JP2005171137A - α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法 - Google Patents

α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 漂白工程を簡略化または省略化しつつ、着色が抑制された上で臭気が改善され、さらに洗浄力に優れたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法を提供する。
【解決手段】 脂肪酸アルキルエステルから極性不純物を除去して精製脂肪酸アルキルエステルを得る原料精製工程と、精製脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化するスルホン化工程と、中和して中和物を得る中和工程とを有し、前記スルホン化工程を着色抑制剤の存在下に行うことを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法に関する。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩は、従来より界面活性剤として使用されており、特に洗浄力が高く、また、生分解性が良好で環境に対する影響が少ないことから、種々の洗浄剤に使用されている。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩は、脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させてスルホン化し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを製造し、これを中和して得られる。
脂肪酸アルキルエステルのスルホン化メカニズムは、Smith and Stirton: JAOCS vol.44, P.405(1967)およびSchmid,Baumann,Stein,Dolhaine:Proceeding of the World Surfactants Congrees Munchen, vol.2, P.105, Gelnhausen, Kurle(1984)、およびH.Yoshimura: 油化学(JJOCS), 41巻, 10頁(1992)等に示されるように、以下の反応スキームによって説明されている。
すなわち、脂肪酸アルキルエステルをスルホン化ガスと接触させると、以下の一般式で示したように、はじめにエステルのアルコキシ基部分にSOが挿入され、SO一分子付加体(以下、「一分子付加体」という)が生成する。次に、一分子付加体のα位にさらにSOが導入されSO二分子付加体(以下、「二分子付加体」という)が生成する。その後、アルコキシ基部分に挿入されたSOが脱離してα−スルホ脂肪酸アルキルエステルが生成する。
Figure 2005171137
この反応スキームにおいては、前記二分子付加体の生成段階までは反応が速やかに進行するが、二分子付加体からα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを生成する段階は反応速度が非常に遅い。このため、脂肪酸アルキルエステルと理論的には等モルで反応する、SOガスなどのスルホン化ガスを、実際には反応速度を向上させるために等モルよりも過剰に用いたり、二分子付加体の生成段階まで反応が進んだ後に、熟成工程を設けてSOの脱離を促進させることが行われている。熟成工程を設けた場合、熟成工程の後にアルカリで中和することによって、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得ることができる。
しかし、このようにして得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルは、通常、著しい着色と刺激臭を有している。このため、アルカリ中和後に得られるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩も着色しており、臭気も中和によって改善はするものの不快臭が残っている。洗浄剤としての用途においては、これらの着色や臭気は不都合であるために、通常、アルカリ中和工程の前又は後に、過酸化水素などによる過酷な条件下での漂白が行われている。漂白によって色調のみならず臭気も改質され、不快臭が低減される。
従って、一般に、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩は、スルホン化ガス導入によるスルホン化工程、熟成工程、アルカリによる中和工程の他に、漂白工程を行って製造されている。
ところで、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩には、α−スルホ脂肪酸、α−スルホ脂肪酸アルカリ塩などの副生物が含まれることがある。これは、上記の各製造工程中において一部のエステル結合の加水分解による切断が生じるためである。これらの副生物は洗浄剤活性成分としては洗浄力が小さく、水溶性も劣るので、その生成はできるだけ抑制することが望ましい。
このことに対し、上記のように漂白工程を行うと、漂白工程の反応条件は過酷であることからエステル結合の加水分解を引き起こし易く、副生物を生成させやすくなる。
そこで、エステル結合の加水分解を引き起こし易く、また、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の生成に直接的に関係しない漂白工程をできるだけ簡略化、または省略すること、または副生物の生成を抑制して漂白を行うことが望ましい。
