JP3902282B2 - 高純度グリセリンの製造方法 - Google Patents

高純度グリセリンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度グリセリンの製造方法に関する。さらに詳しくは、グリセリン液から高純度を有するグリセリンを製造しうる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粗グリセリン液を精製する方法としては、粗グリセリン液を蒸留することによって精製するグリセリンの処理方法が知られている(特開昭60−109534号公報)。
【0003】
しかしながら、前記処理方法では、高温で処理する必要があるため、得られる精製グリセリンの色調、熱安定性等の品質が低下するという欠点がある。
【0004】
また、油脂にメタノールをアルカリ触媒の存在下で反応させてメチルエステルを製造する際に副生する、過剰のアルカリおよび石鹸を含有する粗グリセリン液からグリセリンを製造する方法としては、特開昭51−136607号公報、特開平2−34692号公報などに記載の方法が知られている。これらの方法には、石鹸を含有する粗グリセリン溶液に酸を添加して石鹸を分解させ、次いで副生した無機塩を濾過等の方法により分離し、さらにその後、過剰のメタノールを蒸留等により除去するという手法が採られている。
【0005】
これらの方法によれば、確かに、粗グリセリン液に含有された石鹸を除去することができるという利点がある。
【0006】
しかしながら、近年、前記精製されたグリセリンにおいても、紫外線吸着物質の含有量の低減や、より一層の純度の向上が待ち望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記要望に応えんとするものであり、良好な色相を有し、しかも紫外線吸収物質の含有量が少なく、高純度を有し、さらに臭気を発生しないという、優れた品質を有する高純度グリセリンを製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1) 天然油脂をエステル交換、加水分解またはケン化させることによって得られたグリセリン液から高純度グリセリンを製造する方法であって、アルカリ性条件下で前記グリセリン液に活性炭による吸着処理を施すことを特徴とする高純度グリセリンの製造方法、
(2) あらかじめ中性または酸性条件下でグリセリン液に吸着処理を施した後、アルカリ性条件下で該グリセリン液に活性炭による吸着処理を施す前記(1)記載の高純度グリセリンの製造方法、
(3) あらかじめグリセリン液に吸着剤を添加し、該グリセリン液を中性または酸性に調整し、ついで吸着処理を施した後、アルカリ性条件下で該グリセリン液に活性炭による吸着処理を施す前記(1)または(2)記載の高純度グリセリンの製造方法、
(4) アルカリ性条件下でグリセリン液に活性炭による吸着処理を施す工程が、グリセリン液をアルカリ性に調整した後、該グリセリン液にアルカリ処理を施し、ついで活性炭による吸着処理を施すことからなる前記(1)〜(3)いずれか記載の高純度グリセリンの製造方法、
(5) グリセリン液のpHが9〜12となるように、グリセリン液にアルカリを添加する前記(4)記載の高純度グリセリンの製造方法、ならびに
(6) アルカリ処理を、グリセリン液を攪拌または曝気することによって行なう前記(4)または(5)記載の高純度グリセリンの製造方法
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のグリセリンの精製方法は、前記したように、天然油脂をエステル交換、加水分解またはケン化させることによって得られたグリセリン液から高純度グリセリンを製造する方法であって、アルカリ性条件下で前記グリセリン液に吸着処理を施すことを特徴とする。
【0010】
一般に、化粧品原料規格および日本薬局方規格のグリセリンを製造する際には、あらかじめ前処理によって粗グリセリン液から油分、無機物などをできるだけ除去したのち、蒸留、イオン交換樹脂などにより、該粗グリセリン液に有まれている微量の不純物を除去する方法が採られている。
【0011】
かかる方法によれば、確かに、比較的高純度を有するグリセリンが得られるが、臭気が発生したり、紫外線吸収物質が残存することがある。
【0012】
これに対して、本発明の高純度グリセリンの製造方法によれば、前記グリセリンが発する臭気を除去することができ、しかも紫外線吸収物質の含有量を大幅に低減させることができる。
【0013】
