等が挙げられ、磁性粉の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましい。
【0030】
さらに、本発明のトナーには、荷電制御剤、離型剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
【0031】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられるが、本発明のトナーは、複合酸化物の分散性、ひいては帯電均一性の観点から、正帯電性荷電制御剤を含有した正帯電性トナーであるのが好ましい。
【0032】
本発明のトナーの製造方法は、混練粉砕法、重合法、転相法等の従来より公知のいずれの方法であってもよいが、例えば、混練粉砕法による粉砕トナーの場合、結着樹脂、着色剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で均一に予備混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒子径は、3〜15μmが好ましい。さらに、トナーの表面には、疎水性シリカ等の流動性向上剤等が外添剤として添加されていてもよい。
【0033】
本発明のトナーは、キャリアとともに使用して二成分現像剤として用いられる。キャリアはコア材の表面を樹脂で被覆した樹脂被覆キャリアが好ましい。コア材は、球状、定形、不定形のいずれであってもよく、その材質としては、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられ、これらの中ではマグネタイト及びフェライトが好ましく、フェライトがより好ましい。
【0034】
コア材の表面を被覆する樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の被覆剤で被覆されていてもよいが、これらの中では、表面エネルギーの低いフッ素樹脂及びシリコーン樹脂が好ましく、正帯電性トナーと併用する場合、キャリアは負帯電化されることから、電気陰性度の高いフッ素樹脂がより好ましい。
【0035】
フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピレン等のパーフルオロポリマー;アクリル酸、トリフルオロクロルエチレン、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等の少なくとも1種とフッ化ビニリデンとの共重合体等のフッ化ビニリデン系フッ素樹脂等が挙げられる。
【0036】
本発明では、被覆剤がフッ素樹脂である場合、コア材に対する付着強度を高めて、キャリアの耐久性を向上させる点から、さらに、アクリル樹脂が含有されているのが好ましい。なお、アクリル樹脂とは(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル及びスチレン誘導体から選ばれた1種以上のモノマーを主成分とする(共)重合体が好ましく、スチレン、メチルメタクリレート及びブチルアクリレートの1種以上を主成分とする(共)重合体がより好ましく、メチルメタクリレートを主成分とする(共)重合体が特に好ましい。
【0037】
なお、樹脂中には、荷電制御剤、着色剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
【0038】
コア材を被覆する樹脂中、フッ素樹脂は50重量%以上含有されていることが好ましく、さらにアクリル樹脂が含有されている場合、アクリル樹脂の含有量は、フッ素樹脂100重量部に対して、25〜100重量部が好ましく、40〜90重量部がより好ましく、50〜80重量部が特に好ましい。
【0039】
樹脂によるコア材の被覆は、例えば、樹脂を有機溶剤等に溶解し、浸漬や噴射等でキャリア表面に塗布した後、乾燥や加熱硬化等を行って皮膜させることにより行うことができる。
【0040】
キャリアの体積平均粒子径は、50〜200μmが好ましく、60〜150μmがより好ましく、70〜130μmが特に好ましい。
【0041】
トナーとキャリアとを混合して二成分現像剤とする際の、トナーとキャリアの重量比(トナー/キャリア)は、0.5/100〜8/100が好ましく、1/100〜6/100がより好ましい。
【0042】
本発明の二成分現像用黒トナーは、黒色度が高く、トナー飛散も少なく、微細な網点の再現性に優れ、先端引きも防止されることから、正転現像のみならず、反転現像にも好適に用いることができる。
【0043】
さらに、本発明の二成分現像用黒トナーは、イエロー、シアン、マゼンタ等の着色剤の抵抗と類似しているために、フルカラー画像の形成にも好適に用いられる。
【0044】
【実施例】
〔複合酸化物のBET比表面積〕
窒素吸着法により測定する。
【0045】
〔複合酸化物の磁気特性〕
(1) 外径7mm、高さ5mmの蓋付プラスティックケースに複合酸化物をタッピングしながら充填し、プラスティックケースの重量と複合酸化物を充填したプラスティックケースの重量の差から、複合酸化物の質量を求める。
(2) 理研電子(株)の磁気特性測定装置「BHV−50H」(V.S.MAGNETOMETER)のサンプルホルダーに複合酸化物を充填したプラスティックケースをセットし、バイブレーション機能を使用して、プラスティックケースを加振しながら、磁界を印加して磁気特性を測定する。得られた値は充填された複合酸化物の質量を考慮し、単位質量当たりの磁気特性に換算する。
【0046】
〔樹脂の軟化点〕