漂白工程を簡略化又は省略化し、かつ着色の問題のないα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得る方法の一つとしては、もともと白色に近い淡色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を製造することが挙げられる。
例えば、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の着色は熟成工程中に進行することが確認されているので、前記熟成工程を簡略化することで淡色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得ることができると予測される。
しかしながら、熟成工程を簡略化すると、前記副生成物の一つであり、洗浄力の小さいα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩の生成が誘引されるおそれがある。
そこで、熟成工程を充分に行い、なおかつ、白色に近い淡色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を製造することを目的とした手法がかねてから提案されている。
例えば、特許文献1には、飽和脂肪酸アルキルエステルのスルホン化反応において無機硫酸塩を共存させることにより、α−スルホ脂肪酸ジソーダの生成率が低く、かつ、無機硫酸塩が存在しない場合に比べて淡色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法が記載されている。
そして、特許文献2には、飽和脂肪酸アルキルエステルのスルホン化反応において無機硫酸塩を共存させるにあたり、該無機硫酸塩として1価の金属イオンを有し、かつその粒径が250μm以下のものを採用することが記載されている。
その他に、特許文献3では、蒸留工程で無機酸もしくは無機酸とグリセロールの部分エステル化を導入する方法と、無機固体に吸着させる方法をどちらか単独でまたは組み合わせて用いることでオキソ化合物の含有量を0.05質量%以下に減少させ、さらに不飽和化合物量を0.05質量%以下に減少させた脂肪酸アルキルエステルをスルホン化すると、淡色のα−スルホ脂肪酸エステル塩が得られるとしている。
また、特許文献4では、水素化によってアルコールを得る際に原料となる脂肪酸アルキルエステルに対して粘土もしくは活性炭による吸着処理および水素化分解型吸着剤による吸着処理を施すことで硫黄分が低減し、水素化触媒の活性を低下させない方法が記載されている。
一方、副生成物の生成を抑えて漂白を行うことを目的として、中和工程後に過酸化水素を用いて行う中和物漂白(特許文献5参照)、過酸化水素での酸漂白(例えば、特許文献6参照)と、2段階(複合)漂白(例えば、特許文献7参照)の3通りの方法が提案されている。
特開昭51−43716号公報 特開平9−216863号公報 特表平5−505816号公報 特開2003−267920号公報 特開平9−12533号公報 米国特許第3159657号明細書 米国特許第3452064号明細書
しかしながら、これらの各特許文献に記載の製造方法では、得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の色調改善が不十分であったり、また、熟成時間を充分に確保しなければならないので効率性に欠けるなどの点で必ずしも満足できるものではなかった。さらに、いずれの方法においても、特に漂白工程を簡略化又は省略化した場合、臭気は必ずしも満足できるものではなかった。
本発明の目的は、漂白工程を簡略化または省略化しつつ、着色が抑制された上で臭気が改善され、さらに洗浄力に優れたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、原料精製工程を設け脂肪酸アルキルエステル中の極性成分を除去した上で、精製原料のスルホン化反応を行う段階から単に着色抑制剤を反応系に導入しただけで、漂白工程を簡略化または省略化しつつ、臭気と色調が同時に改善され、かつ洗浄力にも優れたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法は、脂肪酸アルキルエステルから極性不純物を除去して精製脂肪酸アルキルエステルを得る原料精製工程と、精製脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化するスルホン化工程と、中和して中和物を得る中和工程とを有し、前記スルホン化工程を着色抑制剤の存在下に行うことを特徴とする。
前記原料精製工程において、固体吸着剤を用いて脂肪酸アルキルエステルに吸着処理を施すことが好ましい。
前記固体吸着剤は、活性白土及び/または酸性白土からなることが好ましい。
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法は、前記スルホン化工程の生成物を、低級アルコールによってエステル化するエステル化工程をさらに有することが好ましい。
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法においては、前記スルホン化工程において熟成工程を設け、該熟成工程を着色抑制剤の存在下に行うことが好ましい。