このように、本発明の高純度グリセリンの製造方法によれば、これらの優れた性質を有する高純度グリセリンが得られるのは、本発明においては、アルカリ性条件下で前記グリセリン液に吸着処理を施すという操作が採られていることに基づく。すなわち、本発明においては、グリセリン液がアルカリ性に調整された状態で、活性炭などの吸着剤による処理が施されるので、かかる吸着剤による吸着処理の際に、紫外線吸収物質および臭気物質が効率よく吸着除去される。
【0014】
特に、本発明において、アルカリ性条件下でグリセリン液に吸着処理を施す前に、あらかじめ中性または酸性条件下でグリセリン液に吸着処理を施した場合には、得られるグリセリンの純度がより一層高まり、しかもその臭気の低減も図られるという利点がある。
【0015】
本発明に用いられるグリセリン液は、天然油脂をエステル交換、加水分解またはケン化させることによって得られたグリセリン液であればよく、特に限定がない。
【0016】
例えば、メチルエステルの製造の際に副生する粗グリセリン液を用いる場合には、該粗グリセリン液には、油脂およびその反応中間体、石鹸、メチルエステルなどが含まれているので、石鹸を中和した後、これらの不純物をあらかじめ常法により分離、除去することによって得られるグリセリン液を用いることが好ましい。
【0017】
また、脂肪酸を製造する際に副生する粗グリセリン液を用いる場合には、該粗グリセリン液には、油脂およびその反応中間体、脂肪酸などが含まれているので、不溶性の油分を分離した後、常法により、溶解しているこれらの不純物を分離、除去することによって得られるグリセリン液を用いることが好ましい。
【0018】
また、油脂を直接ケン化させ、石鹸を製造する際に副生する粗グリセリン液を用いる場合には、該粗グリセリン液には、油脂およびその反応中間体、石鹸などが含まれているので、石鹸を中和させた後、常法により、これらの不純物を分離、除去することによって得られるグリセリン液を用いることが好ましい。
【0019】
次に、アルカリ性条件下でグリセリン液に吸着処理を施す。具体的には、例えば、グリセリン液に吸着剤を添加して混合する方法(バッチ式生産法)などによってグリセリン液と吸着剤とを接触させることにより、吸着処理を施すことができる。
【0020】
さらに高純度を有する高純度のグリセリンを得るためには、前記吸着処理の後、常法により、例えば、カチオン樹脂、アニオン樹脂およびこれらの混合樹脂がそれぞれ充填されたイオン交換カラムに、前記吸着処理が施されたグリセリン液を通液させて精製し、さらに蒸留によって濃縮させることが好ましい。
【0021】
前記アルカリ性条件下でグリセリン液に吸着処理を施す工程は、グリセリン液に吸着剤を存在させ、該グリセリン液を、例えば、攪拌することで行なわれる吸着処理をアルカリ性の状態で行なうことを意味し、該グリセリン液は、吸着処理前または吸着処理中にアルカリ性の状態となっていればよい。具体的には、必要に応じ、グリセリン液を所定のアルカリ性に調整した後、該グリセリン液を攪拌することで行なわれるアルカリ処理を施し、ついで吸着剤を添加して吸着処理を施す方法、あるいは吸着剤をグリセリン液に添加した後、該グリセリン液にアルカリを添加し、該グリセリン液をアルカリ性とし、ついで吸着処理を施す方法などがあげられる。これらの方法のなかでは、前者の方法は、グリセリン液に不純物として微量のエステル類が含まれている場合、かかるアルカリ処理によって該エステル類のケン化が進行し、該エステル類の含有量を減少させることができるため、より一層高純度を有するグリセリンを収得することができるという利点があるので、特に好ましい方法である。
なお、後者の方法においては、吸着処理と同時にアルカリ処理が施されることになる。
【0022】
また、グリセリン液をアルカリ性とした後に、該グリセリン液にアルカリ処理を施す方法としては、グリセリン液にアルカリを添加した後、該グリセリン液が均質となるように調整することができればよく、本発明においては特に限定がないが、例えば、グリセリン液を攪拌する方法、曝気する方法などは、本発明において好適に使用しうる方法である。
【0023】
グリセリン液に添加されるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどがあげられ、これらは、単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
グリセリン液のpHは、紫外線吸収物質および臭気物質の除去の観点から、9以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは10.5以上であることが望ましく、またアルカリの量が多くなりすぎると、必然的にコスト高となるので、12以下、好ましくは11.5以下であることが望ましい。したがって、本発明においては、前記グリセリン液がかかるpHを有するように、該グリセリン液にアルカリを添加することが好ましい。
【0025】
