JP3902039B2 - レーザ加工用独立気泡スポンジゴム印材の製造方法 - Google Patents

レーザ加工用独立気泡スポンジゴム印材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、レーザ加工機で彫刻するのに最適なゴム印材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴム印材に凸状の印面を形成する方法としてレーザ加工機を用いる方法が開発され、現在広く実施されている。レーザ加工に用いられるゴム印材としては、天然ゴム、NBR、SBR、CR、EPDM、シリコーンゴム等の従来公知の各種ゴムに、加硫剤、充填剤、加硫促進剤、助剤等を配合し、これを加硫したゴム印材が用いられている。
しかし、これらのゴム印材はゴム内部に全く空隙を有さない密状態であるので、レーザ加工を施すとゴムが溶けてべたついたり、ゴムカスがレーザ光にて燃焼し発火する恐れがあり、また、加工時間が長くかかるという欠点があった。
一方、特開平8−230295号のように連続気泡を有するスポンジゴム印材が公知となっており、これは前記欠点を解決することができるが、製造方法が複雑で高価なものとなる欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者はレーザ加工時にゴムが溶けてべたついたり、発火する欠点を克服すると共に加工時間を短縮でき、安価なゴム印材を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、未加硫ゴム、加硫剤、充填剤と、中空フィラーを混練して混合物とした後、これを加硫成形することを特徴とするレーザ加工用独立気泡スポンジゴム印材の製造方法を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
未加硫ゴム、加硫剤、充填剤等と、中空フィラーを混練した混合物をシート状に成形して金型等にて加硫すると、気泡ひとつひとつが独立かつ均一に分散したゴム印材が得られる。この独立気泡を有するゴム印材は、印材として好適な物性をそのままにゴム密度を低下させ、軽量化を図ることができる。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム印材は中空フィラーを除き、一般のゴム印材と同様な物質を使用することができ、主材となる未加硫ゴム、加硫剤、充填剤、軟化剤、着色剤、老化防止剤、その他の添加剤などから構成される。
未加硫ゴムとしては、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等の各種ゴムを用いることができる。加硫剤としては、前記ゴムを加硫するのに通常用いるものであれば特に問題なく使用でき、硫黄、硫黄化合物などを用いることができる。充填剤としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪酸、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸水和物、クレー、タルク、胡粉等を用いることができる。軟化剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマティック系プロセスオイル等を用いることができる。着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイト、群青、フタロシアニン、ベンガラ、クロム酸鉛等を用いることができる。老化防止剤としては、フェノール、ワックス等を用いることができる。また他に、加硫助剤としてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、亜鉛華、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等や、加硫促進剤としてチアゾール類、チウラム類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類等や、活性剤としてポリオキシエチレン誘導体等の添加剤を用いることもできる。
更に、本発明は中空フィラーを配合することを特徴とする。本発明に用いることのできる中空フィラーとしては、ガラス微小中空球体、シリカ微小中空球体、セラミックス微小中空球体、炭素微小中空球体等の無機中空フィラーや、ポリフッ化ビニリデン微小中空球体、ポリフッ化ビニリデン共重合物微小中空球体、フェノール樹脂微小中空球体等の有機中空フィラーを用いることができる。
具体的には、セルスター(東海工業株式会社製ガラス微小中空球体)、メタスフィアー(東海工業株式会社製セラミックス微小中空球体)などを用いることができる。前記中空フィラーは、硬度等の物性を維持する為にゴム混合物中1〜10重量%配合することが好ましく、他の物質と混合すると均一に分散したゴム混合物となる。
【0007】
次に、本発明ゴム印材の製造方法について説明する。
未加硫ゴム、加硫剤、充填剤、軟化剤、着色剤、老化防止剤、加硫助剤、加硫促進剤等の添加剤と、中空フィラーをミキシングロールにてよく混練してゴム混合物とした後、カレンダーロールにてシート出し、これを金型に収容し、温度50〜200℃、圧力10〜100kg/cm2、時間10〜120分で加硫成形し、その後離型してシート状のゴム印材を得る。このようにして得られたゴム印材は、気泡ひとつひとつが独立かつ均一に分散した状態のスポンジゴムとなっている。