ASTM D36−86の方法により測定する。
【0047】
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて昇温速度10℃/分で測定する。
【0048】
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法により測定する。
【0049】
〔トナーの誘電正接〕
トナー5gを内径59mmの打錠用プレス金型に表面が均一になるように投入し、かかる金型を電動式試料成形機(C/N:9302/30、前川試験器社製)にセットし、付属のブルドン管荷重計の目盛りで10トンの加圧を10秒間行なうことにより、直径59mm、厚さ約1.7mmのトナーペレットを得る。
得られたトナーペレットをプレシジョン LCRメーター;HP4284及び誘電体測定用電極;HP16451B(使用電極:電極A)(ともに、横川ヒューレットパッカード社製)を用い、温度25℃、湿度50%の環境下で1kHzにおけるトナーペレットの誘電正接を測定する。
【0050】
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン735g、ポリオキシエチレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン293g、イソフタル酸280g、イソオクテニルコハク酸60g、トリメリット酸72g及びジブチル錫オキシド2gを、窒素気流下、230℃にて真空下、攪拌しつつ反応させた。軟化点が136℃に達した時点で反応を終了した。得られた樹脂を樹脂Aとする。樹脂Aは淡黄色の固体であり、ガラス転移点は63℃、酸価は3.1mgKOH/g、水酸基価は35.2mgKOH/gであった。
【0051】
樹脂製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン900g、ネオペンチルグリコール250g、テレフタル酸580g、無水トリメリット酸130g及びジブチル錫オキシド2gを、窒素気流下、230℃にて真空下、攪拌しつつ反応させた。酸価により重合度を追跡し、酸価が10.2mgKOH/gに達した時点で反応を終了した。得られた樹脂を樹脂Bとする。樹脂Bは淡黄色の固体であり、ガラス転移点は66℃、軟化点は145℃、酸価は10.2mgKOH/g、水酸基価は45.2mgKOH/gであった。
【0052】
樹脂製造例3
キシレン550gに、窒素雰囲気下、135℃でスチレン800g、n−ブチルアクリルレート300g及びジクミルパーオキサイド26gの混合物を1時間かけて滴下し、さらに2時間熟成した。その後、減圧下でキシレンを除去し、樹脂Cを得た。樹脂Cは白色の固体であり、ガラス転移点は65℃、軟化点は138℃であった。
【0053】
キャリア製造例1
市販のマグネタイトコアキャリア1000重量部に対し、フッ素樹脂「HYLAR301F」(アウジモンド社製)6重量部、アクリル樹脂「ダイヤナールBR−80」(三菱レイヨン(株)製)4重量部にメチルエチルケトンを加え、コア材を被覆するための樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液を流動コーティング装置を用いて、前記コア材にスプレーコートした。その後、流動層にて、100℃で60分間の熱処理を行い、平均粒子径110μmの樹脂被覆マグネタイトキャリアAを得た。
【0054】
実施例1〜12、比較例1〜4(実施例5、9、10は参考例である)
荷電制御剤「ボントロン N−01」(オリヱント化学工業社製)2重量部、離型剤「ビスコール660P」(三洋化成社製)1.5重量部、及び表1に示す原料を、ヘンシェルミキサーにて表1に示す時間予備混合した後、二軸押出機で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級工程を経て、体積平均粒子径が10μmの粉体を得た。
【0055】
得られた粉体100重量部に、疎水性シリカ「HVK2150」(クラリアント社製)0.3重量部をヘンシェルミキサーにより混合付着させ、トナーを得た。
【0056】
得られたトナー39重量部と樹脂被覆マグネタイトキャリアA1261重量部とをナウターミキサーで混合し、二成分現像剤を得た。
【0057】
【表1】
【0058】
試験例1
接触現像方式の「Infoprint4000ISl」(日本アイ・ビー・エム株式会社製、線速:1066mm/sec、解像度:240dpi、現像システム:3本マグネットロール、セレン感光体、反転現像)に現像剤を実装し、2.5cm四方のベタ画像を含む、黒化率が8%のプリントパターンを、11×18インチの連続紙を用いて、100万枚の連続印刷を行った後、以下に示す方法で、帯電量、画像濃度、トナーの飛散量を測定し、網点再現性及び先端引きの発生の程度を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
〔帯電量〕
Q/Mメーター(エッピング社製)を用いて測定する。Q/Mメーター付属のセルに規定量の現像剤を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引する。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、〔90秒後の総電気量(μC)/ 吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)として算出する。
【0060】
〔画像濃度〕