本発明の製造方法によれば、従来のものよりも臭気が良好で白色に近い淡色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を提供することができ、特に、漂白工程を簡略化または省略化しつつ、着色を抑制した上でより臭気を改善でき、かつ洗浄力にも優れたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を提供することができる。
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法は、脂肪酸アルキルエステルから極性不純物を除去して精製脂肪酸アルキルエステルを得る原料精製工程と、精製脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化するスルホン化工程と、中和して中和物を得る中和工程とを有し、前記スルホン化工程を着色抑制剤の存在下に行うことを特徴とする。
本発明の製造方法は、好ましくは、例えば下記の(A)〜(D)の工程を順次行ってα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得るものである。
(A)脂肪酸アルキルエステルから極性不純物を除去して精製脂肪酸エステルを得る原料精製工程。
(B)該精製脂肪酸アルキルエステルを着色抑制剤の存在下スルホン化してα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを得る工程であるスルホン化工程。
(C)副生物をさらに抑制するために低級アルコールにてエステル化するエステル化工程。
(D)アルカリで中和することによりα−スルホ脂肪酸アルキルエステルからα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得る中和工程。
前記(C)エステル化工程を経ることによって副生物の一つであるα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩の生成量を抑制することができるので、(B)スルホン化工程と(D)中和工程の中間において(C)エステル化工程を行うことが好ましい。
なお、下記の(E)工程を、得られるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の洗浄力が損なわれない範囲で行ってもよい。
(E)得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を漂白する漂白工程。
(E)漂白工程を、本発明の効果を損なわない範囲で行えば、さらに色調の白色に近いα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得ることができる。
以下、各工程についてさらに詳細に説明する。
(A)原料精製工程
前記脂肪酸アルキルエステルとしては、下記の一般式(I)で示される脂肪酸アルキルエステル(以下、「脂肪酸アルキルエステル(I)」と表記する。)が好ましく用いられる。
CHCOOR ・・・(I)
(但し、式中Rは炭素数6〜24の直鎖ないし分岐アルキル基またはアルケニル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖ないし分岐アルキル基を示す。)
前記脂肪酸アルキルエステル(I)は、好ましくは飽和脂肪酸アルキルエステルであって、脂肪酸アルキルエステルは、牛脂、魚油、ラノリンなどから誘導される動物系油脂、ヤシ油、パーム油、大豆油などから誘導される植物系油脂、α−オレフィンのオキソ法から誘導される合成脂肪酸アルキルエステルのいずれであってもよく、特に限定されない。
具体的には、ドデカン酸メチル、エチルまたはプロピル;テトラデカン酸メチル、エチルまたはプロピル;パルミチン酸メチル、エチルまたはプロピル;ステアリン酸メチル、エチルまたはプロピル;硬化牛脂脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル;硬化魚油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル;ヤシ油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル;パ−ム油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピル;パ−ム核油脂肪酸メチル、エチルまたはプロピルなどを例示することができ、これらは単独、あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、本発明における脂肪酸アルキルエステルのヨウ素価(IV)は、低い方が好ましいが、通常0.002〜0.1の範囲のものであれば許容される。ヨウ素価(IV)が0.1以下であると、後述のスルホン化工程における着色を効果的に低減することができる。ヨウ素価(IV)が0.1以下の脂肪酸アルキルエステルを原料精製工程に用いるためには、所望の範囲のヨウ素価(IV)を有する市販品を用いることができる。また、例えば、予め触媒の存在下に水素化処理の施された脂肪酸アルキルエステルを原料精製工程に供してもよいし、原料精製工程において、脂肪酸アルキルエステルと触媒とを共存させて水素化を進行させてもよい。また、原料精製工程を完了した後、スルホン化工程を行う前に、触媒の存在下に水素化を行ってもよい。