前記中空フィラーの配合量を調節することによって独立気泡の個数をコントロールすることができ、加硫時の温度又は時間を調節することによって独立気泡の大きさをコントロールすることができる。
通常、ゴム印材をスポンジ化すると硬度が低下するので、細断した有機系合成繊維等を混在させて硬度を上げることもできる。
【0008】
次に、印字体の作成方法について説明する。
レーザ加工機を用いて前記ゴム印材に彫刻して印面を作成するには、まず写植機等で版下原稿を作成し、次に当該版下原稿をイメージスキャナー等によりスキャンしてデータ化処理しておき、又は、コンピューター上で直接組版して版下をデータ化処理しておく。次に、前記ゴム印材を円筒ドラムに巻きつけ、前記データに基づきゴム印材に垂直にレーザ光を照射する。そして、円筒ドラムを回転させつつ軸芯方向に移動させながら走査させると版下通りに彫刻を行なうことができる。円筒ドラムは、周速150〜220cm/s、走査ピッチ25〜50μm程度で使用され、レーザ光は炭酸ガスレーザ・YAGレーザ等が使用され、出力は50〜1200W、スポットの大きさは50〜100μm程度で使用される。
【0009】
また、本発明のゴム印材を用いて回転印用無端ベルトを得ることもできる。
主材となる未加硫ゴム、加硫剤、充填剤、軟化剤、着色剤、老化防止剤、加硫促進剤、加硫助剤等の添加剤と、中空フィラーをミキシングロールにてよく混練してゴム混合物とした後、カレンダーロールにてシート出し、これを金型に収容し、その上に補強用の布を重ね、温度50〜200℃、圧力10〜100kg/cm2、時間10〜120分で加硫し、その後離型する。そうするとシート状加硫ゴムが得られ、これをレーザ加工機にて彫刻加工した後、シート状加硫ゴムの一方の端のゴムを剥離し、剥離した部分にゴム溶剤に溶かした同一成分の未加硫ゴムやゴムのりを塗布した後、他方の端と重ね合わせ温度50〜200℃、圧力5kg/cm2で加硫接着して無端の環状体とし、これを所要幅に切断すれば、回転印用無端ベルトを得ることができる。
【0010】
以下、本発明を実施例により説明する。しかしながら、本発明は実施例により何等限定されるものではない。
【実施例1】
スチレン−ブタジエンゴム 40重量%
硫黄 1重量%
クレー 20重量%
珪酸 25重量%
プロセスオイル 3重量%
カーボンブラック 2重量%
酸化亜鉛 2重量%
ジベンゾチアジルスルフィド 1重量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1重量%
セルスター(東海工業株式会社製ガラス微小中空球体) 5重量%
上記物質を前記製造方法にて加硫成形し、シート状黒色のゴム印材を得た。
【0011】
【実施例2】
アクリロニトリル−ブタジエンゴム 35重量%
硫黄 1重量%
硫酸バリウム 24重量%
炭酸カルシウム 25重量%
プロセスオイル 5重量%
群青 4重量%
ステアリン酸 1重量%
酸化亜鉛 1重量%
ジベンゾチアジルスルフィド 2重量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1重量%
メタスフィアー(東海工業株式会社製セラミックス微小中空球体) 1重量%
上記物質を前記製造方法にて加硫成形し、シート状青色のゴム印材を得た。
【0012】
【実施例3】
天然ゴム 38重量%
硫黄 1重量%
硫酸バリウム 40重量%
プロセスオイル 5重量%
ベンガラ 2重量%
ステアリン酸 1重量%
酸化亜鉛 1重量%
ジベンゾチアジルスルフィド 1重量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1重量%
セルスター(東海工業株式会社製ガラス微小中空球体) 10重量%
上記物質を前記製造方法にて加硫成形し、シート状赤色のゴム印材を得た。
【0013】
出力1000W・スポット50μmの炭酸ガスレーザを用いたレーザ加工機にて前記各実施例のゴム印材を加工すると、べたつきを生じず、ゴムカスもほとんど生じなかった。
また、前記各実施例から中空フィラーを除いた配合にてそれぞれゴム印材を作成し、出力1000W・スポット50μmの炭酸ガスレーザを用いたレーザ加工機にて加工したところ、前記各実施例に対し2〜5倍の加工時間を要した。
【0014】
【発明の効果】
本願発明は、レーザ加工時及びレーザ加工後においても、印材ゴムが溶けてべたつくことがなく鮮明な輪郭の印面を容易に彫刻でき、ゴムカスもほとんど生じないので発火する恐れが極めて少なく、かつ、レーザで消失させなければならないゴム量が少なくて済むので短い時間で加工することができる。
また、加硫する際に金型と未加硫シートが接触する部分において中空フィラーが金型の加圧力に抗して微小の凹凸を形成するので、加硫後のゴム印材表面に梨地模様が形成され、よって捺印する際は印面におけるインキの濡れ性が向上して多量のインキを付着させることができるので、鮮明な印影を得ることができる。更に、加硫する際、金型の加圧力に抗して中空フィラーが反発し、ゴム内部からも圧力がかかるので、金型と未加硫シートとの間の空気を押し出すことができ、ゴム印材のピンホールを無くすことができる。
また、軽量化が図れるので、持ち運びが容易である。

Claims (1)

  1. 未加硫ゴム、加硫剤、充填剤と、中空フィラーを混練して混合物とした後、これを加硫成形することを特徴とするレーザ加工用独立気泡スポンジゴム印材の製造方法。
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