グリセリン液にアルカリ条件下で吸着処理を施す際に用いられる吸着剤として、例えば、各種活性炭をはじめ、協和化学工業(株)製、商品名:キョワード300、700などの合成吸着剤、東洋曹達工業(株)製、商品名:TSZ−300、600(Na型)などの合成ゼオライトなどを用いることができる。
【0026】
これらの吸着剤のなかでは、細孔の表面積が著しく大きく、吸着力が大きいことから、活性炭が好ましい。かかる活性炭の種類については特に規定がなく、一般に使用されている脱色用または水処理用の粉末ないし粒状活性炭であればよい。前記活性炭の粒子径は、特に限定がなく、通常、粉末活性炭では10〜100μm程度、粒状活性炭では500〜5000μm程度であればよい。
【0027】
なお、グリセリン液に吸着処理を施す方法としては、グリセリン液に吸着剤を添加し、攪拌するバッチ式生産法以外に、例えば、充填塔を用い、かかる充填塔内に吸着剤を充填したのち、該充填塔内にグリセリン液を連続的に注液する方法などを用いることができる。
【0028】
吸着処理時のグリセリン液の液温は、冷却装置を必要としない点、および加圧装置を必要とせず、また吸着剤が活性炭の場合にはアルカリ焼けにより色相が悪化することを防止する点から、20℃〜沸点近傍の温度であることが好ましい。かかる液温は、30〜70℃であることがより好ましく、また35〜60℃であることが特に好ましい。
【0029】
吸着処理時の処理時間は、特に限定がない。通常、かかる処理時間は、処理を十分に行なう点および生産性の点から、0.2〜3時間程度であることが好ましく、0.5〜2時間程度であることがより好ましく、1〜2時間程度であることがさらに好ましい。
【0030】
また、バッチ式生産法による吸着処理を行なった場合、グリセリン液には、吸着剤が含まれているので、適宜、濾過を行なうことにより、該吸着剤を除去することが好ましい。
【0031】
なお、グリセリン液をアルカリ性に調整してアルカリ処理を施した後、吸着処理を施す場合、グリセリン液にアルカリ処理を施す際の処理温度は、40℃〜沸点近傍の温度であることが好ましく、50〜100℃であることがより好ましく、70〜90℃であることが特に好ましい。なお、アルカリ処理の時間は、特に限定がないが、通常、処理を十分に行なう点および生産性の点から、0.2〜3時間程度であり、好ましくは0.5〜2時間、より好ましくは1〜2時間程度である。
【0032】
なお、本発明においては、前記したように、アルカリ性条件下でグリセリン液に吸着処理を施すが、かかる吸着処理に先立って、あらかじめ中性または酸性条件下でグリセリン液に吸着処理を施すことが好ましい。
【0033】
前記中性または酸性条件下でグリセリン液に吸着処理を施すとは、グリセリン液に吸着剤を存在させ、該グリセリン液を例えば、攪拌することで行なわれる吸着処理を中性または酸性の状態で行なうことを意味し、該グリセリン液は、吸着処理前または吸着処理中に中性または酸性となっていればよい。具体的には、必要に応じてグリセリン液を中性または酸性とした後、吸着剤を添加して吸着処理を施す方法、あらかじめグリセリン液に吸着剤を添加し、該グリセリン液を中性または酸性とし、ついで吸着処理を施す方法などがあげられる。これらの方法のなかでは、グリセリン液のpHが、添加する吸着剤の種類によっては変化することがあるので、後者の方法を採用することが好ましい。
【0034】
本発明においては、このように、あらかじめ中性または酸性条件下でグリセリン液に吸着処理を施した場合には、得られる高純度グリセリンに含有される紫外線吸収物質の含有量のより一層の低減および臭気の発生のさらなる防止を図ることができる。
【0035】
グリセリン液を中性または酸性に調整するために添加される酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸などがあげられ、これらは、単独でまたは2種以上併用することができる。
【0036】
中性または酸性に調整されたグリセリン液のpHは、例えばメチルエステル、脂肪酸などの有機物の吸着、除去効率を高めるために、2以上、好ましくは3以上であることが望ましく、また例えばメチルエステル、脂肪酸などの有機物がケン化されて溶解度が高くなって吸着除去することが困難となるのを回避するために、7以下、好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下であることが望ましい。
【0037】
中性または酸性条件下でグリセリン液に吸着処理を施す際に用いられる吸着剤としては、前記で詳述した吸着剤と同様のものを用いることができる。加えて、吸着処理の方法、吸着処理時のグリセリン液の液温、吸着処理時間およびグリセリン液と吸着剤の分離も前記で詳述した方法、条件と同様に行なうことができる。