脂肪酸アルキルエステルから極性不純物を除去する方法としては、特に限定されない。なお、原料精製工程において、脂肪酸アルキルエステルから極性不純物を除去するとは、必ずしも脂肪酸アルキルエステル中の極性不純物の含有量を0とすることを意味せず、極性不純物の含有量を低減させる方法であればよい。
例えば、上記一般式(I)で示される脂肪酸アルキルエステルに対して精製処理を行うことにより、極性不純物の低減した脂肪酸アルキルエステルを製造可能である。
ここで極性不純物とは、極性官能基を有する物質を指し、例えば、極性官能基としてヒドロキシ基、カルボニル基などの酸素含有基などが挙げられるが、極性不純物の構造は特に限定されない。
精製処理の方法としては、油脂の脱色、脱臭、脱酸等に用いられる精製技術を適用することができる。
精製処理の方法として、特に、極性不純物を効率的に除去できる方法として、固体吸着剤を用いて脂肪酸アルキルエステルに吸着処理を施す方法が好適であり、脂肪酸アルキルエステルの中のエステル結合が加水分解されない方法が好ましい。
固体吸着剤としては、油脂の脱色処理等に用いられる固体吸着剤を使用でき、例えば、モンモリロナイト系粘土鉱物、活性炭、シリカゲル、酸化アルミニウム、二酸化チタニウム、酸化マグネシウム、強酸性イオン交換樹脂などが挙げられる。固体吸着剤の中でも、モンモリロナイト系粘土鉱物が好ましい。これら固体吸着剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、コストや吸着性能の点から、モンモリロナイト系粘土鉱物として活性白土及び/または酸性白土を用いることが好ましい。特に、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造に用いられる脂肪酸アルキルエステルに対して活性白土及び/または酸性白土を用いると、不快臭をもつ極性不純物の低減により臭気が改善するとともに、極性不純物の被スルホン化着色物が低減することで不快臭を持つ着色物質が抑制され、臭気が改善するという顕著な効果が得られるため好ましい。なお、活性白土は、酸性白土に硫酸処理を施した市販品として得ることが可能である。
固体吸着剤を用いて脂肪酸アルキルエステルに吸着処理を施す方法としては、例えば、固体吸着剤を脂肪酸アルキルエステルに添加し、攪拌混合することで極性不純物を吸着除去する第一の処理方法が挙げられる。また、吸着剤の固定床あるいは充填カラムを作製し、脂肪酸アルキルエステルを流通させることによって極性不純物を除去する第二の処理方法も用いることが可能である。
第一の処理方法を用いる場合、固体吸着剤の添加量は脂肪酸アルキルエステルに対し0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。0.01質量%より少ないと除去効果が薄く、20質量%より多いとコストと濾過にかかる負荷が大きくなるので好ましくない。
第一、第二の処理方法を行う際、吸着処理の処理温度は脂肪酸アルキルエステルが流動性を有する温度であればよく、好ましくは、脂肪酸アルキルエステルの融点以上、かつ融点から100℃高い温度範囲までであり、さらに好ましくは融点以上、かつ融点から70℃高い温度範囲までとされる。過熱した場合、エステルの分解や酸化が起こるため好ましくない。第一の処理方法を行う際、これらの操作は大気開放下でもなんら問題ないが、脂肪酸アルキルエステルの酸化を防ぐために不活性ガス雰囲気下の工程としてもよい。また、水分を取り除くために減圧下で行ってもよい。
第二の処理方法を用いる場合、脂肪酸アルキルエステルのみを流通させてもよいが、ヘキサンなどの溶剤に溶解させて流通し、溶剤を除去することでも極性不純物を低減した脂肪酸アルキルエステルが得られる。
上記のような精製処理を行うことによって、極性不純物量の低減された脂肪酸アルキルエステル(精製脂肪酸アルキルエステル)が得られる。
脂肪酸アルキルエステル中の極性不純物量の低減効果は、精製処理操作の収率やヒドロキシル価(OHV)並びにカルボニル価(COV)の減少量を比較することで確認することができる。本発明においては、例えば精製処理操作によって、ヒドロキシル価1以下、カルボニル価0.5以下となる程度まで極性不純物の低減された精製脂肪酸アルキルエステルとすることが好ましい。
上述したように、例えば、原料精製工程の前、原料精製工程中あるいは原料精製工程後に、脂肪酸アルキルエステルの水素化を行うことで、ヨウ素価(IV)の低減された脂肪酸アルキルエステルを本発明に使用することができるが、原料精製工程の前あるいは後に脂肪酸アルキルエステルの水素化処理を行う場合、触媒を濾過する前に上記固体吸着剤を添加し、上記操作を行った後、触媒とともに濾過してもよい。濾過操作は、公知の何れの方法によっても行うことが可能である。
(B)スルホン化工程
スルホン化工程は、精製脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化する工程であるが、精製脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスとを接触させるスルホン化反応工程と、適当な温度で一定時間保温する熟成工程とからなることが、スルホン化工程における副生物を低減させるために好ましい。
ここで、スルホン化反応工程によって一分子付加体、二分子付加体が得られ、熟成工程によって二分子付加体からのSOの脱離が促進される。