「Model 938 Spectrodensitometer 」(X−Rite社、アパチャー;20mm、測定モード;Yxy、光源;D65、視野角;10degree)を用いて、印刷済み用紙の黒ベタ部を測定し、
画像濃度=log(1/Y)
の値を求める。
【0061】
〔トナーの飛散量〕
デジタル粉塵計「P−5型」(柴田科学器械工業社製)のファンスイッチをオンにし、測定時間を1分に設定して、プリンタのマグネットロール上部に該粉塵計から延長したホースを設置し、連続印刷時にトナーの飛散量を測定する。
【0062】
〔網点再現性〕
網点イメージの印刷を行い、顕微鏡(倍率:125倍)にてイメージの再現性を確認した。顕微鏡観察において、再現性、形、飛び散り等を目視にて総合的に判断し、最も高い評価をランク5、最も低い評価をランク1として、網点再現性のレベルを1〜5に等間隔にランク付けする。実使用上許容され得る評価はランク3以上である。なお、実施例1と比較例2の網点イメージ画像の顕微鏡写真を図1(ランク5)、図2(ランク2)に示す。
【0063】
〔先端引き〕
2.5cm四方のベタ画像の先端部分に発生する先端引きを、顕微鏡(倍率:125倍)にて観察し、先端引きの程度を総合的に判断し、最も高い評価をランク5、最も低い評価をランク1として、先端引きの程度を1〜5に等間隔にランク付けする。実使用上許容され得る評価はランク2以上である。なお、実施例11と比較例4の顕微鏡写真を図3(ランク5)、図4(ランク1)に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
以上の結果より、実施例1〜12は画像濃度が目標とされる1.2以上を有しており、黒トナーとしての黒色度を十分確保している。また、トナーの飛散量についても、目標レベル50個/分と比べて、いずれも低い結果となっており、網点再現性も良好である。また、先端引きについては、Fe、Mg及びAlからなる複合酸化物を含有した実施例11及びFe及びTiからなる複合酸化物を含有した実施例12が特に良好であり、実施例1〜4がそれに次ぐ結果となっている。なかでも、実施例7では複合酸化物とカーボンブラックを併用していることから、帯電量が低下すると共に、帯電量分布がブロードになり、帯電量の少ないトナーによるトナー飛散が若干生じており、先端引きもやや発生しているが、実施例8ではさらにマグネタイト磁性粉を添加していることから、トナーの飛散量がより低下していることが分かる。実施例9ではスチレン−アクリル樹脂を使用してるために、トナー飛散量がやや多く、網点再現性もやや低下し、先端引きもやや発生している。実施例10では、誘電正接値がやや高く、複合酸化物の分散性が若干低下して部分的に凝集しているため、表面抵抗の低下により帯電量が低下すると共に帯電量分布がブロードになり、帯電量の少ないトナーによるトナー飛散がやや増加しており、先端引きもやや発生している。
【0066】
一方、比較例1、2では、比表面積の小さい複合酸化物を使用しているために、黒色度が不足し、画像濃度が低く、また、表面抵抗が高すぎ、帯電の立ち上がりが遅くなり、帯電量が低下かつブロードになり、トナー飛散が生じ、網点再現性及び先端引きに欠ける結果となっている。比較例3では、比較例2で使用した複合酸化物の使用量を増加した結果、画像濃度は目標値を確保できたが、トナーの真比重の増加によりトナーの飛散量も増加し、網点再現性及び先端引きにも欠けている。比較例4では黒色着色剤としてカーボンブラックのみを使用しているため、画像濃度には問題がないものの、帯電量が低く、帯電量分布がブロードであるために、帯電量の低いトナーによる飛散が生じ、さらにトナー表面が低抵抗であるため、現像バイアスがリークしやすいことから、現像及び転写工程でトナー画像がくずれ、網点再現性が悪化し、先端引きも発生している。
【0067】
【発明の効果】
本発明により、優れた黒色度を有し、かつトナー飛散の生じ難い二成分現像用黒トナー及び該トナーを含有した二成分現像剤を提供することができる。さらに、本発明のトナー及び二成分現像剤は微細な網点の再現性及び先端引きの防止にも優れることから、反転現像法にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本明細書の実施例1のトナーを用いて得られた網点イメージ画像の顕微鏡写真である。
【図2】図2は、本明細書の比較例2のトナーを用いて得られた網点イメージ画像の顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本明細書の実施例11のトナーを用いて得られた先端引きの顕微鏡写真である。
【図4】図4は、本明細書の比較例4のトナーを用いて得られた先端引きの顕微鏡写真である。
Claims (2)
- 結着樹脂及び黒色着色剤を含有してなり、樹脂被覆キャリアとともに使用される二成分現像用黒トナーであって、前記結着樹脂がポリエステルであり、前記黒色着色剤として、BET比表面積が10m2 /g以上であり、796kA/mの磁場を印加した際に0.5〜30.7Am2 /kgの磁化を示す磁気特性を有する、Ti、Mn、Fe、Cu、Mg及びAlからなる群より選ばれた2種以上の金属の複合酸化物を含有してなり、トナーの誘電正接(tanδ)が0.001〜0.006であり、反転現像に用いられる二成分現像用黒トナー。
- 請求項1記載の二成分現像用黒トナーと、樹脂被覆キャリアとを含有してなる二成分現像剤。
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