【0038】
かくして、あらかじめ、グリセリン液に中性または酸性条件下で吸着処理を施すことができる。
【0039】
かくして、本発明の高純度グリセリンの製造方法によって得られたグリセリンは、99.9%(スリーナイン)以上という極めて高い純度を有し、また臭気を発生せず、しかも紫外線吸収物質を殆ど含有しないという高品質を有するものである。
【0040】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
製造例1
パーム核油をメタノールとエステル交換反応させることによって得られた粗グリセリン液を攪拌下、50℃に加熱した後、硫酸を添加してpHを4.5に調整した。
【0042】
次に、かかる粗グリセリン液から常法によりメタノールを回収した後、不溶化した油分を静置分層で分離してグリセリン液を得た。
【0043】
このグリセリン液に残存している油分および無機塩類を次の蒸留工程で除去するために、水酸化ナトリウムを添加し、pHを11に調整した。
【0044】
次に、このグリセリン液を60℃で1時間攪拌することにより、ケン化処理を施し、100〜150mmHgの減圧下で100℃まで加熱して水を蒸留した後、留分受器を切り換え、3mmHg以下の減圧下で160℃まで加熱してグリセリンを蒸留した。この留分であるグリセリンをイオン交換水で希釈し、グリセリン濃度が50重量%のグリセリン液(pH:4.5)を得た。
【0045】
得られたグリセリン液の純度は98.0%、紫外線吸光度は1.26(−)であった。この得られたグリセリン液を以下の実施例および比較例に使用した。
【0046】
実施例1
製造例1で得られたグリセリン液のpHを水酸化ナトリウムで11に調整し、80℃で60分間攪拌してアルカリ処理を行なった。
【0047】
次に、この処理を行なったグリセリン液に粉末活性炭(太平化学産業(株)製、商品名:MA2)をグリセリン液100重量部に対して0.5重量部の割合で添加し、50℃で60分間攪拌して吸着処理を行なった後、濾過することによって活性炭を分離した。
【0048】
次に、イオン交換カラムとして、カチオン樹脂カラム(カラムの内径:19mm、長さ:500mm、カチオン樹脂:ローム・アンド・ハース社製、商品名:DOULITE C−20、樹脂充填量:100cc)、アニオン樹脂カラム(カラムの内径:26mm、長さ:500mm、アニオン樹脂:ローム・アンド・ハース社製、商品名:DOULITE A−102D、樹脂充填量:170cc)およびアニオン樹脂・カチオン樹脂混合カラム(カラムの内径:19mm、長さ:400mm、カチオン樹脂:ローム・アンド・ハース社製、商品名:DOULITE C−20、アニオン樹脂:ローム・アンド・ハース社製、商品名:DOULITE A−102D、樹脂充填量:カチオン樹脂20cc、アニオン樹脂40cc)を用い、かかるカラムの順に、前記グリセリン液2リットルを通液させた。
【0049】
なお、前記樹脂カラムに通液するに先立って、前記カチオン樹脂カラムに5%塩酸水を所定量流し、またアニオン樹脂カラムに4%水酸化ナトリウム水溶液を所定量流した後、十分に水洗を行ない、樹脂の再生を行なった。またアニオン樹脂・カチオン樹脂混合カラムには、アニオン樹脂およびカチオン樹脂に、それぞれ前記再生処理を施したものを混合して充填した。
【0050】
通液を終えたのち、グリセリン液から蒸留によって水を除去し、精製グリセリンを得た。
【0051】
得られた精製グリセリンの物性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
【0052】
(1)純度
JIS K−3351「グリセリン分(メタ過ヨウ素酸法)」に準拠し、精製グリセリンの純度を調べた。
【0053】
(2)紫外線吸光度
精製グリセリンを測定セルに注入し、280nmの波長における吸光度を吸光度計〔(株)島津製作所製、型式UV−1600〕を用いて測定した。
【0054】
(3)色相
JIS K−3351「工業用グリセリン」の測定法に準拠して行なった。すなわち、精製グリセリンを比色管に採り、ハーゼン標準液と比色し、色数をハーゼン標準液の番号で表した。
【0055】
(4)臭気
精製グリセリン100gを150ml容の蓋付きガラス瓶に入れ、60℃の温浴に10分間浸漬した後、10人のパネラーに臭気の評価をしてもらった。その判定基準は、以下のとおりである。
【0056】
〔判定基準〕
A:ほぼ無臭
B:ごく僅かに異臭あり
C:僅かに異臭あり
D:異臭あり
【0057】
(5)pH
グリセリンの液性が中性であることから、得られた精製グリセリンをイオン交換水(煮沸し、pHを6〜6.5に調整)で希釈し、グリセリン濃度33.3重量%の水溶液を用いてそのpHを調べた。