熟成工程が不十分で二分子付加体が残存していると、熟成工程の後に行われる、例えば水酸化ナトリウムなどによる中和工程において下記に示すような反応が起こり、洗浄力、水溶性の劣るα−スルホ脂肪酸ジソーダ(α−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩)が生成する。このような副生物は洗浄剤としての性能に寄与しないため、上記熟成工程を行って二分子付加体を低減させておくことが望ましい。
Figure 2005171137
前記スルホン化反応工程において使用されるスルホン化ガスとしては、SOガス、発煙硫酸などが挙げられるが、好ましくはSOガスが用いられる。
SOガスは、通常、脱湿空気または窒素などの不活性ガスで、好ましくは3〜30容量%の濃度に希釈されて使用される。SOガスはスルホン化される脂肪酸アルキルエステルの1.0モルに対して好ましくは1.0〜2.0モルの割合、さらに好ましくは1.1〜1.5モルの割合で使用される。1.0倍モル未満ではスルホン化反応が十分に進行せず、また、2.0倍モルを超えると、スルホン化反応がより過激になるため局部熱に起因する着色が著しくなるおそれがあり、淡色の製品を得るという点で好ましくない。
本発明においては、前記スルホン化工程を着色抑制剤の存在下に行う。
スルホン化工程において熟成工程を行う場合、着色抑制剤は少なくとも熟成工程において存在していることが好ましい。熟成工程を設け、かつ熟成工程を着色抑制剤の存在下に行えば、副生物を低減し、なおかつ漂白工程を行わずにα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの着色を抑制することができ、ひいてはα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の着色を防止することができる。
着色抑制剤を添加する時期については、前記原料精製工程の後、スルホン化反応工程の開始前に、精製脂肪酸アルキルエステルに着色抑制剤を添加、混合しておくのが通例だが、スルホン化反応工程後であって熟成工程前に反応物中に着色抑制剤を添加、混合してもよい。スルホン化反応工程の開始前に精製脂肪酸アルキルエステルに着色抑制剤を混合しておけば、手順が簡略化され操作が簡単である点で好ましい。
スルホン化反応工程における反応温度は、脂肪酸アルキルエステルが流動性を有する温度であればよい。好ましくは、脂肪酸アルキルエステルの融点以上かつ融点から100℃高い温度範囲までであり、さらに好ましくは融点以上かつ融点から70℃高い温度範囲とされる。
スルホン化方法としては、薄膜式スルホン化法、回分式スルホン化法などのいずれのスルホン化法であってもよい。回分式スルホン化法はα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの色調の面で優れており、薄膜式スルホン化法は生産コストの面で優れている。また、スルホン化反応方式としては槽型反応、フィルム反応、管型気液混相反応などの方式が用いられる。
スルホン化反応工程の反応時間は採用するスルホン化方法により異なるが、一般に、薄膜式スルホン化法では5〜120秒が好ましく、回分式スルホン化法では10〜240分程度が好ましい。
スルホン化反応工程終了後、二分子付加体は熟成工程に移行される。熟成工程においては、二分子付加体からのSO脱離反応が促進される。熟成工程の温度は70〜100℃が好ましい。70℃より低いと脱離反応が速やかに進行せず、100℃より高いと着色が著しくなるおそれがある。熟成工程を行う時間は、1〜120分の範囲が好ましい。スルホン化反応工程終了後、充分な反応率が得られていれば、熟成工程は省略することができる。
このようなスルホン化反応工程および熟成工程からなるスルホン化工程を行うことにより、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを主として含む生成物が得られる。得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルは、淡色となっている。
着色抑制剤としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの1価の金属イオンを含む塩;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン、N−メチルモルホリン、尿素などのルイス塩基;NaSO、Na、Na(x=2〜6)、NaHSO、NaS、Na、NaHSなどの還元性無機硫黄化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類およびそれらの塩;アルカリ金属を含む金属アルコキシド;リン酸化合物、有機リン化合物、炭酸化合物、ホウ酸化合物、ホウ素化合物、ケイ酸化合物、ケイ素化合物、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩などが使用できる。
これらの中でも特に1価の金属イオンを含む塩(1価の金属塩)が好ましく、1価の金属塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの無機硫酸塩が好ましい。
無機硫酸塩は着色抑制効果が高く安価であり、また、洗浄剤に配合される成分であるので製品であるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩から除去する必要がない。
無機硫酸塩の平均粒径は好ましくは250μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。250μm以下とすることによって、脂肪酸アルキルエステルとの接触面積が大きくなり、分散性が向上する。
着色抑制剤の添加量は、精製脂肪酸アルキルエステルに対して好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%の範囲である。着色抑制剤の添加量が30質量%より多い場合には生成物中における無機物あるいは界面活性能を持たない物質の割合が増大し、活性剤としての性能が劣化するおそれがある。一方、着色抑制剤の添加量が1質量%より少ない場合は生成物の良好な色調の改善がみられない場合がある。
(C)エステル化工程
エステル化工程は熟成工程を経て得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを含む組成物に、少量の低級アルコールを添加し、エステル化反応を進行させるものである。
ここで用いられる低級アルコールとしては、例えば、脂肪酸アルキルエステルとして上記の脂肪酸アルキルエステル(I)を用いる場合、脂肪酸アルキルエステル(I)におけるRの炭素数と等しい炭素数を有するものが好ましいが、特に限定されるものではない。
低級アルコールは、反応溶液中の二分子付加体に対して好ましくは0.5〜5.0倍モル、特に好ましくは0.8〜2.0倍モル用いられる。(C)エステル化工程の反応温度は好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは50〜90℃であり、また、反応時間は好ましくは5〜120分である。
この(C)エステル化工程においては、下記反応式に示すように、熟成工程後に残留している二分子付加体のアルコキシ基部分のエステル化が進行することにより、該部分に挿入されていたSOの脱離がさらに促進され、結果として副生物の生成が抑制される。
Figure 2005171137
(C)エステル化工程を行う時期は、(B)スルホン化工程と(D)中和工程との間とすることが好ましい。
(D)中和工程
中和方法としては、スルホン化工程の生成物にアルカリを添加する方法で行うことができる。ここで、アルカリを水溶液として用いる方式が可能である。また、アルカリ粉体をスルホン化工程の生成物に直接添加して反応混合粉体とする方式(乾式中和)も可能である。
中和工程は、アルカリと、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを含むスルホン化工程の生成物との反応混合液が酸性或いは弱いアルカリ性の範囲となるような条件(pH4〜9)で行うことが好ましい。反応混合液が強アルカリ性となる条件下で中和を行うと、エステル結合が切断されやすくなる可能性がある。
アルカリを水溶液として用いる場合、使用されるアルカリとしては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、エタノールアミンが挙げられる。アルカリ水溶液濃度は好ましくは2〜50質量%程度である。また、前記反応混合液中のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の濃度は好ましくは10〜80質量%程度である。なお、中和温度は、好ましくは30〜140℃であり、中和時間は、好ましくは10〜60分である。
一方、乾式中和を採用する場合、白色に近い淡色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステルにアルカリ粉体を加えることで、漂白工程を簡略化または省略化しつつ、製品として問題のない淡色のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の粉体物を得ることができる。さらに、漂白工程を行ってさらに色調の薄いα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得ることもできる。ここで使用されるアルカリ粉体としては、アルカリ金属の炭酸塩が挙げられる。また、前記反応混合粉体中のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の濃度は、好ましくは10〜95質量%である。なお、中和温度は、好ましくは10℃〜80℃、中和時間は、好ましくは10〜180分である。
(E)漂白工程
(E)漂白工程を行う場合は、(D)中和工程の後に行うことが好ましい。(E)漂白工程を(D)中和工程の後に行う場合、(D)中和工程を経て得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩に漂白剤を添加することによって、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が漂白される。
漂白剤としては、例えば、過酸化水素、次亜塩素酸塩を用いることができ、漂白剤の添加量はα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩に対して純分で0.05〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。漂白温度は50〜140℃が好ましく、例えば、大気圧下において50℃〜90℃、ゲージ圧0.5〜3.0kg/cmの加圧下において50〜135℃が好ましい。漂白時間は1時間から1週間であり、所望の色調に漂白されるまで行う。