【0058】
(6)水分量
JIS K−3351「工業グリセリン」に準じ、カールフィシャー法によって水分量を測定した。
【0059】
実施例2
製造例1で得られたグリセリン液に、粉末活性炭(太平化学産業(株)製、商品名:MA2)をグリセリン液100重量部に対して0.5重量部の割合で添加し、ついで硫酸で該グリセリン液のpHを4.5に調整した後、50℃で60分間攪拌して吸着処理を行なった後、濾過によって活性炭の分離を行なった。
【0060】
その後、前記吸着処理を施したグリセリン液のpHを水酸化ナトリウムで11に調整し、80℃で60分間攪拌してアルカリ処理を行なった。
【0061】
次に、この処理を行なったグリセリン液に、粉末活性炭(太平化学産業(株)製、商品名:MA2)をグリセリン液100重量部に対して0.5重量部の割合で添加し、50℃で60分間攪拌して吸着処理を行なった後、濾過することによって活性炭を分離し、ついで実施例1と同様にしてイオン交換樹脂カラムに通液し、蒸留によって水を除去し、精製グリセリンを得た。
【0062】
得られた精製グリセリンの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0063】
実施例3
製造例1で得られたグリセリン液に、合成吸着剤(協和化学工業(株)製、商品名:キョワード)をグリセリン液100重量部に対して3重量部の割合で添加したほかは、実施例2と同様にして処理を行なった。
【0064】
得られた精製グリセリンの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0065】
比較例1
製造例1で得られたグリセリン液2リットルを実施例1と同様にしてイオン交換樹脂カラムに通液した後、蒸留により、水を除去して精製グリセリンを得た。
【0066】
得られた精製グリセリンの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0067】
比較例2
比較例1において、製造例1で得られたグリセリン液に、粉末活性炭(太平化学産業(株)製、商品名:MA2)をグリセリン液100重量部に対して0.5重量部の割合で添加し、50℃で60分間攪拌して吸着処理を行なった後、濾過によって活性炭を除去した以外は、比較例1と同様にして処理を行なった。
【0068】
得られた精製グリセリンの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0003902282
【0070】
表1に示された結果から、実施例1〜3の製造方法によれば、色相にすぐれ、臭気の発生がほとんどなく、99.9%以上の高純度を有するグリセリンを収得することができることがわかる。
【0071】
また、実施例1〜3の製造方法によれば、紫外線吸光度が比較例1〜2と対比して格段に低く、紫外線吸収物質の含有量が非常に少ない高純度グリセリンを収得することができることがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明の高純度グリセリンの製造方法によれば、色相に優れ、臭気をほとんど発生せず、紫外線吸収物質の含有量が少なく、高品質を有するグリセリンを高純度で製造することができるという、優れた効果が奏される。

Claims (6)

  1. 天然油脂をエステル交換、加水分解またはケン化させることによって得られたグリセリン液から高純度グリセリンを製造する方法であって、アルカリ性条件下で前記グリセリン液に活性炭による吸着処理を施すことを特徴とする高純度グリセリンの製造方法。
  2. あらかじめ中性または酸性条件下でグリセリン液に吸着処理を施した後、アルカリ性条件下で該グリセリン液に活性炭による吸着処理を施す請求項1記載の高純度グリセリンの製造方法。
  3. あらかじめグリセリン液に吸着剤を添加し、該グリセリン液を中性または酸性に調整し、ついで吸着処理を施した後、アルカリ性条件下で該グリセリン液に活性炭による吸着処理を施す請求項1または2記載の高純度グリセリンの製造方法。
  4. アルカリ性条件下でグリセリン液に活性炭による吸着処理を施す工程が、グリセリン液をアルカリ性に調整した後、該グリセリン液にアルカリ処理を施し、ついで活性炭による吸着処理を施すことからなる請求項1〜3いずれか記載の高純度グリセリンの製造方法。
  5. グリセリン液のpHが9〜12となるように、グリセリン液にアルカリを添加する請求項4記載の高純度グリセリンの製造方法。
  6. アルカリ処理を、グリセリン液を攪拌または曝気することによって行なう請求項4または5記載の高純度グリセリンの製造方法。
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