なお、別の形態として、(E)漂白工程を(D)中和工程の前に行うことも可能である。(D)中和工程前に漂白を行う場合は、アルコールの存在下、過酸化水素によって漂白することが好ましい。前記アルコールとしては、例えば炭素数1〜12の低級アルコールが挙げられ、アルコールの添加量はα−スルホ脂肪酸アルキルエステルに対して2〜30質量%が好ましい。前記過酸化水素の添加量はα−スルホ脂肪酸アルキルエステルに対して純分で0.5〜10質量%とされることが好ましい。また、漂白温度は100℃以下が好ましく、漂白時間は0.5〜5時間が好ましい。
そして、(E)漂白工程を(D)中和工程前に行った場合は、漂白されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルは前記アルコールと共に(D)中和工程に送られ、そこにおいてα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩とされた後に、アルコール含有水溶液から分離されて製品とされる。
なお、(E)漂白工程においては、過酸化水素又は次亜塩素酸塩などの漂白剤による処理に加えて、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の色調をさらに白色に近い色に改善するための他の処理を行ってもよい。
以上本発明の製造方法によれば、漂白処理等を行わず副生成物の生成するリスクを低減することで洗浄力を良好とし、色調を白色に近い淡色としつつ、臭気が低減され、洗剤組成物等の製品に別途処理を施すことなく適用可能なα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得ることができる。このことは、スルホン化工程において熟成工程を行った場合にも同様であるから、熟成工程を充分に行ってスルホン化工程の副生成物をさらに減少させ、色調および臭気が改善され洗剤成分としての性能にも優れたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を提供することが可能となる。
本発明の実施の態様をまとめると以下のようになる。
(1)原料精製工程において極性不純物を除去するための固体吸着剤としては、モンモリロナイト系粘土鉱物、活性炭、シリカゲル、酸化アルミニウム、二酸化チタニウム、酸化マグネシウム、強酸性イオン交換樹脂などが挙げられ、好ましくはモンモリロナイト系粘土鉱物である。吸着処理方法は公知の何れの方法でも適用できる。
(2)着色抑制剤としては、1価の金属塩が好ましく、1価の金属塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの無機硫酸塩が好ましい。なお、無機硫酸塩は粉末状であることが好ましく、その粒径は250μm以下、特に50μm以下であることが好ましい。また、1価の金属塩の添加量は精製脂肪酸アルキルエステルに対して1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは3〜20質量%の範囲である。
(3)脂肪酸アルキルエステル(I)は、スルホン化工程を経てα−スルホ脂肪酸アルキルエステルとされ、中和工程を経てα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩に変換される。ただし、中和工程の前又は後にエステル化工程を設けることが好ましい。なお、得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩にさらに漂白処理を施して白色とすることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例の記載により本発明はなんら制限されるものではない。
実施例において、ヒドロキシル価(OHV)、カルボニル価(COV)はそれぞれ下記の方法で測定した。
ヒドロキシル価(OHV):基準油脂分析試験法 2.3.6.3−1996、ピリジン―塩化アセチル法
カルボニル価(COV):基準油脂分析試験法 2.5.4−1996
〔実施例1〕
ミリスチン酸メチル(ライオンオレオケミカル社製「パステル M−14」)とパルミチン酸メチル(ライオンオレオケミカル社製「パステル M−16」)を質量比で2:8に混合し、水素化処理を施してなる混合脂肪酸メチルエステル(ヨウ素価0.01、スルホン化反応率98.2質量%、色調(5%Klett)1086、ヒドロキシル価1.01、カルボニル価0.58)に対し、活性白土(純正化学(株)製)からなる固体吸着剤10質量%を使用して精製処理を施した。80℃、3時間攪拌混合することによって、極性不純物が吸着除去された後、濾過により吸着剤を除去し、ヒドロキシル価(OHV)、カルボニル価(COV)の低減された精製混合脂肪酸メチルエステルを得た。この精製混合脂肪酸メチルエステルのスルホン化反応率は98.5質量%、色調(5%Klett)は900であった。尚、下記の表1及び表2において、酸色調(5%Klett)とは、α−スルホ脂肪酸メチルエステル(純分)の5質量%水溶液を、40mm光路長、No.42ブルーフィルターを用いてクレット光電光度計で測定した値である。
精製混合脂肪酸メチルエステルに着色抑制剤である硫酸ナトリウム5質量%(対精製混合脂肪酸メチルエステル)を混合し、攪拌機付き300mLガラス製反応機を用いて、80℃に保ちながらNガスで8容量%に希釈したSOガス1.2倍モル(対混合脂肪酸メチルエステル)を60分間等速で導入しスルホン化反応を行った後、80℃に保ちながら40分間攪拌して熟成工程を行い、粗製α−スルホ脂肪酸メチルエステルを製造した。
この粗製α−スルホ脂肪酸メチルエステルをコンデンサー付き300mLの三角フラスコにとり、攪拌しながら、粗製α−スルホ脂肪酸メチルエステル100質量部当たりメタノールを3質量部の割合で添加し、80℃、30分間攪拌することでエステル化工程を行い、α−スルホ脂肪酸メチルエステルを得た。このα−スルホ脂肪酸メチルエステルの反応率は99.1質量%、色調(5%Klett)は148であった。
このα−スルホ脂肪酸メチルエステルを濃度2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpHが7〜8となるように中和した。精製混合脂肪酸メチルエステル(精製原料)の物性、α−スルホ脂肪酸メチルエステルの色調(5%Klett)、およびその塩を含む水溶液の色調、臭気等を下記評価条件で評価した。測定結果を表1に示す。
(評価条件)
α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩を含む水溶液の色調
α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩を含む水溶液の色調については、色調(5%Klett)により、次の5段階で評価を行った。◎:150以下、○:200〜300、△:500〜800、×:800以上。
臭気の評価方法
臭気については5人のパネラーにより官能評価を行い下記基準で評価した。
◎:ほぼ無臭
○:やや臭いがあるが、香料などのマスキングが可能
△:かなり臭気が感じられ、香料などのマスキングが不可能
×:強い臭気有り
〔実施例2〜3、比較例1〜3〕
原料精製の有無、着色抑制剤の添加の有無とその種類等を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様に行い評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005171137
表1に示されるように、原料精製処理のみ行い、着色抑制剤を導入しなかった比較例1では、着色はやや改善された。さらに着色抑制剤を導入した実施例1〜3では、色調、臭気ともに大幅に改善され、別途処理を施さなくとも洗剤等に適用可能な水準となった。原料精製を行わず、着色抑制剤のみ添加した比較例3では、色調は改善するが、臭気に大幅な改善はみられなかった。
〔実施例4〜6、比較例4〕
ミリスチン酸メチルとパルミチン酸メチルの割合が質量比で2:8の混合脂肪酸メチルエステル(ヨウ素価0.01)600gを5%エーテル/ヘキサン3000mLに溶解し、シリカゲル(和光純薬工業(株)製「ワコーゲルC−200」)からなる固体吸着剤600gをヘキサンで充填したカラム(内径6cm×60cm)に流した。更に、5%エーテル/ヘキサン2400mLを流し、脂肪酸メチルエステルを溶出させた。分取した脂肪酸メチルエステル溶液の溶媒を除去し精製脂肪酸アルキルエステルとした。この精製脂肪酸アルキルエステルを用いて実施例1と同様の調製を行い、精製原料の物性、α−スルホ脂肪酸メチルエステルの色調、およびその塩を含む水溶液の色調、臭気等を上記実施例1〜3、比較例1〜3と同様に評価した。測定結果を表2に示す。
Figure 2005171137
表2に示されるように、シリカゲルカラム処理での原料精製のみ行い、着色抑制剤を導入しなかった比較例4では、色調はさほど改善しなかった。上記の精製原料に、着色抑制剤である硫酸ナトリウムを添加してスルホン化反応を行った実施例4、5では、着色抑制効果は著しく向上され、臭気は顕著に改善された。また着色抑制剤として硫酸カリウムを導入した実施例6も色調、臭気が改善された。
本発明の製造方法によって得られた、良好な洗浄力を有し、色調が改善され、更に臭気も改善されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩は、衣料用洗剤等に用いられる界面活性剤として有用である。

Claims (5)

  1. 脂肪酸アルキルエステルから極性不純物を除去して精製脂肪酸アルキルエステルを得る原料精製工程と、精製脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化するスルホン化工程と、中和して中和物を得る中和工程とを有し、前記スルホン化工程を着色抑制剤の存在下に行うことを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。
  2. 前記原料精製工程において、固体吸着剤を用いて脂肪酸アルキルエステルに吸着処理を施すことを特徴とする請求項1に記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。
  3. 前記固体吸着剤は、活性白土及び/または酸性白土からなることを特徴とする請求項2に記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。
  4. 前記スルホン化工程の生成物を、低級アルコールによってエステル化するエステル化工程をさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。
  5. 前記スルホン化工程において熟成工程を設け、該熟成工程を着色抑制剤の存在下に行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法。

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